(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成形材料供給口を後部に有するシリンダと、前記成形材料供給口に成形材料を供給する材料供給部と、前記シリンダ内で回転することにより前記成形材料を前方に送るスクリュと、該スクリュによる前記成形材料の送り状態を検出する送り状態検出部とを備え、前記材料供給部は、前記成形材料を収容するフィードシリンダと、該フィードシリンダ内で回転することにより前記成形材料を前記成形材料供給口に供給するフィードスクリュとを含む射出成形機の設定を支援する設定支援装置であって、
前記送り状態検出部の検出結果に基づいて、前記材料供給部の供給速度と前記スクリュの送り速度とが一致する、前記スクリュの回転数(r1)と前記フィードスクリュの回転数(r2)との比率(r2/r1)の最大値を算出する、射出成形機の設定支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。以下、充填工程におけるスクリュの移動方向を前方とし、計量工程におけるスクリュの移動方向を後方として説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態の射出成形機を示す図である。射出成形機は、金型装置のキャビティ空間に液相の成形材料を充填する。金型装置は例えば固定金型および可動金型で構成され、固定金型と可動金型との間にキャビティ空間が形成される。キャビティ空間に充填された液相の成形材料が固化され、成形品が得られる。
【0011】
射出成形機10は、成形材料供給口14を後部に有するシリンダ11、成形材料供給口14に成形材料を供給する材料供給部80、シリンダ11内で回転することにより成形材料を前方に送るスクリュ20、スクリュ20を駆動する駆動部60、スクリュ20による成形材料の送り状態を検出する送り状態検出部70、およびコントローラ40を備える。
【0012】
スクリュ20は、シリンダ11内において回転自在に且つ軸方向に進退自在に配設される。スクリュ20は、主に、スクリュ本体21、およびスクリュ本体21より前方に配設された射出部22で構成される。スクリュ本体21は、フライト部23、およびフライト部23の前端に配設された圧力部24を備える。
【0013】
フライト部23は、棒状の本体部23a、および該本体部23aの外周面に突出させて形成された螺旋状のフライト23bを備え、該フライト23bに沿って螺旋状の溝26が形成される。フライト部23の後端から前端にかけて、溝26の深さは一定であってよく、スクリュ圧縮比が一定であってよい。
【0014】
圧力部24は、棒状の本体部23aよりも外径の大きい円柱部で構成されてよい。本体部23aと円柱部との間には、本体部23aから円柱部にかけて外径が徐々に大きくなる図示されない円錐台状の傾斜部が設けられてもよく、傾斜部および円柱部で圧力部24が構成されてもよい。
【0015】
尚、圧力部24を配設することなく、スクリュ本体21の全体にわたってフライト部を形成してもよい。スクリュ本体21は後端から前端にかけて、成形材料が供給される供給部、供給された成形材料を圧縮させながら溶融させる圧縮部、溶融された成形材料を一定量ずつ計量する計量部として区別されてもよい。この場合、螺旋状の溝の深さは、供給部で深く、計量部で浅く、圧縮部において前方に向かうほど浅い。
【0016】
射出部22は、先端に円錐形の部位を備えたヘッド部31、該ヘッド部31の後方に隣接させて形成されたロッド部32、該ロッド部32の周囲に配設された逆止リング33、および圧力部24の前端に取り付けられたシールリング(チェックリング)34からなる。
【0017】
駆動部60は、一般的な構成であってよく、例えば、スクリュ20を回転させる計量モータ、およびスクリュ20を進退させる射出モータを有する。
【0018】
材料供給部80は、コントローラ40からの指令値に応じた供給速度でシリンダ11の成形材料供給口14に成形材料を供給する。成形材料供給口14はシリンダ11の後部に形成される。
【0019】
材料供給部80は、成形材料(例えば樹脂ペレット)を収容するホッパ82、ホッパ82の下端から水平方向に延在するフィードシリンダ83、フィードシリンダ83の前端から下方に延在する筒状の案内部84、フィードシリンダ83内において回転自在に配設されたフィードスクリュ85、およびフィードスクリュ85を回転させるフィードモータ86などを備える。尚、フィードシリンダ83は、必ずしも水平方向に延在する必要はなく、例えば水平方向に対して斜めに延在してもよく、出口側が入口側よりも高くてもよい。
【0020】
ホッパ82内からフィードシリンダ83内に供給された成形材料は、フィードスクリュ85の回転に伴ってフィードスクリュ85に形成される螺旋状の溝に沿って前進させられる。フィードスクリュ85の前端から案内部84内に送られた成形材料は、案内部84内を落下し、シリンダ11の成形材料供給口14に供給される。尚、フィードシリンダ83内に供給された成形材料は、図示されないヒータによって加熱(予熱)されてもよい。この際、成形材料は、溶融することがない温度、例えば、ガラス転移点以下の所定の温度に予熱されてよい。
【0021】
次に、
図1を再度参照して、射出成形時の射出成形機の動作について説明する。射出成形機の各種動作はコントローラ40によって制御される。コントローラ40は、CPU41、制御プログラムなどを格納するROM42、演算結果などを格納する読書き可能なRAM43、ハードディスクなどの記憶部44、入力インターフェイス、出力インターフェイス、タイマ、およびカウンタなどで構成される。コントローラ40は、ROM42又は記憶部44などに記憶されたプログラムをCPU41で実行させることにより、各種機能を実現する。
【0022】
型閉じ工程では、可動金型を固定金型に対して接近させる。可動金型と固定金型とが接触すると、型閉じが完了する。型閉じ完了後、続いて、型締め工程が開始される。
【0023】
型締め工程では、可動金型と固定金型との間に型締力を発生させる。型締め状態の固定金型と可動金型との間にキャビティ空間が形成される。型締め工程中に、充填工程、保圧工程、および冷却工程が行われる。
【0024】
充填工程では、射出モータを駆動してスクリュ20を設定速度で前進させる。スクリュ20の前方に蓄積された液相の成形材料が、シリンダ11の前端に形成されるノズル12から射出され、金型装置のキャビティ空間に充填される。スクリュ20の設定速度は、一定でもよいし、スクリュ位置または経過時間に応じて変更してもよい。スクリュ20が所定位置(所謂V/P切換位置)まで前進すると、保圧工程が開始される。尚、充填工程開始からの経過時間が所定時間に達すると、保圧工程が開始されてもよい。
【0025】
保圧工程では、射出モータを駆動してスクリュ20を設定圧力で前方に押し、キャビティ空間における成形材料の冷却による体積収縮分の成形材料を補充する。スクリュ20の設定圧力は、一定でもよいし、経過時間などに応じて変更してもよい。キャビティ空間の入口(所謂ゲート)がシールされ、キャビティ空間からの成形材料の逆流が防止された後、冷却工程が開始される。
【0026】
冷却工程では、キャビティ空間内の成形材料を固化する。冷却工程の間に、次の成形品のための成形材料を計量する計量工程が行われてよい。
【0027】
計量工程では、計量モータを駆動してスクリュ20を設定回転数で回転させ、スクリュ20に形成される螺旋状の溝26に沿って成形材料を前方に送り、ヒータh11〜h13の熱で徐々に溶融させる。液相の成形材料がスクリュ20の前方に送られシリンダ11の前部に蓄積されるに従って、スクリュ20が後退させられる。
【0028】
計量工程では、スクリュ20の急激な後退を制限すべく、射出モータを駆動してスクリュ20に対して所定の背圧を加えてよい。スクリュ20が所定位置まで後退し、スクリュ20の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が終了する。
【0029】
また、計量工程では、フィードモータ86を駆動してフィードスクリュ85を設定回転数で回転させる。材料供給部80からシリンダ11の成形材料供給口14に成形材料が供給される。成形材料は、成形材料供給口14で滞留することなく、スクリュ20の回転によって直ちに前方に送られる。スクリュ20の溝26内に成形材料が密に充填されることはなく、スクリュ20の溝26内の成形材料の状態は疎の状態(飢餓状態)とされる。
【0030】
フィードスクリュ85とスクリュ20とは、同期して回転されてよく、同時に回転開始され、同時に回転終了されてよい。フィードスクリュ85の設定回転数、およびスクリュ20の設定回転数は、一定でもよいし、スクリュ位置または経過時間に応じて変更してもよい。
【0031】
型開き工程は、冷却工程後に行われる。型開き工程では、可動金型を固定金型から離間させる。型開き完了後、可動金型から成形品が突き出される。
【0032】
図2は、計量工程において、スクリュに形成される螺旋状の溝に沿って送られる成形材料の圧力分布の一例を示す図である。
図2において、S0は圧力部24の前端位置、S1は圧力部24の後端位置(つまり圧力部24とフライト部23との境界位置)、S2はフライト部23における成形材料の圧力上昇位置を表す。
【0033】
圧力部24の前端位置S0およびその前方では、スクリュ20の背圧と同じ圧力P0が成形材料に作用する。成形材料に作用する圧力は、
図2に示すように圧力部24の前端位置S0から圧力部24の後端位置S1にかけて徐々に増え、圧力部24の後端位置S1で最大の圧力P1に達する。成形材料に作用する圧力は、
図2に示すように圧力部24の後端位置S1から後方にむけて徐々に減り、フライト部23における成形材料の圧力上昇位置S2で略ゼロとなる。スクリュ20に対する成形材料の圧力上昇位置S2は、計量工程の間ほとんど変化しない。
【0034】
圧力上昇位置S2は、スクリュ20の溝26内の空間に占める成形材料の割合などで決まり、スクリュ20の回転数とフィードスクリュ85の回転数との比率などで決まる。圧力上昇位置S2が圧力部24の後端位置S1よりも後方の所定範囲内にあると、例えば計量時間のバラツキやクッション位置のバラツキが少なく、品質の良い成形品が安定して得られる。
【0035】
そこで、圧力上昇位置S2が目標位置となる成形条件の設定を支援する設定支援装置としての機能をコントローラ40が有する。尚、設定支援装置は、コントローラ40と別に設けられてもよく、射出成形機と別に設けられ射出成形機と接続されてもよい。
【0036】
コントローラ40は、送り状態検出部70の検出結果に基づいて、材料供給部
80の供給速度とスクリュ20の送り速度とが一致する、スクリュ20の回転数に対応する材料供給部80の最大供給速度を算出する。ここで、材料供給部
80の供給速度とは、材料供給部
80が単位時間当たりに成形材料供給口14に供給する成形材料の量をいう。また、スクリュ20の送り速度とは、スクリュ20が単位時間当たりに成形材料供給口14から前方に送る成形材料の量をいう。
【0037】
スクリュ20の送り速度は、スクリュ20の回転数、および材料供給部
80の供給速度に依存する。スクリュ20の回転数が大きいほど、スクリュ20が単位時間当たりに送ることができる成形材料の量は潜在的に多い。但し、材料供給部
80によって成形材料が全く供給されない場合、スクリュ20の回転数に関係なく、スクリュ20の送り速度はゼロとなる。従って、スクリュ20の送り速度は、スクリュ20の回転数、および材料供給部
80の供給速度の両方に依存する。
【0038】
材料供給部
80の供給速度がスクリュ20の回転数に応じた基準速度以下の場合、材料供給部
80によって供給された成形材料は成形材料供給口14付近で溜まらずに前方に直ぐに送られ、材料供給部
80の供給速度とスクリュ20の送り速度とは一致する。
【0039】
一方、材料供給部
80の供給速度が基準速度を超える場合、材料供給部
80によって供給された成形材料は成形材料供給口14付近で溜まり成形材料供給口14に堆積する。この場合、材料供給部
80の供給速度とスクリュ20の送り速度とは一致しない。この場合、スクリュ20の送り速度は、材料供給部
80の供給速度よりも小さく、材料供給部
80の供給速度に関係なく一定である。
【0040】
コントローラ40は、送り状態検出部70の検出結果に基づいて、材料供給部
80の供給速度とスクリュ20の送り速度とが一致する、スクリュ20の回転数に対応するフィードスクリュ85の最大回転数(以下、「基準回転数」ともいう)を算出する。フィードスクリュ85の回転数は材料供給部80の供給速度を表し、フィードスクリュ85の回転数が大きいほど材料供給部80の供給速度が大きい。
【0041】
フィードスクリュ85の基準回転数は、シリンダ11の寸法や形状、スクリュ20の寸法や形状、および成形材料の種類が同じ場合、スクリュ20の回転数で決まる。スクリュ20の回転数が大きいほど、スクリュ20が単位時間当たりに送ることができる成形材料の量が潜在的に多く、フィードスクリュ85の基準回転数が大きい。
【0042】
フィードスクリュ85の回転数が基準回転数以下の場合、スクリュ20の回転によって成形材料を成形材料供給口14から直ぐに前方に搬送でき、成形材料が成形材料供給口14付近で溜まらない。
【0043】
一方、フィードスクリュ85の回転数が基準回転数を超える場合、スクリュ20の回転によって成形材料を成形材料供給口14から直ぐに前方に搬送できない。そのため、成形動作が繰り返し行われると、やがて、成形材料が成形材料供給口14付近で溜まり、成形材料供給口14から溢れた成形材料が案内部84内に溜まる。
【0044】
図3は、案内部内に溜まる成形材料が第1の位置に達したときの状態の一例を示す図である。
図4は、案内部内に溜まる成形材料が第2の位置に達したときの状態の一例を示す図である。第2位置は第1位置よりも上方にある。
【0045】
案内部84内に溜まる成形材料が第1位置に達すると、第1発光素子71からの光を受光する第1受光素子72の受光量が変化し、案内部84内に溜まる成形材料が第1位置に達したことがわかる。その後、案内部84内に溜まる成形材料が第2位置に達すると、第2発光素子73からの光を受光する第2受光素子74の受光量が変化し、案内部84内に溜まる成形材料が第2位置に達したことがわかる。第1発光素子71、第1受光素子72、第2発光素子73、および第2受光素子74で送り状態検出部70が構成される。送り状態検出部70の検出結果は、コントローラ40へ供給される。
【0046】
コントローラ40は、案内部84内に溜まる成形材料が第1位置に達した時刻t1と第2位置に達した時刻t2との時間差Δt(Δt=t2−t1)の逆数(1/Δt)を、案内部84内における成形材料の溜まり速度を表す値として算出する。時間差Δtは、コントローラ40が有するタイマなどで計測する。時間差Δtは、射出成形時と同様に成形動作を繰り返し行って計測する。尚、成形動作の代わりに、パージ動作が繰り返し行われてもよい。パージ動作では、金型装置内に成形材料を充填せずに、シリンダ内に成形材料を供給すると共にスクリュの前方に成形材料を送り、成形材料をシリンダから排出する。
【0047】
図5は、スクリュの回転数が一定の場合における、フィードスクリュの回転数と、成形材料の溜まり速度との関係の一例を示す図である。
図5に示す関係を求めるとき、フィードスクリュ85の回転数は基準回転数よりも大きく設定される。
【0048】
スクリュ20の回転数が一定の場合、フィードスクリュ85の回転数が小さいほど成形材料の溜まり速度が小さい。成形材料の溜まり速度がゼロに達するときのフィードスクリュ85の回転数r0が基準回転数に相当する。
【0049】
スクリュ20の回転数が一定の場合、フィードスクリュ85の回転数と成形材料の溜まり速度との関係は一次関数で表される。そのため、フィードスクリュ85の回転数および成形材料の溜まり速度のデータが少なくとも2組あれば、外挿によって基準回転数r0が算出できる。
【0050】
このようにして、コントローラ40は、フィードスクリュ85の基準回転数r0を算出する。フィードスクリュ85の基準回転数r0は成形条件を決めるときの1つの指標となるので、成形条件の条件出しが支援できる。
【0051】
例えば、基準回転数r0の算出時と射出成形時とでスクリュ20の回転数が同じ場合、コントローラ40は、フィードスクリュ85の基準回転数r0と係数A(A<1)との積(r0×A)を射出成形時のフィードスクリュ85の回転数として算出する。
【0052】
係数Aはスクリュ20の溝26内の空間に占める成形材料の割合を表し、係数Aが小さいほど上記空間に占める成形材料の割合が小さい。スクリュ20に対する成形材料の圧力上昇位置S2が目標位置となるように、係数Aが決められるため、射出成形時に品質の良い成形品が安定して得られる。
【0053】
コントローラ40は、材料供給部
80の供給速度とスクリュ20の送り速度とが一致する、スクリュ20の回転数(r1)とフィードスクリュ85の回転数(r2)との比率(r2/r1)の最大値(以下、「基準比率」ともいう)をさらに算出してよい。基準比率は、フィードスクリュ85の基準回転数r0、および基準回転数r0の算出時に用いたスクリュ20の回転数から算出してよい。
【0054】
上記比率(r2/r1)が基準比率以下の場合、スクリュ20の回転によって成形材料を成形材料供給口14から直ぐに前方に搬送でき、成形材料が成形材料供給口14付近で溜まらない。
【0055】
一方、上記比率(r2/r1)が基準比率を超える場合、スクリュ20の回転によって成形材料を成形材料供給口14から直ぐに前方に搬送できない。そのため、成形動作が繰り返し行われると、やがて、成形材料が成形材料供給口14付近で溜まる。
【0056】
基準比率も成形条件を決めるときの1つの指標となる。基準比率は、基準回転数r0と異なり、スクリュ20の回転数の変更により変動しにくいため、成形条件を決めるときの指標として優れている。基準比率は、例えば、基準回転数r0の算出時と射出成形時とでスクリュ20の回転数が異なる場合に有効である。
【0057】
例えば、コントローラ40は、基準比率と係数A(A<1)との積を、射出成形時のスクリュ20の回転数とフィードスクリュ85の回転数との比率として算出する。基準比率に乗じる係数Aと、基準回転数r0に乗じる係数Aとは、同じ意味、同じ値である。
【0058】
コントローラ40は、基準回転数r0(または基準比率)との積が成形条件となる係数Aを記憶する。係数Aは、例えば基準回転数r0の算出後、成形動作を繰り返し行って求める。基準回転数r0(または基準比率)がわかっているので、スクリュ20の回転数を一定とし、フィードスクリュ85の回転数を適切な範囲で変更して、係数Aを精度良く算出できる。係数Aは、成形品の品質(例えば計量時間)のバラツキが最も小さいときのフィードスクリュ85の回転数をr3とすると、A=r3/r0の式から算出できる。係数Aは基準比率に乗じるものでもあるので、係数Aの算出時にスクリュ20の回転数とフィードスクリュ85の回転数の両方を変更してもよい。算出した係数Aは、ある程度共通の成形条件に適用できる。
【0059】
コントローラ40は、入力部45での入力操作に応じて基準回転数r0などを算出し、算出結果を表示部46で表示してよい。基準回転数r0などの算出は、成形条件の変更時に行われてよい。成形条件の変更としては、例えば成形材料の種類の変更、スクリュ20の交換などが挙げられる。尚、本実施形態では入力部45と表示部46とが別に設けられるが、入力部45と表示部46とは一体とされてもよく、例えばタッチパネルで構成されてよい。
【0060】
以上、射出成形機の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変形、改良が可能である。
【0061】
例えば、上記実施形態の材料供給部は、フィードスクリュを含むが、真空ローダを含んでもよく、その構成は特に限定されない。材料供給部は、供給速度を変更できるものであればよい。
【0062】
また、上記実施形態の射出成形機は、スクリュ20とフィードスクリュ85とを同期して回転させるが、別々に回転させてもよい。例えば、成形材料が案内部84内を落下する時間分、フィードスクリュ85の回転開始時刻がスクリュ20の回転開始時刻よりも早くてもよく、また、フィードスクリュ85の回転終了時刻がスクリュ20の回転終了時刻よりも早くてもよい。
【0063】
また、上記実施形態の射出成形機は、スクリュ・インライン方式であるが、スクリュ・プリプラ方式でもよい。スクリュ・プリプラ方式では、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。スクリュ・プリプラ方式では、可塑化シリンダ内にスクリュが配設される。
【0064】
また、上記実施形態の成形材料の溜まり速度を表す値は、案内部84内に溜まる成形材料が第1位置に達した時刻t1と第2位置に達した時刻t2との時間差Δt(Δt=t2−t1)の逆数(1/Δt)であるが、これに限定されない。例えば、成形材料の溜まり速度を表す値は、シリンダ11内に成形材料がほとんど残っていない状態で成形動作を開始した時刻t3と、その後、案内部84内に溜まる成形材料が所定位置に達した時刻t4との時間差(t4−t3)の逆数でもよい。この場合、発光素子と受光素子の組数を減らすことができる。
【0065】
また、上記実施形態の送り状態検出部70は発光素子と受光素子の組で構成されるが、その構成は特に限定されない。例えば、送り状態検出部は、案内部84内に設けられる回転体で構成され、回転体の回転態様に基づいて成形材料の溜まり状態を検出してよい。例えば、送り状態検出部は、回転体を回転させるモータおよびモータの回転トルクを検出するトルクセンサを含み、モータの回転トルクの変化に基づいて成形材料の溜まり状態を検出してよい。また、送り状態検出部は、回転体を回転させるモータおよびモータの回転数を検出する回転数センサを含み、モータの回転数の変化に基づいて成形材料の溜まり状態を検出してよい。また、送り状態検出部は、案内部84内を落下する成形材料が当たることにより回転する回転体の回転を検出する回転センサを含んでもよい。案内部84内に溜まる成形材料に回転体が埋もれると、回転体が回転しなくなる。
【0066】
また、上記実施形態の送り状態検出部70は、案内部84における成形材料の溜まり状態を検出するが、シリンダ11における成形材料の溜まり状態を検出してもよい。いずれの場合でも、成形材料供給口14付近での成形材料の溜まり状態が検出できれば、スクリュ20による成形材料の送り状態を検出できる。
【0067】
また、上記実施形態のコントローラ40は、材料供給部
80の供給速度とスクリュ20の送り速度とが一致する、スクリュ20の回転数に対応する材料供給部80の最大供給速度(具体的には、スクリュ20の回転数に対応するフィードスクリュ85の最大回転数)を算出するが、本発明はこれに限定されない。コントローラ40は、材料供給部
80の供給速度とスクリュ20の送り速度とが一致する、材料供給部80の供給速度(具体的にはフィードスクリュ85の回転数)に対応するスクリュ20の最小回転数(以下、「スクリュの基準回転数」という)を算出してもよい。この場合、例えば、フィードスクリュ85の回転数が一定の条件下でスクリュ20の回転数と成形材料の溜まり速度との関係を求めることで、スクリュ20の基準回転数がわかる。この基準回転数の算出時と射出成形時とでフィードスクリュ85の回転数が同じ場合、コントローラ40は、スクリュ20の基準回転数と係数B(B>1)との積を射出成形時のスクリュ20の回転数として算出する。係数Bは成形動作を繰り返し行って求める。係数Bの算出時に、フィードスクリュ85の回転数を一定としてスクリュ20の回転数を変更してよい。係数Bは係数Aの逆数(B=1/A)である。コントローラ40は係数Bを記憶する。