特許第6058520号(P6058520)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058520
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   A47J27/00 103Q
   A47J27/00 103H
   A47J27/00 103N
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-237977(P2013-237977)
(22)【出願日】2013年11月18日
(65)【公開番号】特開2015-97577(P2015-97577A)
(43)【公開日】2015年5月28日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002473
【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂口 洋一
(72)【発明者】
【氏名】青柳 充紀
(72)【発明者】
【氏名】寺田 晋悟
(72)【発明者】
【氏名】栗原 愛美
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−013921(JP,U)
【文献】 実開平04−116915(JP,U)
【文献】 特開2012−161392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容する上端開口の鍋と、
前記鍋を着脱可能に収容する鍋収容部を有する調理器本体と、
前記調理器本体に開閉可能に配設され、前記鍋を閉塞する蓋体と、
を備えた調理器であって、
前記鍋に、前記調理器本体の前記鍋収容部より径方向外向きに突出する一対の鍋取手を設けるとともに、前記調理器本体に、前記鍋を収容した状態で前記鍋取手の下部を覆う本体取手部を設け、前記本体取手部の下方を把持用の空隙部として開放し
前記鍋取手は、前記鍋の上端開口に装着する装着部と、把持用の取手部と、前記装着部と前記取手部とを連結する連結部と、を備え、
前記鍋取手の前記装着部に、前記蓋体を閉塞した状態で前記蓋体側へ突出するリブを設け、
前記蓋体に、前記蓋体を閉塞した状態で前記鍋取手側へ突出し、前記鍋取手の前記リブの内側または外側にオーバーラップするリブを設けたことを特徴とする調理器。
【請求項2】
前記装着部と前記取手部とを、前記連結部によって隙間をあけて連結していることを特徴とする請求項1に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調理器の1つである炊飯器が記載されている。この炊飯器は、鍋を着脱可能に配設する炊飯器本体と、炊飯器本体に回動可能に配設した蓋体とを備える。鍋には、径方向外向きに突出する鍋取手が設けられている。鍋取手は、炊飯器本体の上面部上に位置し、炊飯器本体に対して蓋体を閉塞することにより覆われる。また、蓋体には、鍋取手の外周部に位置するように遮熱部材が配設されている。この遮熱部材によって、鍋の熱が鍋取手から外部へ放熱されることを防止している。
【0003】
しかしながら、特許文献1の炊飯器は、断熱効果が高く、鍋の加熱によって鍋取手が高温になるため、高温時に炊飯器本体から鍋を取り出すことができない。また、飯米以外の食材を調理する調理器の場合、鍋だけでなく機器全体を持ち運ぶことが想定されるが、ハンドルを持った持ち運びはバランスが悪いため、好ましくない。即ち、ハンドルに対して機器が揺れ動くため、汁物を調理した場合に漏れる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−142975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、鍋または機器全体を安全かつ安定して持ち運ぶことができる調理器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明の調理器は、食材を収容する上端開口の鍋と、前記鍋を着脱可能に収容する鍋収容部を有する調理器本体と、前記調理器本体に開閉可能に配設され、前記鍋を閉塞する蓋体と、を備えた調理器であって、前記鍋に、前記調理器本体の前記鍋収容部より径方向外向きに突出する一対の鍋取手を設けるとともに、前記調理器本体に、前記鍋を収容した状態で前記鍋取手の下部を覆う本体取手部を設け、前記本体取手部の下方を把持用の空隙部として開放した構成としている。
【0007】
この調理器は、鍋に設けた鍋取手が調理器本体の鍋収容部から外向きに突出している。また、鍋取手の下側を覆う調理器本体の本体取手部は、下部が開放された状態になっている。これにより、鍋取手が外気によって熱交換により冷却されるため、鍋の加熱により高温になることを抑制でき、安全である。また、調理器自体を持ち運ぶ際には、調理器本体の本体取手部を把持することが可能であるため、安定した把持状態で持ち運ぶことができる。
【0008】
前記鍋の前記鍋取手および前記調理器本体の前記本体取手部は、前記調理器本体の外周壁から横方向外向きに突出することが好ましい。このようにすれば、鍋取手の冷却作用を十分に得ることができる。また、鍋取手は、調理器本体の本体外周壁から外向きに突出する大きな寸法設定であるため、鍋を安定した把持状態で持ち運ぶことができる。
【0009】
前記蓋体に、前記鍋を収容した状態で前記鍋の前記鍋取手の上部を覆う蓋取手部を設けることが好ましい。ここで、蓋取手部は、手の指は入らない程度のスリットを設けた構成も含む。このようにすれば、調理器自体を持ち運ぶ際に、鍋取手自体を持って持ち運ぶことがなく、確実に本体取手部を持って安定した持ち運びをすることができる。
【0010】
前記鍋取手は、前記鍋の上端開口に装着する装着部と、把持用の取手部と、前記装着部と前記取手部とを連結する連結部と、を備える。このようにすれば、鍋の熱が装着部および連結部を介して取手部に伝わる。即ち、ユーザが把持する取手部には、熱が伝わり難いため、取手部が高温になることを抑制できる。この場合、前記装着部と前記取手部とを、前記連結部によって隙間をあけて連結することが好ましい。このようにすれば、取手部が高温になることを更に抑制できる。
【0011】
また、前記鍋取手の前記装着部に、前記蓋体を閉塞した状態で前記蓋体側へ突出するリブを設けることが好ましい。この場合、前記蓋体に、前記蓋体を閉塞した状態で前記鍋取手側へ突出し、前記鍋取手の前記リブの内側または外側にオーバーラップするリブを設けることが更に好ましい。このようにすれば、鍋から放出された熱気が、取手部が位置する外部へ放熱されることを抑制できる。これに伴い、取手部が高温になることを更に抑制できる。また、鍋内の保温性を向上できる。
【0012】
前記本体取手部に、この本体取手部を補強する補強部材を配設することが好ましい。このようにすれば、調理器を更に安全かつ安定した保持状態で持ち運ぶことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の調理器では、鍋に調理器本体の本体外周壁から突出する鍋取手を設けているため、外気による冷却によって鍋取手が高温になることを抑制でき、安全である。また、調理器本体に鍋取手の下部を覆う本体取手部を設けているため、調理器自体を持ち運ぶ際の安定性も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態の調理器の蓋体を開放して調理鍋を取り出した状態を示す斜視図。
図2】調理鍋を収容して蓋体を閉塞した状態を示す斜視図。
図3】調理鍋の分解斜視図。
図4図1の一部の拡大断面図。
図5】第2実施形態の調理器を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1および図2は、本発明の実施形態に係る調理器10を示す。この調理器10は、調理物である食材を収容する調理鍋(鍋)11と、調理鍋11を着脱可能に収容する調理器本体33と、調理器本体33に開閉可能に配設した蓋体52とを備える。本実施形態では、調理鍋11、調理器本体33および蓋体52に持ち運び用の取手部16,44,61を設け、調理鍋11単体または調理器10全体を安全かつ安定して持ち運ぶことを可能とする。
【0017】
図1および図3に示すように、調理鍋11は、食材を収容する上端開口の有底円筒状をなし、熱伝導率が高い金属製母材の外面に電磁誘導によって加熱される金属材層を有する。この調理鍋11の鍋外周壁12の上端開口には、径方向外向きに突出するフランジ部13が形成されている。図3によく示されるように、フランジ部13の径方向の対向位置には、鍋取手16を取り付けるための取付部14が設けられている。この取付部14は、径方向外向きに突出し、両端にネジが締め付けられるネジ止め孔15が設けられている。
【0018】
取付部14には、持ち運び用の一対の鍋取手16,16が取り付けられている。この鍋取手16は、調理器本体33の鍋収容部41は勿論、調理器本体33の本体外周壁35より横(径)方向の外向きに突出する寸法で形成される。図3および図4に示すように、本実施形態の鍋取手16は、取付部14に装着される装着部材(装着部)17と、把持用の取手部材(取手部)24と、装着部材17と取手部材24とを連結する連結部材(連結部)29とを備える。
【0019】
装着部材17は樹脂製であり、装着状態で径方向内側に配置される内面部18と、径方向外側に配置される外面部19とを備える。内面部18は、調理鍋11と同心円弧状をなし、外面部19は鍋取手16,16を取り付ける径方向に対して直交方向に延びる平面状をなす。装着部材17には、内面部18から外面部19に向けて延び、調理鍋11の径方向外側から取付部14へ装着するための装着溝20が形成されている。また、装着部材17の下面側には、連結部材29が配設される。この連結部材29を取り囲むように、内面部18から側面部にかけて枠板部21が突設されている。また、装着部材17には、取付部14のネジ止め孔15に対応するネジ挿通孔22が、下面から装着溝20にかけて貫通するように設けられている。鍋収容部41に収容した状態で装着部材17の外面部19は、調理器本体33および蓋体52の外周壁35,55の内側に位置する。この外面部19の上部には、蓋体52の側へ突出する第1リブ23が設けられている。
【0020】
取手部材24は樹脂製であり、連結部材29によって装着部材17に対して隙間をあけて配設されている。取手部材24には、装着部材17との間を区画し、把持した手の指が調理鍋11に接触することを防ぐ遮蔽板部25が設けられている。遮蔽板部25の両側には、連結部材29の取付部材連結部31が配置されるネジ止め部26が設けられている。なお、遮蔽板部25の両端からネジ止め部26をU字形状に囲むように隔壁部27が設けられている。この隔壁部27および遮蔽板部25により、手を差し込む差込部28が確定される。本実施形態では、遮蔽板部25が調理器本体33の本体外周壁35上に位置し、取手部材24の略全体が本体外周壁35より外側へ突出するように構成されている。
【0021】
連結部材29は金属(SUS304)製であり、装着部材17の枠板部21内に配置される装着部材連結部30と、取手部材24のネジ止め部26に配置される一対の取付部材連結部31,31とを備える。これら連結部30,31には、ネジ挿通孔22およびネジ止め部26に対応するネジ挿通孔32が設けられている。
【0022】
鍋取手16は、調理鍋11の取付部14に装着部材17を配置し、装着部材17の下面側に連結部材29の装着部材連結部30の側を配置する。そして、ネジ挿通孔22,22を通して調理鍋11のネジ止め孔15にネジ(図示せず)を締め付ける。また、連結部材29の取手部材連結部に取手部材24を配置し、ネジ挿通孔32を通して取手部材24のネジ止め部26にネジ(図示せず)を締め付ける。これにより、装着部材17に対して取手部材24が所定の隙間をあけて位置した状態で、調理鍋11に鍋取手16が取り付けられる。
【0023】
図1および図2に示すように、調理器本体33は、有底筒状の胴体34と、胴体34の上端開口を覆う肩体36とを有する本体外装体を備える。胴体34は、平面視略長円形状の本体外周壁35を備え、その上端開口に肩体36が一体的に嵌合されている。肩体36は樹脂製であり、背面側に蓋体52を回動可能に取り付けるヒンジ接続部37を備える。肩体36の正面側には操作パネル部38が設けられている。
【0024】
ヒンジ接続部37と操作パネル部38との間には、蓋体52によって覆われる凹部39が形成されている。この凹部39の正面側には、蓋体52をロックするためのロック孔40が設けられている。また、凹部39には開口部が設けられ、この開口部の下部に調理鍋11を着脱可能に収容する鍋収容部41が形成されている。鍋収容部41の上端には、調理鍋11を載置するために上向きに隆起した隆起部42が形成されている。この隆起部42において、本体取手部44を形成する横方向の両側部には、鍋取手16を配置するための切欠部43が形成されている。この切欠部43は、凹部39の底まで延びず、僅かに隆起部42aが残存(形成)されるように設けられている。
【0025】
鍋収容部41と胴体34との間の内部には、鍋収容部41に収容した調理鍋11の加熱手段である誘導加熱コイル(図示せず)が配設されている。また、鍋収容部41には、調理鍋11の温度を検出する第1温度検出部材である鍋温度センサ(図示せず)が、鍋収容部41を貫通して調理鍋11の底に接触するように配設されている。
【0026】
この調理器本体33には、調理鍋11を収容した状態で鍋取手16の下部を覆う本体取手部44が、水平方向外向きに突設されている。この本体取手部44は、板状をなすように本体外周壁35から外向きに突出し、その下方が把持用(手を差し込むため)の空隙部66として開放されている。本体取手部44は、胴体34の横方向両側に位置するように設けた下側取手部45と、下側取手部45の上側に嵌合するように肩体36に設けた上側取手部46とを備える。上側取手部46の上面は、凹部39の底より高く、切欠部43を形成した隆起部42aの上端より低い高さに設定されている。
【0027】
図4に示すように、本体取手部44には、金属製の補強部材47が配設されている。この補強部材47は、胴体34の下側取手部45と肩体36の上側取手部46との間に配置される挟込部48と、調理器本体33に固定するための固定部49とを備える。本実施形態の固定部49は、挟込部48の内端から略J字形状をなすように下方内向きに屈曲されている。この固定部49は、肩体36の鍋収容部41を形成するための内胴取付部50に形成した固定溝部51に固定されている。なお、固定部49は、胴体34の本体外周壁35に固定してもよい。また、補強部材47全体を、胴体34の本体外周壁35の外面から下側取手部45の下面にかけて配設してもよい。
【0028】
図1および図2に示すように、蓋体52は、調理器本体33のヒンジ接続部37に回動可能に取り付けられ、調理鍋11の上端開口を含む調理器本体33の凹部39の上部を閉塞する。この蓋体52は、調理器本体33の上部を覆う下板53と、下板53の上部を覆う上板54とを有する蓋外装体を備える。下板53は、鍋収容部41を含む凹部39の上方を覆う平面視形状の板材である。上板54は、下板53に上側から被せてネジ止めにより固定される下端開口のカバーであり、下板53の外周部を覆う蓋外周壁55を備える。
【0029】
下板53の背面側には、調理器本体33のヒンジ接続部37に回動可能にヒンジ接続される接続部56が形成されている。また、下板53の正面側には、調理器本体33のロック孔40にロックされるロック部材57が回動可能に配設されている。上板54には、ロック部材57を回動させて、ロック孔40との係合を解除するための操作部材58が配設されている。
【0030】
蓋体52には、調理鍋11と対向する下板53の側に、調理鍋11の上端開口を閉塞(密閉)する内蓋59が着脱可能に配設されている。また、蓋体52の背面側には蒸気口ユニット60が着脱可能に配設されている。そして、蓋体52には、内蓋59の排気孔を入口とするとともに蒸気口ユニット60を排出口を出口とし、調理鍋11内の蒸気を外部へ排出する排気通路(図示せず)が形成されている。
【0031】
図1および図4に示すように、蓋体52には、本体取手部44、および、本体取手部44上に配置された鍋取手16を覆う蓋取手部61が設けられている。この蓋取手部61は、上板54の蓋外周壁55から水平方向外向きに突出し、鍋取手16の上部を遮蔽する天板部62を備える。この天板部62は、本体取手部44と同一平面視形状であり、その外周部には下向きに突出する枠板部63が設けられている。また、蓋体52には、第1リブ23の外側にオーバーラップするように、鍋取手16の側へ突出する第2リブ64が設けられている。第2リブ64と第1リブ23とは、互いの間から熱が逃げることを防ぐラビリンス効果が得られる範囲で、隙間をあけて配置(例えば3.2mm)される。
【0032】
図4に示すように、調理鍋11を調理器本体33の鍋収容部41に収容し、調理器本体33に対して蓋体52を閉塞した状態では、鍋取手16は、下側が本体取手部44により覆われ、上側および外側が蓋取手部61により覆われる。
【0033】
この状態で、鍋取手16の下端である取手部材24の遮蔽板部25と、本体取手部44の上面である上側取手部46との間には、隙間S1が形成される。この隙間S1は、内部(調理鍋11)と外部(外気)との熱交換を抑制可能な寸法設定(例えば7.3mm)としている。
【0034】
本体取手部44の上面である上側取手部46と、蓋取手部61の下端である枠板部63との間には、隙間S2が形成される。この隙間S2は、取手部44,61内に外気を取り入れて内部の取手部材24を冷却可能な寸法設定(例えば6.0mm)としている。
【0035】
鍋取手16の上面である取手部材24と、蓋取手部61の天板部62との間には、隙間S3が形成される。この隙間S3は、取り入れた外気を流動させて取手部材24の冷却を促進可能な寸法設定(例えば2.5mm)としている。但し、この隙間S3による対流は、リブ23,64によるラビリンス効果により、内外の熱交換が抑制される。
【0036】
鍋取手16の取手部材24の把持面と、本体取手部44の上面との間には、隙間S4が形成される。この隙間S4は、遮蔽板部25の形成により、指を十分に挿入可能な寸法設定になっている。
【0037】
このように構成した調理器10は、調理鍋11に設けた鍋取手16が調理器本体33の調理鍋収容部から外向きに突出し、更に本体外周壁35から外向きに突出している。そして、鍋取手16の下側を覆う本体取手部44は、下部が開放された状態になっている。また、本体取手部44と蓋取手部61との間には、外気を十分に取り入れることが可能な隙間S2が形成されている。そのため、鍋取手16の取手部材24を熱交換により十分に冷却することができる。よって、調理鍋11の加熱により取手部材24が高温になることを抑制できる。そのため、調理が終了した直後であっても、蓋体52を開放して調理鍋11を取り出し、持ち運ぶことができるため、安全性を向上できる。この際、鍋取手16は、本体外周壁35より外向きに突出する大きな寸法設定であるため、安定した把持状態で持ち運ぶことができる。
【0038】
また、調理器10には、調理器本体33に本体取手部44が設けられるとともに、蓋体52に蓋取手部61が設けられているため、調理鍋11ではなく、調理器10自体を持ち運ぶこともできる。この際、従来例のようなハンドルではなく、外装体に一体的に形成した取手部44,61を把持できるようにしている。しかも、荷重が最も加わる本体取手部44には補強部材47が配設されているため、安全かつ安定した保持状態で持ち運ぶことができる。
【0039】
また、本実施形態の鍋取手16は、調理鍋11に装着する装着部材17と把持用の取手部材24と連結部材29とで構成し、調理鍋11の熱が、装着部材17および連結部材29を介して取手部材24に伝わるようにしている。しかも、装着部材17と取手部材24とは隙間をあけて配置されているため、ユーザが把持する取手部材24には、調理時の調理鍋11の熱が伝わり難く、取手部材24が高温になることを抑制できる。よって、調理鍋11を持ち運ぶ際の安全性を更に向上できる。
【0040】
また、鍋収容部41内の熱は、鍋取手16と本体取手部44との間の隙間S1の設定、および、一対のリブ23,64によるラビリンス効果により、内部の調理鍋11の熱が外部へ放熱されることを抑制できる。これにより、取手部材24が高温になることを抑制できるうえ、調理鍋11の保温性を向上できる。
【0041】
(第2実施形態)
図5は第2実施形態の調理器10を示す。この調理器10は、調理器本体33の本体外周壁35を本体取手部44の外端まで膨出させた点で、第1実施形態と相違する。また、蓋体52の蓋取手部61に、指が入らない程度のスリット65を設けた点で、第1実施形態と相違する。
【0042】
具体的には、調理器本体33は、本体取手部44が正面側から背面側にかけて膨出した形状をなす。そして、胴体34には、鍋取手16の下部に位置するように、開放した把持用の空隙部66が設けられている。この空隙部66は、上側の下側取手部45の下部を内向きに窪ませることにより設けられる。
【0043】
蓋体52には、蓋取手部61の天板部62および枠板部63に、前後方向に延びるスリット65が形成されている。このスリット65は、外気を蓋取手部61内に取り入れて内部の鍋取手16の取手部材24を熱交換により冷却可能とする。
【0044】
このようにした第2実施形態の調理器10は、第1実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0045】
なお、本発明の調理器10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、第1実施形態の調理器10においても、第2実施形態のように蓋体52の蓋取手部61にスリット65を形成してもよい。また、蓋体52の蓋取手部61は設けない構成としてもよい。また、前記実施形態では、鍋取手16を装着部材17と取手部材24と連結部材29とで構成したが、これらを樹脂により一体的に成形してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、調理鍋11に調理器本体33の鍋収容部41から外方に突出する鍋取手16を設け、調理器本体33に鍋取手16の下部を覆う本体取手部44を設ける構成が特徴である。そのため、種々の食材を調理可能な調理器10に限られず、飯米の炊飯のみが可能な炊飯器でも適用可能である。また、調理器10は、加熱手段を搭載していない保温容器であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…調理器
11…調理鍋(鍋)
12…鍋外周壁(外周壁)
16…鍋取手
17…装着部材(装着部)
23…第1リブ(リブ)
24…取手部材(取手部)
29…連結部材(連結部)
33…調理器本体
35…本体外周壁(外周壁)
41…鍋収容部
44…本体取手部
47…補強部材
52…蓋体
55…蓋外周壁(外周壁)
61…蓋取手部
64…第2リブ(リブ)
66…空隙部
図1
図2
図3
図4
図5