特許第6058557号(P6058557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6058557テトラゾール化合物ならびにその作製方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058557
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】テトラゾール化合物ならびにその作製方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 257/04 20060101AFI20161226BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20161226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20161226BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   C07D257/04 ECSP
   A61P3/04
   A61P43/00 111
   A61K31/41
【請求項の数】8
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2013-551334(P2013-551334)
(86)(22)【出願日】2012年1月26日
(65)【公表番号】特表2014-503591(P2014-503591A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】US2012022721
(87)【国際公開番号】WO2012103333
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2015年1月21日
(31)【優先権主張番号】61/436,265
(32)【優先日】2011年1月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512092243
【氏名又は名称】ザフゲン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ダイク,ヘイゼル ジョーン
(72)【発明者】
【氏名】ペリン,トーマス デビッド
(72)【発明者】
【氏名】クランプ,スーザン メアリー
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/065879(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/033419(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/008374(WO,A1)
【文献】 特表2007−537275(JP,A)
【文献】 特表2002−501945(JP,A)
【文献】 CAMILLE G. WERMUTH 編集長瀬 博 監訳,最新 創薬化学 上巻,日本,株式会社 テクノミック,1998年 8月15日,P248-253
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 257/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物:
−[3−シクロプロピル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド、
N−[3−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド、
N−[3−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド、
N−[3−ブロモ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物と、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項3】
前記組成物は、単位用量として処方されたものである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、経口投与のために処方されたものである請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、静脈内または皮下投与のために処方されたものである請求項2に記載の組成
【請求項6】
肥満を治療および/または管理に十分な量の前記化合物を含有する請求項2〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
肥満防止プロセスの多臓器刺激を誘導するために効果的な及び/又は細胞内MetAP2(メチオニン・アミノペプチダーゼ)の阻害を確立するのに十分な量の前記化合物を含有する請求項2〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
体重減少を誘導するのに十分な量の化合物を含有する請求項2〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2011年1月26日に出願された米国仮特許出願第61/436,265号の利益および優先権を主張するものであり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
世界中で11億人を超える人々が過体重であると報告されている。肥満は、米国だけで9000万人を超える人々に影響を及ぼしていると推定される。米国の20歳を超える人口の25パーセントが、臨床的に肥満であると考えられている。過体重または肥満であることは、問題(例えば、可動性の制限、映画館または飛行機の座席等の狭い空間での不快感、社会的困難等)を提示する一方で、これらの状態、特に臨床的肥満は、健康の他の側面に影響を及ぼす、すなわち、過体重または肥満であることに付随する、それによって悪化する、または誘発される疾患および他の有害な健康状態である。米国における肥満に関連する状態による推定死亡率は、年間300,000人以上である(O’Brien et al.Amer J Surgery(2002)184:4S−8S;およびHill et al.(1998)Science,280:1371)。
【0003】
過体重または肥満であることに対する治癒的治療は存在しない。過体重または肥満の対象の治療のための、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤、選択性セロトニン再取り込み阻害剤、腸リパーゼ阻害剤等の従来の薬物療法、または胃縮小手術もしくは胃バンディング等の従来の外科手術は、わずかな短期間の利益しか提供しないことまたは著しい再発率をもたらすことが示されており、さらに患者への有害な副作用が示されている。
【0004】
MetAP2は、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ等の新たに翻訳された特定のタンパク質からアミノ末端のメチオニン残基を酵素的に除去することによって少なくとも部分的に機能するタンパク質をコードする(Warder et al.(2008)J Proteome Res7:4807)。MetAP2遺伝子の発現増加は、歴史的に種々の形態の癌と関連付けられてきた。MetAP2の酵素活性を阻害する分子が同定されており、種々の腫瘍型(Wang et al.(2003)Cancer Res63:7861)ならびに微胞子虫症、リーシュマニア症、およびマラリア等の感染症(Zhang et al.(2002)J Biomed Sci.9:34)の治療において、それらの有用性が調査されてきた。特に、肥満および肥満性糖尿病動物におけるMetAP2活性の阻害は、一部では脂肪の酸化を増加させることによって、また一部では食物の消費量を減少させることによって体重の減少をもたらす(Rupnick et al.(2002)Proc Natl Acad Sci USA99:10730)。
【0005】
そのようなMetAP2阻害剤は、(例えば、インスリン抵抗性の軽減、肝臓脂含量の減少、および心仕事量の減少により)過剰な体脂肪蓄積、ならびに2型糖尿病、肝臓脂肪症、および循環器疾患を含む体脂肪蓄積に関連する状態に罹患する患者にも同様に有用であり得る。したがって、肥満および関連疾患、ならびにMetAP2の調節剤による治療に好ましい応答を示す他の病気の治療に対応するために、MetAP2を調節することができる化合物が必要である。
【発明の概要】
【0006】
例えば、MetAP2の調節剤であり得る化合物、薬剤としての化合物の使用、化合物の調製のためのプロセス、単独でまたは他の薬剤との組み合わせの両方において活性成分として化合物のうちの1つ以上を含有する薬学的組成物、ならびにヒト等の温血動物においてMetAP2活性を阻害する際に使用するための薬物の製造における化合物の使用について本明細書に記載する。いくつかの実施形態において、化合物は、肥満、2型糖尿病、および/または他の肥満に関連する状態の治療に有用であり得る。また、少なくとも1つの開示される化合物と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物も提供される。
【0007】
一実施形態において、式I
【化1】

によって表される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、立体異性体、エステル、およびプロドラッグが本明細書に提供され、式中、
Aは、フェニル、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される環であり、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロシクリルは4〜7員環であり、Bは、結合または(CRB1B2)からなる群から選択され、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリル−C1−6アルキル、およびヘテロシクリル−C1−6アルコキシからなる群から選択され、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロアリールは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、ヘテロシクリルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員環であり、ヘテロシクリルが−NH−部分を含有する場合、その−NH−部分はRで任意に置換され、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6アルケニルオキシ、およびC3−6アルキニルオキシは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、Cシクロアルキルオキシ、C1−6アルキル−S(O)−、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、C3−6シクロアルキル−C1−4アルコキシ−、フェニル−C1−6アルキル−、フェニル、フェノキシ、フェニル−C1−6アルコキシ−、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール−C1−6アルキル、ヘテロアリール−C1−6アルコキシ、ヘテロシクリル−C1−6アルキル−、およびヘテロシクリル−C1−6アルコキシ−からなる群から選択され、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロアリールおよびフェニル基は、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、ヘテロシクリルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員環であり、ヘテロシクリルが−NH−部分を含有する場合、その−NH−部分はRで任意に置換され、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、およびC3−6アルキニルオキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、Ra’N−、およびシアノから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキル、およびC3−6シクロアルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、Ra’N−、シアノ、およびC1−6アルキルから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換されるか、または
およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、O、NR、およびS(O)(式中、rは0、1、2である)から各々独立して選択される1つ、2つ、または3つの基を任意に有する5〜7員の飽和、部分飽和、または不飽和の環を形成し、該5〜7員環は、炭素上で、Rから各々独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
A1は、それぞれの出現につき独立して、水素、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、およびRN−からなる群から選択され、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、およびC1−6アルコキシは、1つ以上のハロゲンで各々独立して任意に置換され、
A2は、それぞれの出現につき独立して、水素、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、RN−、RN−カルボニル−、RN−カルボニル−N(R)−、RN−SO−、C1−6アルキル−カルボニル−N(R)−、C1−6アルキルスルホニルN(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−N(R)−、フェニル、フェノキシ、フェニル−C1−6アルキル−、フェニル−C1−6アルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクルオキシ、ヘテロアリール−C1−6アルキル、ヘテロアリール−C1−6アルコキシ−、ヘテロシクリル−C1−6アルキル−、およびヘテロシクリル−C1−6アルコキシ−からなる群から選択され、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロアリールは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、ヘテロシクリルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員環であり、ヘテロシクリルが−NH−部分を含有する場合、その−NH−部分はRで任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、C2−6アルケニルおよびC2−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
B1およびRB2は、それぞれの出現につき独立して、水素、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、C2−6アルケニルおよびC3−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の基で任意に置換されるか、または、RB1およびRB2は、それらが結合している炭素原子と一緒になってシクロプロピル環もしくは4〜6員環を形成し、該4〜6員環は、N(R)、O、もしくはS(O)(式中、rは0、1、2である)から選択される群を任意に有し、
およびRa’は、それぞれの出現につき独立して、水素およびC1−6アルキルからなる群から選択されるか、またはRおよびRa’は、それらが結合している窒素と一緒になって4〜6員複素環を形成し、C1−6アルキルは、ハロゲン、オキソ、およびヒドロキシルからなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、該複素環は、ハロゲン、アルキル、オキソ、またはヒドロキシルからなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、C1−6アルキルN(R)−、C1−6アルキル−N(R)カルボニル、Ra’N−、Ra’N−カルボニル−、Ra’N−カルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、およびC1−6アルキル−カルボニル−N(R)−からなる群から選択され、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、およびC1−6アルコキシは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルは、Rp’から選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、C1−6アルキル−NR−、C1−6アルキルC3−6シクロアルキル−、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル、Ra’N−、C1−6アルキルカルボニル−N(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、Ra’N−カルボニル−、およびRa’N−カルボニル−N(R)からなる群から選択され、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、およびC1−6アルコキシは、Rから各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、およびC1−6アルキルスルホニルからなる群から選択され、C1−6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、およびRa’N−から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、オキソ、C1−4アルキル、Cアルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキル−C1−4アルコキシ−、C1−4アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、Ra’N−,Ra’N−カルボニル、Ra’N−カルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、C1−6アルキル−カルボニル−N(R)−、C1−6アルキル−SO−N(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−、およびC1−4アルコキシカルボニル−N(R)−からなる群から選択され、C2−6アルケニル、およびC2−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
およびRは、それぞれの出現につき独立して、水素、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC1−4アルキル、およびRp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3−6シクロアルキルからなる群から選択されるか、またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、Ra’N−、C1−6アルキルカルボニル−N(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、R’N−カルボニル−、およびR’N−カルボニル−N(R)からなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員のヘテロシクリルを形成し、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、およびC1−4アルキルS(O)−(式中、wは0、1、または2である)からなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、およびC1−4アルキルS(O)−(式中、wは0、1、または2である)からなる群から選択され、
p’は、それぞれの出現につき独立して、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルS(O)−(式中、wは0、1、または2である)、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
p’’は、それぞれの出現につき独立して、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルS(O)(式中、wは0、1、または2である)、およびC1−6アルキルからなる群から選択され、C1−6アルキルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、RN−、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、およびC1−6アルコキシからなる群から選択され、
は、それぞれの出現につき独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6アルケニルおよびC3−6アルキニル(不飽和結合を形成する炭素原子のうちのいずれもNに結合していない)、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル−S(O)−、およびC1−6アルキル−N(R)カルボニルからなる群から選択され、C1−6アルキルは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、C3−6アルケニルおよびC3−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本開示の特徴および他の詳細をより具体的に記載する。さらなる説明の前に、本明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲において用いられる特定の用語をここにまとめる。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして解釈され、当業者によって理解されるように理解されるべきである。別途定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
定義
【0009】
「治療」は、状態、疾患、障害等の改善をもたらす任意の効果、例えば、緩和、減少、調節、または排除を含む。
【0010】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、本明細書において、例えば、それぞれC2−6アルケニルおよびC3−4アルケニルと称される、2〜6個または3〜4個の炭素原子の直鎖基または分岐基等の、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。例示的なアルケニル基として、これらに限定されないが、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル等が挙げられる。
【0011】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、酸素に結合した直鎖または分岐鎖アルキル基(アルキル−O−)を指す。例示的なアルコキシ基として、これらに限定されないが、本明細書において、それぞれC1−6アルコキシおよびC−Cアルコキシと称される、1〜6個または2〜6個の炭素原子のアルキル基を有する基が挙げられる。例示的なアルコキシ基として、これらに限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
【0012】
本明細書で使用される「アルキオキシカルボニル」は、カルボニル基に結合した酸素に結合した直鎖または分岐鎖アルキル基(アルキル−O−C(O)−)を指す。例示的なアルコキシカルボニル基として、これらに限定されないが、本明細書においてC1−6アルコキシカルボニルと称される、1〜6個の炭素原子のアルコキシカルボニル基が挙げられる。例示的なアルコキシカルボニル基として、これらに限定されないが、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等が挙げられる。
【0013】
本明細書で使用される「アルケニルオキシ」という用語は、酸素に結合した直鎖または分岐鎖アルケニル基(アルケニル−O)を指す。例示的なアルケノキシ基として、これらに限定されないが、本明細書においてC3−6アルケニルオキシと称される、3〜6個の炭素原子のアルケニル基を有する基が挙げられる。例示的なアルケニルオキシ基として、これらに限定されないが、アリルオキシ、ブテニルオキシ等が挙げられる。
【0014】
本明細書で使用される「アルキニルオキシ」という用語は、酸素に結合した直鎖または分岐鎖アルキニル基(アルキニル−O)を指す。例示的なアルキニルオキシ基として、これに限定されないが、プロピニルオキシが挙げられる。
【0015】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、本明細書において、それぞれC1−6アルキル、C1−4アルキル、およびC1−3アルキルと称される、1〜6個、1〜4個、または1〜3個の炭素原子の直鎖または分岐鎖基等の飽和した直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。例示的なアルキル基として、これらに限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−プロピル、2−メチル−2−プロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
【0016】
本明細書で使用される「アルキルカルボニル」という用語は、カルボニル基に結合した直鎖または分岐鎖アルキル基(アルキル−C(O)−)を指す。例示的なアルキルカルボニル基として、これらに限定されないが、本明細書においてC1−6アルキルカルボニル基と称される、1〜6原子のアルキルカルボニル基が挙げられる。例示的なアルキルカルボニル基として、これらに限定されないが、アセチル、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイル等が上げられる。
【0017】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、本明細書において、それぞれC2−6アルキニルおよびC3−6アルキニルと称される、2〜6個または3〜6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖基等の、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和の直鎖または分岐鎖炭化水素を指す。例示的なアルキニル基として、これらに限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニル等が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、ラジカル−C(O)−を指す。
【0019】
本明細書で使用される「シアノ」という用語は、ラジカル−CNを指す。
【0020】
本明細書で使用される「シクロアルコキシ」という用語は、酸素に結合したシクロアルキル基(シクロアルキル−O−)を指す。
【0021】
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、本明細書において、例えば、C3−6シクロアルキルまたはC4−6シクロアルキルと称され、シクロアルカンに由来する、例えば、3〜6個または4〜6個の炭素の飽和の、または部分的に不飽和の単環式炭化水素基を指す。例示的なシクロアルキルとして、これらに限定されないが、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチル、シクロブチル、またはシクロプロピルが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、F、Cl、Br、またはIを指す。
【0023】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」または「芳香族複素環基」という用語は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、および硫黄等の1〜3個のヘテロ原子を含有する単環式芳香族の4〜6員環系を指す。可能な場合、該ヘテロアリール環は、炭素または窒素を介して隣接するラジカルに結合されてもよい。ヘテロアリール環の例として、これらに限定されないが、フラン、チオフェン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジル、およびピリミジニルが挙げられる。
【0024】
「ヘテロシクリル」または「複素環基」という用語は、当該技術分野で認識されており、飽和の、または部分的に不飽和の4〜7員環構造を指し、その環構造は、窒素、酸素、および硫黄等の1〜3個のヘテロ原子を含む。複素環は、部分的に不飽和の、または飽和のフェニル環と融合することができる。ヘテロシクリル基の例として、これらに限定されないが、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、およびピペラジンが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される「ヘテロシクリルアルコキシ」という用語は、ヘテロシクリル−アルキル−O−基を指す。
【0026】
「ヘテロシクリルオキシアルキル」という用語は、ヘテロシクリル−O−アルキル−基を指す。
【0027】
「ヘテロシクリルオキシ」という用語は、ヘテロシクリル−O−基を指す。
【0028】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、ヘテロアリール−O−基を指す。
【0029】
本明細書で使用される「ヒドロキシ」および「ヒドロキシル」という用語は、ラジカル−OHを指す。
【0030】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は、ラジカル=Oを指す。
【0031】
「薬学的にまたは薬理学的に許容される」は、必要に応じて動物またはヒトに投与されたときに、拒絶反応、アレルギー反応、または他の有害反応を引き起こさない分子実体および組成物を含む。ヒトに投与する場合、調製物は、米国食品医薬品局生物製剤部門(FDA Office of Biologics)の基準によって要求されるような無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度の基準を満たすべきである。
【0032】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、医薬品の投与と適合するありとあらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、等張剤、および吸収遅延剤等を指す。薬学的に活性な物質のための、そのような媒体および物質の使用は当該技術分野において周知である。組成物はまた、補足的、付加的、または増強された治療的機能を提供する他の活性化合物も含有することができる。
【0033】
本明細書で使用される「薬学的組成物」という用語は、1つ以上の薬学的に許容される担体とともに処方される、本明細書に開示されるような少なくとも1つの化合物を含む組成物を指す。
【0034】
「個体」、「患者」または「対象」は、交換可能に使用され、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、または霊長類、および最も好ましくはヒトを含む、あらゆる動物を含む。化合物は、ヒト等の哺乳動物に投与することができるが、獣医学的治療を必要とする動物等の他の哺乳類、例えばペット(例えば、イヌ、ネコ等)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ等)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)にも投与することができる。治療される哺乳動物は、望ましくは肥満の治療または減量が所望される哺乳動物である。「調節」は、拮抗作用(例えば阻害)、受容体活性化作用、部分的拮抗作用および/または部分的受容体活性化作用を含む。
【0035】
本明細書において、「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医の求める組織、系、動物、もしくはヒトの生物学的または医学的応答を誘発する対象化合物の量を意味する。化合物は、疾患を治療するために治療的有効量で投与される。代替として、化合物の治療的有効量は、減量をもたらす量等の、所望の治療効果および/または予防効果を達成するために必要な量である。
【0036】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩(複数可)」という用語は、本発明の組成物中で使用される化合物中に存在し得る酸性基または塩基性基の塩を示す。本質的に塩基性である本発明の組成物中に含まれる化合物は、種々の無機酸および有機酸を含む様々な塩を形成することができる。そのような塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用することができる酸は、無毒性の酸付加塩、すなわち薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩を形成する酸であり、これらに限定されないが、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモ酸塩(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))を含む。本質的に酸性である本発明の組成物中に含まれる化合物は、種々の薬理学的に許容される陽イオンを含む塩基塩を形成することができる。そのような塩の例として、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、具体的には、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム、および鉄の塩が挙げられる。塩基性部分または酸性部分を含む本発明の組成物中に含まれる化合物は、種々のアミノ酸を有する薬学的に許容される塩も形成することができる。本開示の化合物は、酸性基および塩基性基の両方、例えば1つのアミノ基および1つのカルボン酸基を含有してもよい。その場合、化合物は、酸付加塩、双性イオン、または塩基塩として存在することができる。
【0037】
本開示の化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含有してもよく、したがって幾何異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマー等の立体異性体として存在する。「立体異性体」という用語は、本明細書において使用される場合、全ての幾何異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーから構成される。これらの化合物は、不斉炭素原子の周囲の置換基の立体配置に応じて記号「R」または「S」で表すことができる。これらの化合物の種々の立体異性体およびその混合物が本開示に包含される。立体異性体は、鏡像異性体およびジアステレオマーを含む。鏡像異性体またはジアステレオマーの混合物は、命名法において「(±)」と指定することができるが、当業者は、構造が黙示的にキラル中心を意味し得ることを理解するであろう。
【0038】
本開示の化合物は、1つ以上のキラル中心および/または二重結合を含有してもよく、したがって幾何異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーとして存在する。鏡像異性体およびジアステレオマーは、不斉炭素原子の周囲の置換基の立体配置に応じて記号「(+)」、「(−)」、「R」、または「S」で表すことができるが、当業者は、構造が黙示的にキラル中心を意味し得ることを理解するであろう。炭素−炭素二重結合の周囲の置換基の配置、またはシクロアルキルもしくは複素環の周囲の置換基の配置から生じる幾何異性体も、本化合物中に存在することができる。記号
は、本明細書に記載されるような単結合、二重結合、または三重結合であり得る結合を意味する。炭素−炭素二重結合の周囲の置換基は、「Z」または「E」の立体配置であると表され、「Z」および「E」という用語は、IUPAC標準に従って使用される。別途指定のない限り、二重結合を表す構造は、「Z」異性体および「E」異性体の両方を包含する。炭素−炭素二重結合の周囲の置換基は、代替として「シス」または「トランス」と称されてもよく、「シス」は、二重結合と同じ側にある置換基を表し、「トランス」は、二重結合の反対側にある置換基を表す。環状炭素の周囲の置換基の配置も、「シス」または「トランス」として表すことができる。「シス」という用語は、環の平面と同じ側にある置換基を表し、「トランス」という用語は、環の平面の反対側にある置換基を表す。置換基が環の平面と同じ側および反対側の両方に配置される化合物の混合物は、「シス/トランス」と表される。
【0039】
本明細書で使用される「立体異性体」という用語は、全ての幾何異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーから構成される。これらの化合物の種々の立体異性体およびその混合物が本開示に包含される。
【0040】
本化合物の個々の鏡像異性体およびジアステレオマーは、不斉中心(asymmetric centerまたはstereogenic center)を含有する市販の出発材料から、またはラセミ混合物を調製した後、当業者に周知の分割方法を用いることによって、合成的に調製することができる。これらの分割方法は、以下によって例示される:(1)鏡像異性体の混合物のキラル補助基への付着、再結晶またはクロマトグラフィーによって得られたジアステレオマーの混合物の分離、および補助基からの光学的に純粋な生成物の遊離、(2)光学的に活性な分割剤を用いた塩の形成、(3)キラル液体クロマトグラフィーカラム上での光学鏡像異性体の混合物の直接的な分離、または(4)立体選択的な化学試薬または酵素試薬を使用した速度論的光学分割。また、ラセミ混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィーまたはキラル溶媒中での化合物の結晶化等の周知の方法によって、それらの構成成分である鏡像異性体に分割することもできる。新しい立体中心の作製中または既存の立体中心の変換中に、単一の反応物質が立体異性体の不均衡な混合物を形成する化学反応または酵素反応である立体選択的合成は、当業者に周知である。立体選択的合成は、エナンチオ選択的変換およびジアステレオ選択的変換の両方を包含する。例えば、Carreira and Kvaerno,Classics in Stereoselective Synthesis,Wiley−VCH:Weinheim,2009を参照のこと。
【0041】
本明細書に開示される化合物は、水、エタノール等の薬学的に許容される溶媒を含む溶媒和および非溶媒和形態で存在することができる。一実施形態において、化合物は非晶質である。一実施形態において、化合物は多形である。別の実施形態において、化合物は結晶形態である。
【0042】
また、1つ以上の原子が、通常、天然に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられていることを除いて本明細書に列挙されるものと同一である同位体標識化合物も包含される。化合物に組み込むことができる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、および塩素、例えば、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、および36Clの同位体が挙げられる。例えば、化合物は、重水素で置き換えられた1つ以上のH原子を有してもよい。
【0043】
開示される特定の同位体標識化合物(例えば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識した同位体(すなわちH)および炭素−14(すなわち14C)同位体は、調製および検出がし易いために特に好ましい。さらに、重水素(すなわちH)等のより重い同位体を用いた置換は、より優れた代謝安定性(例えば、インビボでの半減期の増加、または必要用量の減少)に起因する特定の治療上の利点をもたらし得るため、ある状況において好ましい場合がある。同位体標識化合物は、概して、非同位体標識試薬を同位体標識試薬で置き換えることにより、本明細書の実施例に開示される手順に類似した手順に従って調製することができる。
【0044】
「プロドラッグ」という用語は、インビボで変換され、開示される化合物または該化合物の薬学的に許容可される塩、水和物、もしくは溶媒和物を生じる化合物を指す。変換は、種々の場所(腸管腔内で、または腸、血液もしくは肝臓の通過時等)で、種々の機構によって(エステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼ、酸化および/または還元代謝によって等)起こり得る。プロドラッグは、当該技術分野で周知である(例えば、Rautio,Kumpulainen,et al,Nature Reviews Drug Discovery 2008,7,255を参照のこと)。例えば、化合物または該化合物の薬学的に許容される塩、水和物、もしくは溶媒和物がカルボン酸基官能基を含有する場合、プロドラッグは、(C1−8)アルキル、(C2−12)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C1−2)アルキルアミノ(C2−3)アルキル(β−ジメチルアミノエチル等)、カルバモイル−(C1−2)アルキル、N,N−ジ(C1−2)アルキルカルバモイル−(C1−2)アルキル、およびピペリジノ−、ピロリジノ−、またはモルホリノ(C2−3)アルキル等の基で、酸基の水素原子を置き換えることによって形成されるエステルを含むことができる。
【0045】
同様に、化合物がアルコール官能基を含む場合、プロドラッグは(C1−6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−6)アルカノイルオキシ)エチル(C1−6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1−6)アルコキシカルボニルアミノメチル、サクシノイル、(C1−6)アルカノイル、α−アミノ(C1−4)アルカノイル、アリールアシルおよびα−アミノアシル、またはα−アミノアシル−α−アミノアシル(各α−アミノアシル基は、天然に発生するL−アミノ酸、P(O)(OH)、−P(O)(O(C1−6)アルキル)、またはグリコシル(炭化水素のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去によって得られるラジカル)から独立して選択される)等の基で、アルコール基の水素原子を置き換えることによって形成することができる。
【0046】
化合物にアミン官能基が組み込まれる場合、プロドラッグは、例えば、アミドもしくはカルバミン酸塩、N−アシルオキシアキル誘導体、(オキソジオキソレニル)メチル誘導体、N−マンニッヒ塩基、またはイミンもしくはエナミンの作製によって形成することができる。さらに、二級アミンを代謝的に切断して生物活性一級アミンを発生させることができるか、または三級アミンを代謝的に切断して生物活性一級アミンもしくは第二級アミンを発生させることができる。例えば、Simplicio,et al.,Molecules 2008,13,519およびそこに記載される参考文献を参考のこと。

I.テトラゾール化合物
【0047】
特定の実施形態において、式I
【化2】

の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、立体異性体、エステル、およびプロドラッグが提供され、式中、
Aは、フェニル、ヘテロアリール、C3−6シクロアルキル、およびヘテロシクリルからなる群から選択される環であってもよく、例えば、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロシクリルは、例えば、4〜7員環であってもよく、
Bは、結合または(CRB1B2)からなる群から選択されてもよく、
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリル−C1−6アルキル、およびヘテロシクリル−C1−6アルコキシからなる群から選択されてもよく、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロアリールは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、ヘテロシクリルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員環であり、ヘテロシクリルが−NH−部分を含有する場合、その−NH−部分はRで任意に置換され、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6アルケニルオキシ、およびC3−6アルキニルオキシは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
は、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、Cシクロアルキルオキシ、C1−6アルキル−S(O)−、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、C3−6シクロアルキル−C1−4アルコキシ−、フェニル−C1−6アルキル−、フェニル、フェノキシ、フェニル−C1−6アルコキシ−、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール−C1−6アルキル、ヘテロアリール−C1−6アルコキシ、ヘテロシクリル−C1−6アルキル−、およびヘテロシクリル−C1−6アルコキシ−からなる群から選択されてもよく、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロアリールおよびフェニル基は、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、ヘテロシクリルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員環であり、ヘテロシクリルが−NH−部分を含有する場合、その−NH−部分はRで任意に置換され、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、およびC3−6アルキニルオキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、Ra’N−、およびシアノから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキル、およびC3−6シクロアルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、Ra’N−、シアノ、およびC1−6アルキルから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換されるか、または
およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、O、NR、およびS(O)(式中、rは0、1、2である)から各々独立して選択される1つ、2つ、または3つの基を任意に有する5〜7員の飽和、部分飽和、または不飽和の環を形成してもよく、該5〜7員環は、炭素上で、Rから各々独立して選択される1つ以上の基で任意に置換され、
A1は、それぞれの出現につき独立して、水素、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、およびRN−からなる群から選択され、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、およびC1−6アルコキシは、1つ以上のハロゲンで各々独立して任意に置換され、
A2は、それぞれの出現につき独立して、水素、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、RN−、RN−カルボニル−、RN−カルボニル−N(R)−、RN−SO−、C1−6アルキル−カルボニル−N(R)−、C1−6アルキルスルホニルN(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−N(R)−、フェニル、フェノキシ、フェニル−C1−6アルキル−、フェニル−C1−6アルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロサイクルオキシ、ヘテロアリール−C1−6アルキル、ヘテロアリール−C1−6アルコキシ−、ヘテロシクリル−C1−6アルキル−、およびヘテロシクリル−C1−6アルコキシ−からなる群から選択されてもよく、ヘテロアリールは、N、O、またはSから各々独立して選択される1つ、2つ、または3つのヘテロ原子を有する5〜6員環であり、ヘテロアリールは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、ヘテロシクリルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員環であり、ヘテロシクリルが−NH−部分を含有する場合、その−NH−部分はRで任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、C2−6アルケニルおよびC2−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
B1およびRB2は、それぞれの出現につき独立して、水素、C1−6アルコキシ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択されてもよく、C2−6アルケニルおよびC3−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の基で任意に置換されるか、または、RB1およびRB2は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロプロピル環もしくは4〜6員環を形成し、該4〜6員環は、N(R)、O、もしくはS(O)(式中、rは0、1、2である)から選択される群を任意に有し、
およびRa’は、それぞれの出現につき独立して、水素およびC1−6アルキルからなる群から選択され得るか、またはRおよびRa’は、それらが結合している窒素と一緒になって4〜6員複素環を形成し、C1−6アルキルは、ハロゲン、オキソ、およびヒドロキシルからなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、該複素環は、ハロゲン、アルキル、オキソ、またはヒドロキシルからなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されてもよく、
は、それぞれの出現につき独立して、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、C1−6アルキルN(R)−、C1−6アルキル−N(R)カルボニル、Ra’N−、Ra’N−カルボニル−、Ra’N−カルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、およびC1−6アルキル−カルボニル−N(R)−からなる群から選択されてもよく、C2−6アルケニル、C3−6アルキニル、およびC1−6アルコキシは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルは、Rp’から選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、ヒドロキシル、シアノ、オキソ、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、C1−6アルキル−NR−、C1−6アルキルC3−6シクロアルキル−、C3−6シクロアルキル−C1−6アルキル、Ra’N−、C1−6アルキルカルボニル−N(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、Ra’N−カルボニル−、およびRa’N−カルボニル−N(R)からなる群から選択されてもよく、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、およびC1−6アルコキシは、Rから各々独立して選択される1つ以上の基で各々独立して任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、およびC1−6アルキルスルホニルからなる群から選択されてもよく、C1−6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、およびRa’N−から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、オキソ、C1−4アルキル、Cアルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルコキシ、C3−6シクロアルキル−C1−4アルコキシ−、C1−4アルキル−S(O)−(式中、wは0、1、または2である)、Ra’N−,Ra’N−カルボニル、Ra’N−カルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、C1−6アルキル−カルボニル−N(R)−、C1−6アルキル−SO−N(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−、およびC1−4アルコキシカルボニル−N(R)−からなる群から選択されてもよく、C2−6アルケニル、およびC2−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
およびRは、それぞれの出現につき独立して、水素、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC1−4アルキル、およびRp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されたC3−6シクロアルキルからなる群から選択され得るか、またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、Ra’N−、C1−6アルキルカルボニル−N(R)−、C1−6アルコキシカルボニル−N(R)−、Ra’N−SO−、Ra’N−カルボニル−、およびRa’N−カルボニル−N(R)からなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換された4〜7員のヘテロシクリルを形成し、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、およびC1−4アルキルS(O)−(式中、wは0、1、または2である)からなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、およびC1−4アルキルS(O)−(式中、wは0、1、または2である)からなる群から選択されてもよく、
p’は、それぞれの出現につき独立して、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルS(O)−(式中、wは0、1、または2である)、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択されてもよく、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
p’’は、それぞれの出現につき独立して、Ra’N−、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、C1−4アルコキシカルボニル、Ra’N−カルボニル、Ra’N−SO−、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルS(O)(式中、wは0、1、または2である)、およびC1−6アルキルからなる群から選択されてもよく、C1−6アルキルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、
は、それぞれの出現につき独立して、RN−、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、およびC1−6アルコキシからなる群から選択されてもよく、
は、それぞれの出現につき独立して、水素、C1−6アルキル、C3−6アルケニルおよびC3−6アルキニル(不飽和結合を形成する炭素原子のうちのいずれもNに結合していない)、C3−6シクロアルキル、C1−6アルキル−S(O)−、およびC1−6アルキル−N(R)カルボニルからなる群から選択されてもよく、C1−6アルキルは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、C3−6アルケニルおよびC3−6アルキニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される。
【0048】
いくつかの実施形態において、Aはフェニルであってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、Bは結合であってもよい。
【0050】
特定の実施形態において、Rは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、C1−3アルキル、Cアルケニル、C2−4アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−4アルコキシ、C3−4アルケニルオキシ、およびC3−4アルキニルオキシからなる群から選択されてもよく、C2−4アルケニル、C2−4アルキニル、C3−4アルケニルオキシ、およびC3−4アルキニルオキシは、Rからなる群から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C1−3アルキルおよびC1−4アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される。
【0051】
他の実施形態において、Rは、HまたはC1−3アルキルからなる群から選択されてもよい。
【0052】
さらに他の実施形態において、RはHであってもよい。
【0053】
いくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、C3−6アルキニルオキシ、C3−6シクロアルキルオキシ、C1−6アルキル−S(O)−、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、およびC3−6シクロアルキル−C1−4アルコキシ−からなる群から選択されてもよく、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C1−6アルコキシ、C3−6アルケニルオキシ、およびC3−6アルキニルオキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、Ra’N−、またはシアノから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C3−6シクロアルキルおよびC3−6シクロアルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシル、Ra’N−、シアノ、およびC1−6アルキルから各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換される。
【0054】
他の実施形態において、Rは、ハロゲン、シアノ、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、C3−6シクロアルキルオキシ、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、およびC3−6シクロアルキル−C1−4アルコキシ−、ならびにC1−6アルコキシ−C1−6アルキル−からなる群から選択される。
【0055】
さらに他の実施形態において、Rは、臭素、メチル、メトキシ、またはシクロプロピルからなる群から選択されてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、RおよびRは、それらが結合している環と一緒になって、
【化3】

を形成してもよく、
式中、*は、式Iにおける結合点を表す。
【0057】
いくつかの実施形態において、RA1は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、またはC1−6アルコキシからなる群から選択されてもよく、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、1つ以上のハロゲンで各々独立して任意に置換される。
【0058】
他の実施形態において、RA1は水素であってもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、RA2は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−6シクロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC3−6アルケニルオキシからなる群から選択されてもよく、C1−6アルキルおよびC1−6アルコキシは、Rp’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で各々独立して任意に置換され、C2−6アルケニルは、Rから各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、C3−6シクロアルキルは、Rp’’から各々独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される。
【0060】
特定の実施形態において、RB1およびRB2はHであってもよい。
【0061】
N−[1−(1H−テトラゾール−5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]−ベンゼンスルホンアミド、N−[3−シクロプロピル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド、N−[3−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド、N−[3−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド、N−[3−ブロモ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド、ならびにその薬学的に許容される塩およびその立体異性体からなる群から選択され得る化合物が本明細書に提供される。
【0062】
本明細書に記載される化合物を作製するための手順を、スキーム1および2を参照して以下に提供する。以下に記載される反応において、反応性官能基(ヒドロキシ、アミノ、チオ、またははカルボキシ基等)が反応に不必要に関与するのを回避するために、それらを保護する必要があるかもしれない。そのような基の組み込み、ならびにそれらを導入および除去するために必要な方法は当業者に既知である。(例えば、Greene,Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis.2nd Ed.(1999)を参照)。本明細書に開示されるように、または例えば以下の一般式Iに例示されるように、保護基の除去によって式Iの化合物が得られるように、脱保護ステップは合成の最終ステップであり得る。以下のスキームにおいて用いられる出発材料は、購入することができるか、または当業者に既知の方法を使用して、化学文献に記載される方法もしくはその適応によって調製することができる。ステップが行われる順序は、導入される基および使用される試薬に応じて異なり得るが、当業者には明白であろう。
【0063】
一般式Iの化合物は、スキーム1に従って調製することができる。
合成プロセスの具体的なステップを、以下により詳細に記載する。

【化4】
【0064】
スキーム1のステップ(i)において、アントラニル酸エステル1Aは、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、またはジ−イソプロピルエチルアミン等)の存在下、任意に溶媒(ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、またはN−メチルピロリジノン)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、適切な塩化スルホニルで処理することによってスルホンアミド1Bに変換され得る。
【0065】
スキーム1のステップ(ii)において、スルホンアミドエステル1Bは、対応するカルボン酸1Cに変換され得る。これは、エステルの性質に応じて、多くの方法で達成することができる。例えば、メチル、エチル、またはベンジルエステルは、溶媒(アルコール溶媒、例えば、メタノールもしくはエタノール、またはエーテル溶媒、例えば、ジオキサンもしくはテトラヒドロフラン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、またはマイクロ波で10分〜2時間の間照射することにより120℃〜160℃の温度で、水性塩基(水酸化ナトリウムまたは水酸化リチウム等)で処理され得る。エステル1Bが、例えば、第三ブチルエステルである場合、カルボン酸への変換は、適切な溶媒(例えば、トリフルオロ酢酸)中、任意に塩素化溶媒(ジクロロメタン等)中または溶媒(ジオキサン等)中の塩化水素溶液中、酸で処理することによって達成することができる。エステルがベンジルエステルである場合、カルボン酸への変換は、金属触媒(例えば、炭素等の固体支持体上のパラジウムまたは水酸化パラジウム等)の存在下、溶媒(ジオキサンまたは酢酸エチル等)中、接触水素化によって達成することができる。
【0066】
スキーム1のステップ(iii)において、カルボン酸1Cは、対応する一級アミド1Dに変換され得る。例えば、カルボン酸は、任意に溶媒(ジクロロメタンまたはトルエン等)中、任意に触媒(N,N−ジメチルホルムアミド等)の存在下、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、カルボン酸を塩素化剤(塩化オキサリルまたは塩化チオニル等)で処理することによって酸塩化物に変換され得る。次いで、酸塩化物を溶媒(水またはテトラヒドロフラン等)中、アンモニア(ガスまたは溶液)で処理することによってアミドを得ることができる。
【0067】
代替として、スキーム1のステップ(iii)において、カルボン酸は、アンモニアまたはアンモニアの源、例えば、アンモニウム塩(例えば、塩化アンモニウム)の存在下、溶媒(ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミド等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、カップリング剤(2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ジシクロヘキシルカルボニルジイミド、カルボニル−ジイミダゾール、または他の同様のカップリング剤等)で処理され得る。カルボン酸を一級アミドに変換するための様々な条件は、当業者に既知である。
【0068】
スキーム1のステップ(iv)において、一級アミド1Dは、ニトリル1Eに変換され得る。これは、アミドの脱水によって達成することができる。例えば、一級アミドは、任意に溶媒(1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、またはジメチルホルムアミド等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、脱水試薬(塩化チオニル、オキシ塩化リン、または五塩化リン等)で処理され得る。一級アミドをニトリルに変換するための様々な条件は、当業者に既知である。
【0069】
スキーム1のステップ(v)において、ニトリル1Eは、一般式Iのテトラゾールに変換され得る。これは、ニトリルをアジドで処理することによって達成することができる。例えば、ニトリルは、有機スズハロゲン化物(塩化トリブチルスズ等)の存在下、任意にアンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムブロミド等)の存在下、溶媒(Ν,Ν−ジメチルホルムアミド等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、または代替として、マイクロ波で照射することにより160℃〜230℃の温度で、アジ化ナトリウムで処理され得る。
【0070】
代替として、スキーム1のステップ(v)において、ニトリルは、
任意に有機スズ試薬(アルキルスズオキシド、例えば、ジ−ブチルスズオキシド等)の存在下、溶媒(1,2−ジクロロエタン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、または代替として、マイクロ波で照射することにより120℃〜180℃の温度で、シリルアジド(トリメチルシリルアジド等)により処理されてもよい。
【0071】
代替として、スキーム1のステップ(v)において、ニトリルは、溶媒(1,2−ジクロロベンゼン等)中、室温〜溶媒の還流温度の温度で、または代替として、マイクロ波で照射することにより120℃〜180℃の温度で、有機スズアジド(アジ化トリブチルスズ等)で処理されてもよい。ニトリルをテトラゾールに変換するための様々な条件は、当業者に既知である。
【0072】
代替として、一般式Iの化合物は、スキーム2に従って調製されてもよい。
【化5】
【0073】
スキーム2のステップ(i)において、ニトロ安息香酸2Aは、N−フェニルアミド2Bに変換される。例えば、カルボン酸は、任意に触媒(Ν,Ν−ジメチルホルムアミド等)の存在下、任意に溶媒(ジクロロメタンまたはトルエン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、カルボン酸を塩素化剤(塩化オキサリルまたは塩化チオニル等)で処理することによって酸塩化物に変換され得る。次いで、溶媒(ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン等)中、酸塩化物をベンジルアミンで処理することによってアミドを得ることができる。
【0074】
代替として、スキーム2のステップ(i)において、カルボン酸は、ベンジルアミンの存在下、溶媒(ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミド等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、カップリング剤(例えば、2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、ジシクロヘキシルカルボニルジイミド、カルボニル−ジイミダゾール、または他の同様のカップリング剤)で処理されてもよい。カルボン酸を二級アミドに変換するための様々な条件は、当業者に既知である。
【0075】
スキーム2のステップ(ii)において、N−ベンジルアミド2Bは、N−ベンジルテトラゾール2Cに変換される。これは、溶媒(ジクロロメタン等)中でアミドを塩素化剤(で五塩化リン等)で処理し、続いて、0℃〜溶媒の還流温度の温度(好ましくは室温)で、生成された中間体をアジド(トリメチルシリルアジド等)で処理することによって達成することができる。
【0076】
スキーム2のステップ(iii)において、ニトロ中間体2Cは、アニリン2Dに変換される。これは、1バール〜4バールの圧力で水素雰囲気下、溶媒(メタノール、エタノール、または酢酸エチル等)中のニトロ中間体の溶液を水素化触媒(パラジウム担持炭素、水酸化パラジウム担持炭素、または白金担持炭素等)で処理することによって達成することができる。
【0077】
代替として、スキーム2のステップ(iii)において、例えば、酸(酢酸または塩酸等)の存在下、室温〜100℃の温度で、スズ塩(塩化スズ等)または金属(鉄もしくは亜鉛等)で処理することによってニトロ中間体がアニリンに還元されてもよい。ニトロ化合物をアニリンに変換するための様々な条件は、当業者に既知である。
【0078】
スキーム2のステップ(iv)において、アニリン2Dは、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、またはジ−イソプロピルエチルアミン等)の存在下、任意に溶媒(ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、またはN−メチルピロリジノン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、適切な塩化スルホニルで処理することによってスルホンアミド2Eに変換され得る。
【0079】
スキーム2のステップ(v)において、ベンジル基を2Dから除去して一般式Iの化合物を得ることができる。これは、1バール〜4バールの圧力で水素雰囲気下、溶媒(メタノール、エタノール、または酢酸エチル等)中のベンジルテトラゾールの溶液を水素化触媒(パラジウム担持炭素、水酸化パラジウム炭素、または白金担持炭素等)で処理することによって達成することができる。
【0080】
当業者には、式I、一般式Iの化合物、またはこれらの化合物の中間体は、置換、酸化、または還元(一般式Iの化合物の調製のために上述した相互変換を含む)等の既知の標準的な方法を使用することによってさらに誘導体化され得るか、または置換基を修飾することにより他の化合物に変換され得ることが理解されよう。
【0081】
例えば、炭素−炭素結合は、パラジウム触媒(塩化パラジウムdppf、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0)、またはビス−パラジウムトリス(ジベンジリデンアセトン)等)の存在下、塩基(炭酸カリウムまたは炭酸セシウム等)の存在下、適切な溶媒(水性ジオキサンまたは水性テトラヒドロフラン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、またはマイクロ波で照射することにより100℃〜160℃の温度で、置換基のうちの1つが適切な基(臭素またはトリフルオロメタンスルホネート等)である化合物と、ボロン酸またはボロン酸エステル等の有機金属試薬とを反応させることによって作製することができる。
【0082】
代替として、炭素−炭素結合は、パラジウム触媒(塩化パラジウムdppf等)の存在下、適切な溶媒(ジオキサン、ジメトキシエタン、またはテトラヒドロフラン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、または代替として、マイクロ波で照射することにより100℃〜160℃の温度で、置換基のうちの1つが適切な基(臭素またはトリフルオロメタンスルホネート等)である化合物とスタンナンとを反応させることによって形成されてもよい。
【0083】
代替として、炭素−炭素結合は、触媒(パラジウム触媒、例えば、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0))および塩基または塩(トリブチルアミンまたは酢酸カリウム等)の存在下、80℃〜120℃の温度で、またはマイクロ波で照射することにより100℃〜160℃の温度で、置換基のうちの1つが離脱基(臭素またはトリフルオロメタンスルホネート等)である化合物とアルケン(アクリレート等)とを反応させることによって形成されてもよい。
【0084】
代替として、炭素−炭素結合は、触媒(パラジウム触媒、例えば、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0)等)および塩基または塩(トリブチルアミンまたは酢酸カリウム等)の存在下、適切な溶媒(ジオキサンまたはテトラヒドロフラン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、またはマイクロ波で照射することにより100℃〜160℃の温度で、置換基のうちの1つが適切な基(臭素またはトリフルオロメタンスルホネート等)である化合物と有機亜鉛試薬とを反応させることによって形成されてもよい。
【0085】
炭素−炭素結合は、代替として、パラジウム触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等)の存在下、任意に追加の銅触媒(ヨウ化銅(I)等)の存在下、塩基または塩(トリエチルアミンまたは酢酸カリウム等)の存在下、溶媒(テトラヒドロフランまたはΝ,Ν−ジメチルホルムアミド等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、またはマイクロ波で照射することにより100℃〜160℃の温度で、置換基のうちの1つが適切な基(臭素またはトリフルオロメタンスルホネート等)である化合物と末端アルキンとを反応させることによって調製されてもよい。
【0086】
エーテルを調製するための炭素−酸素結合の形成の例は、当業者に既知である。炭素−酸素結合の形成の例は、置換基のうちの1つがアリールハロゲン化物またはアリールスルホネート(フッ化アリール、臭素、またはトシレート等)である中間体と、アルコールまたはフェノールとの反応を含み得る。アルコールまたはフェノールは、例えば、溶媒(テトラヒドロフラン等)中、塩基(水素化ナトリウム等)で処理し、次いで、アリールハロゲン化物またはスルホネートで処理し、次いで、室温と溶媒の還流温度との間の温度で撹拌することによって脱プロトン化されてもよい。
【0087】
代替として、エーテルは、ホスフィン(トリフェニルホスフィン等)の存在下、また同時に脱水剤(アゾジカルボキシレートのエステル等、例えば、ジメチル、ジエチル、またはジ−イソプロピルアゾジカルボキシレート)の存在下、溶媒(テトラヒドロフラン等)中、0℃〜室温の温度で、フェノールをアルコールとカップリングすることによって調製されてもよい。
【0088】
炭素−酸素結合を形成する更なる方法は、溶媒(テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミド等)中、塩基(水素化ナトリウムまたは炭酸カリウム等)で処理し、続いて、アルキル化剤(アルキルハロゲン化物または硫酸アルキル等)を用いて反応させ、室温と溶媒の還流温度との間の温度で撹拌することによるフェノールの脱プロトン化を含む。
【0089】
炭素−窒素結合の形成の例は、当業者に既知である。例えば、炭素−窒素結合は、還元的アルキル化プロセスを使用して一級または二級アミンをアルキル化することによって形成されてもよい。例えば、アミンは、溶媒(ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン等)、またはアルコール(例えば、エタノール)中、そして必要であれば酸(酢酸等)の存在下、アルデヒドおよび水素化ホウ素(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、またはシアノ水素化ホウ素ナトリウム等)で処理することができる。
【0090】
炭素−窒素結合の形成の別の例は、パラジウム触媒(テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0)等)の存在下、リガンド(キサントホス等)の存在下、溶媒(トルエン等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、または代替として、マイクロ波で照射することにより100℃〜150℃の温度で、置換基のうちの1つが離脱基(臭素またはトリフルオロメタンスルホネート等)である化合物をアミンで処理することを含む。
【0091】
代替として、炭素−窒素結合は、アリールハロゲン化物(フッ化アリールもしくは臭化アリール等)またはアリールスルホネート(アリールトシレート等)と、溶媒(ブタノール等)中、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、またはマイクロ波で照射することにより120℃〜220℃の温度で、アミンと反応させることによって形成されてもよい。
【0092】
ある官能基を別の官能基に変換するさらなる例は、溶媒(テトラヒドロフラン等)中、任意に低温(−78℃等)で、塩基(リチウム塩基、例えば、n−ブチルまたはt−ブチルリチウム等)で処理し、次いで、求電子剤で反応停止させて所望の置換基を導入することにより、アリールハロゲン化物をハロゲン−金属交換に供することができる反応を含む。よって、例えば、ホルミル基は、ジメチルホルムアミドを求電子剤として使用することにより導入することができる。
【0093】
具体的な酸化の手法は、脱水素化および芳香族化、脱カルボキシル化、ならびに特定の官能基に対する酸素の付加を含む。例えば、アルデヒド基は、当業者に周知の条件を使用した対応するアルコールの酸化によって調製することができる。例えば、溶媒(ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン等)中、酸化剤(Dess−Martin試薬等)でアルコールを処理することができる。
【0094】
塩化オキサリルおよび活性化量のジメチルスルホキシドで処理し、続いてアミン(トリエチルアミン等)の添加により反応停止させる等の代替の酸化条件を使用することもできる。そのような反応は、適切な溶媒(ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタン等)中、適切な条件下(室温未満、例えば、−78℃まで冷却した後、室温まで加温する等)にて行うことができる。
【0095】
別の例において、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、不活性溶媒(ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン等)中、酸化剤(ペルオキシ酸、例えば、3−クロロペルオキシ安息香酸等)を使用して、硫黄原子を対応するスルホキシドまたはスルホンに酸化することができる。
【0096】
具体的な還元の手法は、特定の官能基からの酸素原子の除去、芳香環を含む不飽和化合物の飽和(または部分飽和)を含む。例えば、金属水素化物(テトラヒドロフランまたはメタノール等の溶媒中のリチウムアルミニウム水素化物または水素化ホウ素ナトリウム等)を使用して還元することにより、対応するエステルまたはアルデヒドから一級アルコールを生成することができる。
【0097】
代替として、金属水素化物(テトラヒドロフラン等の溶媒中のリチウムアルミニウム水素化物等)を使用して還元することにより、対応するカルボン酸からアルコールを生成することもできる。
【0098】
式Iの化合物の塩は、好適な溶媒または溶媒の混合物(エーテル、例えば、ジエチルエーテル、またはアルコール、例えば、エタノール、または水性溶媒等)中、従来の手順を用いて式Iの化合物を適切な酸または塩基と反応させることによって調製されてもよい。式Iの化合物の塩は、従来のイオン交換クロマトグラフィー手順を使用する処理によって他の塩と交換することができる。
【0099】
式Iの化合物の特定の鏡像異性体を得ることが所望される場合、これは、鏡像異性体を分割するための任意の好適な従来の手順を用いることによって、対応する鏡像異性体の混合物から生成することができる。例えば、ジアステロマー誘導体(塩等)は、式Iの化合物の鏡像異性体の混合物(ラセミ体等)または式Iの化合物の中間体と適切なキラル化合物(キラル塩基等)とを反応させることによって生成することができる。次いで、任意の従来の手段(結晶化またはクロマトグラフィー等)によってジアステロマーを分離することができ、所望の鏡像異性体が回収される(ジアステレオマーが塩である場合は酸で処理する等)。代替として、様々な生体触媒を使用した速度論的加水分解によりエステルのラセミ混合物を分割することができる(例えば、Patel Steroselective Biocatalysts,Marcel Decker;New York 2000を参照)。
【0100】
別の分割プロセスにおいて、式Iの化合物のラセミ体または式Iの化合物の中間体は、キラル高性能液体クロマトグラフィーを使用して分離することができる。代替として、上述のプロセスのうちの1つにおいて適切なキラル中間体を使用することにより、特定の鏡像異性体を得ることができる。特定の幾何異性体を得ることが所望される場合、中間体または最終生成物とともに、クロマトグラフィー、再結晶、および他の従来の分離手順も使用することができる。
II.方法
【0101】
別の態様において、MetAP2の活性を調節する方法が提供される。そのような方法は、該受容体を本明細書に記載される化合物に暴露することを含む。いくつかの実施形態において、上記方法のうちの1つ以上によって用いられる化合物は、一般的化合物、下位概念化合物、または式Iの化合物等の本明細書に記載される特定の化合物のうちの1つである。本明細書に記載される化合物がMetAP2を調節または阻害する能力は、当該技術分野で既知の手順および/または本明細書に記載される手順によって評価することができる。別の態様において、患者におけるMetAP2の発現または活性に関連する疾患を治療する方法が提供される。例えば、企図される方法は、患者におけるチオレドキシン生成を増加させ、対象における肥満防止プロセスの多臓器刺激を誘導するために効果的な細胞内MetAP2の阻害を確立するのに十分な量の開示される化合物を投与すること、例えば、患者における血管新生を減少させるのには不十分な量の開示される化合物を投与することによって、投与を行うことを含む。
【0102】
特定の実施形態において、有効量の開示される化合物を投与することによって、患者における肥満を治療および/または軽減する方法が提供される。また、体重減少を必要とする患者においてそれを誘導するための方法も本明細書に提供される。
【0103】
他の企図される治療の方法は、本明細書に記載される化合物を対象に投与することによって、肥満に関連する状態または併存疾患を治療または軽減する方法を含む。例えば、2型糖尿病を治療する方法を必要とする患者においてそれを治療するための方法が本明細書において企図される。
【0104】
併存疾患の例として、心機能障害、内分泌障害、呼吸器疾患、肝障害、骨障害、精神障害、代謝障害、および生殖障害が挙げられる。
【0105】
心機能障害の例として、高血圧症、脂質異常症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓塞栓性疾患、および肺高血圧症が挙げられる。内分泌障害の例として、2型糖尿病および成人における潜在性自己免疫性糖尿病が挙げられる。呼吸器疾患の例として、肥満低換気症候群、喘息、および閉塞性睡眠時無呼吸が挙げられる。肝障害の例として、非アルコール性脂肪性肝疾患が挙げられる。骨障害の例として、腰痛および荷重関節の変形性関節症が挙げられる。代謝障害の例として、プラダー・ウィリー症候群および多嚢胞性卵巣症候群が挙げられる。生殖障害の例として、性機能障害、勃起不全、不妊症、分娩合併症、および胎児異常が挙げられる。精神障害の例として、体重に関連する鬱病および不安神経症が挙げられる。
【0106】
具体的には、特定の実施形態において、治療的有効量の本明細書に記載される化合物(式Iの化合物等)をそれを必要とする対象に投与することを含む、上記医学的適応症を治療する方法が提供される。
【0107】
肥満または「過体重」への言及は、除脂肪体重に対する脂肪の割合が過剰であることを意味する。過剰な脂肪の蓄積は、脂肪組織細胞のサイズ(肥大)および数(過形成)の増加と関連している。肥満は、絶対重量、体重身長比、皮下脂肪の分布、および社会的または審美的な基準の観点において様々に測定される。一般的な体脂肪の尺度は、肥満度指数(BMI)である。BMIは、身長の2乗(メートルで表記される)に対する体重(キログラムで表記される)の比を指す。肥満度指数は、次の式のうちのいずれかを使用して正確に計算することができる:体重(kg)/身長(m)(国際単位)、または703×体重(ポンド)/身長(インチ)(米国)。
【0108】
米国疾病予防管理センター(CDC)によれば、過体重の成人は25kg/m〜29.9kg/mのBMIを有し、肥満の成人は30kg/m超のBMIを有する。40kg/m超のBMIは、病的な肥満または極度の肥満を意味する。また、肥満は、男性の場合は約102cm、女性の場合は約88cmの胴周りを有する患者も指す場合もある。子供の場合、過体重および肥満の定義には、年齢および性別が体脂肪に及ぼす影響を考慮に入れる。異なる遺伝的背景を有する患者は、上記の一般的な指針とは異なるレベルで「肥満」であると見なされ得る。
【0109】
また、本化合物は、左室肥大のリスクを減少させる等、肥満の二次転帰のリスクを減少させるためにも有用である。過体重ではあるが肥満ではない、例えば、BMIが25〜30kg/mの患者等、肥満のリスクがある患者を治療するための方法もまた企図される。特定の実施形態において、患者はヒトである。
【0110】
BMIは、過剰な脂肪は身体の異なる部分に選択的に生じる可能性があり、ある身体部分における脂肪組織の発達は、他の身体部分における発達よりも健康に有害であり得るという事実を考慮に入れていない。例えば、典型的には「リンゴ形」の身体を伴う「中心性肥満」は、特に腹部脂肪および内臓脂肪を含む腹部における過剰な体脂肪蓄積に起因し、典型的には特に臀部の過剰な体脂肪蓄積に起因する「洋ナシ形」の身体を伴う「末梢性肥満」よりも併存疾患のリスクが高い。中心性肥満の指標として、ウエスト・ヒップ比(WHR)の測定値を使用することができる。中心性肥満を示す最小WHRは様々に設定されてきており、典型的には中心性肥満の成人は、女性の場合は約0.85超、男性の場合は約0.9超のWHRを有する。
【0111】
除脂肪体重に対する過剰な脂肪組織の比率を考慮に入れた過体重または肥満であるかどうかを決定する方法は、対象の身体組成を得ることを含む。身体組成は、腹部、肩甲下部、腕、臀部、および大腿部等の身体上の複数個所で皮下脂肪の厚さを測定することによって得ることができる。次いで、これらの測定値は、約4パーセントポイントの誤差の範囲で総体脂肪を推定するために使用される。別の方法は、生体インピーダンス法(BIA)であり、体脂肪を推定するために身体を通過する電流の抵抗を使用する。別の方法は、身体の浮力を測定するために大型の水槽を使用することである。体脂肪が増加すると浮力がより大きくなり、一方、筋肉量がより増加すると沈む傾向を生じる。
【0112】
別の態様において、対象において過体重または肥満であることに関連する少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを測定することと、対象における標的レベルに達するように有効量の開示される化合物を投与することを含む、過体重または肥満の対象を治療する方法が提供される。バイオマーカーの例として、体重、肥満度指数(BMI)、ウエスト・ヒップ比(WHR)、血漿アディポカイン、およびそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0113】
特定の実施形態において、上記方法のうちの1つ以上によって用いられる化合物は、一般的化合物、下位概念化合物、または式Iの化合物等の本明細書に記載される特定の化合物のうちの1つである。
【0114】
化合物は、そのような治療を必要とする患者(動物およびヒト)に、最適な治療有効性を提供する投与量で投与することができる。任意の特定の用途において使用するために必要な用量は、患者によって異なり、選択される特定の化合物または組成物だけではなく、投与経路、治療される状態の性質、患者の年齢および状態、併用薬、またはその時に患者が従っている食事療法、ならびに当業者が認識するであろう他の要因によっても異なり、適切な投与量は、最終的には担当医の判断によるものであることを理解されたい。上述の臨床症状および疾患を治療するために、化合物は、従来の無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント、およびビヒクルを含有する投薬単位の製剤で、経口的に、皮下に、局所的に、非経口的に、吸入噴霧により、または直腸的に投与することができる。非経口投与は、皮下注射、静脈内もしくは筋肉内注射、または点滴を含んでもよい。
【0115】
治療は、所望されるだけ長いまたは短い期間継続することができる。組成物は、例えば、1日当たり1〜4回またはそれ以上の回数の治療計画で投与されてもよい。好適な治療期間は、例えば、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年、または無期限であってもよい。治療期間は、所望の結果、例えば体重減少の目標が達成されたときに終了することができる。治療計画は、矯正段階を含んでもよく、その間に体重の減少を提供するのに十分な用量が投与され、その後、維持段階が続いてもよく、その間に、例えば、体重の増加を防止するのに十分なより少ない用量が投与される。好適な維持用量は、本明細書に提供される用量範囲の後半に見出される可能性が高いが、矯正用量および維持用量は、当業者が、本明細書の開示に基づいて、必要以上の実験を行わずに、個々の対象のために容易に確立することができる。維持用量は、食事療法および運動、バイパス手術もしくはバンディング手術等の肥満学的手技、または他の薬剤を用いた治療を含む他の手段によって、以前から体重が制御されている対象の体重を維持するために用いることができる。
III.薬学的組成物およびキット
【0116】
別の態様において、薬学的に許容される担体と一緒に処方される、本明細書に開示されるような化合物を含む薬学的組成物が提供される。具体的には、本発明の開示は、1つ以上の薬学的に許容される担体と一緒に処方される、本明細書に開示されるような化合物を含む薬学的組成物を提供する。これらの製剤は、経口、直腸内、局所、口腔、非経口(例えば、皮下、筋内、皮内、もしくは静脈内)直腸内、膣内、またはエアロゾル投与に好適な製剤を含むが、任意の所与の場合における最も好適な投与形態は、治療される状態の程度および重症度、ならびに使用される特定の化合物の性質に依存する。例えば、開示される化合物は、単位用量として処方されてもよく、かつ/または、経口もしくは皮下投与のために処方されてもよい。
【0117】
例示的な薬学的組成物は、外用、内用、または非経口用途に好適な有機または無機の担体もしくは賦形剤との混合物中の活性成分として化合物のうちの1つ以上を含有する、例えば、固体、半固体、または液体形態の薬学的調製物の形態で使用されてもよい。活性成分は、例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、坐剤、液剤、乳剤、懸濁剤、および使用に好適な他の形態のための、通常薬学的に許容される無毒性の担体と一緒に配合することができる。目的の活性化合物は、疾患のプロセスまたは状態に所望の効果をもたらすのに十分な量で薬学的組成物中に含まれる。
【0118】
錠剤等の固体組成物を調製するために、主な活性成分を、薬学的担体、例えば、コーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、滑石、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、またはガム、および例えば水等の他の薬学的希釈剤等の従来の錠剤化成分と混合し、化合物またはその薬学的に許容される無毒性の塩の均一な混合物を含有する固体の予備処方組成物を形成することができる。これらの予備処方組成物を均一であると言及する場合、それは活性成分が組成物全体にわたって等しく分散しているため、組成物が、錠剤、丸剤、およびカプセル剤等の等しく効果的な単位用量形態に容易に分割され得ることを意味する。
【0119】
経口投与のための固体剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖剤、散剤、粒剤等)において、当該組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体、例えばクエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、および/または以下のうちのいずれかと混合される:(1)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/もしくはケイ酸等の充填剤または増量剤、(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシア等の結合剤、(3)グリセロール等の保湿剤、(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム等の崩壊剤、(5)パラフィン等の溶解遅延剤、(6)第4級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、(7)例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤、(8)カオリンおよびベントナイト粘土等の吸収剤、(9)滑石、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物等の滑沢剤、並びに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、組成物は緩衝剤も含むことができる。同様の種類の固体組成物が、ラクトースまたは乳糖、および高分子量のポリエチレングリコール等の賦形剤を使用する軟ゼラチンカプセル剤および硬ゼラチンカプセル剤中の充填剤として用いられてもよい。
【0120】
錠剤は、任意に1つ以上の副成分と一緒に、圧縮または成形することによって作製することができる。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムもしくは架橋カルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤、または分散剤を使用して調製することができる。湿製錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた当該組成物の混合物を、好適な機械において成形することによって作製することができる。錠剤、ならびに糖剤、カプセル剤、丸剤、および粒剤等の他の固体剤形は、製薬・製剤の分野で周知の腸溶コーティングおよび他のコーティング等のコーティングおよびシェルを用いて任意に得られるかまたは調製することができる。
【0121】
吸入または送気のための組成物は、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒またはその混合物中の液剤および懸濁剤、ならびに散剤を含む。経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含む。当該組成物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、ならびに乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(具体的には、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、シクロデキストリン、ならびにそれらの混合物等の、当該技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤を含有してもよい。
【0122】
懸濁剤は、当該組成物に加えて、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガント、ならびにそれらの混合物等の懸濁化剤を含有してもよい。
【0123】
直腸内または膣内投与のための製剤は、当該組成物を、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐薬ワックス、またはサリチレートを含む1つ以上の好適な非刺激性の賦形剤または担体と混合することによって調製することができ、室温では固体であるが体温では液体であり、したがって体腔で溶解して活性薬剤を放出する、坐薬として提示されてもよい。
【0124】
当該組成物の経皮投与のための剤形は、散剤、噴霧剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、貼付剤、および吸入剤を含む。活性構成成分は、無菌条件下で薬学的に許容される担体と混合することができ、必要とされ得る任意の保存剤、緩衝液、または噴射剤と混合することができる。
【0125】
軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、およびゲル剤は、当該組成物に加えて、動物性または植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、滑石、および酸化亜鉛、またはそれらの混合物等の賦形剤を含有してもよい。
【0126】
散剤および噴霧剤は、当該組成物に加えて、ラクトース、滑石、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物等の賦形剤を含有してもよい。噴霧剤は、クロロフルオロ炭化水素、ならびにブタンおよびプロパン等の揮発性の非置換炭化水素等の通例の噴射剤をさらに含有してもよい。
【0127】
組成物および化合物は、代替として、エアロゾルによって投与されてもよい。これは、本化合物を含有する水性エアロゾル、リポソーム製剤、または固体粒子を調製することによって達成される。非水性(例えば、フッ化炭素噴霧剤)懸濁剤が使用されてもよい。当該組成物中に含有される化合物の分解をもたらし得る剪断への薬剤の暴露を最小限に抑えるため、音波噴霧器が使用されてもよい。通常、水性エアロゾルは、当該組成物の水溶液または懸濁液を従来の薬学的に許容される担体および安定剤と一緒に配合することによって調製される。担体および安定剤は、特定の当該組成物の要件によって異なるが、典型的には、非イオン性界面活性剤(Tween、Pluronic、またはポリエチレングリコール)、血清アルブミン等の無害なタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシン等のアミノ酸、緩衝液、塩、糖類、または糖アルコールを含む。一般的に、エアロゾルは等張液から調製される。
【0128】
非経口投与に好適な薬学的組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、製剤を意図するレシピエントの血液と等張性にする溶質、または懸濁化剤もしくは増粘剤を含有し得る、1つ以上の薬学的に許容される無菌の等張水溶液もしくは非水溶液、分散液、懸濁剤、または乳剤、あるいは使用直前に無菌の注射剤もしくは分散液中に再構成することができる無菌の散剤と併せて当該組成物を含む。
【0129】
薬学的組成物中に用いられてもよい好適な水性および非水性担体の例として、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびそれらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油、ならびにオレイン酸エチルおよびシクロデキストリン等の注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0130】
別の態様において、開示される化合物、腸溶性材料、ならびにその薬学的に許容される担体または賦形剤を含む経腸性の薬学的製剤が提供される。腸溶性材料は、胃の酸性環境においては実質的に不溶性であり、特定のpHの腸液中では主として可溶性であるポリマーを指す。小腸は、胃と大腸の間にある胃腸管(腸)の一部であり、十二指腸、空腸、および回腸を含む。十二指腸のpHは約5.5であり、空腸のpHは約6.5であり、回腸末端部のpHは約7.5である。したがって、腸溶性材料は、例えば、約5.0、約5.2、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8、または約10.0のpHまでは可溶性ではない。腸溶性材料の例として、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、酢酸トリメリト酸セルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸ヘキサヒドロフタル酸セルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸マレイン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、メチルメタクリル酸およびメタクリル酸メチルのコポリマー、アクリル酸メチル、メチルメタクリル酸、およびメタクリル酸のコポリマー、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマー(Gantrez ESシリーズ)、エチルメチアクリレート−メチルメタクリレート−クロロトリメチルアンモニウムエチルアクリレートコポリマー、天然樹脂(ゼイン、シェラック、およびコーパルコロホリウム等)、ならびにいくつかの市販の腸内分散系(Eudragit L30D55、Eudragit FS30D、Eudragit L100、Eudragit S100、Kollicoat EMM30D、Estacryl 30D、Coateric、およびAquateric)が挙げられる。上記材料の各々の溶解性は、既知であるか、またはインビトロで容易に測定可能であるかのどちらかである。上記は、可能性のある材料のリストであるが、本開示の利益を受ける当業者は、そのリストが包括的ではなく、使用され得る他の腸溶性材料が存在することを理解するであろう。
【0131】
有利には、例えば、体重減少を必要とする消費者によって使用されるためのキットも提供される。そのようなキットは、上述のような好適な剤形と、炎症を媒介、軽減、または防止するためにそのような剤形を使用する方法について説明する指示書を含む。指示書は、当業者に既知の投与方法に従って剤形を投与するように消費者または医療関係者を誘導する。そのようなキットは、有利に包装することができ、単一または複数のキット単位で販売することができる。そのようなキットの一例は、いわゆるブリスター包装である。ブリスター包装は、包装産業において周知であり、調剤の単位用量形態(錠剤、カプセル剤等)の包装に広く使用されている。一般的に、ブリスター包装は、好ましくは透明なプラスチック材料の薄片で覆われた比較的硬い材料のシートからなる。包装プロセスの間に、プラスチックの薄片に窪みが形成される。窪みは、包装される錠剤またはカプセル剤のサイズおよび形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤が窪みの中に配置され、窪みが形成された方向とは反対の薄片の表面で、比較的硬い材料のシートがプラスチックの薄片に対して密閉される。結果として、錠剤またはカプセル剤が、プラスチックの薄片とシートとの間の窪みに密閉される。好ましくは、シートの強度は、窪みに手で圧力を印加することによってブリスター包装から錠剤またはカプセル剤を取り出すことができ、それによって、窪みのある場所でシートに開口が形成されるような強度である。次いで、該開口を介して錠剤またはカプセル剤を取り出すことができる。
【0132】
例えば、数字が、錠剤またはカプセル剤が摂取されるべきであると指定された投与計画の日付に対応する、錠剤またはカプセル剤の隣の数字という形態で、キット上に記憶補助を提供することが望ましいかもしれない。そのような記憶補助の別の例は、例えば、「第1週目、月曜日、火曜日、...等、...第2週目、月曜日、火曜日、...等」のようにカードに印刷されたカレンダーである。記憶補助の他の変形例は容易に明白となるであろう。「1日の用量」は、所与の日に摂取される単一の錠剤もしくはカプセル剤、またはいくつかの丸剤もしくはカプセル剤であり得る。また、第1の化合物の1日の用量は、1つの錠剤またはカプセル剤からなり得る一方で、第2の化合物の1日の用量は、いくつかの錠剤またはカプセル剤からなり得、逆もまた同様である。記憶補助は、このことを反映するべきである。
【0133】
また、第2の活性剤、または第2の活性剤を投与することを含む方法および組成物も、本明細書において企図される。例えば、過体重または肥満であることに加えて、対象または患者は、過体重または肥満に関連する併存疾患、すなわち、過体重または肥満であることに付随する、それによって悪化する、または誘発される疾患および他の有害な健康状態をさらに有する可能性がある。これらの過体重または肥満に関連する状態を治療することが以前に示されている少なくとも1つの他の薬剤と組み合わせた開示される化合物が、本明細書において企図される。
【0134】
例えば、II型糖尿病は肥満と関連づけられている。II型糖尿病の特定の合併症、例えば、障害および早期死亡は、継続的な体重減少によって予防、軽減、または回避することができる(Astrup,A.Pub Health Nutr(2001)4:499−5 15)。II型糖尿病を治療するために投与される薬剤は、スルホニルウレア(例えば、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド)、メグリチニド(例えば、レパグリニドおよびナテグリニド)、ビグアナイド(例えば、メトホルミン)、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、トログリタゾン、およびピオグリタゾン)、ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害剤(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチン、およびサクサグリプチン)、グルカゴン様ペプチド−1模倣剤(例えば、エクセナチドおよびリラグルチド)、ならびにαグルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボースおよびミグリトール)を含む。
【0135】
心機能障害および状態、例えば、高血圧症、脂質異常症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓塞栓性疾患、および肺高血圧症は、過体重または肥満と関連付けられている。例えば、過剰な脂肪組織が腎臓によって作用される物質を分泌し、その結果高血圧をもたらすため、高血圧症は肥満と関連付けられている。また、肥満である場合、一般的に、より大量のインスリンが生成されるが(過剰な脂肪組織のため)、この過剰なインスリンもまた血圧を上昇させる。高血圧症の治療の主な選択肢は体重減少である。高血圧症を治療するために投与される薬剤は、クロルタリドン;ヒドロクロロチアジド;インダパミド、メトラゾン;ループ利尿薬(例えば、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、ラシックス、トルセミド);カリウム保持性利尿薬(例えば、塩酸アミロライド、ベンザミル、スピロノラクトン、およびトリアムテレン);末梢性薬剤(peripheral agent)(例えば、レセルピン);中枢性α作動薬(例えば、塩酸クロニジン、酢酸グアナベンズ、塩酸グアンファシン、およびメチルドパ);α遮断薬(例えば、メシル酸ドキサゾシン、塩酸プラゾシン、および塩酸テラゾシン);β遮断薬(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ナドロール、硫酸ペンブトロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロール、およびマレイン酸チモロール);α遮断薬とβ遮断薬の併用(例えば、カルベジロールおよび塩酸ラベタロール);直接血管拡張薬(例えば、塩酸ヒドララジンおよびミノキシジル);カルシウム拮抗薬(例えば、塩酸ジルチアゼムおよび塩酸ベラパミル);ジヒドロピリジン(例えば、ベシル酸アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、およびニソルジピン);ACE阻害剤(塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、ホシノプリルナトリウム、リシノプリル、モエキシプリル、塩酸キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル);アンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、ロサルタンカリウム、バルサルタン、およびイルベサルタン);レニン阻害剤(例えば、アリスキレン);ならびにそれらの組み合わせを含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知の投与計画および投与量で投与される。
【0136】
Carrら(The Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism(2004)Vol.89,No.6 2601−2607)は、過体重または肥満であることと脂質異常症との関連性について考察している。脂質異常症は、典型的にはスタチンを用いて治療される。HMG−CoA還元酵素阻害剤であるスタチンは、対象におけるコレステロールの生成を遅延させ、かつ/または、動脈からコレステロールの蓄積を除去する。スタチンは、メバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン、ジヒドロコンパクチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ダルバスタチン、カルバスタチン、クリルバスタチン、ベバスタチン(bevastatin)、セフバスタチン(cefvastatin)、ロスバスタチン、ピタバスタチン、およびグレンバスタチンを含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知の投与計画および投与量で投与される。Eckel(Circulation(1997)96:3248−3250)は、過体重または肥満であることと虚血性心疾患との関連性について考察している。虚血性心疾患を治療するために投与される薬剤は、スタチン、ナイトレート(例えば、二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビド)、β遮断薬およびカルシウムチャネル遮断薬を含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知の投与計画および投与量で投与される。
【0137】
Wongら(Nature Clinical Practice Cardiovascular Medicine(2007)4:436−443)は、過体重または肥満であることと心筋症との関連性について考察している。心筋症を治療するために投与される薬剤は、強心薬(例えば、ジゴキシン)、利尿薬(例えば、フロセミド)、ACE阻害剤、カルシウム拮抗薬、抗不整脈剤(例えば、ソトロール、アミオダロン、およびジソピラミド)、ならびにβ遮断薬を含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知の投与計画および投与量で投与される。Yusefら(Lancet(2005)366(9497):1640−1649)は、過体重または肥満であることと心筋梗塞との関連性について考察している。心筋梗塞を治療するために投与される薬剤は、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、直接血管拡張薬、β遮断薬、抗不整脈剤、ならびに血栓溶解剤(例えば、アルテプラーゼ、レタプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼ、およびウロキナーゼ)を含む。これらの化合物は、当該技術分野で既知の投与計画および投与量で投与される。
【0138】
Sukら(Stroke(2003)34:1586−1592)は、過体重または肥満であることと脳卒中との関連性について考察している。脳卒中を治療するために投与される薬剤は、抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモール、およびチクロピジン)、抗血液凝固剤(例えば、ヘパリン)、ならびに血栓溶解剤を含む。Steinら(The American Journal of Medicine(2005)18(9):978−980)は、過体重または肥満であることと静脈血栓塞栓性疾患との関連性について考察している。静脈血栓塞栓性疾患を治療するために投与される薬剤は、抗血小板薬、抗血液凝固剤、および血栓溶解剤を含む。Sztrymfら(Rev Pneumol Clin(2002)58(2):104−10)は、過体重または肥満であることと肺高血圧症との関連性について考察している。肺高血圧症を治療するために投与される薬剤は、強心薬、抗血液凝固剤、利尿薬、カリウム(例えば、K−dur)、血管拡張剤(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム)、ボセンタン、エポプロステノール、ならびにシルデナフィルを含む。肥満低換気症候群、喘息、および閉塞性睡眠時無呼吸等の呼吸障害および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Elamin(Chest(2004)125:1972−1974)は、過体重または肥満であることと喘息との関連性について考察している。喘息を治療するために投与される薬剤は、気管支拡張剤、抗炎症剤、ロイコトリエン阻害剤、および抗Ige剤を含む。具体的な喘息薬は、ザフィルルカスト、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、テルブタリン、フルチカゾン、ホルモテロール、ベクロメタゾン、サルメテロール、テオフィリン、およびゾペネックスを含む。
【0139】
Kesslerら(Eur Respir J(1996)9:787−794)は、過体重または肥満であることと閉塞性睡眠時無呼吸との関連性について考察している。閉塞性睡眠時無呼吸を治療するために投与される薬剤は、モダフィニルおよびアンフェタミンを含む。
【0140】
非アルコール性脂肪性肝疾患等の肝臓障害および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Tolmanら(Ther Clin Risk Manag(2007)6:1153−1163)は、過体重または肥満であることと非アルコール性脂肪性肝疾患との関連性について考察している。非アルコール性脂肪性肝疾患を治療するために投与される薬剤は、抗酸化剤(例えば、ビタミンEおよびC)、インスリン感受性改善薬(メトホルミン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、およびベタイン)、肝保護薬、ならびに高脂血症治療薬を含む。
【0141】
腰痛および荷重関節の変形性関節症等の骨障害および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられており、van Saase(J Rheumatol (1988)15(7):1152−1158)は、過体重または肥満であることと荷重関節の変形性関節症との関連性について考察している。荷重関節の変形性関節症を治療するために投与される薬剤は、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、エトドラク、オキサプロジン、ナプロキセン、ジクロフェナク、およびナブメトン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ)、ステロイド、サプリメント(例えば、グルコサミンおよびコンドロイチン硫酸)、ならびに人工関節液を含む。
【0142】
代謝疾患および状態、例えば、プラダー・ウィリー症候群および多嚢胞性卵巣症候群は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Cassidy(Journal of Medical Genetics(1997)34:917−923)は、過体重または肥満であることとプラダー・ウィリー症候群との関連性について考察している。プラダー・ウィリー症候群を治療するために投与される薬剤は、ヒト成長ホルモン(HGH)、ソマトロピン、ならびに体重減少剤(例えば、オルリスタット、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン、およびトパマックス)を含む。
【0143】
Hoeger(Obstetrics and Gynecology Clinics of North America(2001)28(1):85−97)は、過体重または肥満であることと多嚢胞性卵巣症候群との関連性について考察している。多嚢胞性卵巣症候群を治療するために投与される薬剤は、インスリン増感剤、合成エストロゲンとプロゲステロンの組み合わせ、スピロノラクトン、エフロルニチン、およびクロミフェンを含む。性機能障害、勃起不全、不妊症、分娩合併症、および胎児異常等の生殖障害および状態は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Larsenら(Int J Obes(Lond)(2007)8:1189−1198)は、過体重または肥満であることと性機能障害との関連性について考察している。Chungら(Eur Urol(1999)36(1):68−70)は、過体重または肥満であることと勃起不全との関連性について考察している。勃起不全を治療するために投与される薬剤は、ホスホジエステラーゼ阻害剤(例えば、タダラフィル、クエン酸シルデナフィル、およびバルデナフィル)、プロスタグランジンE類似体(例えば、アルプロスタジル)、アルカロイド(例えば、ヨヒンビン)、ならびにテストステロンを含む。Pasqualiら(Hum Reprod(1997)1:82−87)は、過体重または肥満であることと不妊症との関連性について考察している。不妊症を治療するために投与される薬剤は、クロミフェン、クエン酸クロミフェン、ブロモクリプチン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、GnRH作動薬、GnRH拮抗薬、タモキシフェン/ノルバデックス、性腺刺激ホルモン、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)、ヒト閉経期性腺刺激ホルモン(HmG)、プロゲステロン、組換え卵胞刺激ホルモン(FSH)、ウロフォリトロピン、ヘパリン、ホリトロピンアルファ、およびホリトロピンベータを含む。
【0144】
Weissら(American Journal of Obstetrics and Gynecology(2004)190(4):1091−1097)は、過体重または肥満であることと分娩合併症との関連性について考察している。分娩合併症を治療するために投与される薬剤は、塩酸ブピバカイン、ジノプロストンPGE2、メペリジンHCl、Ferro−Folic−500/Iberet−Folic−500、メペリジン、マレイン酸メチルエルゴノビン、ロピバカインHCl、ナルブフィンHCl、オキシモルフォンHCl、オキシトシン、ジノプロストン、リトドリン、臭化水素酸スコポラミン、クエン酸スフェンタニル、および分娩促進薬を含む。
【0145】
精神障害および状態、例えば体重関連性の鬱病および不安神経症は、過体重または肥満であることと関連付けられている。Dixsonら(Arch Intern Med(2003)163:2058−2065)は、過体重または肥満であることと鬱病との関連性について考察している。鬱病を治療するために投与される薬剤は、セロトニン再取り込み阻害剤(例えば、フルオキセチン、エシタロプラム、シタロプラム、パロキセチン、セルトラリン、およびベンラファキシン)、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、塩酸ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリン、およびトリミプラミン)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリン、ラサギリン、ニアラミド、イプロニアジド、イプロクロジド、トロキサトン、リネゾリド、ジエノリドカバピロンデスメトキシヤンゴニン、およびデキストロアンフェタミン)、精神刺激剤(例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート、およびアレコリン)、抗精神病剤(例えば、ブチロフェノン、フェノチアジン、チオキサンテン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、パリペリドン、シンビアックス、テトラベナジン、およびカンナビジオール)、ならびに気分安定剤(例えば、炭酸リチウム、バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピン、ガバペンチン、オクスカルバゼピン、およびトピラメート)を含む。
【0146】
Simonら(Archives of General Psychiatry(2006)63(7):824−830)は、過体重または肥満であることと不安神経症との間の関連性について考察している。不安神経症を治療するために投与される薬剤は、セロトニン再取り込み阻害剤、気分安定剤、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、クロナゼパム、ジアゼパム、およびロラゼパム)、三環系抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、ならびにβ遮断薬を含む。
【0147】
別の態様において、対象において体重減少をもたらす効果のある量の開示される化合物を対象に投与することと、対象において減少した体重を維持するために、治療的有効量の異なる体重減少剤を投与することとを含む、対象において体重減少を促進および維持するための方法が提供される。体重減少剤は、セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、ノルアドレナリン再取り込阻害剤、選択的セロトニン再取り込阻害剤、ならびに腸リパーゼ阻害剤を含む。具体的な体重減少剤は、オルリスタット、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン、ブロモクリプチン、ロルカセリン、トピラメート、あるいは、グレリンの作用を遮断すること、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)の活性を阻害すること、ステアロイルCoA不飽和酵素1(SCD1)の活性を阻害すること、ニューロペプチドY受容体1の機能を阻害すること、ニューロペプチドY受容体2もしくは4の機能を活性化すること、またはナトリウム‐グルコース共輸送体1もしくは2の活性を阻害することによって食物摂取を調節するように作用する薬剤を含む。これらの化合物は、当該技術分野において既知の投与計画および投与量で投与される。
【実施例】
【0148】
本明細書に記載される化合物は、本明細書に含まれる教示および当該技術分野において既知の合成手順に基づいて、多くの方法で調製することができる。下記の合成法に関する記述において、溶媒の選択、反応雰囲気、反応温度、実験の期間、および精密検査の手順を含む全ての提案される反応条件は、別途指定のない限り、その反応の標準的な条件であるように選択できることを理解されたい。分子上の種々の部分に存在する官能基が提案される試薬および反応に適合するべきであることは、有機合成の当業者によって理解される。反応条件に適合しない置換基は当業者には明らかであり、したがって代替の方法が示される。実施例のための出発材料は、市販されているか、または既知の材料から標準的な方法によって容易に調製されるかのいずれかである。
【0149】
本明細書において「中間体」であると特定される化合物のうちの少なくともいくつかは、活性成分であることが企図される。例えば、本明細書において「中間体」であると特定される化合物のうちの少なくともいくつかは、MetAP2の調節剤であり得る。
【0150】
実施例化合物について、三重共鳴5mmプローブとともにVarian Unity Inova(400MHz)分光計を使用して、中間化合物は、Bruker Avance DRX(400MHz)分光計またはBruker Avance DPX(300MHz)分光計のいずれかを使用して、周囲温度でH NMRスペクトルを記録した。化学シフトは、テトラメチルシランに対するppmで表した。以下の略語を使用した:br=ブロードシグナル、s=一重項、d=二重項、dd=二重二重項、dt=二重三重項、t=三重項、q=四重項、m=多重項。
【0151】
以下の方法を使用して、滞留時間および関連する質量イオンを測定するための質量分析(LCMS)実験を行った。
【0152】
方法A:Waters Acquity UPLCシステムに連結された陽イオンモードおよび陰イオンモードで動作するエレクトロスプレー源を備えたWaters Micromass ZQ2000四極子型質量分光計上で実験を行った。PDA UV検出器を使用して検出を達成した。LCカラムはAcquity BEH 1.7ミクロンC18 100×2.1mmであった。流量は0.4mL/分であった。初期溶媒系は、0.1%ギ酸を含有する95%の水(溶媒A)および0.1%ギ酸を含有する5%のアセトニトリル(溶媒B)であり、0.4分間一定に維持した後、次の6分間にわたって5%溶媒Aおよび95%溶媒Bまで勾配をつけた。最終溶媒系をさらに0.8分間一定に維持した。
【0153】
方法B:Hewlett Packard HP1100LCシステムに連結された陽イオンモードおよび陰イオンモードで動作するエレクトロスプレー源を備えたWaters Micromass ZQ2000四極子型質量分光計上で実験を行った。DAD UV検出器およびSedex 85蒸発光散乱検出器を使用して検出を達成した。LCカラムはHiggins Clipeus 5ミクロン C18 100×3.0mmであった。流量は1mL/分であった。初期溶媒系は、0.1%ギ酸を含有する95%の水(溶媒A)および0.1%ギ酸を含有する5%のアセトニトリル(溶媒B)であり、1分間一定に維持した後、次の12分間にわたって5%溶媒Aおよび95%溶媒Bまで勾配をつけた。最終溶媒系をさらに7分間一定に維持した。
【0154】
方法C:Waters1525LCシステムに連結された陽イオンモードおよび陰イオンモードで動作するエレクトロスプレー源を備えたWaters ZMD四極子型質量分光計上で実験を行った。Waters996ダイオードアレイ検出器およびSedex 85蒸発光散乱検出器を使用して検出を達成した。LCカラムはLuna 3ミクロン C18(2)30×4.6mmであった。流量は2mL/分であった。初期溶媒系は、0.1%ギ酸を含有する95%の水(溶媒A)および0.1%ギ酸を含有する5%のアセトニトリル(溶媒B)であり、0.5分間一定に維持した後、次の4分間にわたって5%溶媒Aおよび95%溶媒Bまで勾配をつけた。最終溶媒系をさらに1分間一定に維持した。
【0155】
方法D:Hewlett Packard 1050LCシステムに連結された陽イオンモードで動作するエレクトロスプレー源を備えたFinnigan AQA単一四極子型質量分光計上で実験を行った。UVダイオードアレイ検出器およびSedex 65蒸発光散乱検出器を使用して検出を達成した。LCカラムはLuna 3ミクロン C18(2)30×4.6mmであった。流量は2mL/分であった。初期溶媒系は、0.1%ギ酸を含有する95%の水(溶媒A)および0.1%ギ酸を含有する5%のアセトニトリル(溶媒B)であり、0.5分間一定に維持した後、次の4分間にわたって5%溶媒Aおよび95%溶媒Bまで勾配をつけた。最終溶媒系をさらに1分間一定に維持した。
【0156】
方法E:Hewlett Packard HP1100LCシステムに連結された陽イオンモードおよび陰イオンモードで動作するエレクトロスプレー源を備えたWaters Platform LC四極子型質量分光計上で実験を行った。ダイオードアレイ検出器およびSedex 85蒸発光散乱検出器の両方を使用して検出を達成した。LCカラムはPhenomenex Luna 3ミクロン C18(2)30×4.6mmであった。流量は2mL/分であった。初期溶媒系は、0.1%ギ酸を含有する95%の水(溶媒A)および0.1%ギ酸を含有する5%のアセトニトリル(溶媒B)であり、0.5分間一定に維持した後、次の4分間にわたって5%溶媒Aおよび95%溶媒Bまで勾配をつけた。最終溶媒系をさらに1分間一定に維持した。単一モード共振器および動的場調整(両方とも再現性および制御を付与する)を使用するBiotage Initiator(商標)を使用してマイクロ波実験を行った。40〜250℃の温度を達成することができ、最大20バールの圧力に達することができる。このプロセッサには、0.5〜2.0ml、2.0〜5.0ml、および5.0〜20mlの3種類のバイアルが使用可能である。
【0157】
GenesisのC18逆相カラム(C18)(100×22.5mm、粒子径7ミクロン、230または254nmでUV検出、流量5〜15mL/分)を使用して分取用HPLC精製を行い、0.1%ギ酸を含有する100〜0%から0〜100%までの勾配の水/アセトニトリルで溶出した。(LCMS分析で同定された)必要な生成物を含有する画分をプールし、蒸発させることによって有機画分を除去し、残りの水性画分を凍結乾燥して最終生成物を得た。
【0158】
カラムクロマトグラフィーを必要とする化合物は、Touch Logic Control(商標)を備えたBiotage SP1(商標)Flash Purificationシステム、または予め包装されたシリカゲルIsolute(登録商標)SPEカートリッジ、Biotage SNAPカートリッジ、もしくはRedisep(登録商標)Rfカートリッジをそれぞれ備えたCombiflash Companion(登録商標)のいずれかを使用して精製した。
【0159】
略語:AIBN:アゾ−ビス−(イソブチロニトリル)、DCM:ジクロロメタン、DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン、DMF:Ν,Ν−ジメチルホルムアミド、HATU:2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、NMP:1−メチル−2−ピロリドン、THF:テトラヒドロフラン、Xantphos:4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン

実施例1:N−[1−(1H−テトラゾール−5−イル)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル]−ベンゼンスルホンアミド
【化6】
【0160】
トリ−n−ブチルスズクロライド(0.16mL)をDMF(0.6mL)中のアジ化ナトリウム(0.039g)の溶液に加え、混合物を5分間撹拌した。次いで、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.0065g)を加え、その後、N−(1−シアノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ベンゼンスルホンアミドを加えた(中間体1、0.177g)。混合物をマイクロ波照射により220℃で1時間加熱した。次いで、1N塩酸を用いて溶液を酸性化し、生成物をDCM中に抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させ、分取用HPLC(C18)により残渣を精製した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させることによって溶媒を除去し、標題化合物をベージュ色の固体(0.01g)として得た。
LCMS(方法B)r/t9.46分(M+H)356
NMR(CDOD)δ7.04(t,1H),6.99−6.85(m,4H),6.76−6.68(m,2H),2.32(m,2H),1.97(m,2H),1.34−1.15(m,4H)

実施例2:N−[3−シクロプロピル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
【化7】
【0161】
N−(2−シアノ−3−シクロプロピルフェニル)−ベンゼンスルホンアミド(中間体9、0.052g)、アジドトリメチル‐シラン(0.087g)、およびジブチルスズオキシド(0.038g)を1,2−ジクロロエタン(3mL)に懸濁させた。混合物をマイクロ波照射により140℃で45分間加熱した。さらに6つのアジドトリメチルシラン(0.174g)のアリコートを加え、各添加後に、混合物をマイクロ波照射により140℃で60分間加熱した。1N塩酸を使用して反応混合物をpH1まで酸性化し、次いで酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を真空下で蒸発させた。残渣をペンタンとシクロヘキサンの混合物で練和し、濾過によって固体を回収し、標題化合物を白色固体(0.039g)として得た。
LCMS(方法A)r/t3.97分(M+H)342
NMR(DMSO−d)δ9.79(br s,1H),7.65−7.61(m,2H),7.59(t,1H),7.53−7.47(m,2H),7.26(t,1H),6.86(d,1H),6.82(d,1H),1.49−1.39(br m,1H),0.69−0.63(m,2H),0.51−0.46(m,2H)

実施例3:N−[3−メトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
【化8】
【0162】
エタノール(10mL)中のN−[2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メトキシフェニル]−ベンゼンスルホンアミド(中間体12、0.104g)、ギ酸アンモニウム(0.45g)、および水酸化パラジウム(0.01g)の混合物を72時間還流で加熱した。セライトを通して反応混合物を濾過し、濾液を真空下で蒸発させた。シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、DCMとメタノールの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を無色固体(0.05g)として得た。
LCMS(方法A)r/t4.18分(M+H)332
NMR(DMSO−d)δ10.99(s,1H),7.68−7.63(m,2H),7.55(t,1H),7.48−7.40(m,3H),7.07(d,1H),6.93(d,1H),3.82(s,3H)

実施例4:N−[3−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
【化9】
【0163】
窒素雰囲気下でN−[2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メチルフェニル]−ベンゼンスルホンアミド(中間体15、0.05g)を酢酸エチル(10mL)に溶解した。パラジウム担持炭素(10%、0.02g)を加え、窒素雰囲気を水素に切り替えた。混合物を7日間撹拌し、次いでセライトを通して濾過し、真空下で蒸発させることによって溶媒を除去した。分取用HPLC(C18)により残渣を精製した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させることによって溶媒を除去し、標題化合物を白色固体(0.08g)として得た。
LCMS(方法A)r/t3.66分(M+H)316
NMR(DMSO−d)δ9.91(s,1H),7.63−7.55(m,3H),7.51−7.46(m,2H),7.25(t,1H),7.13(d,1H),6.88(d,1H),2.02(s,3H)

実施例5: N−[3−ブロモ−2−(1H−テトラゾール−5−イル)−フェニル]−ベンゼンスルホンアミド
【化10】
【0164】
1,2−ジクロロベンゼン(1.5mL)中のN−(3−ブロモ−2−シアノフェニル)−ベンゼンスルホンアミド(中間体21、0.22g)およびアジ化トリブチルスズ(0.43g)の溶液をマイクロ波照射により130℃で2時間加熱した。混合物をエーテルで希釈し、水性1M水酸化ナトリウムで抽出した。1N塩酸を用いて水溶液をpH1まで酸性化し、次いで酢酸エチルで抽出した。有機溶液を鹹水で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を蒸発させた。残渣をエーテルで練和し、濾過によって固体を回収し、標題化合物を無色固体(0.19g)として得た。
LCMS(方法A)r/t3.76分(M+H)381
NMR(DMSO−d)δ10.03(br s,1H),7.69−7.65(m,2H),7.64−7.59(m,1H),7.58−7.50(m,3H),7.35(t,1H),7.11(d,1H)

中間体1: N−(1−シアノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド
【化11】
【0165】
2−ベンゼンスルホニルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸アミド(中間体2、1.2g)を乾燥DCM(20mL)に溶解し、五塩化リン(0.9g)を加えた。混合物を3時間撹拌し、次いで、飽和水性炭酸水素ナトリウムを慎重に加え、酢酸エチル中に生成物を抽出した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させることによって溶媒を除去した。シリカ上でクロマトグラフィーにより残渣を精製し、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、溶媒を蒸発させ、標題化合物を乳白色の固体として得た。
LCMS(方法B)r/t10.35分(M+H)313
NMR(DMSO−d)δ10.33(br s 1H),7.80−7.39(br m,5H),7.28−7.12(br m,1H),6.75−6.55(br m,1H),2.80−2.50(br m,4H),1.83−1.50(br m,4H)

中間体2:2−ベンゼンスルホニルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸アミド
【化12】
【0166】
2−ベンゼンスルホニルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸(中間体3、0.5g)をDCM(10mL)に懸濁させ、DMF(1滴)とともに塩化オキサリル(0.15mL)を加えた。混合物を30分間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残渣を乾燥THF(20mL)に溶解し、THF中のアンモニア溶液に徐々に加えた。1時間撹拌した後、溶液を真空下で濃縮し、残渣をジエチルエーテルで練和し、濾過によって固体を回収し、標題化合物を白色粉末(0.48g)として得た。
NMR(CDCl)δ7.84−7.80(m,3H),7.56(t,1H),7.50−7.44(m,2H),7.04−6.98(m,2H),5.78(br m,2H),2.75−2.67(m,4H),1.78−1.68(m,4H)

中間体3:2−ベンゼンスルホニルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸
【化13】
【0167】
2−ベンゼンスルホニルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル(中間体4、0.68g)をジオキサン(12mL)に溶解し、水(6mL)中の水酸化リチウム一水和物の溶液(0.6g)を加えた。混合物をマイクロ波照射により160℃で15分間加熱し、次いで1N塩酸で希釈した。生成物をDCM中に抽出し、有機溶液を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を真空下で濃縮し、標題化合物を白色粉末として得た。
NMR(CDCl)δ8.64(br s,1H),7.78−7.72(m,2H),7.55(t,1H),7.47−7.36(m,3H),7.16(d,1H),2.84(t,2H),2.75(t,2H),1.79−1.69(m,4H)

中間体4:2−ベンゼンスルホニルアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル
【化14】
【0168】
ピリジン(20mL)中の2−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル(中間体5、1.5g)の溶液に、塩化ベンゼンスルホニル(0.95mL)を加えた。混合物を1時間撹拌し、次いで真空下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、1N塩酸で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を真空下で蒸発させ、標題化合物を乳白色の結晶性固体(2.4g)として得た。
NMR(CDCl)δ 8.17(br s,1H),7.69−7.65(m,2H),7.52(t,1H),7.44−7.37(m,3H),7.13(d,1H),3.63(s,3H),2.73(t,2H),2.65(t,2H),1.76−1.63(m,4H)

中間体5:2−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル
【化15】
【0169】
2−(ベンズヒドリリデンアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル(中間体6、8.2g)をTHF(100mL)に溶解し、1N塩酸を加えた(100mL)。混合物を1時間撹拌し、次いでSCX−2 SPEカラムを通過させた。カラムをアセトニトリルで洗浄し、次いで、メタノール中の2Mアンモニアの溶液で所望の生成物を溶出した。溶媒の蒸発により、標題化合物を透明な油(2.8g)として得、さらに精製または分析せずに使用した。

中間体6:2−(ベンズヒドリリデンアミノ)−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル
【化16】
【0170】
炭酸セシウム(12.4g)、パラジウム(II)アセテート(0.12g)、トリエチルアミン(0.12mL)、およびキサントホス(0.474g)を、窒素下でジオキサン(50mL)に懸濁させた。ジオキサン(35mL)中の2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル(中間体7、4.2g)およびベンズヒドリリデンアミン(5.5mL)を加え、混合物を100℃で3.5時間加熱した。得られた混合物を酢酸エチルと水とに分配した。有機溶液を水で洗浄し、真空下で濃縮した。残渣をメタノールから再結晶させ、標題化合物を乳白色の固体(8.2g)として得た。
LCMS(方法C)r/t5.00分(M+H)370

中間体7:2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル
【化17】
【0171】
2−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル(中間体8、6g)をDCM(100mL)およびピリジン(6.5mL)に溶解した。溶液を−20℃に冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(6.5mL)を15分にわたって滴下で加えた。混合物を−20℃でさらに20分間撹拌し、次いで、室温まで加温し、さらに60分間撹拌した。t−ブチルメチルエーテル(200mL)を加え、得られた混合物を濾過した。濾液を2N塩酸、水、次いで鹹水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を真空下で濃縮し、標題化合物を黄色油(9.2g)として得た。
LCMS(方法C)r/t4.74分(M+H)339,(M+Na)361

中間体8:2−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル
【化18】
【0172】
窒素雰囲気下で、酢酸(200mL)中の2−ヒドロキシ−ナフタレン−1−カルボン酸メチルエステル(10g)の溶液に酸化白金(5g)を加えた。窒素雰囲気を水素に切り替え、圧力を4バールまで上昇させ、混合物を一晩撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、濾液を真空下で濃縮して油を得た。シリカ上でクロマトグラフィーにより残渣を精製し、DCMで溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、真空下で蒸発させ、標題化合物を無色油(11.7g)として得た。
LCMS(方法C)r/t4.31分(M+H)207

中間体9:N−(2−シアノ−3−シクロプロピルフェニル)−ベンゼンスルホンアミド
【化19】
【0173】
塩化ベンゼンスルホニル(0.093g)をDCM(4mL)およびピリジン(0.1mL)中の2−アミノ−6−シクロプロピル−ベンゾニトリル(中間体10、0.07g)の溶液に加えた。混合物を5時間撹拌し、次いで、塩化ベンゼンスルホニルのさらなるアリコート(0.093g)をトリエチルアミン(0.12mL)とともに加え、混合物を一晩撹拌した。反応混合物を水で洗浄し、有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濾液を真空下で蒸発させた。シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を無色油(0.052g)として得た。
LCMS(方法D)r/t4.07分(M+H)299
NMR(CDCl)δ7.86−7.81(m,2H),7.58(t,1H),7.52−7.45(m,3H),7.38(t,1H),7.04(br s,1H),6.65(d,1H),2.12−2.04(m,1H),1.12−1.05(m,2H),0.75−0.68(m,2H)

中間体10:2−アミノ−6−シクロプロピルベンゾニトリル
【化20】
【0174】
窒素下で、DCM(5mL)中のパラジウム担持炭素(10%、0.025g)のスラリをエタノール(15mL)中の2−ニトロ−6−シクロプロピルベンゾニトリル(中間体11、0.25g)の溶液に加えた。窒素雰囲気を水素に切り替え、混合物を48時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を無色油(0.082g)として得た。
NMR(CDCl)δ7.18(t,1H),6.53(d,1H),6.26(d,1H),4.8−4.0(br m,2H),2.20−2.10(m,1H),1.10−1.02(m,2H),0.78−0.70(m,2H)

中間体11:2−ニトロ−6−シクロプロピルベンゾニトリル
【化21】
【0175】
2−ブロモ−6−ニトロベンゾニトリル(0.56g)、シクロプロピルボロン酸(0.63g)、酢酸パラジウム(II)(0.055g)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.135g)、およびリン酸三カリウム(2.36g)をトルエン(15mL)と水(3mL)の混合物に溶解した。窒素下で、混合物を100℃で18時間加熱した。混合物を冷却し、次いで水とDCMとに分配した。有機溶液を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を真空下で除去した。シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を淡黄色固体(0.51g)として得た。
NMR(CDCl)δ8.05(d,1H),7.64(t,1H),7.27(d,1H),2.52−2.45(m,1H),1.33−1.26(m,2H),0.91−0.85(m,2H)

中間体12:N−[2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メトキシフェニル]−ベンゼンスルホンアミド
【化22】
【0176】
2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メトキシフェニルアミン(中間体13、0.115g)をピリジン(0.16mL)およびDCM(2mL)に溶解した。塩化ベンゼンスルホニル(0.08g)を加え、混合物を一晩撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、1N塩酸で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させ、シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、DCMとメタノールの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を無色固体(0.11g)として得た。
LCMS(方法E)r/t3.55分(M+H)422

中間体13:2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メトキシフェニルアミン
【化23】
【0177】
窒素雰囲気下で1−ベンジル−5−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−1H−テトラゾール(中間体14、0.14g)をエタノール(5mL)に溶解した。白金担持炭素(10%、0.01g)を加え、窒素雰囲気を水素に切り替えた。混合物を18時間撹拌し、次いでセライトを通して濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させ、標題化合物を褐色ガム(0.12g)として得た。
LCMS(方法E)r/t3.18分(M+H)282

中間体14:1−ベンジル−5−(2−メトキシ−6−ニトロフェニル)−1H−テトラゾール
【化24】
【0178】
1−ベンジル−5−(2−フルオロ−6−ニトロフェニル)−1H−テトラゾール(中間体18、0.3g)をDCM(4mL)に溶解し、メタノール(20%、2mL)中のナトリウムメトキシドの溶液を加えた。混合物を4時間撹拌し、次いで、真空下で蒸発させることによって溶媒を除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、1N塩酸、次いで鹹水で洗浄した。有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させることによって溶媒を除去した。シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、DCMとメタノールの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を淡黄色固体(0.14g)として得た。
LCMS(方法E)r/t3.30分(M+H)312

中間体15:N−[2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メチルフェニル]−ベンゼンスルホンアミド
【化25】
【0179】
2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メチルフェニルアミン(中間体16、0.15g)をピリジン(5mL)に溶解し、塩化ベンゼンスルホニル(0.07g、0.4mmol)を加えた。混合物を一晩撹拌し、次いで酢酸エチルで希釈し、1N塩酸で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾液を乾燥するまで蒸発させ、シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を白色粉末(0.16g)として得た。
LCMS(方法A)r/t4.68分(M+H)406
NMR(DMSO−d)δ10.03(s,1H),7.75(m,1H),7.73(m,1H),7.66−7.53(m,3H),7.29(t,1H),7.25−7.16(m,3H),7.03(d,1H),6.96−6.92(m,2H),6.83(d,1H),5.36(dd,2H),1.46(s,3H)

中間体16:2−(1−ベンジル−1H−テトラゾール−5−イル)−3−メチルフェニルアミン
【化26】
【0180】
窒素雰囲気下で1−ベンジル−5−(2−メチル−6−ニトロフェニル)−1H−テトラゾール(中間体17、0.1g)を酢酸エチル(20mL)に溶解した。パラジウム担持炭素(10%、0.1g)を加え、窒素雰囲気を水素に切り換えた。混合物を4時間撹拌し、次いでセライトを通して濾過した。真空下で蒸発させることによって溶媒を除去し、標題化合物を白色固体(0.09g)として得た。
LCMS(方法E)r/t3.30分(M+H)266

中間体17:1−ベンジル−5−(2−メチル−6−ニトロフェニル)−1H−テトラゾール
【化27】
【0181】
五塩化リン(0.42g、2mmol)をDCM(10mL)中のN−ベンジル−2−メチル−6−ニトロベンズアミド(中間体19、0.54g)の溶液に加えた。窒素下で混合物を30分間撹拌し、次いでアジドトリメチルシラン(0.48g)を加え、混合物をさらに72時間撹拌した。混合物をDCM(50mL)および水(50mL)で希釈した。次いで、固体重炭酸ナトリウムをそれ以上気体が放出されなくなるまで混合物に加えた。有機溶液を飽和水性重炭酸ナトリウム、次いで1N塩酸で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。溶媒を蒸発させて橙色の固体を得、酢酸エチルから再結晶させ、標題化合物を白色固体(0.42g)として得た。
LCMS(方法E)r/t3.37分(M+H)296
NMR(DMSO−d)δ8.20(d,1H),7.83−7.73(m,2H),7.27−7.20(m,3H),7.07−7.04(m,2H),5.47(d,2H),1.6(s,3H)
【0182】
同様の方式で継続することにより、適切な出発材料から以下の化合物を調製した。

中間体18:1−ベンジル−5−(2−フルオロ−6−ニトロフェニル)−1H−テトラゾール
【化28】
【0183】
N−ベンジル−2−フルオロ−6−ニトロベンズアミド(中間体20)から出発し、さらなる特徴付けを行わずに使用した。

中間体19:N−ベンジル−2−メチル−6−ニトロベンズアミド
【化29】
【0184】
2−ニトロ−6−メチル安息香酸(0.91g)およびベンジルアミン(0.53g)をNMP(5mL)およびDIPEA(3mL)に溶解した。HATU(1.9g)を加え、混合物を1時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、1N塩酸、飽和水性重炭酸ナトリウム、次いで鹹水で洗浄した。有機溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を真空下で除去して淡褐色の油(1.01g)を得、放置して結晶化させた。
NMR(DMSO−d)δ8.96(t,1H),7.90(d,1H),7.62(d,1H),7.50(t,1H),7.36−7.28(m,5H),4.41(d,2H),2.27(s,3H)
【0185】
同様の方式で継続することにより、適切な出発材料から以下の化合物を調製した。
中間体20:N−ベンジル−2−フルオロ−6−ニトロベンズアミド
【化30】
【0186】
6−フルオロ−2−ニトロ安息香酸から出発し、さらなる特徴付けを行わずに使用した。

中間体21:N−(3−ブロモ−2−シアノフェニル)−ベンゼンスルホンアミド
【化31】
【0187】
塩化ベンゼンスルホニル(0.53g)をDCM(15mL)およびピリジン(1mL)中の2−アミノ−6−ブロモベンゾニトリル(中間体22、0.5g)の溶液に加えた。混合物を2時間撹拌し、次いで塩化ベンゼンスルホニルのさらなるアリコート(0.53g)を加え、混合物を一晩撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、1N塩酸で洗浄し、有機溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を真空下で蒸発させ、シリカ上でフラッシュクロマトグラフィーにより残渣を精製し、DCMとメタノールの混合物で溶出した。所望の生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて標題化合物を白色粉末(0.24g)として得た。
LCMS(方法E)r/t3.33分(M+H)335,337

中間体22:2−アミノ−6−ブロモベンゾニトリル
【化32】
【0188】
2−ブロモ−6−ニトロベンゾニトリル(5g)をメタノール(100mL)およびジオキサン(65mL)の溶液に溶解し、加熱還流させた。鉄粉末(4.6g)を20分にわたって一部ずつ加え、混合物を4時間還流で加熱した。混合物を室温まで冷却し、濾過し、濾液を真空下で蒸発させた。残渣を水で練和し、濾過によって固体を回収し、標題化合物を淡褐色固体(3.8g)として得た。
LCMS(方法E)r/t3.01分(M+H)197,199

生物学的活性
【0189】
以下のアッセイを使用して、化合物が組換えヒトMetAP2の活性を阻害する能力について調べた。
【0190】
内在性活性部位のカチオンを除去するために、Sf9細胞に発現されたヒト組換えFlag−MetAP2の親和性精製およびEDTA処理を行い、その後、MnClに対して透析し、アッセイで使用されるマンガン酵素を生成した。精製されたMetAP2の希釈物を使用して、0.75mMのメチオニン−アラニン−セリン(MAS)基質および50μg/mLアミノ酸オキシダーゼの存在下、100mMのNaClを含有する50mMのHEPES緩衝液(pH7.5)中25℃で30分間アッセイを行い、約50,000RFUの制御活性を得た。Amplex Red(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)によって生成される蛍光物質を、酸化ステップの間に放出されるHを検出する西洋ワサビペルオキシダーゼと組み合わせて使用することにより、MetAP2による基質の切断およびアミノ酸オキシダーゼによる遊離メチオニンの酸化を検出および定量化した。マルチウェル蛍光光度計を使用して蛍光シグナルを検出した。アッセイ緩衝液に添加する前にDMSO中で化合物を希釈し、アッセイにおけるDMSOの最終濃度を1%とした。
【0191】
IC50は、所与の化合物が、制御の阻害を50%達成する濃度として定義される。IC50値は、XLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を使用して計算される。
【0192】
本実施例のアッセイにおいて、化合物は下の表に示すような活性を示した。表中、AはIC50<1μΜを表し、BはIC50>1.0μΜを表す。
【0193】
参照による組み込み
【0194】
以下に列挙されるものを含む、本明細書において言及されるすべての刊行物および特許は、各個別の刊行物または特許が参照することにより具体的かつ個別に組み込まれるかのように、あらゆる目的で参照することによりそれら全体が本明細書に組み込まれる。対立が生じる場合は、本明細書における任意の定義を含む本出願が優先される。

均等物
【0195】
特定の実施形態について考察してきたが、上記明細書は例示なものであり、限定的なものではない。本明細書を検討することにより、当業者には多くの変形例が明らかになるであろう。実施形態の完全な範囲は、特許請求の範囲およびそれらの均等物の完全な範囲、ならびに、明細書およびそのような変形例を参照することによって決定されるべきである。
【0196】
別途指定のない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、反応条件等を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものであると理解されたい。したがって、別途そうではないという指定のない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得ようとする所望の特性に応じて異なり得る近似値である。