特許第6058587号(P6058587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058587
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20161226BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20161226BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20161226BHJP
   F23N 5/08 20060101ALI20161226BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   F24C3/12 X
   F24C3/00 J
   F23N5/00 D
   F23N5/08 G
   F23N5/24 106A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-114348(P2014-114348)
(22)【出願日】2014年6月2日
(65)【公開番号】特開2015-227763(P2015-227763A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2015年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森島 眞
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−106729(JP,A)
【文献】 特開2014−001900(JP,A)
【文献】 特開平04−186041(JP,A)
【文献】 特開2011−106806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C3/00−3/14
F23N1/08−1/10
F23N5/02−5/16
F23N5/20−5/22
F24C9/00−15/14
F24C15/16−15/36
F24F7/00−7/007
F24F7/04−7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互に隣り合う2つのコンロバーナと、少なくとも一方のコンロバーナを俯瞰するように配置した紫外線センサと、該紫外線センサの出力に基づいて一方のコンロバーナ上の調理容器の周囲から溢れ出る炎の有無を監視し、炎溢れが検出されたとき、一方のコンロバーナに対して火力を減少させる制御を行う炎溢れ時制御部とを備えるガスコンロにおいて、
前記紫外線センサは、下方を向けた先端開口を紫外線の入射口として一方のコンロバーナ及びその周囲に視野を設定する筒状のカバーと、他方のコンロバーナ側となる前記カバーの先端開口の側半部を覆うことにより他方のコンロバーナを視野外とする遮蔽体とを備え、
更に、前記紫外線センサが、前記一方のコンロバーナの直上位置から所定距離を存した前方に配置されていることにより当該コンロバーナの前側が視野内とされ且つ当該コンロバーナの後側が視野外とされていることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
請求項1記載のガスコンロにおいて、
前記2つのコンロバーナの夫々に対して調理容器を使用しない直火調理が行われることを検出する直火調理検出部と、該直火調理検出部が前記2つのコンロバーナの両方又は何れか一方による直火調理を検出したとき、前記炎溢れ時制御部による制御を停止させる制御停止指示部とを設けたことを特徴とするガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロバーナの炎が調理容器の周囲から溢れ出たとき、コンロバーナの火力を自動的に調節するガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロによる調理の際には、コンロバーナの火力が大き過ぎて鍋等の調理容器の周囲に炎が溢れ出ることがある。調理容器の周囲に炎が溢れ出た状態で調理を行うと、熱エネルギーの無駄になるだけでなく、調理容器の取っ手が過剰に高温になったり、使用者の衣服の袖に着火する等により、使用者が熱い思いをするおそれがある。
【0003】
そこで、特許文献1に見られるように、コンロバーナの燃焼時に鍋等の調理容器の周囲から溢れ出た炎を検出し、コンロバーナの火力を自動的に減少させることにより、調理容器を適切な火力で加熱するようにしたガスコンロが知られている。
【0004】
このものでは、レンジフードに設けた紫外線センサにより、コンロバーナ上の調理容器の周囲から溢れ出る炎を検出している。紫外線センサは、赤外線センサと異なり、高温に加熱された調理容器からの熱放射に影響されることがない。よって、紫外線センサを採用することにより調理容器から溢れ出た炎を精度よく検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−106729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、互いに隣り合う2つのコンロバーナが同時に燃焼しているとき、一方のコンロバーナでは炎溢れが生じていないにも関わらず、紫外線センサが他方のコンロバーナの火炎から発する紫外線の影響を受け、炎溢れを誤って検出してしまう場合がある。そして、紫外線センサによる炎溢れの誤検出が生じると、当該コンロバーナの火力を減少させる不要な制御が行われてしまい、使い勝手が悪い。
【0007】
上記の点に鑑み、本発明は、紫外線センサの炎の誤検出による不要な火力減少を防止して使い勝手の良いガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、互に隣り合う2つのコンロバーナと、少なくとも一方のコンロバーナを俯瞰するように配置した紫外線センサと、該紫外線センサの出力に基づいて一方のコンロバーナ上の調理容器の周囲から溢れ出る炎の有無を監視し、炎溢れが検出されたとき、一方のコンロバーナに対して火力を減少させる制御を行う炎溢れ時制御部とを備えるガスコンロにおいて、前記紫外線センサは、下方を向けた先端開口を紫外線の入射口として一方のコンロバーナ及びその周囲に視野を設定する筒状のカバーと、他方のコンロバーナ側となる前記カバーの先端開口の側半部を覆うことにより他方のコンロバーナを視野外とする遮蔽体とを備え、更に、前記紫外線センサが、前記一方のコンロバーナの直上位置から所定距離を存した前方に配置されていることにより当該コンロバーナの前側が視野内とされ且つ当該コンロバーナの後側が視野外とされていることを特徴とする。
【0009】
前記紫外線センサに前記カバーを設けたことにより、紫外線センサの視野が一方のコンロバーナ及びその周囲に制限される。そして更に、カバーの先端開口に前記遮蔽体を設けたことにより、他方のコンロバーナが紫外線センサの視野から外れ、他方のコンロバーナの炎からカバーの先端開口に向かう紫外線を遮蔽してカバー内部への入射を抑制することができる。よって、他方のコンロバーナからの紫外線の影響による紫外線センサの炎の誤検出が防止できるので、前記炎溢れ時制御部は、一方のコンロバーナの炎溢れを精度よく検出することができ、不要な火力減少を防止することができる。
【0011】
更に、前記紫外線センサは、前記一方のコンロバーナの直上位置から所定距離を存した前方に配置されているので、調理容器の外周面のうち使用者に対向する側が確実に視野内に収まり、使用者側に生じた炎溢れを確実に検出することができる。よって、使用者側に炎溢れが生じたときに、前記炎溢れ時制御部により迅速に火力を減少させる制御が行われ、使用者が炎に接触したり、衣服の袖に着火するといった事態が回避できて、使用者が熱い思いをすることを確実に防止できる。
【0012】
しかも、調理容器の外周面のうち使用者に対向する側が視野内に収められていれば、炎溢れの検出に不要な領域(例えば、使用者側と反対側の炎)を視野外とすることができ、必要最小限の領域を紫外線センサの視野に確実に収めて不要な紫外線の紫外線センサへの入射が抑制できる。更に、一方のコンロバーナ上に設定される紫外線センサの視野が、他方のコンロバーナにおける使用者側と反対側の炎から比較的大きく離間するので、他方のコンロバーナの影響による紫外線の誤検知を一層確実に防止でき、一方のコンロバーナに対する炎溢れの検出精度が向上する。
【0013】
また、本発明において、前記2つのコンロバーナの夫々に対して調理容器を使用しない直火調理が行われることを検出する直火調理検出部と、該直火調理検出部が前記2つのコンロバーナの両方又は何れか一方による直火調理を検出したとき、前記炎溢れ時制御部による制御を停止させる制御停止指示部とを設けることが好ましい。
【0014】
食材によっては、コンロバーナの直火を用いて調理する場合がある。この場合には、コンロバーナの炎から出る紫外線が極度に大きいために、炎溢れ時制御部が炎溢れと判断して火力を減少させる制御が行われてしまうおそれがある。また、炎溢れ時制御部が紫外線センサにより一方のコンロバーナ上の調理容器の周囲から溢れ出る炎の有無を監視しているときに他方のコンロバーナで直火調理を行うと、紫外線センサが前記カバー及び前記遮蔽体により他方のコンロバーナが視野外とされていても、他方のコンロバーナの直火調理中の炎から生じる大量の紫外線の影響により紫外線センサが炎溢れを誤検出してしまうおそれがある。
【0015】
そこで、本発明においては、前記直火調理検出部によって2つのコンロバーナの両方又は何れか一方による直火調理が検出された場合に、前記制御停止指示部により炎溢れ時制御部による制御を停止させる。これによれば、炎溢れとは無関係な状況や、紫外線センサが炎溢れを誤検出する状況にあるとき、前記炎溢れ時制御部の制御による不要な火力減少を防止できるので、使い勝手を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態を示す説明的正面図。
図2】本実施形態のガスコンロの要部の概略構成を示す説明図。
図3図1の説明的側面図。
図4】本実施形態における紫外線センサの説明的底面図。
図5図4のV−V線断面説明図。
図6】ガスコンロの説明的平面図。
図7】炎溢れ時制御部の作動を示すフローチャート。
図8】直火調理検出部及び制御停止指示部の作動を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1において1はガスコンロを示している。ガスコンロ1には、左右一対のコンロバーナ2a,2b(第1コンロバーナ2a,第2コンロバーナ2b)が設けられている。
【0018】
ガスコンロ1の前面には、第1コンロバーナ2aの点消火及び火力調節を行う操作子3aと、第2コンロバーナ2bの点消火及び火力調節を行う操作子3bとが設けられている。更に、ガスコンロ1の前面には、図示しない複数のスイッチを備える操作パネル4が設けられている。操作パネル4の各スイッチにより、コンロバーナ2a,2bの夫々の調理モード(「湯沸しモード」、「揚げ物モード」「茹で物モード」「高温モード」等)の設定やタイマ設定等が行えるようになっている。
【0019】
なお、図1において、5はグリルであり、3cは図示しないグリルバーナの点消火及び火力調節を行う操作子である。
【0020】
図2に示すように、各コンロバーナ2a,2bには、五徳6a,6b上に鍋等の調理容器Wa,Wbを載置したとき、調理容器Wa,Wbの底面に当接して温度を検出する鍋底温度センサ7a,7bが設けらている。鍋底温度センサ7a,7bは、図示しないバネにより上方に付勢されており、調理容器Wa,Wbの底面に当接したときに下動すると共に、調理容器Wa,Wbの底面に圧接するようになっている。更に、鍋底温度センサ7a,7bの下動によって調理容器Wa,Wbの有無を検出する鍋検出スイッチ8a,8bが設けられている。
【0021】
ガスコンロ1は、図2に示すように、コントローラ9を備えている。また、各コンロバーナ2a,2bに混合ガス(一次空気と燃料ガスとを混合したもの)を供給する夫々のガス供給管10a,10bには、元電磁弁11a,11b及び流量変更弁12a,12bが介設されている。更に、各コンロバーナ2a,2bに点火するための点火電極13a,13bと、各コンロバーナ2a,2bの着火を検出する熱電対14a,14bとが設けられている。
【0022】
コントローラ9は、第1コンロバーナ2aの燃焼を制御する第1燃焼制御部15aと、第2コンロバーナ2bの燃焼を制御する第2燃焼制御部15bとを機能として備えている。各燃焼制御部15a,15bからは、夫々独立して各種の制御信号が出力され、この制御信号により、元電磁弁11a,11b、流量変更弁12a,12b、及び点火電極13a,13bの作動が制御される。なお、両流量変更弁12a,12bは何れも電動弁であり、ステッピングモータ16a,16bにより駆動される図示しない弁体によりガス供給管10a,10bの開度を変更する。
【0023】
各燃焼制御部15a,15bは、操作パネル4により設定された調理モードに応じて所定の燃焼状態となるように夫々のコンロバーナ2a,2bを制御する。また、各燃焼制御部15a,15bは、鍋底温度センサ7a,7bからの温度情報や、鍋検出スイッチ8a,8bによる調理容器Wa,Wbの有無を示す情報に応じて夫々のコンロバーナ2a,2bを制御する。なお、各燃焼制御部15a,15bは、通常、点火時に鍋検出スイッチ8a,8bにより調理容器Wa,Wbの不在が確認されると点火動作を行わない。一方、調理容器Wa,Wbを用いない直火調理や、調理容器Wa,Wbを大きく移動させる炒め物調理等を行う場合、使用者が、操作パネル4のスイッチ操作により「高温モード」を選択することで、点火動作を行うことができ、直火調理や炒め物調理が支障なく行えるようになっている。
【0024】
また、図1に示すように、ガスコンロ1の上方にはレンジフード17が設けられている。レンジフード17には、夫々のコンロバーナ2a,2bを俯瞰するようにして、左右一対の紫外線センサ18a,18b(第1紫外線センサ18a、第2紫外線センサ18b)が配置されている。
【0025】
第1紫外線センサ18aは、図3に示すように、第1コンロバーナ2aの直上位置から所定距離を存した前方に配置されている。なお、図3には図示されないが、第2紫外線センサ18bは、第2コンロバーナ2bの直上位置から所定距離を存した前方に配置されている。
【0026】
第1紫外線センサ18aは、図4及び図5に示すように、センサ本体19を収容するケース20と、ケース20におけるセンサ本体19の受光部に対応する位置から下方に延びる円筒状のカバー21と、カバー21の先端開口の側半部を覆う半月状の遮蔽体22とを備えている。ケース20、カバー21、及び遮蔽体22は、何れも、外部からの紫外線を遮断する材料により形成されている。
【0027】
なお、図4及び図5においては、第1紫外線センサ18aの構成を示しているが、第2紫外線センサ18bの構成も同様である。また、カバー21は円筒でなくともよく、多角筒状に形成されていてもよい。
【0028】
このように構成されている各紫外線センサ18a,18bによって、図6に示すように、夫々の紫外線センサ18a,18bに対応する大略半円形状の視野Xa,Xbがガスコンロ1上面に設定される。即ち、第1紫外線センサ18aの視野Xaは、第1コンロバーナ2aの前側領域を含む比較的広い領域に設定されると共に、第2コンロバーナ2bとその周囲は視野Xaには入らない。同様に、第2紫外線センサ18bの視野Xbは、第2コンロバーナ2bの前側領域を含む比較的広い領域に設定されると共に、第1コンロバーナ2aとその周囲は視野Xbには入らない。
【0029】
各燃焼制御部15a,15bは、図2に示すように、炎溢れ時制御部23a,23bを機能として備えている。更に、炎溢れ時制御部23a,23bは、コンロバーナ2a,2b上の調理容器Wa,Wbの周囲から溢れ出る炎の有無を監視する炎溢れ検出部24a,24bと、炎溢れ検出部24a,24bにより炎溢れが検出されたとき、ステッピングモータ16a,16bを介して流量変更弁12a,12bによりコンロバーナ2a,2bの火力を減少させる火力調節部25a,25bとを機能として備えている。
【0030】
各紫外線センサ18a,18bは、図2に示すように、パルス発生手段26a,26bを介して炎溢れ検出部24a,24bに接続されている。紫外線センサ18a,18bは、入射する紫外線の強度に応じた電流を出力する。パルス発生手段26a,26bは、紫外線センサ18a,18bの出力電流を単位時間当たりのパルス数に変換する。炎溢れ検出部24a,24bは、パルス発生手段26a,26bから得られるパルス数をカウントし、カウントした値が予め定められている閾値を超えたとき、火力調節部25a,25bに対して炎溢れを示す信号を出力する。
【0031】
このとき、前述したように、第1紫外線センサ18aが第1コンロバーナ2aの直上位置から所定距離を存した前方に配置され、第2紫外線センサ18bが第2コンロバーナ2bの直上位置から所定距離を存した前方に配置され、各紫外線センサ18a,18bが、カバー21及び遮蔽体22を備えることにより、各紫外線センサ18a,18bの視野Xa,Xbが、図6に示すように設定される。これにより、両コンロバーナ2a,2bが燃焼中のとき、第2コンロバーナ2b上の調理容器Wb(図2参照)の外周からの炎溢れに伴う紫外線は、第1紫外線センサ18aによって検出されることは殆どなく、第1コンロバーナ2a上の調理容器Wa(図2参照)の外周からの炎溢れに伴う紫外線は、第2紫外線センサ18bによって検出されることは殆どない。
【0032】
次に、第1コンロバーナ2aに対する炎溢れ時制御部23aの制御を説明する。図7に示すように、コントローラ9は、STEP1で点火動作を行うと、続いて、STEP2に進んで炎溢れ時制御部23aによる炎溢れ制御を開始させる。これにより、炎溢れ時制御部23aは、炎溢れ検出部24aにより第1紫外線センサ18a及びパルス発生手段26aを介して第1コンロバーナ2aにおける炎溢れの監視を開始する。
【0033】
次いで、STEP3で炎溢れ検出部24aにより炎溢れが検出(炎溢れ有と判断)されると、STEP4に進み、炎溢れが検出(炎溢れ有りと判断)されない場合にはSTEP5に進む。炎溢れ検出部24aは、STEP3において、具体的には、3秒間にパルス発生手段26aから採取したパルス数が10以上カウントされたとき炎溢れ有と判断する。なお、上記パルス数は、第1コンロバーナ2a上に外径の異なる鍋を載置して各外径の鍋の外周からの炎溢れが目視されたときにカウントしたパルス数であり、このカウント数10を閾値として用いた。よって、STEP3において炎溢れを検出する際に閾値とするカウント数は、第1コンロバーナ2aの能力等に応じて適宜設定されるものである。
【0034】
STEP3で炎溢れ検出部24aにより炎溢れが検出(炎溢れ有りと判断)されてSTEP4に進むと、炎溢れ時制御部23aは、火力調節部25aにより第1コンロバーナ2aの火力を減少させる。STEP4において、火力調節部25aは、3秒間にパルス発生手段26aから採取したパルス数が10未満となるまで第1コンロバーナ2aの火力を減少させる。
【0035】
STEP4が実行されることにより、第1コンロバーナ2a上の調理容器Waの外周からの炎溢れが解消される。これにより、第1コンロバーナ2aにより熱エネルギーの無駄のない調理が行われる。
【0036】
更に、第1紫外線センサ18aが、第1コンロバーナ2aの直上位置から所定距離を存した前方に配置されていることにより、調理容器Waの外周面のうち使用者に対向する側が確実に視野Xa内に収まっている。従って、使用者側に生じた炎溢れを確実に検出することができ、STEP4が実行されることにより、使用者が炎に接触したり、衣服の袖に着火するといった事態が回避できて、使用者が熱い思いをすることが確実に防止される。
【0037】
また、STEP3で炎溢れが検出(炎溢れ有りと判断)されない場合には、コントローラ9はSTEP5に進み、調理終了等に応じて第1コンロバーナ2aが消火されたか否かを判断する。そして、STEP5で消火されていない場合にはSTEP3へ戻り、消火された場合にはSTEP6に進んで、炎溢れ時制御部23aによる炎溢れ制御を終了させる。なお、第2コンロバーナ2bに対する炎溢れ時制御部23bの制御も同様である。
【0038】
ところで、本実施形態のガスコンロ1は、炎溢れの検出に際して、使い勝手を向上させる機能を有している。即ち、図2に示すように、コントローラ9の各燃焼制御部15a,15bは、直火調理が行われることを検出する直火調理検出部27a,27bと、炎溢れ時制御部23a,23bによる制御を停止させる制御停止指示部28a,28bとを機能として備えている。直火調理検出部27a,27bは、操作パネル4のスイッチ操作によりコンロバーナ2a,2bの少なくとも一方で「高温モード」が選択されたとき、直火調理が検出されたことを示す信号を制御停止指示部28a,28bに送る。
【0039】
夫々の紫外線センサ18a,18bの視野Xa,Xbは、図6に示すように設定されているが、「高温モード」による炙りなどの直火調理が第1コンロバーナ2aによって行われている場合には、第1コンロバーナ2aにおける炎溢れの検出は不要である。そこで、制御停止指示部28aは、直火調理検出部27aが第1コンロバーナ2aに対する「高温モード」の選択を検出したとき、炎溢れ時制御部23aによる第1コンロバーナ2aの制御を停止させる。
【0040】
また、第1コンロバーナ2a上の調理容器Waの外周からの炎溢れを炎溢れ時制御部23aの炎溢れ検出部24aによって監視しているときに、第2コンロバーナ2bによって「高温モード」による直火調理が行われると、第2コンロバーナ2b上に調理容器等がなく、比較的多量の紫外線が放出されることにより、第1紫外線センサ18aが第2コンロバーナ2bからの紫外線を検出してしまうおそれがある。そこで、制御停止指示部28aは、直火調理検出部27aが第2コンロバーナ2bに対する「高温モード」の選択を検出したとき、炎溢れ時制御部23aによる第1コンロバーナ2aの制御を停止させる。
【0041】
即ち、図8のフローチャートに沿って、直火調理に対する第1コンロバーナ2aの制御を説明すれば、次の通りである。図8に示すように、第1コンロバーナ2aが点火されると、直火調理検出部27aは、STEP7で、第1コンロバーナ2aと第2コンロバーナ2bとの少なくとも何れか一方に対する「高温モード」の選択を検出すると、STEP8に進んで炎溢れ時制御部23aによる第1コンロバーナ2aの制御を停止させる。その後、直火調理検出部27aは、STEP9に進んで、「高温モード」の選択が解除されるまでSTEP8での停止状態を維持させ、「高温モード」の選択が解除されたとき、STEP10に進んで炎溢れ時制御部23aによる炎溢れ制御を開始させる。
【0042】
図示しないが、第2コンロバーナ2bにおいても同様の制御が行われる。即ち、「高温モード」による直火調理が第2コンロバーナ2bによって行われている場合には、第2コンロバーナ2bにおける炎溢れの検出は不要である。そこで、制御停止指示部28bは、直火調理検出部27bが第2コンロバーナ2bに対する「高温モード」の選択を検出したとき、炎溢れ時制御部23bによる第2コンロバーナ2bの制御を停止させる。
【0043】
また、第2コンロバーナ2b上の調理容器Wbの外周からの炎溢れを炎溢れ時制御部23bの炎溢れ検出部24bによって監視しているときに、第1コンロバーナ2aによって「高温モード」による直火調理が行われると、第2紫外線センサ18bが第1コンロバーナ2aからの紫外線を検出してしまうおそれがある。そこで、制御停止指示部28bは、直火調理検出部27bが第1コンロバーナ2aに対する「高温モード」の選択を検出したとき、炎溢れ時制御部23bによる第2コンロバーナ2bの制御を停止させる。
【0044】
このように、本実施形態のガスコンロ1は、コントローラ9が直火調理検出部27a,27b及び制御停止指示部28a,28bの機能を有することにより、炎溢れとは無関係な状況や、紫外線センサ18a,18bが炎溢れを誤検出する状況にあるとき、炎溢れ時制御部23a,23bの制御による不要な火力減少を防止できるので、使い勝手を一層向上させることができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、各紫外線センサ18a,18bをレンジフード17に設けた例を示したが、各紫外線センサ18a,18bの設置位置はこれに限るものではなく、図6に示す視野Xa,Xbが設定できれば、例えば、各コンロバーナ2a,2bを俯瞰することが可能となる台所の天井等に設置してもよい。
【0046】
また、本実施形態においては、第1コンロバーナ2aと第2コンロバーナ2bとの両方に対して炎溢れの検出を行うものを示したが、何れか一方のコンロバーナにのみ炎溢れの検出を行うように構成することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…ガスコンロ、2a,2b…コンロバーナ、18a,18b…紫外線センサ、21…カバー、22…遮蔽体、23a,23b…炎溢れ時制御部、27a,27b…直火調理検出部、28a,28b…制御停止指示部、Wa,Wb…調理容器、Xa,Xb…視野。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8