【実施例】
【0025】
図1に示すように、液状材料射出装置10は、加熱筒21にスクリュー22を回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズル23を備え、このノズル23に三方弁60(詳細は後述する。)を有すると共に材料入口25を有するインライン式スクリュー射出機20を備えている。加熱筒21の後部に射出シリンダ26及びスクリュー回転機構27を備え、スクリュー22の基部に距離計28を備えている。
【0026】
更に、加熱筒21へ第1液状樹脂材料29を供給する第1液状材料供給機構30が備えられている。第1液状材料供給機構30は、例えば、第1液状樹脂材料29を貯留する第1容器31と、この第1容器31に付属する第1ポンプ32と、この第1ポンプ32の吐出口から加熱筒21の基部まで延びて第1液状樹脂材料29を加熱筒21内へ供給する第1供給路33とからなる。
【0027】
スクリュー回転機構27でスクリュー22を所定方向に回すと、第1液状樹脂材料29がスクリュー22の螺旋溝を通ってスクリュー22の先端に至り、そこに溜まる。この溜まりでスクリュー22がノズル23から離れる方向へ移動(後進)する。この移動量(後進量)は距離計28で計測される。スクリュー22の外径×移動量=貯留量の計算により、貯留された第1液状樹脂材料29の量が求まる。この量が、所定値(例えば20cm
3)に達したらスクリュー22の回転を停止する。次に、射出シリンダ26でスクリュー22を前進させて、ノズル23から第1液状樹脂材料29を金型34へ射出する。
【0028】
加えて、液状材料射出装置10は、インライン式スクリュー射出機20の射出量に対して数分の1の量(例えば、1/4)の第2液状樹脂材料36を射出する定量供給機構40と、この定量供給機構40から材料入口25まで延びて第2液状樹脂材料36をノズル23へ供給する材料供給路41と、定量供給機構40へ定圧の第2液状樹脂材料36を供給する第2液状材料供給機構50とを備えている。
【0029】
第2液状材料供給機構50は、第2液状樹脂材料36を貯留する第2容器51と、この第2容器51に付属する第2ポンプ52と、この第2ポンプ52の吐出口から延びる第2供給路53とからなる。この第2供給路53には、定圧弁の相当する減圧弁54が設けられている。
【0030】
定量供給機構40は、シリンダ42と、このシリンダ42に往復移動可能に収納されるピストン43と、このピストン43を移動させるピストン移動手段44とからなり、第2ポンプ52で圧送されて減圧弁54で一定の圧とされた第2液状樹脂材料36を計量する。第2液状樹脂材料36は、一定圧で計量されるため、計量精度は格段に高まる。計量された第2液状樹脂材料36はピストン43で押され、材料供給路41を介して材料入口25へ供給される。
【0031】
好ましくは、第2供給路53に逆止弁55を設け、材料供給路41にばね付き逆止弁56を設ける。逆止弁55が開くことで、シリンダ42内へ第2液状樹脂材料36が溜められる。このとき、ばね付き逆止弁56は、ばねの付勢作用で閉じているため、シリンダ42内の第2液状樹脂材料36がノズル23側へ漏れる心配はない。
ピストン43を前進(図では下降)させると、逆止弁55は閉じ、ばね付き逆止弁56が開くため、第2液状樹脂材料36がノズル23へ供給される。
【0032】
図2に示すように、三方弁60は、球状の弁体61に、穴径がd1である直線状の主通路62と、この主通路62の途中から直角に分岐し穴径d1より小さなd2である枝通路63を備えている。d1:d2は、例えば2:1とする。
弁体61は弁アクチュエータ64で回される。
図2では、材料入口25は弁体61で閉じられている。そして、ノズル穴65に主通路62が揃っているため、量Qで示す第1液状樹脂材料29がノズル23から射出される。
【0033】
図3に示すように、弁アクチュエータ64で、図面時計回りに90°弁体61を回すと、主通路62は材料入口25に繋がり、枝通路63がノズル穴65に繋がる。量qで示す第2液状樹脂材料36は、主通路62の半分及び枝通路63を流れ、ノズル23から射出される。
【0034】
図1で説明したインライン式スクリュー射出機20は、射出量の最大値が20cm
3である。
図4(a)に示すように、流れが不安定になりやすい90%以上と20%以下をカットした20〜90%の領域で制御することが望まれる。すると、好ましいレンジアビリティは4.5:1となる。
【0035】
図1で説明した定量供給機構40は、射出量の最大値が5cm
3である。
図4(b)に示すように、流れが不安定になりやすい90%以上と20%以下をカットした20〜90%の領域で制御することが望まれる。すると、好ましいレンジアビリティは4.5:1となる。
【0036】
図4(c)に示すように、
図4(a)、(b)を重ねると、最大射出量が18cm
3で最小射出量が1cm
3で、レンジアビリティが18:1である液状材料射出装置が得られる。
すなわち、1基の液状材料射出装置で小さな製品から大きな製品までを成形することができる。
【0037】
なお、第1液状樹脂材料29と第2液状樹脂材料36は、同材とする他、異材としてもよい。異材であれば、より多様な成形品が得られ、液状材料射出装置の用途が広がる。
【0038】
また、
図2にて、三方弁60は、手動であってもよいが、弁アクチュエータ64を備える自動弁の方が、射出作業の効率化を図ることができ、生産性が高まる。
【0039】
さらに、
図1に示すように、インライン式スクリュー射出機20は、移動シリンダ67で前後移動される台68に載せられるが、この台68は十分に幅狭である。そして、小容量であるため、定量供給機構40は、十分に小さく、加熱筒21又は射出シリンダ26に載せることや台68に載せることができる。結果、液状材料射出装置10の平面積を従来の装置の平面積より、格段に小さくすることができる。
【0040】
尚、第1液状材料供給機構30と第2液状材料供給機構50の構成は液状樹脂材料を主剤と硬化剤とで別々の液状樹脂材料供給機構から供給し、合流させて液状樹脂材料射出装置に供給する等適宜変更することは差し支えない。
【0041】
次に、液状材料射出装置の変形例を説明する。
図5に示すように、液状材料射出装置10Bは、加熱筒21にスクリュー22を回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズル23を備え、このノズル23に三方弁60を備えると共に材料入口25を備えているインライン式スクリュー射出機20と、加熱筒21へ液状樹脂材料29Bを供給する液状材料供給機構30Bと、スクリュー22の前進作用により液状樹脂材料29Bを射出するインライン式スクリュー射出機20の射出量に対して数分の1の量の液状樹脂材料29Bを射出する定量供給機構40と、この定量供給機構40から材料入口25まで延びて液状樹脂材料29Bをノズル23へ供給する第1材料供給路69とを備え、加熱筒21とノズル23との間にアダプタ70を着脱自在に設け、アダプタ70にノズル23と非連通状態で加熱筒21から定量供給機構40へ液状樹脂材料29Bを供給する第2材料供給路71を備えている。
【0042】
好ましくは、第2材料供給路71に、アダプタ70から定量供給機構40への流れを許容し、定量供給機構40からアダプタ70への流れを許容しない逆止弁72を備える。
第1材料供給路69にも逆止弁56を備える。ノズル23から定量供給機構40、定量供給機構40からアダプタ70への逆流を防止することができる。
その他の構成要素は、
図1の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
【0043】
先ず、液状材料供給機構30Bで加熱筒21に液状樹脂材料29Bが供給される。この液状樹脂材料29Bは、スクリュー22で定量供給機構40に供給される。定量供給機構40で、一定量の少量の液状樹脂材料29Bがノズル23へ供給され、このノズル23から金型34へ吐出される。
【0044】
アダプタ70の構造の一例を次に説明する。
図6に示すように、アダプタ70は、筒部73と、この筒部73の一端に設けられ加熱筒21にねじ74で締結される筒側フランジ75と、筒部73の他端(先端)に設けられノズル23がねじ74で締結されるノズル側フランジ77と、筒内通路78の出口79とを備えている。この出口79に第2材料供給路71が接続される。
【0045】
また、好ましくは、ノズル23の先端部に、シャットオフ弁80を内蔵する。
図7に示すように、シャットオフ弁80は、先尖り形状の弁体81と、この弁体81を軸方向移動自在に収納する弁筒82と、弁体81をシャット(弁閉)側へ付勢する弁ばね83とからなる。弁閉時には、弁体81はノズル23の内面に、点84で当たっている。
【0046】
液状樹脂材料29Bの圧力が低いときは、弁ばね83の付勢力で弁閉状態が保たれる。
弁体81には、弁筒82に全部が入らぬように段部85を設けてある。この段部85へ、液状樹脂材料29Bの圧力により図面左向きの力が加わる。一方、弁体81のテーパ面86に液状樹脂材料29Bの圧力により図面右向きの力が加わる。左右の力が相殺される。
【0047】
段部の起点87と点84の間では、液状樹脂材料29Bの圧力により図面右向きの力だけが弁体81に加わる。起点87と点84の間に加わる力は、液状樹脂材料29Bの圧力に比例して増加する。よって、液状樹脂材料29Bの圧力が高まり、弁ばね83の付勢力を超えるような図面右向きの力が発生すると、弁体81が移動して、弁開状態となる。
【0048】
図5にて、定量供給機構40の供給が停止され、ノズル23内での液状樹脂材料29Bの圧力が下がると、シャットオフ弁80がノズル23を機械的に閉じる。結果、液状樹脂材料29Bがノズル23から漏れることを確実に防止することができる。
【0049】
金型34を交換するなどして、液状樹脂材料29Bの供給量を、少量から多量に切り換える必要が出たときには、次の手順で模様替えを実施する。
図6にて材料入口25から第1材料供給路69を外し、出口79から第2材料供給路71を外す。次に、ねじ74を緩めて、加熱筒21及びノズル23からアダプタ70を分離する。次に、加熱筒21にねじ74でノズル23を直接取付ける。
【0050】
結果、
図8に示す形態の液状材料射出装置10Cを得ることができる。なお、三方弁60を回し、加熱筒21とノズル23とを連通状態にする。材料入口25はプラグ88で塞ぐことが推奨される。材料入口25からの液漏れが防止できると共にごみの侵入が防げる。そして、この液状材料射出装置10Cで多量の液状樹脂材料をノズル23から吐出することができる。
【0051】
アダプタ70や第1・第2材料供給路69、71及び定量供給機構40は洗浄後保管しておき、必要なときに、加熱筒21とノズル23との間に介在させる。
図5と
図8の形態が容易に得られる。
【0052】
すなわち、液状樹脂材料の材料供給をインライン式スクリュー射出機20で共用とした。すなわち、着脱可能なアダプタ70により直接射出又は材料供給路71を介して定量供給機構40に供給可能な構成とした。この場合、2色成形機のように交互に射出することはできないが、材料供給路を単一化することができ、材料替えや金型交換のタイミングに応じて最適な構成を選択することができる。また、インライン式射出機20の貯留量は定量供給機構40の容量に比べて十分に大きいため、スクリュー22を介して十分な混練が図られ、液状樹脂材料の密度や品質の安定化を図ることができる。
【0053】
なお、シャットオフ弁80は、
図1に示す液状材料供給装置10に適用することは差し支えない。