特許第6058594号(P6058594)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058594
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】液状材料射出装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/20 20060101AFI20161226BHJP
   B29C 45/50 20060101ALI20161226BHJP
   B29C 45/23 20060101ALI20161226BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   B29C45/20
   B29C45/50
   B29C45/23
   B29C45/16
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-153078(P2014-153078)
(22)【出願日】2014年7月28日
(65)【公開番号】特開2016-30368(P2016-30368A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2016年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227054
【氏名又は名称】日精樹脂工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】池田 透
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−243704(JP,A)
【文献】 特開2014−097606(JP,A)
【文献】 実開昭61−158409(JP,U)
【文献】 特開2011−183712(JP,A)
【文献】 特開昭56−123846(JP,A)
【文献】 特開平10−264222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C39/00−45/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状樹脂材料を金型へ射出する液状材料射出装置であって、
加熱筒にスクリューを回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズルを備え、このノズルに三方弁を備えると共に材料入口を備えているインライン式スクリュー射出機と、
前記加熱筒へ第1液状樹脂材料を供給する第1液状材料供給機構と、
前記スクリューの前進作用により前記第1液状樹脂材料を射出する前記インライン式スクリュー射出機の射出量より少量の第2液状樹脂材料を射出し、前記第1液状材料供給機構と組み合わせて算出する(最大流量÷最小流量)が10を超えるような定量供給機構と、
この定量供給機構から前記材料入口まで延びて前記第2液状樹脂材料を前記ノズルへ供給する材料供給路と、
前記定量供給機構へ定圧の前記第2液状樹脂材料を供給する第2液状材料供給機構と、
を備え、
前記第1液状樹脂材料と前記第2液状樹脂材料の一方を金型へ射出することを特徴とす
る液状材料射出装置。
【請求項2】
前記第1液状樹脂材料と前記第2液状樹脂材料は、互いに異なる性質の材料であることを特徴とする請求項1記載の液状材料射出装置。
【請求項3】
液状樹脂材料を金型へ射出する液状材料射出装置であって、
加熱筒にスクリューを回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズルを備え、こ
のノズルに三方弁を備えると共に材料入口を備えているインライン式スクリュー射出機と

前記加熱筒へ前記液状樹脂材料を供給する液状材料供給機構と、
前記スクリューの前進作用により前記液状樹脂材料を射出する前記インライン式スクリュー射出機の射出量より少量の液状樹脂材料を射出し、前記液状材料供給機構と組み合わせて算出する(最大流量÷最小流量)が10を超えるような定量供給機構と、
この定量供給機構から前記材料入口まで延びて前記液状樹脂材料を前記ノズルへ供給す
る第1材料供給路とを備え、
前記加熱筒と前記ノズルとの間にアダプタを着脱自在に設け、前記アダプタに前記ノズ
ルと非連通状態で前記加熱筒から前記定量供給機構へ前記液状樹脂材料を供給する第2材
料供給路を備えていることを特徴とする液状材料射出装置。
【請求項4】
前記第2材料供給路は、前記アダプタから前記定量供給機構への流れを許容し、前記定量供給機構から前記アダプタへの流れを許容しない逆止弁を備えていることを特徴とする請求項3記載の液状材料射出装置。
【請求項5】
前記三方弁に、前記第1液状樹脂材料と第2液状樹脂材料の一方又は前記液状樹脂材料を前記金型へ射出するように前記三方弁を切り換える弁アクチュエータとを備えることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の液状材料射出装置。
【請求項6】
前記ノズルに、シャットオフ弁を備えることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の液状材料射出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状樹脂材料を金型へ射出する液状材料射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は2色成形に供する液状材料射出装置に限定するものではないが、分かりやすいので2色成形法を従来の技術として説明する。
【0003】
従来から、2色成形法が実用に供されている。すなわち、第1射出機で、ある色の樹脂材料を射出し、この樹脂材料が凝固したら、第2射出機で別の色の樹脂材料を射出する。この場合、1つの金型に2つの射出機が用意される(例えば、特許文献1(図1)参照。)。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図9は従来の技術の基本構成を説明する図であり、1個のノズル101に、連結保持体102を介して第1の射出機103と第2の射出機104が接続されている。例えば、第1の射出機103でA色の樹脂材料をノズル101に供給し、この間は第2の射出機104は射出させない。次に、第2の射出機104でB色の樹脂材料をノズル101に供給し、この間は第1の射出機103は射出させない。
【0005】
一般に、第1の射出機103と第2の射出機104とは、共通の台105に載せられる。この台105は移動シリンダ106により、ノズルタッチ位置からノズル待機位置まで移動する。
台105の平面積が大きいため、作業場に、多数の射出装置を密に配置することは困難である。
【0006】
また、制御弁等では、レンジアビリティ(range−ability)と呼ぶ指標が知られている。このレンジアビリティは、制御可能な最大流量と最小流量の比と定義され、(最大流量÷最小流量):1と表記される。
射出機103、104にもレンジアビリティが存在し、インライン式スクリュー射出機では、5:1程度と言われている。
【0007】
近年、溶融樹脂材料の他に、液状樹脂材料を金型へ射出することが行われるようになってきた。液状樹脂材料は、流動性に富むこともあり、微小な製品から大型の製品まで幅広く射出成形が可能となる。結果、10:1を超える大きなレンジアビリティが必要となる。
しかし、特許文献1の技術は、レンジアビリティは5:1程度であり、液状樹脂材料の射出には適していない。
【0008】
液状樹脂材料の成形が普及する中、液状樹脂材料の射出に適し、装置の平面積が小さな射出装置が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第2966177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、液状樹脂材料の射出に適し、装置の平面積が小さな射出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に係る発明は、液状樹脂材料を金型へ射出する液状材料射出装置であって、加熱筒にスクリューを回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズルを備え、このノズルに三方弁を備えると共に材料入口を備えているインライン式スクリュー射出機と、前記加熱筒へ第1液状樹脂材料を供給する第1液状材料供給機構と、前記加熱筒へ第1液状樹脂材料を供給する第1液状材料供給機構と、前記スクリューの前進作用により前記第1液状樹脂材料を射出する前記インライン式スクリュー射出機の射出量より少量の第2液状樹脂材料を射出し、前記第1液状樹脂材料供給機構と組み合わせて算出する(最大流量÷最小流量)が10を超えるような定量供給機構と、この定量供給機構から前記材料入口まで延びて前記第2液状樹脂材料を前記ノズルへ供給する材料供給路と、前記定量供給機構へ定圧の前記第2液状樹脂材料を供給する第2液状材料供給機構と、を備え、前記第1液状樹脂材料と前記第2液状樹脂材料の一方を金型へ射出することを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る発明では、第1液状樹脂材料と第2液状樹脂材料は、互いに異なる性質の材料であることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係る発明は、液状樹脂材料を金型へ射出する液状材料射出装置であって、加熱筒にスクリューを回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズルを備え、このノズルに三方弁を備えると共に材料入口を備えているインライン式スクリュー射出機と、前記加熱筒へ前記液状樹脂材料を供給する液状材料供給機構と、前記スクリューの前進作用により前記液状樹脂材料を射出する前記インライン式スクリュー射出機の射出量より少量の液状樹脂材料を射出し、前記液状材料供給機構と組み合わせて算出する(最大流量÷最小流量)が10を超えるような定量供給機構と、この定量供給機構から前記材料入口まで延びて前記液状樹脂材料を前記ノズルへ供給する第1材料供給路とを備え、前記加熱筒と前記ノズルとの間にアダプタを着脱自在に設け、前記アダプタに前記ノズルと非連通状態で前記加熱筒から前記定量供給機構へ前記液状樹脂材料を供給する第2材料供給路を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係る発明では、第2材料供給路は、アダプタから定量供給機構への流れを許容し、定量供給機構からアダプタへの流れを許容しない逆止弁を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明は、三方弁に、第1液状樹脂材料と第2液状樹脂材料の一方又は液状樹脂材料を金型へ射出するように三方弁を切り換える弁アクチュエータとを備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明は、ノズルに、シャットオフ弁を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に係る発明では、第1液状樹脂材料を射出するインライン式スクリュー射出機と、このインライン式スクリュー射出機の射出量より少量の第2液状樹脂材料を射出し、第1液状樹脂材料供給機構と組み合わせて算出する(最大流量÷最小流量)が10を超えるような定量供給機構とを備えている。インライン式スクリュー射出機と定量供給機構とでレンジアビリティを拡大することができる。加えて、射出量が小さな定量供給機構はインライン式スクリュー射出機に比較して十分に小型である。結果、装置の平面積を特許文献1に示される従来装置の平面積より、格段に小さくすることができる。
すなわち、本発明によれば、液状樹脂材料の射出に適し、装置の平面積が小さな射出装置が提供される。
【0018】
請求項2に係る発明では、第1液状樹脂材料と第2液状樹脂材料は、互いに異なる性質の材料である。第1液状樹脂材料と第2液状樹脂材料は、同材でもよいが、異材とした方が、多様な成形品が得られ、射出装置の有効利用が図れる。
【0019】
請求項3に係る発明では、液状樹脂材料の材料供給をインライン式スクリュー射出機で共用とした。すなわち、着脱可能なアダプタにより直接射出又は材料供給路を介して定量供給機構に供給可能な構成とした。この場合、2色成形機のように交互に射出することはできないが、材料供給路を単一化することができ、材料替えや金型交換のタイミングに応じて最適な構成を選択することができる。そして、インライン式スクリュー射出機が共用されるため、液状材料射出装置は小型である。
すなわち、本発明によれば、液状樹脂材料の射出に適し、装置の平面積が小さな射出装置が提供される。
【0020】
請求項4に係る発明では、第2材料供給路は、逆止弁を備えているため、定量供給機構からアダプタへ樹脂材料が逆流する心配がない。
【0021】
請求項5に係る発明は、三方弁に、第1液状樹脂材料と第2液状樹脂材料の一方又は液状樹脂材料を金型へ射出するように三方弁を切り換える弁アクチュエータとを備える。三方弁は、手動、自動の何れでもよいが、弁アクチュエータを備える自動弁の方が、射出作業の効率化を図ることができ、生産性が高まる。
【0022】
非液状樹脂材料に比較して液状樹脂材料は、ノズルの先端から漏れやすい。そこで、請求項6に係る発明では、ノズルに、シャットオフ弁を備えることで、樹脂材料の漏れを防止するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る液状材料射出装置の構成図である。
図2図1の2部拡大図である。
図3】三方弁の作用図である。
図4】レンジアビリティを説明する図である。
図5】別の液状材料射出装置の構成図である。
図6図5の6部拡大図である。
図7】シャットオフ弁の作用図である。
図8】アダプタを除いた液状材料射出装置の形態を示す図である。
図9】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、請求項1に係る好適実施例は、図1図4で説明し、請求項3に係る好適実施例は、図5図8で説明する。
【実施例】
【0025】
図1に示すように、液状材料射出装置10は、加熱筒21にスクリュー22を回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズル23を備え、このノズル23に三方弁60(詳細は後述する。)を有すると共に材料入口25を有するインライン式スクリュー射出機20を備えている。加熱筒21の後部に射出シリンダ26及びスクリュー回転機構27を備え、スクリュー22の基部に距離計28を備えている。
【0026】
更に、加熱筒21へ第1液状樹脂材料29を供給する第1液状材料供給機構30が備えられている。第1液状材料供給機構30は、例えば、第1液状樹脂材料29を貯留する第1容器31と、この第1容器31に付属する第1ポンプ32と、この第1ポンプ32の吐出口から加熱筒21の基部まで延びて第1液状樹脂材料29を加熱筒21内へ供給する第1供給路33とからなる。
【0027】
スクリュー回転機構27でスクリュー22を所定方向に回すと、第1液状樹脂材料29がスクリュー22の螺旋溝を通ってスクリュー22の先端に至り、そこに溜まる。この溜まりでスクリュー22がノズル23から離れる方向へ移動(後進)する。この移動量(後進量)は距離計28で計測される。スクリュー22の外径×移動量=貯留量の計算により、貯留された第1液状樹脂材料29の量が求まる。この量が、所定値(例えば20cm)に達したらスクリュー22の回転を停止する。次に、射出シリンダ26でスクリュー22を前進させて、ノズル23から第1液状樹脂材料29を金型34へ射出する。
【0028】
加えて、液状材料射出装置10は、インライン式スクリュー射出機20の射出量に対して数分の1の量(例えば、1/4)の第2液状樹脂材料36を射出する定量供給機構40と、この定量供給機構40から材料入口25まで延びて第2液状樹脂材料36をノズル23へ供給する材料供給路41と、定量供給機構40へ定圧の第2液状樹脂材料36を供給する第2液状材料供給機構50とを備えている。
【0029】
第2液状材料供給機構50は、第2液状樹脂材料36を貯留する第2容器51と、この第2容器51に付属する第2ポンプ52と、この第2ポンプ52の吐出口から延びる第2供給路53とからなる。この第2供給路53には、定圧弁の相当する減圧弁54が設けられている。
【0030】
定量供給機構40は、シリンダ42と、このシリンダ42に往復移動可能に収納されるピストン43と、このピストン43を移動させるピストン移動手段44とからなり、第2ポンプ52で圧送されて減圧弁54で一定の圧とされた第2液状樹脂材料36を計量する。第2液状樹脂材料36は、一定圧で計量されるため、計量精度は格段に高まる。計量された第2液状樹脂材料36はピストン43で押され、材料供給路41を介して材料入口25へ供給される。
【0031】
好ましくは、第2供給路53に逆止弁55を設け、材料供給路41にばね付き逆止弁56を設ける。逆止弁55が開くことで、シリンダ42内へ第2液状樹脂材料36が溜められる。このとき、ばね付き逆止弁56は、ばねの付勢作用で閉じているため、シリンダ42内の第2液状樹脂材料36がノズル23側へ漏れる心配はない。
ピストン43を前進(図では下降)させると、逆止弁55は閉じ、ばね付き逆止弁56が開くため、第2液状樹脂材料36がノズル23へ供給される。
【0032】
図2に示すように、三方弁60は、球状の弁体61に、穴径がd1である直線状の主通路62と、この主通路62の途中から直角に分岐し穴径d1より小さなd2である枝通路63を備えている。d1:d2は、例えば2:1とする。
弁体61は弁アクチュエータ64で回される。図2では、材料入口25は弁体61で閉じられている。そして、ノズル穴65に主通路62が揃っているため、量Qで示す第1液状樹脂材料29がノズル23から射出される。
【0033】
図3に示すように、弁アクチュエータ64で、図面時計回りに90°弁体61を回すと、主通路62は材料入口25に繋がり、枝通路63がノズル穴65に繋がる。量qで示す第2液状樹脂材料36は、主通路62の半分及び枝通路63を流れ、ノズル23から射出される。
【0034】
図1で説明したインライン式スクリュー射出機20は、射出量の最大値が20cmである。
図4(a)に示すように、流れが不安定になりやすい90%以上と20%以下をカットした20〜90%の領域で制御することが望まれる。すると、好ましいレンジアビリティは4.5:1となる。
【0035】
図1で説明した定量供給機構40は、射出量の最大値が5cmである。
図4(b)に示すように、流れが不安定になりやすい90%以上と20%以下をカットした20〜90%の領域で制御することが望まれる。すると、好ましいレンジアビリティは4.5:1となる。
【0036】
図4(c)に示すように、図4(a)、(b)を重ねると、最大射出量が18cmで最小射出量が1cmで、レンジアビリティが18:1である液状材料射出装置が得られる。
すなわち、1基の液状材料射出装置で小さな製品から大きな製品までを成形することができる。
【0037】
なお、第1液状樹脂材料29と第2液状樹脂材料36は、同材とする他、異材としてもよい。異材であれば、より多様な成形品が得られ、液状材料射出装置の用途が広がる。
【0038】
また、図2にて、三方弁60は、手動であってもよいが、弁アクチュエータ64を備える自動弁の方が、射出作業の効率化を図ることができ、生産性が高まる。
【0039】
さらに、図1に示すように、インライン式スクリュー射出機20は、移動シリンダ67で前後移動される台68に載せられるが、この台68は十分に幅狭である。そして、小容量であるため、定量供給機構40は、十分に小さく、加熱筒21又は射出シリンダ26に載せることや台68に載せることができる。結果、液状材料射出装置10の平面積を従来の装置の平面積より、格段に小さくすることができる。
【0040】
尚、第1液状材料供給機構30と第2液状材料供給機構50の構成は液状樹脂材料を主剤と硬化剤とで別々の液状樹脂材料供給機構から供給し、合流させて液状樹脂材料射出装置に供給する等適宜変更することは差し支えない。
【0041】
次に、液状材料射出装置の変形例を説明する。
図5に示すように、液状材料射出装置10Bは、加熱筒21にスクリュー22を回転自在に且つ往復移動自在に収納し、先端にノズル23を備え、このノズル23に三方弁60を備えると共に材料入口25を備えているインライン式スクリュー射出機20と、加熱筒21へ液状樹脂材料29Bを供給する液状材料供給機構30Bと、スクリュー22の前進作用により液状樹脂材料29Bを射出するインライン式スクリュー射出機20の射出量に対して数分の1の量の液状樹脂材料29Bを射出する定量供給機構40と、この定量供給機構40から材料入口25まで延びて液状樹脂材料29Bをノズル23へ供給する第1材料供給路69とを備え、加熱筒21とノズル23との間にアダプタ70を着脱自在に設け、アダプタ70にノズル23と非連通状態で加熱筒21から定量供給機構40へ液状樹脂材料29Bを供給する第2材料供給路71を備えている。
【0042】
好ましくは、第2材料供給路71に、アダプタ70から定量供給機構40への流れを許容し、定量供給機構40からアダプタ70への流れを許容しない逆止弁72を備える。
第1材料供給路69にも逆止弁56を備える。ノズル23から定量供給機構40、定量供給機構40からアダプタ70への逆流を防止することができる。
その他の構成要素は、図1の符号を流用し、詳細な説明は省略する。
【0043】
先ず、液状材料供給機構30Bで加熱筒21に液状樹脂材料29Bが供給される。この液状樹脂材料29Bは、スクリュー22で定量供給機構40に供給される。定量供給機構40で、一定量の少量の液状樹脂材料29Bがノズル23へ供給され、このノズル23から金型34へ吐出される。
【0044】
アダプタ70の構造の一例を次に説明する。
図6に示すように、アダプタ70は、筒部73と、この筒部73の一端に設けられ加熱筒21にねじ74で締結される筒側フランジ75と、筒部73の他端(先端)に設けられノズル23がねじ74で締結されるノズル側フランジ77と、筒内通路78の出口79とを備えている。この出口79に第2材料供給路71が接続される。
【0045】
また、好ましくは、ノズル23の先端部に、シャットオフ弁80を内蔵する。
図7に示すように、シャットオフ弁80は、先尖り形状の弁体81と、この弁体81を軸方向移動自在に収納する弁筒82と、弁体81をシャット(弁閉)側へ付勢する弁ばね83とからなる。弁閉時には、弁体81はノズル23の内面に、点84で当たっている。
【0046】
液状樹脂材料29Bの圧力が低いときは、弁ばね83の付勢力で弁閉状態が保たれる。
弁体81には、弁筒82に全部が入らぬように段部85を設けてある。この段部85へ、液状樹脂材料29Bの圧力により図面左向きの力が加わる。一方、弁体81のテーパ面86に液状樹脂材料29Bの圧力により図面右向きの力が加わる。左右の力が相殺される。
【0047】
段部の起点87と点84の間では、液状樹脂材料29Bの圧力により図面右向きの力だけが弁体81に加わる。起点87と点84の間に加わる力は、液状樹脂材料29Bの圧力に比例して増加する。よって、液状樹脂材料29Bの圧力が高まり、弁ばね83の付勢力を超えるような図面右向きの力が発生すると、弁体81が移動して、弁開状態となる。
【0048】
図5にて、定量供給機構40の供給が停止され、ノズル23内での液状樹脂材料29Bの圧力が下がると、シャットオフ弁80がノズル23を機械的に閉じる。結果、液状樹脂材料29Bがノズル23から漏れることを確実に防止することができる。
【0049】
金型34を交換するなどして、液状樹脂材料29Bの供給量を、少量から多量に切り換える必要が出たときには、次の手順で模様替えを実施する。
図6にて材料入口25から第1材料供給路69を外し、出口79から第2材料供給路71を外す。次に、ねじ74を緩めて、加熱筒21及びノズル23からアダプタ70を分離する。次に、加熱筒21にねじ74でノズル23を直接取付ける。
【0050】
結果、図8に示す形態の液状材料射出装置10Cを得ることができる。なお、三方弁60を回し、加熱筒21とノズル23とを連通状態にする。材料入口25はプラグ88で塞ぐことが推奨される。材料入口25からの液漏れが防止できると共にごみの侵入が防げる。そして、この液状材料射出装置10Cで多量の液状樹脂材料をノズル23から吐出することができる。
【0051】
アダプタ70や第1・第2材料供給路69、71及び定量供給機構40は洗浄後保管しておき、必要なときに、加熱筒21とノズル23との間に介在させる。図5図8の形態が容易に得られる。
【0052】
すなわち、液状樹脂材料の材料供給をインライン式スクリュー射出機20で共用とした。すなわち、着脱可能なアダプタ70により直接射出又は材料供給路71を介して定量供給機構40に供給可能な構成とした。この場合、2色成形機のように交互に射出することはできないが、材料供給路を単一化することができ、材料替えや金型交換のタイミングに応じて最適な構成を選択することができる。また、インライン式射出機20の貯留量は定量供給機構40の容量に比べて十分に大きいため、スクリュー22を介して十分な混練が図られ、液状樹脂材料の密度や品質の安定化を図ることができる。
【0053】
なお、シャットオフ弁80は、図1に示す液状材料供給装置10に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、液状樹脂材料を金型へ射出する液状材料射出装置に好適である。
【符号の説明】
【0055】
10、10B、10C…液状材料射出装置、20…インライン式スクリュー射出機、21…加熱筒、22…スクリュー、23…ノズル、25…材料入口、29…第1液状樹脂材料、29B…液状樹脂材料、30…第1液状材料供給機構、30B…液状材料供給機構、34…金型、36…第2液状樹脂材料、40…定量供給機構、41…材料供給路、50…第2液状材料供給機構、60…三方弁、64…弁アクチュエータ、69…第1材料供給路、70…アダプタ、71…第2材料供給路、72…逆止弁、80…シャットオフ弁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9