特許第6058619号(P6058619)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058619
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】テープ部材
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/02 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   A61F13/02 310T
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-257143(P2014-257143)
(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公開番号】特開2016-116604(P2016-116604A)
(43)【公開日】2016年6月30日
【審査請求日】2014年12月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500431759
【氏名又は名称】有限会社足と歩きの研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入谷 誠
【審査官】 藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/142018(WO,A1)
【文献】 特開2001−011399(JP,A)
【文献】 特許第4492867(JP,B2)
【文献】 特開2012−223236(JP,A)
【文献】 特開2014−217469(JP,A)
【文献】 特表2015−519089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に粘着層が形成された基材を含むテーピング用テープと、
前記粘着層と接触することにより前記テーピング用テープを支持する剥離シートと、
前記テーピング用テープにおいて前記剥離シートが位置する側と反対側の面に接触する保護シートとを備え、
前記基材は、
平面視における中央部と、
前記中央部から第1の方向に延びる第1部分と、
前記中央部から、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延びる第2部分とを含み、
前記第1部分および前記第2部分は、伸縮性を有する部分を含み、
前記剥離シートにおいて、前記中央部と平面視において重なる部分が他の部分と独立して前記テーピング用テープから剥離可能になっており、
前記保護シートは、前記中央部と平面視において重なる保護シート中央部と、前記第1部分と平面視において重なる保護シート第1部分と、前記第2部分と平面視において重なる保護シート第2部分とを含み、
前記保護シートでは、前記保護シート中央部と前記保護シート第1部分との境界部および前記保護シート中央部と前記保護シート第2部分との境界部にそれぞれ切れ込みが形成され、
前記保護シートにおいて、前記保護シート第1部分が、前記保護シート中央部と前記境界部において分離可能になっており、
前記保護シートにおいて、前記保護シート第2部分が、前記保護シート中央部と前記境界部において分離可能になっている、テープ部材。
【請求項2】
前記基材は、前記中央部から、前記第1の方向および前記第2の方向のいずれとも異なる第3の方向に延びる第3部分を含み、
前記保護シートは、前記第3部分と平面視において重なる保護シート第3部分を含み、
前記保護シートでは、前記保護シート中央部と前記保護シート第3部分との境界部に切れ込みが形成され、
前記保護シートにおいて、前記保護シート第3部分が、前記保護シート中央部と前記境界部において分離可能になっている、請求項1に記載のテープ部材。
【請求項3】
前記基材は、前記中央部から、前記第1の方向、前記第2の方向および前記第3の方向のいずれとも異なる第4の方向に延びる第4部分を含み、
前記保護シートは、前記第4部分と平面視において重なる保護シート第4部分を含み、
前記保護シートでは、前記保護シート中央部と前記保護シート第4部分との境界部に切れ込みが形成され、
前記保護シートにおいて、前記保護シート第4部分が、前記保護シート中央部と前記境界部において分離可能になっている、請求項2に記載のテープ部材。
【請求項4】
前記剥離シートの外周の位置は、前記テーピング用テープの外周の位置より外側になっている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のテープ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、テーピング用テープおよびテープ部材に関し、より特定的には、人体に貼付するテーピング用テープおよびテープ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツや外科的治療などの分野において、身体に貼って使用するテーピング用テープが知られている(たとえば、特開2010−124926号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−124926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のテーピング用テープは、身体機能の補助、保護および固定などを目的としているが、基本的にはテーピング用テープを貼付した部分を押圧する、あるいは固定することを目的としている。一方、身体機能の補助や治療といった観点から、身体表面の一部において所定の広さの領域(たとえば直径1cm程度の円形の領域)をその周囲から(求心的に)持上げるような処置を行う場合があるが、このような処置を補助するテーピング用テープは従来知られていない。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、身体表面の一部を求心的に持上げるような処置を補助することが可能なテーピング用テープおよびテープ部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態に従ったテープ部材は、表面に粘着層が形成された基材を含むテーピング用テープと、粘着層と接触することによりテーピング用テープを支持する剥離シートと、テーピング用テープにおいて剥離シートが位置する側と反対側の面に接触する保護シートとを備える。基材は、平面視における中央部と第1部分と第2部分とを含む。第1部分は、中央部から第1の方向に延びる。第2部分は、中央部から、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる。第1部分および第2部分は、伸縮性を有する部分を含む。剥離シートにおいて、中央部と平面視において重なる部分が他の部分と独立してテーピング用テープから剥離可能になっている。保護シートは、中央部と平面視において重なる保護シート中央部と、第1部分と平面視において重なる保護シート第1部分と、第2部分と平面視において重なる保護シート第2部分とを含む。保護シートでは、保護シート中央部と保護シート第1部分との境界部および保護シート中央部と保護シート第2部分との境界部にそれぞれ切れ込みが形成されている。保護シートにおいて、保護シート第1部分が、保護シート中央部と境界部において分離可能になっている。保護シートにおいて、保護シート第2部分が、保護シート中央部と境界部において分離可能になっている。
【発明の効果】
【0008】
上記によれば、身体表面の一部を持上げるような処置を補助することが可能なテーピング用テープおよびテープ部材を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に従ったテーピング用テープの平面模式図である。
図2図1の線分II−IIにおける断面模式図である。
図3】本実施形態に従ったテープ部材の表側から見た平面模式図である。
図4】本実施形態に従ったテープ部材の裏側から見た平面模式図である。
図5図3の線分V−Vにおける断面模式図である。
図6】本実施形態に従ったテープ部材の変形例を表側から見た平面模式図である。
図7】本実施形態に従ったテープ部材の変形例を裏側から見た平面模式図である。
図8図6の線分VIII−VIIIにおける断面模式図である。
図9】本実施形態に従ったテーピング用テープの使用方法を説明するフローチャートである。
図10】本実施形態に従ったテーピング用テープの使用方法を説明するための模式図である。
図11】本実施形態に従ったテーピング用テープの使用方法を説明するための模式図である。
図12】本実施形態に従ったテーピング用テープの使用方法を説明するための模式図である。
図13】本実施形態に従ったテーピング用テープの他の変形例を示す平面模式図である。
図14】本実施形態に従ったテープ部材の他の変形例を示す平面模式図である。
図15】本実施形態に従ったテーピング用テープの他の変形例を示す平面模式図である。
図16】本実施形態に従ったテープ部材の他の変形例を示す平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0011】
<テーピング用テープ>
図1および図2を参照して、本実施形態に係るテーピング用テープ10を説明する。図1および図2に示すテーピング用テープ10は、基材1と当該基材1の表面に形成された粘着層2とからなる。基材1は、平面視における中央部10aと、当該中央部10aから第1の方向に延びる第1部分である突出部10bと、突出部10bとは異なる方向に延びる第2部分である突出部10dと、突出部10b、10dと異なる方向に延びる第3部分である突出部10cと、さらに上記突出部10b、10c、10dと異なる方向に延びる第4部分である突出部10eとを有する。異なる観点から言えば、突出部10bと突出部10dとは、中央部10aを挟むように中央部10aにおける対向する周縁部から突出するように配置されている。また、突出部10cと突出部10eとは、中央部10aを挟むように配置されている。
【0012】
突出部10b〜10eの平面形状は半円状である。なお、突出部10b〜10eの平面形状は上記半円状に限らず、三角形状、四角形状、台形状など、任意の形状とすることができる。
【0013】
突出部10b〜10eは、弾性を有する部分を含む。たとえば、突出部10b〜10eが弾性を有する材料により構成されていてもよい。基材1を構成する材料としては任意の樹脂を用いることができる。具体的には、基材1の材料として弾性を有する(伸縮性を有する)材料、たとえばポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、熱可塑性ゴム(TPR)、合成ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)などを用いることができる。また、基材1の材料として、織物、編み物、不織布など(たとえば綿布、ポリエステル布、ナイロン布など)を用いてもよい。また、上述した樹脂の発泡材(たとえばEVAフォームやPVCフォームなど)を用いてもよい。この場合、粘着層2として弾性(伸縮性)を有する材料を用いることが好ましい。
【0014】
また、基材1の材料として、上述した材料を組み合わせて用いてもよい。たとえば、織物、編み物、不織布などをベース体として、当該ベース体に樹脂を含浸させたもの(織物などのベース体と樹脂との複合材料)を基材1の材料として用いてもよい。この場合、たとえば基材1の厚みはベース体の厚みとなっており、ベース体を構成する繊維の間に樹脂が含浸した状態の複合材料を用いてもよい。あるいは、樹脂の内部に上述したベース体を埋設した複合材料を基材1の材料として用いてもよい。たとえば、基材1の厚みは樹脂層の厚みとなっており、当該樹脂層の内部に上述した織物などのベース体が埋設された複合材料を基材1の材料として用いてもよい。また、このような複合材料において、樹脂と組み合わせるベース体としては1つの種類の織物などを用いてもよいが、材質や繊維のサイズなどが異なる複数種類の織物や編み物などを組み合わせてベース体としてもよい。また、このような複合材料を構成する樹脂として、上述したEVAフォームなどの樹脂の発泡材を用いてもよい。
【0015】
また、基材1の厚みとしては、たとえば5μm以上2mm以下とすることができる。また、基材1の厚みは、10μm以上1mm以下としてもよい。たとえば、基材1として樹脂シートを用いる場合、基材1の厚みの下限を10μm以上、あるいは15μm以上とすることができる。また、基材1の厚みの上限を50μm以下、あるいは40μm以下とすることができる。また、基材1として樹脂の発泡材シートを用いる場合、基材1の厚みをの下限を0.5mm以上、あるいは0.7mm以上、あるいは0.8mm以上としてもよい。また、基材1の厚みの上限を2mm以下、あるいは1.5mm以下、あるいは1mm以下としてもよい。
【0016】
粘着層2の材料としては、粘着性を有する任意の材料を用いることができるが、たとえばアクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ポリエステル系接着剤などを用いることができる。
【0017】
粘着層2の厚みとしては、たとえば10μm以上0.5mm以下とすることができる。また、粘着層2の厚みの下限は15μm以上、あるいは20μm以上としてもよい。また、粘着層2の厚みの上限は、0.4mm(400μm)以下、あるいは0.3mm以下、あるいは0.2mm以下、あるいは0.1mm以下としてもよい。
【0018】
このようなテーピング用テープ10を、後述するように身体表面に貼付することで、テーピング用テープ10の基材1の中央部10a下に位置する身体表面の部分を求心的に(中央部10aの下に位置する身体表面の部分の周囲の皮膚を中央部10aの方向に寄せるようにして)持上げられた状態とすることができる(詳細は後述する)。
【0019】
<テープ部材>
図3図5を参照して、本実施形態に従ったテープ部材20を説明する。テープ部材20は、図1および図2に示したテーピング用テープ10を、支持部材としての剥離シートに貼付したものである。具体的には、テープ部材20は、剥離シート11と保護シート12とによりテーピング用テープ10を挟んで固定したものである。剥離シート11と保護シート12の平面形状は、基本的にテーピング用テープ10と同じになっている。
【0020】
保護シート12は、テーピング用テープ10の基材1と接続されている。たとえば、保護シート12においてテーピング用テープ10の基材1と接触する表面には粘着層が形成されていてもよい。保護シート12は、テーピング用テープ10の中央部10aと重なる位置に配置される保護シート中央部12aと、テーピング用テープ10の突出部10b〜10eと重なる位置に配置される保護シート突出部12b〜12eとを含む。
【0021】
保護シート中央部12aの平面形状は、たとえば実質的に四角形状であるが、他の任意の形状としてもよい。たとえば、保護シート中央部12aの平面形状を円形状、あるいは楕円形状としてもよい。保護シート中央部12aと、保護シート突出部12b〜12eとは、境界部14(切れ込み部)において互いに分離可能になっている。異なる観点から言えば、保護シート12では、保護シート中央部12a、保護シート突出部12b〜12eの境界部14に切れ込みが形成されており、保護シート中央部12a、保護シート突出部12b〜12eをそれぞれ個別にテーピング用テープ10から剥がすことができる。
【0022】
剥離シート11は、テーピング用テープ10の粘着層2と接続されている。剥離シート11は、テーピング用テープ10の中央部10aと重なる位置に配置される剥離シート中央部11aと、テーピング用テープ10の突出部10b〜10eと重なる位置に配置される剥離シート突出部11b〜11eとを含む。
【0023】
剥離シート中央部11aの平面形状はたとえば円形状であるが、他の任意の形状としてもよい。たとえば、剥離シート中央部11aの平面形状を四角形状などの多角形状、あるいは楕円形状としてもよい。剥離シート中央部11aと、剥離シート突出部11b〜11eとは、境界部13(切れ込み部)において互いに分離可能になっている。異なる観点から言えば、剥離シート11では、剥離シート中央部11a、剥離シート突出部11b〜11eの境界部13に切れ込みが形成されており、剥離シート中央部11a、剥離シート突出部11b〜11eをそれぞれ個別にテーピング用テープ10から剥がすことができる。
【0024】
このようにテーピング用テープ10を剥離シート11および保護シート12により挟んだ状態のテープ部材20とすることで、テーピング用テープ10の取り扱いを容易にすることができる。また、剥離シート11においては剥離シート中央部11aが他の部分から独立してテーピング用テープ10から剥がすことができるので、テーピング用テープ10の中央部10aの粘着層2のみを露出させることができる。このため、当該中央部10aを先に身体表面に粘着層2によって固定することができる。この結果、後述するテーピング用テープ10の使用方法を容易に実施することができる。
【0025】
図3および図4からわかるように、保護シート12における保護シート中央部12aと保護シート突出部12b〜12eとの境界部の位置は、剥離シート11における剥離シート中央部11aと剥離シート突出部11b〜11eとの境界部の位置と異なっている。具体的には、保護シート12における保護シート中央部12aと保護シート突出部12b〜12eとの境界部の位置は、剥離シート11における剥離シート中央部11aと剥離シート突出部11b〜11eとの境界部の位置よりテープ部材20の外周側に近い位置に配置されている。このようにすれば、保護シート12での当該境界部(切れ込み)と剥離シート11における当該境界部(切れ込み)とが重なった位置に形成される場合より、当該境界部を形成するため保護シート12および剥離シート11を切断するときに、テーピング用テープ10も切断されて分離する、といった可能性を低減できる。
【0026】
剥離シート11の材料としては、任意の材料を用いることができるが、たとえば紙(表面に樹脂コーティングが形成された紙など)や樹脂シート(たとえばPET製のシート)などを用いることができる。剥離シート11の厚みとしては、たとえば100μm以上1mm以下とすることができる。また、保護シート12の材質についても、上述した剥離シート11の材料と同様の材料を用いることができる。ただし、保護シート12と剥離シート11とは別の材料により構成してもよい。また、テープ部材20の表面と裏面とを識別し易くするため、保護シート12の色と剥離シート11の色とを変えてもよい。また、保護シート12の厚みは、上述した剥離シート11の厚みと同様としてもよいが、剥離シート11の厚みとは異なる厚みとしてもよい。
【0027】
図6図8を参照して、本実施形態に従ったテープ部材20の変形例を説明する。図6図8に示すテープ部材20は、基本的には図3図5に示したテープ部材20と同様の構成を備えるが、剥離シート11の平面形状が図3図5に示したテープ部材20と異なっている。すなわち、図6図8に示したテープ部材20の剥離シート11は、その外周の位置がテーピング用テープ10および保護シート12の外周の位置より外側になっている。つまり、剥離シート11の面積はテーピング用テープ10および保護シート12の面積より大きくなっている。剥離シート11の平面形状は四角形状となっている。剥離シート11は、テーピング用テープ10の中央部10aと重なる位置に配置される剥離シート中央部11aと、テーピング用テープ10の突出部10b〜10eと重なるとともに、当該突出部10b〜10eの外周部より外側にまで延びる剥離シート突出部11b〜11eとを含む。
【0028】
このようなテープ部材20によっても、図3図5に示したテープ部材20と同様の効果を得ることができる。さらに、剥離シート11がテーピング用テープ10より大きくなっており、テーピング用テープ10の形状とは独立して剥離シート11の形状を決定できるため、当該剥離シート11の外形を同じにして異なる形状のテーピング用テープ10を含むテープ部材20を形成することができる。
【0029】
<テーピング用テープの使用方法>
図9図12を参照して、本実施形態に従ったテーピング用テープの使用方法を説明する。テーピング用テープ10の使用方法としては、まず図9に示すように中央部を固定する工程(S10)を実施する。具体的には、テーピング用テープ10を含むテープ部材20(たとえば図3図5に示すテープ部材20)において、剥離シート中央部11aをテープ部材20から剥がす。この結果、テーピング用テープ10の中央部10a下に位置する粘着層2の部分が露出する。図10に示すように、この粘着層2の露出した部分を、テーピング用テープ10を貼りたい身体表面の所定の位置に貼付して固定する。なお、図10および図11図12においては、説明を容易にするためにテープ部材20の剥離シート11および保護シート12を表示せず、テーピング用テープ10のみを表示している。
【0030】
次に、図9に示すように、外周部を固定する工程(S20)を実施する。具体的には、図11に示すように、テーピング用テープ10の突出部10b〜10eの1つである突出部10bを矢印31の方向へ延ばす。このとき、中央部10aは身体表面の所定の位置に固定されており、当該中央部10aから離れる方向(矢印31に示す方向)に突出部10bを引き延ばす。なお、実際には、突出部10bを挟むように配置されている剥離シート突出部11bと保護シート突出部12bとにより上記突出部10bを挟んで、当該突出部10bを引き延ばすことになる。そして、突出部10bが矢印31の方向に引き延ばされた状態で、剥離シート突出部11bを突出部10bから剥がし、当該突出部10bの粘着層を身体表面に貼付する。その後、保護シート突出部12bを突出部10bから剥がす。このようにして、テーピング用テープ10の突出部10bが矢印31の方向に延ばされた状態で身体表面に貼りつけられるため、突出部10bの弾性によって当該突出部10bが貼付された身体表面の部分には矢印32に示す方向の力(中央部10aに向かう方向の力)が加えらえる。
【0031】
その後、突出部10c、10d、10eのそれぞれについても、同様に中央部10aから離れる方向へ引き延ばした状態で身体表面に貼付する。この結果、図12に示すように突出部10b〜10eのそれぞれが、中央部10aに向かう方向(図12の矢印で示す方向)へ身体表面に対して力を加えることになる。
【0032】
このような力により、身体表面において中央部10aが固定された部分に向けて、当該中央部10aの周囲の身体表面の部分が寄せられることになり、結果的に中央部10aが固定された身体表面の部分を、持上げられた状態とすることができる。
【0033】
<他の変形例>
図13および図14を参照して、本実施形態に係るテーピング用テープおよびテープ部材の他の変形例を説明する。なお、図14は、テープ部材20を保護シート12側から見た模式図を示している。
【0034】
図13に示したテーピング用テープ10は、基本的には図1および図2に示したテーピング用テープ10と同様の構成を備えるが、テーピング用テープ10の平面形状が異なっている。図13に示したテーピング用テープ10は、中央部10aと、当該中央部10aの外周から突出する3つの突出部10b〜10dとを備える。このような平面形状のテーピング用テープ10によっても、図1および図2に示したテーピング用テープ10と同様の効果を得ることができる。
【0035】
また、図14に示したテープ部材20は、基本的には図6図8に示したテープ部材20と同様の構成を備えるが、テープ部材20を構成するテーピング用テープ10、剥離シート11および保護シート12の平面形状が図6図8に示したテープ部材20とは異なっている。テープ部材20を構成するテーピング用テープの平面形状は、図13に示したテーピング用テープ10の平面形状と同様である。また、保護シート12の平面形状は当該テーピング用テープ10の平面形状と同様である。また、剥離シート11の平面形状は、テーピング用テープ10が3つの突出部10b〜10dを有することに対応して、三角形状となっている。
【0036】
保護シート12は、テーピング用テープ10の中央部10aと重なる位置に配置される保護シート中央部12aと、テーピング用テープ10の突出部10b〜10dと重なる位置に配置される保護シート突出部12b〜12dとを含む。
【0037】
保護シート中央部12aの平面形状は任意の形状としてもよい。保護シート中央部12aと、保護シート突出部12b〜12dとは、境界部14において互いに分離可能になっている。
【0038】
剥離シート11は、テーピング用テープ10の中央部10aと重なる位置に配置される剥離シート中央部11aと、テーピング用テープ10の突出部10b〜10dと重なるとともに、当該突出部10b〜10dの外周部より外側にまで延びる剥離シート突出部11b〜11dとを含む。剥離シート中央部11aと、剥離シート突出部11b〜11dとは、境界部13において互いに分離可能になっている。このようなテープ部材20によっても、図6図8に示したテープ部材20と同様の効果を得ることができる。
【0039】
なお、図14に示したテープ部材20において、剥離シート11の平面形状をテーピング用テープ10の平面形状と同様としてもよい。この場合も、図3図5に示したテープ部材20と同様の効果を得ることができる。
【0040】
図15および図16を参照して、本実施形態に係るテーピング用テープおよびテープ部材のさらに他の変形例を説明する。なお、図16は、テープ部材20を保護シート12側から見た模式図を示している。
【0041】
図15に示したテーピング用テープ10は、基本的には図1および図2に示したテーピング用テープ10と同様の構成を備えるが、テーピング用テープ10の平面形状が異なっている。図15に示したテーピング用テープ10は、中央部10aと、当該中央部10aの外周から突出する2つの突出部10b、10cとを備える。2つの突出部10b、10cは、中央部10aから見て互いに反対側に配置されている。このような平面形状のテーピング用テープ10によっても、図1および図2に示したテーピング用テープ10と同様の効果を得ることができる。
【0042】
また、図16に示したテープ部材20は、基本的には図6図8に示したテープ部材20と同様の構成を備えるが、テープ部材20を構成するテーピング用テープ10および保護シート12の平面形状が図6図8に示したテープ部材20とは異なっている。テープ部材20を構成するテーピング用テープの平面形状は、図15に示したテーピング用テープ10の平面形状と同様である。保護シート12の平面形状は当該テーピング用テープ10の平面形状と同様である。なお、剥離シート11の平面形状は図6図8に示したテープ部材20における剥離シート11の平面形状と同様に四角形状であるが、テーピング用テープ10が2つの突出部10b、10cを有することに対応して、境界部13の配置が図6図8に示した剥離シート11とは異なっている。
【0043】
保護シート12は、テーピング用テープ10の中央部10aと重なる位置に配置される保護シート中央部12aと、テーピング用テープ10の突出部10b、10cと重なる位置に配置される保護シート突出部12b、12cとを含む。保護シート中央部12aの平面形状は任意の形状としてもよい。保護シート中央部12aと、保護シート突出部12b、12cとは、境界部14において互いに分離可能になっている。
【0044】
剥離シート11は、テーピング用テープ10の中央部10aと重なる位置に配置される剥離シート中央部11aと、テーピング用テープ10の突出部10b、10cと重なるとともに、当該突出部10b、10cの外周部より外側にまで延びる剥離シート突出部11b、11cとを含む。剥離シート中央部11aと、剥離シート突出部11b、11cとは、境界部13において互いに分離可能になっている。このようなテープ部材20によっても、図6図8に示したテープ部材20と同様の効果を得ることができる。
【0045】
なお、図16に示したテープ部材20において、剥離シート11の平面形状をテーピング用テープ10の平面形状と同様としてもよい。この場合も、図3図5に示したテープ部材20と同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るテーピング用テープおよびテープ部材においては、中央部10aから2方向〜4方向に延びる複数の突出部が形成されているが、当該突出部の数は5以上であってもよい。たとえば、中央部10aからそれぞれ異なる方向に延びる5つの突出部、あるいは6つ以上の突出部が形成されていてもよい。また、上述したように複数の突出部は、中央部10aから見て点対称(あるいは中央部10aの外周に沿った周方向において隣接する突出部の間の距離が同じ)になるように形成されていてもよい。また、複数の突出部は、中央部10aの外周に沿った周方向において、隣接する突出部の間の距離が部分的に異なるように形成されていてもよい。
【0047】
上述した説明と一部重複する部分もあるが、本発明の実施形態の特徴的な構成を列挙する。
【0048】
この発明の一実施形態に従ったテーピング用テープ10は、表面に粘着層2が形成された基材1を含むテーピング用テープ10であって、基材1は、平面視における中央部10aと第1部分(図1図13図15の突出部10b)と第2部分(図1の突出部10d、図13および図15の突出部10c)とを含む。第1部分(図1図13図15の突出部10b)は、中央部10aから第1の方向に延びる。第2部分(図1の突出部10d、図13および図15の突出部10c)は、中央部10aから、第1の方向とは異なる第2の方向に延びる。第1部分および第2部分は、弾性を有する部分を有する。
【0049】
このようにすれば、テーピング用テープ10を身体に貼付するときに、基材1の中央部10aを身体表面に粘着層2によって固定するとともに、第1部分(たとえば図1の突出部10b)および第2部分(たとえば図1の突出部10d)を中央部10aから離れる方向に弾性変形させた状態で身体表面に貼付することで、当該第1部分および第2部分が貼付された身体表面の部分に対して、中央部10aに向かう方向(図12の矢印で示す方向)に力を加えることができる。この結果、中央部10aが貼付された身体表面の部分が第1部分および第2部分が位置する側から挟まれて求心的に持上げられた状態とすることができる。
【0050】
上記テーピング用テープ10において、基材1は、中央部10aから、第1の方向および第2の方向のいずれとも異なる第3の方向に延びる第3部分(図1の突出部10c、図13の突出部10d)を含んでいてもよい。
【0051】
この場合、第1部分および第2部分とは異なる方向に位置する第3部分も、中央部10aから離れる方向に弾性変形させた状態で身体表面に貼付することで、当該第3部分が貼付された身体表面の部分に対して、中央部10aに向かう方向に力を加えることができる。このため、中央部10aが貼付された身体表面の部分をより持上げられた状態とすることができる。
【0052】
上記テーピング用テープ10において、基材1は、中央部10aから、第1の方向、第2の方向および第3の方向のいずれとも異なる第4の方向に延びる第4部分(図1の突出部10e)を含んでいてもよい。
【0053】
この場合、第1〜第3部分とは異なる方向に位置する第4部分(図1の突出部10e)も、中央部10aから離れる方向に弾性変形させた状態で身体表面に貼付することで、当該第4部分が貼付された身体表面の部分に対して、中央部10aに向かう方向に力を加えることができる。このため、中央部10aが貼付された身体表面の部分をより持上げられた状態とすることができる。
【0054】
この発明の一実施形態に従ったテープ部材20は、上記テーピング用テープ10と、剥離シート11とを備える。剥離シート11は、粘着層2と接触することによりテーピング用テープ10を支持する。
【0055】
このようにすれば、テーピング用テープ10を、剥離シート11によってテーピング用テープ10が支持されたテープ部材20として容易に取り扱うことができる。
【0056】
上記テープ部材20では、剥離シート11において、中央部10aと平面視において重なる部分(剥離シート中央部11a)が他の部分(剥離シート突出部11b〜11e)と独立してテーピング用テープ10から剥離可能になっていてもよい。
【0057】
この場合、テーピング用テープ10の基材1における中央部10aについて、先に粘着層2を露出させることができる。このため、中央部10aの粘着層2を先に身体表面に貼付した上で、第1部分および第2部分を弾性変形させた状態で身体表面に貼付する作業を容易に行うことができる。
【0058】
上記テープ部材20は、テーピング用テープ10において剥離シート11が接続された側と反対側に保護シート12をさらに備えていてもよい。この場合、テーピング用テープ10を保護シート12と剥離シート11とにより保護することができる。
【0059】
また、上記テーピング用テープ10を構成する材料については、透湿性の材料を用いてもよい。また、テーピング用テープ10に対して、滅菌処理を施してもよい。
【0060】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0061】
この発明は、スポーツや治療などにおいて身体に貼付するテーピング用テープに特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0062】
1 基材、2 粘着層、10 テーピング用テープ、10a 中央部、10b,10c,10d,10e 突出部、11 剥離シート、11a 剥離シート中央部、11b,11c,11d,11e 剥離シート突出部、12 保護シート、12a 保護シート中央部、12b,12c,12d,12e 保護シート突出部、13,14 境界部、20 テープ部材、31,32 矢印。
図1
図2
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図5
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図16