(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058629
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】グレイジングの品質を解析する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-505695(P2014-505695)
(86)(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公表番号】特表2014-512534(P2014-512534A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】FR2012050757
(87)【国際公開番号】WO2012143649
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年3月6日
(31)【優先権主張番号】1153514
(32)【優先日】2011年4月22日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル・モアル,シモン
【審査官】
横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−100308(JP,A)
【文献】
特許第4666273(JP,B2)
【文献】
特表2004−514882(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0050284(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/145168(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレイジング(2)の品質を解析する方法であって、
グレイジング(2)の外側にグレイジング(2)の外面による反射で作り出されたテストチャート(4)の少なくとも1つのデジタル画像を生成するステップと、
生成された少なくとも1つの画像に基づき、グレイジング(2)の品質を代表する量を少なくとも1つの処理ユニット(8)により計算するステップであって、処理ユニットが、少なくとも5つの要素(12)を備える画像のゾーンZを解析し、画像の所定のゾーンZの画素Pkごとに、処理ユニットが、各画素Pkの近傍Vk内の要素の局所密度を代表する値を計算する、ステップと、
代表する量について計算された値を基準値と比較するステップと
を備え、テストチャート(4)は、周期的に配列された閉輪郭の要素(12)を備えるパターンを示し、代表する量は、グレイジング(2)の外側にグレイジング(2)の外面による反射で作り出されたテストチャート(4)の画像の変形を代表する、方法。
【請求項2】
要素(12)が、少なくとも2つの方向に周期的に配列される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
要素(12)が、50mm以下のより大きな寸法を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
要素(12)が、20mm以下のより大きな寸法を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
要素(12)が、10mm以下のより大きな寸法を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
要素(12)が、同一輪郭からなる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
近傍Vkが、画素Pkの周囲にいくつかの画素を含み、画素Pkを中心として備えるゾーンである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
計算が、画像解析の1つまたは複数の所定のゾーン(Z)の内側で繰り返される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記代表する量の少なくとも1つが、各画素Pkの近傍V’k内の要素(12)の局所密度を代表する値に基づき計算された局所的統計量である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記代表する量の少なくとも1つが、各画素Pkの近傍V’k内の要素(12)の局所密度を代表する値に基づき計算された局所的統計量であり、
前記代表する量の少なくとも1つが、解析ゾーン(Z)の少なくとも1つにわたる局所的統計量の値に基づき計算された大域的統計量である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
局所的統計量または大域的統計量の計算が、別個にまたは任意の可能な組合せで取り上げられた、平均値、加重平均値、中央値、基準値以上もしくは以下の発生数、最大値、最小値、標準偏差、または最大値と最小値の間の偏差という量のうち1つの計算を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
グレイジング(2)の品質を解析するデバイス(1)であって、グレイジング(2)の外側にグレイジング(2)の外面による反射で作り出されたテストチャート(4)のデジタル画像を生成するための手段(4、10、6)と、メモリ(14)およびコンピュータ(16)を備える、生成された画像を処理する処理ユニット(8)とを備え、
メモリ(14)は、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を実施することができるプログラムを備え、プログラムは、生成された画像に基づきグレイジング(2)を代表する量を計算することができ、代表する量は、グレイジング(2)の外側にグレイジング(2)の外面による反射で作り出されたテストチャート(4)の画像の変形を代表し、要素の局所密度を代表する量を備えるデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレイジング、特に、自動車グレイジングの品質解析の分野に関する。
【0002】
本発明は、より詳細にはグレイジングの品質を解析する方法であって、
外側にグレイジングの外面による反射で作り出されたテストチャートのデジタル画像を生成するステップであって、テストチャートは、複数の対照をなす要素間の境界線を定める複数の対照をなす要素からなるパターンであるステップと、
生成された画像に基づきグレイジングを代表する量を計算するステップであって、計算は処理ユニットにより行われるステップと、
代表する量に対して計算された値を基準値と比較するステップと
を備える方法に関する。
【背景技術】
【0003】
国際公開第2002/42715号が、デジタル処理により、デジタル化画像の画素ごとに、2方向で局所位相を抽出することにある、グレイジングの表面を解析する方法について説明している。局所位相の変動により、表面の曲率の変動または高度の変動を局所位相から演繹するために、グレイジングの表面の局所傾斜の変動を計算することが可能になる。
【0004】
グレイジングの曲率変動を基準値と比較することにより、グレイジングの不合格品の選択に移ることができる。
【0005】
それにもかかわらず、この可能な選択基準は、明らかにグレイジングの曲率および高度の評価を可能にするが、グレイジングにより反射で作り出された画像の審美的品質の評価を必ずしも可能にするわけではない。実際には、美しさは、グレイジングの幾何形状だけでなく、たとえば観察の位置にも依存する。
【0006】
このような方法を使用して、グレイジングの審美的品質を反射で評価しようとした場合、ある種のグレイジングが、他方において、審美的損傷を実際に示すことなく不合格になることがある、またはその逆も同様である。
【0007】
さらに、このタイプの方法では、グレイジングのエッジで計算された値は、一般に信頼できない。
【0008】
最後に、このタイプの方法は、非常に長く続く、わずらわしい較正を必要とする。
【0009】
国際公開第2007/115621号および米国特許第6392754号明細書が、同じくグレイジングの表面の形状を測定することを目的とする方法について説明している。これらの方法は、詳細には、グレイジングの審美的品質の評定の妥当性に関するのと同じ欠点を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2002/42715号
【特許文献2】国際公開第2007/115621号
【特許文献3】米国特許第6392754号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、外側から見たグレイジングの反射で審美的品質を評定することに関して妥当な技術的判定基準に基づき、グレイジングを不合格にするように選択することが可能になる、グレイジングの外面による反射で作り出された画像の品質を解析する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一様態によれば、様態は、グレイジングの品質を解析する方法であって、
グレイジングの外側にグレイジングの外面による反射で作り出されたテストチャートの少なくとも1つのデジタル画像を生成するステップと、
生成された少なくとも1つの画像に基づき、グレイジングの品質を代表する量を少なくとも1つの処理ユニットにより計算するステップと、
代表する量について計算された値を基準値と比較するステップと
を備え、テストチャートは、周期的に配列された閉輪郭の要素を備えるパターンを示し、代表する量は、グレイジングの外側にグレイジングの外面による反射で作り出されたテストチャートの画像の変形を代表し、代表する量を計算するステップは、要素の密度の計算を含む
方法を伴う。
【0013】
この方法の利点は、この方法により、グレイジングにより作り出された反射画像の品質を、グレイジングの寸法特徴に基づくのではなく、グレイジングの外面により外側から作り出された反射画像に基づき評定することが可能になることである。この場合、グレイジングの不合格品の選択は、グレイジングにより外側に反射で作り出された画像の審美的品質の評定の観点から妥当である。
【0014】
この方法によって、見えない、および/または美的ではないと評定されない幾何学的欠陥を示すグレイジングの不合格品が防止される。逆に、この方法により、著しい表面欠陥をまったく示さないが、それにもかかわらず、反射で作り出された画像に、容易に感知できる審美的欠陥を作り出すグレイジングをより適切に選択することが可能になる。
【0015】
方法はさらに、グレイジングの任意のゾーンで、特にグレイジングのエッジで、欠陥を評価できるようにする。
【0016】
方法はまた、較正なしに解析を可能にする。
【0017】
方法の他の利点が、さまざまなタイプの、長くなったまたは他の欠陥に対する、方法のロバスト性、および欠陥の方向に対する、方法のロバスト性である。
【0018】
特定の実施形態によれば、方法は、別個にまたは技術的に可能な組合せすべてに従って取り上げられた以下の特徴のうち1つまたは複数を備える。
【0019】
−要素は、少なくとも2つの方向に周期的に配列される、
−要素は、50mm以下のより大きな寸法を、好ましくは20mm以下を、好ましくは10mm以下を有する、
−要素は同一輪郭からなる、
−処理ユニットは、少なくとも5つの要素を備える画像のゾーンZを解析する、
−画像の所定のゾーンZの画素P
kごとに、処理ユニットは、各画素P
kの近傍V
k内の要素の局所密度を代表する値を計算する、
−近傍V
kは、画素P
kの周囲にいくつかの画素を含み、画素P
kを中心として備えるゾーンである、
−計算は、画像解析の1つまたは複数の所定のゾーンZの内側で繰り返される、
−前記代表する量の少なくとも1つが、各画素P
kの近傍V’
k内の要素の局所密度を代表する値に基づき計算された局所的統計量である、
−前記代表する量の少なくとも1つが、解析ゾーンZの少なくとも1つにわたる局所的統計量の値に基づき計算された大域的統計量である、
−局所的統計量または大域的統計量の計算は、別個にまたは任意の可能な組合せで取り上げられた、平均値、加重平均値、中央値、基準値以上もしくは以下の発生数、最大値、最小値、標準偏差、または最大値と最小値の間の偏差という量のうち1つの計算を含む、
−要素は隣接せず、対照をなす、
−要素は丸い、または多角形の形状の、たとえば三角形もしくは平行四辺形の形状の、たとえばひし形もしくは正方形の形状の市松模様であり、
この場合、要素は、チェッカー盤を形成する、隣接した、対照をなす市松模様である、
−要素は、格子のストランドにより規定される、
−要素は多角形の形状、たとえば平行四辺形の形状、たとえばひし形または正方形の形状である、
−方法は、第1の画像と異なる、同じグレイジングの少なくとも1つの追加画像に対して繰り返される、
−追加画像は、第1の画像と同一ではあるが、パターンが少なくとも角度20°だけテストチャートの平面内で回転させられたテストチャートに対して得られる、
−装置と、グレイジングの平面に対する垂線との間の入射角(α)は、0°から90°までの間、好ましくは自動車の側面グレイジングでは40°から70°までの間、好ましくは自動車のルーフでは60°から80°までの間である、
−装置の軸と、グレイジングの平面に対する垂線との間の入射角(α)は、テストチャートの平面とグレイジングの平面との間の角度(β)に等しい、
−グレイジングは内側に湾曲している、
−画像を生成するステップは、
・複数の対照をなす要素からなるパターンを示すテストチャートにグレイジングを向けるステップと、
・デジタルセンサを備える装置により、装置に向かってグレイジングにより反射された画像をデジタル的に取得するステップと
を備える、
−グレイジングによる反射で作り出されたテストチャートの画像は、グレイジングの外面に基づき、たとえば、グレイジングの理論的表面に基づき、グレイジングの測定された表面に基づき、またはグレイジングの屈曲のシミュレーションにより得られた表面に基づき、シミュレーションにより得られる、
−方法は、比較結果に応じてグレイジングの不合格品を選択するステップを備える。
【0020】
本発明の他の様態によれば、様態は、本明細書で上述されたような、形成されたグレイジングの品質を解析する方法が後に続く、グレイジングを形成する方法を備える、グレイジングを製造する方法を伴う。
【0021】
特定の実施形態によれば、グレイジングを製造する方法は、グレイジングを屈曲するステップを備える。
【0022】
本発明の他の様態が、グレイジングの品質を解析するデバイスであって、グレイジングの外側にグレイジングの外面による反射で作り出されたテストチャートのデジタル画像を生成するための手段と、メモリおよびコンピュータを備える、生成された画像を処理するための処理ユニットとを備え、
メモリは、本明細書で上述されたような方法を実施することができるプログラムを備え、プログラムは、生成された画像に基づきグレイジングを代表する量を計算することができ、代表する量は、グレイジングの外側にグレイジングの外面による反射で作り出されたテストチャートの画像の変形を代表し、要素の局所密度を代表する量を備える
デバイスに関する。
【0023】
デバイスの特定の実施形態によれば、画像を生成するための手段は、テストチャート、およびデジタルセンサを有する装置を備え、テストチャートおよび装置は、グレイジングの外面による反射により作り出されたテストチャートの画像をそれぞれ作り出し、取得するように設計され、テストチャートは、たとえばスクリーンであり、デバイスは、たとえば、テストチャートパターンをスクリーン上に投影するためのプロジェクタを備える。
【0024】
本発明は、添付図面を参照しながら、単に例として示す以下の説明を読むとよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による、グレイジングの品質を解析するデバイスを示す概略図である。
【
図2】テストチャートパターンの一例を示す概略図である。
【
図2-2】テストチャートパターンの一例を示す概略図である。
【
図2-3】テストチャートパターンの一例を示す概略図である。
【
図3】背景に見える
図2によるテストチャートにより照明されたグレイジングに対して、反射で得られたデジタル画像に向けられたグレイジングを示す斜視図である。
【
図4】アルゴリズムにより処理された後の、
図3の画像を示す。
【
図5】反射における審美的欠陥をまったく処理していないグレイジングに対する、
図4に類似する像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、グレイジングの外側にグレイジング2の外面による反射で作り出された画像の品質の解析を行うのに適したデバイス1を示す。
【0027】
デバイスは、テストチャート4、デジタルスナップショット装置6、および装置6により作り出された画像のための処理ユニット8を備える。
【0028】
図2に示すテストチャートパターンは、対照をなす、たとえば交互に暗いおよび明るい正方形の市松模様からなるチェッカー盤である。
【0029】
一変形形態として、市松模様は、任意の適切なタイプの形状を、たとえば多角形の形状を、たとえば三角形または平行四辺形、たとえば正方形またはひし形の形状を有する。一般的に、市松模様は、隣接した、対照をなす市松模様がチェッカー盤を形成するパターンを伴う。
【0030】
図2−2および
図2−3は、パターンの可能な変形形態を示す。
【0031】
提供されたパターンの例は、限定していないことに留意されたい。さらに、黒および白の色を反転させてもよい、すなわち、図示するテストチャートパターンのネガを使用してもよい。
【0032】
図2−2は、間隔を置いて配置された(または隣接しない)自身の対角線に沿って整列された、対照をなす正方形の市松模様からなるパターンを示す。
【0033】
一変形形態として、市松模様は、任意の適切なタイプの形状を、たとえば多角形の形状を、たとえば三角形または平行四辺形、たとえば正方形またはひし形の形状を有する。丸い、対照をなす要素が一変形形態を構成する。
【0034】
一般的に、要素は閉輪郭要素である。要素は、間隔を置いて配置され、少なくとも1つの方向に、たとえば、2つのたとえば直交方向に、周期的に配列される。
【0035】
図2−3のパターンは、十字型により規定される正方形市松模様のパターンである。
【0036】
一変形形態として、市松模様は、任意の適切なタイプの形状を、たとえば多角形の形状を、たとえば三角形または平行四辺形、たとえば正方形またはひし形の形状を有する。
【0037】
一般的に、要素は、格子のストランドにより規定された閉輪郭の要素であり、要素は、少なくとも1つの方向に、たとえば、2つのたとえば直交方向に、周期的に配列される。
【0038】
図2から
図2−3の3つの事例では、一般的に、パターンは、周期的に配列された、好ましくは、少なくとも2つのたとえば直交方向に周期的に配列された、同一閉輪郭の要素からなるパターンである。
【0039】
好ましい手法では、要素は、同一形状からなる、および/または同じ寸法からなる。
【0040】
同じく好ましい手法では、要素は、50mm以下のより大きな寸法を、好ましくは20mm以下を、好ましくは10mm以下を有する。
【0041】
図2による、6mm×6mmの辺の要素によるパターンを有するテストチャートが、
図3および
図4の画像を作り出した。
【0042】
しかしながら、一般的に、要素の寸法は、任意の適切なタイプからなってもよい。
【0043】
テストチャートは、たとえば、
図2から
図2−3に示すような単一パターンからなる。一変形形態として、テストチャートは、所定のゾーン内でいくつかのパターンを示す。
【0044】
テストチャートは、好ましくは、グレイジングの表面全体にわたる画像を生成するのに適した寸法および位置決めを有する。
【0045】
この場合、テストチャート4は、プロジェクタ10により画像が投影されたスクリーンである。
【0046】
テストチャート4は、好ましくは平面である。たとえばCCDセンサを備えるカメラ(または撮影装置)であるデジタル装置6は、テストチャート4の反射で画像を受け取るように配列される。図示する例では、装置6は、グレイジング2に対してテストチャート4と反対側に置かれる。
【0047】
デジタル装置6の軸と、グレイジング2の平面に対する垂線との間の角度αは、グレイジング2の表面に対して0°から90°までの間である。この角度は、実際の観察条件にできるだけ近づけるように、自動車の側面グレイジングではたとえば40°から70°までの間、たとえば約60°である。自動車のルーフでは、この角度は、たとえば60°から80°までの間、たとえば約75°である。たとえば40°より大きな角度により、たとえあったとしても、二次反射による妨害を低減することができるようになる。テストチャート4に関して、テストチャート4の平面とグレイジング2の平面の間の角度βが、好ましくは、デジタル装置6の軸と、グレイジング2の平面に対する垂線との間の角度αに等しいことに留意されたい。
【0048】
内側に湾曲したグレイジングの場合、グレイジング2の中心に接する平面が、たとえばグレイジングの平面4であると考えられる。
【0049】
デジタル装置6は、グレイジング2により作り出された、テストチャート4の反射画像のデジタル化画像を処理ユニット8に提供する。
【0050】
グレイジング2により作り出された未加工の画像を
図3に示す。この例は、より詳細には、自動車のルーフを伴う。
【0051】
デジタル処理で得られた画像が、その後、画像の少なくとも1つの所定のゾーンZについて、処理ユニット8により自動的な手法で処理される。
図3および
図4に示す例では、ゾーンZは、グレイジングにより作り出された画像の全体に対応するが、いくつかの別個のゾーンZを、詳細には互いに交わらないゾーンを伴ってもよいことに留意されたい。
【0052】
処理ユニット8は、処理プログラムが記憶されたメモリ14、および処理プログラムを実行するのに適したコンピュータ16を備える。
【0053】
処理プログラムは、グレイジング2による反射で作り出された画像の変形を代表する量の計算を、コンピュータ16を用いて遂行することができる。
【0054】
その後、代表する量を使用して、対応するグレイジング2について計算された値と基準値の間の比較結果に応じて、グレイジング2を不合格にするために選択する。
【0055】
基準値は、たとえば基準サンプルの測定および計算により得られる。
【0056】
量は、より詳細には、説明した例では、テストチャートを構成する要素の局所密度を代表する。この量は、本発明の本質的な特徴を構成する。
【0057】
画像の画素P
kでのテストチャートを構成する要素の局所密度は、たとえば、画素P
kの近傍V
k内の要素の密度を計算することにより得られる。近傍V
kは、画素を取り囲む画素を含む、たとえば画素P
kを中心に置くゾーンである。
【0058】
好ましい手法では、画像の所定のゾーンZの画素P
kごとに、処理ユニットは、各画素P
kの近傍V
k内の要素の局所密度を代表する値を計算する。
【0059】
近傍V
kは、たとえばすべて同一寸法からなる。
【0060】
局所密度値は、たとえば、近傍内の要素の輪郭に属する画素の数の平均値により得られる。輪郭/エッジの画素は、たとえば、グレーレベルとしての画像に適用されたキャニー(Canny)フィルタを用いて検出される。
【0061】
密度計算に関する一変形形態が、近傍に対する統計計算を、たとえば画像のグレーレベルの標準偏差を遂行することにある。他の変形形態によれば、要素の周波数解析が、たとえばグレーレベルに対してフーリエ変換を用いて行われる。
【0062】
したがって、各画素P
kは、たとえば、画素P
kの近傍内の要素の局所密度の値を割り当てられる。
【0063】
図4は、処理後の、
図3の画像を示す。多少着色された(
図4および
図5のグレーレベル)ゾーンが目に見え、要素の局所密度の、順序づけられた値に対応する。
【0064】
実際には、要素の局所密度の値を視覚的に強調するために、画像の各画素がその値に応じて着色された。高い値の局所密度に対応する画素がより明るく見える。
【0065】
第2の計算ステップでは、プログラムは、処理ユニット8が、各解析ゾーンZ内部の画像の画素ごとに、要素の局所密度の局所標準偏差Eまたは局所変化率RoC(Rate of Change)(または変動率)を計算するようになる。
【0066】
この計算を遂行するために、前述と同じ手法で、近傍V’
kが画素P
kごとに規定される。
【0067】
得られた値が、各画素P
kに割り当てられる。
【0068】
近傍V’
kは、画素を取り囲む画素を含む、たとえば画素P
kを中心に置くゾーンである。近傍V’
kは、たとえば近傍V
kと同じ近傍である。
【0069】
好ましい手法では、画像の所定のゾーンZの画素P
kごとに、処理ユニットは、各画素P
kの近傍V’
k内の要素の局所密度の変動を代表する値を計算する。
【0070】
近傍V’
kは、たとえばすべて同一寸法からなる。
【0071】
局所変化率RoCは、たとえば、近傍V’
k内の局所密度の最大値と最小値の差を計算することにより得られることに留意されたい。
【0072】
一変形形態として、統計量は、たとえば加重平均、中央値、最大値、最小値、基準値以上もしくは以下の発生数、任意の適切なタイプの他の統計量、または任意の適切なタイプのこれらの統計量のいくつかの組合せである。
【0073】
第3のステップでは、大域的統計量が、たとえば、局所的統計量に基づき計算される。
【0074】
この計算は、たとえば、解析ゾーンZの画素P
kすべての局所的統計量の最大値を解析ゾーンZにわたり計算することを伴う。
【0075】
一変形形態として、統計量は、加重平均、中央値、最小値、最大値と最小値の間の偏差、基準値以上もしくは以下の発生数、任意の適切なタイプの他の統計量、または任意の適切なタイプのこれらの統計量のいくつかの組合せである。
【0076】
したがって、一般的に、統計量は、要素の局所密度の統計量である、すなわち、要素の局所密度のいくつかの値に基づき計算された統計量である。
【0077】
しかしながら、たとえ統計量が好ましくとも、一変形形態として、基準値と直接比較される、未加工の値を伴ってもよいことを留意されたい。
【0078】
図3および
図4では、要素の局所密度の局所変化率RoCの最大値が計算された。この値は、
図4より
図3に対して著しく大きく(2つの図の間の比が7である)、それにより、この判定基準の妥当性が確認され、
図3のグレイジング2がエッジのレベルで欠陥を提示する。
【0079】
グレイジング2ごとに、および解析ゾーンZごとに、大域的統計量の値が基準値と比較される。ユニット8の処理プログラムは、たとえばこの比較を行うことができる。基準値は、ゾーンZごとに規定され、たとえば異なるゾーンZでは異なる。
【0080】
比較結果は、たとえば、
図3のグレイジング2の不合格品につながる。
【0081】
一変形形態として、異なる数の解析ゾーンZが規定される。1つまたは複数の解析ゾーンZの数、位置および広さは、任意の適切なタイプから選択される。
【0082】
本明細書で上述されたデバイスに加えて、本発明の主題はまた、本明細書の上記のデバイスを実現する方法である、すなわち、一般的に、
−グレイジング2の外側にグレイジング2の外面による反射で作り出されたテストチャート4のデジタル画像を生成するステップと、
−生成された画像に基づき、グレイジング2の品質を代表する量を処理ユニット8により計算するステップと、
−代表する量について計算された値を基準値と比較するステップと
を備える方法である。
【0083】
テストチャート4は、代表する量がグレイジングの外側にグレイジングの外面による反射で作り出されたテストチャートの画像の変形を代表する、周期的に配列された同一の閉輪郭の要素を備えるパターンを示し、代表する量を計算するステップは、要素の密度、たとえば要素の局所密度の計算を含む。
【0084】
特定の実施形態によれば、本発明による方法は、本明細書で上述された特徴を示す。
【0085】
一変形形態として、方法は、さまざまな画像に対して得られた結果に応じて不合格品の選択を行うように、少なくとも1つの追加画像、たとえば1つの追加画像に対して実施される。
【0086】
追加画像は、たとえば追加カメラを用いて、取得を同期させて、たとえば同時に得られる。
【0087】
一変形形態として、追加画像は、同じカメラを使ってではあるが、グレイジングのまたはテストチャートのカメラの位置をずらした後に得られる。
【0088】
さらに一変形形態として、追加画像は、カメラおよびグレイジングを移動させるのではなく、テストチャートのパターンを修正した後に、またはグレイジングに対するテストチャートの平面の角度を修正した後に得られる。
【0089】
基準値は、たとえば、グレイジングの外面に基づき、たとえばグレイジングの理論的表面に基づき、測定された表面に基づき、またはグレイジングの屈曲のシミュレーションにより得られた表面に基づき、シミュレーションにより得られる。この場合、テストチャートおよびデジタル装置を使用することは必要ない。
【0090】
一変形形態として、基準値は、基準グレイジングで得られた画像に基づき計算される。
【0091】
さらに一変形形態として、対照をなす要素の画像が、スクリーン上への投影によるのではなく、それ自体対照をなすテストチャートにより得られる。
【0092】
同じく一変形形態として、本発明による方法は、グレイジングの外面の高度を計算する公知のタイプの方法と組み合わせられる。2つの方法は、実際には相補的な情報を提供することができる。