特許第6058660号(P6058660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6058660大量の動物を輸送するための飼料を船内に積み込み、保存しおよび分配するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058660
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】大量の動物を輸送するための飼料を船内に積み込み、保存しおよび分配するシステム
(51)【国際特許分類】
   A01K 5/02 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   A01K5/02
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-522000(P2014-522000)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-521324(P2014-521324A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012055773
(87)【国際公開番号】WO2013017297
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2015年3月2日
(31)【優先権主張番号】MI2011A001438
(32)【優先日】2011年7月29日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】514024767
【氏名又は名称】ファルコーニ・エンジニアリング・チエンメ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】FALCONI ENGINEERING CM S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100118625
【弁理士】
【氏名又は名称】大畠 康
(72)【発明者】
【氏名】セラフィーノ・ファルコーニ
【審査官】 田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭53−104986(JP,A)
【文献】 実開昭61−043597(JP,U)
【文献】 実開昭58−146788(JP,U)
【文献】 特開昭52−069775(JP,A)
【文献】 米国特許第04123991(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 5/00− 5/02
B63B 25/00
A01F 25/16−25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大量の動物を輸送するための飼料を船内に積み込み、保存しおよび分配するシステムにおいて、前記システムは、
−デッキの下にある船(N)の領域内に設置された、前記飼料を貯蔵するための少なくとも一つの貯蔵サイロ(2、3)、
−前記飼料を前記貯蔵サイロ(2、3)から自動的に引き出し、給餌動物用区画室(6)がある高さより高い高さにある少なくとも一つの中間領域(5)の横方向分配コンベヤー(31)へ運搬するための自動引き出し手段(4)、および
−前記中間領域(5)から前記給餌動物用区画室(6)へ前記飼料を自動的に分配するための自動分配手段(7)を備え、
前記システムは、前記船(N)の縦中心面(PML)に対して対称に配置された少なくとも二つのバケットエレベータ(27、28)を備え、
前記自動引き出し手段(4)は、チェーンタイプの引き出しコンベヤー(21、22)を備え、前記引き出しコンベヤー(21、22)は、前記少なくとも一つの貯蔵サイロ(2、3)の排出口(23、24)の下に配置され、前記少なくとも一つの貯蔵サイロ(2、3)の排出口(23、24)が駆動可能な貯蔵サイロ排出口用シャッターによって制御され、
前記引き出しコンベヤー(21、22)は、前記バケットエレベータ(27、28)に前記飼料を補給し、前記バケットエレベータは、前記少なくとも一つの貯蔵サイロ(2、3)から引き出された前記飼料を前記中間領域(5)の前記横方向分配コンベヤー(31)へ排出するように構成され、
前記引き出しコンベヤー(21、22)および前記バケットエレベータ(27、28)との間にチェーンタイプの交換またはバイパスコンベヤー(29、30)が設けられ、
前記交換またはバイパスコンベヤー(29、30)が前記引き出しコンベヤー(21、22)から前記バケットエレベータ(27、28)の一方または他方へと前記飼料を移動できるよう構成され、
前記横方向分配コンベヤー(31)は、少なくとも一つの排出口(47)を備えており、該排出口(47)は、前記船(N)の外部に前記飼料を排出するための摘出手段(48)に接続することができるよう構成されたことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステム(1)において、前記システムは、前記飼料を前記少なくとも一つの貯蔵サイロ(2、3)に自動的に積載するための自動積載手段(8)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1記載のシステム(1)において、前記少なくとも一つの貯蔵サイロ(2、3)は前記船(N)の長手方向縦中心面(PML)に対して対称に配置された少なくとも二つの貯蔵サイロ(2、3)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステム(1)において、前記自動積載手段(8)および/または前記自動引き出し手段(4)および/または前記自動分配手段(7)は、チェーンタイプのコンベヤー(9、18、19、20、21、22、29、30、31、33、34)および/またはバケットエレベータ(27、28)を備えることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステム(1)において、
前記自動積載手段(8)はチェーンタイプの積載コンベヤー(9)を備え、該積載コンベヤーは前記少なくとも一つの貯蔵サイロ(2、3)の高さよりも高い高さで前記船(N)の前記縦中心面(PML)に対して横方向に配置されており、
前記積載コンベヤー(9)は、下方領域に、前記積載コンベヤー(9)の延長線に沿って相互に間隔の空いた、積載コンベヤー排出口用シャッターによって制御される排出口(16)を備えており、該積載コンベヤー排出口用シャッターは、駆動可能であり、かつチェーンタイプの充填コンベヤー(18、19)に前記飼料を補給し、該充填コンベヤーは、対応する貯蔵サイロ(2、3)に前記飼料を運搬し分配するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステム(1)において、
前記バケットエレベータ(27、28)は、チェーンタイプの横方向分配コンベヤー(31)に前記飼料を補給し、該横方向分配コンベヤーは、前記中間領域(5)において実質的に水平に、かつ前記縦中心面(PML)に対して横方向を向いて配置されており、
前記自動分配手段(7)は、チェーンタイプの長手方向分配コンベヤー(33、34)を備え、該長手方向分配コンベヤーは、前記横方向分配コンベヤー(31)の下に配置され、かつ前記船(N)に対して長手方向を向いており、
前記長手方向分配コンベヤー(33、34)は、前記横方向分配コンベヤー(31)の排出口(32)によって前記飼料が補給され、該横方向分配コンベヤーの排出口(32)は、前記横方向分配コンベヤー(31)の長手方向延長線に沿って相互に間隔が空いており、かつ対応する駆動可能な横方向分配コンベヤー排出口用シャッターによって制御されており、
前記長手方向分配コンベヤー(33、34)は、前記対応する長手方向分配コンベヤー(33、34)の長手方向延長線に沿って間隔が空いて配置された排出口(35、36)を用いて、前記飼料を重力分配するためのダクト(37、38)に前記飼料を補給しており、該排出口は、対応する駆動可能な長手方向分配コンベヤー排出口用シャッターによって制御され、該ダクトは、それぞれの前記給餌動物用区画室(6)の飼槽へと通じており、該給餌動物用区画室は、前記中間領域(5)の下に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステム(1)において、
前記長手方向分配コンベヤー(33、34)は、戻り排出口(39、40)を備えており、該戻り排出口は、前記貯蔵サイロ(2、3)の少なくとも一つの上方に配置され、かつ過剰の飼料を前記貯蔵サイロ(2、3)に排出するための対応する排出ダクト(41、42)に接続されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項6または7に記載のシステム(1)において、
前記横方向分配コンベヤー(31)は、少なくとも一つの戻り排出口(43、44)を備えており、該戻り排出口は、前記貯蔵サイロ(2、3)の少なくとも一つの上方にあり、かつ過剰の飼料を前記貯蔵サイロ(2、3)に排出するための対応する排出ダクト(45、46)に接続されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1項に記載のシステム(1)において、
前記システムは、プログラム可能な電子タイプの制御および監視エレメント(50)を備え、該監視エレメントは、前記貯蔵サイロ排出口用シャッター、前記積載コンベヤー排出口用シャッター、前記横方向分配コンベヤー排出口用シャッター、長手方向分配コンベヤー排出口用シャッター、前記積載コンベヤー(9)、前記充填コンベヤー(18、19)、前記引き出しコンベヤー(21、22)、前記交換またはバイパスコンベヤー(29、30)、前記横方向分配コンベヤー(31)、前記長手方向分配コンベヤー(33、34)、および前記バケットエレベータ(27、28)に機能的に接続されており、プリセットプログラムにしたがってそれらを作動させるよう構成されたことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大量の動物を輸送するための飼料を船内に積み込み、保存しおよび分配するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えば羊、畜牛、駱駝、ダチョウなどの動物の畜産場が使用すなわち食肉処理の場所から離れている場合、動物の輸送が必要であり、輸送される動物が大量で、輸送工程に多くの日数を要し、海を渡る必要がある場合は大型船が用いられる。
【0003】
そのような大型船は、家畜運搬船として知られているが、もともとは他の用途用に設計され、その後家畜運搬の要件に合うように、利用可能空間を動物収容のためのストールに分割することによって改造された船から得られる。そのような船では、輸送中の動物の給餌要件を満たすために、大量に積み重ねられた飼料が上方甲板に載置される。航海の間、動物の給餌に必要な飼料が大量に積み重ねられた飼料から取られ、例えば一輪車などの主に手動手段によって、たかだかコンベヤーおよび/または特定の機能を実行するための機械で動くエレベータによって動物用区画室まで運搬される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
船で輸送中の動物に給餌するための飼料を貯蔵し分配するために現在用いられているシステムは、その操作にかなりの労力の投入を要し、結果的にコストが高くなるという問題を抱えている。
【0005】
さらに、用いられる装置は次の点で信頼性が低い。
− 1時間あたりの出力率、
− 動物が飼料のみしか給餌されない場合に動物の体重減少は相当なものになることを考慮して、動物の周期的な給餌要件に従う確実性、
− 大気中の病原体および荒天に対する安全性および耐性、
− 火災および爆発に対する安全性。
【0006】
本発明のねらいは、上述の問題を、大量の動物を輸送するための飼料を船内に積み込み、保存しおよび分配するシステムを提供することによって解決することであり、そのシステムはほとんど完全に自動化された方法で作動することができ、必要な労働コストを実質的になくすまたは削減するものである。
【0007】
このねらいの範囲内で、本発明の目的は、特に1時間あたりに供給される飼料の出力率、および動物への飼料供給の周期的な間隔において高い操作精度および信頼性を有するシステムを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、飼料を大気中の病原体から適切に保護するシステムを提供することである。
【0009】
本発明の更なる目的は、自動化された方法で飼料の積み込み、必要ならば積み下ろしを行うことができるシステムを提供することである。
【0010】
更に他の本発明の目的は、大量の飼料を積み込むことや管理することが可能であるが、システムが設置された船に対するバランスと安定性の問題をひき起こさないそのシステムを提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、飼料の栄養特性の変質および/または劣化を避けるために、過剰の飼料を回収し再び積み込むことができるシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このねらいおよびこれらと他の目的は、以下に明らかになる大量の動物を輸送するための飼料を船内に積み込み、保存しおよび分配するシステムによって達成される。このシステムは、
− デッキの下にある船の領域内に設置された、前記飼料を貯蔵するための少なくとも一つのサイロ、
− 前記飼料を前記貯蔵サイロから自動的に引き出し、給餌動物用区画室がある高さより高い高さにある少なくとも一つの中間領域へ運搬するための手段、および
− 前記中間領域からの前記飼料を前記給餌動物用区画室へ自動的に分配するための手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、好適ではあるが限定的ではない本発明によるシステムの添付の図面において非限定的な例として図示された実施形態の記載からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明によるシステムのフロー図である。
図2】本発明によるシステムが設置された船の鉛直平面に沿った概略部分断面図である。
図3図2の詳細の拡大図である。
図4図2の船の上面図である。
図5図4の詳細の拡大図である。
図6図2の線VI-VIに沿った概略断面図である。
図7図6の詳細の拡大図である。
図8図2の線VIII-VIIIに沿った概略断面図である。
図9図8の詳細の拡大図である。
図10図3の線X-Xに沿った概略断面図である。
図11図3の線XI-XIに沿った概略断面図である。
図12図11の詳細の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照すると、概して参照番号1で示される本発明によるシステムは、飼料を貯蔵するための少なくとも一つのサイロ2、3を備え、このサイロは船Nの甲板の下にある領域内に設置される。
【0016】
飼料は取り扱い操作を容易にするために好ましくはペレット状の飼料で構成され、そのような操作中の塵の形成を制限する。
【0017】
好ましくは、2つのサイロ2、3があり、それらは都合のいいことに、船Nに積み込まれる飼料の重量のバランスを適切に保つことができるように、船Nの縦中心面PMLに対して対称に配置されている船Nの二つの船首領域に設けられている。
【0018】
システム1は、貯蔵サイロ2、3から飼料を自動的に取り出し、前記貯蔵サイロ2、3からの飼料を、給餌動物用区画室6がある高さより高い高さにある中間領域5へ運搬するための手段4を備える。
【0019】
さらに、本発明によるシステムは、中間領域5からの飼料を給餌動物用区画室6へ自動的に分配するための手段7を備える。
【0020】
都合のよいことに、本発明によるシステムは飼料を貯蔵サイロ2、3へ自動的に積載する手段8も備え、したがって飼料を貯蔵サイロ2、3へ積み込むための操作、および続いて起こる飼料を給餌動物用区画室6へ分配する操作がほとんど自動化された方法でできる。
【0021】
有利には、飼料をシステムに沿って取り扱うための手段、すなわち自動積載手段8および/または自動引き出し手段4および/または自動分配手段7は、以下に詳述される周知タイプのチェーンタイプのコンベヤーおよび/またはバケットエレベータを備える。
【0022】
本発明によるシステムにおいて用いることができるチェーンタイプのコンベヤーは、粒状および紛状製品(穀類、飼料、土、粉状炭、砂糖、鉱物等)の運搬の分野で広まっており、輸送箱から構成されている。この輸送箱の長さは所要の輸送距離に従って変化し、チェーンがスライドする輸送箱の底部には輸送される製品に作用する十字部材を設けており、製品は輸送箱に注ぎ込まれる。輸送箱の長手方向延長線に沿って前方へ動くことによって、十字部材は製品の支持ベースを動かし、上に重なっている製品を、その製品自身の静止角の物理的特性によって完全に移動させる。チェーンタイプのコンベヤーによって、製品を輸送箱の一端まで運ぶことができ、もしくは輸送箱の底部に、好ましくは電動化され相互に間隔の空いたシャッターおよび/またはバルブによって開閉できるように適合された排出口を設けることによって、製品を中間領域で排出することができる。
【0023】
本発明によるシステムで使用することができるバケットエレベータも粒状および粉体製品の鉛直搬送の分野において広まっており、おおむね一対のプーリで構成されている。この一対のプーリの一方が電動化されておりもう一方が誘導タイプで、水平で互いに平行な軸を有し、異なる高さで配置されベルトによって相互に接続されている。二つのプーリ部分は垂直に位置するかまたは傾斜している。バケットはベルトに固定されており、製品を収集し、垂直成分を有する方向に沿って製品を前進させ、ひとたびプーリが高位置に到達すると製品を放置する。
【0024】
より詳細には、自動積載手段8はチェーンタイプの積載コンベヤー9を備え、この積載コンベヤー9は、貯蔵サイロ2、3の高さよりも高い高さで船Nの縦中心面PMLに対して横方向に配置される。積載コンベヤー9は、その長手方向両端が受容ホッパー12、13の排出口10、11の下にある状態で配置されており、この排出口10、11は適合した閉シャッターにより制御され、この受容ホッパー12、13内に、波止場の船Nと並んで配置される例えば列車、トレーラー、トラックまたは他の船などの周知のタイプの輸送手段から到着する飼料を注ぎ込むことができる。これらの輸送手段から受容ホッパー12、13への飼料の移動は、例えばベルトコンベヤーまたはスクリューコンベヤーなどの周知のタイプのコンベヤー14、15によって行うことができる。飼料を積み込む操作を容易にするために、受容ホッパーは船Nの両側部のごく近くに配置される。
【0025】
積載コンベヤー9の下方領域には、積載コンベヤー9の長手方向延長線に沿って相互に間隔の空いた、駆動可能なシャッターによって制御される排出口16が設けられている。排出口16は、チェーンタイプの充填コンベヤー18、19に補給しており、充填コンベヤー18、19は、充填コンベヤー18、19の長手方向延長線に沿って間隔の空いた複数の排出口を用いて、対応する貯蔵サイロ2、3内に飼料を、運搬かつ分配するように構成されている。
【0026】
充填コンベヤー18、19の他に少なくとも一つの緊急用充填コンベヤー20が設けられている。この緊急用充填コンベヤーは、貯蔵サイロ2,3への充填工程の間に最高値、すなわち貯蔵サイロ2、3のオーバーフローが起動すると、図示の場合、サイロ2で構成されるサイロの適応区域に過剰の飼料を送ることによって、すべての充填コンベヤー18、19を完全にあけることができる。
【0027】
自動引き出し手段4は、貯蔵サイロ2、3の下の、対応する貯蔵サイロ2、3の底部で規定される排出口23、24に配置されるチェーンタイプの引き出しコンベヤー21、22を備える。より詳細には、貯蔵サイロ2、3の底部はホッパー形状の領域25、26に分割され、各ホッパー形状の領域から飼料を排出口23、24の一つへと送る。各排出口23、24は、対応する駆動可能なシャッターによって制御される。
【0028】
引き出しコンベヤー21、22は、少なくとも一つのバケットエレベータ27、28に補給しており、バケットエレベータ27、28は、貯蔵サイロ2、3から引き出した飼料を、中間領域5へと排出するように構成されている。
【0029】
図示した実施形態では、船Nの縦中心面PMLに対して対称に配置される2つのバケットエレベータ27、28がある。
【0030】
引き出しコンベヤー21、22とバケットエレベータ27、28との間にはチェーンタイプの交換またはバイパスコンベヤー29、30が設けられている。この交換またはバイパスコンベヤーは、緊急事態においてまたは整備が必要なために一方のバケットエレベータ27または28のみが利用可能な場合、当該バケットエレベータ27または28にではなく他方のバケットエレベータ28、27へと、引き出しコンベヤー21または22からの飼料を移動させるために作動することができる。
【0031】
バケットエレベータ27、28は、チェーンタイプの横方向分配コンベヤー31に補給しており、横方向分配コンベヤー31は、中間領域5において実質的に水平に、かつ船Nの縦中心面PMLに対して横方向を向いて配置されている。
【0032】
横方向分配コンベヤー31には、横方向分配コンベヤー31の長手方向延長線に沿って相互に間隔の空いた、駆動可能なシャッターによって制御される排出口32が設けられている。
【0033】
自動分配手段7は、横方向分配コンベヤー31の下に配置されており、船Nに対して長手方向を向いているチェーンタイプの長手方向分配コンベヤー33、34を備える。長手方向分配コンベヤー33、34は、その排出口32を用いて横方向分配コンベヤー31によって補給されており、排出口32は、駆動可能な対応するシャッターによって制御される。
【0034】
同様に、長手方向分配コンベヤー33、34は、対応する長手方向分配コンベヤー33、34の延長線に沿って相互に間隔の空いた、駆動可能な対応するシャッターによって制御される排出口35、36を用いて、飼料を重力分配するためのダクト37、38を補給しており、ダクト37、38は、それぞれの給餌動物用区画室6内にある飼槽へと通じている。区画室6は、中間領域5の高さよりも低い高さの船Nの領域に配置される。実質的に好ましくは、中間領域5は船Nの上方甲板に配置され、動物用区画室6は船Nの数段低い甲板に配置される。
【0035】
上方甲板のすべての長手方向分配コンベヤー33、34には、給餌飼料をすべての甲板のストール内に与えることができる、もしくはさらに給餌飼料を動物のいないストールに導入することを防止する調節装置が設けられており、未使用の飼料の無駄や腐敗を防止する。
【0036】
有利には、長手方向分配コンベヤー33、34には少なくとも貯蔵サイロ2、3の一つの上方に配置され、対応する排出ダクト41、42に接続された戻り排出口39、40が設けられており、以下により明らかになるように、これらの排出ダクトを通じて過剰の飼料を貯蔵サイロ2、3へと排出することができる。
【0037】
横方向分配コンベヤー31も、過剰の飼料を貯蔵サイロ2、3の一つへ排出するために、少なくとも貯蔵サイロ2、3の一つの上方にあり、対応する排出ダクト45、46に接続された少なくとも一つの戻り排出口43、44を有している。図示した実施形態では、横方向分配コンベヤー31には二つの戻り排出口43、44が設けられており、各戻り排出口は貯蔵サイロ2、3の一つに接続され、横方向分配コンベヤー31の長手方向端部のごく近くに配置される。
【0038】
さらに、横方向分配コンベヤー31には、すくなくとも一つの排出口47が設けられており、この排出口は、例えばベルトコンベヤーまたはスクリューコンベヤーによって構成された摘出手段48に接続することができ、飼料を船Nの外部に積み下ろす。
【0039】
システム1のそれぞれのチェーンタイプのコンベヤーのシャッターは、対応する電気サーボモータを用いて作動することができる周知のシャッターで構成されていてもよい。
【0040】
それぞれのチェーンタイプのコンベヤー、バケットエレベータ27、28および駆動可能で上記したチェーンタイプの排出口を制御するシャッターのサーボモータは、プログラム可能な電子タイプの制御および監視エレメント50に機能的に接続されており、このプログラム可能な電子タイプの制御および監視エレメントは、全システムの操作を管理し、そのようなエレメントを予めセットされたプログラムに従って作動させ、正確に給餌表に適合する、飼料の積み込みおよび積み下ろし、並びに輸送される動物の給餌の必要条件を満たすようにする。
【0041】
プログラム可能な電気タイプの制御および監視エレメント50は、「第1自動」制御および監視から「第2自動」制御および監視、そして最後には「手動」制御および監視に切り替えることができるような冗長性を有して設計されており、いかなる装置も電力のない状態が続くことを防止している。
【0042】
本発明によるシステムの操作は以下の通りである。
【0043】
列車、トレーラー、トラックまたは他の船から来る飼料は、ホッパー12、13に投入され、これらのホッパーは積載コンベヤー9を補給する。飼料は積載コンベヤー9から充填コンベヤー18、19に供給され、これらの充填コンベヤーは飼料を貯蔵サイロ2、3へと分配する。
【0044】
貯蔵サイロ2、3から、引き出しコンベヤー21、22によって飼料が引き出され、バケットエレベータ27、28によって横方向分配コンベヤー31へと運搬される。
【0045】
横方向分配コンベヤー31から、飼料が長手方向分配コンベヤー33、34へと運搬される。これらの長手方向分配コンベヤーは、給餌動物用区画室6に配置された飼槽に飼料を供給する排出ダクト37、38へと飼料を排出する。
【0046】
注目すべきは、飼槽へと分配される飼料の量、および飼料が分配される頻度は制御および管理エレメント50によって、予めセットされたプログラムに従って長手方向分配コンベヤー33、34の排出口35、36に配置されたシャッターを駆動することによって大変正確に調整することができる。
【0047】
更に、再び制御および管理エレメント50によって、貯蔵サイロへの飼料の充填および排出を管理することができ、船Nに対する荷重の不均衡を引き起こすのを防止する。
【0048】
長手方向分配コンベヤー33、34および/または横方向分配コンベヤー31において飼料の過剰が生じる場合は、戻り排出口39,40、43、44によって飼料を貯蔵サイロ2、3に運搬して戻して、飼料の分散または変質を防止することができる。
【0049】
運搬後、いかなる残余飼料も引き出しコンベヤー21、22、バケットエレベータ27、28、および横方向分配コンベヤー31によって貯蔵サイロ2、3から容易に排出することができる。この横方向分配コンベヤーは、排出口47を通して飼料を排出ダクトまたはコンベヤーに供給でき、排出ダクトまたはコンベヤーは、トレーラートラック、列車のような地上輸送手段、または別の船を補給する。
【0050】
実際には、本発明によるシステムでは、ほぼ完全に自動化された方法で、船上で飼料の積み込みおよび飼料の給餌動物の区画室の飼槽への分配を、前もって設定された以下のプログラムによって、前もって設定された量および頻度に従って管理することができるので、意図するねらいを十分に達成するということが見いだされた。
【0051】
本発明によるシステムの他の有利な点は、過剰の飼料を運搬して貯蔵サイロ2、3へと戻すことができ、従って飼料の劣化を防止することにある。
【0052】
本発明によるシステムの他の有利な点は、自動化された方法で、動物が輸送された後の残余飼料の荷下ろしができることである。
【0053】
従って、着想したこのシステムは数多くの変更や変形が可能であり、それらはすべて添付のクレームの範囲内にある。すべての細部はさらに他の技術的に同等な要素で置き換えられてもよい。
【0054】
実際には、使用される材料および寸法は必須要件および最先端の技術に従って任意である。
【0055】
本願が優先権を主張するイタリア特許出願MI2011A001438号の開示は、本明細書中に参照により組み込まれる。
【0056】
任意のクレームにおいて言及される技術的特徴に符号が続く場合、それらの符号はクレームに対する理解を増す目的のためにのみ含まれているのであり、従って、そのような参照符号は、何ら例としてそのような参照符号によって識別される各要素の解釈に対する限定作用を有さない。
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