(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058672
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】流体混合送達システム
(51)【国際特許分類】
B67D 1/12 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
B67D1/12
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-528516(P2014-528516)
(86)(22)【出願日】2012年8月28日
(65)【公表番号】特表2014-525376(P2014-525376A)
(43)【公表日】2014年9月29日
(86)【国際出願番号】US2012052636
(87)【国際公開番号】WO2013033079
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年6月17日
(31)【優先権主張番号】13/223,576
(32)【優先日】2011年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507133957
【氏名又は名称】グローバル アグリカルチュラル テクノロジー アンド エンジニアリング リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニュートン ジョン アール
(72)【発明者】
【氏名】チェニー ミカエル イー
(72)【発明者】
【氏名】ブルック ピーター ジェイ
【審査官】
加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第7311225(US,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0285955(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0107885(US,A1)
【文献】
特表2009−501362(JP,A)
【文献】
米国特許第6026850(US,A)
【文献】
米国特許第6209578(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00−1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を正確に計量して可変的混合比で混合し、その結果として得られた流体混合物を、同じ、実質的に一定の流量で送達するシステムにおいて、
混合室と、
第一の流体成分を第一の流体制御弁および下流の第一の制量穴を介して前記混合室に供給する第一の供給管路と、
前記第一の流体成分と前記混合室の中で混ぜ合わされて流体混合物を生成する第二の流体成分を第二の流体制御弁および下流の第二の制量穴を介して前記混合室に供給する第二の供給管路と、
前記混合室から出て、そこを通って流体混合物が吐出弁に送達される排出管路と、
を含み、
前記排出管路は、前記吐出弁が開いている時に、その最大流量が第一と第二の流体制御弁の合算最低流量より低く、それによって前記混合室内と、それぞれの第一と第二の流体制御弁の下流の前記第一と第二の供給管路内に流体背圧が発生し、
前記第一の制量穴の大きさは調節可能であり、前記混合室に供給される第一の流体成分の流量を変化させることができ、それによって前記混合室と前記第一の供給管路内の流体背圧が変化し、前記第二の流体制御弁を通って送達される第二の流体成分の流量に付随的な逆変化が生じる、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記第二の制量穴の大きさは一定であることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシステムにおいて、
前記排出管路内の、前記吐出弁と前記混合物の間に第三の制量穴(j)をさらに含み、前記第三の制量穴の大きさが一定であることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記第一の供給管路から出て第二の混合室につながる第三の供給管路であって、調節可能な大きさの第三の制量穴を有する第三の供給管路と、
前記第二の供給管路と同じであり、第三の流体成分を前記第二の混合室に供給する第四の供給管路と、
前記排出管路と同じであり、前記第二の混合室から第二の吐出弁へとつながる第二の排出管路と、
をさらに含むことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本願は、2011年9月1日に出願された米国特許出願第13/223,576号の優先権を主張するものであり、同出願の全文を参照によって本願に援用する。
【0002】
本発明は、流体を正確に計量して可変的混合比で混合し、その結果として得られた流体混合物を、選択されたいずれの混合比についても、同じ、実質的に一定の流量で送達するシステムに関する。このシステムは、この用途に限定されないが、液体飲料濃縮物と希釈液との混合物にとって特に有益であり、その1つの具体例は、各種の茶の濃縮物と水との混合物である。
【背景技術】
【0003】
流体を正確に計量して混合し、それによって得られた流体混合物を実質的に一定の流量で送達する周知のシステムは、米国特許第7,311,225号において開示されている。しかしながら、このようなシステムでは、流体の混合比を変えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概して、本発明の主な目的は、上記の欠点を是正するために、広い調整範囲で混合比を徐々に変化させ、選択されたいずれの混合比についても、送達される流体混合物の量が実質的に同じ、かつ実質的に一定のままであるようにするための、単純でありながら実効性の高い手段を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明の1つの実施形態によるシステムの概略図である。
【
図2】本発明によるシステムの他の実施形態の概略図である。
【
図4A】各種の動作状態にあるCF弁の内部構成要素の部分図である。
【
図4B】各種の動作状態にあるCF弁の内部構成要素の部分図である。
【
図4C】各種の動作状態にあるCF弁の内部構成要素の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
まず
図1に関して、本発明によるシステムの1つの実施形態は混合室10を含む。第一の流体成分、たとえば希釈剤としての水が上水道から導管12を介して受けら取られ、第一の供給管路14を介して混合室に供給される。第一の供給管路は、第一のCF弁16と、選択的に変化可能な大きさの第一の制量穴18を提供する下流のニードル弁と、混合室からの流体の逆流を防止する、所望に応じて設置可能な逆止弁20と、を含む。
【0007】
本明細書で使用されている「CF弁」という用語は、たとえば米国特許第7,617,839号に記載され、
図3により詳しく示されているタイプの流量制御弁を意味する。CF弁は、組み付けられた外部構成要素22、24から形成される筐体を含む。筐体の内部は隔壁26により、入口30を有する上部28と、下部と、に分割され、下部は調節アセンブリ34によって、流体室36と、そこから分離されたばね室38と、にさらに分割される。
【0008】
調節アセンブリ34は柔軟なダイアフラム40を含み、これによって支持され、これは隔壁26のポート44を通って突出するステム42を有する。ステム42の端には、他の部分より大径の頭部46があり、そのテーパの付いた下面48の周囲には隔壁のテーパ面50が位置付けられる。ばね52が調節アセンブリ34を隔壁26に向かって付勢する。
【0009】
弁入口30は導管12に接続されるようになされ、弁出口54は流体室36と連通し、そこから離れたシステム構成要素、すなわち今説明中のシステムでは混合室10、に接続されるようになされている。弁入口30と出口54はそれぞれ、軸A1、A2の上にあり、これらは相互に関して90°に配置される。ポート44は、弁上部28を流体室36に接続する。上部と流体室内の入口流体圧力が閾値より低いと、ばね52の閉鎖力に打ち勝つには不十分であり、その結果、
図4Aに示されるように、ダイアフラムが隔壁のシーリングリングと当接する閉鎖位置に保持され、それゆえ、流体は流体室36を通って弁出口54から出られない。
【0010】
図3と4Bに示されるように、入口圧力が閾値より高くなると、ばね52の閉鎖力に打ち勝ち、それによって調節アセンブリ34とそのダイアフラム40が流体室36内の動作圧の上昇に伴って隔壁26から離れるように移動する。流体が流体室から出ると、下流の制量穴18が流量を制限し、これが背圧を生じさせ、それが入口圧力に加わって流体室36内の全動作圧となる。
【0011】
入口圧力が低下すると、ばね52の力が調節アセンブリ34を隔壁26に向かって付勢し、それゆえ、テーパ付の面48、50間のギャップが大きくなり、流体室36内への流体の流量が増大して、動作圧が実質的に一定に保たれる。
【0012】
背圧の低下も同じ効果を有し、調節アセンブリを隔壁に向かって移動させて、ポート44を通過する流量を動作圧がその以前のレベルに回復するのに十分なだけ増大させる。
【0013】
逆に、背圧が上昇すると流体室36の中の動作圧が上昇し、それによって調節アセンブリが隔壁から離れるように移動し、テーパ付の面48、50間のギャップが小さくなって、流体室36への、およびそこを通る流体の流量が減少する。
【0014】
図4Cに示されるように、背圧によって流体室36内の動作圧が十分に高いレベルまで上昇すると、調節アセンブリが隔壁から離れるように、テーパ付の面48、50間のギャップを閉じるのに十分なだけ移動し、それゆえ、流れはそれ以上、弁を通過できない。
【0015】
再び
図1を参照すると、第二の流体成分、たとえば茶の濃縮液が導管56を介して受け取られ、第二の供給管路60を介して混合室10に供給される。導管56は、第二の流体成分の加圧供給源に接続されており、その非限定的な一例がポンプ58である。第二の供給管路は、第二のCF弁62と、一定の大きさの下流の第二の制量穴64と、所望により設置可能な別の逆止弁66と、を含む。第二のCF弁は、たとえば米国特許第6,026,850号または第6,209,578号に記載されているような「ストレートスルー」型であってもよく、この場合、弁の入口と出口が同じ軸上にある。第一と第二のCF弁16、22は、導管12、56内の入力圧力の変動が弁の閾値より高くても、第一と第二の流体成分を混合室10に、実質的に一定の流量と圧力で供給する役割を果たす。
【0016】
第一と第二の流体成分は混合室内で混ぜ合わされて流体混合物が生成され、その混合比は、第一の制量穴18の可変的大きさの中から選択された大きさと第二の制量穴64の一定の大きさによって決まる。
【0017】
図には示されていないが、当然のことながら、第一と第二の制量穴18、64の位置は逆であってもよく、その場合、調節可能な制測穴18が第二の供給管路60内に配置され、一定の制量穴が第一の供給管路14内に設置される。あるいは、第一と第二の供給管路14、60の両方に調節可能な穴を設けてもよい。
【0018】
排出管路68が混合室10から出ており、それを通って流体混合物が吐出弁70に送達される。第三の制量穴72が排出管路内に設置される。図では、第三の制量穴72は吐出弁より上流にあり、そこから離れている。あるいは、第三の制測穴は吐出弁と一体の構成要素として含められてもよい。
【0019】
吐出弁が開くと、排出管路68の最高流量は第一と第二のCF弁16、62の合算最低流量より低く、それゆえ、それぞれのCF弁の下流にある第一と第二の供給管路14、60内に背圧が発生する。この背圧はCF弁にかかる入口圧力に加わり、弁を
図3と4Bに示される動作位置に保持し、それによって混合室に送達される第一と第二の流体成分の圧力と流量が実質的に一定に保たれる。
【0020】
第一の制量穴18の大きさを調節すると常に、混合室10への第一の流体成分の流量が変化する。それにより、混合室内および第二のCF弁62の下流の第二の供給管路60内の背圧が変化し、その結果、第二のCF弁を通って混合室に送達される第二の流体成分の流量に付随的な逆変化が生じ、ひいては混合室から吐出弁70へと排出される混合物の混合比が変化する。混合比が変化しても、吐出される流体混合物の流量は実質的に同じに、かつ実質的に一定のままとなる。
【0021】
吐出弁70が閉じると、それぞれのCF弁16、62の下流にある第一と第二の供給管路14、60の背圧が上昇し、弁は
図4Cに示されるように閉鎖状態となる。
【0022】
図2に示されるシステムの実施形態では、第三の供給管路74が第一の供給管路14から第二の混合室76へとつながっている。第三の供給管路74は、別の調節可能な制量穴78を含む。第二の混合室76には、他の流体成分、たとえば違う種類の茶の濃縮物が、第二の供給管路60と同じ構成要素を有する第四の供給管路80を介して供給される。流体混合物は混合室76から出て、制測穴86を有する排出管路84を介して別の吐出弁82へと至る。
【0023】
吐出弁70、82は選択的に開閉でき、CF弁16は供給管路60、74のいずれかまたは両方のCF弁62と協働して、混合室10、76の一方または両方から出る選択された混合比を、同じ、実質的に一定の量に保つ役割を果たす。