(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058680
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】改善された海洋熱エネルギー変換方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
F03G 7/05 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
F03G7/05 531
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-533956(P2014-533956)
(86)(22)【出願日】2012年9月11日
(65)【公表番号】特表2014-529039(P2014-529039A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】FR2012000359
(87)【国際公開番号】WO2013050666
(87)【国際公開日】20130411
【審査請求日】2015年7月29日
(31)【優先権主張番号】11/03076
(32)【優先日】2011年10月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】591007826
【氏名又は名称】イエフペ エネルジ ヌヴェル
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】テクセラ、 ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】マビル、 クロード
【審査官】
瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0077969(US,A1)
【文献】
特開昭51−101650(JP,A)
【文献】
特開平11−223106(JP,A)
【文献】
特開昭61−200313(JP,A)
【文献】
特開昭62−225778(JP,A)
【文献】
特開昭53−143847(JP,A)
【文献】
特開昭59−068505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 7/05
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海洋熱エネルギー変換方法であって、
所定の特性を有する作動流体が、該作動流体と冷たい海洋深層水との熱交換によって構成された冷熱源(4)と、前記作動流体と温かい海洋表層水との熱交換によって構成された温熱源(1)との間で、閉ループで循環し、
前記作動流体が、前記熱源の熱力学的条件と前記作動流体の性質とを考慮した上で、前記温熱源の出口で実質的に完全に気化されるように、前記冷熱源と前記温熱源との間で圧縮され、
前記気化した作動流体が、ヒートポンプによって、前記温熱源の下流で加熱され、前記ヒートポンプの温熱源は、前記温かい海洋表層水との熱交換によって構成され、
前記気化して加熱された作動流体の熱エネルギーが、タービン(7)から回収され、
前記作動流体が、前記冷熱源において凝縮される、
海洋熱エネルギー変換方法。
【請求項2】
前記気化して加熱された作動流体の熱エネルギーが、2つのタービン段によって回収され、前記作動流体が、前記温かい海洋表層水との熱交換によって、前記2つのタービン段の間で加熱される、請求項1に記載の変換方法。
【請求項3】
前記作動流体が、第2のタービンの下流で採取された作動流体の一部であって、膨張した後で、前記作動流体の主回路に再結合する作動流体の一部との熱交換によって、前記2つのタービン段の間で加熱される、請求項2に記載の変換方法。
【請求項4】
前記冷熱源が、前記冷たい海洋深層水と熱交換を行う冷媒流体の閉ループによって構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の変換方法。
【請求項5】
海洋熱エネルギー変換システムであって、
所定の特性を有する作動流体を、該作動流体と冷たい海洋深層水の温度の流体との熱交換によって構成された冷熱源(4)と、前記作動流体と温かい海洋表層水の温度の流体との熱交換によって構成された温熱源(1)との間で、閉ループで循環させる手段と、
前記熱源の熱力学的条件と前記作動流体の性質とを考慮した上で、前記作動流体が前記温熱源の出口で実質的に完全に気化されるように、前記冷熱源と前記温熱源との間で前記作動流体を圧縮させる手段(6)と、
前記温熱源の下流の、前記気化した作動流体の補助加熱手段(2,2’)であって、ヒートポンプを有し、該ヒートポンプの温熱源が、前記温かい海洋表層水との熱交換器(12)からなる、補助加熱手段(2,2’)と、
前記気化して加熱された作動流体の熱エネルギーを回収する手段(7)と、
前記冷熱源において前記作動流体を凝縮する手段と、を有する
海洋熱エネルギー変換システム。
【請求項6】
前記気化して加熱された作動流体の熱エネルギーを回収する前記手段が、2つのタービン段(7a,7b)と、該2つのタービン段の間に配置された、前記作動流体と前記温かい海洋表層水の温度の流体との熱交換器(1b)と、を有する、請求項5に記載の変換システム。
【請求項7】
前記冷熱源が、前記冷たい海洋深層水と熱交換を行う冷媒流体の閉ループを有する、請求項5または6に記載の変換システム。
【請求項8】
前記2つのタービン段の間に配置された前記熱交換器が、前記作動流体と、流れ分配器(17)によって第2のタービンの下流で採取され、圧縮機(9)で圧縮され、そして、弁(16)で膨張した後で、ミキサー(18)によって前記作動流体の主回路に再結合する作動流体の一部(A)との熱交換を構成している、請求項6に記載の変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱帯および亜熱帯地域に存在する、海洋表層水と、特に1000mオーダーの深さの海洋深層水との間の温度差を利用して得られた利用可能なエネルギーに関する海洋熱エネルギー変換(OTEC)の分野に関する。表層水は、熱力学サイクルエンジンの温熱源の目的で使用され、深層水は、熱力学サイクルエンジンの冷熱源の目的で使用される。温熱源と冷熱源との温度差は比較的低く、期待されるエネルギー収量も低い。
【0002】
本発明の目的は、従来のOTECプラントの効率、ひいてはその収益性を大幅に向上させ(倍増までさせ)るために、より低コストで温熱源の温度を増加させることである。一方では、それによって、このタイプのプラントの実現領域を拡張することが可能となり、これにより、潜在市場を増加させることができる。
【背景技術】
【0003】
一般に、従来のOTECプラントは、ランキンサイクルで動作する。過熱を用いたこのサイクルの変形例が公知である(ヒルンサイクル)。ヒルンサイクルは、作動流体が膨張後に依然として気体であるのに十分な温度まで、作動流体を加熱することを含んでいる。しかしながら、このようなプラントは、設置されたすべての場所において最大限の最適化がなされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、温熱源および冷熱源に与えられた温度を前提とし、以下の規則に基づいてプラントを設計することで、海洋エネルギー回収システムを最適化することである。その規則とは、温熱源(海洋表層水)による加熱が、作動流体のほぼ完全な気化を引き起こし、補助温熱源が、気化した作動流体を追加的に加熱することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明は、海洋熱エネルギー変換方法であって、
所定の特性を有する作動流体が、作動流体と冷たい海洋深層水との熱交換によって構成された冷熱源と、作動流体と温かい海洋表層水との熱交換によって構成された温熱源との間で、閉ループで循環し、
作動流体が、熱源の熱力学的条件と作動流体の性質とを考慮した上で、温熱源の出口で実質的に完全に気化されるように、冷熱源と温熱源との間で圧縮され、
気化した作動流体が、温熱源の下流で加熱され、
気化して加熱された作動流体の熱エネルギーが、タービンから回収され、
作動流体が、前記冷熱源において凝縮される、
海洋熱エネルギー変換方法に関する。
【0006】
気化して加熱された作動流体の熱エネルギーが、2つのタービン段によって回収されてもよく、作動流体が、温かい海洋表層水との熱交換によって、2つのタービン段の間で加熱されてもよい。作動流体が、第2のタービンの下流で採取された作動流体の一部であって、膨張した後で、作動流体の主回路に再結合する作動流体の一部との熱交換によって、2つのタービン段の間で加熱されてもよい。
【0007】
気化した作動流体が、ヒートポンプによって、温熱源の下流で加熱されてもよく、ヒートポンプの温熱源は、温かい海洋表層水との熱交換によって構成されている。
【0008】
冷熱源が、冷たい海洋深層水と熱交換を行う冷媒流体の閉ループによって構成されていてよい。
【0009】
本発明は、海洋熱エネルギー変換システムであって、
所定の特性を有する作動流体を、作動流体と冷たい海洋深層水の温度の流体との熱交換によって構成された冷熱源と、作動流体と温かい海洋表層水の温度の流体との熱交換によって構成された温熱源との間で、閉ループで循環させる手段と、
熱源の熱力学的条件と作動流体の性質とを考慮した上で、作動流体が温熱源の出口で実質的に完全に気化されるように、冷熱源と温熱源との間で作動流体を圧縮させる手段と、
温熱源の下流の、気化した作動流体の補助加熱手段と、
気化して加熱された作動流体の熱エネルギーを回収する手段と、
冷熱源において作動流体を凝縮する手段と、を有する
海洋熱エネルギー変換システムにも関する。
【0010】
気化して加熱された作動流体の熱エネルギーを回収する手段が、2つのタービン段と、2つのタービン段の間に配置された、作動流体と温かい海洋表層水の温度の流体との熱交換器と、を有していてよい。2つのタービン段の間に配置された熱交換器が、作動流体と、流れ分配器によって第2のタービンの下流で採取され、圧縮機で圧縮され、そして、弁で膨張した後で、ミキサーによって作動流体の主回路に再結合する作動流体の一部との熱交換を構成していてよい。
【0011】
補助加熱手段が、ヒートポンプを有していてよく、ヒートポンプの温熱源が、温かい海洋表層水との熱交換器からなる。
【0012】
冷熱源が、冷たい海洋深層水と熱交換を行う冷媒流体の閉ループを有していてよい。
【0013】
プラントの設計は、特に、表層水からの加熱エネルギーが作動流体を気化し、気化した作動流体に特化した補助温熱源が、サイクル効率を高めることができる追加的なエネルギーレベルを提供するように、エンジンサイクル中の具体的な加熱方法を得るために用いられる手段に基づいている。
【0014】
本発明は、ランキンサイクルに限定されるものではなく、本発明によって、OTECプラントで使用されるすべての熱力学サイクルを有利に改善することができる。
【0015】
温かい海水(安価)と追加の温熱源との間で作動流体の加熱を「分業」するという原則によって、より高い収益性と共に、場所の状況に対する本発明によるシステムの優れた適応性を提供することができる。
【0016】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照しながら示す、非限定的な例として与えられる実施の形態についての以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】温熱源が改善されたOTECプラントの熱力学サイクルをエンタルピー線図に表した図である。
【
図2】本発明を実施するためのシステムを概略的に示す図である。
【
図3】温熱源が改善されたOTECプラントの熱力学サイクルの変形例をエンタルピー線図に表した図である。
【
図4】本発明によるシステムの変形例を概略的に示す図である。
【
図6】2つのタービン段の間の熱交換についての変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
したがって、本発明は、温水と追加の温熱源との間の分業に基づいている。その原則は、安価な温かい海水が作動流体を気化させ、その後、もう一つの温熱源がその温度を上昇させる、というものである。
【0019】
熱力学サイクルは、以下の推論によって得られている。冷熱源の圧力は、その温度によって決定される。実際、圧力は、冷熱源が単に温度を低下させることで作動流体を凝縮することができるほど十分なものでなければならない。
【0020】
冷熱源の圧力P
froidが決定されると、T
froidおよびP
froid(気体)を通過する等エントロピー線と、エンタルピー線図のベル内での温度がT
EauChaudeである水平線との交点が求められる。こうして、温熱源の圧力が与えられ、交点により、システムを最適化する温度T
Chaudが与えられる。
【0021】
この推論に従い、温水および冷水の温度をそれぞれ303Kおよび278Kとすることで、作動流体としてアンモニアを用いて得られた熱力学サイクルが、
図1にプロットされている。
【0022】
図2は、ランキンサイクルによるOTECプラントのブロック図であり、温熱源側熱交換器1と補助温熱源2とを含んでいる。海洋表層水(参照番号3)の温度よりも高い温度を得ることができ、熱力学サイクルを強化するのに十分なあらゆる熱源によって、補助温熱源を実現することができる。
【0023】
システムは、深海から採取した冷たい海水(参照番号5)が流入する冷熱源側熱交換器4を有している。等価的には、本発明から逸脱することなく、海洋深層水のエネルギーを冷熱源側熱交換器まで搬送する冷媒流体を使用することができる。作動流体(本例ではアンモニア)の回路は、圧縮機6と、発電機8を駆動するタービン7とを有している。
【0024】
圧力(P、単位bar)および温度(T、単位K)は、冷水および温水の温度と、温熱源側熱交換器の出口で実質的には完全に気化される作動流体の性質とに依存している。
【0025】
この方法の変形例は、同じように、温水と追加の温熱源との間で「分業」することを含んでいるが、補助温熱源によって供給されるエネルギーを削減することができる解決策も含んでいる。
【0026】
以下の推論によって、アンモニアに対する熱力学サイクルが得られる。
【0027】
冷熱源の圧力は、上述したように、その温度によって決定される。実際、圧力は、冷熱源が単に温度を低下させることで作動流体を凝縮することができるほど十分なものでなければならない。
【0028】
冷熱源の圧力P
froidが決定されると、T
froidおよびP
froid(気体)を通過する等エントロピー線と、温水の温度における等温線との交点が求められ、それによって、サイクルの第2段を得ることができる。この交点により、中間圧力を決定することができる。この最後の点から、相転移が開始するまで等圧曲線を追従する。これにより、第1段の出口での圧力および温度が与えられる。
【0029】
そして、最後の点を通過する等エントロピー線と、エンタルピー線図のベル内での温度がT
EauChaudeである水平線との交点が求められる。これによって、サイクルの第1段が与えられる。この交点により、高圧側圧力を決定することができる。
【0030】
温水および冷水の温度はそれぞれ303Kおよび278Kであるが、作動流体としてアンモニアを用いて得られた新たな熱力学サイクルが、
図3にプロットされている。
【0031】
この変形例は、膨張のいくつかの段にわたって電力を回収するために考慮することができる。目的は、補助温熱源2’によって供給されるエネルギーを低減することである。
図4は、エネルギー回収の2つの段を備えたシステムを示している。このようなプラントの場合、作動流体(ここではアンモニア)の回路は、冷熱源側熱交換器4の入口と温熱源側熱交換器1aの出口との間に差異がない。回路は、この交換器から下流に、補助温熱源2’を有し、補助温熱源2’は、この変形例では、より少ないエネルギーを提供する。本例では、
図2のシステムに対するエネルギーの半分だけが提供される。補助温熱源2’の後で、流体は第1のタービン7aで膨張される。作動流体の温度が1段式の場合に比べて低いほど、膨張速度はより低速になる。回収される電力も低くなる。本例では、
図2のシステムで回収される電力の半分になる。この第1のタービン7a(HP)の出口において、作動流体は、第2段の温熱源側熱交換器1bで加熱される。そして、作動流体は、第2のタービン7b(LP)で膨張される。本例では、第2のタービンによって、第1のタービンと同じだけの電力を回収することができる。各タービンが、それぞれ1つの発電機を駆動することができ、あるいは、両方のタービンを、同じ発電機の1つの軸に配置することができる。このように、本例は、
図2のシステムと同じだけのエネルギーを最終的には回収することができ、有利には補助温熱源から要求される電力を減少させることもできる方法を示している。
【0032】
(実施例)
表1は、補助温熱源を備えていない10MWのOTECプラントの場合の、アンモニア、温かい海洋表層水、および冷たい海洋深層水のそれぞれの流量を示している。
【0034】
表2は、従来のプラントにおけるシステムのいくつかの回路要素に関する電力を示している。圧縮機およびタービンの効率を0.9に設定した。
【0036】
表3は、補助温熱源を備えたプラントにおける、サイクルに関連する電力および全体のサイクル効率を示しており、
図2に示す温度および圧力の条件を確認することができる。アンモニアと水の流量は、表1に示す従来のプラントの場合と同じである。
【0038】
約10MWの熱(温熱源の3%に相当)を供給することで、効率を倍増させ、特にタービンによって回収される電力を倍増させることができることがわかる。補助温熱源によって導入されるほとんどすべての電力は、タービンで仕事に変換される。
【0039】
注:効率ηは、以下のように定義される。
【0041】
(2段式の変形例)
表4は、補助温熱源を備えた2段式のプラントにおける、サイクルに関連する電力およびサイクルの全体効率を示しており、
図4に示す温度および圧力の条件を確認することができる。アンモニアと水の流量は、従来のプラントの場合と同じである。参照番号は、
図4に示したものに対応している。
【0043】
全体効率は同じであるが、補助温熱源によって供給されるエネルギーは、1/2になっていることがわかる。
【0046】
(補助温熱源)
補助温熱源は(化石燃料または再生可能エネルギー源からの)多くの公知手段によって提供可能であるが、冷熱源および温熱源が利用可能なOTECの分野では、ヒートポンプの使用が特に有利である。
【0047】
熱は、自然な状態では、それぞれ等しい温度になるまで、より温かい媒体からより冷たい媒体へと拡散するが、ヒートポンプ(PAC)は、より冷たい媒体(したがってより一層冷たくなる)からより温かい媒体(したがって加熱される)へと熱を伝達することができる熱力学装置である。ヒートポンプの効率η
pacは、次のように定義される。
【0049】
ここで、W
pacは、ヒートポンプに供給される電力である。効率は、最良の場合には7の値に到達することができる。
【0050】
この場合、PACは、温かい海水を冷熱源とすることができ、したがって、1日24時間、熱を供給することができる。しかしながら、ヒートポンプは、圧縮機を稼働させるために、それ自体でエネルギーが消費される。これにより、必然的に、装置の効率は低下することになる。
【0051】
図5は、作動流体がアンモニアであるPACであって、
図2の回路に組み込まれた補助加熱器2によれば、320Kで10MWの熱を供給することができるPACを示している。参照番号10は、「冷熱源」側熱交換器11において温熱源2(PAC)によって加熱される、主回路の作動流体の回路に相当する。「温熱源」側熱交換器12は、暖かい海洋表層水13から熱エネルギーを取り込んでいる。PACは、圧縮機14と膨張弁15とを有している。
【0052】
表5は、
図5のヒートポンプ回路の図に含まれる条件に従った、各要素の電力と、ヒートポンプの流量および効率との計算結果を示している。
【0054】
図4の回路による補助温熱源を実現するためには、半分の流量で作動する同一のヒートポンプで十分である。
【0055】
図6は、補助温熱源が作動流体の一部からなる他の変形例を示す図である。第2のタービン7b(LP)の出口での気体状のNH
3の作動流体は、分流器(スプリッター)17において2つの部分に分離され、約4%の補助流れは導管Aを循環し、96%は導管Bに流入する。
【0056】
導管Aは、圧縮機9につながり、補助流れは、第2のタービン7bの上流であって第1のタービン7aの下流にある熱交換器1bにおいて、熱を交換する。そして、補助流れは、弁16で膨張した後で、ミキサー18において主要な流れと再結合する。
【0057】
図6は、一例として、この変形例による補助温熱源の回路における種々の点での圧力および温度を示している。