(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の流体/流体熱交換器(10)は、前記第1の熱伝達流体ループ(4)内で循環する熱伝達流体と、前記クーラント回路(2)内で循環するクーラントとの間の熱交換を引き起こすように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
前記第1の流体/流体熱交換器(10)は、前記第1の熱伝達流体ループ(4)内で、前記第1のポンプ(7)の出口と前記電熱源(8)の入口との間に配置されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の装置。
前記第2の流体/流体熱交換器(15)は、前記第2の熱伝達流体ループ(5)内で循環する熱伝達流体と、前記クーラント回路(2)内で循環するクーラントとの間の熱交換を引き起こすように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
前記第2の流体/流体熱交換器(15)は、前記第1の電気部品交換器(11)を備える第2の熱伝達流体ループ(5)の一部と並列する、前記第2の熱伝達流体ループ(5)の分岐(16)内に設置されている、ことを特徴とする請求項1又は請求項5に記載の装置。
前記第2の熱伝達流体ループ(5)は、前記第1の電気部品交換器(11)の上流で、且つ前記第2の流体/流体熱交換器(15)を含む分岐(16)に並列に設置された第2のポンプ(12)を備える、ことを特徴とする請求項1、5または6に記載の装置。
前記分岐(16)は、第2の相互接続装置(17)によって、前記第1の電気部品交換器(11)を備える前記第2の熱伝達流体ループ(5)の一部に接続されている、ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
前記第2の熱伝達流体ループ(5)と並列に、第3の熱伝達流体ループ(30)が設けられ、前記第3の熱伝達流体ループ(30)は、前記電気パワートレインの第2の電気部品交換器(32)を少なくとも備える、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、車両乗員室と、前記車両の電気パワートレインの少なくとも1つの電気部品との熱調整用の装置であって、装置は、内部を熱伝達流体が通過する熱伝達流体回路を備え、且つ、
・少なくとも第1のポンプと、熱源と、乗員室を加熱することが可能な内部熱交換器とからなる、第1のループと、
・第1のループに対して、並列であり、且つ第1の相互接続装置により第1のループと相互接続された第2の熱伝達流体ループであって、前記第2の熱伝達流体ループは、電気部品の第1の交換器を少なくとも備える第2のループと、を少なくとも備え、
熱源は、第1のループおよび/または第2のループにて循環する熱伝達流体を加熱することが可能な同一の熱源を形成する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した2つの制約は、本発明が基づく技術的課題を形成し、本発明は、全く同一の手段を用いて、乗員室およびバッテリの両方を加熱することを可能にする、簡潔かつ経済的な解決策を提供するものであり、この手段は、特に車両の電気ネットワークから、そのエネルギーを引き出す。
【0008】
このような装置は、従って、2つの個別または組み合わされた加熱機能を実行するために、同一の構成要素を使用するので、実施が特に容易である。
【0009】
第1の実施形態によれば、熱源は電熱源である。
【0010】
この場合、電熱源は、第1の熱伝達流体ループ内で第1の相互接続装置の直上流に設置される。
【0011】
本発明に係る装置は、クーラント回路であって、前記クーラント回路中をクーラントが通過するクーラント回路を備えることができ、クーラント回路は、少なくとも、コンプレッサとエバポレータとを備えることに留意する。
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、電熱源は、第1のループ内で第1の相互接続装置の直上流に配置されている。このように加熱された熱伝達流体は、従って、これらのカロリーを放散可能な要素に対して即座に利用可能である。
【0013】
本発明の第2の特徴によれば、熱調整装置は、クーラント回路内、且つ第1のループ内に設置された第1の流体/流体熱交換器、すなわち熱伝達流体/クーラント、を備える。
【0014】
相補的なやり方で、熱調整装置は、クーラント回路内、且つ第2のループ内に設置された第2の流体/流体熱交換器、すなわち熱伝達流体/クーラント、を備える。
【0015】
これらの交換器のそれぞれは、気流との強制交換なしに、1つの流体から別の流体へと、カロリーを伝達することが可能である。
【0016】
このような場合、第1の流体/流体熱交換器は、第1のループ内で循環する熱伝達流体と、クーラント回路内で循環するクーラントとの間の熱交換を生成するように構成されている。
【0017】
第1の流体/流体熱交換器は、従って、第1の熱伝達流体ループ内で、第1のポンプの出口と、電熱源の入口との間に配置されている。
【0018】
本発明のさらなる特徴によれば、第1の流体/流体熱交換器は、クーラント回路において、コンプレッサの出口の直下流に配置されている。この第1の交換器は、従って、クーラント回路にて発生する熱力学サイクル用の、コンデンサとして、より一般的にはガスクーラーとして動作する。
【0019】
第2の流体/流体熱交換器は、第2の熱伝達流体ループ内で循環する熱伝達流体と、クーラント回路内で循環するクーラントとの間の熱交換を引き起こすように構成されている。
【0020】
好適には、第2の流体/流体熱交換器は、第2のループの分岐内に設置されており、この分岐は、第1の電気部品交換器を備える第2のループの一部と並列である。
【0021】
第2の熱伝達流体ループは、第1の電気部品交換器の上流で、且つ第2の流体/流体熱交換器を含む第2のループの分岐に並列に設置された第2のポンプを備えることができる。
【0022】
このような状況において、分岐は、第2の相互接続装置によって、第1の電気部品交換器を備える第2のループの一部に接続される。
【0023】
一実施形態によれば、クーラント回路は、第1の流体/流体熱交換器を含む中央分岐と、第2の流体/流体熱交換器を含む第1の横分岐と、エバポレータを含む第2の横分岐と、を備え、中央分岐と、第1の横分岐と、第2の横分岐とは、互いに並列である。
【0024】
本発明の変形例によれば、装置は、第2の熱伝達流体ループと並列に、第3の熱伝達流体ループを備え、前記第3のループは、電気パワートレインの第2の電気部品交換器を少なくとも備える。
【0025】
このような状況において、第3の熱伝達流体ループは、第2の電気部品交換器と第3のポンプとが直列に設置されている第1のセクタと、第1のラジエータを備える第2のセクタと、を備え、第1のセクタは、第2のセクタに対して並列であり、且つ第3の相互接続装置により第2のセクタに接続されている。
【0026】
本発明の変形例によれば、熱調整装置は、第1の熱伝達流体ループと並列に、第4の熱伝達流体ループを備え、前記第4のループは、内燃機関の少なくとも1つの冷却回路を備える。
【0027】
この状況において、第4の熱伝達流体ループは、内燃機関の冷却回路と第4のポンプとが直列に設置されている第1の部分と、第2のラジエータを備える第2の部分と、を備え、第2の部分は、第1の部分に対して並列であり、且つ第4の相互接続装置によって第1の部分に接続されている。
【0028】
本発明に係る第1の利点は、乗員室またはバッテリのいずれか、あるいはこれらの構成要素の両方に対して、本発明に係る装置に慎重に設置された同一の電熱源から、同時に追加的カロリーを提供する可能性に存する。従って、これらの構成要素の一方または他方に専用の、2つの追加的熱源の使用を避けることが可能である。
【0029】
さらなる利点は、クーラント回路の心臓部で発生する熱力学サイクルでそれらを用いることを考慮した、電気パワートレインの電気部品によって生成されるカロリーの回収の可能性に存する。このエネルギー回収は、クーラントが交換できる温点を提供し、これは、コンデンサにおける熱交換の増加の形態を取る。これらの交換されたカロリーは、次いで、第1のループに存在する熱伝達流体に、そして、乗員室に供給される気流に伝達される。電気部品によって放散されたカロリーは、このように利用可能であり、よって、内気流にて利用可能とすることができる。
【0030】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、明細書を読むことによって明らかとなり、この明細書は、以下に、添付図面を参照する例示として提供される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面は、本発明の実施について、本発明を詳細に説明することに注目すべきであり、勿論、前記図面は、必要に応じて、本発明をより良く定義するために用いることができる。
【0033】
本発明を詳細に示し、かつ、後に説明される
図2〜8において用いられる規定は、流体の循環を実線により表し、これに対して、流体循環の不在を点線で表すことである。
【0034】
説明の残りを通して、上流または下流という用語が用いられる。これらの用語は、参照される構成要素を受ける回路の部分における、関連流体の循環方向に関する。クーラントおよび熱伝達流体の循環方向は、特定の動作モードに従い、図面に示される矢印によって示される。
【0035】
また、直列および並列という用語を用いて、特に回路またはループの各部分、構成要素または熱交換器の、1つの要素の別の要素に対する配置を定義する。並列という用語は、第1の要素を通過する関連流体が、第2の要素を通過する流体と異なるが、流体は同じ種類のものである要素の配置として理解される。直列という用語は、流体が第1の要素と、次いで第2の要素とを連続して通過する、構成要素の配置として理解される。
【0036】
図1は、本発明に係る熱調整装置1を示し、この装置は、クーラント回路2と、熱伝達流体回路3とを備える。このような熱調整装置1は、車両のユーザからのリクエストに従い、前記乗員室を加熱または冷却することにより、車両の乗員室の熱調整を提供する。
【0037】
この熱調整装置は、また、車両に搭載される電気パワートレインを構成する1つまたは複数の構成要素の熱調整を提供する。これを達成するために、熱伝達流体回路は、関連構成要素と、熱伝達流体回路にて循環する熱伝達流体との間で熱交換を提供する役割を果たす、様々な熱交換器を備える。
【0038】
例として、熱伝達流体は、グリコールが加えられた水である。
熱伝達流体回路3は、第1の相互接続装置6により互いに接続される、第1の熱伝達流体ループ4と、第2の熱伝達流体ループ5とから成る閉回路である。第1の相互接続装置6は、例えば、2方弁または3方弁の形態で製造される。
【0039】
これにより、熱調整装置の動作モードに応じて、第1の熱伝達流体ループ4および/または第2の熱伝達流体ループ5は、独立または共同で動作することができる。
【0040】
第1の熱伝達流体ループ4は、少なくとも、第1のポンプ7と、電熱源8と、内部熱交換器9とが配置された回路を形成する。
【0041】
第1のポンプ7は、例えば、電気ポンプである。
【0042】
電熱源8は、熱伝達流体を加熱するように設計された熱源を形成する。一実施形態によれば、電熱源は、1つまたは複数のPTC効果(正温度係数)加熱要素を備える電気ラジエータである。
【0043】
内部熱交換器9は、熱伝達流体によって運ばれるカロリーを、乗員室内に供給される気流に放散するように設計された、気体/熱伝達流体熱交換器である。この理由から、この熱交換器は、”内部”熱交換器と呼ぶ。
【0044】
熱調整装置1は、第1の熱伝達流体ループ4内で循環する熱伝達流体と、クーラント回路2内で循環するクーラントとの間の熱交換を引き起こすように構成された、第1の流体/流体熱交換器10をさらに備える。よって、この第1の流体/流体熱交換器10は、少なくとも部分的に、第1の熱伝達流体ループ4の要素を形成することが理解される。
【0045】
好適には、第1の熱伝達流体ループ4は、停止手段29を備え、その機能は、内部熱交換器9に向けた熱伝達流体の循環を許可または防止することである。一実施形態によれば、このような停止手段29と、第1の相互接続装置6とは、第1の熱伝達流体ループ4と第2の熱伝達流体ループ5との接点に配置される同一部品を形成することができる。
【0046】
第2の熱伝達流体ループ5は、第1の熱伝達流体ループ4に並列に設置されたループである。第1のポンプ7と、第1の流体/流体熱交換器10と、電熱源と、を備える熱伝達流体回路の部分は、第1のループ4と第2のループ5とに共通である。
【0047】
この第2の熱伝達流体ループ5は、第1の電気部品交換器11を備え、好適には、第2の熱伝達流体ループ5にて熱伝達流体を循環させるように設計された第2のポンプ12を備える。好適には、この第2のポンプは、電気ポンプである。
【0048】
第1の電気部品交換器11は、熱伝達流体と、車両の電気パワートレインの電気部品との間で、熱交換を行う。特に、この構成要素は、バッテリ30、またはバッテリパック13、参照番号14であり、車両を動かすために用いられる電力を保存する。図示される実施形態によれば、第1の電気部品交換器11は、バッテリパック14に組み込まれ、第2のポンプ12に直接接続される。
【0049】
例として、電気パワートレインの電気部品は、例えば、電気駆動モータ、インバータまたは降圧変換器の形態の変換器、とすることができる。
【0050】
第2の熱伝達流体ループ5は、第2のループ5内で循環する熱伝達流体と、クーラント回路2内で循環するクーラントとの間の熱交換を引き起こすように構成された第2の流体/流体熱交換器15を、少なくとも部分的にさらに備える。
【0051】
この第2の流体/流体熱交換器15は、バッテリパック14をバイパスする分岐16によって、第1の電気部品交換器11と、第2のポンプ12とに並列に設置される。第2の流体/流体熱交換器15および/または第1の電気部品交換器11を通した、熱伝達流体の循環は、第2の相互接続装置17によって構成される。この装置は、特に、分岐16と、第1の電気部品交換器11を備える第2の熱伝達流体ループ5の回路の部分との間の接点のいずれか一方に設置される2方弁または3方弁の形態で形成することができる。この部分を、以下、サブ回路46と称する。
【0052】
電熱源8にて循環する熱伝達流体は、以下の構成のいずれかに従い循環できることが、先の説明から理解される。
− 第1の熱伝達流体ループ4のみ内で、すなわち、内部熱交換器9に向けて
− 第2の熱伝達流体ループ5のみ内で、すなわち、第1の電気部品交換器11に向けて
− 第1および第2の熱伝達流体ループの両方内で
【0053】
よって、乗員室の加熱の機能と、自動車に動力を与えるために用いられる1つまたは複数のバッテリの加熱の機能とを、同じ電熱源が満たすことができる。
【0054】
クーラント回路2に関しては、その内部をクーラントが循環する閉ループであることに留意する。このクーラントは、例えばフッ素化化合物、特にR134aなどの、亜臨界タイプであるが、例えばR744として知られる、二酸化炭素などの、超臨界タイプの流体とすることもできる。
【0055】
クーラントは、コンプレッサ18によりクーラント回路内にて循環され、このコンプレッサの機能は、クーラントの圧力と、同時に温度とを上げることである。クーラントの循環方向は、本発明に係る熱調整装置1の動作モード、すなわち冷房モード、車両の乗員室に供給される内気流を加熱する複数のモード、および内気流からエネルギーを回収するモード、に関わらず同一である。
【0056】
コンプレッサ18は、ハイブリッド車両の内燃機関によって駆動される、機械式コンプレッサとすることができるが、本発明は、特に電気式コンプレッサの使用に適用を有する。
【0057】
この電気式コンプレッサは、高電圧タイプであり、すなわち、350ボルトから500ボルトの間の電圧で動作するのに適している。このコンプレッサは、例えば、ピストン、羽根、またはコイル型のものであり、内部または外部から、すなわちコンプレッサ内部で、またはコンプレッサの個別コントローラに組み込まれて、制御することができる。
【0058】
コンプレッサ18は、クーラントが入る入口穴19と、圧縮されたクーラントが放出される出口穴20とを備える。この出口穴20は、第1の流体/流体熱交換器10に接続される。
【0059】
このクーラント/熱伝達流体熱交換器10は、熱交換器であり、その機能は、クーラント回路2内で循環するクーラントと、第1の熱伝達流体ループ4内で循環する熱伝達流体との間の熱交換を引き起こすことである。カロリーは、よって、1つの流体から他の流体へと伝達される。
【0060】
動作モードによっては、この第1の流体/流体熱交換器10は、コンデンサまたはガスクーラーである。
【0061】
コンプレッサ18および第1の流体/流体熱交換器10は、クーラント回路2の一部を形成する中央分岐21に設置される。このクーラント回路は、第1の横分岐22と、第2の横分岐23とをさらに備える。中央分岐21と、第1の横分岐22と、第2の横分岐23とは、互いに並列であることに留意する。
【0062】
第1の横分岐22は、少なくとも部分的に、第2の流体/流体熱交換器15を受け取る。よって、横分岐は、クーラント回路2にて循環するクーラントと、第2の熱伝達流体ループ5にて循環する熱伝達流体との間の熱交換を実行する。
【0063】
好適には、第1の横分岐22は、一方で、第1の横分岐22を通したクーラントの循環を遮断し、他方で、クーラントが第2の流体/流体熱交換器15に入る前に、クーラントの圧力を減少させることを確実にすることが可能な制御構成要素24をさらに備える。この後者の場合、レギュレータ24は、膨張構成要素となり、この要素は、温度膨張弁または電子膨張弁の形態とすることができる。この第1のレギュレータ24は、第2の流体/流体熱交換器15の上流、好適には直上流に設置される。
【0064】
第2の横分岐23は、例えば冷房モードまたは除湿モードで内気流を冷却するように設計されたエバポレータ25を備える。この第2の分岐は、第2の横分岐23を通したクーラントの循環を遮断し、他方で、クーラントがエバポレータ25に入る前に、クーラントの圧力を減少させることを確実にすることが可能な、第2のレギュレータ26をさらに備える。この後者の場合、レギュレータ26は、膨張構成要素となり、この要素は、温度膨張弁または電子膨張弁の形態とすることができる。この第2のレギュレータ26は、エバポレータ25の上流、好適には直上流に設置される。
【0065】
エバポレータ25と、内部熱交換器9とは、両方とも、車両の換気、暖房および/または空調装置のケース内に設置されることに留意する。このようなケースは、模式的に図示されており、参照番号27で示される。このケースは、車両の乗員室に供給される内気流を振り分ける。
【0066】
図2は、乗員室を加熱する第1のモードに従い用いられる、
図1を参照して説明される熱調整装置1を示す。この状況は、バッテリ温度が、それを下回ると加熱する必要がある最小温度よりも上である場合に対応する。第1の相互接続装置6は、よって、第1のループ4から第2のループ5までの熱伝達流体のどのような循環も防止する位置に配置される。停止手段29は、その部分のために、開位置に置かれ、この位置は、前記停止手段を通って内部熱交換器9に向けた熱伝達流体の循環を許す。
【0067】
第1のポンプ7と、電熱源8とを、次いで作動させる。電熱源8によって生成されたカロリーは、熱伝達流体によって集められ、内部熱交換器9に向けて運ばれる。この内部熱交換器は、前記気流がこの熱交換器の本体を通過する際に、これらのカロリーを内気流28に放散する。こうして加熱された内気流28は、次いで、乗員室に向けて送られ、乗員室暖房機能を行う。
【0068】
第2のポンプ12は、停止状態であり、よって、第1の電気部品交換器11におけるどのような熱交換も防止することに留意する。
【0069】
また、コンプレッサ18も停止状態であり、クーラント回路2内のどのようなクーラントの循環も遮断する。
【0070】
図3は、1つまたは複数のバッテリ13を除く暖房モードにある熱調整装置1を示す。このような状況は、乗員室の温度が、車両のユーザの要求に対して少なくとも等しいのに対して、バッテリの温度は、閾値温度よりも低く、よってカロリーの追加を必要とする場合に対応する。第1の相互接続装置6は、よって、第1の電気部品交換器11に向けた熱伝達流体の循環を許す位置に配置される。停止手段は、その部分のために、閉位置に置かれ、この位置は、内部熱交換器9に向けた熱伝達流体の循環を防止する。
【0071】
第1のポンプ7および/または第2のポンプ12は、作動され、第2の熱伝達流体ループ5内にて熱伝達流体を循環させる。電熱源8は、この場合、乗員室に供給される気流を加熱するために用いられるものと同一の熱源であり、カロリーを生成するためにも作動される。
【0072】
電熱源8によって生成されたカロリーは、熱伝達流体によって集められ、第1の電気部品交換器11に向けて伝達される。この交換器は、参照番号30の流体にこれらのカロリーを放散し、この流体は、第1の電気部品交換器11と1つまたは複数のバッテリ13との間の熱交換を提供する。このような流体は、例えば空気であるが、液体とすることもできる。
【0073】
車両の電気パワートレインの構成要素の加熱機能は、よって、簡素な手段を用いて提供され、この手段は、乗員室の加熱にも用いられる。
【0074】
コンプレッサ18は、停止状態であり、よって、クーラント回路2内のどのようなクーラントの循環も遮断する。
【0075】
図4は、組み合わされた暖房モードにある熱調整装置1を示し、この意味では同時に、かつ同じ電熱源を用いて、乗員室と、電気パワートレインの構成要素、この場合1つまたは複数のバッテリ13との加熱も提供する。
【0076】
このような状況は、乗員室の温度とパワートレインの電気部品の温度とが、一方で車両のユーザの要求よりも低く、他方で構成要素、この場合はバッテリ13の信頼性の維持のための最小温度閾値よりも低い場合に対応する。第1の相互接続装置6は、よって、第1の電気部品交換器11に向けた熱伝達流体の循環を可能にする位置に配置される。停止手段29は開いており、第1の熱伝達流体ループ4内での熱伝達流体の循環を可能にする。
【0077】
電熱源8は、作動され、熱伝達流体にカロリーを放散し、熱伝達流体回路3は、この熱伝達流体を、内部熱交換器9向けと、第1の電気部品交換器11向けとの両方に分配するように構成されている。
【0078】
第1のポンプ7および/または第2のポンプ12は、作動され、第1の熱伝達流体ループ4内、および第2の熱伝達流体ループ5内にて熱伝達流体を循環させる。電熱源8は、この場合、乗員室の加熱と、1つまたは複数のバッテリ13の加熱とにエネルギーを供給する同一の熱源である。
【0079】
コンプレッサ18は、停止状態であり、よって、クーラント回路2内のどのようなクーラントの循環も遮断する。
【0080】
図5〜
図8は、熱調整装置1の第1の変形例を示す。この変形例は、
図1〜
図4を参照して説明した構造を用い、電気パワートレインに関連する電気部品、および、熱パワートレインに関連する構成要素の追加により、前記構造を完成する。
【0081】
以下の説明は、これらの追加に対して限定され、同様の要素およびそれらの構成に関しては、
図1〜
図4に関する説明を参照すべきである。
【0082】
熱伝達流体回路3は、第3の熱伝達流体ループ30および/または第4の熱伝達流体ループ31によって完成される。
【0083】
第3の熱伝達流体ループ30は、第1の熱伝達流体ループ4および第2の熱伝達流体ループ5と並列に設置される。それは、第1の接続装置6と、第1のポンプ7および第2の相互接続点17の間に位置する接続点とにおいて、熱伝達流体回路3に接続される。
【0084】
この第3の熱伝達流体ループ30は、電気パワートレインの第2の電気部品交換器32を少なくとも備える。このような第2の交換器は、電気パワートレインの電気部品と熱交換を行い、前記構成要素は、例えば、電気駆動モータ、AC−DC変換器、またはDC−DC電圧変換器であり、前記DC−DC変換器は、特に、降圧変換器を形成する。
【0085】
この第2の電気部品交換器32は、第1の電気部品交換器11とは別個の交換器である。第2の交換器は、第3のポンプ34と直列の第3の熱伝達流体ループ30の一部を形成する第1のセクタ33に設置され、このポンプは、特に電気ポンプであり、第3のループ30における熱伝達流体の循環を確実にする。
【0086】
好適には、第3の熱伝達流体ループ30は、電気パワートレインの一部を形成する、第3の電気部品交換器38と、第4の電気部品交換器39とをさらに備える。
【0087】
好適な実施形態として、第1の交換器11は、パワートレインの少なくとも1つのバッテリ13の熱調整に割当てられ、第2の交換器32は、電気駆動モータの熱調整に割当てられ、第3の交換器38は、AC−DC変換器の熱調整に割当てられ、第4の交換器39は、DC−DC電圧変換器に割当てられ、前記変換器は、降圧変換器を形成する。
【0088】
この第3の熱伝達流体ループ30は、第1のラジエータ36を備える第2のセクタ35をさらに備える。このラジエータは、気体/熱伝達流体熱交換器を形成し、その機能は、乗員室の外の空気に、第3の熱伝達流体ループ30にて循環する熱伝達流体に存在するカロリーを放散することである。
【0089】
第2のセクタ35は、第1のセクタ33に並列であることに留意する。これら2つのセクタは、第3の相互接続装置37によって互いに接続され、その機能は、第1のセクタ33および/または第2のセクタ35における熱伝達流体の循環を管理することである。例として、これは、第1のセクタ33と、第2のセクタ35との間の交点に設置される3方弁である。これは、それぞれのセクタに設置される2つの2方弁とすることもできる。最後に、第3の相互接続装置37は、第2のセクタ35に設置される単一の2方弁の形態とすることもできる。
【0090】
第4の熱伝達流体ループ31は、第1の熱伝達流体ループ4と並列に設置される。これは、停止手段29を介し、かつ、内部熱交換器9の下流および第1のポンプ7の上流に位置する接続点を介して、前記ループに接続される。
【0091】
第4の熱伝達流体ループ31は、少なくとも1つの内燃機関41を備える。従って、この第4のループにて循環する熱伝達流体は、内燃機関の冷却回路内で、特にそのシリンダヘッドを通して循環することが理解される。
【0092】
この循環は、第4のループ31の第1の部分40によって引き起こされ、この第1の部分40内に内燃機関41の冷却回路と、第4のループ31にて熱伝達流体を循環するための第4のポンプ42とが、直列に設置される。このような第4のポンプは、電気ポンプとすることができる。あるいは、すなわち内燃機関41により駆動される、機械ポンプとすることができる。
【0093】
第4の熱伝達流体ループ31は、第2の部分43をさらに備え、この部分にて、第2のラジエータ44が設置され、前記ラジエータは、気体/熱伝達流体熱交換器を形成する。この第2のラジエータ44の機能は、第4の熱伝達流体ループ31にて循環する熱伝達流体に存在するカロリーを、乗員室の外の空気に放散する
【0094】
第1の部分40と、第2の部分43とは、互いに並列に設置され、かつ、一方で、内燃機関41の下流に位置する第4の相互接続装置45により、他方で、第4のポンプ42の上流に位置する接続点により、互いに接続される。
【0095】
図5に示される動作モードを、これより説明する。この動作モードは、乗員室を加熱する第2のモードに対応し、これは、
図1〜
図4を参照して説明されるように、電熱源8による第1の暖房モードの代替案または追加を形成することができる。
【0096】
クーラント回路は、ヒートポンプモードで動作する。コンプレッサ18は、クーラントの圧力および温度を増加させる。その温度および圧力がこのように上昇されたクーラントは、第1の流体/流体熱交換器10を通過する。クーラントは、次いで、この第1の流体/流体熱交換器10にて循環する熱伝達流体に、そのカロリーを伝達する。第1のポンプ7の作動は、これらカロリーを、内部熱交換器9に向けて運ぶことを可能にし、この熱交換器は、次に、これらカロリーを内気流28に伝達する。
【0097】
第1のレギュレータ24は、クーラントが第2の流体/流体熱交換器15に入り、最終的にコンプレッサ18に戻る前に、クーラントの圧力を減少させる位置に配置される。
【0098】
第2のレギュレータ26は、エバポレータ25に向けたクーラントの循環を防止する閉位置に配置される。
【0099】
熱伝達流体回路3に関し、第1の熱伝達流体ループ4は、第2の熱伝達流体ループ5および第3の熱伝達流体ループ30から分離されていることが見られる。この分離は、第1の相互接続装置6により生成され、この装置は、第1のループ4に存在する熱伝達流体が、第2のループ5に存在するクーラントに直面しない位置に配置される。
【0100】
この第1の相互接続装置6は、また、第2のループ5に存在する熱伝達流体を、第3のループ30に存在する熱伝達流体と混合させる位置に配置される。これらのループにおける熱伝達流体の循環は、それぞれ参照番号12および34の、第2または第3のポンプの一方および/または他方の作動により、実施される。
【0101】
第2の交換器32および/または第3の交換器38および/または第4の交換器39により集められたカロリーは、熱伝達流体によって、第2の流体/流体熱交換器15に向けて送られる。
【0102】
また、第1の構成要素にて生成されたカロリーも、第1の熱交換器11により集められ、第2の流体/流体熱交換器15に向けて送られる。
【0103】
分岐16にて循環する熱伝達流体にこのように存在するカロリーは、第2の流体/流体熱交換器15によって、クーラントに伝達され、これは、その温度の上昇を助ける。第1の流体/流体熱交換器10は、このように、熱ポンプサイクルの温点を形成し、一方で第2の流体/流体熱交換器15は、このサイクルの冷点を形成する。電気パワートレインの電気部品により生成されるカロリーは、よって、慎重に用いられ、熱力学サイクルの効率を増加させる。
【0104】
サブ回路46における循環方向は、第2のループ5における熱伝達流体の循環方向と反対であることに留意する。第1の電気部品交換器11から到着する熱伝達流体は、第1の相互接続装置6から到着する熱伝達流体と混合し、共に第2の流体/流体熱交換器15に供給を行う。
【0105】
この第2の流体/流体熱交換器15を熱伝達流体が通過した後、熱伝達流体は、第2の相互接続装置17によって、第2のポンプ12に向けられた位置と第1のポンプ7に向けられた別の位置とで2つに分割される。
【0106】
この実施形態によれば、交換器15および10から内部交換器9へのエネルギーの伝達がある。
【0107】
図6は、乗員室を加熱する第3のモードに従って用いられる熱調整装置1の第1の変形例を示す。
図5の詳細な説明の参照が行われ、以下の説明は、異なる点に限定される。
【0108】
この第3のモードは、上述の第2の暖房モードと組み合わされた、乗員室に存在する熱を回収するためのモードである。この第3の暖房モードにおいて、第2のレギュレータ26は、エバポレータ25に供給されるクーラントのために圧力開放を提供する位置に配置される。内気流28は、この場合、再循環された空気の流れ、すなわち排他的に、またはその大部分が乗員室から来るものである。このような場合、この気流は高温であり、エバポレータ25にて循環するクーラントを加熱するのに役立つ。
【0109】
エバポレータ25にて循環するクーラントの一部は、第2の流体/流体熱交換器15にて循環するクーラントの一部と混合され、コンプレッサ18に戻る。
【0110】
電気パワートレインの電気部品により生成されたカロリーの回収に加えて、この暖房モードは、内気流に存在するカロリーも回収し、これは、ヒートポンプの効率の向上に役立つ。
【0111】
図7は、乗員室を加熱するための第4のモードに従い使用される熱調整装置1の第1の変形例を示す。
【0112】
この第4の暖房モードによれば、第3の熱伝達流体ループ30は、第2の熱伝達流体ループ5から分離されている。この分離は、第3のループ30内に存在する熱伝達流体が、第2の熱伝達流体ループ5内に存在する熱伝達流体と混合することを防止する位置に、第3の相互接続装置37が置かれることによって引き起こされる。
【0113】
好適には、第3のポンプ34は、熱伝達流体が第1のセクタ33にて循環し、第2の交換器32および/または第3の交換器38および/または第4の交換器39に存在するカロリーを回収するように作動される。この循環は、また、第1のラジエータ36を通して、第2のセクタにおいても発生する。
【0114】
よって、乗員室の外の空気にカロリーを放散することにより、電気パワートレインの電気部品を冷却することが可能である。
【0115】
図5または
図6を参照して述べられるモードと同じやり方で、第1の熱伝達流体ループ4は、第2の熱伝達流体ループ5から分離される。
【0116】
この第4の暖房モードにおいて、第2のループ5は、一部分が用いられる。これは、第2のポンプ12と、第1の電気部品交換器11と、分岐16とを備えるサブ回路46を、熱伝達流体が循環するためである。この循環は、第2のポンプ12の作動により、および、第2の熱伝達流体ループ5の残り部分に向けて、すなわち、第3のポンプ34に向けて熱伝達流体が向けられることを防止する位置に、第2の相互接続装置17が置かれることにより、行われる。
【0117】
この状況において、サブ回路46に循環する熱伝達流体は、電気部品、例えばバッテリ13にて、カロリーを集め、このカロリーを、第2の流体/流体熱交換器15に向けて運ぶ。
【0118】
第1のレギュレータ24は、クーラントが第2の流体/流体熱交換器15に入り、最終的にコンプレッサ18に戻る前に、クーラントの圧力を開放する位置に置かれる。
【0119】
第2のレギュレータ26は、エバポレータ25に向けたクーラントの循環を防止する閉位置に置かれる。
【0120】
熱伝達流体に存在するカロリーは、よって、クーラントに伝達され、クーラント回路2により実施されるヒートポンプの冷点を形成する。内部熱交換器9に向けたこれらカロリーの伝達は、次いで、上述したように発生し、このやり方では、
図5を参照する説明が参照される。
【0121】
図8は、第5の暖房モードに従って用いられる熱調整装置1の第1の変形例を示している。この乗員室を加熱するための第5のモードは、内気流28に存在するカロリーの回収のみに基づく。
【0122】
電気パワートレインの電気部品は、一方で、接触状態とされ、乗員室の外の気流にカロリーを放散する。これを達成するために、第3のループは、第2の熱伝達流体ループ5と連通される。第3の相互接続装置37は、第2のループ5から来る熱伝達流体を、第1のセクタ33から来る熱伝達流体と混合することを可能にする位置に置かれる。
【0123】
第1の電気部品交換器11にて集められるカロリーと、第2、第3および第4の電気部品交換器で集められるカロリーとは、第1のラジエータ36における熱交換によって、外気流に伝達される。
【0124】
第1の熱伝達流体ループ4は、
図5および
図7を参照して説明された解決策と同じやり方で、第2の熱伝達流体ループ5から分離される。
【0125】
第1のレギュレータ24は、第2の流体/流体熱交換器15に向けたクーラントの循環を防止する位置に置かれる。
【0126】
第2のレギュレータ26は、クーラントがエバポレータ25に入る前で、最終的にコンプレッサ18に戻る前に、クーラントの圧力を開放する位置に置かれる。内気再循環気流は、エバポレータ25を通過し、前記気流の温度は、エバポレータ25に入るクーラントの温度よりも高い。
【0127】
エバポレータ25は、よって、ヒートポンプの冷点を形成し、一方、第1の流体/流体熱交換器10は、このヒートポンプの温点を形成する。