(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058737
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ミリ波無線ネットワークにおけるトラフィック制約
(51)【国際特許分類】
H04W 72/08 20090101AFI20161226BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20161226BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20161226BHJP
【FI】
H04W72/08
H04W84/10 110
H04W72/04 131
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-102653(P2015-102653)
(22)【出願日】2015年5月20日
(62)【分割の表示】特願2013-229470(P2013-229470)の分割
【原出願日】2010年9月1日
(65)【公開番号】特開2015-146655(P2015-146655A)
(43)【公開日】2015年8月13日
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】12/584,783
(32)【優先日】2009年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】コルデイロ,カルロス
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−6019(JP,A)
【文献】
特開2001−160813(JP,A)
【文献】
特表2006−505147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリと、ラジオとを有する第1無線通信装置を有する装置であって、
前記第1無線通信装置は、
ネットワークコントローラとの以降の通信において第2無線通信装置からの送信から生じる可能性のある干渉の期間を決定し、
ビーコン間隔を参照して前記期間が発生する時を記述する情報を決定し、
前記第1無線通信装置と前記ネットワークコントローラとの間の通信を回避するための期間として前記期間を記述する情報を前記ネットワークコントローラに送信するよう構成され、
前記送信される情報は、前記可能性のある干渉の期間のスタート時間を示すスタート時間フィールド、前記可能性のある干渉の期間の長さを示す継続時間フィールド及び前記ビーコン間隔の一部又は倍数を示す制約が適用される期間を含む情報要素に含まれる装置。
【請求項2】
前記情報要素はさらに、
i)前記可能性のある干渉が前記第1無線通信装置によるスケジューリングされた送信中に発生するか否かの表示、又は
ii)前記可能性のある干渉が前記第1無線通信装置によるスケジューリングされた受信中に発生するか否かの表示、の1以上を有する、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記期間中に第3無線通信装置からの送信を受信するよう構成される指向性受信装置を更に有する、請求項1記載の装置。
【請求項4】
第1無線通信装置において処理を実行することからなる方法であって、
前記処理は、
ネットワークコントローラとの以降の通信において第2無線通信装置からの送信から生じる可能性のある干渉の期間を決定するステップと、
ビーコン間隔を参照して前記期間が発生する時を記述する情報を決定するステップと、
前記第1無線通信装置と前記ネットワークコントローラとの間の通信を回避するための期間として前記期間を記述する情報を前記ネットワークコントローラに送信するステップと、
を有し、
前記送信される情報は、前記可能性のある干渉の期間のスタート時間を示すスタート時間フィールド、前記可能性のある干渉の期間の長さを示す継続時間フィールド及び前記ビーコン間隔の一部又は倍数を示す制約が適用される期間を含む情報要素に含まれる方法。
【請求項5】
前記情報要素はさらに、
i)前記可能性のある干渉が前記第1無線通信装置によるスケジューリングされた送信中に発生するか否かの表示、又は
ii)前記可能性のある干渉が前記第1無線通信装置によるスケジューリングされた受信中に発生するか否かの表示、の少なくとも1つを示すフィールドを有する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
命令を有するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、1以上のプロセッサにより実行されると、
ネットワークコントローラとの以降の通信において第2無線通信装置からの送信から生じる可能性のある干渉の期間を決定するステップと、
ビーコン間隔を参照して前記期間が発生する時を記述する情報を決定するステップと、
第1無線通信装置と前記ネットワークコントローラとの間の通信を回避するための期間として前記期間を記述する情報を前記ネットワークコントローラに送信するステップと、
を有する処理を実行させ、
前記送信される情報は、前記可能性のある干渉の期間のスタート時間を示すスタート時間フィールド、前記可能性のある干渉の期間の長さを示す継続時間フィールド及び前記ビーコン間隔の一部又は倍数を示す制約が適用される期間を含む情報要素に含まれるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項7】
前記情報要素はさらに、
i)前記可能性のある干渉が前記第1無線通信装置によるスケジューリングされた送信中に発生するか否かの表示、又は
ii)前記可能性のある干渉が前記第1無線通信装置によるスケジューリングされた受信中に発生するか否かの表示、の少なくとも1つを示すフィールドを有する、請求項6記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項8】
前記可能性のある干渉の期間を決定するステップは、指向的受信を利用して、前記第2無線通信装置からの送信を受信することを含む、請求項6記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項9】
前記情報を送信するステップは更に、前記情報を前記ネットワークコントローラに指向的に送信することを含む、請求項6記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
プロセッサと、メモリと、ラジオとを有する無線ネットワークコントローラを有する装置であって、
前記無線ネットワークコントローラは、
連続するビーコンのペアの間のビーコン間隔によってビーコンの系列を送信し、
第1無線通信装置から、前記ビーコン間隔中に第2無線通信装置からの可能性のある干渉の期間に関する情報を含む送信を受信し、
前記可能性のある干渉の期間と重複しないように、前記第1無線通信装置との通信をスケジューリングするよう構成され、
前記情報は、前記可能性のある干渉の期間のスタート時間を示すスタート時間フィールド、前記可能性のある干渉の期間の長さを示す継続時間フィールド及び前記ビーコン間隔の一部又は倍数を示す制約が適用される期間を含む情報要素に含まれる装置。
【請求項11】
無線通信方法であって、
連続するビーコンのペアの間のビーコン間隔によってビーコンの系列を送信するステップと、
第1無線通信装置から、前記ビーコン間隔中に第2無線通信装置からの可能性のある干渉の期間に関する情報を含む送信を受信し、
前記可能性のある干渉の期間と重複しないように、前記第1無線通信装置との通信をスケジューリングするステップと、
を有し、
前記情報は、前記可能性のある干渉の期間のスタート時間を示すスタート時間フィールド、前記可能性のある干渉の期間の長さを示す継続時間フィールド及び前記ビーコン間隔の一部又は倍数を示す制約が適用される期間を含む情報要素に含まれる方法。
【請求項12】
命令を有するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、1以上のプロセッサにより実行されると、
連続するビーコンのペアの間のビーコン間隔によってビーコンの系列を送信するステップと、
第1無線通信装置から、前記ビーコン間隔中に第2無線通信装置からの可能性のある干渉の期間に関する情報を含む送信を受信し、
前記可能性のある干渉の期間と重複しないように、前記第1無線通信装置との通信をスケジューリングするステップと、
を有する処理を実行させ、
前記情報は、前記可能性のある干渉の期間のスタート時間を示すスタート時間フィールド、前記可能性のある干渉の期間の長さを示す継続時間フィールド及び前記ビーコン間隔の一部又は倍数を示す制約が適用される期間を含む情報要素に含まれるコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミリ波無線ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
数十ギガヘルツ以上の周波数(対応する数ミリメータ以下の波長)により動作する無線通信ネットワークは、典型的には、超短距離の信号レンジを有し、このため、主としてPAN(Personal Area Network)のために利用される。多数のPANがオフィス環境などのように一緒に近くに配置されるとき、隣接するPANの間の干渉が重大な問題となりうる。指向性通信は、この問題を軽減するのにしばしば利用されるが、典型的な非干渉無線通信のスケジューリング方法は(RTS/CTS技術など)、指向性通信を利用したネットワークには良好に適さない。特に、STAがそれのNCによりチャネル時間をリクエストするとき、NCは、隣接するPANから発信された繰り返しの干渉信号を認識せず、干渉信号と重複する時間をSTAに対してスケジューリングする可能性がある。この重複期間中、1つのPANの通信は他方のPANの通信に干渉する可能性があり、双方のPANが互いに干渉し合う可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した問題点を鑑み、本発明の1つの課題は、ミリ波無線ネットワークにおいて干渉を回避する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、本発明の1つの特徴は、プロセッサと、メモリと、ラジオとを有する第1無線通信装置を有する装置であって、前記第1無線通信装置は、第2無線通信装置との通信において、第3無線通信装置からの送信から生じる可能性のある干渉の期間であって、前記第3無線通信装置からの送信は前記第2無線通信装置と非同期である、前記期間を決定し、繰り返しのビーコン間隔を参照して前記期間が発生する時を記述する情報を導出し、前記期間のスタート時間と継続時間とを示す値を含む情報要素であって、前記スタート時間は前記ビーコン間隔内の時点を示し、前記情報は前記情報要素に含まれる、前記情報要素を生成し、前記情報要素をネットワークコントローラに送信するよう構成される装置に関する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によると、ミリ波無線ネットワークにおいて干渉を回避する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の実施例による2つの重複する干渉の可能性のある無線ネットワークを示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施例による2つのネットワーク内の通信スケジューリングのタイミング図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施例によるスケジューリング制約情報を伝送する情報要素のフォーマットを示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施例によるSTAにより実行される方法のフロー図を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施例によるNCにより実行される方法のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のいくつかの実施例は、本発明の実施例を示すのに利用される添付した図面と以下の説明を参照することによって理解されるであろう。
【0008】
以下の説明において、多数の具体的な詳細が提供される。しかしながら、本発明の実施例はこれらの具体的な詳細なしに実現されてもよいことが理解される。他の例では、本説明の理解を不明りょうにしないように、周知の回路、構成及び技術は詳細には説明されない。
【0009】
“一実施例”、“ある実施例”、“一例となる実施例”、“各種実施例”などの参照は、このように記載された本発明の実施例が特定の特徴、構成又は特性を有してもよいが、必ずしもすべての実施例が当該特徴、構成又は特性を有しているとは限らないことを示す。さらに、いくつかの実施例は、他の実施例について説明された一部の又はすべての特徴を有してもよいし、全く有しなくてもよい。
【0010】
以下の説明及び請求項において、“結合”及び“接続”という用語は、これらの派生語と共に利用される。これらの用語は互いに同義語として意図されていないことが理解されるべきである。むしろ、ある実施例では、“接続”とは、2以上の要素が互いに直接的で物理的又は電気的に接触していることを示すのに利用され、“結合”とは、2以上の要素が互いに連係又は相互作用するが、直接的で物理的又は電気的に接触していないことを示すのに利用される。
【0011】
請求項において利用されるとき、共通の要素を説明するためなど序数の形容詞“第1の”、“第2の”、“第3の”などの利用は、特段の指摘がない場合、同様の要素の異なるインスタンスが参照されており、このように記載された要素が時間的、空間的、ランキングにより又は他の何れかの方法により所与の順序になっていなければならないことを示すことを意図するものでない。
【0012】
本発明の各種実施例は、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの1つ又は何れかの組み合わせにより実現されてもよい。本発明はまた、ここに記載された処理の実行を可能にするため1以上のプロセッサにより読み込み及び実行可能なコンピュータ可読媒体に含まれる命令として実現されてもよい。コンピュータ可読媒体は、1以上のコンピュータによる可読な形式による情報を格納するための何れかの機構を有してもよい。例えば、コンピュータ可読媒体は、限定することなく、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどの有形な記憶媒体を含むものであってもよい。
【0013】
“無線”という用語は、非固体媒体を介し変調された電磁放射を利用することによってデータを通信する回路、デバイス、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するのに利用されてもよい。この用語は、一部の実施例ではそうでなくてもよいが、関連する装置が配線を含まないことを意味するものでない。無線装置は、少なくとも1つのアンテナ、少なくとも1つのラジオ及び少なくとも1つのプロセッサを有してもよく、ラジオがデータを表す信号をアンテナを介し送受信し、プロセッサが送受信されるデータを処理する。プロセッサはまた、送受信しない他のデータを処理してもよい。
【0014】
“ネットワークコントローラ”又は“NC”という用語は、ネットワークにおいてそれに関連する他の装置との無線通信をスケジューリングする無線通信装置を示すのに利用される。“STA”という用語は、NCに関連付けされ、ネットワークにおけるNC又は他のSTAとの通信がNCにより主としてスケジューリングされる無線通信装置を示すのに利用される。“関連する”という用語は、STAがNCがSTAの有無を認識するのに十分な自らに関する情報を提供し、NC及びSTAが当該ネットワークにおいてNCがSTAの実行を許可するのに十分なプロトコルに同意したことを示す。説明の簡単化のため、ネットワークコントローラ及びSTAという用語は、本明細書ではしばしば利用されるが、他の用語が同じ機能を有する装置を説明するため他の何れかにおいて利用されてもよい。例えば、基地局(BS)、アクセスポイント(AP)、コントロールポイント(CP)、PCP、PCP/APなどとラベル付けされた装置がNCの代わりに利用されてもよく、移動局(MS)、加入局(SS)、DEVなどとラベル付けされた装置がSTAの代わりに利用されてもよい。本発明の各種実施例は、説明するのに用いられるラベルに関係なく、等価な機能を有するすべての装置を含むのに十分広いものであることが意図される。
【0015】
ネットワークの装置の少なくとも一部は指向性の送受信を確立することが可能であると仮定されてもよい。指向性送信は、意図された周波数帯域内において、当該送信がある方向において相対的に強く、その他の方向について相対的に弱いことを意味する。指向性受信は、受信装置が意図された周波数帯域内において他の方向から等しい強さの信号を受信するよりも容易に1つの方向から信号を受信可能であることを意味する。指向性送受信は、同一の装置上の複数のアンテナを有し、各アンテナの信号を異なって処理することによって実現されてもよいが、他の技術が利用されてもよい。
【0016】
図1は、本発明の実施例による2つの重複した干渉の可能性のある無線ネットワークを示す。各ネットワークは、ここに開示される技術から最も利益を得る可能性が高いと考えられるネットワークのサイズであるため、PAN(Personal Area Network)としてラベル付けされるが、他のサイズのネットワーク(限定することなく短距離レンジのLANなど)がまた、本発明の各種実施例に含まれうる。ネットワークの各装置は、プロセッサ、メモリ、ラジオ、複数のアンテナを有してもよく、指向性送受信が可能であってもよい。これらのコンポーネントは、他のコンポーネント及び/又はソフトウェアと共に適切に構成されるとき、これらの装置がここに開示される処理を実行することを可能にするものであってもよい。
【0017】
第1ネットワークはPAN1とラベル付けされ、ネットワークコントローラNC1(装置B)と他の無線通信装置STA1(装置A)とを有する。同様に、第2ネットワークはPAN2とラベル付けされ、ネットワークコントローラNC2(装置C)と他の無線通信装置STA2(装置D)とを有する。NC2及びSTA2は、互いに指向性通信リンクL2を確立している。4つすべての装置が、直線上に物理的に配置されているよう示されている。この物理的な配置のため、装置Dが装置Bと異なるネットワーク上にあり、装置A及びBの2つの装置が互いに通信しようとしていなくても、装置Bから装置Aへの送信は装置Dにより偶然検出される可能性がある。(本明細書内では、検出(overhear)又はそれの派生語は、他のネットワークの他の装置を意図した送信を受信し、コンテンツを適切に復号化するのに十分な信号強度及び/又は干渉ソースを表すのに十分な信号強度によりそれを受信することを説明するのに利用される。)同様に、装置Dから装置Cへの送信は、装置Bにより検出される可能性がある。適切なスケジューリングがない場合、Bからの送信はCからDへの送信と干渉し、又はDからの送信はAからBへの送信に干渉する可能性がある。
【0018】
図2は、本発明の実施例による2つのネットワーク内の通信スケジューリングのタイミング図を示す。
図2の処理は、
図1に示されるような装置とそれらの配置とを仮定する。PAN1及びPAN2は2つの異なるネットワークであるため、それらのビーコン間隔は同期されておらず、すなわち、PAN1のビーコン及び以降のビーコン間隔は、PAN2のビーコン及び以降のビーコン間隔より遅れてスタートする。PAN1のビーコン間隔は、PAN2の2つの異なるビーコン間隔の一部と重複し、その反対であってもよい。互いに同期されていないが、両方のネットワークのビーコン間隔は同じ長さとなるように示され、これにより、2つのネットワークのビーコン間の相対的なタイミングは、多数のビーコン間隔に対する制約を維持する可能性がある。
【0019】
図示された具体例では、装置A(STA1)は、装置B(NC1)からチャネル時間を要求し、装置A,B間の以降の通信のため期間L1を付与されている。多くの例では、L1がビーコン間隔内で占有するこの期間L1は、NC1により確立された複数の連続するビーコン間隔について繰り返される。L1期間中、何れのスケジュールを利用することを決定しても、装置Aは装置Bに送信し、装置Bは装置Aに送信し、L1の全期間が1つのビーコン期間から次のビーコン期間まで一定に維持されても、当該スケジュールは連続する各ビーコン期間により変化する。しかしながら、装置Bは、確保された期間L1を含む何れかのビーコン間隔中に、期間L1の何れかの時点で装置Dにより検知されうる信号を送信する可能性があることが仮定されるべきである。
【0020】
同様に、図示された具体例では、装置D(STA2)は、装置C(NC2)からチャネル時間を要求し、装置C,D間の以降の通信のための期間L2が付与されている。L2中、何れのスケジュールを利用することを決定しても、装置Cは装置Dに送信し、装置Dは装置Cに送信してもよい。上記と同様に、装置DはL2を含む何れかのビーコン間隔中の期間L2の何れかの時点で装置Bにより検出可能な信号を送信する可能性があることが仮定されるべきである。装置Cが他のネットワークにおけるL1の確保を認識しない場合、それはL1に重複する時間でL2をスケジューリングし、これにより、L1とL2とが重複する何れかの時点において2つのネットワーク間の干渉の可能性を設定する。しかしながら、図示される例では、L2はL1と重複しないようにスケジューリングされており、干渉の可能性が回避される。L1とL2とが重複しないことを確実にするため、装置Cは、干渉の可能性のある期間L1に関して知っている必要がある。
【0021】
この知識は、限定することなく以下の各種方法により取得されてもよい。
1)装置Dは、装置Bから装置Aに送信されるスケジューリング情報を検出することによって予めL1を知り、装置Cに当該情報をわたすようにしてもよい。しかしながら、このスケジューリング情報は、PAN1におけるビーコンタイミングに相対的なものである可能性があり、装置C,Dに有用になる前にPAN2のビーコンタイミングに変換される必要がある。この変換は、装置Dがまた装置Bからビーコンを受信する場合には相対的にシンプルなものであってもよく、PAN1のビーコンとPAN2のビーコンとの間のオフセット量だけ受信したタイミング情報を調整可能である。
2)装置Dは、当該期間中に装置Bから送信を検出することによってL1を知り(特に、これらの送信が複数のビーコン間隔において繰り返し実行される場合)、当該情報を装置Cにわたす。装置Dは、PAN2のビーコンタイミングに関する干渉タイミングを知っており、変換は不要である。
3)装置Cは、装置Dとの通信がL1に対応する期間中にしばしば失敗することに留意し、これが近隣装置からの干渉によるものであることを推定するようにしてもよい。
【0022】
図3は、本発明の実施例によるスケジューリング制約情報を伝送する情報要素のフォーマットを示す。このフォーマットは、例えば、装置Cから装置DへのL1のタイミングを伝送するのに利用されてもよく、これにより、指定された期間中の装置Cとの通信をスケジューリングすることが制限される(スケジューリングを回避する)。特定のフォーマットが示されているが、これは例示のためのものであり、他のフォーマットが利用されてもよい。本例では、指定された制約が以下の情報を交換する2つの装置の間の通信にのみ適用されることが仮定される。他のSTAは、NCとの自らの通信を制限するため、自らの制約情報をNCに送信してもよい。
【0023】
情報要素(IE)は、無線送信においてより大きなフォーマット内で各種タイプの情報を伝送するのに使用されることもあるフォーマットである。
図3の上方の行に示されるIEは、それが何れのタイプの情報を搬送するため示す要素IDフィールドと、当該IEが送信においてIEに後続する他の情報と区別可能となるようなIEの長さを示す長さフィールドとを有する標準的な先頭部分を有する。本例では、要素ID及び長さフィールドのそれぞれは1オクテット(8ビット)の長さであり、スケジューリング制約フィールドは、所望される場合には、複数の期間が当該期間を記述するフィールドを繰り返すことによって示されるように可変的な長さを有してもよい。この可変的なフィールドのエンドは、長さフィールドの値により示されてもよい。
【0024】
スケジューリング制約フィールドのコンテンツのための可能なフォーマットは、
図3の第2行に示される。当該フィールドは、スケジューリング制約フィールドが何れのタイプの情報を搬送するか示すための1オクテットのサブ要素IDフィールドと、当該制約を記述するフィールドのエンドを示すための長さフィールド(すなわち、本例では最初の5つのフィールド)とから始まる。
【0025】
長さフィールドに続いて、当該フォーマットは、制約を適用する方法を示すための制約制御フィールドを示す。制約制御フィールドは、スタート時間フィールド、継続時間フィールド及び期間フィールドに続く。スタート時間フィールドの値は、制限された期間が開始される時点を示す(例えば、上記の例では、L1の開始が実行されるときなど)。スタート時間の値は、何れか実現可能な時間単位により示され(ミリ秒など)、何れか実現可能な時点が参照されてもよい(例えば、ビーコン間隔の始めからなど)。同様にして、継続時間フィールドは、何れか実現可能な時間単位(すなわち、ミリ秒)により表されてもよい。期間フィールドは、複数のビーコンフィールドにわたってなど、制約が適用される期間を規定するのに利用されてもよい。期間フィールドは、ミリ秒やビーコン間隔数などの何れか実現可能な単位により表されてもよい。他の実施例では、他の時間単位及び他の参照ポイントが、これらのフィールドの何れかについて利用されてもよい。
【0026】
この特定のフォーマットは、各期間についてスケジューリング制約フィールドの最初の5つのフィールドを繰り返すことによって、複数の制限された期間を示すのに利用されてもよいことに留意されたい(具体例は、第2期間を示すため5つのフィールドの第2セットの最初の部分を示す)。サブ要素ID値は、各セットについて同じであってもよいが、長さ、制約制御、スタート時間、継続時間及び期間の各値は、各セットについて同一又は異なるものであってもよい。これらのフィールドは、複数の制限された期間を示すため複数回繰り返されてもよく、その結果は他の何れかの長さ又は時間制約を超えるものでない(
図3の最初の行のIEの長さフィールドの最大許容長さなど)。いくつかのケースでは、異なるセットにより規定される期間は重複してもよい。
【0027】
図3の3行目において、制約制御フィールドのコンテンツの可能なフォーマットが示される。例えば、TXフィールドは、IEを受信する装置からIEを送信する装置への送信が指定された期間内に実行されるべきでないことを示すのに利用されてもよい(“1”は送信しないことを示し、“0”は送信OKを示してもよく、その反対でもよい)。同様に、RXフィールドは、当該IEを送信する装置が指定された期間中に当該IEを受信する装置に送信するためスケジューリングされるべきでないことを示すのに利用されてもよい。これらの仕様は、TX及びRXがIEを受信する装置(おそらくNC)の観点からのものであることを想定するが、反対の仕様がまたここに開示される発明のコンセプトから逸脱することなく利用されてもよい。次の6ビットが、現在未定義である以降の利用のために確保されてもよい。
【0028】
送受信用に別々のフィールドを有することによって、当該フォーマットは、送信、受信、その両方又は何れでもないものを制限するのに十分フレキシブルである。例えば、1つの制約セットが送信に適用され、他の制約セットが受信に適用されてもよい。
【0029】
指定された制約は、各種方法のエンドにあってもよい。一実施例では、これらの制約は単一のビーコン間隔にのみ適用され、新たな各ビーコン間隔について更新される必要がある。他の実施例では、制約は変更されるまで無限に継続されてもよい。他の実施例では、制約は所定数のビーコン間隔について適用されてもよい。さらなる他の実施例では、
図3に示されるように、制約は所定の期間又はビーコン間隔数について適用されてもよい。いくつかの実施例では、制約がもはや適用されないことをIEが指定したときに、制約が終了するようにしてもよい(例えば、制約制御フィールドのTX及び/又はRXビットに“0”を設定するなどによって)。いくつかの実施例では、制約は他の手段を介し終了されることなくデフォルト数のビーコン間隔が経過した後に終了するようにしてもよい。もちろん、現在の制約は、新たな値を示す新たなIEを送信することによって何れかの時点で更新又は変更されてもよい。
【0030】
図4は、本発明の実施例によるSTAにより実行される方法のフロー図を示す。図示されたフロー
図400では、410において、STAは、それのNCとの通信の少なくとも1つの以降のフレームにおいて発生することが予想される可能性のあある干渉期間を決定する。この決定は、限定することなく、1)STAが他のネットワークの通信のため他のNCにより送信されるスケジュールを検出し、2)STAがSTAの自らのビーコン間隔(すなわち、STA自らのNCにより設定されたビーコン間隔)内の期間中に繰り返し実行される他の装置からの送信を検出し、3)STAが他のネットワークの以降の通信のための期間が付与されるための他のSTAからのリクエストを検出し、4)その他などの各種方法により実行されてもよい。
【0031】
前のパラグラフの選択肢1)又は3)など、他のネットワークにおけるスケジューリングされた又はスケジューリングされる可能性のある期間に関する情報を受信すると、当該期間は他のネットワークのビーコン間隔を参照して表現されていてもよい。当該ネットワークにおいて有用なものとするため、当該期間はネットワークのビーコン間隔を参照して表現される必要があってもよく、
図4の420において変換が実行されてもよい。
【0032】
STAがそれのNCとの通信において可能性のある干渉期間を表す1以上の期間を決定すると、430において、当該情報は、IEなど、情報をNCに送信するのに適した形式に配置されてもよい。IE又は他の形式に関係なく、440において、情報はNCに送信されてもよい。一部の例では、IEは、STAが以降の通信のためにチャネル時間を要求する同一の送信に含まれてもよい。一部の例では、IEは、チャネル時間に対するリクエストと別々に送信されてもよい。
【0033】
図5は、本発明の実施例によるNCにより実行される方法のフロー図を示す。本方法では、NCは、特定のSTAとの通信において生じる可能性のある1以上の干渉期間に関する情報を取得し、これらの情報をスケジューリングしてもよい。図示されたフロー
図500は、NCが当該情報を取得する2つの方法を示す。510において、NCは、他の装置から当該期間を規定する情報を受信する。例えば、NCは、
図4に示されるSTAなど、自らのネットワークのSTAにより送信されたIEにおいて当該情報を受信する。あるいは、NCは、他のネットワークの他のNCから、当該他のネットワークにおける通信のスケジューリングされた期間を指定する送信を検出してもよい。NCの受信機が自らのSTAに対して指向される際に送信されたスケジュールを検出可能である場合、それはまたスケジューリングされた期間中に行われる干渉の可能性のある送信を検出可能であることを想定してもよい。
【0034】
第2のアプローチでは、520において、NCは、自らの観察により可能性のある干渉期間を決定してもよい。NCは、あるSTAとの通信が自らのビーコン間隔中のある期間に頻繁に失敗することを観察するかもしれない。あるいは、それは、NCがある期間にSTAから受信しようとしていなくても、それの受信機が自らのSTAに対して指向される際に当該期間中に繰り返し発生するネットワークの外部からの送信を検出するかもしれない。何れのケースでも、NCが何れの期間が干渉を受けている可能性があると決定すると、530において、それは、干渉の可能性のある期間中に通信が実行されないように、STAとの以降の通信をスケジューリングする。
【0035】
上述された実施例は、干渉を回避するようスケジューリングされる通信がNCとSTAとの間の通信であることを想定した。しかしながら、他の実施例では、スケジューリングされた通信は、NCが依然として当該通信をスケジューリングするが、2つのSTAの間のものである。このようなケースでは、回避すべき期間に関する情報は、他の何れのSTAがスケジューリングされた通信に関係するかに関する情報と共に、STAからNCに提供されてもよい。このようにして、NCは、他のネットワークからの干渉送信を回避する時点でSTA間の通信をスケジューリングするようにしてもよい。何れか2つのSTAが関係するかに関する情報は、上述されたIEを含むが、IEの外部の同一の送信に含まれてもよい。
【0036】
上記説明は、例示的であって限定的でないことが意図される。変形が当業者に想起されるであろう。これらの変形は、以下の請求項の範囲のみにより限定される本発明の各種実施例に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
BS 基地局
AP アクセスポイント
CP コントロールポイント