(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
患者の皮膚部位から体液を採取するための持ち運び可能な携帯型の医療診断装置において用いられるランセットハウジングアセンブリ用の、複数のランセットを備えるランセットシートであって、該ランセットシートは、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された除去可能な突き出し部と、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された複数のランセット構造と、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された複数のバネ要素とを備え、
前記複数のランセット構造は、皮膚貫入端と、前記皮膚貫入端に隣接する血液輸送部とを備え、前記皮膚貫入端は所定量の血液を供給するために前記皮膚部位で患者の皮膚に貫入するような形状および大きさにされ、
前記複数のバネ要素は、前記複数のランセット構造を前記除去可能な突き出し部に取り外し可能に接続し、
前記除去可能な突き出し部は、前記ランセットシートの面に対して曲げることができるように、前記複数のランセット構造に前記複数のバネ要素を介して接続され、前記除去可能な突き出し部が前記複数のランセット構造に対して曲げられたときに、前記複数のランセット構造から破断されるように構成されていることを特徴とするランセットシート。
前記取付バネアームがランセット取付アームによって前記ランセット構造に接続され、前記ランセット取付アームが前記取付バネアームの第1の端部で接続され、前記取付バネアームが、反対側の第2の端部で前記突き出し部取付アームに接続される請求項2記載のランセットシート。
患者の皮膚部位から体液を採取するための持ち運び可能な携帯型の医療診断装置において用いられる複数のランセット構造を備えるランセットハウジングアセンブリを形成するためのランセットハウジングプリアセンブリであって、該ランセットハウジングプリアセンブリが、
上側のディスク部材と、
前記上側のディスク部材との間で、複数のランセット構造を収容するための複数のランセット区画を形成するために、前記上側のディスク部材と接続する下側のディスク部材と、
請求項1記載のランセットシートと
を備えるランセットハウジングプリアセンブリ。
患者の皮膚部位から体液を採取するための持ち運び可能な携帯型の医療診断装置において用いられる複数のランセットを含むランセットハウジングアセンブリを組み立てる方法であって、
ランセット構造を取り外すための、除去可能な突き出し部を有するランセットシートに複数のランセット構造を形成すること、
前記ランセット構造を前記除去可能な突き出し部から取り外すために前記ランセットシートの除去可能な突き出し部を曲げること、および
前記ランセット構造を前記除去可能な突き出し部に接続する複数のバネ要素を、前記ランセットシートに形成することを含み、
前記除去可能な突き出し部は、前記ランセットシートの面に対して曲げることができるように、前記複数のランセット構造に前記複数のバネ要素を介して接続され、前記除去可能な突き出し部が前記複数のランセット構造に対して曲げられたときに、前記複数のランセット構造から破断されるように構成されていることを特徴とする方法。
前記バネ要素が、前記ランセット構造に接続される取付バネアームと、前記取付バネアームを前記除去可能な突き出し部に接続する外側突き出し部取付アームとを含むように形成される請求項11記載の方法。
前記除去可能な突き出し部を曲げるステップが、破断可能なフィンガを前記ランセット構造から破断させるように、前記ランセット取付アームが、前記ランセット構造に接続される破断可能なフィンガを備えるように前記バネ要素が形成される請求項13記載の方法。
前記破断可能なフィンガが第1の破断可能なフィンガであり、前記ランセット構造が第1のランセット構造であり、前記ランセット取付アームが隣接する第2のランセット構造に接続される第2の破断可能なフィンガを含むように形成され、前記除去可能な突き出し部を曲げるステップが、前記第1の破断可能なフィンガを前記第1のランセット構造から破断させ、前記第2の破断可能なフィンガを前記第2のランセット構造から破断させる請求項14記載の方法。
前記除去可能な突き出し部が除去可能な外側突き出し部であり、前記ランセットシートが、前記ランセット構造を取り外すために除去可能な内側突き出し部をさらに備える請求項11記載の方法。
前記除去可能な外側突き出し部が前記ランセット構造から取り外された後に、前記ランセット構造が前記除去可能な内側突き出し部に接続され続けるように、前記除去可能な内側突き出し部を曲げるステップの前に、前記除去可能な外側突き出し部を曲げるステップが行われる請求項17記載の方法。
前記除去可能な内側突き出し部から前記ランセット構造を取り外すために前記除去可能な内側突き出し部を曲げるステップの前に、前記ランセット構造を前記ランセットハウジングアセンブリの複数のランセット区画内に配置することをさらに含む請求項18記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の好適な実施形態の記述は、実際は、単なる例示的なもので、本発明や、その応用、あるいは使用を制限することを意図したものではない。
【0013】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、体液の生物学的に重要な成分を取得し、その濃度を測定するために用いられる携帯型の医療診断装置に関する。特に、その携帯型の医療診断装置は、血液試料を取得し、試料の血中グルコース値を測定するために用いることができる。以下に記載するように、医療診断装置は、医療診断装置内に複数のランセット構造を有するランセットハウジングアセンブリを備えてもよく、身体部分に刺し傷をつくるために用いることができる。またランセット構造は、毛管作用を用いて刺し傷から出る血液を吸い上げ、その血液を試薬材料に運ぶために使用することができる。医療診断装置に設置された測定システムは、得られた血液の血中グルコース濃度値を測定するために用いてもよい。
【0014】
図1を参照すると、透明の保護レンズ13の後ろに表示装置12を有する、持ち運び可能な携帯型の医療診断装置10は、通常はエレメント14により示される、中の電子部品および機械部品を保護する保護筐体を含む。保護筐体14は、やや矩形であるが、円形などの任意の他の適切な形状が用いられてもよい。表示装置12は、これらに限定されるものではないが、例えば、液晶表示装置、LED表示装置、OLED表示装置、および従来開発されてきた他の種類の表示装置などの持ち運び可能な携帯型の電子装置に用いられる任意の適切な表示装置であってもよい。さらに、表示装置12は、限定されるものではないが、例えば、単一の一体型表示画面ではなく、一連の光源および/または他の種類の照明器具などのその他のさまざまな表示器であってもよい。図示された実施形態において、表示装置12は、電界を用いて荷電した色素粒子を再配置することによって、可視像を形成する情報表示装置である電気泳動ディスプレイなどの電子ペーパー要素を備える。表示装置12は、画像、文字列、および他のエレメントをユーザーに対して電子的に表示するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、表示装置12は、画面からエレメントを選択するため、図を描くため、および装置10上で作動する文字認識プログラムで文字列を入力するために、ユーザーの指先および/またはスタイラスまたは他のタッチ器具を用いて使用されるタッチスクリーンユーザーインターフェースであってもよい。いくつかの実施形態において、医療診断装置10はまた、例えば、音響装置、振動装置などの他の種類の出力装置を備えてもよい。
【0015】
医療診断装置10は、ユーザーインターフェース(通常、エレメント17と呼ぶ)をさらに含み、ユーザーインターフェースはボタン18を含んでいてもよい。また2つ以上のボタンが使用されてもよい。ボタン18は、例えば、医療診断装置10のメモリを見るため、装置の設定を調節するため、および検査結果をスクロールするために、操作者によって使用されてもよい。ボタン18は、ボタン18を押すなどの、手動で作動させてもよい。ボタン18は、指先をボタン領域上に置くことおよび/または押すことによって作動させられる、タッチセンサ(例えば、抵抗性または容量性タッチセンサ、表面弾性波センサ、赤外線LED、光検出器、圧電変換器など)を備えてもよい。これらの実施形態において、ボタン18は動かなくてもよい。その代わりに、ボタン18は、指を置く場所を識別するために視覚的に表示されてもよい。タッチセンサを使用する他の実施形態において、例えば、タッチセンサに指またはタッチ器具を近づけるために、ボタン18は動いてもよい。いくつかの実施形態において、医療診断装置10は、OKボタンおよび/またはジョイスティック/トラックボールなどの他のボタンまたは入力方式を備えてもよく、それらをユーザーが表示装置12上のソフトウェア駆動メニューを検索するために使用してもよい。付加的なボタンが、例えば、医療診断装置10上の特定のプログラムを呼び出すためのショートカットボタンとして、あるいは、リストから項目を選択するため、または装置のソフトウェア設計者がボタンまたはボタンのセットに指定する任意の機能をもたらすためのスクロール方法として、使用されてもよい。それぞれのボタンのサイズ、レイアウト、位置、および機能は、医療診断装置10のそれぞれの製造業者およびモデルによって異なってもよい。
【0016】
ランセットポート20は、医療診断装置10の底部22に配置される。ランセットポート20は、ランセット構造が保護筐体14から外側に延びるときに通る開口部を備える。ランセット構造は、患者の皮膚部位に切開部を形成し、患者の皮膚部位から一定量の体液を生じさせるために、ランセットポート20から外側に延出することができる。ある実施形態において、医療診断装置10は、病気の診断、予防、および治療のための情報を得るために、血液と他の体液および組織を検査するために用いられる体外診断装置である。医療診断装置10は、糖尿病患者の自己検査用血中グルコース測定器であってもよい。ある実施形態において、医療診断装置10は、携帯型の試薬に基づく血中グルコース測定器であり、試薬と液体試料中のグルコースとの間の化学反応のいくつかの特徴を観察することによってグルコース濃度を測定する。試薬は、予測可能な形でグルコースと反応することが知られている化合物であってもよく、これはモニタが試料中のグルコース濃度を判定することを可能にする。例えば、医療診断装置10は、ある実施形態においてグルコースと試薬との間の反応によって生じる電圧または電流を、別の実施形態において電気抵抗を、さらに別に実施形態においては試薬の色の変化を測定するように構成されてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態において、医療診断装置10は、保護筐体14が入れ子式ハウジング部25および27を用いて操作される巻線アセンブリ(図示せず)を備える機械駆動装置である。
図1は、初期のコックされていない(uncocked)位置にある入れ子式ハウジング部25および27を示している。以下で詳述するように、ハウジング部25および27は、ランセットアクチュエータアセンブリ(図示せず)を、巻き取られたトリガー可能な構成に配置するために、互いに対して手動で移動させてもよい。ランセットアクチュエータアセンブリは、患者の皮膚部位に切開部を作り、その後患者の皮膚部位から運ばれ得る一定量の体液を作り出す目的で、ランセットポート20を通してランセット構造を駆動するために用いてもよい。いくつかの実施形態において、ハウジング部27は、複数のランセット構造を含むランセットハウジングアセンブリ(図示せず)を保持するための、取り外し可能なドア65を有するカートリッジハウジング29を含む。他の実施形態において、ドア65は、ランセットハウジングアセンブリを取り外すため、または装着するためにカートリッジハウジング29へのアクセスを可能にするためにハウジング部27に対して回転できるように、ハウジング部27にヒンジ取り付けされてもよい。インジケータデバイス33は、ランセットハウジングアセンブリ内の未使用の使用可能なランセット構造の数に関する情報を患者に提供するように設けられてもよい。この実施形態において、インジケータデバイス33は、取り外し可能なドア65にウィンドウ35を含み、ランセットハウジングアセンブリがカートリッジハウジング29内でインデックスを付けられていることから、ランセットハウジングアセンブリ上に備えられた数を見ることを可能にする。
【0018】
図2を参照すると、医療診断装置10の簡略化された概略図は、患者の快適さおよび使い易さの改良を可能にするいくつかの特徴を含んでいる。一般に、医療診断装置10は、医療診断装置10において用いられる複数のランセット構造24を収容するために使用されるカートリッジ状またはディスク状のランセットハウジングアセンブリ30と、ランセット構造24を延出および/または後退させるためのランセットアクチュエータアセンブリ28と、ランセット構造24がランセットアクチュエータアセンブリ28によって延出および/または後退させられるときの速度を調節するために、ランセットアクチュエータアセンブリ28と係合する速度制御機構36とを含んでいてもよい。またランセット構造24を延出する前に、ランセット構造24の貫入深さの調節を可能にする、深さ調節機構37が設けられてもよい。ディスクインデックスシステム77が、ランセットハウジングアセンブリ30を指標付けするため、または、使用済みのランセット構造から他の未使用のランセット構造へランセットハウジングアセンブリ30を回転させるために備えられてもよい。
【0019】
測定システム32は、例えば一実施形態においては試薬の色の変化を検出するために光学装置34を用いて、あるいは他の実施形態において試薬の電気的特徴/特性の変化を測定する場合には電気接点などの他の適切な装置を用いて、検査材料39に運ばれた血液試料中のグルコース濃度を測定するように設けられてもよい。検査材料39は、試薬を保持し、上述のグルコースと試薬との間の反応を生じさせるために用いられてもよい。一実施形態において、検査材料39および光学装置34は、測定システム32が試料中のグルコース濃度を判定し、表示装置12を用いてユーザーに結果を表示するために、グルコースと試薬との間の反応が電子的に読み取られ得るように設置されてもよい。これらの実施形態は、医療従事者と患者の両者が、病院、診療所、会社、または患者の自宅に分散して安定した検査を行うことを可能にする。
【0020】
一実施形態において、検査材料39に血液試料が供給された後、試料と検査材料39の試薬との間の化学反応によるどのような色の変化も、例えばフォトダイオード検出器などの光学装置34によって検出されるように、検査材料39は測定システム32によって照射される。その結果、光学装置34からの検出信号は、測定システム32のプロセッサ31に送られ、処理される。供給された血液試料の特徴および/または特性を測定するための受け取られた検出信号上のプロセッサ31による処理結果が、表示装置12に表示されてもよく、および/または装置10(または測定システム32)のメモリ33に記憶されてもよく、あるいは表示装置12が電子ペーパーベースの表示部の場合、次の測定結果が更新されるまで表示装置12によって保持されてもよい。ある実施形態において、メモリ33に記憶されたテスト結果を選択し表示するために、および上述された装置の機能のいずれかを行うためにプロセッサ31と通信するために、ユーザーインターフェース17が、ユーザーによって使用されてもよい。他の実施形態において、プロセッサ31およびメモリ33ならびに測定システム32と共に表示部制御装置および/または表示部ドライバ、クロック、アナログデジタル変換装置、照明、電力(電池)管理制御装置/機能などの他のシステム要素(図示せず)が、特定用途向け集積回路チップ(ASIC)として、さらに他の実施形態においては個別の要素として、あるいはさらに他の実施形態においてはそれらを組み合わせて備えられてもよいことが理解される。そのような要素は、プロセッサ31に電気的に接続され、それらの全ては、限られた用途の、使い捨て装置である装置10の実施形態などにおいて、A/Cアダプタによって充電可能である、充電可能でない電池などの持ち運び可能な電源(図示せず)によって電力が供給される。適切な医療診断装置の他の特徴は、2010年12月30日に出願し、「HANDHELD MEDICAL DIAGNOSTIC DEVICE」と題された同時係属の共同所有された米国特許出願第12/981,677号明細書に記載され、その開示は参照によって本明細書に完全に組み込まれている。
【0021】
図3を参照すると、いくつかの実施形態において、複数のランセット構造が、ディスク30の形態の(例示のために、ディスク30の一部のみが
図3に示されている)ランセットハウジングアセンブリに収容され、ディスク30は、中心軸42の周りに放射状に配置された複数のランセット区画40を備える。ディスク30は、プラスチック、箔、金属等の任意の1つまたは2つ以上の適切な材料から形成された外側の保護ハウジング(図示せず)を有してもよい。ランセット区画40に保護された環境をもたらすために、滅菌防湿バリアを備える材料を用いてもよい。
【0022】
図4を参照すると、いくつかの実施形態において、ディスク30は、中央のハブ48および中央のハブ48に対して回転するように構成されるディスク要素51によって形成されてもよい。いくつかの実施形態において、ディスク要素51は、上側のディスク部材41と、上側のディスク部材41に接続される下側のディスク部材43とを含む。レーザー溶接、スナップフィット、圧入、接着剤、締め具などの任意の適切な接続が、上側のディスク部材41と下側のディスク部材43との間で使用され得る。
【0023】
また
図5および6を参照すると、中央のハブ48は、ディスク要素51に対して回転できるようにディスク30の中央内腔50内に設けてもよい。ある実施形態において、中央のハブ48は、ディスク30の中央内腔50内にスナップフィットするように設けてもよい。例えば、中央のハブ48は、ディスク要素51の下面73と係合するフックのような突起形状の固定構造47を含んでいてもよい。中央のハブ48は、
図5に示されているスナップフィット配置や、別の実施形態では下面73に隣接する中央のハブ48のねじ山の付いたまたは成型された端部(図示せず)と係合するナットまたはクリップ(図示せず)を備える締め具等を介して、ディスク30の中央内腔50内に取り外し可能に保持されるようにディスク30の中央穴50内に回転可能に取り付けられてもよいが、他の実施形態においては、下面73の周りで外側に広がる中央のハブ48の変形した自由端(図示せず)を提供するレーザー溶接等を介して、中央のハブ48は、ディスク30の中央内腔50に回転可能に設けられるだけでなく、そこで恒久的に保持されてもよい。中央のハブ48は、医療診断装置10のディスク区画52への挿入のために、1つのみまたは2つ以上の向きへディスク30を自動配向することを可能にする、非円形または不規則な形状の(例えば、D字型)キーまたは開口部75を有していてもよい。例えば、図示される実施形態において、D字型のキーは、ディスク区画52への挿入のために、1つのみの向きにディスク30を自動配向することを可能にしてもよい。
【0024】
上側のディスク部材41は、上面49と、上面49の反対側の下面56とを含む。数字が付された指標(numbered indicia)53(
図4)は、残っている未使用のランセット構造24の数または未使用のランセット構造24のうち使用済のものの数の指標をユーザーに提供するために、上面49に印刷、成形、エッチング、機械加工等されてもよい。数字が付された指標53は、取り外し可能なドア65(
図1)のウィンドウ35を通して見ることができる。
【0025】
特に
図6を参照すると、上側のディスク部材41の上面49は、上側のディスク部材41の上面49から内側に延びる複数の切り欠き55を含んでいてもよい。切り欠き55は、隣接する切り欠き55から角度をなして離間し、上側のディスク部材41の中心から略等間隔に配置される。それぞれの切り欠き55はそれぞれのランセット区画40に結合し、中央のハブ48に対するディスク30の過剰な回転を防ぐための係合構造をもたらしてもよい。
【0026】
中央のハブ48と上側のディスク部材41との間に配置されるバネ要素81は、上側のディスク部材41の回転制限構造(例えば切り欠き55)と協働する回転制限構造54を含んでいてもよい。バネ要素81は、中央のハブ48に対するディスク要素51の回転も促す環状の板バネであってもよい。バネ要素81は、アーム部材57および59を備えてもよく、それぞれのアーム部材が、ディスク要素51が中央のハブ48に対して回転するとき、切り欠き55によって取り外し可能に受容される大きさおよび配置にされた、下方向に突出する突起61および63を有する。突起61および63はそれぞれ、アーム部材57の屈曲部によって形成されてもよい。上側のディスク部材41を中央のハブ48に対してある角度関係で固定するために、突起61および63が1つの切り欠き55から出て移動し、隣接する切り欠き55に受け入れられるように、アーム部材57および59が弾性的に曲がることを可能にするため、他のいくらか弾性的な可撓性材料のバネ鋼から形成されてもよい。
【0027】
下側のディスク部材43は、上面79、上面79と反対側の下面73、外側に向く面64、および内側に向く面66を含む。ランセット区画40は、内側に向く面66から外側に向く面64へと略放射方向に延びる。ランセット区画40は、下側のディスク部材43の外周の周りに、互いから一定の角距離だけ等しく離間されてもよい。下記で詳述するように、各ランセット区画40は、各ランセット区画40の開口部68を通って、また医療診断装置10のランセットポート20を通って延出することができるランセット構造24を含んでいてもよい。下側のディスク部材43の下面73から下方向に延びるディスクインデックス構造77は、図で示した実施形態において、歯81を有するギア形状である。ディスクインデックス構造77は、例えば、ランセット構造24の各操作の後に、中央のハブ48に対してディスク要素51を回転させるために用いられてもよい。スナップリング83は、上側のディスク部材41と下側のディスク部材43とを接続するのに用いられてもよい。フォイルリング89および91であるフォイルストリップは、個々のランセット区画40に通じる内側および外側開口部68および93を覆うのに用いることができる。
【0028】
ディスク30はまた、メモリに記憶されたデータを有するメモリチップ97を含んでいてもよい。そのようなデータは、ディスク30に収容されたディスク要素の化学データ、有効期限などを含んでもよい。メモリチップ97は、カートリッジハウジング29に配置される接点101と結合する接点99を備えてもよい。
図7を手短に参照すると、メモリチップ97が、中央のハブ48に配置されたチップ受容ハブ103の中にスナップフィットされてもよい。接点99および101は、プロセッサ31によってデータが処理されることを可能にする。他の実施形態において、ディスク30は適宜RFIDタグを含んでいてもよく、医療診断装置10はRFIDリーダーを含んでいてもよい。これらの実施形態において、医療診断装置10はRFIDタグからデータをダウンロードすることができる。また図に示すように、ディスク30は、測定システム32(
図2)が測定するために試薬材料にアクセスすることを可能にするウィンドウ105およびウィンドウ105と測定システム32の位置合わせをするためにディスク30のインデックス動作を制御するために使用する位置合わせ機構107をさらに備える。
【0029】
図8および9を参照すると、例示的な空のランセット区画40と、未使用のランセット構造24を備えるランセット区画40がそれぞれ示されている。まず
図8を参照すると、ランセット区画40は、部分的に、下側のディスク部材43の区画域(compartment section)62によって形成されている。上側のディスク部材41は、
図8および9では明瞭さのために取り除かれている。区画域62は、外側に向く面64および内側に向く面66を含む。開口部68は、外側に向く面64に配置され、医療診断装置10(
図1)の底部22に配置されるランセットポート20に位置合わせすることができる。側壁78および80は、外側に向く面64と内側に向く面66との間で延びる。クリアランス床部70は、ランセット区画40内の外側に向く面64の内壁71から、内側に向く面66に延び、またランセット区画40の最も下の床部を形成する。ランセット区画40の内壁71に隣接しているのは試薬材料72であって、これはランセット区画40内でクリアランス床部70上に配置される。試薬材料72は、数例を挙げると、電気化学型のテストストリップ、比色分析または光学型のテストストリップなどのテストストリップであってもよい。
【0030】
ドロップダウンスロット74および76が側壁78および80に配置され、区画域62の上面79からランセット床部84へ垂直に延びる。別のドロップダウンスロットが内壁71に配置され、開口部68から試薬材料72へ垂直に延びる。ランセット床部84は、クリアランス床部70に沿って、クリアランス床部に対して隆起した関係を有し、試薬材料72から内側に向く面66の方へ後退して、およびドロップダウンスロット74および76内で延びる。いくつかの実施形態において、ランセット床部84は、一組のストリップ85および87によって形成されてもよく、一組のストリップ85と87は、それぞれの側壁78および80に沿って延び、互いに対して間隔をおき、それによってその間のクリアランス床部70の一部をむき出しにする。いくつかの実施形態において、ランセット床部84およびクリアランス床部70は共に、同一の床部構造の一部であってもよい。ランセット床部84は、ランセット構造が試薬材料72に対して落とし込まれ、ランセット床部84に対して固定されるとき、クリアランス床部70とランセット構造24との間に隙間を与える。ランセットガイドレール86および88は側壁78および80に沿って延び、区画域62の上面79の下方へ垂直に引っ込んでいる。いくつかの実施形態において、ランセットガイドレール86および88は、ランセット床部84および/またはドロップダウンスロット74および76から開口部68までのクリアランス床部70と略平行に延び、内壁71で、ドロップダウンスロット75がランセットガイドレール86および88と交わり、側壁78および80で、ドロップダウンスロット74および76がガイドレール86および88とそれぞれ交わる。
【0031】
図9を参照すると、ランセット区画40がランセット構造24とともに示されている。この例示的な実施形態において、ランセット構造24は皮膚貫入端90と皮膚貫入端90の隣の血液輸送部92とを含んでいる。いくつかの実施形態において、血液輸送部92は、皮膚貫入端から離れて血液輸送部92に向かう体液の移動を促す1つまたは2つ以上の毛管構造を含んでいてもよい。この皮膚貫入端90は、開口部68を通って延出されるとき、一定量の血液を供給するために、ある皮膚位置で患者の皮膚を貫入するような形状および大きさにされる。血液輸送部92は、皮膚貫入端90からその血液を受容でき、その皮膚位置から血液を運ぶために用いることができる。
【0032】
駆動部材接続構造94は、皮膚貫入端90と反対側の端部96に配置される。この実施形態において、駆動部材接続構造94は、駆動部材95と係合するために用いられる後部突き出し部100を有する閉じられた開口部98である(例えば、駆動フックの形状)。外側に延びる翼部102および104の形状のレール走行構造は、駆動接続構造94と血液輸送部92との間に配置される。翼部102および104は、幅方向で外側に向かって延びて、ランセット構造24を延出および後退させるときにランセットガイドレール86および88に沿って走行する。
【0033】
図10を参照すると、上側のディスク部材41が下側のディスク部材43に接続されて、その間にランセット区画40を設けた、組み立てられた構成のランセット区画40の断面が示されている。駆動部材95はランセット区画40内に延び、ランセット構造24の駆動部材接続構造94に離脱可能に係合されているのが示されている。ランセット構造24の皮膚貫入端90が、開口部68の下面106上に載っているのが示され、翼部(翼部102のみが一部示されている)がランセットガイドレール(ガイドレール86のみが一部示されている)上に載っている。
【0034】
付勢機構108(例えば板バネ)は、ランセット区画40内に延び、ランセット床部84に向かって延び、ランセット構造24の表面110と係合する。付勢機構108は、両端112および114で、上側のディスク部材41の天井部116に接続されてもよい。付勢機構108に形成される突起118は、ランセット構造24の対応する戻り止め120(
図9)と結合するように設けられてもよい。他の実施形態においては、ランセット構造24は突起118を含み、付勢機構108は戻り止め120を含んでもよい。対向するランプ構造などの任意の適切な結合装置が用いられてもよい。この結合装置は、開口部68を通るランセット構造24の皮膚貫入端90の意図せぬ動作に対して追加の抵抗を提供することができる。
【0035】
図11を参照すると、ランセット構造24は、駆動部材接続構造94に接続される駆動部材95を用いて、矢印122の方向に、開口部68を通って延出されてもよい。
図10および11に示すように、付勢機構108は、端部112と114の間に、付勢機構108の長さに沿って形成されるスロット124を含んでいてもよい。スロット124は、駆動部材95のフック部126を受容し、駆動部材95がスロット124を通り、開口部68の方へ動作するのを可能にする大きさであってもよい。いくつかの実施形態において、駆動部材95のフック部126は、ランセット構造24が開口部68の方へ動かされている間、付勢機構108はランセット構造24との接触を維持するように、スロット124内に受容される。ランセット構造24が開口部68の方へ動かされると、外側に延びる翼部102および104は、側壁78および80のランセットガイドレール86および88に沿って進む。
【0036】
図12を参照すると、ランセット構造24は、駆動部材95を用いて、矢印128の方向に開口部68から後退させられてもよい。駆動部材95のフック部126は、ランセット構造24が開口部68から離れた方向に動かされている間、付勢機構108はランセット構造24との接触を維持するように、スロット124内に受容されてもよい。
図12に示すように、側壁78および80のランセットガイドレール86および88に沿って進む外側に延びる翼部102および104は、ドロップダウンスロット74および76に整列し、皮膚貫入端90がドロップダウンスロット75に整列するか、ドロップダウンスロット75を越えて移動すると、付勢機構108は、ランセット構造24を、ランセット床部84および試薬材料72に向けて、後退方向128と略交差する方向に押し進める。したがって、付勢機構108は、ランセット構造24が駆動部材95によって後退させられると、自動的にランセット構造24を試薬材料72の方へ運ぶために用いることができる。
【0037】
図13を参照すると、ランセット構造24が完全に後退し、試薬材料72の方へ向けられていることが示されている。この位置で、ランセット構造24の皮膚貫入端90および血液輸送部92は、開口部68からオフセット(offset)しており(すなわち開口部68と並んでいない)、また血液が試薬材料72へ搬送され得るように試薬材料72と接触している。ランセット構造24を試薬材料72へ運ぶことに加えて、開口部68と並んでいない皮膚貫入端90のオフセット配置は、もはやランセット構造24と係合してランセット構造24を延出させることができない駆動部材95による、開口部68を通る皮膚貫入端90の意図しない延出も抑制することができる。特に、図示された実施形態において、もし駆動部材95が、使用済みランセット構造24を含むランセット区画40の開口部68に向かって再び移動する場合、ランセット構造24の駆動部材接続構造94を駆動部材95に整列せずに配置するオフセット配置によって、駆動部材95は、ランセット構造24を通過するだろう。したがって、ランセット構造24の血液輸送部92から試薬材料72へ血液を移送した後、ランセット構造24をオフセット配置に設ける付勢機構108は、便利な安全装置を提供する。
【0038】
図14を参照すると、フック部126を含む駆動部材95は、駆動部材95を延出および後退させるために用いられる、ランセットアクチュエータアセンブリ28に操作可能に接続される。駆動部材95はフックアーム130に接続される。フックアーム130は、延出位置および後退位置に向けて駆動部材95を正確にガイドするために用いられる一対のガイドレール132および134に沿ってスライドできる。ガイドレール132および134は、アンカー136によってハウジング部27に固定して接続される。フックアーム130は、調節リンク機構140によって従動アーム138に接続される。従動アーム138は、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144によって反対方向(矢印142で示す)に動かされ、フックアーム130および駆動部材95は、その延出位置と後退位置との間で順に動かされる。
【0039】
また
図15を参照すると、ラック部材146は、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144を、ギア巻き付けアセンブリ150を介して巻き付けるために用いられる。ラック部材146は、駆動ギア168を回転させるために駆動ギア168と係合できる(例えば、時計回りなどの一方向のみに回転させる場合)アーム164および166を有するカムギア162の歯160(
図14)とかみ合う、その長さに沿って延びる歯154を備える。
【0040】
ラック部材146は、(例えば、締結具などの任意の適切な接続部を用いて、あるいは、成形などによってラック部材146とスライド可能なカムアセンブリ170とを1つの一体化した要素として形成することによって)、スライド可能なカムアセンブリ170に接続される。スライド可能なカムアセンブリ170は、入れ子式ハウジング部27に対する入れ子式ハウジング部25の動きが、ラック部材146をギア巻き付けアセンブリ150に対して動かすように入れ子式ハウジング部25に接続される。
図15および以下の記述から理解できるように、ラック部材146の矢印176方向の移動は、カムギア162を時計回りの方向に回転させる。カムギア162が時計回りに回転すると、駆動ギア168と係合せず、駆動ギア168に対して回転し得る。したがって、入れ子式ハウジング部27を矢印176の方向に外側に動かすことは、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144をその戻りストロークの間に、巻き付けまたは準備できる状態にある、前負荷または前準備の位置に、ラック部材146を配置する。矢印176と反対方向へのラック部材146の動作は、カムギア162を反時計回りに回転させる。以下に詳述するように、カムギア162が反時計回りに回転すると、駆動ギア168と係合し、次に隣のぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144を巻き付ける。
【0041】
図16は、例示的なぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144の分離した分解図を示している。ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144は、バネホイール180、ねじりバネ182、およびローラーホイール186を含む。バネ182はバネホイール180とローラーホイール186とを接続する。バネ182は、内側端部188でローラーホイール186に接続され、外側端部190で、バネホイール180に接続される。旋回軸の周りのローラーホイール186に対するバネホイール180の回転は、バネ182を巻き付けさせ、それによってバネ182の蓄積エネルギーを増やす。
【0042】
ローラーホイール186は、ローラーホイール186の正面198に設けられる溝196を含む正面カム部192を含んでいる。溝196は、ローラーホイール186が回転するにつれて、従動アーム138が延出位置と後退位置との間で固定された距離だけ移動するように、従動アーム138(
図14)のたどる経路を提供する。従動ピン200は、ローラーホイール186の反対側の面202に設けられる。ローラーホイール186の回転(およびそれに伴う従動アームの動作)は、従動ピン200とスライド可能なカムアセンブリ170のカムトラック部との間の相互作用によって制御される。
【0043】
図17を参照すると、スライド可能なカムアセンブリ170が分離して示されており、端部208から外側に、かつラック部材146と略平行に延びるトラック部220を備える。トラック部220は、一方の端部226および228で端部208に片持支持され、結合された自由端330へと外側へ向かって延びる一対のトラック支持部材222および224によって形成される。スロット332は、トラック部220の長さ方向に沿って延びており、スライド可能なカムハウジングアセンブリ170が旋回軸187によってスライドできるように、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144の旋回軸187(
図14)を受け入れるような大きさである。各トラック支持部材222および224は、各トラック支持部材222および224の上面229および231から上に延びるそれぞれの細長いガイドトラックエレメント225および227を保持(carry)する。ガイドトラックエレメント225および227は、ローラーホイール186の回転を制御(すなわち、許可および不許可)することによって、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144の巻き付けと解放を制御するために用いられる。
【0044】
図18〜22は、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144、ギア巻き付けアセンブリ150、ラック部材146、およびスライド可能なカムアセンブリ170を用いた、準備および発射のシーケンスを示している。ローラーホイール186は、従動ピン200がトラック部220ならびにガイドトラックエレメント225および227と相互作用するときに、従動ピン200を見ることができるようにいくぶん透明に示されている。
図18は、開始位置にあるローラーホイール186およびスライド可能なカムハウジングアセンブリ170を示し、従動ピン200はバネ182によって、ガイドトラックエレメント225の壁部334に対して時計回り方向に付勢されている。この位置で、スライド可能なカムアセンブリ170とハウジング部25との接続を通して、またハウジング部27と回転可能に接続されているぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144により、スライド可能なカムアセンブリ170は、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144に対して、矢印336の方向に引かれ得る。
図19は、完全な前準備位置にあるスライド可能なカムハウジングアセンブリ170を示し、従動ピン200はガイドトラックエレメント227の壁部338に対して付勢されている。上記に示すように、スライド可能なカムハウジングアセンブリ170およびそれに接続されるラック部材146(
図14)の矢印336方向の動きは、カムギア162を時計回りの方向に回転させる。カムギア162が時計回りに回転すると、駆動ギア168と係合せずに、バネ182を巻き付けることなく、駆動ギア168に対して回転してもよい。しかしながら、バネ182は、従動ピン200がガイドトラックエレメント225の縁部340を越えてガイドトラックエレメント225に対して移動し、完全な前準備位置においてガイドトラックエレメント227の壁部338まで移動するように、一定量だけあらかじめ負荷をかけられてもよい。
【0045】
図20を参照すると、スライド可能なカムハウジングアセンブリ170は、従動ピンがガイドトラックエレメント225とガイドトラックエレメント227との間にある状態で完全な前準備位置に配置されると、巻き付けられたトリガー可能な位置(または準備された位置)に向かって矢印342の方向に押されてもよい。スライド可能なカムハウジングアセンブリ170が矢印342の方向に押されると、スライド可能なカムハウジングアセンブリ170およびそれに接続されるラック部材146(
図14)の矢印342の方向への動作は、カムギア162を反時計回りの方向に回転させる。カムギア162が反時計回りの方向に回転すると、駆動ギア168と係合し、それによってバネホイール180を回転させ、バネ182(
図14)を巻き付ける。ガイドトラックエレメント227はローラーホイール186の回転を防ぎ、これはバネホイール180が回転するにつれてバネ182がローラーホイール186に対して巻き付くことを可能にする。
【0046】
駆動ギア168が反時計回りに回転すると、ギア係合ピン346は、ゼネバホイールギア350のスロット348の方へ動く。ゼネバホイールギア350は、ギア係合ピン346がスロット348の中を通るとき、駆動ギア168の連続的な回転を断続的な回転運動へ変換するギア機構である。ゼネバホイールギア350はディスク駆動ギア380と係合し、次にディスクインデックス構造66の歯81と係合する(
図7)。ゼネバホイールギア350の断続的な回転運動は、ディスク要素51のインデックス動作を引き起こし、隣接するランセット区画40をランセットポート20に合わせる。
【0047】
従動ピン200は、従動ピン200が初期停止部344に到達するまでガイドトラックエレメント227に沿って従動する。従動ピン200はその後、バネ182によってローラーホイール186上に与えられる付勢力により、初期停止部344内へと回転されてもよい。従動ピン200がこの位置にある状態で、スライド可能なカムハウジングアセンブリ170は準備された、安全な準備完了状態にある。付勢部材346、348および350(例えば、コイルバネ)は、スライド可能なカムハウジングアセンブリ170が
図18により示されるような、準備された、安全な準備完了状態になる。作動動作は、スライド可能なカムハウジングアセンブリ170を矢印336の引く方向において比較的短い距離だけ移動させ、これは、従動ピン200がガイドトラックエレメント227の縁部352を過ぎて最終停止部345まで移動させ、
図21に示すような、巻き付けられたトリガー可能な位置へと移動することを可能にする。
【0048】
従動ピン200が、
図21の巻き付けられたトリガー可能な位置になると、医療診断装置10は、ランセットポート20を通してランセット構造24を発射できる状態となる。医療診断装置10をトリガーすることは、指または他の身体部分をランセットポート20上に置き、ハウジング部25をハウジング部27の方へ押すことによって達成されてもよい。
図22を参照すると、従動ピン200がガイドトラックエレメント227によって与えられる解放点354を越えて移動すると、ローラーホイール186は、バネ182によって与えられる付勢によって回転する。ローラーホイール186の回転は、ランセット構造24をランセットポート20から外側に延出させ、またランセットポート20内へと後退させる。
【0049】
いくつかの実施形態において、ランセット構造24の例示的な経時的速度プロファイルが示されている。図からわかるように、部分Aは駆動部材がランセット構造24に係合していることを示し、部分Bは、皮膚貫入端90が皮膚部位に接近し貫入するときのランセット構造24の比較的高速な加速を示している。部分Cは、皮膚貫入端が皮膚部位から出るときの、ランセット構造24の比較的低速な加速を示している。このような低速な加速は、皮膚部位からの液体試料の引き出し(例えば100nL)を可能にし得る。部分Dは、ランセット構造24の後退の間の、部分Bの次に高い加速を示している。いくつかの実施形態において、延出段階の間の時間対後退段階の間の時間の比率は、少なくとも約1:25である。減速は、例えば歯止め機構368上のバネの付勢を増したり、減らしたりすることによって、および/またはギア比を変えることによって、調節可能である。
【0050】
図14および
図23を参照すると、速度制御機構36がギアボックスであってもよく、ハウジング356、ギア364および366、および歯止め機構368を含む。ギア364は係合ギアであり、ローラーホイール186が回転するとき、ぜんまい仕掛けのバネ駆動アセンブリ144と係合する。ある実施形態において、ローラーホイール186は、ローラーホイール186の外周の特定の位置でローラーホイール186の直径を大きくする偏心リング部材372(例えば、ゴムまたはプラスチックで形成された)を含む。ランセット構造24の戻りストロークの間、ローラーホイール186が回転すると、偏心リング部材372はギア364に摩擦して係合し、それによってギア364を回転させ、ローラーホイール186の速度を落とす。ギア364が回転すると、ギア366を回転させる。歯止め機構368がギア366の外歯370に係合し、それによって速度制御機構36が回転する速度を落とすか、あるいは制御する。
【0051】
図24を参照すると、ランセット構造24の例示的な経時的速度プロファイルが示されている。図からわかるように、部分Aは、皮膚貫入端90が皮膚部位に接近し貫入するときのランセット構造24の比較的高速な加速を示している。部分Bは、皮膚貫入端が皮膚部位から出るときの、ランセット構造24の比較的低速な加速を示している。いくつかの実施形態において、延出段階の間の時間対後退段階の間の時間の比率は、少なくとも約1:25である。減速は、例えば歯止め機構368上のバネの付勢を増したり、減らしたりすることによって、および/またはギア比を変えることによって、調節可能である。
【0052】
図14を再び参照すると、上述のように、医療診断装置10は、深さ調節機構37をさらに含んでいてもよい。深さ調節機構37は、旋回軸位置P1で調節リンク機構140に調節可能に接続されるサムホイール355を含んでいてもよい。サムホイール355の回転によって調節リンク機構140の端部357を動かし、次に、調節リンク機構を旋回軸位置P2の周りで旋回させ、駆動部材95のフック部126の開始位置を調節する。駆動部材95のフック部126のランセットポート20に向かう動作によって、従動アーム138およびローラーホイール186の固定したストロークの長さによってランセット構造24の皮膚貫入端90の貫入深さを大きくすることができる。駆動部材95のフック部126のランセットポート20からが離れる方向への動作は、ランセット構造24の皮膚貫入端90の貫入深さを小さくすることができる。ある例示的な実施形態として、貫入深さ(例えば、皮膚貫入端90がランセットポート20を越えて延びる距離)は、約0.8mm〜約2.3mmまで調節可能であってもよい。さらに、従動アーム138は、駆動部材95を延出および後退させるために、調節リンク機構140に接続されるので(例えば、スロット381で)、調節リンク機構140は、従動アーム138の動作に対する駆動部材95の動作を拡大するように作動してもよい。いくつかの実施形態において、調節リンク機構140は、駆動部材95対従動アーム138の1.8:1の比率の乗数を与える。
【0053】
図25を参照すると、ランセットハウジングアセンブリ400の代替的な実施形態(例えば、ディスク形状)は、ランセット区画405を画定する、上側のディスク部材402および下側のディスク部材404を含んでいる。ランセット構造406は、皮膚貫入端408、血液移送部410、および駆動部材414と係合するための係合構造412を含んでいる。上述の実施形態と同様に、ランセット構造406は、ランセット区画405の側壁420に沿って延びるサイドレール418に沿って進むことができる横方向に延びる翼部416を含んでいる。この実施形態において、サイドレール418は、ランセット構造406をランセット床部424の方へ移動させ(すなわち、スナップダウン(snap down)させ)、駆動部材を解放し、皮膚貫入端408を試薬材料426に接触させる段部422を含んでいる。図で示した実施形態において、段部422は垂直線に略平行(すなわち、サイドレール418と垂直)であるが、垂直線に対して他の角度をなしてもよい。
【0054】
図26を参照すると、ランセットハウジングアセンブリ430の別の実施形態が、ランセット構造432の皮膚貫入端434を試薬材料436と接触させるために、ランセット構造432の屈曲を利用してもよい。この実施形態において、ランセット構造432は、ランセット区画444の側壁442に沿って延びる屈曲したサイドレール440に沿って進むことが可能な、横方向に延びる翼部438を含んでいる。皮膚貫入端434が開口部446によって引かれると、ランセット構造432の屈曲によって、皮膚貫入端434は試薬材料436と接触する。
【0055】
図27〜29を参照すると、ランセット構造450の動作は、側方または横向きの成分(すなわち、隣接するランセット区画の方への角度の動作)を有してもよい。ランセットハウジングアセンブリ452(例えば、ディスク形状)は、ランセット区画458を画定する上側のディスク部材454および下側のディスク部材456を含んでいる。ランセット構造450は、皮膚貫入端462、血液移送部464、および駆動部材と係合するための係合構造466を含んでいる。上述の実施形態と同様に、ランセット構造450は、ランセット区画458の側壁472に沿って延びるサイドレール470に沿って進むことが可能な、側方に延びる翼部468を含んでいる。この実施形態において、開口部474は、皮膚貫入端462を隣接するランセット区画に向かって押し進め、ランセット構造450を試薬材料478と接触させる水平な壁要素476を含んでいる。
【0056】
図30〜42は、ランセット区画505を画定する上側のディスク部材502および下側のディスク部材504を含むランセットハウジングアセンブリ500の別の実施形態を示している。ランセット構造506は、皮膚貫入端508、血液移送部510、および駆動部材514と係合するための係合構造512を含んでいる。まず
図30を参照すると、ランセット構造506をランセット区画505内に固定するために、固定構造516が設けられている。固定構造516は、駆動部材514がランセット構造506と係合する間、ランセット構造506の長手方向の移動を伴わないで、ランセット構造506にいくらかの力をかけることを可能とする。しかし、固定構造516は、あらかじめ選択された閾値の力を超える力に対応して、ランセット構造506の長手方向の移動を可能にしてもよい。
【0057】
固定構造516は、ランセット構造506の延出軸から外側に延びるバネエレメント518および520を含んでいてもよい。バネエレメント518および520はそれぞれ、バネエレメント518および520を受容するような大きさにされた各切り欠き522および524内に受容されてもよい。固定構造516の係止強度は、バネエレメント518および520のバネ強度および切り欠き522および524の出口角を用いて選択することができる。この実施形態において、切り欠き522および524の出口角は約90度未満である。
【0058】
図31は、ランセット構造506が固定構造516と係合した状態の、駆動部材514を含む、開始位置を示している。翼部構造526および528は、ランセット構造506を試薬材料532から離間させるために、支持構造530の上に載るように設けられてもよい(
図30)。駆動部材514は、上述のものと同様の方法で、ランセット区画505に挿入され、前に押されてもよい。いくつかの実施形態において、駆動部材514は、
図32にも示される上向きのバネ力F(例えばバネを用いて)を受ける。
【0059】
図32において、駆動部材514は、円形の外周面を有しフック部536から上方へ延びるガイド突起534を含んでいる。ガイド突起534は、下方向に延びるカム表面538と係合し、フック部536を下方向に押しやり、ランセット構造506の係合構造540と係合するために、フック部536を位置付ける。
図33を参照すると、ガイド突起534がカム表面538を通過するにつれて、フック部536は付勢Fによって持ち上がり、ランセット構造506の係合構造540と係合する。
【0060】
図34において、バネエレメント518および520(
図30)は、切り欠き522および524から解放されていてもよく、
図35では、フック部536の上方への動きを制限するために、ランディング部材(landing member)542がカム表面538と係合してもよい。
図36および37で、上述のものと同様の方法で、皮膚貫入端508を、開口部544を通して移動させ、その後減速した戻り動作をさせることによって切開部が形成されてもよい。
【0061】
図38を参照すると、ランセット構造506の戻り動作の最後に、付勢力Fがランセット構造506に作用し、それによって、ランセット構造506に張力をかける。翼構造526および528(
図30)が支持構造530上に載っている状態では、
図38に示すように、ランセット構造506と試薬材料532との間に隙間が残っている。
図39を参照すると、駆動部材514のさらなる戻り動作によって、翼構造526および528(
図30)は、支持構造530から外れ、皮膚貫入端508は試薬材料532と接触する。付勢力Fは、液体接触が生じるように、皮膚貫入端508と試薬材料532との接触を促す。駆動部材514がさらに戻ると、
図39に示すように、ガイド突起534は、フック部536を押し込むカム表面538と係合して、ランセット構造506の係合を解く。
図40を参照すると、ランセット構造506内のバネ張力を維持するために、リブ544が備えられてもよい。
【0062】
図41〜48は、ランセット区画605を画定する上側のディスク部材602および下側のディスク部材604を含んでいるランセットハウジングアセンブリ600の別の実施形態を示している。ランセット構造606は、皮膚貫入端608、血液移送部610、駆動部材614と係合するための係合構造612を含んでいる。まず
図41を参照すると、ランセット構造606および駆動部材614の初期位置が示されている。この実施形態において、ランセット構造606は、部分618で上方に延び、部分620で長手方向に(縦方向に?)延びる、外側に延びるバネフィンガ616を含んでいる。屈曲部622は上方に延びる部分618と長手方向に延びる部分620とを接続する。長手方向に延びる部分620は、切り欠き626内に受容されるこぶ状部624を備え、それによってランセット区画605内のランセット構造606のための固定構造を提供する。
【0063】
ランセット構造606は、ランセット構造606を駆動部材614のフック部630に係合するために用いられる係合構造612を含んでいる。図で示した初期位置において、係合構造612は、ランセット構造606が延出および後退段階の間にランセット構造606を支持するために用いられる、下方に傾斜するガイド斜面またはレール632上に載っている。ランセット構造606の皮膚貫入端608は、開口部636で支持面634上に載っており、この開口部を通って皮膚貫入端608は延びる。
【0064】
図42を参照すると、準備および発射シーケンスの間、駆動部材614はランセット区画605に入り、ガイド突起638は上方に傾斜する斜面640と係合し、それによって、駆動部材614がランセット区画605に入るにつれて、フック部630を上方に押し上げる。
図43を参照すると、駆動部材614が開口部636に向かって移動し続けると、ガイド突起638は下方に傾斜する斜面642と係合し、フック部630は下方に移動してランセット構造606の係合構造612と係合する。
図44を参照すると、フック部630は下に傾く斜面642を下って移動し続け、それによって係合構造612と完全に係合し、ランセット構造606の皮膚貫入端608を開口部636を通して延ばす。
図43および44に示すように、こぶ状部624は、駆動部材614によって十分な力がかけられたときにバネフィンガ616を屈曲させることによって、切り欠き626から押し出される。こぶ状部624を切り欠き626から解放するために必要な力は、バネ力ならびに切り欠き626およびこぶ状部624の形状に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態において、こぶ状部624は、上壁面644と接触し続け、それによって皮膚貫入端608が延ばされるにつれてランセット構造606を下方向に付勢する。
図45は、完全に延ばされたランセット構造606を示している。
【0065】
図46を参照すると、後退の間、ランセット構造606の皮膚貫入端608はランセット区画605へと引き戻される。駆動部材614によって加えられる牽引力は、皮膚貫入端608が開口部636で支持面634を通過でき、一定量の体液を試薬材料へ移送するために試薬材料650の方へ落下できるように、こぶ状部624を切り欠き626を越えて引くのに十分な力である。ランセット構造が試薬材料650の方へ落下し、ガイド突起638が斜面642を上がると、係合構造612のフックが外れる。
図47および48は、ランセット構造606が試薬材料650と接触し、皮膚貫入端608が開口部636からオフセットしている、ランセット構造606の最終的な解放状態を示している。
【0066】
図49を参照すると、ランセット構造606を含むランセットハウジングプリアセンブリ700の組み立てに使用される方法およびプリアセンブル部材702が示されている。プリアセンブル部材702は、中央のハブ48、ランセット区画605を共に形成する上側のディスク部材602と下側のディスク部材604、フォイルリング89および91、および
図4〜7における上述のものと同様の方法で、中央のハブ48を用いて上側のディスク部材602と下側のディスク部材604を接続するのに用いられるスナップリング83を含む。
【0067】
上側のディスク部材602と下側のディスク部材604との間に、ランセットシート704と試薬要素シート705が配置される。
図50を参照すると、ランセットシート704は、外側突き出し部706、内側突き出し部708、および外側突き出し部706と内側突き出し部708の両方に接続される相互接続されたランセット構造606の配列を含んでいる。ランセット構造606は、外側突き出し部706および内側突き出し部708を含むランセットシート704の残りの部分を形成する材料(例えば、ステンレス鋼)から形成される。例えば、任意の適切なエッチング法またはレーザー切断法が、ランセットシート704においてランセット構造606を形成するために使用されてもよい。
【0068】
ランセット構造606は、外側バネ要素710の配列によって外側突き出し部706に接続され、内側バネ要素712の配列によって内側突き出し部708に接続される。一般に、外側バネ要素710および内側バネ要素712は、組み立ての間、対応する外側突き出し部706および内側突き出し部708の屈曲、およびランセット構造606のランセットシート700からの離脱を促す。
図51を参照すると、外側バネ要素710が詳細に図示され、それぞれが取付バネアーム714および外側突き出し部取付アーム716および718を備える。取付バネアーム714はU字型で、屈曲部720および722において外側突き出し部取付アーム716および718のそれぞれに接続される。いくつかの実施形態において、外側突き出し部取付アーム716および718はそれぞれ、外側突き出し部706に取り付けられる拡幅部724を有する。拡幅部724は、取付バネアーム714と比較して高い剛性を有する外側突き出し部取付アーム716および718を提供することができる。図に示すように、ランセット構造606は、隣接する拡幅部724間に形成された切り欠き726の中に延びる。
【0069】
取付バネアーム714は、(ランセット構造606の細長い軸と略平行に延びる)放射状に延びる第1のレッグ728および放射状に延びる第2のレッグ730ならびにレッグ728と730との間に延びる横レッグ732を備える。ランセット取付アーム734は、一方の端部736で横レッグ732と接続され、反対側の端部738で隣接するランセット構造606と接続される。ランセット取付アーム734は、モーメントアームとして作用し、ランセット取付アーム734とランセット構造606との接続部に加わるトルクを増やすことができる。ランセット取付アーム734は、ショルダー744でランセット取付アーム734をランセット構造606に取り付ける、破断可能なフィンガ740および742を備える。いくつかの実施形態において、破断可能なフィンガ740および742は、破断可能なフィンガ740および742内に形成される脆弱ライン745を備えてもよい。例えば、脆弱ライン745は、破断可能なフィンガ740および742がランセット構造606に接触する、破断可能なフィンガ740および742の一部にエッチング処理された、またはレーザー切り込みされた領域であってもよい。下記で詳述するように、外側バネ要素710は、外側突き出し部706がランセット構造606に対して動くことを可能にし、破断可能なフィンガ740および742とランセット構造606との接続部において、外側突き出し部706をランセット構造606から破断させる。
【0070】
図52を参照すると、内側バネ要素712が詳細に図示され、それぞれが取付バネアーム746を含んでいる。取付バネアーム746は波形で、屈曲部750および752を経由して端部748で内側突き出し部708に接続される。反対側の端部754で、取付バネアーム746は、破断可能なフィンガ756、758、760、および762によって、複数のランセット構造606に取り付けられる。いくつかの実施形態において、2つまたは2つ以上(例えば4つ)の破断可能なフィンガ756、758、760、および762は、それぞれの破断可能なフィンガ756、758、760、762がそれぞれのランセット構造606に接続された状態で、単一の取付バネアーム746に接続されてもよい。いくつかの実施形態において、破断可能なフィンガ756、758、760、および762は、破断可能なフィンガ756、758、760、および762内に形成される脆弱ライン765を含んでいてもよい。例えば、脆弱ライン765は、破断可能なフィンガ756、758、760、および762がランセット構造606と接触する、破断可能なフィンガ756、758、760、および762の一部エッチング処理された、またはレーザー切り込みされた領域であってもよい。下記に詳述するように、内側バネ要素712は、内側突き出し部706がランセット構造606に対して動くことを可能とし、破断可能なフィンガ756、758、760、および762とランセット構造606との接続部において、内側突き出し部708をランセット構造606から破断させる。
【0071】
図50を再び参照すると、外側突き出し部706を取り外すために、外側突き出し部706は、矢印764の方向にランセットシート700の面から曲げられてもよく、一方、内側突き出し部708およびランセット構造606は、定位置に、例えばクランプ固定具によって保持される。したがって、この例において、外側突き出し部706は内側突き出し部708に対して屈曲する。内側突き出し部708とランセット構造606に対する外側突き出し部706の急速な屈曲は、破断可能なフィンガ740および742をランセット構造606のショルダー744から破断させる。
図53は、外側突き出し部706から取り外され、内側突き出し部708とは相互接続が続いているランセット構造606を示している。
図54は、ランセット構造606から取り外された外側突き出し部706と、引き続き外側突き出し部に接続されたバネ要素710とを示している。
【0072】
図49を参照すると、ランセットシート700の外側突き出し部706が取り外されると、
図50のランセット構造606は、下側のディスク部材604のランセット区画の半分766内に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、試薬要素768が同様の屈曲方法で試薬要素シート705から取り外された後に、ランセット構造606は、ランセット区画の半分766内に配置されてもよい。ランセット構造606がランセット区画の半分766に配置されると、例えば上側のディスク部材602と下側のディスク部材604とを溶接することによって、下側のディスク部材604は上側のディスク部材602と組み立てられてもよい。
【0073】
図50を再び参照すると、内側突き出し部708を取り外すために、内側突き出し部708は、矢印764の方向にランセットシート700の面から曲げられてもよく、ランセット構造606は、ランセット区画605内の定位置に保持される。いくつかの実施形態において、ランセット構造606はピンなどの任意の適切なクランプ構造を用いて固定が保持されてもよい。したがって、この実施例において、内側突き出し部708はランセット構造606に対して屈曲する。ランセット構造606に対する内側突き出し部708の急速な屈曲は、破断可能なフィンガ756、758、760、および762をランセット構造606から破断させる。
図55は、外側突き出し部706および内側突き出し部708から取り外された、分離したランセット構造606を示している。
図56は、上側のディスク部材602が取り外された状態の、ランセット区画605内の取り外されたランセット構造606を示している。
【0074】
上述のランセット構造配置プロセスは、例えば、ランセット構造606を個別に操作することなく、ランセットシート700のそれぞれのランセット構造606がそれぞれのランセット区画605内に同時に配置されることを可能にする。ランセット構造606は、ランセット構造606に対して外側突き出し部706および内側突き出し部708を曲げることによって、外側突き出し部706および内側突き出し部708から同時に取り外すことができる。
【0075】
上述の医療診断装置は、患者に対して快適さと使いやすさを高められるいくつかの特徴を備える。一般に、その医療診断装置は、医療診断装置において用いられる複数のランセット構造を収容するために用いられるカートリッジ状またはディスク状のランセットハウジングアセンブリと、ランセット構造を延出および後退させるためのランセットアクチュエータアセンブリと、ランセットアクチュエータアセンブリによってランセット構造が延出および/または後退させられるときの速度を調節するためにランセットアクチュエータアセンブリと係合する速度制御機構とを含んでいてもよい。また、使用前にランセット構造の初期位置の調節を可能にする深さ調節機構も備えられてもよく、それによって使用中のランセット構造の貫入深さを調節することができる。
【0076】
以下は、本発明の番号付けされた実施形態である。
【0077】
1. 患者の皮膚部位から体液を採取するための持ち運び可能な携帯型の医療診断装置において用いられる複数のランセットを含むランセットハウジングアセンブリを組み立てる方法であって、
ランセット構造を取り外すための、除去可能な突き出し部を有するランセットシートに複数のランセット構造を形成すること、および
前記ランセット構造を前記除去可能な突き出し部から取り外すために前記ランセットシートの除去可能な突き出し部を曲げることを含む方法。
【0078】
2. 前記ランセット構造を前記除去可能な突き出し部に接続する複数のバネ要素を、前記ランセットシートに形成することをさらに含む、実施形態1の方法。
【0079】
3. 前記バネ要素が、前記ランセット構造に接続される取付バネアームと、前記取付バネアームを前記除去可能な突き出し部に接続する外側突き出し部取付アームとを含むように形成される実施形態2の方法。
【0080】
4. 前記バネ要素が、前記取付バネアームを前記ランセット構造に接続するランセット取付アームを含むように形成される実施形態2の方法。
【0081】
5. 前記除去可能な突き出し部を曲げるステップが、破断可能なフィンガを前記ランセット構造から破断させるように、前記ランセット取付アームが、前記ランセット構造に接続される破断可能なフィンガを備えるように前記バネ要素が形成される実施形態4の方法。
【0082】
6. 前記破断可能なフィンガが第1の破断可能なフィンガであり、前記ランセット構造が第1のランセット構造であり、前記ランセット取付アームが隣接する第2のランセット構造に接続される第2の破断可能なフィンガを含むように形成され、前記除去可能な突き出し部を曲げるステップが、前記第1の破断可能なフィンガを前記第1のランセット構造から破断させ、前記第2の破断可能なフィンガを前記第2のランセット構造から破断させる実施形態5の方法。
【0083】
7. 前記除去可能な突き出し部が除去可能な外側突き出し部であり、前記ランセットシートが、前記ランセット構造を取り外すために除去可能な内側突き出し部をさらに備える実施形態1の方法。
【0084】
8. 前記ランセット構造を前記除去可能な内側突き出し部から取り外すために、前記ランセットシートの前記除去可能な内側突き出し部を曲げることをさらに含む実施形態7の方法。
【0085】
9. 前記除去可能な外側突き出し部が前記ランセット構造から取り外された後に、前記ランセット構造が前記除去可能な内側突き出し部に接続され続けるように、前記除去可能な内側突き出し部を曲げるステップの前に、前記除去可能な外側突き出し部を曲げるステップが行われる実施形態8の方法。
【0086】
10. 前記除去可能な内側突き出し部から前記ランセット構造を取り外すために前記除去可能な内側突き出し部を曲げるステップの前に、前記ランセット構造を前記ランセットハウジングアセンブリの複数のランセット区画内に配置することをさらに含む実施形態9の方法。
【0087】
11. 患者の皮膚部位から体液を採取するための持ち運び可能な携帯型の医療診断装置において用いられるランセットハウジングアセンブリ用の、複数のランセットを備えるランセットシートであって、該ランセットシートは、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された除去可能な突き出し部と、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された複数のランセット構造と、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された複数のバネ要素とを備え、
前記複数のランセット構造は、皮膚貫入端と、前記皮膚貫入端に隣接する血液輸送部とを備え、前記皮膚貫入端は所定量の血液を供給するために前記皮膚部位で患者の皮膚に貫入するような形状および大きさにされ、
前記複数のバネ要素は、前記複数のランセット構造を前記除去可能な突き出し部に取り外し可能に接続することを特徴とするランセットシート。
【0088】
12. 前記複数のバネ要素が、
前記複数のランセット構造のうちの1つのランセット構造に接続される取付バネアームと、
前記取付バネアームを前記除去可能な突き出し部に接続する突き出し部取付アームと
を備える実施形態11のランセットシート。
【0089】
13. 前記取付バネアームがランセット取付アームによって前記ランセット構造に接続され、前記ランセット取付アームが前記取付バネアームの第1の端部で接続され、前記取付バネアームが、反対側の第2の端部で前記突き出し部取付アームに接続される実施形態12のランセットシート。
【0090】
14. 前記ランセット取付アームが、破断可能なフィンガによって前記ランセット構造に接続される実施形態13のランセット構造。
【0091】
15. 前記破断可能なフィンガが脆弱ラインを備える実施形態14のランセット構造。
【0092】
16. 患者の皮膚部位から体液を採取するための持ち運び可能な携帯型の医療診断装置において用いられる複数のランセット構造を備えるランセットハウジングアセンブリを形成するためのランセットハウジングプリアセンブリであって、該ランセットハウジングプリアセンブリが、
上側のディスク部材と、
前記上側のディスク部材との間で、複数のランセット構造を収容するための複数のランセット区画を形成するために、前記上側のディスク部材と接続する下側のディスク部材と、
ランセットハウジングアセンブリ用の複数のランセットを備えるランセットシートとを備え、
ランセットシートは
前記ランセットシートを形成する材料から形成された除去可能な突き出し部と、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された複数のランセット構造と、
前記ランセットシートを形成する材料から形成された複数のバネ要素とを備え、
前記複数のランセット構造は、皮膚貫入端と、前記皮膚貫入端に隣接する血液輸送部とを備え、前記皮膚貫入端は所定量の血液を供給するために前記皮膚部位で患者の皮膚に貫入するような形状および大きさにされ、
前記複数のバネ要素は、前記複数のランセット構造を前記除去可能な突き出し部に取り外し可能に接続することを特徴とするランセットハウジングプリアセンブリ。
【0093】
17. 複数のバネ要素が
前記複数のランセット構造のうちの1つのランセット構造と接続される取付バネアームと、
前記取付バネアームを前記除去可能な突き出し部に接続する突き出し部取付アームと
を備える実施形態16のランセットハウジングプリアセンブリ。
【0094】
18. 前記取付バネアームがランセット取付アームによって前記ランセット構造に接続され、
前記ランセット取付アームが前記取付バネアームの第1の端部で接続され、前記取付バネアームが反対側の第2の端部で前記突き出し部取付アームに接続される
実施形態17のランセットハウジングプリアセンブリ。
【0095】
19. 前記ランセット取付アームが破断可能なフィンガによって前記ランセット構造に接続される実施形態18のランセットハウジングプリアセンブリ。
【0096】
20. 前記破断可能なフィンガが脆弱ラインを備える実施形態19のランセットハウジングプリアセンブリ。
【0097】
上述の記述および図面は、本発明の特徴および利点を達成する例示的な実施形態を解説することのみが考慮されている。特定のプロセスステップ、システム、設定の変更および代替が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。したがって、本発明は、上述の記述および図面によって限定されることは意図されておらず、添付の請求項の範囲によってのみ限定される。