(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1セラミック粒子と前記第2セラミック粒子の断面積比率は9:1乃至5:5であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の形成方法。
前記セラミック被膜を形成する段階は、前記移送ガスまたは前記基材が0℃乃至1000℃の温度に維持されることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の形成方法。
前記第1セラミック粒子と前記第2セラミック粒子の断面積比率は9:1乃至5:5であることを特徴とする請求項10に記載のプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜。
前記部品は静電チャック(electro static chuck)、ヒーター(heater)、チャンバーライナ(chamber liner)、シャワーヘッド(shower head)、CVD(Chemical Vapor Depositionition)用ボート(boat)、フォーカス環(focus ring)、ウォールライナ(wall liner)、シールド(shield)、コールドパッド(cold pad)、ソースヘッド(source head)、アウタライナ(outer liner)、デポジションシールド(deposition shiled)、アッパーライナー(upper liner)、排出プレート(exhaust plate)、エッジ環(edge ring)およびマスクフレーム(mask frame)のうちいずれか一つであることを特徴とする請求項18に記載のプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。
本発明の実施例は該当技術分野において通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであり、下記実施例は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が下記実施例に限定されるものではない。むしろ、これら実施例は本開示をより充実かつ完全になるようにし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0016】
また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施例を説明するために用いられ、本発明を限定しようとするものではない。本明細書に用いられたように、単数型は文脈上異なる場合を明白に指摘するものでない限り、複数型を含むことができる。また、本明細書で用いられる‘含む(comprise)’および/または‘含んでいる(comprising)’は言及された形状、段階、数字、動作、部材、要素および/またはこれらの組み合わせが存在することを特定するものであり、一つ以上の他の形状、段階、数字、動作、部材、要素および/またはこれらの組み合わせの存在または付加を排除するものではない。なお、本明細書で用いられたように、‘および/または’という用語は該当記載された項目のうちいずれか一つおよび一つ以上のすべての組み合わせを含む。
【0017】
本明細書で第1、第2などの用語が多様な粒子、層、部材、部品、領域および/または部分を説明するために用いられるが、これら粒子、層、部材、部品、領域および/または部分は、前記用語によって限定されてはならないということは明らかであろう。前記用語は一つの粒子、層、部材、部品、領域または部分を他の粒子、層、部材、部品、領域または部分から区別する目的にのみ用いられる。したがって、以下に説明する第1セラミック粒子、層、部品、領域または部分は、本発明の思想を外れなくても第2セラミック粒子、層、部品、領域または部分を指称することができる。
【0018】
また、本明細書において、被膜形成前には粉末という用語が用いられ、被膜形成後には粒子という用語が用いられる。また、最頻数(ModeまたはModal Value)とは、資料の中心傾向を示す統計量のうち一つであって、資料のうちその頻度が最も多い値を意味する。
【0019】
図1は本発明の一実施例に係るプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜形成のための装置を示した概略図であり、
図2は本発明の一実施例に係るプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の形成方法を示したフローチャートである。
【0020】
図1に示されているように、本発明に係るセラミック被膜の形成装置200は移送ガス供給部210と、セラミック粉末(ceramic powder)を保管および供給する粉末供給部220と、粉末供給部220からセラミック粉末を移送ガスを利用して高速で移送する移送管222と、移送管222からのセラミック粉末を基材231にコーティング/積層またはスプレーするノズル232と、ノズル232からのセラミック粉末が基材231の表面に衝突および破砕されるようにすることによって、一定の厚さのセラミック被膜(ceramic coating layer)が形成されるようにする
プロセスチャンバー230とを含む。
【0021】
図1および
図2を参照して、本発明に係るセラミック被膜の形成方法を説明する。
移送ガス供給部210に貯蔵された移送ガスは酸素、ヘリウム、窒素、アルゴン、二酸化炭素、水素およびその等価物からなる群から選択される1種または2種の混合物であることができるが、本発明は移送ガスの種類に限定されるものではない。移送ガスは移送ガス供給部210からパイプ211を通じて粉末供給部220に直接供給され、流量調節器250によってその流量および圧力を調節することができる。
【0022】
粉末供給部220は多量のセラミック粉末を保管および供給し、このようなセラミック粉末は粒径範囲がほぼ0.1μm乃至50μmであることができる。一例として、セラミック粉末は第1粒径範囲および第1の最頻数(mode)を有し正規分布特性を有することができる。
【0023】
セラミック粉末の粒径範囲がほぼ0.1μmより小さい場合、セラミック粉末の保管および供給が難しいだけでなく、セラミック粉末保管および供給中に凝集現象により、粉末の噴射、衝突、破砕および/または粉砕時に0.1μmより小さい粒子が固まっている形態である圧粉体が形成されやすくなるだけでなく大面積のセラミック被膜形成が難しいという短所もある。
【0024】
また、セラミック粉末の粒径範囲がほぼ50μmより大きい場合、セラミック粉末の噴射、衝突、破砕および/または粉砕時に基板を削るサンドブラスチング(sand blasting)現象が発生しやすくなるだけでなく、一部形成されたセラミック被膜内の粒子粒径が相対的に大きく形成されて、セラミック被膜構造が不安定になり、また、セラミック被膜内部または表面の気孔率が大きくなって素材本来の特性が発揮できないこともある。
【0025】
セラミック粉末の粒径範囲がほぼ0.1μm乃至50μmである場合、気孔率(空隙率)は相対的に小さく、表面マイクロクラック現象がなく、セラミック粉末制御が容易な複合被膜粒子粒径を有するセラミック被膜が得られる。また、セラミック粉末の粒径範囲がほぼ0.1μm乃至50μmである場合、セラミック被膜の積層速度は相対的に高く、半透明で、素材特性の実現が容易な複合被膜粒子粒径を有するセラミック被膜が得られる。
【0026】
このようなセラミック粉末は脆性材料であることができる。脆性材料とは、壊れやすく伸びない材料を意味する。
脆性材料のセラミック粉末としてはイットリウム系酸化物、フッ化物、窒化物、Y
2O
3−Al
2O
3系化合物(YAG、YAP、YAM)、B
4C、ZrO
2、アルミナ(Al
2O
3)およびその等価物からなる群から選択される1種または2種の混合物であることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
具体的に、脆性材料のセラミック粉末としてはイットリア(Y
2O
3)、YAG(Y
3Al
5O
12)、希土類系(YおよびScを含んで原子番号57から71までの元素)酸化物、アルミナ(Al
2O
3)、バイオガラス、ケイ素(SiO
2)、水酸化燐灰石(hydroxyapatite)、二酸化チタン(TiO
2)およびその等価物からなる群から選択される1種または2種の混合物であることができるが、本発明はこのような材質に限定されるものではない。
【0028】
より具体的に、脆性材料のセラミック粉末としては水酸化燐灰石、燐酸カルシウム、バイオガラス、Pb(Zr、Ti)O
3(PZT)、アルミナ、二酸化チタン、ジルコニア(ZrO
2)、イットリア(Y
2O
3)、イットリア−ジルコニア(YSZ、Yttria stabilized Zirconia)、酸化ジスプロシウム(Dy
2O
3)、ガドリニア(Gd
2O
3)、セリア(CeO
2)、ガドリニア−セリア(GDC、Gadolinia doped Ceria)、マグネシア(MgO)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、マンガン酸ニッケル(NiMn
2O
4)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNaNbO
3)、チタン酸ビスマスカリウム(BiKTiO
3)、チタン酸ビスマスナトリウム(BiNaTiO
3)、CoFe
2O
4、NiFe
2O
4、BaFe
2O
4、NiZnFe
2O
4、ZnFe
2O
4、MnxCo
3−xO
4(ここで、xは3以下の正の実数)、ビスマスフェライト(BiFeO
3)、ニオブ酸ビスマス亜鉛(Bi
1.5Zn
1Nb
1.507)、燐酸リチウムアルミニウムチタンガラスセラミックス、Li−La−Zr−O系ガーネット型酸化物、Li−La−Ti−O系ペロブスカイト型酸化物、La−Ni−O系酸化物、燐酸リチウム鉄、リチウム−コバルト酸化物、Li−Mn−O系スピネル酸化物(リチウムマンガン酸化物)、燐酸リチウムアルミニウムガリウム酸化物、酸化タングステン、酸化錫、ニッケル酸ランタン、ランタン−ストロンチウム−マンガン酸化物、ランタン−ストロンチウム−鉄−コバルト酸化物、シリケート系蛍光体、SiAlON系蛍光体、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、AlON、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化マグネシウム、ホウ化チタン、金属酸化物と金属窒化物との混合体、金属酸化物と金属炭化物との混合体、セラミックスと高分子との混合体、セラミックスと金属との混合体およびその等価物からなる群から選択される1種または2種の混合物であることができるが、本発明はこのような材質に限定されるものではない。
【0029】
図3は本発明の一実施例に係るセラミック粉末の粒径分布を示したグラフであり、これを利用してセラミック粉末の特性をさらに詳しく説明する。
図3において、X軸はセラミック粉末粒径(μm)を意味し、またログスケール(log scale)で示されており、Y軸は粉末粒径(μm)の個数(ea)または粉末粒径(μm)の比率(%)を意味する。
【0030】
セラミック粉末(ceramic powder)の粒径(粒度)分析はレーザ回折技術を利用して行われるが、このようにセラミック粉末の大きさを測定する装備の一例として、ベックマン・コールター(Beckman Coulter)社のLS 13 320のような分析装備がある。
【0031】
具体的に、セラミック粉末の粒径(粒度)分析方法を説明すれば、水のような溶媒にセラミック粉末を入れてほぼ10%の濃度を有する懸濁液で希釈してスラリー(Slurry)を作る。次に、このようなスラリーを超音波や回転子を利用してセラミック粉末が均一に分散するようにする。その後、このように分散したスラリー状態のセラミック粉末を循環させレーザビームを前記分散したスラリー状態のセラミック粉末に入射させ、この時、セラミック粉末を通過して散乱されるレーザビームの強さを測定してセラミック粉末の粒径を測定する。このような分析装備によるセラミック粉末の分析範囲はモデルごとに若干相異しているが、ほぼ0.017μm乃至2、000μmである。
【0032】
図3に示されているように、セラミック粉末は第1粒径範囲および第1の最頻数を有することができる。より具体的に、セラミック粉末の第1粒径範囲はほぼ0.1μm乃至25μmであり、セラミック粉末の第1の最頻数はほぼ1μm乃至10μmの間にある。
【0033】
さらに、セラミック粉末は第2粒径範囲および第2の最頻数をさらに含むことができる。この場合、セラミック粉末の第2粒径範囲はほぼ15μm乃至50μm、望ましくはほぼ25μm乃至50μmであり、セラミック粉末の第2の最頻数は20μm乃至40μm、望ましくはほぼ30μm乃至35μmである。
【0034】
ここで、一例としてセラミック粉末の第1の最頻数が占める最大個数はほぼ5つ(または5%)より小さく、セラミック粉末の第2の最頻数が占める最大個数はほぼ0.5個(または0.5%)より小さいことがある。
【0035】
実質的に、セラミック粉末の第1、第2粒径範囲、第1、第2の最頻数、およびその個数(比率)が前述した範囲を外れる場合、以下に説明する気孔率0.01%乃至1.0%を有するセラミック被膜を得にくいという問題がある。さらに、セラミック粉末が前述した範囲を外れる場合、以下に説明する特定の硬度、接合強度および耐電圧を有するセラミック被膜を得にくいという問題がある。
【0036】
一例として、ほぼ0.1μmより小さい粒径範囲のセラミック粉末だけを利用してセラミック被膜を形成する場合、粉末自らの粒径範囲が小さいことによって、全般的にセラミック被膜の透光性が優れており気孔率は小さいが、セラミック被膜の形成速度が相対的に遅くセラミック粉末が凝集してセラミック粉末の制御が難しいという問題がある。
【0037】
他の例として、ほぼ50μmより大きい粒径範囲のセラミック粉末を利用してセラミック被膜を形成する場合、粉末自らの粒径範囲が大きいことによって、全般的にセラミック被膜の積層速度は速いが、セラミック被膜の気孔率が高く、したがって表面マイクロクラック現象でセラミック被膜構造が不安定になるという問題がある。
【0038】
実質的に、ほぼ50μmより大きい粒径範囲のセラミック粉末を利用して半導体工程に適用される耐プラズマ性イットリウムオキシドのセラミック被膜を形成する場合、イットリウムオキシドの優れた耐プラズマ性にもかかわらず、セラミック被膜の形成工程中に発生した不安定な微細構造によって微細構造内部の粗大な粒子間の気孔が大きく、このような気孔で表面積が増加し、したがって、気孔の間に腐食性ガスが流入してプラズマ腐食速度が加速化され、これによって腐食されたイットリウムオキシド粒子がセラミック被膜から分離されて汚染粒子として作用するという問題がある。
【0039】
一方、セラミック粉末は高速移送に有利なほぼ球形であることができるが、本発明はこのような形状に限定されるものではなく、セラミック粉末は層状構造、針状構造または多角構造も可能である。
【0040】
さらに、前記においては1つの粒径範囲および1つの最頻数、または2つの粒径範囲および2つの最頻数を有するセラミック粉末を例として挙げたが、必要に応じて、3つ以上の粒径範囲および3つ以上の最頻数を有するセラミック粉末を本発明に用いることもできる。
【0041】
もちろん、このような第2、第3粒径範囲および第2、第3の最頻数に本発明に用いられたセラミック粉末を限定するものではなく、本発明に係るセラミック被膜は前述のように一つの最頻数を有し、粒径範囲がほぼ0.1μm乃至50μmであるセラミック粉末によって形成することもできる。この時、最頻数はほぼ1μm乃至10μmの間にあり、さらに望ましくはほぼ4μm乃至10μmの間にある。
【0042】
ここで、本発明に係るセラミック粉末は本出願人による大韓民国登録特許10−1075993号(2011年10月17日)に開示された方法で形成することができるが、本発明はこのような方法に限定されるものではない。
【0043】
また、
図1および
図2を参照して本発明に係るセラミック被膜の形成方法について引き続き説明する。
プロセスチャンバー230はセラミック被膜の形成中に真空状態を維持し、このために真空ユニット240が連結される。より具体的に、
プロセスチャンバー230の圧力はほぼ1パスカル乃至800パスカルであり、高速移送管222によって移送されるセラミック粉末の圧力はほぼ500パスカル乃至2000パスカルであることができる。ただし、いかなる場合でも、
プロセスチャンバー230の圧力に比べて高速移送管222の圧力が高くなければならない。
【0044】
さらに、
プロセスチャンバー230の内部温度範囲はほぼ0℃乃至30℃であり、したがって別途に
プロセスチャンバー230の内部温度を増加させたり減少させたりするための部材がいなくても良い。つまり、移送ガスまたは/および基材を別途に加熱せずに、0℃乃至30℃の温度に維持できる。
【0045】
しかし、場合によりセラミック被膜の蒸着効率および緻密度向上のために、移送ガスまたは/および基材はほぼ300℃乃至1000℃の温度で加熱できる。つまり、別途の示されていないヒーターによって移送ガス供給部210内の移送ガスを加熱したり、または別途の示されていないヒーターによって
プロセスチャンバー230内の基材231が加熱したりすることができる。このような移送ガスまたは/および基材の加熱によってセラミック被膜の形成の際、セラミック粉末に加わるストレスが減少することによって、気孔率が小さく緻密なセラミック被膜が得られる。ここで、移送ガスまたは/および基材がほぼ1000℃の温度より高い場合、セラミック粉末が溶融しながら急激な相転移が起こり、よって、セラミック被膜の気孔率が高くなりセラミック被膜の内部構造が不安定になることができる。また、移送ガスまたは/および基材がほぼ300℃の温度より小さい場合、セラミック粉末に加わるストレスが減少しないことがある。
【0046】
しかし、本発明はこのような温度範囲に限定されるものではなく、被膜が形成される基材の特性により移送ガス、基材および/または
プロセスチャンバーの内部温度範囲を0℃乃至1000℃に調整することができる。
【0047】
一方、前述のように、
プロセスチャンバー230と高速移送管222(または移送ガス供給部210または粉末供給部220)間の圧力差はほぼ1.5倍乃至2000倍であることができる。圧力差がほぼ1.5倍より小さい場合、セラミック粉末の高速移送が難しくなり、圧力差がほぼ2000倍より大きい場合、セラミック粉末によってむしろ基材の表面が過度にエッチングされることができる。
【0048】
このような
プロセスチャンバー230と移送管222の圧力差により、粉末供給部220からのセラミック粉末は移送管222を通じて噴射すると同時に、高速で
プロセスチャンバー230に伝達される。
【0049】
また、
プロセスチャンバー230内には移送管222に連結されたノズル232が備えられ、ほぼ100乃至500m/sの速度でセラミック粉末を基材231に衝突させる。つまり、ノズル232を通したセラミック粉末は移送中に得られた運動エネルギーと高速衝突時に発生する衝突エネルギーによって破砕および/または粉砕されながら基材231の表面に一定の厚さのセラミック被膜を形成することになる。
【0050】
ここで、セラミック粉末は以下でさらに詳細に説明するが、第1粒径範囲および第1の最頻数を有する第1セラミック粒子(grain)と、第2粒径範囲および第2の最頻数を有する第2セラミック粒子(grain)に分解され、このような第1、第2セラミック粒子が不規則的に相互混合されたまま基材の表面に形成されることによって、気孔率が相対的に小さい緻密な内部構造を有するセラミック被膜を形成することになる。
【0051】
言い換えれば、粉末の第1粒径範囲および粉末の第1の最頻数を有し正規分布特性を有するセラミック粉末をほぼ100乃至500m/sの速度で基材に衝突させて破砕および粉砕させれば、被膜の第1粒径範囲および被膜の第1の最頻数を有する被膜の第1セラミック粒子と、被膜の第2粒径範囲および被膜の第2の最頻数を有する被膜の第2セラミック粒子とからなる、つまり、粒子個数において少なくとも2つのピークを有する、複合粒子粒径を有するセラミック被膜が得られる。この時、第1セラミック粒子の第1粒径範囲は第2セラミック粒子の第2粒径範囲より小さく、第1セラミック粒子の第1の最頻数は第2セラミック粒子の第2の最頻数より小さいことによって、あたかも粒径が大きい砂利の間に粒径が小さい砂が位置しているようなセラミック被膜構造を提供することによって、気孔率が非常に小さく、かつ積層/コーティング速度は速いセラミック被膜を提供することになる。以下、このようなセラミック被膜の構造について説明する。
【0052】
図4は本発明の一実施例に係るプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の断面を示した概略図であり、
図5は本発明の一実施例に係るセラミック被膜をなす第1セラミック粒子および第2セラミック粒子の粒径分布を示したグラフである。
図5において、X軸は粒子粒径(nm)を意味し、Y軸は粒子粒径(nm)の個数(ea)または比率(%)を意味する。
図5において、X軸はほぼ10,000nmまであるが、説明の便宜上、省略する。
【0053】
ここで、セラミック被膜をなす第1、第2セラミック粒子の粒径(粒度)分析は走査電子顕微鏡[Scanning Electron Microscope、例えば、SNE−4500M分析装備]で行った。さらに具体的に、セラミック粒子の粒径分析方法を説明すれば、まず被膜(コーティング層または成膜)を有する分析試片を切断して断面を得て、このような断面を研磨した。次に、セラミック被膜を走査電子顕微鏡で撮影し、撮影された映像を映像処理ソフトウェアで処理することによって、第1、第2セラミック粒子の粒径を分析した。また、本発明でほぼ110μm
2のセラミック被膜断面積を撮影して、第1、第2セラミック粒子の粒径を分析した。さらに、本発明で第1、第2セラミック粒子の粒径はほぼ50nm乃至2200nmの範囲を有する第1、第2セラミック粒子の最長軸の長さを測定して個数を算出したが、実質的に10μm以内の第2セラミック粒子が観察されたりする。
【0054】
図4および
図5に示されているように、本発明に係るプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜120は基材110の表面に第1粒径を有する多数の第1セラミック粒子121と、第1粒径と異なる第2粒径を有し第1セラミック粒子121の間に介在した複数の第2セラミック粒子122とを含む。つまり、本発明に係るセラミック被膜120は相対的に粒径が大きい第2セラミック粒子122が有する隙間、空間またはギャップ(gap)に相対的に粒径が小さい第1セラミック粒子121がびっしりと満たされた形状である。
【0055】
より具体的に、第1セラミック粒子121は第1粒径範囲および第1の最頻数を有し、第2セラミック粒子122は第1粒径範囲より大きい第2粒径範囲および第1の最頻数より大きい第2の最頻数を有する。さらに、このような第1セラミック粒子121と第2セラミック粒子122が混合されたまま基材に積層/コーティングされて気孔率が小さく緻密なセラミック被膜120を形成する。
【0056】
さらに具体的に、第1セラミック粒子121の第1粒径範囲はほぼ1nm乃至900nmであり、第1セラミック粒子121の第1の最頻数はほぼ250nm乃至800nmの間、さらに望ましくはほぼ250nm乃至350nmである。しかし、本発明はこのような範囲に限定されるものではなく、一例として第1セラミック粒子121の第1の最頻数は前述した数値より若干小さいかまたは若干大きいことがある。
【0057】
ここで、第1セラミック粒子121の第1の最頻数(250nm乃至800nmの間)を中心に第1セラミック粒子121はほぼ200nm乃至900nmで正規分布と類似の特徴を有するが、実質的に200nmより小さい第1セラミック粒子121が多い。つまり、第1セラミック粒子121は粒径範囲が小さいほどその個数が順次に多くなる。しかし、計測および分析装備の限界によって200nmより小さい領域の第1セラミック粒子121が有する個数または最頻数は本発明においては無視することにする。
【0058】
ただし、第1セラミック粒子121の第1粒径がほぼ1nm乃至200nmより小さいということは、第1セラミック粒子121のためのセラミック粉末の粒径も小さいことであるので、この場合、セラミック粉末の制御が難しいことを意味し、第1セラミック粒子121の第1粒径がほぼ900nmより大きいということはセラミック被膜110の透光性が低下し始めることを意味する。
【0059】
また、第2セラミック粒子122の第2粒径範囲はほぼ900nm乃至10μm、望ましくはほぼ900nm乃至3μmであり、第2セラミック粒子の第2の最頻数はほぼ1.0μm乃至5.0μmの間、望ましくはほぼ1.0μm乃至1.2μmの間にあることができる。しかし、本発明はこのような範囲に限定されるものではなく、一例として第2セラミック粒子の第2の最頻数は前述した数値より若干小さいかまたは若干大きいことがある。
【0060】
ただし、第2セラミック粒子122の第2粒径がほぼ900nmより小さいということはセラミック被膜の積層速度が遅くなることを意味し、第2粒径122がほぼ10μmより大きいということはセラミック被膜の透光性が低下し、また、気孔率が増加し内部構造が不安定になることを意味する。
【0061】
前記セラミック第2粒子122の第2粒径範囲を3μmに限定した理由は分析装備の限界のためであり、本発明はこれに限定されるものではない。
さらに、第1セラミック粒子は第1セラミックグレーンと、第2セラミック粒子は第2セラミックグレーンと指称し、セラミック粉末はセラミックパウダーと指称することもできるが、本発明はこのような用語に限定されるものではない。
【0062】
一方、第1の最頻数の最大個数は第2の最頻数の最大個数に比べてほぼ2倍乃至10倍、望ましくは2倍乃至5倍さらに多いことがある。
さらに具体的に、
図5に示されているように、第1セラミック粒子の第1の最頻数の最大個数はほぼ300nmでほぼ40個であり、第2セラミック粒子の第2の最頻数の最大個数はほぼ1100nmでほぼ10個であって、第1の最頻数の最大個数は第2の最頻数の最大個数に比べてほぼ4倍多かった。しかし、本発明はこのような数値に限定されるものではない。また、第1セラミック粒子と第2セラミック粒子を区分する大きさはほぼ900nmであり、このとき、個数はほぼ2つ乃至3つであった。言い換えれば、第1セラミック粒子と第2セラミック粒子を区分する粒径(大きさ)での個数は第2の最頻数の最大個数対比ほぼ20〜30%程度である。
【0063】
さらに、このような比率(第1の最頻数の最大個数が第2の最頻数の最大個数に比べてほぼ2倍乃至10倍、望ましくは2倍乃至5倍)を外れる場合、例えば第1の最頻数の最大個数が前述した比率より多くなる場合、セラミック被膜の透光性が向上して素材特性の実現に有利であるが、セラミック被膜の積層速度は相対的に遅くなる。他の例として、第1の最頻数の最大個数が前述した比率より小さくなる場合、セラミック被膜の積層速度は速くなるが、気孔率が増加し、これによって表面マイクロクラックが大きくなってセラミック被膜が不安定になる問題がある。
【0064】
前述した形成方法およびこれによって形成されたセラミック被膜120の気孔率はほぼ0.01%乃至1.0%、望ましくはほぼ0.01%乃至0.2%であることができる。つまり、気孔率は前述のような第1セラミック粒子121の第1粒径範囲および第1の最頻数、第2セラミック粒子122の第2粒径範囲および第2の最頻数、そして第1、第2セラミック粒子121、122が有する第1、第2の最頻数の最大個数(比率)等によって決定されるが、前述した数値範囲を外れる場合、セラミック被膜の積層速度が遅すぎるかまたは気孔率が大きすぎることになる。つまり、前述した形成方法およびこれによって形成されたセラミック被膜120がほぼ0.01%乃至1.0%の気孔率を有する場合、表面マイクロクラックが小さく、よってセラミック被膜の微細構造が安定化される。
【0065】
ここで、被膜120の気孔率は前述した映像処理ソフトウェアによって測定され、これは当業者に周知の内容であるので、これに対する詳細説明は省略する。
また、セラミック被膜120の厚さはほぼ1μm乃至100μmであることができる。セラミック被膜120の厚さがほぼ1μmより小さければ基材110が産業的に活用されにくく、セラミック被膜120の厚さがほぼ100μmより大きければ光透過率が顕著に低くなることができる。
【0066】
また、セラミック被膜120の光透過率はほぼ1%乃至99%に調整することができ、このようなセラミック被膜120の光透過率はセラミック被膜120の全体厚さと、前述のような第1、第2セラミック粒子121、122の第1、第2粒径範囲、第1、第2の最頻数に制御することができる。一例として、セラミック被膜120の厚さが同じで、第2の最頻数の最大個数が固定されていると仮定する場合、光透過率は第1、第2セラミック粒子121、122のうち、第1セラミック粒子の第1の最頻数の最大個数が大きくなるほど大きくなり、第1セラミック粒子の第1の最頻数の最大個数が小さくなるほど小さくなる。また、気孔率はセラミック被膜120の厚さと関係なしに、第2の最頻数の最大個数が固定されていると仮定する場合、第1、第2セラミック粒子121、122のうち、第1セラミック粒子の第1の最頻数の最大個数が大きくなるほど小さくなり、第1セラミック粒子の第1の最頻数の最大個数が小さくなるほど大きくなる。
【0067】
一方、第1セラミック粒子121と前記第2セラミック粒子122の断面積比率はほぼ9:1乃至5:5、望ましくは7.7:2.3であることができる。ここで、前述のように、分析断面積は110μm
2であることができる。第1セラミック粒子121と前記第2セラミック粒子122の断面積比率が前述した範囲以内の場合、気孔率(空隙率)が相対的に小さく、表面マイクロクラック現象がないし、被膜が半透明で素材特性の実現が容易である。一例として、前述した範囲外で第1セラミック粒子121の比率が相対的に大きい場合、セラミック被膜の形成/積層時間が長くかかる問題があり、前述した範囲外で第1セラミック粒子121の比率が相対的に小さい場合、気孔率が大きくなる問題がある。逆に、前述した範囲外で第2セラミック粒子122の比率が相対的に大きい場合、セラミック被膜の形成/積層時間は速くなるが、気孔率が高くなる問題があり、前述した範囲外で第2セラミック粒子122の比率が相対的に小さい場合、セラミック被膜の形成/積層時間が長くかかる。
【0068】
一方、第1セラミック粒子121および第2セラミック粒子122は前述と同様に脆性材料であることができる。脆性材料の第1、第2セラミック粒子はイットリウム系酸化物、フッ化物、窒化物、Y
2O
3−Al
2O
3系化合物(YAG、YAP、YAM)、B
4C、ZrO
2、アルミナ(Al
2O
3)およびその等価物からなる群から選択される1種または2種の混合物であることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
具体的に、脆性材料の第1、第2セラミック粒子はイットリア(Y
2O
3)、YAG(Y
3Al
5O
12)、希土類系(YおよびScを含んで原子番号57から71までの元素)酸化物、アルミナ(Al
2O
3)、バイオガラス、ケイ素(SiO
2)、水酸化燐灰石(hydroxyapatite)、二酸化チタン(TiO
2)およびその等価物からなる群から選択される1種または2種の混合物であることができるが、本発明はこのような材質に限定されるものではない。
【0070】
より具体的に、脆性材料のセラミック粉末は水酸化燐灰石、燐酸カルシウム、バイオガラス、Pb(Zr、Ti)O
3(PZT)、アルミナ、二酸化チタン、ジルコニア(ZrO
2)、イットリア(Y
2O
3)、イットリア−ジルコニア(YSZ、Yttria stabilized Zirconia)、酸化ジスプロシウム(Dy
2O
3)、ガドリニア(Gd
2O
3)、セリア(CeO
2)、ガドリニア−セリア(GDC、Gadolinia doped Ceria)、マグネシア(MgO)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、マンガン酸ニッケル(NiMn
2O
4)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNaNbO
3)、チタン酸ビスマスカリウム(BiKTiO
3)、チタン酸ビスマスナトリウム(BiNaTiO
3)、CoFe
2O
4、NiFe
2O
4、BaFe
2O
4、NiZnFe
2O
4、ZnFe
2O
4、MnxCo
3−xO
4(ここで、xは3以下の正の実数)、ビスマスフェライト(BiFeO
3)、ニオブ酸ビスマス亜鉛(Bi
1.5Zn
1Nb
1.507)、燐酸リチウムアルミニウムチタンガラスセラミックス、Li−La−Zr−O系ガーネット型酸化物、Li−La−Ti−O系ペロブスカイト型酸化物、La−Ni−O系酸化物、燐酸リチウム鉄、リチウム−コバルト酸化物、Li−Mn−O系スピネル酸化物(リチウムマンガン酸化物)、燐酸リチウムアルミニウムガリウム酸化物、酸化タングステン、酸化錫、ニッケル酸ランタン、ランタン−ストロンチウム−マンガン酸化物、ランタン−ストロンチウム−鉄−コバルト酸化物、シリケート系蛍光体、SiAlON系蛍光体、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、AlON、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステン、ホウ化マグネシウム、ホウ化チタン、金属酸化物と金属窒化物との混合体、金属酸化物と金属炭化物との混合体、セラミックスと高分子との混合体、セラミックスと金属との混合体およびその等価物からなる群から選択される1種または2種の混合物であることができるが、本発明はこのような材質に限定されるものではない。
【0071】
ここで、基材110はガラス、金属、プラスチック、高分子樹脂、セラミックおよびその等価物の中から選択されたいずれか一つであることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
図6a乃至
図6cは本発明の一実施例に係るY
2O
3からなるプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の電子顕微鏡写真を示した図である。
図7a乃至
図7cは本発明の一実施例に係るAl
2O
3からなるプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の電子顕微鏡写真を示した図である。
図8a乃至
図8cは本発明の一実施例に係る水酸化燐灰石[Ca
10(PO
4)
6(OH)
2]からなるプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の電子顕微鏡写真を示した図である。
【0073】
写真において、“ナノグレイン(nano grain)”と表示された部分は前述した第1セラミック粒子を意味し、“マイクログレイン(micro grain)”と表示された部分は前述した第2セラミック粒子を意味する。
【0074】
多数の写真に見られるように、本発明に係る被膜をなす第1セラミック粒子および第2セラミック粒子はガラス基板上に円形または球形でないほぼ水平方向または左、右方向に長さが長い層状構造または横方向に伸びた針状構造である。このような水平方向または横方向に伸びた層状構造または針状構造によって、本発明に係るセラミック被膜の気孔率は従来に比べて顕著に減少し、また表面マイクロクラック現象が減少し、これによって安定した微細構造が提供される。したがって、一例として、本発明が適用された製品の半導体工程で耐プラズマ特性が向上して、腐食速度が低下し、これによって半導体
プロセスチャンバー内で粒子飛散率が低下する。
【0075】
さらに、分析装備の限界によって第2セラミック粒子の第2粒径をほぼ3μmに説明した部分があるが、実質的に第2セラミック粒子の第2粒径は10μm以内に存在することができることを当業者は理解すべきである。
【0076】
図9aは従来技術に係るセラミック被膜の表面電子顕微鏡写真を示した図であり、
図9bは本発明に係るセラミック被膜の電子顕微鏡写真を示した図である。
もう少し具体的に、
図9aはAPS(Atmosphere Plasma Spray)方式によって基材表面に形成されたセラミック被膜の表面電子顕微鏡写真である。ここで、APS方式は大気中で高電圧を印加して発生する直流放電の高いエネルギーに不活性ガス環境を作ってプラズマを生成するが、このようなプラズマの温度はほぼ10,000℃乃至20,000℃の超高温の熱エネルギーを有することになる。また、このような超高温のプラズマにほぼ30μm乃至50μmの粒径範囲を有するセラミック粉末を露出させて基材に溶融および噴射してほぼ5μm乃至10μmの粒径範囲を有する被膜を形成する。しかし、このようなAPS方式で製造された被膜は超高温領域に露出したセラミック粉末が非常に急速に相転移され、溶融時間が不均一であるため、
図9aでのように高い気孔率(例えば、2乃至5%)を有することになり、したがって被膜の高い熱衝撃により多数のマイクロクラックが発生する。このようにAPS方式による被膜は高い比表面積を有し多数のマイクロクラックを有することによって、半導体/ディスプレイ製造工程の適用の際、被膜の粒子がエッチングされて工程部品を汚染させ、最終的に半導体/ディスプレイ製造生産物に損傷を与えることになる。
【0077】
一方、
図9bに示されているように、本発明に係るセラミック被膜は緻密で、かつ比表面積は小さいことが見られる。前述のように、本発明に係る被膜は気孔率がほぼ0.01%乃至1.0%であって、従来の気孔率より非常に小さい。言い換えれば、本発明に係るセラミック被膜は緻密度がほぼ99%乃至99.99%であり従来の緻密度より非常に高い。したがって、本発明に係るセラミック被膜はプラズマ抵抗性が非常に高いことが分かる。
【0078】
以下の表1は従来のAPS方式で形成されたセラミック被膜と、本発明に係る方式で形成されたセラミック被膜の様々な物性を比較した表である。
【0079】
【表1】
表1に記載されたとおりに、従来技術ではセラミック被膜の硬度が1〜2GPaであったが、本発明では9〜13Gpaである。また、従来技術ではセラミック被膜の接合強度が5〜6MPaであったが、本発明では70〜90MPaである。また、従来技術ではセラミック被膜の気孔率が2〜4%であったが、本発明では0.01〜1.0%である。最後に、従来技術ではセラミック被膜の耐電圧が10〜20V/μmであったが、本発明では80〜120V/μmである。
【0080】
このように本発明は従来技術に比べて、セラミック被膜の硬度、接合強度、気孔率および耐電圧いずれも優れており、したがって、プラズマ環境でセラミック被膜の抵抗性が向上する。
【0081】
ここで、硬度はダイヤモンド四角錐でセラミック被膜を押込んでできた圧痕を測定し、接合強度は基材に形成されたセラミック被膜をロードセルで引っ張って測定し、耐電圧はセラミック被膜上に二つの電極を設置して測定する。また、気孔率はセラミック被膜を切断して電子顕微鏡で撮影してイメージを得て、このようなイメージを映像処理ソフトウェアが設けられたコンピュータで分析して測定する。このような様々な測定方法は当業者にすでに周知の内容であるため、これに対する詳細な説明は省略する。
一方、本発明に係るセラミック被膜が形成される基材は当然プラズマ環境に露出する部品であることができる。つまり、部品は半導体またはディスプレイ製造用の
プロセスチャンバーの内部部品であることができる。さらに具体的に、部品は静電チャック(electro static chuck)、ヒーター(heater)、チャンバーライナ(chamber liner)、シャワーヘッド(shower head)、CVD(Chemical Vapor Depositionition)用ボート(boat)、フォーカス環(focus ring)、ウォールライナ(wall liner)、シールド(shield)、コールドパッド(cold pad)、ソースヘッド(source head)、アウタライナ(outer liner)、デポジションシールド(deposition shiled)、アッパーライナー(upper liner)、排出プレート(exhaust plate)、エッジ環(edge ring)、マスクフレーム(mask frame)およびその等価物のうちいずれか一つであることができる。しかし、本発明はこのような被膜が形成される基材または部品に限定されるものではない。
【0082】
このようにして、本発明では第1粒径範囲および第1の最頻数を有する第1セラミック粒子と、第1粒径より相対的に大きい第2粒径範囲および第1の最頻数より大きい第2の最頻数を有する第2セラミック粒子が混合および共存してセラミック被膜を形成することによって、セラミック被膜の形成の際、積層速度が比較的に速いだけでなく光透過率(または半透明)の高い基材(または素材)を実現することができる。
【0083】
さらに、第1粒径範囲および第1の最頻数を有する第1セラミック粒子と、第2粒径範囲および第2の最頻数を有する第2セラミック粒子が適切に混合されてセラミック被膜を形成することによって、気孔率が1.0%より小さい安定したセラミック被膜構造(緻密性の高いセラミック被膜構造)を提供し、また表面マイクロクラック現象も発生しなくなる。
【0084】
また、本発明ではセラミック粉末の粒径範囲および圧力差を調節することによって、基材の表面に形成されたセラミック被膜の応力を所望の値に容易に調節することができる。
さらに、本発明ではセラミック被膜の硬度、接合強度、気孔率および耐電圧特性が従来技術に比べていずれも向上することによって、プラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜を提供することができる。
【0085】
以上の説明は、本発明に係るプラズマ抵抗性が向上したセラミック被膜の形成方法およびこれによるセラミック被膜を実施するための一つの実施例に過ぎないものであって、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲において請求するように、本発明の要旨を逸脱することなく当該発明の属する分野で通常の知識を有する者であれば、誰でも多様な変更実施が可能な範囲にまで本発明の技術的精神がいるとみなされる。