特許第6058876号(P6058876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6058876
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】SiO2膜を堆積する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/316 20060101AFI20161226BHJP
   C23C 16/42 20060101ALI20161226BHJP
   C23C 16/509 20060101ALI20161226BHJP
   C23C 16/56 20060101ALI20161226BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   H01L21/316 X
   C23C16/42
   C23C16/509
   C23C16/56
   H01L21/205
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2010-286580(P2010-286580)
(22)【出願日】2010年12月22日
(65)【公開番号】特開2011-135084(P2011-135084A)
(43)【公開日】2011年7月7日
【審査請求日】2013年2月22日
【審判番号】不服2015-12684(P2015-12684/J1)
【審判請求日】2015年7月3日
(31)【優先権主張番号】0922647.3
(32)【優先日】2009年12月24日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510329224
【氏名又は名称】エスピーピー プロセス テクノロジー システムズ ユーケー リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン ジルズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー プライス
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ロバート バージス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル トーマス アーチャード
【合議体】
【審判長】 河口 雅英
【審判官】 深沢 正志
【審判官】 加藤 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−142066(JP,A)
【文献】 特開2000−277507(JP,A)
【文献】 特開2000−003911(JP,A)
【文献】 特開2009−164411(JP,A)
【文献】 特開平11−233502(JP,A)
【文献】 特開2005−150299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/312-21/32
H01L21/47-21/475
H01L21/205
C23C16/00-16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内でプラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて250℃よりも下の温度で無機SiO2膜をシリコン貫通電極に堆積する方法であって、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及びO2を前駆体として15:1と25:1との間の流量がsccmであるO2/TEOSの流量比で供給し、前記前駆体を、RF駆動シャワーヘッドを用いて堆積し、前記RF駆動シャワーヘッドを、13.56MHzの高周波成分及び350kHz−2MHzの低周波成分を用いて駆動することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記高周波成分で供給される電力は、前記低周波成分で供給される電力の2倍である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
堆積された膜にH2プラズマ処理を施すことを更に含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記H2プラズマ処理を真空破壊後に施す請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記H2プラズマ処理は、前記膜の表面にSi−H結合を形成し又は再形成する請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記膜を、150℃−200℃の範囲の温度で堆積する請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記H2プラズマ処理に対して単一の無線周波数を用いる請求項3から5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記単一の無線周波数は13.56MHzである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
2プラズマ処理温度は、200℃以下である請求項3から5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SiO2膜を堆積する方法に関し、特に、そのような膜を、プラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて250℃より下の温度で堆積することに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばシリコン中のエッチングされたビア又はトレンチとすることができるシリコン貫通電極(TVS)は、金属層を堆積する前に誘電性ライナ(dielectric liner)を必要とする。そのような膜が良好なコンフォーマル(conformal)膜であることは、通常の使用におけるリーク電流を回避するために誘電特性を十分良好にする必要がある厚さが最小となるために非常に望ましい。非常に一般的には次のステップで真空破壊を伴う堆積ステップに伴う吸湿を制限する必要もある。コンフォーマルかつ吸水のない状態で膜を低温、好適には200℃より下の温度で堆積できることも望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
TEOS/O2前駆体を用いたPECVDが考えられてきた。その理由は、TEOS/O2前駆体が一般的に良好なステップカバレージを有するとともに前駆体のコストが比較的低いからである。しかしながら、堆積温度を200℃−250℃より下に低減したとき、誘電特性(リーク及び最終的な破壊)が劣化し始める。Kim等によるTEOS2前駆体及びTEOS/O2/CF4前駆体からのRF PECVD技術を用いたSiO2膜及びSiOF膜の特性評価及び生成(Characterisation and Preparation SiO2 and SiOF films using RF PECVD technique from TEOS2 and TEOS/O2/CF4 Precursors)の表題の文献-J. Phys. D: Appl.Phs. 37(2004)2425-2431-において、執筆者は、異なる流量比の前駆体を用いてTEOS/O2から形成した膜を記載している。上記文献の図1aにおいて、200℃での堆積速度及び低いO2/TEOSの流量での堆積速度が著しく減少し、執筆者が膜に対するエトキシ基の取り込みを報告していることに留意すべきである。執筆者は、膜の電気絶縁破壊特性についての情報を提供していない。低い堆積温度が用いられたときの堆積後に膜が空気に露出する際に膜に対するO−H吸収が増大することが執筆者によって報告されていることにも留意されたい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様から、発明は、チャンバ内でプラズマ化学気相成長法(PECVD)を用いて250℃よりも下の温度で無機SiO2膜を堆積する方法であって、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及びO2又はそのソースを前駆体として15:1と25:1との間のO2/TEOS比で供給することを含むことを特徴とする方法にある。
【0005】
好適には、前駆体を、RF駆動シャワーヘッドを用いて堆積し、RF駆動シャワーヘッドを、高周波成分及び低周波成分を用いて駆動する。その場合、好適には、高周波成分は、13.56MHzであり、低周波成分は、350kHz−2MHzである。高周波成分で供給される電力は、低周波成分で供給される電力の約2倍であってもよい。
【0006】
上記ケースのいずれかにおいて、方法は、堆積された膜にH2プラズマ処理を施すことを更に含むことができる。この処理を真空破壊後に施すことができる。H2プラズマ処理が膜の表面にSi−H結合を再形成するのに十分であることが好適である。
【0007】
他の態様から、発明は、TEOS前駆体及び前駆体を含むO2を用いたSiO2膜のPECVDの方法であって、堆積された膜にH2プラズマ処理を施すことを含むことを特徴とする方法にある。
【0008】
上述したように、前駆体を、RF駆動シャワーヘッドを用いて堆積することができ、RF駆動シャワーヘッドを、高周波成分及び低周波成分を用いて駆動することができる。
【0009】
更に別の態様から、発明は、RF駆動シャワーヘッドを用いて堆積されるTEOS前駆体及び前駆体を含むO2を用いた250℃より下の温度でのSiO2膜のPECVDの方法であって、RF駆動シャワーヘッドを、高周波成分及び低周波成分を用いて駆動することを特徴とする方法にある。これらの成分を、上述したようにすることができる。
【0010】
上記方法のいずれかにおいて、膜を、約150℃−約200℃の範囲の温度で堆積することができる。
【0011】
発明を上記で規定したが、発明は上述した又は以下で説明する発明の特徴の任意の組合せを有する。
【0012】
発明を種々の方法で実施することができ、特定の実施の形態を、添付図面を参照しながら例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】混合周波数SiH4 PECVD堆積を用いて形成された堆積SiO2、60秒H2プラズマ処理を施した混合周波数TEOS PECVD堆積を用いて形成された堆積SiO2及び60秒H2プラズマ処理を施さずに混合周波数TEOS PECVD堆積を用いて形成された堆積SiO2の三つの同一の厚さの電気特性を示す。プロセス4使用(200℃での6:1 O2/TEOS)。
図2】60秒H2プラズマ処理を施した混合周波数TEOS PECVD堆積を用いて形成された堆積SiO2及び60秒H2プラズマ処理を施さずに混合周波数TEOS PECVD堆積を用いて形成された堆積SiO2の三つの同一の厚さの電気特性を示す。プロセス2使用(150℃での22.7:1 O2/TEOS)。
図3】H2プラズマ処理前の異なる長さの真空破壊を伴う同一のTEOS/O2堆積膜についての印加された電界の強さに対する電気的なリークを示す。プロセス4使用(200℃での6:1 O2/TEOS)。
図4】H2プラズマ処理前及びH2プラズマ処理(60秒、120秒及び180秒)後のTEOS/O2のFTIRスペクトルを示す。視覚教材としてスペクトルを重ね合わせる。堆積膜のO−H結合の存在による幅広いピーク3100〜3500cm-1及び平坦領域900〜1000cm-1に留意されたい。プロセス4使用(200℃での6:1 O2/TEOS)。
図5】TEOS膜の種々の堆積後プラズマ処理及び堆積後熱処理に対する電界による電気的なリークを示す。全ての堆積は200℃プラテンで行われた。(真空破壊なく)個別のモジュールで行われた400℃熱アニール処理を除く全ての堆積後処理はその場で行われた。
図6】TEOS膜の種々の堆積後プラズマ処理及び熱処理からのFTIRデータを示す。全ての堆積は200℃プラテンで行われた。(真空破壊なく)個別のモジュールで行われた400℃熱アニール処理を除く全ての堆積後処理はその場で行われた。明瞭のためにスペクトルはオフセットされている。H2プラズマ及び400℃アニールに対して2340cm-1で弱いピークがあることに留意されたい。
図7】経時的に増加するOH成分を示す150℃ TEOS膜(6:1 O2/TEOS)のFTIRスペクトルを示す。
図8】(同一の水素プラズマ処理を施す)二つのTEOSプロセスであるプロセス1(15:1 O2/TEOS)及びプロセス2(22.7:1 O2/TEOS)についての温度に対するステップカバレージの変動を示す。ステップカバレージは、O2/TEOS比が高くなるに従って向上する。
図9】24時間大気に露出した後に150−250℃のプラテン温度で堆積した未処理(unmodified)TEOSプロセス(O2/TEOS 6:1)の電気特性を示す。
図10】175℃での22.7:1 O2/TEOSプロセスに対するO2/TEOS比の関数としての堆積速度を示す。屈折率(RI)は、全ての条件に対して1.461−1.469の間のままである。
図11】3300cm-1 FTIRピーク及び980cm-1 FTIRピークにおける変化によって測定された再吸湿を示す。
図12】高周波数に対して混合周波数を用いることによってリークが向上していることを示す。
図13】175℃(左)及び200℃での24時間の再吸収後の標準的な(プロセス4の)TEOS(6:1 O2/TEOS)膜の電気的な応答を示す。
図14】175℃(左)及び200℃での24時間の再吸収後のプロセス1のTEOS(15:1 O2/TEOS)膜の電気的な応答を示す。
図15】175℃(左)及び200℃での24時間の再吸収後のプロセス2のTEOS(22.7:1 O2/TEOS)膜の電気的な応答を示す。
図16】プロセス2 TEOS(22.7:1 O2/TEOS,175℃)膜FTIRスペクトルを示す。5日後の980cm-1領域に変化なし。無吸湿を示す。
図17】堆積に用いられる装置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図17において、発明の実施の形態を実施する図示した装置は、一般的に10で表される。装置は、チャンバ11と、シャワーヘッド12と、ウェーハサポート13と、高周波源14と、低周波源15と、を備える。シャワーヘッド12は、二つの前駆体(TEOS及びO2)を受け入れるように配置される。整合ユニット16及び17は、高周波源14及び低周波源15に対してそれぞれ設けられ、ポンプを使った排気口(pumped outlet)18は、余分な反応ガスを除去するために設けられる。
【0015】
一連の実験が、装置を用いながら以下のプロセス条件下で行われた。
プロセス1−DEP:2400mT,1500sccm O2,1000sccm He,1.0ccm TEOS, 666W HF,334W LF,14mm ES(15:1)
PLAS:2000mT,1000sccm H2,1000W HF,20mm ES
プロセス2−DEP:2000mT,1500sccm O2,1000sccm He,0.66ccm TEOS, 666W HF,334W LF,14mm ES(22.7:1)
PLAS:2000mT,1000sccm H2,1000W HF,20mm ES
プロセス3−DEP:2800mT,500sccm O2,1000sccm He,1.25ccm TEOS, 900W HF,11mm ES(4:1)
プロセス4−DEP:3500mT,750sccm O2,1000sccm He,1.25ccm TEOS, 666W HF,334W LF,14mm ES(6:1)
PLAS:上記の通り、すなわち、2000mT,1000sccm H2,1000W HF,20mm ES
【0016】
処理圧力をmTで測定する場合、O2,TEOS及びHeキャリアガスの流量はsccmで表され、RF電力は、13.56MHzの高周波数及び375kHzの低周波数のときにWで測定され、電極(シャワーヘッド)と基板との間の間隔ESはmmで表す。
【0017】
上記プロセスで説明した条件は、最初の堆積プロセス(DEP)と次のプラズマ処理(PLAS)との間で分けられる。上記圧力はチャンバ圧である。ヘリウムは、プロセスのキャリアガスとして用いられる。カッコ内の比は、TEOSに対するO2の比である。図1は、低温(200℃)で堆積した膜に対するH2プラズマ処理の効果を示す。リーク電流による破壊は、一般的に、1.00 E−07と1.00 E06との間のどこかで生じると考えられ、水素プラズマ処理された膜の破壊特性が著しく向上しているのがわかる。
【0018】
図2は、150℃で堆積した膜に対してプラズマ処理を施さない場合とプラズマ処理を施した場合との間の関係を示し、この場合も破壊特性が向上しているのがわかる。図3は、プラズマ処理が施されたときに依存する破壊特性を示し、非常に長い時間の真空破壊後でもプラズマ処理が有効であることがわかるが、24時間までの真空破壊を有するのが有利であるのがわかる。
【0019】
図4は、異なる長さのプラズマ処理を有する複数の膜に対するFTIRスペクトルを示す。プラズマ処理を施さない膜と比較すると、プラズマ処理が〜3300cm-1及び980cm-1のOHピークを除去していることがわかる。膜の表面上又はその付近にSi−H結合が存在することを表す2340cm-1での非常に小さいピークも存在し、これによって、膜が疎水性になり、膜の表面上又は膜を通過する水蒸気の吸収を減少し、膜の容積中に比較的少ないOHを有する。
【0020】
図5及び6は、異なるタイプのアニールの効果を示し、H2プラズマ処理が再吸収の防止よりも著しく良好であることが観察される。図7は、経時的な再吸収を示す。
【0021】
したがって、これらの三つの図から、H2プラズマ処理により疎水性表面を形成することによって少なくとも部分的に膜の水分を減少させるとともに膜への再吸収の速度を減少していることがわかる。その結果、150℃の堆積温度でも優れている。したがって、この温度より下で実用的な膜を得ることができると考えられる。プラズマ処理を真空破壊後に行うことができ、そのような破壊によって膜を強化することができる。
【0022】
好適には、H2プラズマ処理温度は、低く、例えば、200℃以下、125℃又は150℃周辺である。
【0023】
ヘリウムプラズマ処理、NH3プラズマ処理並びにH2炉アニールが同一の結果を提供しないことにも留意すべきである。
【0024】
図8a及び8bは、プラテン13のサポートの温度に対するステップカバレージを示す。ステップカバレージは、温度が増大するに従って及びO2/TEOS比が増大するに従って向上する。しかしながら、許容できるステップカバレージを過程的に(historically)低い温度で達成することができる。
【0025】
図9は、プラズマ処理された膜のリーク電流の堆積温度の効果を示し、高温で良好な結果となるが、プラズマの許容できる結果を非常に低い温度で達成することができる。
【0026】
図10は、O2/TEOS比に対する堆積速度の関係を示し、比が増大するに従って堆積速度が減少することがわかる。
【0027】
これまで説明したように、シャワーヘッドは、好適には混合周波数で給電され、典型的な配置は、13.56MHzの高周波数及び375kHzの低周波数である。しかしながら、低周波成分を増大して2MHzまでの周波数にすることができる。低周波成分を導入しても堆積速度が変化しないことがわかり、したがって、イオン襲撃によって膜の密度が増加するとは考えられない。図11は、低周波成分の導入による再吸収の影響を示す。この実験に対する堆積条件を、図示したRF成分の変動の影響下にあるプロセス4で説明した通りとした。混合周波数を用いたときの再吸収は単一の13.56MHzのRF源を用いた場合に比べて明らかに小さい。SiO2膜の堆積速度及び屈折率に著しい変化がないので、低周波成分がプラズマ中の気体種類を変えると考えられる。図12は、高周波数のみの場合と混合周波数の場合との間のリーク電流の差を比較する。符号Dot1,Dot2及びDot3は、ウェーハ上の異なる点の測定を表す。リーク特性の著しい向上があることがわかる。一般的に、低周波電力が存在することによってOHの再吸収が更に少なくなるとともに破壊電圧が更に高くなるということが結論付けられる。
【0028】
図14〜16は、異なるO2/TEOS比に対する175℃及び200℃での24時間の再吸収後の電気反応を有効に比較する。6:1の低い比において175℃での著しい再吸収があるが、比が大きくなるに従って劣化及び性能の程度が減少することがわかる。
【0029】
図16は、プロセス2における膜の良好な吸収性能を示す。
【0030】
上述したように、良好なリーク特性及び良好なステップカバレージを有する、200℃より下の温度で堆積された膜を、混合周波数RF電力及び理想的にはH2プラズマ処理を用いた約22:1のような比較的高いO2/TEOS比で達成できる。しかしながら、データは、これらの基準の選択を用いることによって向上した膜を達成できることも示す。
【0031】
膜を125℃程度の低い温度で堆積できることが予測される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17