【文献】
R. Hataishi et al.,Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol.,2006,Vol.291,p.H379−H384
【文献】
X. Liu et al.,Journal of the American College of Cardiology,2007,Vol.50, No.8,p.808−817
【文献】
遠藤穣治ら,Jpn. J. Thorac. Cardiovasc. Surg.,2000,Vol.48 supplement,p.341
【文献】
The Merk Manuals online medical library[online],2006,[2013年12月9日検索],URL<http://merckmanual.jp/mmpej/print/sec07/ch078/ch078a.html>
【文献】
メルクマニュアルオンライン, 2005, [online],[2015/6/2検索],URL<http://merckmanual.jp/mmpej/sec05/ch058/ch058a.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
(詳細な説明)
様々な血液検査が心臓発作の診断に広く使用されているが、これらの検査は時として決定的なものではない。例えば、心筋酵素調査では、血中の酵素クレアチンホスホキナーゼ(CPK、CK)及びタンパク質トロポニン(TnI、TnT)のレベルを測定する。通常、血液において低レベルのこれら酵素及びタンパク質が見られるが、心筋が心臓発作などにより損傷し、損傷した心筋細胞から該酵素及びタンパク質が流出している場合、血流においてこれら酵素及びタンパク質のレベルは上昇する。しかし、高レベルのこれら酵素及びタンパク質は、身体の他の領域の組織損傷にも起因し得る。したがって、心筋酵素調査の結果は、患者の症状並びに心電図(EKG、ECG)の所見と比較する必要がある。EKGは、過去の心臓損傷を検出することはできるが、心臓発作の差し迫った発生を検出することはできないという欠点を有する。加えて、心筋酵素調査とEKGの両方とも、本来なら心臓発作を診断及び治療するのに必要な貴重な時間がかかる。
【0033】
より決定的な検査、例えば、ストレス試験、MRI(磁気共鳴画像法)スキャン、トリウムスキャン(ストレス試験とともに用いられる)などを心臓発作の診断に利用することができる。これらの検査は決定的であるが、一方でこれら検査は時間を要するものである。しかし、前述のように、治療はできる限り早く行われる必要があるあるので、心臓発作を確実に診断する長期の検査は、心臓発作の治療を妨げ得る。
【0034】
それにもかかわらず、記載した検査の全ては、訓練された専門家によって医療施設で行われる必要があるという欠点に悩まされる。心臓発作の徴候を有するか又は最近心臓発作にかかった個人は、比較的良好な問題(例えば、消化障害、呑酸又は肉離れ)と心臓発作を見分けることができない。結果として、該個人は即時の医学的対応を求めない場合が多く、このことは健康障害又は早死を招き得る。
【0035】
加えて、現在の狭心症の治療には、ニトログリセリン又は他のニトロ系薬剤などの薬剤を含む。これらの薬剤は狭心症を治療するが、診断用ツールとする態勢は整っていない。更に、これらの薬剤は即効性(秒のスケールにおける)はなく、一酸化窒素と比べてゆっくりと代謝する。更に、該ニトロ系薬剤は、すべての血管を拡張し、頭痛などの副作用を最小化するためには、限られた用量で使用され得るのみである。
【0036】
加えて、再灌流(すなわち、事前に血液供給を奪われている組織又は臓器を通る血流の回復)(例えば、血栓溶解後、心臓切開手術後の心臓において、又は移植用心臓における)の間に繰返し発生する問題は、白血球及びそれらの細胞毒性産生物による組織又は臓器の更なる変性である。「再灌流障害」は、語句「再灌流傷害」と互換的に使用することができ、事前に血液供給を奪われている組織及び臓器への再灌流(すなわち、前記組織及び臓器を通る血流の回復)時の損傷を表す。再灌流障害は再灌流時直ちに生じる急性の事象であり、したがって、時宜を得た対応をしなければならない。心臓における血液再灌流が減少するか又はない場合の典型的な状況は、例えば、血栓症及び心筋保護法(すなわち、心臓切開手術前又は移植前に心臓を停止すること)がある。一般に、再灌流障害は、上記状況(例えば、自然の若しくは刺激による血栓溶解時、又は心筋保護法後の心臓の再灌流時)のいずれかの事象後に血液灌流が正常な状態に回復する際に生じる。
【0037】
したがって、心臓の病気を診断し、かつ心臓の病気の治療方法を見出す必要性が残されている。
【0038】
心筋梗塞などに限定はされないが、心臓の病気を診断する及び治療するための様々な方法が、本明細書中に開示されている。一般に、一酸化窒素(NO)を吸引するか又はそれ以外の方法で個人の肺に送達する。NO送達後に、該個人の症状の1以上が治まる場合、限定はされないが、心臓発作などの心臓の病気に罹患しているおそれがある。一実施態様において、個人が心臓発作に罹患しているかどうかを判断する検査は、容易に行われ、迅速に結果を提供する。該検査は、心臓の病気の1以上の症状に苦しむ個人を含むすべての者によって行うことができる。加えて、該検査は病院又は他の医療施設での使用に制限されず、自宅、屋外、又は他の場所で使用することもできる。該検査を行う際の個人の症状の急速な軽減は、該個人が心臓の病気に罹患していることを速やかに決定付けさせる。典型的に、該症状は、NO吸引後およそ2〜100秒以内で軽減されるであろう。即時の診断は時間を節約し、該個人に心臓の病気の初期臨界期の間に直ちに医学的対応を求めるようにさせる。あるいは、陽性の検査結果に応じて、適切な医学的処置が医療専門家によって速やかに行われ得る。
【0039】
NOは、多くの生物学的プロセスで役割を果たしている重要なシグナル伝達分子である。NOは血管の平滑筋を弛緩させるシグナル伝達分子であり、これにより血管拡張がなされ、該血管を通る血流が増加される。MI又は心臓病管理の観点からNO吸引の利点は以下のものがある:1) 心筋への酸素供給量の増加、酸素供給の促進、並びに再灌流傷害及び梗塞サイズの低減、2) 肺血管圧低下による心臓へのストレス低減、及び3) 所望の血液凝固制御(すなわち、血栓溶解効果及び抗血液凝固効果)である。これらの効果は、NOが生存期間数秒の高反応性であり、体内において迅速に代謝されるために、小規模な生物学的領域に限定される。それにもかかわらず、吸引又は他の方法によるNOの肺への直接的な送達は、肺及び心筋における即時の、限局的な血管拡張効果を引き起こすことができる(血液は肺から心臓へ直接流れるため)。結果として、心臓の血管がNO暴露に応答して血管拡張すると、冠動脈における血流の増加により、狭心症又は心臓の病気の他の症状を軽減することができる。NO供給源が取り除かれると、肺及び心臓における血管拡張は速やかに終了し、狭心症又は他の症状が再び呈示され得る。
【0040】
吸引されたNOは標的の臓器に直接導入されるので、体内における他の血管の拡張を付随することなく非常に高い局所的投与量を達成することができる。一実施態様において、およそ80〜およそ1000ppm(例えば、80より高い、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950又は1000ppm)の濃度を有するNOガスを使用して、1以上の患者の症状(例えば、胸痛)が心臓発作又は他の何らかの心虚血性事象に起因するものであるのかどうかを診断及び/又は確認することができる。他の実施態様において、より高濃度のNOガス(例えば、1000ppmより高い)を患者に送達することができる。NOは患者の症状(例えば、胸痛)の発症から数秒、数分又は数時間後以内で投与することができる。例えば、患者の症状の発症から1時間、2時間、3時間、4時間、5時間又は10時間後に投与することができる。
【0041】
対照的に、ニトログリセリン、PETN、並びに他のニトロ系薬剤は全身に送達され(例えば、経皮的又は舌下的に)、それによって全ての血管において血管拡張を引き起こす。したがって、限定はされないが、頭痛などの副作用を最小化するために、より低い用量が投与される必要がある。加えて、ニトログリセリンはNOに比べ、身体で代謝されるのにかなりの時間を要し、更に投与量を制限する。更なる実施態様において、NOガスを投与して、血栓溶解、心臓手術又は心臓移植後の再灌流障害を防止する、抑制する、又は最小化することができる。
【0042】
NOの標的の及び局部的な影響を考慮すると、それは迅速診断ツールとして使用され得る。一実施態様において、NOは数秒から最大数分もの長さで、個人によって吸引される。あるいは、NOガスは、患者の肺に空気を送りこむ他の機械的装置によるポンプによって送達される。疼痛及び/又は違和感が消失するか又は最小化される場合、NOガスが心臓周辺の動脈を拡張し、個人に軽減をもたらしていることが強く示唆される。したがって、該疼痛及び/又は違和感は、心臓発作の指標となり得る。この予備的指標は、先の結果を再現するために、個人へのNOガスの適用及び除去を繰り返すことによって確認することができる。この態様において、NOは照明のスイッチのように働く。例えば、NOを吸引することにより、患者の症状はほぼ即座に軽減される。しかし、NOの吸引を中断することにより、NOの有益な影響は失われ、患者の症状が再び現れる。あるいは、疼痛は自覚的なものなので、疼痛の軽減は程度によって特徴付けることができる(例えば、疼痛レベル10から疼痛レベル5)。該検査は即時の医学的対応を求めるための指標である。
【0043】
更に別の方法において、患者が心臓発作を起こしている場合に、高用量のNOガス吸引を使用して、灌流障害を防止する又は抑制することのみならず、動脈を拡張し心臓への血流を増加させるのを助ける緊急処置を提供することができる。別の方法において、数百ppm程度のNO用量が患者に送達される。更に別の方法において、数千ppm程度のNO用量が患者に送達される。高用量のNOガスを、NO、続いてNOを含まない空気又は酸素のパルスとして、一気に、連続的に、又は時間をかけて断続的に送達することができる。NOガス投与量が、時間とともに徐々に又は急激に増加又は減少することも意図される。こうした非常に高い用量は、患者が医療施設に搬送されている間に、血液が心臓へ流れることを可能にすることによって命を救うものとなり得る。いくつかの場合において、該高用量は、障害物を取り除くのに役立ち得る。更なる方法において、患者が心臓手術、臓器移植又は血栓溶解を受けている場合に、高用量のNOガス吸引を使用して、再灌流障害を防止することができる。
【0044】
他の送達手段を用いると、ガス配管中での望ましくないかつ高毒性のNO
2の形成を最小化するために、最大NOガス用量はおよそ80ppmに制限され得る。しかし、PCT出願番号PCT/US08/03739(2008年3月21日出願)及び米国特許出願番号第60/896,627号(2007年3月23日出願)(これらの各々は参照により本明細書中に組み込まれている。)に開示されるレキュペレータとともに使用する場合、心臓発作の緊急処置に使用される高用量のNOを安全に提供することができる。該レキュペレータは、呼吸間の時間間隔の間にガス菅中に存在する全NO
2をNOに変換する。したがって、該レキュペレータを出て肺に入るガスは、どんなに高用量であっても、NO
2を含まないか又は無視できる濃度のNO
2を有する。酸素の代わりに空気をNOのキャリアガスとして使用する場合、NO
2濃度は更に5倍減少するであろう。
【0045】
一実施態様により、そのような緊急使用のためのNOガスの供給源は、NO発生カートリッジ(下記に開示される)に取り付けられた、酸素又は空気中に適切な量のNOを含むガスボンベとし得る。該NO発生カートリッジは、ガスボンベ中のNO
2を治療量のNOガスに変換する。ガスボンベのバルブを開くことで、空気又は酸素中のNOの即時の供給源が提供される。より具体的には、NOは、空気、純酸素、又は空気中の酸素濃度と純酸素との間のいくらかの酸素濃度などのキャリアガス中で送達される。一実施態様において、該キャリアガスは約90〜99.9パーセントの酸素である。
【0046】
あるいは、NOガスは、エアロゾル缶と類似した小型ガスボンベで供給される。該小型ガスボンベは、小型NO発生カートリッジに取り付けられる。別の実施態様において、吸入器は、空気又は酸素富化空気のバランスガスを伴う10〜2000ppmの範囲の治療量のNOガスを送達することができる。
【0047】
更に別の実施態様において、治療用量のNOの緊急供給はガスボンベにおいて提供される。別の実施態様において、小型空気ポンプを使用する液体N
2O
4供給源は、N
2O
4を含む透過管又は拡散管に空気を送りこみNO
2を生成し、次に空気中でNOに変換することによってNOを供給する。高用量のNOの緊急供給源の大きさは、緊急使用のために容易に運搬できる大きさであり、援助が到着するまでの非常事態での使用のために、心不全の傾向がある患者の側に置かれる。医療の場(例えば、病院、救急車又は診療所)において、NO発生装置又はそのシステムは、下記に開示されるようにNOガスを患者に送達するのに使用することができる。高用量のNOの緊急供給源は、限定はされないが、例えば、緊急医療隊員、衛生兵又は野戦病院、消防士、救急隊員、及び病院の救急治療室又は外傷センターによる使用を含む状況で使用され得る。別の例において、可搬式治療用NOガス送達装置は、酸素富化空気で呼吸しているか又はすでにしていない、困窮した登山者を援助するのに使用することができる。更に別の例において、可搬式治療用NOガス送達装置は、主要NO供給源が故障している患者に使用することができる。いくつかの実施態様において、可搬式治療用NOガス送達装置は、一度限りの使用として設計することができる。一実施態様において、液体N
2O
4供給源、NOガスを供給する小型空気ポンプ及びカニューレを含むヘルスケアキットが提供される。該キットは、非常事態で使用するために、自宅で患者によって使用でき、かつ側に置いておくことができる。該キットは、緊急使用のために容易に運搬することができる。
【0048】
治療的使用のために一酸化窒素(NO)を哺乳動物へ送達する場合、哺乳動物への二酸化窒素(NO
2)の送達を回避することが重要となり得る。二酸化窒素(NO
2)は、酸素(O
2)による一酸化窒素(NO)の酸化によって形成され得る。二酸化窒素(NO
2)形成の比率は、酸素(O
2)濃度に一酸化窒素(NO)濃度の二乗を乗算したものに比例し、すなわち(O
2)*(NO)*(NO)=NO
2である。
【0049】
二酸化窒素(NO
2)を一酸化窒素(NO)に変換するNO送達システムが提供される。該システムは、変換を行うための単純かつ有効な機構として、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料を用いる。より具体的には、希釈された気体状態のNO
2を、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料上を通過させることによって、NO
2をNOに変換することができる。該水性酸化防止剤がアスコルビン酸(すなわちビタミンC)である場合、該反応は周囲温度で定量的である。該システムにより用いられる技術は、NO
2をNOに変換するための他の技術と対比されるべきである。そのような2つの技術は、NO
2を含むガス流をステンレス鋼上650℃より高い温度で加熱するか、又はモリブデン上450℃より高い温度で加熱することである。これら2つの技術はどちらも、空気中のNO
2をNOに変換し、次いでNO濃度を化学発光によって測定する、大気汚染計器において使用される。記載されている別の方法は、160℃から300℃を超える温度で、触媒として銀を使用するものである。
【0050】
表面活性材料の一例は、シリカゲルである。使用することができる表面活性材料の別の例は、綿である。該表面活性材料は、水を保持することができる支持体とすることができるか、又はそれを含むことができる。水分を吸収することができる大きな表面積を有する、別タイプの表面活性材料を使用することもできる。
【0051】
一態様において、哺乳動物への治療用ガスの送達に使用するための、一酸化窒素を含む治療用ガスを発生するためのキットは、二酸化窒素の供給源に接続するように構成されている拡散セル、該拡散セルに接続された透過管、及び該透過管に取り付けるように構成されている容器を含むことができる。該容器は、入口、出口、及び酸化防止剤で被覆された表面活性材料を備え、該入口は透過管からの二酸化窒素の流れを受け取るように構成することができ、該流れを表面活性材料を通して出口へと流体連結させて、周囲温度で気体状の二酸化窒素を一酸化窒素に変換することができる。二酸化窒素の供給源はN
2O
4を含む液体二酸化窒素とすることができる。該拡散セルは、毎分200,000ng(ナノグラム)の拡散速度で二酸化窒素を供給するように構成できる。該拡散セルは、ステンレス鋼又はプラスチックから製造することができる。該透過管の長さは、特定の温度で所定の用量の二酸化窒素を供給するように定めることができる。該透過管は、該管の長さを上回る、可動性で、非透過性の覆いを更に含むことができる。該覆いは、使用前に取り除くように構成することができる。該透過管は、拡散針を介して該拡散セルに接続することができる。該拡散針は、狭口径拡散針とすることができる。該拡散針は、針の側面の穴及び該穴を包囲している外部の覆いを更に含むことができ、該覆いは、所望の穴の覆いを回転してはずすように構成された、該針の周囲と適合した溝を有する。該針側面の穴は、1/4、1/2、又は3/4の位置とすることができる。該拡散セルは、多数の狭口径拡散針を介して多数の透過管に接続することができる。該容器はカートリッジを含むことができる。該表面活性材料は、酸化防止剤で満たすことができる。該表面活性材料は、水分を保持する支持体を含むことができる。該表面活性材料には、シリカゲルを含むことができる。該酸化防止剤には、アスコルビン酸、αトコフェロール又はγトコフェロールを含むことができる。
【0052】
該容器は、第1の容器である。該キットは、第2の容器を更に含むことができる。該第2の容器は、自身の入口及び出口、並びに酸化防止剤の水性溶液で被覆された表面活性材料を含むことができ、該第2の入口は第1の容器からの流れを受け取るように構成することができ、該流れを第2の表面活性材料を通して第2の出口へと流体連結させて、周囲温度で気体状の二酸化窒素を一酸化窒素に変換することができる。
【0053】
別の態様において、哺乳動物への治療用ガスの送達に使用するための、一酸化窒素を含む治療用ガスを発生するためのキットは、二酸化窒素の供給源に接続するように構成された圧力調整器、該圧力調整器に取り付けるように構成された容器、該容器が含む入口、出口、及び酸化防止剤の水性溶液で被覆された表面活性材料を含むことができ、
該入口は気体状二酸化窒素の供給源からの流れを受け取るように構成することができ、該流れを表面活性材料を通して出口へと流体連結させて、周囲温度で気体状の二酸化窒素を一酸化窒素に変換することができる。ここで該容器は、空気又は酸素又はそれらのいくつかの組み合わせ中の二酸化窒素を有するガスボンベに取り付けるように構成することができ、気体状の二酸化窒素及び空気の流れを供給することができる。該キットは、二酸化窒素を有するガスボンベを更に含むことができ、気体状の二酸化窒素を空気流に拡散させて供給することができる。該容器は、該圧力調整器の低圧力側に設置することができる。該容器は、第1の容器である。該キットは、第2の容器を更に含むことができる。該第2の容器は、自身の入口及び出口、並びに酸化防止剤の水性溶液で被覆された表面活性材料を含むことができ、該第2の入口は第1の容器からの流れを受け取るように構成することができ、該流れを第2の表面活性材料を通して第2の出口へと流体連結させて、周囲温度で気体状の二酸化窒素を一酸化窒素に変換することができる。該圧力調整器は、該容器と空気中の二酸化窒素を有するガスボンベとを接続する、入口部及び出口部を含むことができる。該容器はカートリッジを含むことができる。該表面活性材料は、酸化防止剤の水溶液で満たすことができる。該表面活性材料は、水分を保持する支持体を含むことができる。該表面活性材料には、シリカゲルを含むことができる。該酸化防止剤には、アスコルビン酸、αトコフェロール又はγトコフェロールを含むことができる。
【0054】
更なる態様において、治療量の一酸化窒素を哺乳動物に供給する方法は、ガス流に二酸化窒素を拡散すること、酸化防止剤の水溶液で被覆された表面活性材料に二酸化窒素を接触させて、周囲温度で気体状の二酸化窒素を一酸化窒素に変換すること、及び該一酸化窒素を治療量で哺乳動物に輸送することを含むことができる。該二酸化窒素は、液体二酸化窒素から発生させることができる。二酸化窒素をガス流に拡散させる、治療量の一酸化窒素を哺乳動物に供給する方法は、毎分200,000ngの拡散速度で二酸化窒素を供給することを含むことができる。二酸化窒素をガス流に拡散させる、治療量の一酸化窒素を哺乳動物に供給する方法は、特定の温度で所定用量の二酸化窒素を供給することを含む。該表面活性材料は、酸化防止剤で満たすことができる。該表面活性材料は、水分を保持する支持体を含むことができる。該表面活性材料には、シリカゲルを含むことができる。該酸化防止剤には、アスコルビン酸、αトコフェロール又はγトコフェロールを含むことができる。治療量の一酸化窒素を哺乳動物に供給する方法は、哺乳動物による吸入の直前に、該一酸化窒素を酸化防止剤で被覆された第2の表面活性材料と接触させることを更に含むことができる。
【0055】
図1は、NO
2をNOに変換することによってNOを発生するためのカートリッジ100を示す。NO発生カートリッジ、GENOカートリッジ又はGENOシリンダとも呼ぶことができる該カートリッジ100は、入口105及び出口110を含む。スクリーン及びグラスウール115が、該入口105及び出口110の両方に配置され、該カートリッジ100の残りの部分は、表面活性材料を被覆するために酸化防止剤の飽和水溶液に浸漬した表面活性材料120で充填される。該スクリーン及びグラスウール115もまた、該カートリッジ100に挿入される前に酸化防止剤の飽和水溶液に浸漬される。
図1の例において、該酸化防止剤はアスコルビン酸である。
【0056】
NO
2をNOに変換する一般的プロセスにおいて、NO
2を有する空気流は入口105を介して受け取られ、該空気流は水性酸化防止剤で被覆された表面活性材料120を通って出口110へと流体連通される。表面活性材料が湿潤したままであり、かつ酸化防止剤が該変換で使い果たされていない限り、該一般的プロセスは、周囲温度でのNO
2からNOへの変換において有効である。
【0057】
図2のシステム200などにおいて、入口105は、液体NO
2を含む透過管を超えて空気流を流体連通させた、空気ポンプからのNO
2を有する空気流を受け取ることができる。また該入口105は、例えば、NO
2タンクとも呼ぶことができるNO
2の加圧ボンベからの、NO
2を有する空気流を受け取ることもできる。該入口105はまた、窒素(N
2)、空気又は酸素(O
2)中にNO
2を有する空気流を受け取ることもできる。該変換は広い濃度範囲にわたって生じる。約2ppmのNO
2から100ppmのNO
2、及び1000ppmを超えるNO
2に至るまでの空気中の濃度で実験を行った。一実施例において、長さがおよそ15.24cm(6インチ)であり、直径が3.81cm(1.5インチ)のカートリッジに、まずアスコルビン酸の飽和水溶液中に浸漬させたシリカゲルを充填した。該湿潤シリカゲルは、Aldrich Chemical社のA.C.S.(米国化学会)試薬グレード99.1%純度と指定されたアスコルビン酸(すなわちビタミンC)及びS8 32-1、グレード40のサイズ35から70のメッシュと指定されたFischer Scientific International社のシリカゲルを使用して調製した。例えば、0.317cm(1/8インチ)の直径を有するシリカゲルも機能するであろう。
【0058】
水中35重量%のアスコルビン酸を混合し、攪拌し、及び該水/アスコルビン酸混合物をシリカゲルを通して濾過することによって調製した、アスコルビン酸の飽和溶液を用いてシリカゲルを湿潤させ、続いて脱水した。NO
2からNOへの変換は、アスコルビン酸で被覆されたシリカゲルが湿潤しているときに良好に進行することが見出されている。該NO
2からNOへの変換は、アスコルビン酸の水性溶液単独ではあまり進行しない。
【0059】
湿潤シリカゲル/アスコルビン酸を充填したカートリッジでは、毎分150mlの流量で、12日間に渡り停止せずに、空気中の1000ppmのNO
2をNOに定量的に変換することが可能であった。毎分わずか数mlから毎分5000mlの流量までの範囲の、幅広い流量及びNO
2濃度の試験に成功した。また該反応は、ビタミンEの変異体(例えば、αトコフェロール及びγトコフェロール)など、他の一般的な酸化防止剤を使用しても進行する。
【0060】
該酸化防止剤/表面活性材料のGENOカートリッジは、吸入治療に使用することができる。そのような一実施例において、該GENOカートリッジは、加圧ボンベ供給源からNOを送達するNO吸入治療用のNO
2スクラバーとして使用することができる。該GENOカートリッジを使用して、吸入治療中に化学的に形成される全てのNO
2を除去することができる。このGENOカートリッジを使用して、有害レベルのNO
2が患者によって不注意に吸入されないように支援することができる。
【0061】
まず、GENOカートリッジを使用して、従来のNO吸入療法における吸入治療中に使用される安全装置の一部又は全部を補完又は置換することができる。例えば、1つのタイプの安全装置は、NO
2の濃度が予め設定された又は所定の制限、通常1ppm以上のNO
2を超える場合に、空気中のNO
2の存在を警告する。そのような安全装置は、GENOカートリッジが、NOを含んだ空気を吸い込む患者の直前のNO送達システムに配置される場合、不要となり得る。該GENOカートリッジは、患者がNOを含んだ空気を吸い込む直前で全てのNO
2をNOに変換し、空気中のNO
2の存在を警告する装置を必要なくさせる。
【0062】
更に、吸入機器及びガス配管(管機構とも呼ぶことができる)の出口付近に配置されたGENOカートリッジは、これらの換気装置内の通過時間により生じるNO
2の形成に関連した問題を低減又は排除する。したがって、該GENOカートリッジの使用は、従来の適用において要求される、ガス配管を通るガスの迅速な移動を確実に行う必要性を低減又は排除する。また、GENOカートリッジは、NOガスをガスバルーンとともに使用することを可能にし、患者への総ガス流量を制御する。
【0063】
あるいは又は加えて、患者への送達システム取り付けの直前にNO
2除去カートリッジを挿入して、更に安全性を高め、微量の有毒なNO
2が全て除去されていることを支援することができる。該NO
2除去カートリッジは、いかなる微量なNO
2をも除去するために使用されるGENOカートリッジとすることができる。あるいは、該NO
2除去カートリッジは、加熱活性化アルミナを含むことができる。Fisher Scientific International社によって供給されるようなA505-212、8〜14のメッシュサイズと指定される加熱活性化アルミナを有するカートリッジは、空気又は酸素の流れから低レベルのNO
2を除去するのに有効であり、更にNOガスを損失なく通過させる。活性化アルミナ、及びそれと同様の他の高表面積材料は、NO吸入管からNO
2を洗浄するために使用することができる。
【0064】
別の実施例において、GENOカートリッジを使用して、治療用ガス送達のためのNOを発生することができる。該NO発生カートリッジは、周囲温度で有害なNO
2をNOへと変換するのに有効であるので、液体NO
2をNOの供給源として使用することができる。NO発生の供給源として液体NO
2が使用される場合、送達システムにNOガスを供給するための加圧ガスボンベは不要である。そのような送達システムの一例を
図2についてより詳細に説明する。加圧ガスボンベによるNO提供の必要性を排除することにより、該送達システムは、NOガスの加圧ガスボンベから患者へNOガスを送達するのに使用される従来の装置と比較して、簡易化することができる。加圧ガスボンベを使用しないNO送達システムは、加圧ガスボンベに依拠する従来のシステムよりも可搬性が増され得る。
【0065】
図2〜
図14は、GENOカートリッジにおいて用いられる表面活性材料として、シリカゲルを使用する技術を示す。先に記載したように、シリカゲルは、NO発生システム又はカートリッジにおいて使用することができる表面活性材料の一例に過ぎない。
【0066】
図2は、液体NO
2をNO吸入治療用の患者に送達することができるNOガスに変換する、NO発生システム200を示す。一般に、空気ポンプ205によって生み出される空気の流れは、液体NO
2及びその二量体N
2O
4(まとめて236)を有するガス透過セル235を経由して進行する。ガス透過セル235を出た空気流は気体状のNO
2を含み、該気体状のNO
2は、NO発生カートリッジ240によってNOガスに変換される。NOガス混合物は吸入治療のために、例えば、マスク、カニューレ又はベンチレータを使用して患者へと送達することができる。患者へと送達されるNOガス混合物中のNO濃度は、ガス透過セル235の温度を制御するか、又は流量計220を通る空気流量を制御することによって制御することができる。
【0067】
より具体的には、該システム200は、空気ポンプ205、調整器210、流れ転向装置215及び流量計220を含む。該システムは、空気ポンプ205からの空気流207が、150ml/分の第1の流れ225と、3000ml/分の第2の流れ230とに分流されるように構成される。該空気流207は、乾燥性か又は湿潤性であってもよい。
【0068】
該流れ225は、液体NO
2及びその二量体N
2O
4(まとめて236)、並びにガス透過管237を含むガス透過セル235を経由して進行する。該透過セル235はまた、透過発生器、透過装置又は透過管ホルダとも呼ぶことができる。NO
2はガス透過セル235のガス多孔質膜を通過して、該流れ225へと拡散する。一実施例において、150ml/分の空気の流れ225は、透過管237、例えば、テキサス州オースティンのKinTek社によって提供された透過管を通過して流れることが可能である。該透過管237が40℃の温度である場合に、該透過管237は、流れ225において透過管を後にするガス流が約840ppmのNO
2を含むように、定常的な速度でNO
2を放出するように設計される。領域238は、およそ40℃の温度を維持するように温度制御される。下記により詳細に記載するように、該透過セル235の温度を維持することは、患者に送達されるNOの濃度を制御するのに役立つ。
【0069】
次に、840ppmのNO
2を含む150mlの空気は、NO発生カートリッジ240を通過して流れる。この実施例において、該NO発生カートリッジ240は、長さ15.24cm(6インチ)、直径3.81cm(1.5インチ)であり、変換試薬として働くシリカゲル上の湿潤アスコルビン酸を含む。該NO発生カートリッジ240は、
図1のカートリッジ100の一実施態様であり得る。該NO発生カートリッジ240を出た空気流225は、NO
2の全部又は実質的に全部がNOに変換された840ppmのNOを含む。
【0070】
次いで、該840ppmのNOを有する150ml/分の流れ225は、3000ml/分の空気又は酸素の流れ230と混合し、40ppmのNOを含む3150ml/分の流れ247が生成される。混合後、該流れ247は、第2のNO発生カートリッジ245を通過して進行し、流れ225と230とが混合されNOが希釈される間に形成され得る全てのNO
2を除去する。該NO発生カートリッジ240及び245は、必ずしもそうである必要はないが、同じサイズであってもよい。例えば、該NO発生カートリッジ245は、NO発生カートリッジ240よりも小さいNO
2変換能力を有するサイズであってもよい。次いで、得られたNOを有する空気流250は、患者に送達できる状態となっている。該システム200は、数時間の短期間又は14日以上の長期間の間、NOガスの定常的な流れを生成するように設計することができる。一試験において、該システム200は、NO
2を含まない、空気中40ppmのNOガスの定常的な流れを12日間に渡って送達することを示した。ここで、該NO及びNO
2の濃度は、化学発光ガス分析装置によって測定した。
【0071】
該システム200の代替として、NO発生システムは、透過管237よりも大きな流れ容量を有する透過管を含むことができる。そのような場合、該より大きな透過管は、患者への送達に必要な吸引用空気の全てを処理することができ、例えば、流れ230及び変換管245が不要となる。
【0072】
該システム200は、例えば、空気の供給に使用される空気ポンプ205が、簡易オイルレスポンプなどの可搬式空気ポンプである場合に、可搬式にすることができる。酸素富化空気が患者に必要とされる場合、空気ポンプ205によって供給される空気に加えて、又はその代わりに、酸素を供給することができる。例えば、酸素は酸素タンク又は市販の酸素発生装置から供給することができる。また酸素は、O
2と混合されたNO
2を有するタンクから供給することもできる。
【0073】
いくつかの実施態様において、透過セル238及び/又は2つの変換カートリッジ240及び245は、使い捨て可能な物品とすることができる。
【0074】
該システム200を出る流れ250中のNOの濃度は、流れ225が毎分数ミリリットルを上回る限り、透過セル235を通過する流れ225に左右されない。該流れ250中のNOの濃度は、該透過セル235の温度によって変わり、より低い程度で空気流量230によって変わる。例えば、一定の空気流量230で、該システム200は、40℃の温度で40ppmのNOを送達するように設計されるが、該NOの濃度は、30℃で20ppmのNOに低下させることができ、50℃で80ppmに増大させることができる。したがって、温度制御装置を使用して、送達されるNOガスの濃度を調整することができる。所望のNO濃度を選択し、該温度制御装置を、該所望の濃度を送達するための特定温度を維持するように設定すると、所望の濃度のNOガスの送達速度は、一定に維持される。該温度制御装置の一例は、オーブン、例えば、KinTek社から入手可能なオーブンであり、その中に透過管が配置される。温度制御装置の別の例は、ホットプレート上に配置されたビーカー中の脱イオン水のであり、透過管は該ビーカー内に配置される。水温を監視するために、該ビーカー内に温度計を配置してもよい。
【0075】
該NO発生システムを使用して、カニューレを用いる使用のために、NOガス混合物の定常的な流れを送達することができ、過剰なガスは環境へと排出される。NO発生システムは、ベンチレータとともに使用することができ、そのような場合、NO発生器からの送達は定常性を維持しなければならず、かつNOを受け取る患者を危険にさらすことなく遮断することはできない。患者の吸気中に流れを増大させる必要性に対処するために、可撓性バッグを膨張させ、次いで収縮させるのにNOガス混合物を使用することができる。患者への空気流が少しでも遅延される場合、NO発生カートリッジをNO発生システムの吸入直前の地点に挿入し、そのような遅延中にNOとO
2との反応により形成され得る全てのNO
2を除去することができる。これは、該遅延間にバッグ中で形成され得るNO
2がどんなに微量であっても、治療用ガス流が患者によって吸引される前に確実に除去されることに役立つ。
【0076】
該治療用ガス送達システム200中に検出器を含み、治療用ガス流内のNO濃度を検出することができる。該検出器はまた、必要に応じて、治療用ガス中のNO
2濃度を検出することもでき、NO濃度が所定の範囲外にあるか又はNO
2濃度が閾値を超えている場合に、警告を与えることができる。監視技術の例を挙げると、化学発光及び電気化学的技術がある。一酸化窒素の存在は、例えば、化学発光検出器によって検出することができる。
【0077】
図3は、液体NO
2をNOガスに変換し、次いで、NO吸入治療のために患者に送達することができる、NO発生システム300を示す。
図2のNO発生システム200とは対照的に、該NO発生システム300は、活性アルミナカートリッジ345を含む。該活性アルミナカートリッジ345は、遅延中に形成される全てのNO
2を除去する。NO
2をNOに変換すること、及びそれによって定量的にNO
2の損失を補うことによってNO
2を除去するNO発生カートリッジ240とは対照的に、活性アルミナカートリッジ345は、NOを発生することなくプロセスガス流からNO
2を除去する。
【0078】
図4に、
図1のNO発生カートリッジ100の一実施態様であり得るNO発生カートリッジ440を使用する治療用ガス送達システム400を示す。該システム400は、NO供給源410を使用して、管機構を介して流れ420中の気体状NOを提供する。一実施例において、該NO供給源410は、NOの加圧ボンベとすることができる。管機構を通る空気の流れ430は、空気ポンプ435によって生み出され、流れ420と混合される。該NO発生カートリッジ440へと入る空気流は、気体状NOを含む。流れ420中で形成されたNO
2ガスは全て、NO発生カートリッジ440によって除去される。該NO発生カートリッジ440を出た空気流450は、治療用NOガスを含むが、有毒なレベルのNO
2は含まない。次いで、該空気流450は、NO吸入治療の患者に送達され得る。
【0079】
図5に、
図1のNO発生カートリッジ100の一実施態様であり得るNO発生カートリッジ540を使用する治療用ガス送達システム500を示す。
図4の治療用ガス送達システム400とは対照的に、該システム500は、NO
2供給源510からNOを発生する。該NO
2供給源510は、NO
2供給源510を出た流れ525が気体状NO
2を含むように、空気ポンプ520によって生み出された空気流515への液体NO
2の拡散を使用することができる。いくつかの実施態様において、該NO
2供給源510は、NO
2の加圧ボンベとすることができる。
【0080】
いずれの場合においても、NO発生カートリッジ440に入る空気流525は、気体状NO
2を含む。該NO発生カートリッジ440は、流れ525中のNO
2ガスをNOに変換する。該NO発生カートリッジ540を出た空気流550は、治療用NOガスを含むが、NO
2を含まないか又は実質的に含まない。次いで、空気流550は、NO吸入治療の患者に送達され得る。
【0081】
図6に、治療用ガスを送達するための、GENO加圧タンクシステム600を示す。該システム600は、空気中40ppmのNO
2を有する市販のタンク620及び流量制御装置622を含む。タンク620の一例では、300立方フィートのタンクが、5L/分の空気流量で1.2日間持続する。
【0082】
空気中NO
2の空気流625aは、流量制御装置622を出てGENOカートリッジ640に入る。該GENOカートリッジ640は、前駆物質としてNO
2を使用し該NO
2をNOに変換する。GENOカートリッジ640を出た空気流625bは、治療用NOガスを含む。該空気流625bは活性アルミナカートリッジ660に入り、該空気流625b中の全てのNO
2が除去される。該活性アルミナカートリッジ660を出た空気流625cは、NO吸入治療の患者に送達される。
【0083】
該システム600は、NO
xサンプルバルブ665、及びNO
2の検出に動作可能なNO-NO
2センサ670を含む。NO-NO
2センサはまた、NO-NO
2検出器と呼ぶこともできる。NO
xサンプルバルブ665は、空気流667a及び667bからNO-NO
2センサ670に空気サンプルを与えるように動作可能である。該NO-NO
2検出器670を使用して空気流667a中のNO
2の存在を検出することによって、GENOカートリッジ640の不具合の指標を提供することができ、したがって、有毒なNO
2が患者に送達されることがないように細心の安全装置を提供する
【0084】
いくつかの実施態様において、該活性アルミナカートリッジ660は、GENOカートリッジで置換することができる。
【0085】
いくつかの実施態様において、GENOカートリッジは、ガスボンベからの出力口がGENOカートリッジにのみ接続できるように、特別なネジ筋を有する加圧ガスボンベの出力口に取り付けられる。例えば、該ガスボンベは、約10〜100ppmの濃度のNO
2を含む吸気可能な酸素ガスで充填されていてもよい。そのようなシステムは、ガスボンベの圧力を使用して治療用ガスを患者に送達することができ、かつ電子機器又はポンプなどの駆動部を有さなくてもよい。あるいは、該ガスボンベは、NO
2を含む空気で充填されていてもよい。加圧ガスボンベ中の空気又は酸素ガスの使用は、混合、及び濃縮NOガスを治療用量まで安全に希釈するのに必要な装置を要する、不活性窒素ガス中のNOを供給する従来の方法を上回る利点を提供する。
【0086】
図7に、治療用ガスを送達するための、GENO高濃度NO
2加圧システム700を示す。
図6のシステム600とは対照的に、該システム700は、2つのGENOカートリッジ740及び750、並びに、GENOカートリッジ740又は750のどちらを使用するかを制御するための切換バルブ745を含む。NO-NO
2検出器770が、使用中のGENOカートリッジを出た空気流725d中にNO
2の存在を検出すると、該切換バルブ745を操作して、空気流725cがもう一方のGENOカートリッジ740又は750を通過するように切り替えることができる。第1のGENOカートリッジが故障した場合に、第2のGENOカートリッジへと切り替えるその能力は、治療用ガスが送達されている患者に更なる安全の階層を提供する。
【0087】
より具体的には、該システム700は、空気中1000ppmのNO
2を有するタンク720、及び流量制御装置722を含む。該実施例において、該タンク720は、2250psiにて150立方フィートであるタンクであり、125cc/分の空気流を提供する。患者に送達される40 ppm、5L/分の空気流で、タンク720はおよそ23日間持続する。該タンク720は、GENOカートリッジ740及び750の各々の予想される耐用期間よりも長い期間、空気流を供給することができ、この実施例に使用されるカートリッジにおける該耐用期間は、2週間未満である。したがって、1つのGENOカートリッジから別のGENOカートリッジへと切り替える能力は、確実にタンクの内容物を使用する又は実質的に使用するのに役立つ。
【0088】
空気中NO
2の空気流725aは、該流量制御装置722を出て、空気ポンプなどの空気供給源730によって生み出された5L/分の空気流725bと混合される。得られた空気流725cは、切換バルブ745に入る。該切換バルブ745は、GENOカートリッジ740又は750のどちらが該空気流725cを受け取るかを制御する。示されるように、該切換バルブ745は、該空気流725cがGENOカートリッジ750に供給されるように設定される。該GENOカートリッジ750は、空気流725c中のNO
2をNOに変換する。該GENOカートリッジ725dを出た空気流725dは、治療用NOガスを含む。空気流725dは活性アルミナカートリッジ760に入り、該空気流725d中の全てのNO
2が除去される。該活性アルミナカートリッジ760を出た空気流725eは、NO吸入治療の患者に送達される。
【0089】
該システム700は、NO
xサンプルバルブ765、及びNO
2を検出するように動作可能なNO-NO
2センサ770を含む。該NO
xサンプルバルブ765は、空気流767a及び767bからの空気サンプルを、NO-NO
2センサ770へ提供するように動作可能である。NO-NO
2センサ770を使用して、該空気流767a中のNO
2の存在を検出することは、第2のGENOカートリッジを使用することができるように、使用中のGENOカートリッジの故障の指標を提供することができる。いくつかの実施態様において、該活性アルミナカートリッジ760は、GENOカートリッジで置換することができる。
【0090】
図8に、治療用ガスを送達するための、GENO高濃度NO
2カートリッジシステム800を示す。
図6及び
図7のそれぞれのシステム600又は700とは対照的に、該システム800は、NOの発生に使用されるNO
2の供給源として、高濃度NO
2カートリッジを含む。より詳細には、該システム800は、NO
2カートリッジ800、例えば、小型のブタンタンク又はCO
2を送達するのに従来使用されるカートリッジなどを含む。該システム800の一実施例において、2.54cm(1インチ)×15.24cm(6インチ)の寸法を有し、CO
2中の5%のNO
2で充填されたNO
2カートリッジは、14日間NO
2を送達することが可能であった。
【0091】
NO
2遮断バルブ821は、カートリッジ800に隣接して、該カートリッジ800からのNO
2の送達を遮断する。またシステム800は流量制御装置822を含み、ほぼ一定流量の流れ825aが該流量制御装置822から出るようにする。該流量制御装置822は、ガス流825aがそこを通過する小さい穴を有するガラス管である。システム800の様々な実施態様において、該流量制御装置822は、1〜10cc/分の一定流量を確実にすることができる。
【0092】
NO
2を有するガス流825aは、流量制御装置822を出て、空気供給源830によって生み出されたおよそ5L/分の空気流825bと混合される。ガスミキサ835は、空気流825a及び825bが十分に(又は実質的に十分に)混合されることを確実にする。得られたNO
2を有する空気流825cは、NOを発生するGENOカートリッジ840に入る。
【0093】
また該システム800は、活性アルミナカートリッジ860を含み、NOを含む治療用ガスが約5L/分の速度で患者に送達される前に、全てのNO
2が取り除かれる。
該システム800は、NO
xサンプルバルブ865、及びNO
2を検出するように動作可能なNO-NO
2センサ870を含む。いくつかの実施態様において、活性アルミナカートリッジ860を、GENOカートリッジで置換することができる。
【0094】
図9に、治療ガスを送達するためのGENO透過システム900を示す。該システム900は、GENOカートリッジ940に流れるおよそ5L/分の空気流925aを含み、該カートリッジは空気を加湿するように作用する。該GENOカートリッジ940を出た後、空気流925aは、空気流925bが透過装置935を通過し、かつ空気流925cが通過しないように分離する。該透過装置935は、透過管機構937、及び空気流925aの開始時に約10ccの液体NO
2936を含む。該透過装置935は、
図2の透過セル235の一実施態様であり得る。該透過装置935は、透過オーブン939内に位置し、所望の濃度のNO
2が空気流925bに拡散することを確実にするために、一定の又は実質的に一定の温度を維持する。空気流925b及び空気流925cは、GENOカートリッジ950に入る前に、混合して流れ925dを形成する。該GENOカートリッジ950はNO
2をNOに変換する。
【0095】
該システム900はまた、活性アルミナカートリッジ960を含み、該カートリッジは、空気流925eを受け取り、NOを含む治療用ガスがおよそ5L/分の流速で患者に送達される前に全てのNO
2を除去する。該活性アルミナカートリッジを出た空気流925fは、NO吸入治療の患者に送達される。該システム900は、NO
xサンプルバルブ965、及びNO
2を検出するように動作可能なNO-NO
2センサ970を含む。
【0096】
図10に、治療用ガスを送達するためのGENO透過システム1000を示す。
図9のシステム900とは対照的に、該システム1000は、GENOカートリッジ1040及び1050のどちらが最初に空気流を受け取るかを制御するためのバルブ1010及び1015を含む。該システム1000は、NOに変換されるNO
2供給源として、透過装置1035中の液体NO
2を使用する。該システム1000はまた、活性化アルミナカートリッジ1060を含み、NOを含む治療用ガスがおよそ5L/分の流量で患者に送達される前に、全てのNO
2を除去する。また該システム1000は、NO
xサンプルバルブ1065、及びNO
2を検出するように動作可能なNO-NO
2センサ1070を含む。
【0097】
該システム1000は、バルブ1010へのおよそ5 L/分の空気流1025aを受け取り、該バルブ1010は、バルブ1015とともに、該空気流1025aがGENOカートリッジ1040又は1050のどちらを最初に通過するかを制御する。より具体的には、該バルブ1010及び1015の位置を制御することによって、該空気流1025aは、GENOカートリッジ1040、透過装置1025、GENOカートリッジ1050、次いで、活性化アルミナカートリッジ1060を通過させることができ、その後、患者に送達される。該バルブ1010及び1015の位置を操作することによって、該空気流1025aをまた、GENOカートリッジ1050、透過装置1025、GENOカートリッジ1040、次いで、活性化アルミナカートリッジ1060を通過させることができ、その後、患者に送達される。
【0098】
例えば、NO-NO
2センサ1070が空気流1025b中にNO
2の存在を検出すると、該センサは、バルブ1010及び1015を操作する必要性の信号を送り、GENOカートリッジ1040及び1050を切り替えて使用するという命令を与える。すなわち、例えば、該空気流1025aがGENOカートリッジ1040を通過し、その後、後続のGENOカートリッジ1050を通って流れている場合、該バルブ1010及び1015を操作して、該空気流1025aがGENOカートリッジ1050を通過し、その後、後続のGENOカートリッジ1040を通って流れるようにさせる。
【0099】
いくつかの市販の適用において、NO
2は酸素又は空気中およそ10〜100ppmの所定の濃度で販売され得る。
【0100】
図11は、NO
2をNOに変換する、GENOカートリッジ1100の概念的デザインを示す。該GENOカートリッジ1100は、
図1のカートリッジ100の一実施態様であり得る。該GENOカートリッジ1100は、長さおよそ15.24cm(6インチ)、直径2.54cm(1インチ)である。該GENOカートリッジ1100は、アスコルビン酸の水性溶液で飽和されたシリカゲルを含み、NO
2を含む空気又は酸素ガスボンベから空気流を受け取る。カートリッジ1100を通る空気流は、NO
2をNOに変換され、カートリッジ1100を出る。該GENOカートリッジ1100は、5ppmから5000ppmのNO
2濃度で有効に機能する。該GENOカートリッジ1100を用いるNO
2からNOへの変換は、熱源を必要とせず、かつ周囲空気温度で使用することができる。該GENOカートリッジ1100を用いたNO
2からNOへの変換は、該GENOカートリッジ1100を通過する空気流の流量とは実質的に無関係に起こる。
【0101】
図12に、NO
2を含むガスボンベ1220及びGENOカートリッジ1210を含む治療用ガス送達システム1200を示す。該GENOカートリッジ1210は、ガスボンベ1220からのNO
2をNO吸入治療の患者に送達するNOへ変換するための、
図11のGENOカートリッジ1100の一実施態様であり得る。該システム1200は、可搬式となるように設計される。いくつかの実施態様において、該システム1200は、電子機器又はセンサを使用することなく動作するよう設計することができる。ガスボンベ1220の容量に応じて、一般に該システム1200は、治療用NOガスを1から16時間送達する能力を有する。
【0102】
システム1200は、緊急体制における患者への治療用NOガスの送達に用いることができる。そのような状況の例を挙げると、緊急医療隊員、衛生兵又は野戦病院、消防士、救急隊員、及び病院の救急治療室又は外傷センターによる使用がある。別の例として、可搬式治療用NOガス送達装置は、酸素富化空気で呼吸している困窮した登山者を援助するのに使用することができる。更に別の例において、可搬式治療用NOガス送達装置は、主要NO供給源が故障している患者に使用することができる。いくつかの実施態様において、可搬式治療用NOガス送達装置は、一度限りの使用として設計することができる。
【0103】
図13Aに、液体NO
2供給源を有する治療用ガス送達システムの外観1300Aを示す。
図13Bは、
図13Aに示した治療用ガス送達システムの内部
図1300Bを示す。該治療用ガス送達システムは、液体NO
2供給源を有する透過管1310を含み、該透過管1310は、例えば、
図9の透過装置935の一実施態様であり得る。該治療用ガス送達システムはまた、GENOカートリッジ1340及び1350を含む。該GENOカートリッジ1340は、空気又は酸素供給源からの空気流1325aを受け取る。該GENOカートリッジ1340を出た後、空気流は、およそ10%の空気流が透過管1310を通過して流れ、これにより気体状NO
2が該空気流中に拡散するように分離される。該透過管1310を出た空気流、及び該透過管1310を通らなかったその他の空気流は、NO
2をNOに変換するGENOカートリッジ1350を通過して流れる。該GENOカートリッジ1350を出た空気流1325b及び1325cは、NO吸入治療の患者に送達される。該透過管1310、並びにGENOカートリッジ1340及び1350は、使い捨てとすることができる。
【0104】
該透過管1310の容量に応じて、
図13A及び
図13Bに示した治療用ガス送達システムは、1〜30日間の治療用NOガス送達能力を有し得る。
【0105】
図13A及び
図13Bに示した治療用ガス送達システムは、ベンチレータと連動することができる。また該
図13A及び
図13Bに示した治療用ガス送達システムを用いて、カニューレを使用した患者への治療用NOガス送達を行うことができる。例えば、毎分2リッターの流量で、該治療用NOガスの送達をカニューレを通して提供することができる。カニューレを用いる治療用ガス送達システムの使用により、NO治療を病院環境外で行うことを可能にする。そのような例の1つは、患者の自宅で行われる長期のNO治療のための治療用ガス送達システムの使用である。
【0106】
図13Cに、炭酸飲料の缶1350と比較した、
図13A及び
図13Bに示した治療用ガス送達システムの外観1300Aを示す。図示のように、
図13A〜
図13Cに示した治療用ガス送達システムの実施態様は、従来のNO吸入治療システムに比べて小型の装置であり、炭酸飲料の缶よりもわずかに大きい。
【0107】
図14に、GENOカートリッジを使用してNO
2をNO吸入治療で使用するためのNOに変換する、治療用ガス送達システム1400の外観を示す。該システム1400は、GENOカートリッジを挿入又は接続できるGENOカートリッジポート1410及び1415を含む。該システム1400は、空気又は酸素がそれを通ってシステム1400へ流入する入口ポート1420及び付属の計器1425を含む。該システム1400は、空気流を制御するための、フロー値1430及び表示器1435を含む。該システム1400は、GENOカートリッジフローポート1440を含む。
【0108】
また該システム1400は、温度制御装置1445、及びNO
x検出器アクセス1455によりアクセス可能なNO
x検出器1450を含む。該システム1400はまた、GENOカートリッジ1460を含み、該カートリッジ1460は、基本的にNOを有する空気流が出口1465を通りシステム1400を出る直前で、NO
2をNOに変換するために使用される。該GENOカートリッジ1460は、安全スクラバーと呼ぶこともできる。該GENOカートリッジ1460は、該システム1400の他の部分で使用されるGENOカートリッジよりも小さくてもよい。また該システム1400は、バックアップ入力ポート1470及び排気ファン1475を含む。
【0110】
これら更なる例示的実施態様は、酸素又は空気又はいくつかの組合せ中にNO
2として貯蔵された、必要用量のNOを含むガスボンベを使用する。ガスは該ガスボンベからの放出において、下記のように変換される。
正 2NO
2→2NO+O
2
【0111】
この反応は、GENOカートリッジにおいて、湿潤シリカゲルマトリックスのアルコルビン酸上にて1秒未満で起こる。システムの圧力は、ガスが該システムを通過するのに必要な力を維持しなければならない。通常、該力は約0.01〜50psiである。NOが形成されるとすぐに、下記の逆反応が起こる。
逆 NO+NO+O
2→2NO
2
【0112】
圧力が高いほど、より速くこの反応が起こる;実際、その速度は圧力について3次である。調整器の高圧側でのNO
2からNOへの変換は、逆反応が正反応とほぼ同じ速さで起こっている場合には起こらない。この問題に対処するために、圧力調整器の低圧側にGENOカートリッジを設置することによって該逆反応を最小化する。これを下記
図16に示す。ガスはガスボンベを出て、調整器を通過し、次いで、第1のカートリッジを下り接続管まで流れ、次に、第2のカートリッジに流れ、次いで、外へ出て使用者へと流れる。
【0113】
2つのカートリッジを、順々に、直列で使用する。その理由は、2重のリダンダンシーを与えることにある。1つのカートリッジで十分に機能するが、第2のカートリッジを有することでリダンダンシーを与える。各カートリッジは、100ppmで40%の余剰容量から20ppmに対して20×の余剰容量までのガスボンベの全内容物を捕捉するように大きさが設定されている。したがって、この例示的実施態様は、2つの同一のカートリッジを使用し、1つのカートリッジだけを使用する時の2倍のバックアップを提供する。
【0115】
システムの使用の安全性を向上させる別の方法は、ガスボンベのカバーの一体部分としてカートリッジを収めることである。これを調整器とともに下記
図17に示す。そのような実施態様において、使用者はガスボンベを受け取り、次いで、特殊な調整器をガスボンベに取り付ける。特別に固定されたCGA継手を使用することで、GENO調整器だけが使用され得る。しかし、該調整器の出力口は、ガスボンベのカバーに取り付けられたGENOカートリッジへの導入口になるように形成されてもよい。このように、使用者が該ボンベから排出されるガスを得ることができる唯一の方法は、特別なCGA継手を有する調整器を使用することであり、かつ該調整器から出てくるガスを得る唯一の方法は、GENOカートリッジに接続することである。このように、ガスボンベから出ているガスだけが、GENOカートリッジを通過することができる。
【0116】
これを
図18に示す。カートリッジは、常にガスボンベとともにある。例えば、ボンベを補充するために返却する場合でさえも、使用したカートリッジは、該ガスボンベに残されたままである。ガス充填に次いで、使用済みカートリッジを取外し、該使用済みカートリッジと新しいカートリッジとを取り替える。
【0117】
図18に、ガスボンベの出口及びカートリッジの入口に接続された調整器を示す。更なる安全性のために、該カートリッジからの出力は、酸素ガス中のNOが特別な補助器具を用いてのみ使用できるように、同様に鍵をかけることができる。
【0118】
NOガスの濃度を変更するためには、異なるガスボンベを使用する。ガスボンベ中のNOガス濃度の特定に有用な1つの方法は、各濃度のボンベに異なる色をもたせることである。例えば、20ppmの濃度を有するボンベを青とし、対して100ppmの濃度を有するボンベを赤とする。各濃度は、それ自身の特別な鍵のついたガスボンベを有することができ、それはまた、使用する目的の濃度と異なったNOガス濃度を、意図せず使用することを減少させる、又はそれを防止するのに役立ち得る。ガスボンベの取り違えを防止するために、例えば、100ppmの濃度を有するボンベはある場所でボンベに充填されるのに対し、20ppmの濃度のボンベは異なった場所でボンベに充填されるなど、異なる濃度を異なる場所でボンベに充填してもよい。
【0119】
いくつかの実施態様において、カートリッジの構造は3部分のみを含み得る。第1の部分は、
図19に示すように、2つの管の間に第3の導管を有する対をなす管である。
【0120】
図20にも、2つの管の間に第3の導管を有する対をなす管を示す。
【0121】
この3部分のカートリッジの構造のエンドキャップを、
図21A及び21Bに示す。
【0122】
該キャップの内部は、中心管が形作られている。該管とキャップと管との密閉は、超音波溶着によって達成され得る。該管の密閉は、溶剤接着、O-リング又は締め具による密閉などの別の技術を使用して達成することができる。該キャップの特徴は、キャップ表面に迅速脱着用のオス部が成形されていることであり;それによって、カートリッジ全体を使い捨て部材とさせる。
【0123】
カートリッジは下記のように組み立てることができる。
1. 粉体を保持するような細孔サイズを有するプラスチック製のフリットを、エンドキャップに挿入する。
2. 管と1つのエンドキャップを互いに溶接し、該フリットがカートリッジから出る粉体を防ぐフィルタとして動作する位置にあるようにする。
3. 該管に試薬粉を充填する。充填の間、該粉末を圧縮し、振動させて、均一で隙間のない封入、及び全ての空所の除去を確実に行うようにする。該管が充填されると、所定の位置にフィルタを有する第2のエンドキャップを管の上部に設置し、所定の位置に接合する。
4. 必要であれば、該システムを窒素ガスで洗浄して、該システムから酸素を除去する。
5. 水分の混入を阻止するために、プラスチック製のエンドキャップを入口及び出口管上に設置する。
【0125】
レキュペレータカートリッジは、吸入直前のガス配管に挿入される。該レキュペレータの目的は、ベンチレータにおいて、及びガスバッグ又は他の一時的なガス保管装置に保管する間に形成された全てのNO
2ガスをNOに変換し戻すことである。
図22A及び22Bに、レキュペレータの他の実施態様を示す。
【0126】
あるいは、該レキュペレータは、第1のカートリッジの1つと同じ大きさ及び形態であってよい。これは、操作におけるシステムの安全性を更に増大させる。例えば、ガスボンベの全内容物をNO
2からNOへ変換することができるレキュペレータを用いることによって、該レキュペレータは該システムに3重のリダンダンシーを与える。
【0128】
該ガスボンベは、NOを伴う他の用途にも使用することができる。該ガスボンベを使用して、電子機器の使用なしに、充填されたガスを送達することができる。該システムの利点を挙げると、簡便、混合不要、電子機器不要及びソフトウェア不要がある。操作のために、調節器を接続しバルブを開く。
【0129】
また該GENOガスボンベシステムは、希釈器とともに使用することができる。実施態様の例において、例えば、ガスは酸素中1000ppmのNO
2として輸送される。第1段階で、使用者の装置は、この濃度から、例えば20ppmのNO
2に希釈する。第2段階は、GENOカートリッジを挿入し、該ガスをNOに変換する。NO
2はレキュペレータによってNOに変換されることになるから、該レキュペレータカートリッジは、使用者が懸念するガスライン中で形成される全てのNO
2について、低下させるのに役立つ。同様に、該レキュペレータカートリッジを現行のシステムとともに使用して、吸引時に、残留しているNO
2ガスの全てを医療用形態、つまりNOに変換することができる。また、該レキュペレータは、該システムからNOガスが失われることなく、かつ患者が十分な所定用量を受けられるようにする。
【0130】
GENOは、NO
2という毒性形態の存在なしに、100〜200ppmの範囲又は更に高い、高用量のNOを送達できるという事実が重要であろう。これは、達成し得る用量を制限する有毒なNO
2の存在のために、送達用量がおよそ20ppmの範囲に制限されているという難点に対処する。該GENOシステムは、吸引ガスにおけるNO
2毒性の問題を排除する。このことは、多数の疾患、特にARDS(「急性呼吸促迫症候群」)の治療に対するNOガスの有用性を増大させるか、あるいは更に大きく増大させ得る。
【0133】
GeNO技術のいくつかの実施態様において、NO
2を酸素又は空気のいずれかに約20ppmで分配し、かつGeNOカートリッジをガスボンベの高圧側に設置する。該カートリッジは、タンクの全NO
2(毒性である)内容物を、無毒性であるNOガスに変換する能力を有する(
図23参照)。この高圧カートリッジは、タンクとともに送達することができ、かつ特別に設計された継手のために、タンク製造者によってのみ取り外されるように設計されている。また、このカートリッジは、次に通常の医療用の使用のための接続を有するGeNOカートリッジ(低圧)の取り付けが可能な、調整器のための継手を有してもよい。これは、低圧カートリッジの使用なしにタンクを使用することを防止するのに役立ち、該低圧カートリッジは、タンク中のNO
2の全内容物を変換する能力も有する予備の安全カートリッジである。またこれは、何者かが酸素又は空気中の毒性NO
2ガスを含むガスボンベに、GeNOではない調整器を取り付ける可能性を低減させるのみならず、調整器欠如時に、部屋内へのタンク内容物の偶発的な放出の可能性を低減させるのに役立つ。
【0135】
更に又はあるいは、第2の、重複した装置(タンク、調整器及びカートリッジを含む)を利用して、患者の投与源を別のタンクへ迅速に切り替えることを可能にする。
【0138】
拡散セルは、透過管の壊滅的な破裂と関連する危険を最小化するか、又は軽減さえするのに役立つことができる。毎分5リッターの空気中20ppmのNOという常用量は、1日あたり約0.33gのNO
2となる。10日の供給では、3〜4gの液体NO
1/N
2O
4を有し得る。透過管が突然破裂した場合、内容物が部屋内に漏れ出し、特許(patent)及びスタッフのいずれにとっても深刻な危険を生み出す。この安全性の問題を緩和するために、液体NO
2をステンレス鋼又は強化プラスチック製の強固な拡散セルに貯蔵することができる。該拡散セルは狭口径の皮下針によって透過管に接続され、該透過管のためのリザーバとして作用する。透過管の壊滅的な破損時に、該液体は狭口径針を通って数時間から数日にわたりゆっくりと流れ出し、それによって、毒性のNO
2の最悪かつ突然の放出を回避する。更に、該拡散セルは、例えば、押しつぶし、コンクリートへの落下、又は鋭利な物体による損傷に十分耐えるほど強固に作製することができる。
【0140】
いくつかの実施態様において、該拡散セルは、透過管によって、必要とされるよりわずかに多いNO
2を送達するように設計されている。したがって、長さ10.16cm(4インチ)、内径0.051mm(0.002インチ)の中空管を有するステンレス鋼製のセルは、35℃にて毎分5リッターの空気中20ppmよりわずかに多くのNO
2を供給するのに十分な素材を提供する。該セルからの拡散速度は、毎分約200,000ngとすべきである。この方法を使用する場合、該拡散セルは、安全装置としてだけでなく、透過管にとっての放出機構のバックアップ制御としても作用する。透過管の壊滅的かつ突然の故障が発生した時でさえ、該拡散セルは適切な用量を供給し続ける。したがって、該拡散管は透過管のための貯蔵装置として使用され、かつ該透過管及び該拡散セルは互いに動作し、安全性のための2重のリダンダンシーを与えている(
図24を参照)。
【0142】
透過管及び/又は拡散セルからのNO
2の透過速度及び/又は拡散速度は、温度に依存する。NO
2の場合、温度が10℃増加するごとに、速度は約1.9倍増加する。透過管及び拡散セルの典型的な使用において、この速度増加は温度を制御することによって制御される。GENOの用途においては、温度を制御せずに、およそ15〜35℃の温度範囲でガスを供給することが望ましい。これは、例えば、下記の概念及び技術を使用して達成し得る。
【0143】
(透過管)
透過管において、透過できる物質の量は、管の長さに正比例する。したがって、より長い管は、短い管よりもよりNO
2を送達できる。これを考慮し、可動性で、滑動する、非透過性の覆いを使用して、曝される透過管の量を調整し、既知温度におけるNO
2の送達を調節することができる(
図25参照)。該管の長さは、最も低い設定温度で、適切な用量を供給するように定められる。この例において、該管は、15℃でおよそ200,000ng/分で送達するように設計されている。管上を滑動させ、該管の約3/4の長さを覆うスリーブが提供される。したがって、15℃では、管全体がさらされる。温度が25℃のとき、該管からの拡散速度は2倍であり、該管の活性長をの1/2を覆うことにより、これを補正する。35℃では、毎分およそ200,000ngの同一の透過速度を維持するのに、該管の1/4だけが必要となる。
【0144】
温度が良好に制御された病院の環境において、該システムは、温度(℃)で度盛りされた手動のスライドで適正化されることが企図され、かつ該覆いは部屋の温度で設定される。また、精度を与えるために、装置に温度計を取り付けることもできる。NO
2カートリッジは、患者の部屋の既知温度に対して、透過管上の覆いを適切な位置に滑動させ、調節するダイヤルを備え、NOに変換するための適切なNO
2濃度を供給することが予想される。
【0145】
(拡散セル)
拡散セルからの発散速度は、一般に、狭口径の拡散針の長さに比例する。1つの方法として、該針の側面の1/4、1/2、3/4の位置に穴が存在する。該3つの穴は、針の前方、側面及び後方にあるようにずらされている。適切な溝を有する外部覆いは、該針の周囲と適合する。該外部被覆を回転させることで、15℃では1/4の位置にある穴の覆いが取られるのに対し、35℃では全ての側面の穴が覆わる。
【0146】
第2の方法として、該拡散セルは、4つの同等の狭口径針が取り付けられており、各針は短い透過管に取り付けられている。この方法を使用して、温度に応じて管の数を変化させる。
【0147】
これらの例示的実施態様において、記載した管の数及び穴の数は例示にすぎず、考慮される技術の用途を限定することを意図するものではない。
【0148】
(NO離脱(Weaning-Off)用量 (5ppm))
【0149】
温度制御と同様に、用量もまた、該覆いを使用すること又は管の数を変化させることによって制御することができる。1つの管上のダイヤルを弱めて、必要とされる1/4の量のNO
2を発散させて(20ppmのNOの用量に対して十分な校正が行われている場合)、5ppmの離脱用量のNOを患者に供給できる。加えて、4本の管が20ppmのNO用量を提供するためにNO
2カートリッジにおいて使用される場合、該ダイヤルは該透過管のうち3本覆うことができ、温度調節を行いながら、4本目の管をそのままにして5ppmの用量を提供する(
図26参照)。上記説明に基づいて、これの様々な置換が存在する。
【0151】
透過管を医療用の用量に使用する上での問題の一つは、それらは平衡に達するのに長い時間を要し得るということである。該透過管は、常に透過しており、かつスイッチを切ることができないので、該管が密封され、透過槽に入る空気流もない場合、該管は初期の過剰用量を送達し得る。該管が平衡に達し正確な用量を送達するのに、4時間以上かかることが見出されている。該管の活性ある領域を厚肉のテフロン又はステンレス鋼又はガラスなどの非透過性の覆いで覆うことによって(
図25参照)、輸送及び保管中のNO
2の透過を遮断でき、平衡に到達するのに必要な時間を実質的に短縮し、あるいは大きく短縮する。該覆いは使用直前に取り除くことができ、校正された用量に平衡が達するのに、通常1時間以下を要する。該管の活性領域を非透過性の覆いで覆うことによって、吸入療法に使用されない間に、該管が封をされ、その透過槽に入る空気流もない場合に、比較的迅速に平衡に達することができ、更に別法では起こり得る初期の過剰投与の防止に役立つ。
【0153】
拡散セルの使用と組合せた、液体NO
2を含む拡散槽の強化もまた、透過管の破裂の事態に毒性のNO
2が漏れ出すのを防ぐのに役立つ。加えて、完全に下ろした覆いを有することで、輸送や保管中にNO
2カートリッジ槽から透過管を密封し、かつ使用しないときには、該管を保護するのに役立つ。該覆いの使用はまた、拡散セルなしに透過管を使用する場合に、該透過管を保護する。
【0155】
いくつかの実施態様において、特別な感熱性のインクをNO
2カートリッジ上に置き、過度に高温にさらされたことを示すことができる。熱は該透過管に過度の加圧を生じさせ、破裂し易くさせ得るため、該インクによって、使用者にカートリッジを使用しないように知らせる。該カートリッジにおける気密の封は、該透過管の内部と外部の間の圧力差を防止するのに役立であろう。
【実施例】
【0156】
(実施例1)
長さ15.24cm(6インチ)、直径3.81cm(1.5インチ)のカートリッジを、NO発生カートリッジとして使用した。およそ90gのメッシュサイズ35〜70のシリカゲルを、25%のアスコルビン酸溶液に浸漬し、室温で2時間空気乾燥させた後、カートリッジ内に配置した。NO
2透過管をNO
2の供給源ガスとして使用した。空気ポンプから150cc/分の速度で、空気を該透過管に流入させ、この空気がカートリッジを出た後に、(同様に空気ポンプからの)3L/分の周囲空気と混合した。該透過管を、32℃に温度設定されたオーブン内に配置して、該カートリッジに20ppmのNO
2の定常的な流れを提供した。該カートリッジは、100%のNO
2からNOへの変換が終わるまで269時間持続し、破過点に到達した。
【0157】
(実施例2)
2つのカートリッジをそれぞれ、メッシュサイズ35〜70のシリカゲル、及びおよそ40gのシリカゲルを用いて充填した。該シリカゲルを、25%のアスコルビン酸溶液が完全に浸透するまで浸漬し、次いで、オーブン内で1時間、115.55℃(240°F)で乾燥させることによって調製した。該アスコルビン酸溶液は、25gのアスコルビン酸を100mlの脱イオン水中に混合することによって調整した。
【0158】
1000ppmのNO
2タンクを使用して、NO
2を150cc/分の流量で2つのGENOカートリッジを経由して流した。該2つのカートリッジは直列に配置した。NO
2が第1のカートリッジを通過し、NOに変換された後に、空気タンクからの周囲空気を混入させた。次いで、NOを含む空気を、直列の該第2のカートリッジを通過させた。該空気は3L/分の流量でカートリッジを通過して、空気中40ppmのNOの全体混合物を作り出し、NO
2の逆反応はなかった。
【0159】
該2つのカートリッジは、104時間、NO
2を100%変換した。104時間が経過したとき、NO
2タンクが空になったため実験を停止した。該2つのカートリッジは、104時間後もまだ破過点に到達しなかった。
【0160】
実験結果は、シリカゲルを窒素ガスなどのガスを用いて乾燥させて、該シリカゲルからの水/アスコルビン酸溶液の滴下を除去することによって改善され得る。
【0161】
(実施例3)
長さ15.24cm(6インチ)、直径3.81cm(1.5インチ)のプラスチックPVCカートリッジを、NO発生カートリッジとして使用した。該カートリッジの内部に、アスコルビン酸−シリカ混合物を充填した。アスコルビン酸とシリカの混合物を作り出すために、メッシュサイズ35〜70をおよそ108g使用した。該シリカゲルを25%のアスコルビン酸溶液に浸漬し、次いで、オーブン内で1時間、115.55℃(240°F)で焼成した。25gのアスコルビン酸を100mlの脱イオン水に溶解させることによって、該アスコルビン酸溶液を調製した。
【0162】
1000ppmのNO
2タンクを、カートリッジの一端に取り付けて、1000ppmのNO
2が150cc/分の流量でカートリッジを通って流れるようにした。次いで、該カートリッジのガス出力を、3L/分の流量で流される空気ポンプを用いて空気と混合させて、空気中40ppmのNOの全体混合物を作り出した。このカートリッジは、破過点に到達する前に、合計で122時間持続した。
【0163】
NO
x検出器は、0.15ppm〜0.25ppmの間で変化する、わずかなNO
2濃度を検出した。該NO
2濃度は、破過点まで定常性を維持し、検出されたNO
2濃度は、該カートリッジの効率性が100%に満たないことによるものではなく、むしろカートリッジ以後に管機構内で再び生み出されたNO
2であるという可能性が高まった。少量のNO
2の逆反応をなくすために、第2のより小さいカートリッジを検出器より前に配置することができる。
【0164】
(実施例4)
25%のアスコルビン酸に浸漬したメッシュサイズ35〜70のシリカゲルを使用し、およそ1時間空気乾燥させることによって、カートリッジを調製した。透過管をNO
2の供給源とし、KinTekオーブンを使用して、必要とされるNO
2のレベルを40ppmへと上昇させた。この濃度を達成するために、オーブンを45℃に設定した。空気ポンプを使用して、空気を200cc/分の流量で透過管へと送達した。また空気ポンプを使用して、希釈空気を3L/分の流量で提供した。NO
2の供給に湿度を加えるために、水で満たした2つのジャーを、空気が透過管に入るより前に200cc/分の空気に接続した。これは、NO
2供給源に入る空気が水分を多く含み、したがって、カートリッジに入るNO
2もまた水分を多く含むようにするのに有効であった。およそ5日間ごとに、第1のジャー内の水が管機構の端部より下に低下し、水位を管端部の底部より上とするように補充が必要であった。第2のジャーは、実験の間ずっと操作されることがなかった。該カートリッジは、100%のNO
2からNOへの変換が終わるまで409時間持続し、破過点に到達した。
【0165】
(実施例5)
長さ15.24cm(6インチ)及び直径3.81cm(1.5インチ)のカートリッジを、メッシュサイズ35〜70のシリカゲル108gを用いて調製した。該シリカゲルを、25%のアスコルビン酸溶液に浸漬し、室温(およそ21.11℃(70°F))で約2時間乾燥させた。空気乾燥されたシリカゲルを、カートリッジの内側に配置した。
【0166】
40ppmのNO
2の流れを、3.2L/分の速度でシリカ−アスコルビン酸カートリッジを通して送った。該カートリッジは、100%のNO
2からNOへの変換が終わるまで299時間持続し、破過点に到達した。空気乾燥されたシリカゲルで充填されたカートリッジは、オーブン乾燥されたシリカゲルで充填された比較のカートリッジと比べてより長く持続した。これは、空気が存在下でアスコルビン酸を加熱することによる、酸化損失を表す。
【0167】
(実施例6)
およそ40gのメッシュサイズ35〜70のシリカゲルを、33%のアスコルビン酸溶液に浸漬し、オーブン内で115.55℃(240°F)にて乾燥させた後、カートリッジに配置した。空気ポンプを通る流量3L/分の周囲空気を、タンクからの流量200cc/分の1000ppmのNO
2と混合させ、それによって、3.2L/分の総流量、及び全体で60ppmのNO
2を含むNO
2/空気混合物を作り出した。該カートリッジは、その100%の変換能力を失うまで、25時間持続した。これは、該カートリッジにおけるシリカゲル/アスコルビン酸の使用を少なくすると、カートリッジが同じ時間は持続しないことを示す。
【0168】
NO
2がNOへと定量的に変換されるNO発生カートリッジの使用は、治療用ガス送達に限定されず、多くの分野に適用することができる。例えば、該NO発生カートリッジは、空気汚染監視装置内に含めることができる。より具体的には、該NO発生カートリッジを使用して、空気汚染計器での空気中のNO
2ガス測定において今日広く使用される高温触媒変換装置を置き換えることもできる。従来の触媒変換装置は、大きな電力を消費し、触媒変換装置を、NO発生カートリッジを使用する装置に交換することによって、空気汚染計器を単純化することができ、また、コストの低減、重量の低減、携帯式空気汚染監視機器を可能にすることができる。
【0169】
別の例示的な使用として、NO発生カートリッジをNO
x校正システムに使用することができる。
図15はNO
x校正システム1500の例を図示し、該システムは、空気中1000ppmのNO
2と流量調整器1522を有するタンク1520を含む。
図15の例において、該タンク1520は、
図7のタンク722の一実施態様である。
【0170】
空気中のNO
2の空気流1525aは、流量調整器1522を出て、空気ポンプなどの空気供給源1530によって発生された5L/分の空気流1525bと混合する。得られた空気流1525cは、切換バルブ1545に入る。該切換バルブ1545は、空気流1525c中のNO
2をNOに変換するために、GENOカートリッジ1540が空気流1525cを受け取るかどうかを制御する。示されるように、該切換バルブ1545は、空気流1525cがGENOカートリッジ1540に提供されるよりも、配管1550に提供されように設定される。
【0171】
該システム1500は、NO及びNO
2検出を校正するようにNO
x計器1570を含む。該NO
x計器1570は、空気流1525cが切換バルブ1545によってGENOカートリッジ1540に方向付けられた場合に、NOを含む空気流1525dを受け取る。対照的に、該空気流1525cが切換バルブ1545によって配管1550に方向付けられた場合は、空気流1525dはNO
2を含む。
【0172】
該NO
x校正システム1500は、NO及びNO
2のどちらについてもNO
x計器1570を校正するNO
2を含む1つの加圧タンクを必要とする。校正を行うために、例えば、該NO
x計器1570は、まず切換バルブ1545を使用して、空気流1525cがGENOカートリッジ1540を通過するように方向付ける(空気流1525c中のNO
2をNOに変換する)ことによって、NOについて校正することができる。次いで、該NO
x計器1570は、切換バルブ1545を使用して、空気流1525cが配管1550を通過するように方向付け、結果的にNO
2を含む空気流1525dにすることによって、NO
2について校正することができる。更に、NO
x校正システム1500は、例えば、校正の間、不意のNO
2への曝露がないようにするために、NO
2のNOへの変換に熱の使用を必要としない。
【0173】
上記の様々な実施態様は例証のみの目的で提供され、請求項に係る発明を限定すると解釈されるべではない。当業者には、本明細書中に例示されかつ記載された例示的実施態様及び適用に従うことなしに、及び下記の特許請求の範囲に記載される請求項に係る発明の真の精神及び範囲を逸脱することなしに、請求項に係る発明になされ得る様々な改良及び変更が容易に理解されるであろう。