(54)【発明の名称】肌状態解析方法、肌状態解析装置、及び、肌状態解析システム、並びに、該肌状態解析方法を実行させるためのプログラム、及び、該プログラムを記録した記録媒体
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記皮膚評価ステップは、前記面積、前記長さ、前記幅及び/又は前記深さに対応する評価年齢を算出し、算出した前記評価年齢に基づいて前記皮膚表面の状態を評価することを特徴とする、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の肌状態解析方法。
前記形状取得ステップは、前記皮膚表面の形状を採取したレプリカの形状を計測することによって、該皮膚表面の三次元形状データである前記複数の光学的断面像を取得することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の肌状態解析方法。
前記結果評価部は、前記面積、前記長さ、前記幅及び前記深さに対応する評価年齢を算出し、算出した前記評価年齢に基づいて前記皮膚表面の状態を評価することを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の肌状態解析装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面の中の記載で、同一又は対応する部分又は部品には、同一又は対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は部分もしくは部品間の相対比を示すことを目的としていない。したがって、図面の中の具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定することができる。
【0015】
(肌状態解析装置の構成)
本発明の実施形態に係る肌状態解析装置の概略構成図を
図3に示す。
【0016】
図3に示すように、本発明の実施形態に係る肌状態解析装置100は、皮膚表面の皮溝の形状を測定し、測定した皮溝の形状に基づいて、皮膚表面の状態(以下、「肌状態」という。)を解析する装置である。肌状態解析装置100は、本実施形態では、肌状態解析装置100全体の各構成に動作を指示し、その動作を制御する制御手段10と、皮膚表面の三次元形状を計測して、皮膚表面の三次元形状データを取得する計測手段20と、三次元形状データに基づいて皮溝を抽出し、抽出した皮溝に基づいて肌状態を評価する解析手段30とを有する。また、肌状態解析装置100は、本実施形態では、計測手段20の測定条件及び測定結果並びに解析手段30の解析条件、解析結果及び評価結果などを記憶する記憶手段40と、計測手段20の測定条件などを肌状態解析装置100外部から肌状態解析装置100に入力し、肌状態解析装置100外部に測定結果などを出力するインターフェース手段50とを有する。
【0017】
以後の説明において、肌状態を解析する部位(部分)は、本実施形態では、被験者の頬部とする。なお、肌状態を解析する部位(部分)は頬部に限定されるものではなく、任意の部位(部分)の肌状態を解析することができる。
【0018】
制御手段10は、肌状態解析装置100の各構成(後述する計測手段20など)に動作を指示し、各構成の動作を制御する手段である。制御手段10は、本実施形態では、インターフェース手段50(後述する入力部51)を用いて入力された測定条件等に基づいて、測定手段20を制御する。また、制御手段10は、インターフェース手段50を用いて入力された解析条件及び評価条件に基づいて、解析手段30(後述)を制御する。更に、制御手段10は、測定結果、解析結果及び評価結果などをインターフェース手段50(後述する出力部52及び表示部53)に出力する。
【0019】
計測手段20は、皮膚表面の三次元形状を計測して、皮膚表面の三次元形状データ(以下、「三次元形状データDf」という。)を取得し、解析手段30に出力する手段である。計測手段20は、本実施形態では、計測する皮膚表面(又はレプリカ)を配置する供試部21と、その皮膚表面の三次元形状を計測(撮像)する撮像部22と、供試部21と皮膚表面との相対的な位置関係を変化させる駆動部23とを有する。
【0020】
供試部21は、本実施形態では、皮膚表面で採取したレプリカを配置するものである。計測に用いるレプリカは、肌状態を解析する部位で採取された直径30mm程度のレプリカである。また、レプリカによる皮膚表面の採取位置は頬部に限定されるものではなく、任意の部位(部分)の皮膚表面から採取することができる。更に、レプリカを採取しなくても、後述する撮像部22によって、直接、肌状態を計測(撮像)してもよい。
【0021】
撮像部22は、供試部21に配置されたレプリカ(又は皮膚表面)の三次元形状を計測するものである。撮像部22は、本実施形態では、形状取得ステップとして、共焦点顕微鏡を用いて、採取したレプリカの三次元形状データDfを画像データとして取得する。なお、共焦点顕微鏡は、集光レンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ、ピンホール及び光検出器等を用いて構成することができる。また、共焦点顕微鏡は、光源(レーザ光源)から出射した出射光を集光レンズで集光し、ビームスプリッタに透過して、対物レンズを用いてレプリカ上に照射することができる。更に、共焦点顕微鏡は、照射光がレプリカ表面で反射した反射光を対物レンズに透過し、ビームスプリッタで反射し、ピンホールを介して光検出器に入射することができる。このとき、共焦点顕微鏡は、反射光を検出することで、レプリカの三次元形状データDfを取得することができる。
【0022】
駆動部23は、供試部21(レプリカ)と撮像部22(共焦点顕微鏡)の相対的な位置関係を変化させるものである。また、駆動部23は、レプリカの三次元形状データDfを取得するために、撮像部22(共焦点顕微鏡の対物レンズなど)を照射光の光軸方向に移動することができる。更に、駆動部23は、レプリカを供試部21に配置するために、供試部21の位置を変化させることができる。なお、駆動部23は、周知技術の駆動機器(平行移動装置及び回転移動装置など)を用いることができる。
【0023】
解析手段30は、計測手段20が取得したレプリカ(又は皮膚表面)の三次元形状データDfに基づいて、そのレプリカを採取した部位の肌状態を評価(解析)する手段である。解析手段30は、本実施形態では、計測手段20が取得した三次元形状データDfに基づいて、肌状態の三次元画像(以下、「原画像Do」という。)を生成する画像生成部31と、生成した原画像Doに基づいて皮溝に関する画像(以下、「皮溝ST」という。)を抽出する皮溝解析部32と、抽出した皮溝STに基づいて肌状態を評価する結果評価部33とを有する。
【0024】
画像生成部31は、原画像生成ステップとして、撮像部22(計測手段20)が取得した三次元形状データDfに基づいて、原画像Doを生成する。具体的には、画像生成部31は、合焦位置を駆動部23によって変化させながら、撮像部22が取得した複数の光学的断層像(三次元形状データDf)を合成することによって、レプリカの三次元画像(原画像Do)を合成(生成)することができる。
【0025】
皮溝解析部32は、皮溝抽出ステップとして、生成した原画像Doに基づいて皮溝STを抽出する。皮溝解析部32は、本実施形態では、ガウシアンフィルタ処理及び/又はノイズ除去処理を用いて原画像Doを補正した画像(以下、「補正画像Dr」という。)を生成する画像補正部32R(
図4)と、生成した補正画像Drに基づいてガウシアンフィルタ処理及び二値化処理を用いて皮溝STを抽出する皮溝抽出部32E(
図4)と、抽出した皮溝STに含まれるノイズを除去した画像(以下、「ノイズ除去後画像Dn」という。)を生成するノイズ除去部32N(
図4)と、ノイズ除去後画像Dnに基づいて皮溝STの溝底に関する情報を抽出する最下点群抽出部32Z(
図4)と、抽出した溝底に関する情報に基づいて肌状態を算出する肌状態算出部32C(
図4)とを有する。
【0026】
画像補正部32Rは、ガウシアンフィルタ処理及び/又はノイズ除去処理を用いて、原画像Doを補正して補正画像Drを生成することができる。ここで、ガウシアンフィルタ処理(Gaussian Filter Process)とは、画像を補正(平滑化処理)することによって、レプリカ全体の傾き及び反り歪みを除去する処理である。具体的には、画像補正部32Rは、毛穴・皮溝・皮丘の形状を表す画像部分に影響を与えない大きさの波長(例えば波長2.4mm)のガウシアンフィルタを用いて、画像の注目画素に近いほど平均値を計算するときの重みが大きくなり、画像の注目画素から遠くなるほど重みが小さくなるガウス分布関数によって、画像を補正する。
【0027】
皮溝抽出部32Eは、生成した補正画像Drに基づいて、皮溝STを抽出する。具体的には、皮溝抽出部32Eは、補正画像処理ステップとして、皮溝の形状に影響を与えないで毛穴及び皮丘の形状を平滑化することができる波長(例えば0.4mm)のガウシアンフィルタ処理により補正画像Drを平滑化した後、二値化処理により皮溝部分(皮溝ST)を特定する。これにより、皮溝抽出部32Eは、補正画像Drから皮溝STを抽出することができる。ここで、二値化処理とは、画像の各画素の輝度値(明るさ)などに対して所定の閾値を設定し、所定の閾値未満なら「0」、以上なら「1」とする(二値化する)画像処理である。
【0028】
ノイズ除去部32Nは、補正画像処理ステップとして、抽出した皮溝STに含まれるノイズを除去してノイズ除去後画像Dnを生成する。ここで、ノイズ除去処理とは、平滑化フィルタ、中央値フィルタ及びその他のノイズ除去フィルタを用いることができる。本実施形態では、皮溝抽出部32Eが二値化処理で抽出した皮溝部分をラベリング処理して微小なサイズの塊を除去することでノイズの除去を行う。なお、微小なサイズとは、抽出する皮溝の大きさ(サイズ)などに対応した値とすることができる。更に、微小なサイズは、数値計算及び実験等により予め定められた値とすることができる。
【0029】
最下点群抽出部32Zは、溝底抽出ステップとして、ノイズ除去後画像Dnに基づいて、皮溝STの溝底に関する情報を抽出する。具体的には、最下点群抽出部32Zは、本実施形態では、三次元形状データDfに基づく肌状態のノイズ除去後画像Dnのz軸方向(皮膚の内部に向かう方向)の座標に基づいて、皮溝STの最下点群STzを特定することができる。これにより、皮溝解析部32は、皮溝STの最下点群STzを溝底に関する情報として取得することができる。
【0030】
肌状態算出部32Cは、ノイズ除去後画像Dn及び抽出した溝底に関する情報に基づいて皮溝の形状(皮溝の面積、長さ、幅及び深さ)を算出する。具体的には、皮溝形状解析部32Cは、本実施形態では、皮溝STの最下点群STz及び解析範囲(撮像範囲)の全面積Sa(ノイズ除去後画像Dn)に基づいて、数式(1)〜数式(4)により、皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDfを算出することができる。
【0031】
Sf=(ΣSTs)/Sa×100 [%] 数式(1)
Lf=Σ(STz
n(x,y)−STz
n−1(x,y))[mm
2/mm]数式(2)
Wf=Sa・Sf/Lf [μm] 数式(3)
Df=ΣSTz
n(z)/n [μm] 数式(4)
ここで、STsは皮溝STのxy平面上の面積、Σは総和、STz
n(x,y)は総数n個の最下点群STzのn番目の点のxy平面(皮膚表面)上の座標、STz
n(z)は総数n個の最下点群STzのn番目の点のz座標である。なお、皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDfを算出する方法は、上記数式に限定されるものではない。
【0032】
結果評価部33は、皮膚評価ステップとして、皮溝STに基づいて算出した肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)を評価する。また、結果評価部33は、皮膚評価ステップとして、皮溝の面積、長さ、幅及び深さに対応する評価年齢をそれぞれ算出し、算出した評価年齢と入力部51(インターフェース手段50)を用いて入力された評価条件(例えば被験者の年齢)とを比較することによって、肌状態を評価してもよい。更に、結果評価部33は、所定の評価指標を用いて皮溝STを評価してもよい。
【0033】
具体的には、結果評価部33は、算出した肌状態と所定の評価指標とを比較して、その大小又は差分により、肌状態を評価することができる。これにより、肌状態を「良好」又は「不良」などで二分するのではなく、どの程度「良好」かの定量的な指標を得ることができる。また、解析した肌状態が予測値にどの程度近いかの評価結果を得ることができ、その後の研究・開発の指針を得ることができる。
【0034】
ここで、所定の評価指標とは、採取した皮膚の部位、年齢、肌の暴露環境などに対応した値とすることができる。また、所定の評価指標は、前回採取したときの肌状態を基準とすることができる(経時変化を評価)。更に、所定の評価指標は、数値計算及び実験等により予め定められた値とすることができる。
【0035】
記憶手段40は、肌状態解析装置100の測定手段20が測定した測定結果及び解析手段30が解析した解析結果、評価した評価結果並びにインターフェース手段50(入力部51)により入力された測定条件、解析条件(画像の補正に用いるフィルタなど)及び評価条件(評価指標など)を記憶する。また、記憶手段40は、制御手段10が肌状態解析装置100の各構成の動作を制御するために必要な情報及び制御プログラムを記憶する。なお、記憶手段40は、周知の技術を用いることができる。
【0036】
インターフェース手段50は、肌状態解析装置100外部と情報の入出力を行なう情報伝達手段又は情報通信手段である。インターフェース手段50は、本実施形態では、測定条件、解析条件及び評価条件を外部から肌状態解析装置100に入力する入力部51と、測定結果、解析結果及び評価結果を肌状態解析装置100外部に出力する出力部52と、測定結果、解析結果及び評価結果などを表示する表示部53とを有する。なお、インターフェース手段50は、周知の技術を用いることができる。
【0037】
(肌状態解析装置の機能)
本実施形態に係る肌状態解析装置100が肌状態を解析する機能を、
図4を用いて説明する。
図4は、肌状態解析装置100(解析手段30)の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0038】
図4において、肌状態解析装置100は、インターフェース手段50の動作指示などにより、肌状態の解析を開始するため、撮像部22(計測手段20)によってレプリカの三次元形状データDfを取得し、画像生成部31(解析手段30)に出力する(図中の30in)。
【0039】
次に、画像生成部31は、撮像部22が取得した三次元形状データDfに基づいて、原画像Doを生成し、原画像記憶部31mに一時的に記憶する。その後、制御手段10は、原画像Doを画像補正部32Rに出力する。
【0040】
画像補正部32Rは、画像生成部31が生成した原画像Doに基づいて、補正画像Drを生成し、補正画像記憶部32Rmに一時的に記憶する。その後、制御手段10は、補正画像Drを皮溝抽出部32Eに出力する。ここで、画像補正部32Rは、ガウシアンフィルタ処理により、補正画像Drを生成することができる。
【0041】
皮溝抽出部32Eは、画像補正部32Rが生成した補正画像Drを用いて、補正画像Drにおける皮溝ST(皮溝に関する画像)を抽出し、皮溝STを抽出皮溝記憶部32Emに一時的に記憶する。その後、制御手段10は、皮溝STをノイズ除去部32Nに出力する。ここで、皮溝抽出部32Eは、ガウシアンフィルタ処理及び/又は二値化処理により補正画像Drを処理し、その処理後の画像から皮溝STを抽出することができる。
【0042】
ノイズ除去部32Nは、皮溝抽出部32Eが抽出した皮溝STに含まれるノイズを除去し、ノイズ除去後画像Dnを生成し、ノイズ除去後画像記憶部32Nmに一時的に記憶する。その後、制御手段10は、ノイズ除去後画像Dnを最下点群抽出部32Zに出力する。ここで、ノイズ除去部32Nは、中央値フィルタなどのノイズ除去フィルタを用いて、ノイズ除去後画像Dnを生成することができる。
【0043】
最下点群抽出部32Zは、皮溝抽出部32Eが抽出した皮溝ST、ノイズ除去部32Nが生成したノイズ除去後画像Dn及び撮像部22が取得した三次元形状データDfを用いて、皮溝STの最下点群STzを抽出し、最下点群記憶部32Zmに一時的に記憶する。その後、制御手段10は、皮溝ST及び最下点群STzを肌状態算出部32Cに出力する。ここで、最下点群抽出部32Zは、抽出する画像の一方向(例えば皮膚表面(xy平面)上のx軸方向又はy軸方向)に走査して、順次、最下点を抽出してもよい。
【0044】
肌状態算出部32Cは、皮溝抽出部32Eが抽出した皮溝ST、最下点群抽出部32Zが抽出した最下点群STz及び撮像部22が取得した三次元形状データDfを用いて、肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)を算出し、算出結果記憶部32Cmに一時的に記憶する。その後、制御手段10は、算出した結果(肌状態)を結果評価部33に出力する。ここで、肌状態算出部32Cは、数式(1)〜(4)を用いて、肌状態を算出することができる。
【0045】
次に、結果評価部33は、肌状態算出部32Cが算出した結果(肌状態)に基づいて、肌状態を評価する。また、結果評価部33は、肌状態算出部32Cが算出した結果(肌状態)に対応する評価年齢Aeなどに基づいて、肌状態を評価することができる。更に、結果評価部33は、算出した結果(肌状態)と所定の評価指標とを比較して、その大小又は差分により、肌状態を評価してもよい。評価を完了すると、その評価結果をインターフェース手段50(出力部52、表示部53)に出力する(図中の30out)。
【0046】
以上により、本実施形態に係る肌状態解析装置100の各構成は、肌状態を解析するための機能を有する。なお、肌状態解析装置100は、原画像記憶部31m、補正画像記憶部32Rm、抽出皮溝記憶部32Em、ノイズ除去後画像記憶部32Nm、最下点群記憶部32Zm及び算出結果記憶部32Cmを記憶手段40に含んでもよい。また、肌状態解析装置100は、結果評価部33が評価した肌状態に関する結果を記憶手段40に記憶してもよい。
【0047】
(肌状態を解析する動作)
本発明の実施形態に係る肌状態解析装置100が肌状態を解析及び評価する肌状態解析方法を、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態に係る肌状態解析装置100が解析する動作の一例を説明するフローチャート図である。
【0048】
図5に示すように、ステップS501において、本実施形態に係る肌状態解析装置100は、先ず、計測するレプリカ(又は皮膚表面)を供試部21(計測手段20)に配置している。また、肌状態解析装置100は、入力部51(インターフェース手段50)によって測定条件、解析条件及び評価条件を入力されている。その後、ステップS502に進む。
【0049】
次に、ステップS502において、肌状態解析装置100は、形状取得ステップとして撮像部22(計測手段20)によって三次元形状データDfを取得し、原画像生成ステップとして画像生成部31(解析手段30)によって原画像Doを生成する。その後、ステップS503に進む。
【0050】
ステップS503において、肌状態解析装置100は、皮溝抽出ステップとして、皮溝解析部32(解析手段30)によって皮溝STを抽出する。また、肌状態解析装置100は、皮膚評価ステップとして、皮溝解析部32によって肌状態を算出する。その後、ステップS504に進む。
【0051】
ステップS504において、肌状態解析装置100は、記録手段40によって解析結果(ステップS503)を記憶する。また、肌状態解析装置100は、その解析結果を結果評価部33(解析手段30)に出力する。その後、ステップS505に進む。
【0052】
ステップS505において、肌状態解析装置100は、皮膚評価ステップとして、結果評価部33によって解析結果を評価する。その後、ステップS506に進む。ここで、肌状態解析装置100は、皮溝STに基づいて算出した肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)を評価する。また、結果評価部33は、肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)に対応する評価年齢をそれぞれ算出し、算出した評価年齢と入力部51(インターフェース手段50)によって入力された評価条件(被験者の年齢など)とを比較することにより、肌状態を評価してもよい。更に、結果評価部33は、所定の評価指標を用いて肌状態を評価してもよい。
【0053】
次に、ステップS506において、肌状態解析装置100は、制御手段10により、肌状態の解析を終了するか否かを判断する。すなわち、制御手段10は、入力部51(インターフェース手段50)によって入力された解析条件及び評価条件に基づいて、肌状態の解析を終了するか否かを判断する。解析を終了するときは、図中のENDに進む。再度解析をするときは、ステップS502に戻る。なお、肌状態解析装置100は、ステップS506の判断をしないで図中のENDに進んでもよい。
【0054】
以上により、肌状態解析装置100が肌状態を解析及び評価する動作(肌状態解析方法)を終了する。
【0055】
(プログラム、及び、プログラムを記録した記録媒体)
本発明に係るプログラムPrは、皮膚表面の皮溝の形状に基づいて、前記皮膚表面の状態を解析する肌状態解析方法であって、前記皮膚表面の三次元形状を計測して、該皮膚表面の三次元形状データを取得する形状取得ステップと、取得した前記三次元形状データに基づいて、前記皮膚表面に関する原画像を生成する原画像生成ステップと、生成した前記原画像に基づいて、前記皮溝を抽出する皮溝抽出ステップと、抽出した前記皮溝に基づいて、前記皮膚表面の状態を評価する皮膚評価ステップと、を実行する。また、本発明に係るプログラムPrの前記皮溝抽出ステップは、前記皮溝の最下点群を抽出する溝底抽出ステップを含むことができる。更に、本発明に係るプログラムPrの前記皮溝抽出ステップは、ガウシアンフィルタ処理、二値化処理及び/又はノイズ除去処理をする補正画像処理ステップを更に含むことができる。
【0056】
また、本発明に係るプログラムPrは、皮膚表面の皮溝の形状に基づいて、前記皮膚表面の状態を解析する肌状態解析方法であって、前記皮膚表面の三次元形状を計測して、該皮膚表面の三次元形状データを取得する形状取得ステップと、取得した前記三次元形状データに基づいて、前記皮膚表面に関する原画像を生成する原画像生成ステップと、生成した前記原画像に基づいて、前記皮溝を抽出する皮溝抽出ステップと、抽出した前記皮溝に基づいて、前記皮膚表面の状態を評価する皮膚評価ステップと、を実行し、前記皮膚評価ステップは、前記皮溝の面積、長さ、幅及び/又は深さを算出することができる。また、本発明に係るプログラムPrの前記皮膚評価ステップは、前記面積、前記長さ、前記幅及び/又は前記深さに基づいて、前記皮膚表面の状態を評価することができる。更に、本発明に係るプログラムPrの前記皮膚評価ステップは、前記面積、前記長さ、前記幅及び前記深さに対応する評価年齢を算出し、算出した前記評価年齢に基づいて前記皮膚表面の状態を評価することができる。
【0057】
これらの構成によれば、本発明に係るプログラムPrは、本発明に係る肌状態解析装置100と同等の効果が得られる。
【0058】
また、本発明は、プログラムPrを記録したコンピュータによって読み取り可能な記録媒体Mdとしてもよい。このプログラムPrを記録した記録媒体Mdとしては、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリーカード及びその他のコンピュータ読み取り可能な媒体を利用することができる。
【実施例】
【0059】
実施形態に係る肌状態解析装置100を含む実施例を用いて、本発明を説明する。本発明は、本実施例以外でも、皮膚表面の皮溝の形状に基づいて、皮膚表面の状態(肌状態)を解析(評価)するものであれば、いずれのものにも用いることができる。例えば、化粧料の効果を確認するために、化粧料の塗布前後の肌状態を解析するものに用いることができる。
【0060】
(実施例1)
(肌状態解析装置の構成)
本実施例に係る肌状態解析装置200の構成を
図3に示す。肌状態解析装置200の構成は、実施形態の肌状態解析装置100の構成と同様のため、説明を省略する。
【0061】
(肌状態解析装置が肌状態を評価する動作)
本実施例に係る肌状態解析装置200が肌状態を解析する肌状態解析方法を、
図6〜
図10を用いて説明する。
【0062】
図6は、本実施例に係る肌状態解析装置200が解析する動作の一例を示すフローチャート図である。
【0063】
図7(a)は、本実施例に係る肌状態解析装置200が解析する皮膚表面から転写したレプリカの表面を示す。
図7(b)は、レプリカの表面を三次元計測した結果に基づく三次元画像(原画像Do)を示す。
図7(c)は、レプリカの表面を三次元計測した結果に基づく三次元画像(補正画像Dr)を示す。
【0064】
図8(a)は、本実施例に係る肌状態解析装置200が解析した補正画像Drの解析結果を示す。
図8(b)は、皮溝の形状に影響を与えず毛穴及び皮丘の形状を平滑化する波長(例えば0.4mm)のガウシアンフィルタ処理による平滑化を行った後に、二値化処理により皮溝を抽出した補正画像Drの解析結果を示す。
図8(c)は、
図8(b)の補正画像Drの一部を拡大した画像(ノイズ除去後画像Dn)を示す。
図8(d)は、皮溝の最下点群STzを説明する解析結果を示す。
図8(e)は、皮溝の最下点群STzの解析結果の拡大図を示す。
図8(f)は、皮溝を細線化処理で抽出した解析結果の拡大図を示す。
【0065】
図9(a)は、本実施例に係る肌状態解析装置200の皮溝の面積の評価結果である。
図9(b)は、皮溝の長さの評価結果である。
図10(a)は、本実施例に係る肌状態解析装置の皮溝の幅の評価結果である。
図10(b)は、皮溝の深さの評価結果である。なお、
図9(a)、
図9(b)、
図10(a)及び
図10(b)において、横軸のA、B、C、D及びEは、5〜9歳、10〜19歳、20〜44歳、45〜59歳及び60〜90歳の被験者を示す。
【0066】
図6に示すように、ステップS601において、肌状態解析装置200は、撮像部22(計測手段20)によって供試部21に配置されたレプリカ(
図7(a))を撮像して三次元形状データDfを取得し、画像生成部31(解析手段30)によって原画像Do(
図7(b))を生成する。その後、ステップS602に進む。
【0067】
次に、ステップS602において、肌状態解析装置200は、画像生成部31が生成した原画像Doに基づいて、画像補正部32R(皮溝解析部32)によって補正画像Drを生成する。具体的には、画像補正部32Rは、ガウシアンフィルタ処理により、原画像Do(
図7(b))のレプリカ全体の傾きを除去した補正画像Dr(
図7(c))を生成する。次いで、画像補正部32Rは、ガウシアンフィルタ処理により、補正画像Dr(
図7(c))の比較的大きな凹凸を除去(平滑化)した補正画像Dr(
図8(a))を生成する。その後、肌状態解析装置200は、ステップS603に進む。
【0068】
ステップS603において、肌状態解析装置200は、皮溝抽出部32E(皮溝解析部32)によって、補正画像Drから皮溝STを抽出する。具体的には、皮溝抽出部32Eは、ガウシアンフィルタ処理及び/又は二値化処理により、補正画像Dr(
図8(a))から皮溝ST(
図8(b))を特定し、抽出する。その後、肌状態解析装置200は、ステップS604に進む。
【0069】
ステップS604において、肌状態解析装置200は、ノイズ除去部32N(皮溝解析部32)によって、皮溝抽出部32Eが抽出した皮溝ST(
図8(b))からノイズを除去したノイズ除去後画像Dn(
図8(c))を生成する。その後、肌状態解析装置200は、ステップS605に進む。
【0070】
ステップS605において、肌状態解析装置200は、最下点群抽出部32Z(皮溝解析部32)によって、ノイズ除去後画像Dn(
図8(c))及び三次元形状データDf(ステップS601)を用いて、皮溝STの最下点群STz(
図8(d))を抽出する。ここで、最下点群抽出部32Zは、抽出する画像の一方向(例えば皮膚表面(xy平面)上のx軸方向又はy軸方向)に走査して、最下点群STzを抽出してもよい。その後、肌状態解析装置200は、ステップS606に進む。
【0071】
なお、
図8(e)及び
図8(f)に、最下点の抽出による最下点群STz及び細線化処理による細線STnを示す。
図8(e)及び
図8(f)は、どちらも皮溝STの溝底の形状を抽出したもである。
図8(e)及び
図8(f)に示すように、最下点の抽出の方が(
図8(e))、細線化処理の場合(
図8(f))より、皮溝STの溝底の形状を精度よく近似していることがわかる。すなわち、本実施例に係る肌状態解析装置200は、最下点群抽出部32Zにより、皮溝ST(
図8(c))及び三次元形状データDf(ステップS601)に基づいて、皮溝STの最下点群STz(
図8(d))を抽出し、皮溝ST及び皮溝ST内部の三次元形状を抽出することができる。
【0072】
次に、
図6のステップS606において、肌状態解析装置200は、肌状態算出部32C皮溝解析部32)により、皮溝抽出部32Eが抽出した皮溝ST(
図8(c))及び最下点群STz(
図8(d))並びに撮像部22が取得した三次元形状データDfを用いて、肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)を算出する。具体的には、肌状態解析装置200は、肌状態算出部32Cにより、数式(1)〜数式(4)を用いて、肌状態を算出することができる。その後、肌状態解析装置200は、ステップS607に進む。
【0073】
ステップS607において、肌状態解析装置200は、結果評価部33により、肌状態算出部32Cが算出した肌状態を評価する。具体的には、肌状態解析装置200は、各年代の肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)の基準値(
図9(a)、
図9(b)、
図10(a)及び
図10(b))を記憶手段40に予め記憶しておき、ステップS606で算出した肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)から、評価年齢Aeを算出する。すなわち、肌状態解析装置200は、結果評価部33により、算出した皮溝の面積Sfと
図9(a)とを比較し、線形補間により、算出した面積Sfに対応する年齢(評価年齢Ae)を算出する。また、肌状態解析装置200は、結果評価部33により、同様に、皮溝の長さLf、幅Wf及び深さDfと
図9(b)、
図10(a)及び
図10(b)とを比較して、評価年齢Aeを算出することができる。
【0074】
次いで、肌状態解析装置200は、出力部52及び表示部53(インターフェース手段50)によって、算出した評価年齢Aeを評価結果として出力することができる。また、肌状態解析装置200は、出力部52及び表示部53によって、実年齢Ar(レプリカを採取した被験者の年齢)と算出した評価年齢Aeとを比較した結果を出力することができる。これにより、肌状態解析装置200は、肌状態を定量的に評価することができる。
【0075】
肌状態の評価を完了すると、図中のENDに進み、肌状態解析装置200は、肌状態を評価する動作を終了する。
【0076】
(実施例2)
実施例2の肌状態解析システムを用いて、本発明を説明する。
【0077】
(肌状態解析システムの構成)
図11は、本実施例の肌状態解析システムの概略構成図の一例である。
【0078】
図11に示すように、肌状態解析システム300は、肌状態解析装置300S及び外部装置300Eを有する。肌状態解析装置300Sの基本的な構成は、実施例1の肌状態解析装置200の構成(
図3)と同様のため、異なる構成のみを説明する。
【0079】
肌状態解析装置300Sは、本実施例では、NW手段(ネットワーク手段、通信手段)300Snを有する。また、外部装置300Eも、同様に、NW手段300Enを有する。肌状態解析装置300Sと外部装置300Eとは、NW手段300Sn及びNW手段300Enによって、相互に有線または無線で通信することができる。外部装置300Eは、クラウドコンピューティングなどを利用することができる。
【0080】
外部装置300Eは、解析手段30、記憶手段40E及びインターフェース手段50Eを有する。外部装置300Eは、肌状態解析装置300Sから出力された情報に基づいて、肌状態(皮溝の面積Sf、長さLf、幅Wf及び深さDf)を算出することができる。なお、外部装置300Eは、解析手段30の一部の構成だけを含む構成でもよい。
【0081】
以上により、肌状態解析システム300は、肌状態解析装置300Sにおける処理量を低減できるため、肌状態解析装置300Sを小型化、軽量化、及び、簡素化することができる。また、肌状態解析システム300は、外部装置300EにPC等を利用することができる。更に、外部装置300Eは、記憶手段40Eに過去のクライアント(化粧料使用者、被験者など)の肌状態を記憶しておくことができる。このため、肌状態解析システム300は、クライアントの肌状態の経時変化を評価することができる。
【0082】
(肌状態解析装置が肌状態を評価する動作)
本実施例に係る肌状態解析システム300が肌状態を評価する肌状態解析方法は、実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0083】
以上により、実施形態及び実施例を参照しながら本発明を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、添付の特許請求の範囲に照らし、種々に変形又は変更することが可能である。
【0084】
なお、本発明に係る肌状態解析方法、肌状態解析装置及び肌状態解析システムは、肌のくすみ、しわ、しみ、キメ又は毛穴などを解析する他の解析方法と組み合わせて、解析を行ってもよい。また、本発明に係る肌状態解析方法、肌状態解析装置及び肌状態解析システムは、肌の皮脂量、肌の弾力、肌色の分析、色素の沈着状態及びその他の肌の診断結果と組み合わせて、肌状態を評価してもよい。これにより
、化粧品の販売等において、専門家に限らず、本発明に係る肌状態解析方法、肌状態解析装置及び肌状態解析システムの評価結果を用いて、定量的な肌状態の評価(診断、美容カウンセリング等)を実現することができる。