特許第6059052号(P6059052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6059052
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20161226BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20161226BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20161226BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20161226BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20161226BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20161226BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20161226BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20161226BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20161226BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20161226BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20161226BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20161226BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   C11D17/08
   C11D1/04
   C11D3/37
   C11D1/06
   C11D3/20
   C11D1/29
   A61K8/36
   A61K8/39
   A61K8/46
   A61K8/73
   A61K8/81
   A61K8/34
   A61Q19/10
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-56057(P2013-56057)
(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-181273(P2014-181273A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2015年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】上田 敦弘
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05714457(US,A)
【文献】 特開平08−027075(JP,A)
【文献】 米国特許第05801270(US,A)
【文献】 特開2006−183030(JP,A)
【文献】 特開2004−204087(JP,A)
【文献】 特開2001−139990(JP,A)
【文献】 特開2005−154651(JP,A)
【文献】 特開2001−172686(JP,A)
【文献】 特開2005−206812(JP,A)
【文献】 特開2006−083140(JP,A)
【文献】 特開2005−206811(JP,A)
【文献】 特開平04−164022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 17/08
A61K 8/34
A61K 8/36
A61K 8/39
A61K 8/46
A61K 8/73
A61K 8/81
A61Q 19/10
C11D 1/04
C11D 1/06
C11D 1/29
C11D 3/20
C11D 3/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ミリスチン酸塩を10〜100質量%含む炭素数8〜22の脂肪酸塩 5〜30質量%、
(B)分子量3万〜350万の非架橋型ポリアクリル酸又はその塩 0.3〜8質量%、
(C)水 40〜94.7質量%
を含有し、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)が、1.5〜50である洗浄剤組成物。
【請求項2】
さらに、(D)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を0.2〜20質量%含有する請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)が、0.5〜30である請求項2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、(E)グリコール類又はグリコールエーテル類を0.2〜10質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
さらに、(F)3価以上のポリオールを0.2〜20質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
さらに、(G)架橋されたポリアクリル酸重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマーとして含む重合体から選ばれるアニオンポリマー、並びにセルロース系ポリマーから選ばれるポリマーを0.1〜2質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
30℃における粘度が10〜30000mPa・sである請求項1〜6のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項8】
皮膚洗浄剤組成物である請求項1〜7のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
マッサージ用洗浄剤組成物である請求項1〜8のいずれか1項記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の洗浄剤組成物を手又は洗浄補助具に取り、体に塗布し、水で希釈し、泡立てながら体を擦った後、洗い流す洗浄方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項記載の洗浄剤組成物を手又は洗浄補助具に取り、水で希釈し、体に塗布し、泡立てながら体を擦った後、洗い流す洗浄方法。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか1記載の洗浄剤組成物を手又は洗浄補助具に取り、体に塗布し、水で希釈し、泡立て洗浄しながらマッサージするための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
肌を健康的に見せる方法は、化粧料を塗布することにより外的に美しく見せる方法と、肌質自体を改善し、健康的な肌に見せること(肌色改善)に大別される。このうち肌質自体の改善方法の1つとして、マッサージを行なうことが一般に行なわれている。マッサージは、皮膚に対し、外部から物理的な力が加えられることにより、老化した皮膚の角層を取り除くと共に、血行を改善し、肌質が改善されると考えられる。このマッサージを行ないやすくする目的で、マッサージ剤が開発されている。
【0003】
一方、従来、洗顔料やボディソープ等の皮膚洗浄剤においては、泡立ちの良さや高い洗浄効果、すすぎ後のしっとり感を得るため、種々検討がなされている。特に、ボディソープのような皮膚洗浄剤では、洗浄過程での高い泡量ときめの細かい泡質が期待されている。このため、起泡性の高い界面活性剤同士を組み合わせ、洗浄過程での高い泡立ち性を求めた皮膚洗浄剤が検討され、汎用のカチオン性ポリマー、非イオン性ポリマーと組み合わせて洗浄剤の液粘度を高め、できた泡を消え難くし、泡量を高めた洗浄剤の開発が進められている。
【0004】
例えば、特許文献1には、洗浄性界面活性剤と、カチオン化セルロース、ジアルキルジアリル4級アンモニウム塩・アクリルアミド共重合体を組み合わせた皮膚洗浄剤組成物が記載されている。特許文献2には、アニオン界面活性剤と天然系高分子、高分子分散剤を含み、3倍以上水希釈しても適度な粘度を保ち、経日での液安定性が良い、皮膚毛髪用濃縮型液体洗浄剤組成物が記載されている。特許文献3には、使用者の感覚に即した泡性能の高い実効感を有するものとして、界面活性剤とポリマー微粒子を含有する洗浄剤組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−306843号公報
【特許文献2】特開2001−181178号公報
【特許文献3】特開2002−201123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の洗浄剤組成物では、起泡性や、泡質改善が見られるものの、洗浄行為のみでは、マッサージ剤のように、肌に対して外部から物理的な力が容易に加えられるものではなかった。
本発明は、高い洗浄実感が得られると同時に、手あるいは洗浄タオル、洗浄スポンジ等の洗浄具で肌を擦るという洗浄行為自身によって粘度の高い泡を容易に得られ、泡の粘度が高いことを利用して、洗浄行為から肌に対して外部から物理的に力が容易に加えられ、高いマッサージ感を付与できる洗浄剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の脂肪酸塩と、特定分子量の非架橋型ポリアクリル酸又はその塩を特定の割合で組み合わせて用いれば、上記課題を解決した洗浄剤組成物が得られることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ミリスチン酸塩を10〜100質量%含む炭素数8〜22の脂肪酸塩 5〜30質量%、
(B)分子量3万〜350万の非架橋型ポリアクリル酸又はその塩 0.3〜8質量%、
(C)水
を含有し、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)が、1.5〜50である洗浄剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄中の増泡性に優れ、高い洗浄実感が得られ、得られた泡は、泡持ちに優れ、著しく高い泡粘度を有するものである。特に、手あるいは洗浄タオル、洗浄スポンジ等の洗浄具で肌を擦るという洗浄行為自身によって手の力を容易に肌に加えられることから、高いマッサージ感が得られる。また、洗浄行為を続けることにより、泡質が更に密になり、泡粘度を高くすることができ、高いマッサージ感を付与することができるものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)は、炭素数8〜22の脂肪酸塩であり、炭素数12〜16の脂肪酸塩を含むのが好ましい。更には、直鎖脂肪酸塩が好ましい。具体的には、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩等が挙げられる。また、成分(A)を構成する脂肪酸塩は、単一成分でも良いが、2種又は3種以上混合されていることが好ましい。
成分(A)は、泡質を向上させる点から、成分(A)中にミリスチン酸塩を10〜100質量%含むものであり、21〜50質量%含むのがより好ましい。
【0011】
また、脂肪酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。成分(A)を構成する脂肪酸塩は、これらの塩を1種又は2種以上混合することができる。これらの中で、組成物が着色し難い点から、アルカリ金属塩、アンモニウム塩が好ましく、更にカリウム塩が好ましい。
【0012】
成分(A)の含有量は、全組成中に塩として、洗浄性と泡量の点から、5質量%以上であり、好ましくは7質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。そして、泡立ちやすさの点から、30質量%以下であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。また、成分(A)の含有量は、全組成中に塩として、5〜30質量%であり、好ましくは7〜25質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である。
【0013】
本発明で用いる成分(B)の非架橋型ポリアクリル酸又はその塩は、分子量が3万〜350万、好ましくは5万〜150万、より好ましくは10万〜100万のものである。
分子量は、重量平均分子量を示し、標準物質をポリスチレンとしてゲル浸透クロマトグラフィー分析(通称:GPC)を用いることにより求められる。
【0014】
また、ポリアクリル酸の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩;アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。これらの中で、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0015】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、酸としての量を示し、泡のきめの細かさの点から、全組成中に0.3質量%以上であり、好ましくは0.6質量%以上、より好ましくは1.1質量%以上である。そして、洗浄剤組成物の液粘度又は泡立てやすさの点から、8質量%以下であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.3〜8質量%であり、好ましくは0.6〜5質量%、より好ましくは1.1〜3質量%である。
【0016】
本発明において、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、手あるいは洗浄具で肌を擦るという洗浄行為を続けることにより、徐々に泡がきめ細かくなり、泡の密度、泡の厚みが増し、更には泡粘度を高め、肌に手の力が容易に伝えられる泡質に変化できる点から、1.5以上であり、2.5以上が好ましく、3.5以上がより好ましい。そして、泡立てやすさの点から、50以下であり、45以下が好ましく、11以下がより好ましい。また、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、1.5〜50であり、2.5〜45が好ましく、3.5〜11がより好ましい。
【0017】
本発明で用いる成分(B)は、水溶性ポリマーであり、水に溶解した状態である。成分(B)は、質量割合(A)/(B)において、組成物中に成分(A)が存在することにより、水に対する溶解性が低下している。この結果、本発明の洗浄剤組成物の粘度は低く抑えられ、使用に適した粘度に設定することができる。そして、洗浄過程で、洗浄剤組成物が水で希釈されることにより成分(B)の溶解性が高まり、洗浄剤組成物の液粘度をあまり低下させなくすることができ、高い泡性能を発揮することができる。
【0018】
成分(C)の水は、各成分の残部をなし、含有量は、全組成中に40質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、94.7質量%以下が好ましく、86質量%以下がより好ましい。
【0019】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、(D)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有することができ、泡のなめらかな感触や、マッサージの心地良さが向上するとともに、低温安定性に優れた組成物を得ることができる。
これらは、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであれば制限されず、炭素数10〜22のアルキル基を有するものが好ましい。
【0020】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡のなめらかな感触や、マッサージの心地良さの点から、全組成中に0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、2質量%以上が更に好ましい。そして、泡の厚み感、泡持ちの良さの点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、2〜5質量%が更に好ましい。
【0021】
本発明において、成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)は、泡立ちの速さの点から、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上が更に好ましい。そして、低温安定性の点から、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。また、成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)は、0.5〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜10が更に好ましい。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、(E)グリコール類又はグリコールエーテル類を含有することができ、泡立てやすく、泡のなめらかな感触や、マッサージの心地良さが向上するとともに、低温安定性に優れた組成物を得ることができる。
グリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、へキシレングリコールなどが挙げられる。
【0023】
また、グリコールエーテル類としては、下記一般式(1)で表されるアルキレングリコールアルキルエーテルが挙げられる。
1−(OCH2CH2n−OH (1)
(式中、R1は炭素数1〜5のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは2〜5の数を示す)
【0024】
一般式(1)で示されるアルキレングリコールアルキルエーテルとしては、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、トリアルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。より具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル及びトリエチレングリコールモノエチルエーテルから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。これらの中で、低温安定性の点から、ジエチレングリコールモノエチルエーテルが好ましい。
【0025】
成分(E)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、低温安定性の点から、全組成中に0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。そして、泡質と泡量の点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0.2〜10質量%好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜2質量%が更に好ましい。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、成分(F)として、3価以上のポリオールを含有することができ、泡の厚み感と泡持ちを向上させることができる。
3価以上のポリオールとしては、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、スクロース、ポリグリセリン等が挙げられる。泡の厚み感と泡持ちの観点から、マルチトール、ラクチトール等の2糖アルコールが好ましい。
【0027】
成分(F)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、泡の厚み感と泡持ちの点から、全組成中に0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。そして、泡立ちやすさの点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。また、成分(F)の含有量は、に0.2〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、(G)架橋されたポリアクリル酸重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマーとして含む重合体から選ばれるアニオンポリマー、並びにセルロース系ポリマーから選ばれるポリマーを含有することができ、泡立てやすくすることができ、泡の厚み感と泡持ちを向上させることができる。
【0029】
成分(G)のアニオンポリマーのうち、架橋されたポリアクリル酸重合体としては、カルボキシビニルポリマー等が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマーとして含む重合体としては、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル共重合体(INCI:ACRYLATES/STEARETH-20 METHACRYLATE COPOLYMER)、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(25)ラウリルエーテル共重合体(INCI:ACRYLATES/LAURETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER)、アクリル酸アルキル・メタクリル酸アルキル・ポリオキシエチレン(25)ベヘニルエーテル共重合体(INCI:ACRYLATES/BEHENETH-25 METHACRYLATE COPOLYMER)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(INCI:ACRYLATES/C10-30 ALKYL ACRYLATE CROSSPOLYMER)、アクリル酸・ネオデカン酸ビニル共重合体(INCI:ACRYLATES/VINYL NEODECANOATE CROSSPOLYMER)、(アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド)コポリマー(INCI:ACRYLATES/OCTYLACRYLAMIDE COPOLYMER)、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー(INCI:ACRYLATES/STEARETH-20 ITACONATE COPOLYMER)、(アクリレーツ/イタコン酸セテス-20)コポリマー(INCI:ACRYLATES/CETETH-20 ITACONATE COPOLYMER)、(アクリレーツ/アミノアクリレート/C10-30アクリルPEG-20イタコン酸)コポリマー(INCI:ACRYLATES/AMINOACRYLATES/C10-30ALKYL PEG-20 ITACONATE COPOLYMER)等が挙げられる。
これらのポリマーのうち、すすぎ時のぬるつきの少なさの観点から、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が好ましい。
【0030】
成分(G)のアニオンポリマーとしては、カーボポール934、カーボポール981、カーボポール980、カーボポールETD2020、カーボポールUltrez 21、カーボポールUltrez 20、PEMULEN TR-1、PEMULEN TR-2(以上、Lubrizol Advanced Materials社)、STRUCTURE 2001、STRUCTURE 3001、STRUCTURE PLUS、DERMACRYL 79(以上、日本エヌエスシー社)等の市販品を使用することができる。なお、これらのポリマーは、塩基により中和され、使用される。
【0031】
また、成分(G)のうち、セルロース系ポリマーとしては、セルロース;メチルセルロース、エチルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のヒドロキシアルキルアルキルセルロースなどが挙げられる。
これらのうち、すすぎ時のぬるつきの少なさの観点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0032】
成分(G)は、1種又は2種以上を用いることができ、アニオンポリマーとセルロース系ポリマーを組み合わせて用いることもできる。
成分(G)の含有量は、泡立てやすさの点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。そして、洗浄剤の液粘度と泡立てやすさの点から、2質量%以下が好ましく、1.8質量%以下がより好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.1〜2質量%が好ましく、0.5〜1.8質量%がより好ましい。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物は、更に、通常の洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、前記以外の界面活性剤、保湿剤、油性成分、殺菌剤、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、塩類、パール化剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
【0034】
本発明の洗浄剤組成物は、成分(C)一部の水に、成分(A)と必要に応じて成分(D)を加えて60〜100℃で攪拌し、成分(A)と(D)を溶解させる。この後、成分(B)と必要に応じて成分(G)を加えた後、成分(C)一部の水と、水酸化カリウムの混合物を加えてpHを調整する。この後、必要に応じて成分(E)、(F)、その他成分、残部の成分(C)を順次加え、十分に攪拌して、均一に分散させ、15〜30℃まで冷却することにより、製造することができる。
【0035】
本発明の洗浄剤組成物は、起泡性を高める点、タオル、スポンジ、ブラシ等の洗浄補助具への使いやすさの点から、液状、またはジェル状であることが好ましい。具体的には、30℃における粘度が10mPa・s以上であるのが好ましく、100mPa・s以上がより好ましく、500mPa・s以上が更に好ましい。また、泡立てやすさの点から、30000mPa・s以下であるのが好ましく、15000mPa・s以下がより好ましく、10000mPa・s以下が更に好ましい。また、30℃における粘度は、10〜30000mPa・sが好ましく、100〜15000mPa・sがより好ましく、500〜10000mPa・sが更に好ましい。
また、本発明の洗浄剤組成物は、水で20倍に希釈した際、25℃において、pH7以上であるのが好ましく、pH9以上がより好ましく、pH11.5以下が好ましく、pH11以下がより好ましい。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物は、例えば、洗顔料、ボディソープ、ハンドソープ等の皮膚洗浄剤組成物として好適であり、特にボディソープが好ましい。また、マッサージ用洗浄剤組成物、マッサージ剤として使用することもできる。
本発明の洗浄剤組成物を用いて皮膚を洗浄する方法は、例えば、以下のとおりである。すなわち、本発明の洗浄剤組成物を身体、つまり顔、手足、胴体などの身体皮膚部に適量を適用し、水で希釈し、泡立てて洗浄した後、シャワー等の温水を利用してすすぐ方法である。また、タオル、スポンジ、ブラシ等の洗浄補助具に適量を適用し、泡立てて洗浄することもできる。
また、本発明の洗浄剤組成物を手又は洗浄補助具に取り、水で希釈し、体に塗布し、泡立てながら体を擦った後、洗い流すことにより、洗浄することもできる。
本発明の洗浄剤組成物は、泡立てて、体を擦ると、従来使用されているマッサージ剤のような使用感が得られる。使用者にとっては、洗うという行為により、マッサージ効果が得られるものとなる。
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0037】
<1>次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ミリスチン酸塩を10〜100質量%含む炭素数8〜22の脂肪酸塩 5〜30質量%、
(B)分子量3万〜350万の非架橋型ポリアクリル酸又はその塩 0.3〜8質量%、
(C)水
を含有し、成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)が、1.5〜50である洗浄剤組成物。
【0038】
<2>成分(A)は、好ましくは、ミリスチン酸塩を20〜50質量%含む前記<1>記載の洗浄剤組成物。
<3>成分(A)の含有量は、全組成中に塩として、好ましくは7〜25質量%であり、より好ましくは10〜20質量%である前記<1>又は<2>記載の洗浄剤組成物。
<4>成分(B)の含有量は、好ましくは0.6〜5質量%であり、より好ましくは1.1〜3質量%である前記<1>〜<3>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
<5>成分(A)及び(B)の質量割合(A)/(B)は、好ましくは2.5〜45であり、5〜30がより好ましい前記<1>〜<4>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
【0039】
<6>さらに、(D)ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩及び/又はポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含有し、含有量は、好ましくは0.2〜20質量%であり、0.5〜10質量%がより好ましく、2〜5質量%が更に好ましい前記<1>〜<5>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
<7>成分(A)及び(D)の質量割合(A)/(D)は、好ましくは0.5〜30であり、1〜20がより好ましく、2〜10が更に好ましい前記<6>記載の洗浄剤組成物。
<8>さらに、(E)グリコール類又はグリコールエーテル類を含有し、含有量は、好ましくは0.2〜10質量%であり、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜2質量%が更に好ましい前記<1>〜<7>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
【0040】
<9>さらに、(F)3価以上のポリオールを含有し、含有量は、好ましくは0.2〜20質量%であり、0.5〜10質量%がより好ましく、1〜5質量%が更に好ましい前記<1>〜<8>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
<10>さらに、(G)架橋されたポリアクリル酸重合体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルをモノマーとして含む重合体から選ばれるアニオンポリマー、並びにセルロース系ポリマーから選ばれるポリマーを含有し、含有量は、好ましくは0.1〜2質量%であり、0.5〜1.8質量%がより好ましく、0.8〜1.5質量%が更に好ましい前記<1>〜<9>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
<11>30℃における粘度が、好ましくは10〜30000mPa・sであり、100〜15000mPa・sがより好ましく、500〜10000mPa・sが更に好ましい前記<1>〜<10>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
【0041】
<12>皮膚洗浄剤組成物である前記<1>〜<11>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
<13>マッサージ用洗浄剤組成物である前記<1>〜<11>のいずれか1記載の洗浄剤組成物。
<14>前記<1>〜<13>のいずれか1記載の洗浄剤組成物を手又は洗浄補助具に取り、体に塗布し、水で希釈し、泡立てながら体を擦った後、洗い流す洗浄方法。
<15>前記<1>〜<13>のいずれか1記載の洗浄剤組成物を手又は洗浄補助具に取り、水で希釈し、体に塗布し、泡立てながら体を擦った後、洗い流す洗浄方法。
<16>前記<1>〜<13>のいずれか1記載の洗浄剤組成物を手又は洗浄補助具に取り、体に塗布し、水で希釈し、泡立て洗浄しながらマッサージするための使用。
【実施例】
【0042】
実施例1〜13、比較例1〜8
表1〜2に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、粘度、泡粘度、泡立ちの速さ、泡の厚み感及び泡持ちの良さを評価した。結果を表1〜2に併せて示す。
【0043】
(製造方法)
イオン交換水の一部にラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム及びパルミチン酸カリウム、又はポリオキシエチレン(2.0)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを加え、槽内温度80℃で攪拌し、溶解させた。その後、ポリアクリル酸又はヒドロキシエチルセルロースを加えた。さらに、残部のイオン交換水を加え、充分に攪拌した後、48%水酸化カリウム水溶液を加えてpHが10になるように調整した。その後、30℃まで冷却し、洗浄剤組成物を得た。
【0044】
(評価方法)
(1)粘度:
各洗浄剤組成物を30℃の湯浴に30分浸漬し、20回転倒混和した後、B型粘度計(VISCOMETER TVB-10、東機産業社製)にて、以下の測定条件で測定した。
・粘度100mPa・s未満の場合は、ローターNo.2、回転速度60rpm、測定時間60秒。
・粘度100〜1000mPa・sの場合は、ローターNo.2、回転速度30rpm、測定時間60秒。
・粘度1000〜10000mPa・sの場合は、ローターNo.3、回転速度12rpm、測定時間60秒。
・粘度10000〜20000mPa・sの場合は、ローターNo.3、回転速度6rpm、測定時間60秒。
・粘度20000mPa・s以上の場合は、ローターNo.4、回転速度12rpm、測定時間60秒。
【0045】
(2)泡粘度:
28cm×100cmのナイロンタオル(BHN01、アイセン工業社製)を八つ折りにした。このナイロンタオルに各洗浄剤組成物6gと約30℃の水道水60gをなじませた。次に、タオルを両手で5回揉んで、八つ折りにしたタオルの両端を手に取り10回円を描くようにこすり合わせた。この操作を、5回繰り返して泡立てた。直ちに、このタオルから手で泡を搾り取り、取った泡を容器に移し、B型粘度計(VISCOMETER TVB-10、東機産業社製、ローターNo.3、6rpm、60秒後、20〜25℃の条件)で粘度を測定した。
【0046】
(3)泡立ちの速さ:
28cm×100cmのナイロンタオル(BHN01、アイセン工業社製)を八つ折りにした。このナイロンタオルに各洗浄剤組成物6gと約30℃の水道水60gをなじませた。次に、タオルを両手で5回揉んで、八つ折りにしたタオルの両端を手に取り10回円を描くようにこすり合わせた。この操作を、5回繰り返して泡立て、泡立ちの速さを評価した。評価は以下の基準で行い、専門パネラー5名の平均値で示した。
5;泡立ち(性)が非常に早いと感じた。
4;泡立ち(性)が早いと感じた。
3;泡立ち(性)が普通と感じた。
2;泡立ち(性)がやや遅いと感じた。
1;泡立ち(性)が遅いと感じた。
【0047】
(4)泡の厚み感及び泡持ちの良さ:
28cm×100cmのナイロンタオル(BHN01、アイセン工業社製)を八つ折りにした。このナイロンタオルに各洗浄剤組成物6gと約30℃の水道水60gをなじませた。次に、タオルを両手で5回揉んで、八つ折りにしたタオルの両端を手に取り10回円を描くようにこすり合わせた。この操作を、5回繰り返して泡立てた。タオルから搾り取った泡約3gを手に取り、予め約30℃の水道水で濡らした反対側の前腕部(肘から手首)に塗布し、手のひらを腕の軸方向に60秒間50回往復させた。50回往復するうちの初めの5回往復したときに、前腕部と手のひらの感触から、泡の厚み感を評価した。また、50回往復したときの泡の厚み感の変化について評価した。評価は以下の基準で行い、専門パネラー5名の平均値で示した。
【0048】
(泡の厚み感(5回往復したときとの泡の厚み感))
5;泡の厚みがあると感じた。
4;泡の厚みがややあると感じた。
3;どちらともいえない。
2;泡の厚みがややないと感じた。
1;泡の厚みがないと感じた。
【0049】
(泡持ちの良さ(50回往復したときの泡の厚み感の変化))
5;泡の厚みが増したと感じた。
4;泡の厚みがやや増したと感じた。
3;泡の厚みに変化がないと感じた。
2;泡の厚みがやや減ったと感じた。
1;泡の厚みが減ったと感じた。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
本発明の洗浄剤組成物はいずれも、洗浄行為を通じて、手からの力が容易に肌に対し加えられ、高いマッサージ感が感じられた。
【0053】
実施例14〜19、比較例9
表3に示す組成の皮膚洗浄剤組成物を製造し、実施例1〜13と同様にして、粘度、泡粘度、泡立ちの速さ、泡の厚み感及び泡持ちの良さを評価し、更に、低温での保存安定性を評価した。結果を表3に併せて示す。
【0054】
(評価方法)
各洗浄剤組成物をサンプル瓶(マイティバイアル No.7、アズワン社製)2本に入れ、それぞれ−5℃保存庫と20℃保存庫に3日間保存した後、各温度下での外観を、以下の基準で評価した。
○:−5℃で保存した洗浄剤組成物は、20℃で保存したものと、ほとんど変わらなかった。
△:−5℃で保存した洗浄剤組成物は、20℃で保管したものに比べ、わずかに析出物があった。なお、洗浄剤として問題のない範囲である。
×:−5℃で保存した洗浄剤組成物は、20℃で保管したものに比べ、著しく析出物が多かった。
【0055】
【表3】
【0056】
本発明の洗浄剤組成物はいずれも、洗浄行為を通じて肌に対し、手からの力が容易に加えられ、高いマッサージ感が感じられた。