(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記(B)成分としてのパラフィン系オイルが、エチレン、アルファオレフィン、およびイソブチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種を原料として化学合成された炭化水素油、または、石油系パラフィンオイルの水添化物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷物用表面保護剤。
(E)成分として、粘度調整剤をさらに含有するとともに、当該(E)成分の含有量を、前記(A)成分としての水100重量部に対して、0.001〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の印刷物用表面保護剤。
(A)水100重量部に対して、(B)パラフィン系オイルを0.5〜120重量部、および(C)界面活性剤を0.1〜30重量部の範囲で含む水分散体としての印刷物用表面保護剤を用いてなる印刷物の表面保護方法であって、下記工程(i)〜(iii)を含むことを特徴とする印刷物の表面保護方法。
(i)印刷媒体に対し、印刷用インクを用いて印刷を行い、印刷物を得る印刷工程
(ii)前記印刷物の表面に対し、前記印刷物用表面保護剤を塗布する塗布工程
(iii)前記印刷物用表面保護剤を乾燥させて、表面保護部材を形成する形成工程
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された印刷物用表面保護剤は、シリコーンポリマー等のシリコーン系化合物を用いていることから、空気中にシリコーン系化合物が飛散し、それが、燃焼触媒として用いられる白金触媒を失活させやすいという問題が見られた。
すなわち、印刷装置の乾燥時の排ガスを低温燃焼し、無臭化するための処理装置の燃焼触媒として用いられる白金触媒が、飛散したシリコーン系化合物により被毒し、失活しやすいという問題が見られた。したがって、高価な白金触媒の交換のために、所定の印刷作業を、しばしば中断しなければならず、経済的に不利益であるという問題が見られた。
【0009】
また、特許文献2に開示されたオフセット輪転印刷用の濃縮帯電防止剤組成物は、印刷速度が比較的遅い場合、例えば、400rpmでは、所定のコスレ防止性能を発揮することができるものの、印刷速度が比較的早い場合、例えば、回転数が800rpmにおいては、所定のコスレ防止性能を発揮できないという問題が見られた。
より具体的には、印刷装置における印刷速度が比較的早い場合、印刷物を所定方向に流すためのガイドロールや、印刷物を流れ方向に二つ折りするためのホーマーや、印刷物の流れ方向を変えるためのターンバー、あるいは、裁断して、折り加工を施した印刷物をコンベアに送るための羽根車等の付随装置において、それぞれ印刷物の表面にコスレ傷が発生しやすいという問題が見られた。
【0010】
また、特許文献3に開示されたオフセット印刷機用ウェブコーター液を用いた場合、印刷装置におけるホーマーやターンバーのエアー噴出口に、ポリオレフィンワックスが堆積し、それがインキと混じることにより、黒い米粒大の硬質物質になるという問題が見られた。すなわち、かかる硬質物質が、印刷物の表面にさらに付着したり、印刷物に対して、コスレ傷を生じさせやすいという問題が見られた。
その上、塗布ロール周辺において、ポリオレフィンワックス成分に起因した固形物(微粉)が堆積し、印刷環境を悪化させるという問題も見られた。
【0011】
さらに、特許文献4に開示されたオフセット印刷用コート剤は、所定粒径の粒状ワックスを含んでいるものの、特許文献2と同様に、印刷速度が比較的早い場合においては、所定のコスレ防止性能を発揮できないという問題が見られた。
また、特許文献4に開示されたオフセット印刷用コート剤の場合、相当量のエマルジョン型樹脂や粒状ワックスを含んでいることから、特許文献3と同様に、付随装置等において、黒い米粒大の硬質物質が発生しやすいという問題が見られた。
【0012】
一方、特許文献5に開示された薄片状等の非水溶性脂肪族化合物を含んでなる印刷物用表面保護剤によれば、非シリコーン系印刷物用表面保護剤であることから、白金触媒の失活の問題が生じることなく、かつ、高速印刷あるいは長期間印刷した場合であっても、印刷物の円滑な進行が確保され、所定のコスレ防止性能等を効果的に発揮することができる。
しかしながら、白金触媒の失活の問題は有効に解決されるとともに、通常紙等に対しては、高速印刷した場合であっても良好なコスレ防止性能が得られるものの、印刷物の基材がマット紙の場合であって、重ね塗り印刷を行ったような場合には、コスレ防止性が不十分となる場合が見られた。
この点、マット紙表面は他の紙に比較して粗く、インキが、通常よりも1.4倍程度厚く塗布され、さらに、重ね塗り印刷の場合、複数層の印刷層が形成されることに起因していると考えられる。
すなわち、それぞれ塗布厚が全体として厚くなり、乾燥工程において、インキに内包された溶剤成分が、完全に揮発しきれず、印刷層表面が半生状態となりやすくなる。
そのため、印刷層表面に物理接触したような場合に、インキにせん断応力が付加され、コスレ傷が発生したり、インキが転写したりして、印刷不良が発生しやすいと推定される。
【0013】
そこで、本発明者らは、以上のような事情に鑑み、鋭意努力したところ、所定のパラフィン系オイルを含んでなる印刷物用表面保護剤を、印刷物の表面に塗布することによって、印刷層表面が半生状態であっても所定のコスレ防止性能等を発揮できることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、白金触媒の失活のおそれが少ない非シリコーン系材料等からなる印刷物用表面保護剤であって、マット紙に印刷されてなる肉厚の印刷物等の表面であっても、効率的に保護できる印刷物用表面保護剤、及びそのような印刷物用表面保護剤を用いた印刷物の表面保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、下記(A)〜(C)成分を含有する水分散体であることを特徴とする印刷物用表面保護剤が提供され、上述した問題を解決することができる。
(A)水100重量部
(B)パラフィン系オイル:0.5〜120重量部
(C)界面活性剤:0.1〜30重量部
すなわち、水に対して、所定割合のパラフィン系および界面活性剤を含む水分散体から、印刷物用表面保護剤を構成することによって、マット紙に印刷されてなる肉厚の印刷物等の表面であっても、所定のコスレ防止性能等を効果的に発揮することができるとともに、良好な取り扱い性も得ることができる。
また、所定のパラフィン系オイルを幅広い範囲で含有することができることから、配合量が多少ばらついたような場合であっても、良好なコスレ防止性能等を安定的に発揮することができる。
さらに、印刷物用表面保護剤の主成分が非シリコーン系材料から構成されていることから、処理装置における排ガスの燃焼触媒として用いられる白金触媒の失活の問題が生じることもない。
その上、このような印刷物用表面保護剤であれば、再印刷する際の印刷物等の表面に対しても、良好なコスレ防止性能等を安定的に発揮することができる。
【0015】
また、本発明の印刷物用表面保護剤を構成するにあたり、(B)成分としてのパラフィン系オイルの%C
Pを60%以上の値とすることが好ましい。
このようにパラフィン系オイルの%C
Pを制限することにより、インキを溶解させることなく、効果的に凝集させ、結果として、シリコーン系材料と同様に、所定のコスレ防止性を発揮することができる。
【0016】
また、本発明の印刷物用表面保護剤を構成するにあたり、(B)成分としてのパラフィン系オイルのアニリン点を100℃以上の値とすることが好ましい。
このようにパラフィン系オイルのアニリン点を制限することにより、印刷インキの溶解性等を定量的かつ精度良く、制御することができ、ひいては、良好なコスレ防止性を安定的に発揮することができる。
【0017】
また、本発明の印刷物用表面保護剤を構成するにあたり、(B)成分としてのパラフィン系オイルの40℃における動粘度を、10〜150000mm
2/sの範囲内の値とすることが好ましい。
このようにパラフィン系オイルの動粘度を制限することにより、印刷インキの溶解性等を定量的かつ精度良く、制御することができ、ひいては、良好なコスレ防止性を安定的に発揮することができる。
【0018】
また、本発明の印刷物用表面保護剤を構成するにあたり、(B)成分としてのパラフィン系オイルが、エチレン、αオレフィン、およびイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種を原料として化学合成された炭化水素油、または、石油系パラフィンオイルの水添化物であることが好ましい。
このように、パラフィン系オイルが、所定の合成炭化水素油であれば、ナフテン分、芳香族分を含んでいないため、印刷物用表面保護剤による印刷インキの溶解性等を定量的かつ精度良く制御することができる。
また、このようにパラフィン系オイルが、石油系パラフィンオイルの水添化物であれば、石油由来のオイルに含まれる芳香族成分の一部をナフテンやパラフィンに分解し、粘度指数を高めたり、%C
Aを低下させたりすることができ、ひいては、配合量が比較的少量であっても、良好なコスレ防止性を安定的に発揮することができる。
【0019】
また、本発明の印刷物用表面保護剤を構成するにあたり、(C)成分としての界面活性剤が、カチオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
このように構成することによって、印刷物用表面保護剤に帯電防止効果を付与することができる。
【0020】
また、本発明の印刷物用表面保護剤を構成するにあたり、(E)成分として、粘度調整剤をさらに含有するとともに、当該(E)成分の含有量を、(A)成分としての水100重量部に対して、0.001〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、周囲温度の変化や、界面活性剤の種類や配合量等の変化によって、印刷物用表面保護剤が、過度に高粘度や低粘度になりやすい場合であっても、印刷物用表面保護剤を使用する際の粘度を適当な範囲内の値に調整でき、均一塗布性を確保することができる。
【0021】
また、本発明の別の態様は、(A)水100重量部に対して、(B)パラフィン系オイルを0.5〜120重量部、および(C)界面活性剤を0.1〜30重量部の範囲で含む水分散体としての印刷物用表面保護剤を用いてなる印刷物の表面保護方法であって、下記工程(i)〜(iii)を含むことを特徴とする印刷物の表面保護方法である。
(i)印刷媒体に対し、印刷用インクを用いて印刷を行い、印刷物を得る印刷工程
(ii)印刷物の表面に対し、印刷物用表面保護剤を塗布する塗布工程
(iii)印刷物用表面保護剤を乾燥させて、表面保護部材を形成する形成工程
このように表面保護方法を実施することにより、マット紙に印刷されてなる肉厚の印刷物等の表面であっても、所定のコスレ防止性能等を効果的に発揮することができる。
また、非シリコーン系材料である印刷物用表面保護剤を用いることから、処理装置における排ガスの燃焼触媒として用いられる白金触媒の失活の問題が生じることもない。
その上、再印刷する際の印刷物等の表面に対しても、良好なコスレ防止性能等を安定的に発揮することができる。
さらに言えば、所定のパラフィン系オイルを幅広い範囲で含有することができることから、配合量が多少ばらついたような場合であっても、良好なコスレ防止性能等を安定的に発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、下記(A)〜(C)成分を含有する水分散体であることを特徴とする印刷物用表面保護剤である。
(A)水100重量部
(B)パラフィン系オイル0.5〜120重量部
(C)界面活性剤0.1〜30重量部
以下、第1の実施形態の印刷物用表面保護剤を、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0024】
1.(A)成分
(1)水性材料
第1の実施形態の印刷物用表面保護剤は、相当量の水を含む水分散体とすることによって、適用する印刷物を侵すことなく、所定の表面保護部材を形成することができる。
また、印刷物用表面保護剤が相当量の水を含む水分散体であれば、製造時や保管時、あるいは、水希釈時や塗布時等を含めて、取扱いについても容易になる。
【0025】
(2)配合量
また、印刷物用表面保護剤を原液として構成する場合、(A)成分としての水の配合量を、印刷物用表面保護剤の全体量(100重量%)に対して、40〜95重量%の範囲内の値とすることが好ましく、50〜90重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、55〜85重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、使用時に、所定量の水を追加希釈して、印刷物用表面保護剤とする場合、(A)成分としての水の配合量を、印刷物用表面保護剤の全体量に対して、通常、70〜99.5重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる水の配合量が、70重量%未満の値となると、印刷物に適用した場合に、表面がべたついたり、印刷物同士が貼りついたり、水性材料としての取扱いが困難となったりする場合があるためである。
一方、かかる水の配合量が、99.5重量%を超えると、所定の保護膜を安定的に形成することが困難となって、所定のコスレ防止性能等を発揮することが困難となる場合があるためである。
したがって、印刷物用表面保護剤の全体量に対して、(A)成分としての水の配合量を、80〜99重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、90〜98重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0026】
2.(B)成分
(1)種類
(B)成分として、パラフィン系オイルを配合することを特徴とする。
この理由は、パラフィン系オイルであれば、インキを溶解させずに、凝集させることができることから、マット紙等に印刷されてなる肉厚の印刷物の表面であっても、再印刷する際の印刷物等の表面に対しても、良好なコスレ防止性能等を安定的に発揮することができるためである。
また、非シリコーン系材料であることから、処理装置における排ガスの燃焼触媒として用いられる白金触媒の失活の問題が生じることもないためである。
さらに言えば、パラフィン系オイルであれば、幅広い範囲で含有することができることから、配合量が多少ばらついたような場合であっても、良好なコスレ防止性能等を安定的に発揮することができるためである。
【0027】
(1)−1.合成炭化水素油
また、(B)成分としてのパラフィン系オイルが、エチレン、αオレフィン、およびイソブチレンからなる群から選択される少なくとも1種を原料として化学合成された炭化水素油であることが好ましい。
より具体的には、パラフィン系オイルとして、α−オレフィン(1−デセン、C10H20)を原料として重合反応と水素化処理で製造されるポリ−α−オレフィン(PAO)、イソブチレンを主体とし一部n−ブテンとの共重合物質であるポリブテン(ポリイソブチレン)、エチレンとα−オレフィンとのオリゴマーなどの化学合成によって合成された合成パラフィン系炭化水素オイルが挙げられ、これらのうち一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いても良い。
この理由は、パラフィン系オイルが、所定の合成炭化水素油であれば、ナフテン分、芳香族分を含んでいないため、印刷物用表面保護剤による印刷インキの溶解性等を定量的かつ精度良く制御することができるためである。
【0028】
(1)−2.水添物
また、(B)成分としてのパラフィン系オイルが、石油留分を精製、水添してなる石油系パラフィンオイルの水添化物であることが好ましい。
この理由は、パラフィン系オイルが、石油系パラフィンオイルの水添化物であれば、含まれる芳香族成分の一部がナフテンやパラフィンに分解されており、粘度指数の高いオイルとすることができるためである。
また、水添によって、芳香族炭化水素等の二重結合を含まないようにして、あるいは、アルキルの一部をイソ体に変化させ、すなわち、%C
Aを低含有値が低く、粘度指数の高いオイルとすることができるためである。
より具体的には、パラフィン系オイルにおける%C
Aを6%以下、より好ましくは、3%以下、さらに好ましくは、0.1%以下とすることが好ましい。
なお、パラフィン系オイルが水添化物か否かは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を用いて、ベンゼン環等における二重結合の含有量を測定することによって、判断することができる。
【0029】
(2)配合量
また、(B)成分としてのパラフィン系オイルの配合量を、(A)成分としての水100重量部に対して、0.5〜120重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるパラフィン系オイルの配合量が、0.5重量部未満の値となると、コスレ防止性等を効果的に発揮することが困難となったり、滑剤としての特性が著しく低下したり、強い摩擦によって、過度に帯電したりして印刷物の紙揃え性が低下する場合があるためである。
一方、かかるパラフィン系オイルの配合量が、120重量部を超えると、得られる印刷物用表面保護剤の粘度が著しく高くなったり、チクソトロピー性が顕著に発現し、取り扱い性や分散性が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、(B)成分としてのパラフィン系オイルの配合量を、(A)成分としての水100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜80重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0030】
ここで、
図1(a)に言及して、所定量の水で希釈して、印刷物用表面保護剤とした場合において、パラフィン系オイルの配合量と、印刷物用表面保護剤によるコスレ防止性能と、の関係を説明する。
より具体的には、
図1(a)の横軸に、水100重量部に対するパラフィン系オイルの配合量(重量部)が採って示してあり、縦軸に、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合に、所定のコスレが発生しない印刷機の回転数(rpm)が採って示してある。
また、ラインAは、印刷用紙としてマット紙を使用した場合の特性曲線であって、ラインBは、印刷用紙として微塗工紙を使用した場合の特性曲線を示している。
すなわち、印刷用紙として、マット紙を使用した場合には、ラインAが示すように、パラフィン系オイルの配合量が1.0重量部であれば、印刷機の回転数として、600rpm程度で、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生しないものの、回転数が600rpmを超えると、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生することが確認された。
また、同様に、印刷用紙として、マット紙を使用した場合、ラインAが示すように、パラフィン系オイルの配合量が1.5重量部であれば、印刷機の回転数として、700rpm程度で、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生しないものの、回転数が700rpmを超えると、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生することが確認された。
さらに、同様に、印刷用紙として、マット紙を使用した場合、ラインAが示すように、パラフィン系オイルの配合量が3.1重量部であれば、印刷機の回転数として、800rpm程度で、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生しないものの、回転数が800rpmを超えると、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生することが確認された。
一方、印刷用紙として、微塗工紙を使用した場合、ラインBが示すように、パラフィン系オイルの配合量が0.5、0.6、0.9および1.5重量部であれば、それぞれ印刷機の回転数が500、600、700、および800rpm程度であれば、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合であっても、所定のコスレが発生しないことが確認された。
したがって、印刷用紙として、マット紙および微塗工紙を使用した場合、それぞれにおいて、回転数600rpm程度で、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合に、所定のコスレが発生しないためには、水100重量部に対するパラフィン系オイルの配合量を0.5重量部以上とするのが有効であることが理解される。
【0031】
次いで、
図1(b)に言及して、印刷物用表面保護剤を原液として構成した場合において、パラフィン系オイルの配合量と、印刷物用表面保護剤の粘度と、の関係を説明する。
図1(b)の横軸に、水100重量部に対するパラフィン系オイルの配合量(重量部)が20〜160重量部の範囲で採って示してあり、縦軸に、印刷物用表面保護剤の粘度(mPa・sec(測定温度:20℃、測定回転数12rpm))が採って示してある。
なお、界面活性剤の配合量については、パラフィン系オイルが水と均一なエマルジョンを形成可能な量とし、約3.3〜32.6重量部の範囲内の値とした。
すなわち、
図1(b)中の特性曲線が示すように、パラフィン系オイルの配合量が約46重量部であれば、測定される粘度は、約18mPa・secであり、パラフィン系オイルの配合量が約78重量部であれば、測定される粘度は、約23mPa・secであり、パラフィン系オイルの配合量が約95重量部であれば、測定される粘度は、約73mPa・secであり、パラフィン系オイルの配合量が約120重量部であれば、測定される粘度は、約410mPa・secであり、パラフィン系オイルの配合量が約140重量部であれば、測定される粘度は、約1280mPa・secであり、パラフィン系オイルの配合量が約160重量部であれば、測定される粘度は、約2840mPa・secであった。
よって、取り扱いが容易なように、粘度を約500mPa・sec以下の値にするためには、水100重量部に対するパラフィン系オイルの配合量を120重量部以下とするのが有効であることが理解される。
【0032】
(3)%C
P
また、(B)成分としてのパラフィン系オイルの%C
Pを、60%以上の値とすることが好ましい。
この理由は、このようにパラフィン系オイルの%C
Pを制限することにより、印刷インキの溶解性等を定量的かつ精度良く、制御することができるためである。
したがって、(B)成分としてのパラフィン系オイルの%CPを、65〜100%の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜100%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
特に、合成パラフィン系炭化水素オイルは%C
Pが100%であるため、さらに好ましい。
なお、パラフィン系オイルの%C
Pは、n−d−M法に準じて、屈折率、密度、分子量、硫黄分を測定し、それからn−d−M環分析を行って、算出することができる。
【0033】
(4)アニリン点
また、(B)成分としてのパラフィン系オイルのアニリン点を100℃以上の値とすることが好ましい。
この理由は、パラフィン系オイルのアニリン点が100℃未満の値となると、印刷インキが溶解し易くなって印刷物を溶解したインキで汚してしまうためである。
すなわち、パラフィン系オイルのアニリン点を所定温度以上に制限することにより、印刷物用表面保護剤による印刷インキの溶解性等を定量的かつ精度良く、制御することができる。
したがって、パラフィン系オイルにおけるアニリン点を110℃以上の値とすることがより好ましく、120℃以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、パラフィン系オイルにおけるアニリン点は、JIS K 2256に準拠して、測定することができる。
【0034】
(5)動粘度
また、(B)成分としてのパラフィン系オイルの40℃における動粘度を、10〜150000mm
2/sの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、パラフィン系オイルの動粘度を制限することにより、印刷物用表面保護剤による印刷インキの溶解性等を定量的かつ精度良く、制御することができるためである。
より具体的には、40℃における動粘度が10mm
2/s未満の値となると、印刷物表面のインキが塗布されていない紙表面に塗布されたオイルが紙の厚み方向に浸透し、わずかに機械に付着したインキがその部分に付着し易くなり、地汚れという不良となることがあるためである。
一方、40℃における動粘度が150000mm
2/sを超える値となると、印刷物表面に付着したパラフィン系オイル微粒子がぬれ広がる速度が遅く、印刷物全面被覆するのに時間がかかり、その間でコスレを発生させてしまうことがあるためである。
したがって、40℃における動粘度を50〜10000mm
2/sの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜8000mm
2/sの範囲内の値とすることがさらにこのましい。
【0035】
3.(C)成分
(1)種類
(C)成分としての界面活性剤の種類は特に制限されるものでなく、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、非イオン界面活性剤、あるいは両性界面活性剤のいずれの界面活性剤についても使用することができる。
より具体的には、非イオン系界面活性剤類として、ラウリルアルコールアルキレンオキサイド付加物、ミリスチルアルコールアルキレンオキサイド付加物、セチルアルコールアルキレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールアルキレンオキサイド付加物、オレイルアルコールアルキレンオキサイド付加物、ユニリンアルコールアルキレンオキサイド付加物等の脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(炭素数10〜50のアルコールのアルキレンオキサイド付加物);オクチルフェノールアルキレンオキサイド付加物、ノニルフェノールアルキレンオキサイド付加物、ドデシルフェノールアルキレンオキサイド付加物等のアルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物(炭素数6〜16のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物);ラウリン酸アルキレンオキサイド付加物、ステアリン酸アルキレンオキサイド付加物等の脂肪酸アルキレンオキサイド付加物(炭素数10〜50の脂肪酸アルキレンオキサイド付加物);ポリアルキレングリコールオレイン酸モノエステル、ポリアルキレングリコールオレイン酸ジエステル、ポリアルキレングリコールラウリン酸ジエステル等の多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物(多価アルコールは、エチレングリコール、グリセリンなどであり、脂肪酸としては炭素数10〜20の脂肪酸);ラウリルアミンアルキレンオキサイド付加物、ステアリルアミンアルキレンオキサイド付加物等の高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物(炭素数10〜20のアルキルアミンアルキレンオキサイド付加物);ラウリン酸アミドアルキレンオキサイド付加物、ステアリン酸アミドアルキレンオキサイド付加物等の脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物(炭素数10〜20の脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物);ヤシ油還元アルコールアルキレンオキサイド付加物、牛脂還元アルコールアルキレンオキサイド付加物、マッコーアルコールアルキレンオキサイド付加物等の油脂のアルキレンオキサイド付加物;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物;ラウリン酸モノグリセライド等のグリセロールの脂肪酸エステル;ペンタエリスリットパルミチン酸モノエステル等のペンタエリスリトールの脂肪酸エステル;ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル等のソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル;砂糖のラウリン酸モノエステル、砂糖のステアリン酸モノエステル等のショ糖の脂肪酸エステル;多価アルコールのアルキルエステル;アルカノールアミン類の脂肪酸アミド;等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、アルキレンオキサイド付加物の場合に用いられるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどが挙げられ、好ましいものはエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドである。アルキレンオキサイドが2モル以上付加されたものは、ブロック付加でもランダム付加でもよい。
これらのうち、脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステルであることがより好ましい。
【0036】
また、アニオン系界面活性剤類として、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム等炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸塩;(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム等の炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩;スルホコハク酸モノもしくはジアルキルエステルのジもしくはモノナトリウム塩、スルホコハク酸(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)モノもしくはジアルキルエステルのジもしくはモノナトリウム塩等の炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩;(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩;ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等の炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩;ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩;ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等のアシル化アミノ酸塩;等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、印刷工程で併用される帯電防止剤の主原料であるカチオン系界面活性剤とイオンコンプレックスを形成し難い炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩である。
【0037】
また、両性系界面活性剤類として、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタイン、ヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等のベタイン型両性界面活性剤;β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性剤;等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0038】
また、カチオン系界面活性剤類として、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、等のアルキル(炭素数10〜24)トリメチルアンモニウム塩;ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド、ジパルミチルジメチルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジベヘニルジメチルアンモニウムクロライド等のジアルキル(炭素数10〜24)ジメチルアンモニウム塩;ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート等のジアルキル(炭素数8〜24)エチルヒドロキシエチルモニウム塩;1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−ステアリルイミダゾリニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−ラウリルイミダゾリニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−牛脂イミダゾリニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−大豆油イミダゾリニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−ヤシ油イミダゾリニウムクロライド等の1−ヒドロキシエチル−1−メチル−2−アルキル(炭素数10〜24)イミダゾリニウム塩;セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジニウムクロライド等アルキル(炭素数8〜24)ピリジニウム塩;ジオレイルイミダゾリニウムメトサルフェート、ジステアリルイミダゾリニウムメトサルフェート等のジアルキルもしくはジアルケニル(炭素数8〜24)イミダゾリニウム塩;等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0039】
なお、(C)成分としての界面活性剤の一部または全部として、帯電防止性を有するカチオン系界面活性剤(これを、他の界面活性剤(第1の界面活性剤)との差別化のため、第2の界面活性剤と称する場合がある。)を配合することも好ましい。
この理由は、パラフィン系オイルの乳化効果のみならず、帯電防止効果を有する第2の界面活性剤を配合することによって、印刷物用表面保護剤における両特性を向上させることができ、ひいては、コスレ防止性のみならず、良好な紙揃え性等の効果を発揮することができるためである。
すなわち、当該カチオン系界面活性剤としては、上述したカチオン系界面活性剤が挙げられ、かかるカチオン系界面活性剤の一種単独または二種以上の組み合わせを、第2の界面活性剤として、好適に用いることができる。
【0040】
(2)配合量
また、(C)成分としての界面活性剤の配合量を、(A)成分としての水100重量部に対して、0.1〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる界面活性剤の配合量が、0.1重量部未満の値となると、配合効果を発揮せず、パラフィン系オイルの分散性や乳化性が著しく低下する場合があるためである。
その結果として、コスレ防止性が発揮されず、また、印刷物の紙揃え性が低下したり、過度に帯電したりする場合があるためである。
一方、かかる界面活性剤の配合量が、30重量部を超えると、高粘度となって水希釈が困難になったり、過度に印刷物に塗布されて、印刷物表面におけるべたつきが過度に発生して、紙揃えや紙折り精度が低下したりする場合があるためである。
したがって、(C)成分としての界面活性剤の配合量を、(A)成分としての水100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましく、5〜10重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、(C)成分としての界面活性剤として、第1の界面活性剤のみならず、上述した第2の界面活性剤を配合する場合、当該第2の界面活性剤の配合量を、(C)成分としての界面活性剤の配合量の全体量(100重量%)に対して、20〜100重量%の範囲内の値とすることが好ましく、30〜80重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、40〜60重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0041】
次いで、
図1(c)に言及して、所定量の水で希釈して、印刷物用表面保護剤とした場合において、界面活性剤の配合量と、印刷物用表面保護剤によるコスレ防止性能と、の関係を説明する。
より具体的には、
図1(c)の横軸に、水100重量部に対する界面活性剤の配合量(重量部)が採って示してあり、縦軸に、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合に、所定のコスレが発生しない印刷機の回転数(rpm)が採って示してある。
なお、パラフィン系オイルの配合量については、パラフィン系オイルが水と均一なエマルジョンを形成可能な量とし、約0.5〜3重量部の範囲内の値とした。
また、ラインAは、印刷用紙としてマット紙を使用した場合の特性曲線であって、ラインBは、印刷用紙として微塗工紙を使用した場合の特性曲線を示している。
すなわち、印刷用紙として、マット紙を使用した場合、ラインAが示すように、界面活性剤の配合量が0.15重量部であれば、印刷機の回転数として、600rpm程度で、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生しないものの、回転数が600rpmを超えると、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生することが確認された。
また、同様に、印刷用紙として、マット紙を使用した場合、ラインAが示すように、界面活性剤の配合量が0.25重量部であれば、印刷機の回転数として、700rpm程度で、5万枚ロットの印刷物をした場合には、所定のコスレが発生しないものの、回転数が700rpmを超えると、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生することが確認された。
さらに、同様に、印刷用紙として、マット紙を使用した場合、ラインAが示すように、界面活性剤の配合量が0.52重量部であれば、印刷機の回転数として、800rpm程度で、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生しないものの、回転数が800rpmを超えると、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合には、所定のコスレが発生することが確認された。
一方、印刷用紙として、微塗工紙を使用した場合、ラインBが示すように、界面活性剤の配合量が、0.05、0.1、0.15、0.25重量部であれば、それぞれ印刷機の回転数が500、600、700、800rpm程度であれば、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合であっても、所定のコスレが発生しないことが確認された。
したがって、印刷用紙として、マット紙および微塗工紙を使用した場合、それぞれにおいて、回転数600rpm程度で、5万枚ロットの印刷物を印刷した場合に、所定のコスレが発生しないためには、水100重量部に対する界面活性剤の配合量を0.1重量部以上とするのが有効であることが理解される。
なお、印刷物用表面保護剤において、均一かつ安定的なエマルジョンを得るためには、界面活性剤の配合量についても、パラフィン系オイルの配合量と同様に変化させるべきことが判明しており、上述したように、パラフィン系オイルの配合量の上限値を120重量部とした場合、界面活性剤の配合量の上限値についても、30重量部程度とすべきである。
【0042】
4.(D)成分
(1)種類
また、(D)成分として、帯電防止剤を配合することが好ましい。
この理由は、帯電防止剤を配合することによって、印刷物用表面保護剤における安定性が向上するとともに、印刷物に対して高速印刷した場合であっても、静電気の発生を防止して、容易に紙揃えを行うことができるためである。
ここで好ましい帯電防止剤として、オフリン用帯電防止剤、衣類用柔軟剤、繊維製造工程で使用される帯電防止剤等と称する市販の配合薬剤を使用することが滑り性も同時に付与されることから好ましい。
【0043】
(2)配合量
また、(D)成分としての帯電防止剤の配合量は、その目的等に応じて変化する場合があるが、通常、(A)成分としての水100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、帯電防止剤の種類にもよるが、かかる帯電防止剤の配合量が、0.1重量部よりも少なくなると、添加効果が発現しない場合があるためである。
一方、帯電防止剤の配合量が、過度に多くなって、例えば、20重量部を超えると、高粘度となって水希釈が困難になったり、過度に印刷物に塗布されて保護膜を形成した場合に、表面がべたつきやすくなったり、印刷物同士が貼りつくブロッキング等の問題が生じたりする場合があるためである。
したがって、(D)成分としての帯電防止剤の配合量を、(A)成分としての水100重量部に対して、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(D)成分としての帯電防止剤は、通常のオフリン印刷に使用される市販の帯電防止剤や家庭で洗濯時に使用される衣類用柔軟剤であれば、予め印刷物用表面保護剤に配合しても、使用時に添加してもよい。
【0044】
5.(E)成分
(1)種類
また、(E)成分として、印刷物用表面保護剤に対して、粘度調整剤をさらに含有することが好ましい。
この理由は、粘度調整剤を配合することによって、印刷物用表面保護剤の取り扱いや保存管理が容易になるとともに、より安定的かつ均一に、印刷物に対して、塗布することができるためである。
すなわち、周囲温度の変化や、界面活性剤の種類や配合量等の変化によって、印刷物用表面保護剤が、過度に高粘度や低粘度になりやすい場合が生じるが、粘度調整剤の添加によって、印刷物用表面保護剤を使用する際の粘度を適当な範囲内の値に調整することができるためである。
そして、粘度調整剤の種類についても特に制限されるものでないが、例えば、粘度を低下させるための粘度調整剤(減粘剤)としては、炭素数2〜5の多価アルコールとして、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエレングリコールおよびジプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール;エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノールおよび3−メチル−3−メトキシブタノール等の炭素数2〜6の1価アルコール;炭素数3〜20のグリコールエーテルとして、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルおよびエチレングリコールモノフェニルエーテル等のモノアルキルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルおよびジプロピレングリコールn−プロピルメチルエーテル等のジアルキルエーテル;から選ばれる1種または2種以上を使用することができる。好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、イソプロピルアルコールおよび3−メチル−3−メトキシブタノールである。また、2種以上を併用する場合の比率は特に限定されない。
【0045】
また、同様に粘度を低下させるための他の粘度調整剤(減粘剤)としては、25℃での100gの水に対して10g以上溶解することのできる無機塩、例えばハロゲン化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウムなど)、硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウムなど)およびリン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなど)等のアルカリ金属塩;ハロゲン化物(塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど)および硫酸塩(硫酸マグネシウムなど)等のアルカリ土類金属塩;及びハロゲン化物(塩化アンモニウムなど)および硫酸塩(硫酸アンモニウムなど)等のアンモニウム塩;が挙げられる。
これらのうち、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウムがより好ましい。
【0046】
また、反面、粘度を上昇させるための粘度調整剤(増粘剤)としては、ポリアルキレングリコール、ポリグリセリン等の非イオン系ポリマー、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー、アクリルアミド−ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、カチオン化セルロース、カチオン化でんぷん、ポリアミジン等のカチオン系ポリマー水溶液等が挙げられる。
これらのうち、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジメチルアミン−エピクロロヒドリンコポリマー、アクリルアミド−ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、カチオン化セルロース、カチオン化でんぷん、ポリアミジン等のカチオン系ポリマー水溶液等がより好ましい。
この理由は、増粘による薬剤の均一塗布性に加え、帯電防止能も有するためである。
【0047】
(2)配合量
また、(E)成分としての粘度調整剤の配合量は、その目的等に応じて変更する場合があるが、通常、(A)成分としての水100重量部に対して、0.001〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、粘度調整剤の種類にもよるが、粘度調整剤の配合量が、0.001重量部よりも少なくなると、添加効果が発現しない場合があるためである。
一方、粘度調整剤の配合量が、過度に多くなって、例えば、30重量部を超えると、高粘度となって水希釈が困難になったり、乳化が破壊されて長期保存安定性が悪くなったり、過度に印刷物に塗布されて保護膜を形成した場合に、表面がべたつきやすい等の問題が生じたりする場合があるためである。
したがって、(E)成分としての粘度調整剤の配合量を、(A)成分としての水100重量部に対して、0.003〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.005〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】
6.その他の添加剤
また、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の各種添加剤を配合することも好ましい。
このような添加剤としては、例えば、乳化助剤、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤、着色剤、導電性付与剤、表面張力調整剤、保護コロイド剤、pH調整剤、滑剤、滑走抑制剤等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0049】
7.印刷物用表面保護剤の使用態様
本発明の印刷物用表面保護剤は、原液として用い、それに所定量の水等を加えて、希釈して使用する使用態様(第1の使用態様)であることも好ましいし、あるいは、使用時の好適粘度となるよう予め水等を加え希釈調整し、そのまま使用する使用態様(第2の使用態様)であることも好ましい。
そして、原液としての印刷物用表面保護剤の粘度に関して、印刷物用表面保護剤の粘度等が調整しやすいことから、測定温度25℃において、20〜4000mPa・secの範囲内の値とすることが好ましく、30〜3000mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、使用時の印刷物用表面保護剤の粘度に関して、測定温度25℃において、0.1〜1000mPa・secの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜300mPa・secの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜100mPa・secの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0050】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態の印刷物用表面保護剤を用いた印刷物の表面保護方法であって、下記工程(i)〜(iii)を含むことを特徴とする印刷物の表面保護方法である。
(i)印刷媒体に対し、印刷用インクを用いて印刷を行い、印刷物を得る印刷工程
(ii)印刷物の表面に対し、印刷物用表面保護剤を塗布する塗布工程
(iii)印刷物用表面保護剤を乾燥させて、表面保護部材を形成する形成工程
以下、
図2および
図3を参照しながら、印刷物の表面に対する印刷物用表面保護剤を用いた表面保護方法を具体的に説明する。
【0051】
1.印刷物用表面保護剤
第1の実施形態の印刷物用表面保護剤で説明した内容とすることができるため、ここでのさらなる説明は省略する。
【0052】
2.(i)工程
(i)工程は、
図2(a)に示すように、印刷媒体(マット紙等)4に対し、印刷装置を用いて、印刷用インク3による所定印刷を行い、印刷物5を得る印刷工程である。
このような(i)工程を実施する印刷装置の態様としては特に制限されるものでないが、例えば、
図3に例示するオフセット輪転印刷装置100、あるいは、グラビア印刷装置、スクリーン印刷装置、インクジェット印刷装置等の少なくとも一つとすることが好ましい。
【0053】
3.(ii)工程
(ii)工程は、
図2(b)に示すように、印刷物5の表面に対し、印刷物用表面保護剤2´を塗布する塗布工程である。
ここで、印刷用表面保護剤2´の塗布量は、印刷物の基材としての紙種等に応じて変更することもできるが、通常、50〜300mg/m
2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる印刷用保護剤の塗布量が、50mg/m
2未満の値となると、印刷物において、静電気が発生しやすくなったり、印刷物に対するコスレ防止効果が発現しない場合があるためである。
一方、かかる印刷用保護剤の塗布量が、300mg/m
2を超えると、表面のべたつき感が大きくなって、紙同士が貼りつきやすくなったり、しわが発生しやすくなったりするためである。
したがって、印刷用保護剤の塗布量を70〜250mg/m
2の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜200mg/m
2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0054】
そして、
図3に示すようなオフセット輪転印刷装置100において、本願発明の印刷物用表面保護剤は、所定のコスレ防止効果等を発揮しやすいという特徴がある。
すなわち、かかるオフセット輪転印刷装置100は、典型的に、給紙機10と、インフィード機20と、印刷ユニット30と、乾燥機40と、ウェブの冷却機50と、表面処理装置60と、折り裁断機80と、スタッカー90とを、備えて構成されている。また、ウェブの冷却機50は、冷却ローラ50aと、水スプレー装置50bと、から構成されている。
ここで、給紙機10には、ロール状に巻かれた印刷媒体としてのウェブ、例えば、紙ロールが配置されるとともに、それを連続的に繰り出すための構成部材である。また、インフィード機20は、印刷媒体としてのウェブを所定位置の経路に精度良く導くための構成部材である。
また、印刷ユニット30には、オフセット印刷ヘッドが備えてあり、所定の印刷用インクを、印刷媒体としてのウェブの所定場所に、塗布するための構成部材である。
また、乾燥機40は、印刷媒体(印刷紙)としてのウェブ上に印刷された印刷用インキを熱風乾燥し、印刷物とするための構成部材である。
また、ウェブの冷却機50は、冷却ローラ50aと、ウェブに加湿剤を塗布するノズル50bと、から構成されており、印刷物を冷却するとともに、必要とされる湿気を付与するための構成部材である。
また、折り裁断機80は、連続した印刷物を幅方向に平行して二つ折するホーマー部分と、一定長さに裁断する裁断部と、裁断した印刷物を二つ折加工する折り部と、折り加工された印刷物を一枚ずつずらして重ねてコンベアベルト上に供給する羽根車と、から構成されている。
さらにまた、スタッカー90は、印刷物を所定の大きさに切断して折られた紙を、指定枚数毎に層状に揃えて結束するための構成部材である。
【0055】
そして、表面処理装置60は、例えば、ウェブの冷却機50と、折り裁断機80との間に位置し、本願発明の印刷物用表面保護剤(希釈液)を塗布する構成部材である。
より具体的には、
図3中に、拡大図を示すが、印刷物用表面保護剤の供給パン61a、61bと、塗布ロール64a、64bと、切替弁65と、くみ上げポンプ63と、印刷物用表面保護剤のタンク62と、その間の循環路とから構成されている。
すなわち、印刷物用表面保護剤のタンク62から、くみ上げポンプ63によって、くみ上げられた印刷物用表面保護剤は、切替弁(流量調節弁)65を介して、供給パン61a、61bのいずれか、あるいは両方に送液される。次いで、塗布ロール64a、64bによって、例えば、100〜800m/分のライン速度で移動する印刷物の表面(表裏の両面、あるいは表裏のいずれか一方の面)に塗布されることになる。
【0056】
そして、本願発明の印刷物用表面保護剤によれば、(A)成分としての水は、印刷物の表面に塗布された瞬時に、蒸発したり、あるいは、印刷物の厚み方向に浸透することから、パラフィン系オイルが印刷物の表面に残り、表面保護部材が形成されることになる。すなわち、表面に塗布された表面保護部材の働きによって、印刷物の表面のコスレ防止等の効果が発揮されることになる。
一方、印刷物用表面保護剤は、基本的に常時循環されており、塗布ロール64a、64bにおいて使用されなかった印刷物用表面保護剤は、供給パン61a、61bから別の循環路を通って、印刷物用表面保護剤のタンク62に戻されることになる。
【0057】
4.(iii)工程
次いで、(iii)工程は、
図2(c)に示すように、印刷物用表面保護剤を乾燥させて、表面保護部材2を形成する形成工程である。
ここで、かかる表面保護部材の平均厚さを0.05〜0.5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる表面保護部材の平均厚さが、0.05μm未満の値となると、印刷物において、静電気が発生しやすくなったり、印刷物に対するコスレ防止効果が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかる表面保護部材の平均厚さが、0.5μmを超えると、表面のべたつき感が大きくなって、紙同士が貼りつきやすくなったり、しわが発生しやすくなったりするためである。
したがって、表面保護部材の平均厚さを0.06〜0.3μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.07〜0.2μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、表面保護部材における平均厚さは、印刷物用表面保護剤の消費量から算出することもできるし、あるいは所定の膜厚測定装置によって、測定することができる。
【0058】
なお、本発明の印刷物用表面保護剤は、所定の表面保護部材を形成し、印刷装置を用いて、長時間にわたって高速印刷した場合であっても、得られる印刷物に対して、コスレ傷防止能を有効に発揮することができる。
そして、高速印刷のため、余剰な水分は自然に乾燥し、実質的に表面保護部材が印刷物(ウェブ)上に形成されることから、表面処理装置の後段において、乾燥装置を設けることを省略することができる。
【実施例】
【0059】
以下、実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。ただし、言うまでもなく、本発明の範囲は、特に理由なく、以下の記載に何ら制限されるものではない。
【0060】
[実施例1]
1.印刷物用表面保護剤の作成
乳化攪拌装置付きの容器内に、(A)成分としての水100重量部に対して、(B)成分としての石油精製によって得られた水添パラフィン系オイルB−1(出光興産製、ダイアナフレシアS−90)を46.15重量部と、(C)成分としての界面活性剤1(モノオレイン酸ソルビタン、表1中、C−1と表記する。)を2.77重量部、(C)成分としての界面活性剤2(オレイン酸(20)POEソルビタン、表1中、C−2と表記する。)を4.92重量部、をそれぞれ収容した後、撹拌しながら温度60℃に昇温し、この中に水(A)100重量部を少量ずつ添加(転相乳化法)し、全量投入後常温まで冷却し、平均粒径0.3μm、粘度:18mPa・sec(20℃)の印刷物用表面保護剤原液を作成した。
次いで得られた印刷物用表面保護剤原液全量100重量部に対して水900部および、(D)成分としての帯電防止剤(化研テック製、カケンスタットEZ−77S、表1中、D−1と表記する。)50重量部を混合撹拌して、実施例1の印刷物用表面保護剤とした。
なお、表1中の配合数値は、希釈調整後の当該成分の配合量を、水の配合量を100重量部として表記した。
また、パラフィンオイルの物性を表2に示す。
【0061】
2.印刷物用表面保護剤の評価
(1)耐コスレ性の評価(評価1)
印刷物用表面保護剤の耐コスレ性を評価した。すなわち、
図3に示すオフセット輪転印刷装置100を用いて、回転速度800rpm、5万枚の印刷条件で、マット紙(三菱製紙株式会社製ニューVマット)の上に、所定の印刷インキからなる印刷層を形成し、評価用印刷物とした。
その際に、印刷物用表面保護剤を評価用印刷物における印刷層の表面に塗布し、当該印刷層の表面において、コスレ傷が発生したか否かを目視観察し、以下の基準に沿って耐コスレ性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:コスレ傷が、5万枚の印刷工程において、全く観察されなかった。
○:コスレ傷が、5万枚の印刷工程において、1〜2回観察された。
△:コスレ傷が、5万枚の印刷工程において、3〜4回観察された。
×:コスレ傷が、5万枚の印刷工程において、5回以上、観察された。
【0062】
(2)帯電防止性の評価(評価2)
印刷物用表面保護剤の帯電防止性を評価した。すなわち、オフセット輪転機のホーマーの直前箇所において、静電電位測定器スタチロンDZ−4(シシド静電気社製)を用いて、印刷物表面における静電気圧を測定し、以下の基準に沿って、帯電防止性を評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:測定値が1kV以下である。
○:測定値が5kV以下である。
△:測定値が20kV以下である。
×:測定値が20kVを越える。
【0063】
[実施例2〜4]
実施例2〜4において、パラフィン系オイルの種類の影響を検討し、得られた結果を表1に示す。
すなわち、実施例2では、アルファオレフィンより合成されたポリアルファオレフィン系合成パラフィンオイルB−2(松村石油製、バーレルプロセスオイルP−380)に変えたほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
また、実施例3では、エチレン、アルファオレフィンより合成されたパラフィン系オイルB−3(三井化学製、ルーカントHC−40)に変えたほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
また、実施例4では、イソブテンを主体として一部ノルマルブテンを反応させたポリブテンと称される合成パラフィン系オイルB−4(JX日鉱日石エネルギー製、LV−100)に変えたほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
なお、各パラフィンオイルの物性を表2に示す。
【0064】
[実施例5〜8]
実施例5〜8においては、パラフィン系オイルの配合量および界面活性剤の配合量の影響を検討した。得られた結果を表1に示す。
すなわち、実施例5では、印刷物用表面保護剤原液において、水100重量部に対して、パラフィン系オイルB−1の配合量を75重量部、および界面活性剤の合計配合量を12.5重量部にしたほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
また、実施例6では、印刷物用表面保護剤原液において、水100重量部に対して、パラフィン系オイルB−1の配合量を94.94重量部、および界面活性剤の合計配合量を15.8重量部にしたほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
また、実施例7では、印刷物用表面保護剤原液において、水100重量部に対して、パラフィン系オイルB−1の配合量を120.0重量部、および界面活性剤の合計配合量を20.0重量部にしたほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
また、実施例8では、印刷物用表面保護剤原液において、水100重量部に対して、パラフィン系オイルB−1の配合量を140.2重量部、および界面活性剤の合計配合量を23.4重量部にしたほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
【0065】
[実施例9]
実施例9においては、(C)の界面活性剤の一部をカチオン系界面活性剤にして影響を検討した。得られた結果を表1に示す。
すなわち、実施例9では、印刷物用表面保護剤原液において、水100重量部に対して、パラフィン系オイルB−1の配合量を46.15重量部、および非イオン系界面活性剤の合計配合量を7.69重量部にして、実施例1同様に乳化物を作成し、カチオン系界面活性剤(ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、表1中、C−3と表記する。)を、7.69重量部をさらに添加撹拌して印刷物用表面保護剤を作成したほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
【0066】
[実施例10]
実施例10においては、(E)の粘度調整剤としての水溶性4級カチオンポリマー(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、表1中、E−1と表記する。)の添加の影響を検討した。得られた結果を表1に示す。
すなわち、実施例10では、印刷物用表面保護剤原液において、水100重量部に対して、パラフィン系オイルB−1の配合量を46.15重量部、および非イオン系界面活性剤の合計配合量を7.69重量部にして、実施例1同様に乳化物を作成し、水溶性4級カチオンポリマー(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、表1中、E−1と表記する。)を、9.23重量部をさらに添加撹拌して印刷物用表面保護剤を作成したほかは、実施例1と同様に、印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
【0067】
[比較例1]
比較例1において、所定のパラフィン系オイルの代わりに、精製ナフテン系オイルB−5(出光興産製、N−90)を用いたほかは、実施例1と同様に印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。得られた結果を表1に示す。
かかる結果から明らかなように、所定のパラフィン系オイルの代わりに、精製ナフテン系オイルを用いていることから、コスレ防止性能が不足していることが判明した。
なお、ナフテン系オイルの物性を表2に示す。
【0068】
[比較例2]
比較例2において、実施例1のパラフィン系オイルを用いるとともに、印刷物用表面保護剤原液において、水100重量部に対して、その配合量を6.45重量部、および界面活性剤の合計配合量を1.08重量部としたほかは、実施例1と同様に印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
かかる結果から明らかなように、パラフィン系オイルや界面活性剤の合計配合量が過度に少ないことから、コスレ防止性能が不足していることが判明した。
【0069】
[比較例3]
比較例3において、所定のパラフィン系オイルの代わりに、低粘度のアルファオレフィンより合成されたポリアルファオレフィン系合成パラフィンオイルB−6(松村石油製、バーレルプロセスオイルP−6)に変えたほかは、実施例1と同様に印刷物用表面保護剤を作成し、評価した。
かかる結果から明らかなように、パラフィン系オイルであっても、粘度が低いため、コスレ防止性能が不足していることが判明した。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】