特許第6059102号(P6059102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6059102
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
   G05F 3/04 20060101AFI20161226BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20161226BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   G05F3/04
   H02J50/10
   H04B3/54
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-144703(P2013-144703)
(22)【出願日】2013年7月10日
(65)【公開番号】特開2015-18383(P2015-18383A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社日本自動車部品総合研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】高岡 彰
(72)【発明者】
【氏名】大薮 弘和
【審査官】 東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−135379(JP,A)
【文献】 特表2007−509529(JP,A)
【文献】 特開2006−180691(JP,A)
【文献】 特開平11−155245(JP,A)
【文献】 特開2001−308754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 3/04
H02J 50/00
H04B 3/00−7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス状に形成され、電力を消費する機器(5)に対して電磁誘導を利用して給電する給電点(41)を有する給電線(2)と、
予め設定された給電周波数を有する交流信号を前記給電線に供給する給電部(31)と、
前記給電線に接続されたインダクタ(61,331)、該インダクタを迂回する迂回線路、該迂回線路を断続するスイッチ(62,332)を有する一つ以上の電気長切替部(6,33,35)と、
前記給電線の電気長が周期的に切り替わるように前記電気長切替部を構成するスイッチの状態を制御する制御部(34,34a〜34d)と、
を備えることを特徴とする給電システム。
【請求項2】
前記制御部と前記電気長切替部とは、前記給電線上の異なる箇所に設けられ、
前記制御部は、前記スイッチの状態を制御する信号として、直流信号を前記給電線に重畳し、
前記電気長切替部は、前記迂回線路によって迂回の対象となる線路に、前記インダクタと直列接続されたコンデンサ(63)を備え、前記スイッチを、前記給電線に重畳された直流信号の信号レベルによってオンオフ制御することを特徴とする請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記電気長切替部を複数備え、
前記制御部は、前記電気長切替部毎に、前記スイッチの状態を個別に制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記電気長切替部(33)を、前記給電部が接続された前記給電線の入力端に設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記電気長切替部(6,35)を、前記給電線の終端に設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項6】
前記電気長切替部を、前記スイッチがオン状態の時に前記給電線に生じる電流分布の腹にあたる箇所に設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項7】
前記給電線の線路長は、前記交流信号の波長の1/10以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項8】
前記給電線は、ツイストペア線からなることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項9】
前記給電線を介して前記機器との通信を行う通信回路(32)を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の給電システム。
【請求項10】
車両に搭載されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電線から端末への給電を非接触で行う給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給電線に交流信号を重畳し、給電線側に設けた一次コイルと端末側に設けた二次コイルを用いて、非接触で端末への給電を行う給電システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2007/029438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、給電線に重畳する交流信号の周波数を低くすると、コイルの体格を大きくする必要があるため、装置を小型化するには周波数を高くする必要がある。しかし、交流信号の周波数を高くすることによって、交流信号の波長が、給電線の線路長の数倍程度より小さくなると、給電線上での電流分布が不均一となり、給電線上に給電効率が大きく低下する箇所が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するために、給電線の位置によらず効率のよい給電を実現する小型の給電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の給電システムは、給電線と、給電部と、一つ以上の電気長切替部と、制御部とを備える。
給電線は、バス状に形成され、電力を消費する機器に対して電磁誘導を利用して給電する給電点を有する。給電部は、予め設定された給電周波数を有する交流信号を給電線に供給する。電気長切替部は、給電線に接続されたインダクタ、該インダクタを迂回する迂回線路、該迂回線路を断続するスイッチを有する。制御部は、給電線の電気長が周期的に切り替わるように電気長切替部を構成するスイッチの状態を制御する。
【0007】
このような構成によれば、制御部がスイッチをオンオフ制御することによって、給電線にインダクタを接続した状態と、給電線からインダクタを切り離した状態とに設定することができ、これにより、スイッチの状態に応じて給電線の電気長が変化する。
【0008】
その結果、スイッチの状態に応じて、給電線上の電流分布、ひいては、給電効率が大きく低下する電流分布の節にあたる箇所が変化する。従って、制御部によってスイッチの状態を適宜切り替えることによって、給電線上の全ての箇所にて効率のよい給電を実現することができる。また、給電周波数を高い周波数(波長が線路長の数倍程度以下となるような周波数)に設定することができるため、給電点に形成するコイルや給電対象の機器に設けるコイル、ひいてはシステムを小型化することができる。
【0009】
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の車載電力線通信システムの全体構成図である。
図2】(a)がマスタノードからスレーブノードへの電力伝達特性の測定に使用したシステム構成を示す説明図、(b)が測定結果を示すグラフである。
図3】(a)が給電線上の電流分布の測定に使用したシステム構成を示す説明図、(b)が測定結果を示すグラフである。
図4】第2実施形態の車載電力線通信システムの全体構成図である。
図5】第3実施形態の車載電力線通信システムの全体構成図である。
図6】第4実施形態の車載電力線通信システムの全体構成図である。
図7】第5実施形態の車載電力線通信システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
<全体構成>
本発明が適用された車載電力線通信システム1は、図1に示すように、ツイストペア線で構成されたバス状の給電線(電力線)2と、給電線2に直接接続され、給電線に電力を供給する機能を有するマスタノード3と、結合部4を介して給電線2に非接触で結合され、給電線2を介した非接触給電によって動作する複数のスレーブノード5と、給電線2に接続された電気長切替部6とを備える。そして、マスタノード3およびスレーブノード5は、給電線2を伝送媒体とするマスタスレーブ通信を実行する。
【0012】
なお、給電線2を介した給電には、予め設定された周波数(以下「給電周波数」という)を有する交流信号である給電信号PSを使用し、通信には、予め設定された周波数(以下「通信周波数」という)を有する交流信号である通信信号CMを使用する。
【0013】
但し、通信信号CMは、給電信号PSを搬送波として変調した信号(即ち、給電信号PSと通信信号CMが同じ)であってもよいし、給電信号PSとは異なる周波数(「給電周波数」≠「通信周波数」)の搬送波を変調したものであってもよい。
【0014】
<結合部>
結合部4は、給電線側結合部(給電点)41とノード側結合部42とで構成され、電磁誘導を利用して給電周波数および通信周波数の信号を相互に伝達するように構成された周知のものである。
【0015】
例えば、給電線側結合部41は、給電線2を構成するツイストペア線の撚りの一部をほどくことで形成されインダクタとして作用するリング状の部位からなる。一方、ノード側結合部42は、スレーブノード5と一体に構成され、給電線側結合部41の上記リング状の部位に対向して配置される渦巻き状に形成されたインダクタからなる。
【0016】
<電気長切替部>
電気長切替部6は、給電線2の終端に設けられており、インダクタ61,スイッチ62,コンデンサ63を備える。
【0017】
インダクタ61は、給電線2を構成する一対の信号線(往路/復路)の間に挿入されている。スイッチ62は、インダクタ61の両端を接続する迂回線路を導通遮断するように接続されている。コンデンサ63は、給電線2の一方の信号線に挿入され、給電線2に重畳される直流信号(即ち、後述する第2制御信号C2)をカットし、交流信号(即ち、給電信号PS/通信信号CS)のみをインダクタ61やスイッチ62が設けられた迂回線路に供給する。そして、スイッチ62は、コンデンサ63の給電線2側端で抽出される直流信号の信号レベルに従って、オンオフ状態が制御されるように接続されている。
【0018】
つまり、スイッチ62がオフ状態の時に、給電線2にインダクタ61が挿入された状態となり、スイッチ62がオン状態の時に、給電線2にインダクタ61が挿入されていない状態となる。
【0019】
<スレーブノード>
スレーブノード5は、受電回路51と、通信回路52とを備える。
受電回路51は、結合部4を介して取り込んだ給電信号PSを整流,平滑化することで、自スレーブノード5各部を駆動するための定電圧の電源出力を生成する。
【0020】
通信回路52は、受電回路51からの電源出力がある場合に動作し、結合部4を介してマスタノード3との間で通信信号CMを送受信することによりマスタスレーブ通信を実行する。
【0021】
<マスタノード>
マスタノード3は、給電回路31と、通信回路32と、電気長切替回路33と、制御回路34とを備える。
【0022】
給電回路31は、給電信号PSを生成して給電線2に供給する。通信回路32は、搬送波を変調した通信信号CMをスレーブノード5との間で送受信することによりマスタスレーブ通信を実行する。
【0023】
電気長切替回路33は、給電回路31から給電線2に至る経路中に直列に挿入されたインダクタ331と、インダクタ331の両端を接続する迂回線路に設けられ、迂回線路を導通,遮断するスイッチ332からなる。
【0024】
制御回路34は、スイッチ332をオンオフする第1制御信号C1、および電気長切替部6を制御するために給電線2に印加される直流信号である第2制御信号C2を生成する。ここでは、第1制御信号C1によってスイッチ332をオフ状態(入力端側インダクタ挿入)とし、且つ第2制御信号C2によってスイッチ62をオン状態(終端側ショート)とする第1状態と、第1制御信号C1によってスイッチ332をオン状態(入力端側インダクタ非挿入)とし、且つ第2制御信号C2によってスイッチ62をオフ状態(終端側インダクタ挿入)とする第2状態とが、周期的に切り替わるように、第1制御信号C1および第2制御信号C2を生成する。
【0025】
第1状態と第2状態の切替周期は、例えば、スレーブノード5の受電回路51が1フレーム分の信号の送受信に必要な電力を蓄えるのに必要な時間毎に切り替えることが考えられる。なお、第1状態と第2状態の切替タイミングは、給電周波数と通信周波数が異なっている場合は任意のタイミングでよく、両周波数が同じである場合は、フレームの送受信に同期して切り替える必要がある。
【0026】
このように、切替周期や切替タイミングは、スレーブでの消費電力の大きさや、給電周波数、通信周波数の設定等、システムの仕様に応じて適宜設定すればよい。
<効果>
このように構成された車載電力線通信システム1では、給電線2を介してマスタノード3からスレーブノード5への給電を行うと共に、給電線2を介して、マスタノード3とスレーブノード5との間のマスタスレーブ通信を実行する。
【0027】
但し、給電や通信に使用する交流信号の波長λと給電線2を構成するツイストペア線の往復長Lとの関係が、λ≦10Lである場合、線路上での交流信号の電流分布が不均一となり、電流強度が最大強度の箇所と比較して3dB以上低下する箇所、即ち、給電効率が低下する箇所が存在する。
【0028】
これに対して、車載電力線通信システム1では、制御回路34が第1状態と第2状態とを切り替えて給電線2の電気長を変化させることによって、給電線2での電流分布を変化させている。これにより、給電効率が最大となる箇所や給電効率が低下する箇所も変化するため、給電線2のどの箇所でも、第1状態および第2状態の少なくとも一方では、効率のよい給電を実現することができる。
【0029】
また、車載電力線通信システム1では、給電や通信に使用する交流信号の周波数を高く(即ち、波長λを小さく)設定しても、上記効果を得ることができるため、結合部4を構成するコイルとして体格の小さいものを用いることができ、システムを小型化、軽量化することができる。
【0030】
<実験>
図2(b)は、給電線2上で結合部4の位置を変化させてスレーブノード5での受信電力を測定した結果を示したものであり、給電線2の全ての箇所にて、目標値を上回っていることが確認できる。
【0031】
但し、図2(a)に示すように、給電線2の長さを5m(往復長L=10m)、インダクタ331,61のインダクタンスを2.7μH、給電または通信に使用する交流信号の周波数を13.56MHzとして測定した。
【0032】
比較のため、図3(a)に示すように、インダクタ331,61を除去する以外は同じ条件で、給電線2上の電流分布を測定した結果を、図3(b)に示す。
電気長を切り替えるための構成を備えていない比較例では、給電効率が大きく低下し、実質的にスレーブノード5を接続することができない箇所が存在することがわかる。
【0033】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。
本実施形態の車載電力線通信システム1aは、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0034】
第1実施形態では、給電線2の終端に電気長切替部6を設けている。これに対して本実施形態では、図4に示すように、給電線2を、その両端がマスタノード3aに接続されるようにループ状に配線し、電気長切替部6を省略する代わりに、電気長切替部6に相当する構成をマスタノード3aに追加している点で、第1実施形態とは相違する。
【0035】
<マスタノード>
マスタノード3aは、給電回路31と、通信回路32と、第1電気長切替回路33(第1実施形態の電気長切替回路33と同じもの)と、制御回路34と、第2電気長切替回路35とを備える。
【0036】
第2電気長切替回路35は、第1実施形態における電気長切替部6からコンデンサ63を省略したものであり、第2制御信号C2を、給電線2を介することなく制御回路34aから直接受けるように構成されている。
【0037】
<効果>
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、第2制御信号C2を、給電線2を介して送信する必要がないため、その分、装置構成を簡略化することができる。
【0038】
[第3実施形態]
次に第3実施形態について説明する。
本実施形態の車載電力線通信システム1bは、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0039】
第1実施形態では、給電線2の終端に電気長切替部6を設けている。これに対して本実施形態では、図5に示すように、電気長切替部6および第2制御信号C2の生成、送信に関する構成を省略している点で、第1実施形態とは相違する。
【0040】
具体的には、給電線2の終端では、給電線2を構成する一対の信号線が短絡(終端側ショート)されている。
また、マスタノード3bにおいて、制御回路34bは、第1制御信号C1のみを生成し、第1制御信号C1によってスイッチ332をオフ状態(入力端側インダクタ挿入)とする第1状態と、第1制御信号C1によってスイッチ332をオン状態(入力端側インダクタ非挿入)とする第2状態とを、周期的に切り替えるように構成されている。
【0041】
このように構成された本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を、より簡易な構成で得ることができる。
[第4実施形態]
次に第4実施形態について説明する。
【0042】
本実施形態の車載電力線通信システム1cは、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第1実施形態では、マスタノード3に電気長切替回路33を設けている。これに対して本実施形態では、図6に示すように、電気長切替回路33、および第1制御信号C1の生成に関する構成を省略している点で、第1実施形態とは相違する。
【0043】
具体的には、マスタノード3cにおいて、制御回路34cは、第2制御信号C2のみを生成し、第2制御信号C2によってスイッチ62をオン状態(終端側ショート)とする第1状態と、第2制御信号C2によってスイッチ62をオフ状態(終端側インダクタ挿入)とする第2状態とを、周期的に切り替えるように構成されている。
【0044】
このように構成された本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を、より簡易な構成で得ることができる。
[第5実施形態]
次に第5実施形態について説明する。
【0045】
本実施形態の車載電力線通信システム1dは、基本的な構成は第2実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
第2実施形態では、マスタノード3aに電気長切替回路33を設けている。これに対して本実施形態では、図7に示すように、電気長切替回路33、および第1制御信号C1の生成に関する構成を省略している点で、第2実施形態とは相違する。
【0046】
具体的には、マスタノード3dにおいて、制御回路34dは、第4実施形態の場合と同様に、第2制御信号C2のみを生成し、第2制御信号C2によってスイッチをオン状態(終端側ショート)とする第1状態と、第2制御信号C2によってスイッチをオフ状態(終端側インダクタ挿入)とする第2状態とを、周期的に切り替えるように構成されている。
【0047】
このように構成された本実施形態によれば、第2実施形態と同様の効果を、より簡易な構成で得ることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0048】
(1)上記第1および第2実施形態では、制御回路34は、第1状態と第2状態とを切り替えているが、第1制御信号C1および第2制御信号C2によってスイッチ332およびスイッチ62をいずれもオン状態とする第3状態、いずれもオフ状態とする第4状態を加えた四つの状態のうち、任意の二つ以上の状態を使用するように構成してもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、給電線2の入力端または終端に、給電線2の電気長を変化させるための構成を設けているが、これらの構成は給電線2のどこに設けてもよく、特に、給電線上の電流分布の腹にあたる箇所に設けることによって、電気長を効率良く変化させることができる。
【0050】
(3)上記実施形態では、交流信号による給電および通信をいずれも実施する電力線通信システムに適用した例を示したが、交流信号による非接触給電のみを行う給電システムに適用してもよい。
【0051】
(4)上記実施形態では、車載電力線通信システムに本発明を適用しているが、これに限るものではなく、給電や通信に用いる交流信号の波長λと、給電線の往復線路長Lとの関係がλ≦10Lを満たすように設定されたシステムであれば効果を得ることができる。
【0052】
(5)本発明の各構成要素は概念的なものであり、上記実施形態に限定されない。例えば、一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を他の実施形態の構成に対して負荷、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1,1a〜1d…車載電力線通信システム 2…給電線 3,3a〜3d…マスタノード 4…結合部 5…スレーブノード 6…電気長切替部 31…給電回路 32…通信回路 33…電気長切替回路(第1電気長切替回路) 33…電気長切替回路 34,34a〜34d…制御回路 35…第2電気長切替回路 41…給電線側結合部 42…ノード側結合部 51…受電回路 52…通信回路 61,331…インダクタ 62,332…スイッチ 63…コンデンサ
図1
図4
図5
図6
図7
図2
図3