【実施例】
【0063】
実験実施例
本発明をこれから、以下の実施例を参照して記述する。これらの実施例は、例証のみの目的で提供されており、本発明は、これらの実施例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ本明細書において提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆる変形も包含すると解釈されるべきである。
【0064】
さらなる記述がなくても、当業者は、先の記述および以下の例証となる実施例を用いて、本発明をなし、利用し、主張される方法を実践しうるものと考えられる。以下の作業実施例はそれゆえ、本発明の好ましい態様を具体的に指摘するものであり、開示の残りをいかなる方法でも限定すると解釈されるべきではない。
【0065】
実施例1: フローサイトメトリーによる循環血中MPの検出
先に説明されているように、フローサイトメトリー(FCM)は血中の微粒子(MP)の検出のために用いることができる。この技術は、さまざまなMPサブセットを特定する複数マーカーの同時判定により、1つのサンプルにおける何千ものMPの測定を可能にする。非常に小さいサイズのMP (0.1〜1.0 μm)は、標準的なフローサイトメーターのサイズ解像度の限界で検出される。したがって、正確な検出には標本調製、サンプル採取、およびデータ分析における細部への細かい配慮を要する。本明細書において実証されるように、患者におけるヒト血漿中のMPの検出は、BD Biosciences FACS Canto AおよびBeckman Coulter Galliosを用いて最適化された。
【0066】
以下の材料および方法を実施例1において用いた。
【0067】
無血小板血漿(PFP)は、健常対象37人由来のヘパリン添加血液の2段階遠心分離(15分間1500 gおよび2分間13,000 g)によって得た。PFP 50 μlを、二度ろ過したFITC-CD31 (555445, BD) 5 μl、PE-CD144 (560410, BD) 5 μl、APC-CD64 (CD6405, Invitrogen) 2.5 μlおよびPerCP-Cy5.5-CD41a (340930, BD) 5 μl、またはFITC-アネキシンV (556570, BD) 2.5 μl、PE-CD105 (560839, BD) 1.25 μlおよびPercp-Cy5.5-CD3 (340949, BD) 5 μlで標識した。FMOチューブを用いて、陰性ゲートをセットアップした。
【0068】
室温で30分のインキュベーションの後、50 μlの3 μmビーズ(BCP-30-5, Spherotech)および二度ろ過したPBSまたはアネキシン緩衝液を試験管に加えて、全最終容量を500 μlとした。次にサンプルをFACS Canto A (BD)およびGallios (Beckman Coulter)に流した。
【0069】
データ収集および分析のために、前方散乱および側方散乱閾値、光電子増倍管(PMT)電圧ならびにウィンドウ拡張(WE)を最適化し、0.3、1および3 μmのキャリブレーションビーズを用いて0.1〜1 μmの粒子を検出した。MPは、対数モードで前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)の両方を用いたプロトコルにおいて分析した。標準的なビーズ0.3 (Sigma)、1および3.0 μmの直径のもの(Spherotech)をMPサイズの推定に用いた。SSWまたはFSC-SSCグラフの0.3〜1.0 μmのサイズによる事象は、MPとしてゲートした。CantoおよびGalliosの両方について3 μmビーズの固定数(200,000)がカウントされた時点で収集を停止した。分析はBD FACS Canto AのDiVaバージョン6.1.2およびBC GalliosのKaluzaバージョン1.1で行った。
【0070】
図2に示されるように、FSCおよびSSC閾値を、異なるFSCまたはSSC閾値で中速度にて機器を通過した0.3 μmのビーズ(横列A)または0.3、1および3 μmのビーズ(FFC/SSC等高線図の横列BおよびSSC-Wヒストグラムの横列C)により判定した。縦列DおよびEは、FFC/SSC等高線図およびSSC-Wヒストグラムプロットの両方で3種類のビーズの良好な解像度を示しており、FSC閾値を5000に設定し、またはSSC閾値を200に設定し(縦列D)、およびSSC閾値だけを200に設定し、かつFSC閾値をオフに設定した(縦列E)。200に設定したFSC閾値または200に設定したSSC閾値(縦列F)で、さらに多くのバックグラウンドノイズを得た。0.3 μmのビーズは、200に設定したFSC閾値およびオフに設定したSSC閾値(縦列G)で失われていた。側方散乱は、前方散乱よりも小さい粒子に対して良好なパラメータである。本試験ではFSC/SSC等高線図およびSSC-Wヒストグラムプロットの両方での3種混合ビーズの良好な解像度のために、FSCおよびSSC閾値を5000および200に設定した(縦列D)。
【0071】
図3に示されるように、二度ろ過したPBSおよび0.3 umのビーズを用いて、FSC、SSC PMTをセットアップした。二度ろ過したPBSが中流速で機器を通過している際には1秒あたり10個未満の事象を許容した。FSCおよびSSCの閾値を、それぞれ、5000および200に設定した。異なるSSC電圧を用いて機器に同じサンプルを流すことによってFSCおよびSSC PMTを判定した。SSC 300および325によってはさらに多くのMPを失い、SSC 375および400ではさらに多くのバックグラウンドノイズを得た。本試験では350のSSC電圧を許容した。あまりに多くのバックグラウンドノイズのため、SSC電圧400のデータはここに示さなかった。
【0072】
図4に示されるように、WE 0から7まで、中速で0.3、1および3 μmのビーズを流すことにより、FACS Canto Aウィンドウ拡張(WE)を判定した。3種類のビーズの解像度がいっそう良好なため、かつSSC-Wヒストグラムプロットでのバックグラウンドノイズが低いため、WE 0.2を選択した。
【0073】
図5に示されるように、PFPをFITC-アネキシン(またはCD31)、Percp-Cy5.5-CD41、PE-CD105 (またはCD144)、APC-CD64で染色し、WE 0.2または7にて流した。3 μmビーズの固定数(100,000)がカウントされた時点で収集を停止した。横列Aはドットプロットにて1 μm未満でゲートし、WEを0.2に設定した。横列Bはドットプロットにて1 μm未満でゲートし、WEを7に設定した。SSC-Wヒストグラムプロットにて横列Cは、WE 0.2で1 μm未満にてゲートし、横列Dは、WE 7で1 μm未満にてゲートした。WE 7によってはさらに多くのバックグラウンドノイズおよびさらに少ない陽性粒子が収集された(横列Bおよび横列D)。
【0074】
図6に示されるように、0.3、1および3 μmのビーズを用いて、MPサイズを推定した(Canto AのAおよびBならびにGalliosのC)。MPは1 μm未満でゲートした(SSC-WヒストグラムでゲートしたDならびにCantoでのFSC/SSCドットプロットのEおよびGalliosでのF)。Canto Aの設定の場合、前方散乱および側方散乱閾値を、それぞれ、5000および200に設定し、ウィンドウ拡張を0.2に設定した。Galliosの設定の場合、FSに対する識別値を1に設定し、前方散乱の収集角度をW2とした。
【0075】
図7に示されるように、二度ろ過したPBS 500 μl中でMP検出に用いた抗体の同量をCanto Aに流した。ろ過していない抗体(横列A)は、二度ろ過した抗体(横列B)よりも多くの偽陽性事象を示した。MP検出に用いられる全ての試薬を、0.1〜0.22 μmのタンパク質低結合フィルタを通じて二度ろ過し、抗体凝集物および泳動用緩衝液由来のバックグラウンドノイズを除去しなければならない。
【0076】
図8に示されるように、PFP 50 μlをろ過していない抗体(横列AおよびC)ならびに二度ろ過した抗体(横列BおよびD)で標識した。横列AおよびBはSSC-Wヒストグラムプロットにて1 μm未満でゲートした。横列CおよびDはFSCおよびSSCドットプロットにて1 μm未満でゲートした。事前にろ過した抗体は、抗体の凝集を取り除くことによって偽陽性粒子を低減するのに役立つ。
【0077】
図9に示されるように、MPをCantoおよびGalliosの両方で検出した。MPをCanto (横列A)およびGallios (横列B)の両方にて1 μm未満でゲートした。1項目除外蛍光(fluorescence minutes one; FMO)チューブに基づき陽性MPを判定した。
【0078】
図10に示されるように、コンピュータでのスピアマン順位相関を用いて、2種のプラットフォーム間でのMPカウントを比較したところ、0.6の相関を示したCD105(+)を除いて大部分の相関が0.8を超えた(P<0.05)。GalliosでのMPのカウントは、Canto Aでよりも2倍大きかった。横列Aは2種のプラットフォームの相関を示し、その一方で横列Bは2種のプラットフォームでのMP数の比較を示す。
【0079】
本実施例において実証されるように、サイトメーターの設定の最適化により、バックグラウンドノイズを大幅に弱めることができる。好ましくは、緩衝液と抗体とを含む試薬を、0.1〜0.2 μmのタンパク質低結合フィルタにより二度ろ過し、抗体凝集物および緩衝液由来のバックグラウンドノイズを低減しなければならない。GalliosおよびFACSCantoで得られた値には相関性があったが、関心対象の領域においては、より多数の事象がGalliosによって検出された。
【0080】
実施例2: 糖尿病集団での血管健康の指標としての前駆細胞との微粒子の関係
改善されたかつ臨床上実行可能な血管病変指標として使用できるかどうかを確かめるために、PC/PACとのMPの関係を調べた。血漿サンプルを初期(ES, 診断から1年未満)および長期(LT, 診断から5年超)の2型糖尿病を有する患者から回収し、年齢に関係した健常対照(H)と比較した。PCおよびMPのサブタイプをフローサイトメトリーおよびELISAに基づく方法の組み合わせによって測定した。凝固促進性MP/CD341 PCの比率は、対象群を区別するための有益な指標だと証明された(P5 0.01)。損なわれた血管機能に関するこの指標は、集中的なスタチン療法にもかかわらず、LT群において最も高く、一連の可溶性タンパク質バイオマーカーよりも情報価値があった。
【0081】
意外にも、2型糖尿病においてMPとPCとの間に相関関係が認められた。この比率は、糖尿病を有する患者での血管機能不全および心血管リスクの定量的かつ臨床上実行可能な測定を提供する。
【0082】
以下の材料および方法を実施例2において用いた。
【0083】
患者採用および試験デザイン
前の12ヶ月以内に2型糖尿病と診断された患者を「初期」(ES)と呼び、5年よりも前に診断された患者を「長期」(LT)と呼んだ。年齢に関係した「健常」(H)対象は、糖尿病に関連する状態または心血管に関連する状態の既往歴または現病歴がないことに基づいて試験に採用され、スタチンを含むいずれのタイプのCVに関連する薬物治療も、または高脂血症、高血圧もしくは糖尿病に対する薬物治療も受けていなかった。ES群の4人(36%)およびLT群の14人(67%)は、糖尿病、高血圧、および他の状態を処置するための一連の他の薬物治療とともに、スタチン薬物治療を受けていた。心血管疾患の家族歴に関して、健常群における18人中12人(66%)の対象、初期群における11人中10人(90%)および長期群におけるすべて(100%)の参加者が、心血管疾患の家族既往歴があると回答した。LT患者における糖尿病の平均の長さは、20年であった。全ての試験参加者が非喫煙者であった。書面によるインフォームド・コンセントを全ての試験参加者から入手し、試験プロトコルは施設内倫理委員会(IRB)によって承認された。各対象は午前8:00時頃に静脈血およそ50 mLを献血し、その前の夜には全ての対象が絶食した。細胞および可溶性タンパク質分析の場合にはヘパリン添加(Baxter)注射器(30 mL)、微粒子の場合にはクエン酸ナトリウム添加注射器(10 mL)ならびに脂質分析の場合にはEDTA添加注射器(10 mL)の中に採血した。対象ごとに個体群統計データ、病歴/薬歴、身体検査、および生命兆候を記録した。
【0084】
PC/PACのフローサイトメトリー
サンプル収集後1時間未満で、既述のように塩化アンモニウム溶解を用いて血液30 mLから白血球を単離した。血小板数は判定されなかった。細胞染色、ゲーティング戦略、フローサイトメトリー法、および分析は、記述にしたがって行った。おおよそ5E6細胞が6色抗体パネル: FITC-抗CD31 (PECAM) (Pharmingen)、PE-抗CDI33 (Miltenyi Biotec)、PerCP-Cy5.5-抗CD3、抗CDI9、抗CD33 (Becton Dickinson)、APC-H7抗CD45 (Becton Dickinson)、PE-Cy7-抗CD34 (Becton Dickinson)、およびAPC-抗VEGF-R2 (R&D Systems)で染色された。ヨウ化プロピジウム排除によって生存性を評価した。Becton-Dickinson LSRIIサイトメーターを用いて、2E6生細胞事象をサンプルごとに加工処理し、光散乱とともに6種の蛍光マーカーによって、生存細胞のみの、低度〜中度の側方散乱が可能とされた。CD3,19,33陰性であったシングレットをPCおよびPACについて分析した。前方散乱幅に対する側方散乱幅のプロットから特定された顕著な細胞クラスとしてシングレットをゲートし、細胞凝集物が分析から確実に除外されるようにした。1項目除外蛍光(FMO)サンプルを陰性対照として用いた。細胞集団(PCおよびPAC)を、血液1mlあたりの細胞数として計算される単核細胞の割合として定量化した。分析では、PCおよびPACに対するサブセットの定義に焦点を合わせた(表1)。FlowJo分析ソフトウェア(Treestar, Ashland, OR)を用いてデータ分析を行った。
【0085】
(表1)フローサイトメトリーでの表面マーカーによる細胞または粒子の遺伝子型
【0086】
MP単離
MPを単離するために採血後1時間以内にクエン酸血から乏血小板血漿(PPP)を得た。全血を15分間1500 gで遠心分離し、上清を集め、室温で5分間13,500 gでの遠心分離によってPPPを得た。対象ごとに、PPPを別々の試験管に分取し、その後の使用まで-80℃で貯蔵した。使用した全てのサンプルを1回のみの凍結融解サイクルに供した。
【0087】
MPに対するフローサイトメトリー
MPの特徴付けおよび定量化のため、PPPを暗所中RTで30分間、1×BDアネキシン-V結合用緩衝液(10 mM Hepes、pH 7.4、140 mM NaCl、および2.5 mM CaCl2) (BD Biosciences)中アネキシン-V (FITC)、PECY5-CD41a、APC-CD14 (BD Biosciences)およびPE-CD144 (R&D System)の混合物とともにインキュベートし、その後、1×BDアネキシン-V結合用緩衝液を加えて試験管の総量を1 mLとした。陰性対照を、カルシウムを含まない結合用緩衝液中のアネキシン-V (FITC)および同量の適合アイソタイプ対照抗体で染色されたPPPとして調製した。BD Biosciences FACSCantoサイトメーターを用いて、FSC-HのP1領域(1 1 m未満)およびSSC-H散乱(対数尺度)をキャリブレータビーズによって定義した(
図11A)。P1領域および同様に6-1 mマイクロスフェアビーズ(Bacteria Counting Kit, Invitrogen)を用いて1 LあたりのMP数を判定し、分析されるサンプル量(1 L)を判定した(
図11B)。各特異的AbおよびアネキシンVで染色されたMPの数を、FACSDivaソフトウェア(BD Biosciences)を用いて分析かつ判定し、1 LあたりのMP数として表現した。陽性抗体染色によるMPの細胞起源の特徴付けが、上記表1に記載されている。
【0088】
MPプレートに基づく捕捉アッセイ法
Zymuphen MP Activity Kit (Aniara-CAT#A521096)を用いてPS+ MPの濃度を判定した。このアッセイ法では、MPをPPPから不溶性化アネキシン-V上に捕捉し、そのPS含量を機能的プロトロンビナーゼアッセイ法によって測定した。これは、外膜表面のホスファチジルセリンのnMの測定を介して、総MP凝固促進活性の間接的測定をもたらす。この方法により測定されたMPは、ホスファチジルセリン当量のnM単位で表現される。
【0089】
可溶性タンパク質
製造元の指示にしたがって市販の試験キットを用い、電気化学発光検出によってクエン酸血漿から可溶性タンパク質を測定した。Vascular Injury IIアッセイキット(CAT # K11136C-1)を含む、Meso-Scale Discoveryマルチプレックスキットを用いて、SAA、CRP、VCAM1、およびICAM1を測定し、Human Pro-Inflammatory Base Kit (KI5025A-5)を用いてIL6、IL8、TNFa、およびIL1bを測定した。Human Hypoxia Assay (CAT# KI5122C-1)によって、VEGF、IGFBF-1およびEPOが測定された。プラスミノゲン活性化因子阻害剤(PAI-1)は、AmericanDiagnosticaのImubindキットで検出された。間質細胞由来因子1 (SDF-1)は、R&D systems (CAT# DY350)によって測定された。IL1b、SAA、IL6、およびIL8は、これらのアッセイ法では検出されなかった。
【0090】
HbA1c
HbA1cは、製造元のプロトコルにしたがいPrimusホウ酸親和性HPLC法(Primus Corporation, Kansas City, MO)を用いて行った。
【0091】
脂質プロファイル分析
脂質分析のために、血液サンプルをEDTA中に回収した。HDLでは、製造元のプロトコルにしたがいRoche自動臨床化学分析装置でヒトHDLコレステロールの直接的な定量決定のための酵素によるインビトロアッセイ法を用いて行った。トリグリセリドおよびコレステロールでは、VITROS化学システム(VITROS 950 Chemistry System)でVITROS TRIGスライドおよびVITROS化学生成物キャリブレータキット2を用いて行った。LDLは、フリードワルド(Friedewald)式によって計算された。
【0092】
全血数(CBC)および白血球数(WBC)弁別分析
血球分析は、製造元のプロトコルにしたがってCOULTER LH 780血液分析装置(Hematology Analyzer) (Beckman Coulter)を用い行った。
【0093】
統計分析
疾患状態群の全ての単変量比較では、割合のχ二乗比較または両側ノンパラメトリック検定を用い、ガウス分布である必要はなかった。測定された特徴の大部分、とりわけMP、PAC、および可溶性タンパク質のレベルは、極めて非ガウス分布であった。対象特性の疾患状態群比較では、疾患状態に関連した応答の傾向は推測されなかった。これらの比較では、クラスカル・ワリス(KW)検定(ノンパラメトリックANOVA比較)を用いた。PC、PAC、MP、および可溶性タンパク質レベルの分析では、疾患状態に対する応答の傾向が推測された。これらの傾向の統計的有意性の評価では、ヨンクヒール・タプストラ(JT)検定(ノンパラメトリック傾向比較)を用いた。個々の疾患状態群間(例えばES vs. LT)の差異の事後比較では、ウィルコクソン二標本検定を用いた。性別による患者の割合の比較では、群全体の割合の相等性の厳密なχ二乗検定を適用した。この検定では、疾患状態群で観測された割合と、全ての疾患状態群で割合が同じであったという仮説とを比較した。他の特徴的な割合(例えばスタチン使用)をH群からの除外の基準とし、したがってESおよびLT群だけを比較した。特定の共変量の調整後の疾患状態とのMPおよびPACの関係の分析は、モデルに既に含まれた共変量でのロジスティック回帰モデルに基づいた。
【0094】
疾患状態差および応答変動性の類似関係の仮定に基づき、CD144+ EMPを用いKogaらのデータで出力計算を行った。ESでの11人、LTでの22人、およびHでの18人のサンプルサイズでは、上述の試験で述べたように相対的な疾患状態差(対照 vs. 糖尿病)を検出するうえで約90%の検出力があった。
【0095】
実施例2 結果
糖尿病は心血管疾患のリスク因子であり、かつ糖尿病を有する持続期間はそのリスクのさらなる付加要素であるという過去の所見に基づき、本発明者らは、ESおよびLT患者を採用した。対象特性を表2に提示する。計41人の対象(平均年齢57歳)を含めた。年齢および性別は、三群間で異ならなかった。期待通り、血中グルコース管理の標準的マーカーである糖化ヘモグロビンHbA1cは、全糖尿病個体と健常個体との間で有意に変化していたが、しかしES群とLT群とを区別しえなかった。糖尿病群において観察された、より低いLDLレベルは、スタチンの使用(ESでの36%、LTでの67%)と関連していた可能性が最も高かった。糖尿病群でのこの影響を調べるため、
図12Aに示したように、スタチンの使用で分けた各群においてLDLレベルをプロットした。スタチンの投与を受けていたLT糖尿病では、健常対照と比べてLDLレベルを低減させており、そのような治療がなければ、このコホートにおけるLDLレベルはかなり高かったであろうことが示唆された。LDLレベルがスタチンなしのLT患者においてスタチンありのLT患者と比べて低かったという事実は、後者(n = 14)と比べて前者(n = 7)のサンプルサイズが小さいことによりうる。HDLおよびトリグリセリドは、三群間で違わなかった。LDLレベルはLT群において管理されていたが、収縮期血圧はH群と比べLT群において高かった(P < 0.01)。重要なことには、本発明者らの試験はある種の細胞由来マーカー(特に単球MP)の役割を調べるものであったので、単球数およびリンパ球数は三群間で統計的に変わらなかった。赤血球数はES群とH群との間で変わらなかったが、しかしLT群では顕著に減少していた。同様に、ヘモグロビンレベルはH群と比べLT群において顕著に低かった(表2)。
【0096】
(表2)患者特性
データは平均±SDである。
*P < 0.01、
**P < 0.0001、NS, 有意でない; NA, 分析していない。事後比較有意レベル(多重比較用に調整されていない)。
†P < 0.01 LT vs. H、
‡P < 0.01 ES vs. H、
IIP< 0.05 LT vs. H、
¶P < 0.05 ES vs. H、
#P < 0.05 LT vs. ES。
KWを用いて、測定値に対する全三群間の有意性を検定した。測定データの場合、患者群間の事後分析では、二標本ウィルコクソン検定を用いた。性別データの比較では、三群の比較のためおよび事後分析のため厳密な両側ピアソンχ二乗検定を用いた。特性が0の場合は、それを群の要件として健常患者が有していたので、その群との比較は分析されなかった。
【0097】
一連の細胞特異的MPとともにPC、PAC、および総MPの評価を行った。PCおよびPACレベルが減少し、MPおよび大部分のMPサブタイプが発症または罹患期間のどちらでも増加した、一般的関係を認めた(表3)。上記の例外は、PCがH状態からES状態へと増加したものの、LT疾患状態ではHレベルをどれも下回ったことであったが、しかしこれは統計的に有意ではなかった(P < 0.05)。PACはPCよりも有意に低い頻度で検出され、いくらかの有意な変化が認められた。
【0098】
全3種のPACはH疾患状態とES疾患状態との間でほぼ等しかったが、しかしCD133VEGF-R2はES対象からLT対象へと有意に低下した。三重陽性PAC、CD133+、CD34+、VEGFR2の有意な低減は、H群とLT群との間で認められただけであった。フローサイトメトリーによって検出不能なレベルの三重陽性PAC (CD133+、CD34+、CDVEGF-R2)を有する各群内の個体数も、疾患の発症とともに劇的に上昇したこと(Hでは33%、ESでは63%、およびLTでは68%)に注目することは興味深い。細胞由来MPの場合、循環血中EMPおよびPMPのレベルは、HとLTとの間で有意に変化した(P = 0.03)。CD14単球由来MPは、疾患状態によっても罹病期間によっても影響されなかった(表3)。プレートに基づくアッセイ法により測定されたPS+ MPのnMおよびフローサイトメトリーにより測定されたAnnV+ MPの変化は、統計的に等価であった(P = 0.02)。しかしながら、フローサイトメトリー法では差異を疾患の発症、つまりH vs. ESで検出することができ、その一方で、プレートに基づく方法では変化を罹病期間、つまりESおよびLTで検出することができた。2種のアッセイ法の間で異なる分解能は、その別個の読み出しによるものでありうる; サイトメトリー(AnnV+ MP)ではPS+ MPの数をカウントするのに対し、プレートではPS+ MPを捕捉し、プロトロンビナーゼアッセイ法によって定量化する。それでもなお、両アッセイ法によってHとLTとの差異が検出された。これらの結果は、臨床試験ではMPを測定するのにフローサイトメトリーよりも実行可能なプレートに基づくアッセイ法を利用する可能性を実証している。回帰モデルに共変量、年齢、性別、高血圧、およびスタチン使用を含めた後でも、認められた群差異が依然として有意であったかどうかを評価するために、また、共変量調整を行った。高血圧およびスタチン使用はH群内での除外基準であったので、それらの比較では年齢および性別しか用いることができなかった。年齢および性別の調整を行うと、AnnV+ MPは、HとLTとの間のEMP (P = 0.03)およびPMP (P = 0.01)と同様に、HとESとの間でそれでも有意(P = 0.02)であった。AnnV+ MPはHとLTとの間でボーダーライン上ではあったが有意(P = 0.053)であった。ESとLTとの間の比較の場合、年齢、性別、高血圧、およびスタチン使用の調整を行うと、その他の共変量により、年齢を含めた後でモデルは改善されない。
【0099】
フローサイトメトリーによる二重および三重陽性PACの測定ならびに細胞由来MPの測定は、技術的に困難でもあり、高価でもある。フローサイトメトリーにより単一陽性PCおよびプレートに基づくアッセイ法によりPS+ MPを測定することの価値を調べた。
図13に示されるように、CD34+ PCはHからESへ、ボーダーライン上であっ
たが有意な低減(P = 0.06)を示したが、プレートに基づくアッセイ法による凝固促進性MPの測定は、(P = 0.02)で有意な上昇傾向を示した。
【0100】
MP/PC比がPC/PACまたはMP単独の調査と比べてさらなる情報を与えたかどうか評価した。興味深いことに、PS+ MP/CD34+ PC比は、対象群を区別するための有益な指標であると判明し(P = 0.01) (
図13)、この変化は、分析された他の単一のPC、PAC、またはMPサブタイプのいずれよりも有意であった(表3)。ELISAプレートMPの中央値レベル、フローサイトメトリーにより測定されたCD34細胞の中央値レベル、この2種のレベル間の比率、および「非細胞」アテローム性動脈硬化マーカーとの比較を
図14に示す。また、PC、PAC、およびMPを一連の可溶性タンパク質マーカーと比較した。MP/PC比は、CRP、ICAM1、およびVCAM1を含むいくつかの、よく利用される可溶性タンパク質よりも予測的であった(表4)。これらの可溶性タンパク質は、臨床試験でよく利用される費用効果的かつ効率的な方法である多重アッセイ法により定量化された。TNFa、VEGF、IGFBF-1、SDF-1、およびPAI-1は、検出可能であったが、有意ではなかった。興味深いことに、EPO濃度はLT群においていっそう高く(P 1/4 0.004) (表4)、外因性組み換えヒトEPO (rhEPO)によるものではなく、またはスタチン使用に関連していなかった(
図12B)。LT群内の者は、有意に低下した赤血球(RBC)数およびヘモグロビンを有し、それゆえ、健常およびESの両方と比べて貧血状態に近づいていた(表2)。
【0101】
(表3)細胞および細胞由来バイオマーカー
データは中央値(25%〜75%の四分位範囲)である。P(A)C値は1mLあたりの細胞数に相当し、MP値は、プレートに基づくアッセイ法によるnMの PS当量に相当するPS
+ MPを除き1mLあたりのMP数に対応する。H, 健常; ES, 初期糖尿病; LT, 長期糖尿病。
*P < 0.05。事後比較有意レベル(多重比較用に調整されていない)。
IIP< 0.05 LT vs. H、
¶P < 0.05 ES vs. H、
#P < 0.05 LT vs. ES。
三群間の差異を検定するためにJT検定によって計算されたP。患者群間の事後分析では、二標本ウィルコクソン検定を用いた。
【0102】
(表4)可溶性タンパク質分析
**P < 0.01、H, 健常; ES, 初期糖尿病; LT, 長期糖尿病。事後比較有意レベル(多重比較用に調整されていない)。
†P < 0.01 LT vs. H、
‡P < 0.05 ES vs. H、
#P < 0.05 LT vs. ES。
三群間の差異を検定するためにJT検定によって計算されたP。患者群間の事後分析では、二標本ウィルコクソン検定を用いた。
【0103】
これは、2型糖尿病の発症および持続期間の両方によってPACが減少し、MPが増加することを示す最初の試験であるものと考えられる。さらに、臨床上実行可能であり、かついくつかの標準的なタンパク質マーカーよりも情報価値が高い測定結果である、MPのPCに対する比率(nMでの PS+ MP/CD34+ PC)を評価することの価値について証拠が提供される。PCおよびMPは心血管疾患の副産物ではなく、この疾患の活性成分であり、それゆえ、特異的な疾患経路を反映している。例えば、MPは細胞損傷のマーカーであるだけでなく、内皮機能不全および凝固を促進する際の活性物質でもある。PCおよびPACの低減は、血管修復能の喪失を示唆する。PC/PACおよびMPの両方のレベルが糖尿病の持続期間と相関することを実証するうえで、本発明者らの結果はまた、糖尿病の段階的病因および血管病変に対するその寄与への機構的洞察を提供する。
【0104】
冠動脈疾患(CAD)の存在は、糖尿病を有する個体では無症候性であることが多い。最近の非侵襲的試験により、相当数のこれらの個体においてCADを検出できることが示唆されているとはいえ、日常的なスクリーニング法が、臨床的に有用であるとは、または費用効果的であるとは示されていない。バイオマーカー、特に、細胞に由来するバイオマーカーは、心血管事象をもっとよく予測することを証明しうる。血管合併症のリスクがある患者の細胞バイオマーカーの探索は、有望であるが、しかし迅速、容易に細胞に基づくアッセイ法を行うことの検証はされていないので、臨床診療の一部とはなっていない。
【0105】
実施例1において実証されるように、2型糖尿病での、および、また、疾患の持続期間での、PC/PACと細胞由来MPの両方の有意な変化が特定された。これは、疾患の進行に機能的に影響を与える2種の生物学的に関連したマーカーを包含する、MP/PCの比率を用いることの価値を例証している。さらに、この比率は、増大した心血管リスクのある個体を階層化するためによく用いられる多くの個々の標準的なタンパク質バイオマーカーよりも情報価値が高いことを示している。臨床的見地から、これらの試験の結果は、単一プラットフォーム高速大量処理の、多重化された、造血前駆体フローサイトメトリーアッセイ法およびプレートに基づくMPアッセイ法が、心血管事象のリスクの最も高い個体を特定するための実行可能な、かつ費用効果的な方法であることを示唆している。
【0106】
実施例3: 糖尿病(DM)におけるMPおよびPCの試験
対象50人の試験を行い、フローサイトメトリーおよびELISAを用いて、健常対照と比べて、最近診断されたDMを伴う患者および長期診断を伴う患者での、MPおよびPCのレベルを査定した。内皮MP、血小板MPおよび単球MPを測定することに加えて、内皮前駆細胞(EPC)も測定した。
【0107】
以下の材料および方法を実施例3において用いた。
【0108】
試験集団および方法論
前の12ヶ月以内に2型糖尿病と診断された患者を「初期」(ES)と呼び、5年よりも前に診断された患者を「長期」(LT)と呼んだ。年齢に関係した「健常」(H)対象は、糖尿病または心血管疾患の既往歴または現病歴がないことに基づいて試験に採用され、スタチンを含むいずれのタイプのCVに関連する薬物治療も受けていなかった。非喫煙者だけが試験に参加することを許容された。各対象は静脈血およそ50 mLを献血した。各対象は来院前の夜に絶食し、血液サンプルを午前8:00時前後に採血した。PCおよひ可溶性タンパク質分析の場合にはヘパリン添加(Baxter)注射器(30 mL)、MPの場合にはクエン酸Na添加注射器(10 mL)ならびに脂質分析の場合にはEDTA添加注射器(10 mL)の中に採血した。フローサイトメトリーを用いて、およびまた、アネキシンV抗体を利用した非細胞特異的なELISAアッセイ法によってMPを測定した。
【0109】
生成されたデータは、非ガウス分布を有するものと判定されたので、2種の適切な比較検定を行った。全対象群の間の差異はクラスカル・ワリス(KW)検定(ノンパラメトリックANOVA比較)を用いて判定した。全対象群の間で時間要素(すなわち疾患の持続期間)および潜在的傾向が存在していたので、データの傾向を比較するためのノンパラメトリック検定であるヨンクヒール・タプストラ (JT)検定を利用した。期待通り、血中グルコース管理の標準的マーカーである糖化ヘモグロビンHbA1cは、罹病期間によって有意に変化した(P<0.0001)。
【0110】
PCおよびMPの試験特徴付け
細胞表面マーカーにしたがい各対象群において細胞由来MPおよびPCを特定かつ定量化した。フローサイトメトリーを用い、CD133および/またはCD34発現によってPCを定義し、その一方、VEGF-R2のさらなる表面発現によってEPCを定義した。無血小板血漿(PFP)からサイズ(フローサイトメトリーを用いて1 um未満)によって最初に定義されたMPを、単一マーカーの表面発現を用いて細胞型によりさらに特徴付けた。内皮MP、血小板MPおよび単球MPを、それぞれ、CD144、41および14の表面発現により判定した。多くの細胞由来MPの原形質膜の外葉上で検出された、陰イオン性リン脂質であるホスファチジルセリンを、フローサイトメトリーを介したAnnV結合によって判定した。さらに、市販のELISAに基づくプレートに基づいたアッセイ法をMP検出のために利用した。これは、外膜表面のホスファチジルセリンのnMの測定を介した総MP量の間接的測定をもたらす。表5は、MPの特定において用いられるモノクローナル抗体の特異性を例証する。
【0111】
(表5)
【0112】
実施例3 結果
概ね、糖尿病対象での疾患の持続期間とともにPCおよびEPCレベルは減少し、MPおよび大部分のMPサブタイプは増加した(
図11)。興味深いことに、EPCの変化は前駆細胞のものよりも顕著であった。細胞特異的なMPの場合、循環血中内皮MP (EMP)および血小板由来微粒子(PMP)のレベルは、群間で最も顕著に変化した(
図11)。CD14+単球由来MP (MMP)は、疾患または持続期間によって最も影響されなかった。フローサイトメトリーおよびELISAプレートに基づくアッセイ法によるAnnV+ MPの定量化は、選択疾患群の間で同じ傾向および有意性を示し、臨床試験においてこのELISAに基づくアッセイ法を用いることの検証および保証を提供するものであった。フローサイトメトリーにより検出不能なレベルの三重陽性EPCを有する各群内の個体の数は、疾患および罹病期間に伴って増加し、Hで33%、ESで63%およびLTで68%であった。どの群が相互に最も区別されたかを特定するため、記載した全てのPC、EPCおよびMPのうち3つの組み合わせ(すなわち健常 vs. EST、健常 vs. LTDおよびESD vs. LTD)で別々のt検定を行った。これらのうち、HおよびLTDは相互に最も異なっていた。
【0113】
これらの結果は、MPが上昇し、健常個体と比べて長期糖尿病においてEPCが低いことを実証している。MPと比べてCD34陽性細胞の比率は、長期糖尿病においてどちらか単独よりも大きかった。
【0114】
実施例4: サイトメトリック・フィンガープリンティング
サイトメトリック・フィンガープリンティング(CF)は、サンプルの量的比較を容易にする「フラット化された」、計算的に効率的なフィンガープリント表示としてリストモードデータに対応する多変量確率分布機能を表現する。感度および特異性を調べるため、CFを査定するための参照セットとして働くように実験データおよび合成データを生成した。予備的知識の導入なく、CFは100,000事象のバックグラウンド中10スパイク事象の下限まで、4桁を網羅する濃度範囲にわたり非ゲート分析においてスパイク細胞の位置および濃度を「発見する」ことができた。
【0115】
本明細書において実証されるように、これは、リスト-モードのサイトメトリックデータの定量分析のための新しい方法を提示する。また、「flowFP」と呼ばれるBioconductorソフトウェアパッケージは、フィンガープリンティング手法を他の改良されたデータ分析法と統合するために開発された。この統合能力はコンピュータによるプラットフォームを生み出し、これは仮説の創出と検証の両方を支持し、操作者によるバイアス源を取り除き、かつデータ分析の自動化レベルの増大をもたらす。重要なことには、フローサイトメトリーデータのフィンガープリントに基づく表現は、複数様式からのデータの直接融合を許容し、二重プラットフォーム(フローサイトメトリーおよびELISA)データの統合分析を可能にする。
【0116】
実施例5: 微粒子ELISAアッセイ法
いくつかの態様において、フローサイトメトリーによって試験されたサンプル(例えば無血小板血漿サンプル)を酵素免疫測定法(ELISA)によって試験することもできる。ELISAサンプルは1% EDTA/生理食塩水で連続的に希釈することができる。予め用量設定された量(PBS中5 ug/ml)のアネキシンV (BD Biosciences)を捕捉用試薬として(MP表面のホスファチジルセリンを標的化するために) 96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに加えることができ、4℃で18時間インキュベートすることができる。プレートを洗浄することができ、PFP連続希釈サンプルをウェルに加えることができ、プレート振盪機上(200 r.p.m.)で25℃にて18時間インキュベートすることができる。洗浄後、予め用量設定された量のビオチン化抗体(CD 144, 14, 41a)を各ウェルに加えることができ、プレート振盪機上25℃で2時間インキュベートすることができる。洗浄後、ペルオキシダーゼ結合アビジンを各ウェルに加えることができる。各ウェルをその後、洗浄することができ、次に、室温で20分間ペルオキシダーゼ基質溶液とともにインキュベートすることができる。このインキュベーションの後、停止溶液を各ウェルに加えることができ、EIA読取機により450 nmの波長で吸光度を測定することができる。
【0117】
具体的には、このELISAアッセイ法、および単一プラットフォームのフローサイトメトリーアッセイ法を以下のように、特異性、真度、精度、直線性、限界および範囲について調べることができる。
【0118】
アッセイ法の特異性は、アネキシン-VへのMP粒子の結合を明白に評価する能力である。分析手順の真度は、取り決めによる真値として認証または合意された値と実測値との間の一致の近さを表す。ELISAアッセイ法は定量的アッセイ法ではないのに対し、フローサイトメトリーアッセイ法は定量的アッセイ法である。この2つのプラットフォームでの結果を比較することができる。分析手順の精度は、所定の条件下での同じ均質サンプルの多数回のサンプリングから得られた一連の測定値の間の一致の近さを表す。精度は、併行精度、室内再現精度および室間再現精度の3つのレベルで考えることができる。併行精度またはアッセイ内精度は、本試験に最も関連性が高い。分析手順の直線性とは、サンプル中の分析対象物の濃度に正比例する結果を得るその能力のことである。個々の分析手順の検出限界とは、検出されうるが正確な値として必ずしも定量化される必要のない、サンプル中の分析対象物の最低の量のことである。分析手順の範囲とは、分析手順が適当なレベルの精度、真度および直線性を有することが実証されている、サンプル中の分析対象物の上限および下限の濃度の間隔のことである。データをフローサイトメトリーデータと比較することにより、限界および範囲を再度、評価することができる。
【0119】
実施例6: 糖尿病およびアテローム性動脈硬化症を有する患者でのMPおよびEPCの試験
本試験では、サイトメトリック・フィンガープリンティングを用いた不偏分析スキームとともに広範かつ包括的な細胞表面マーカーパネルに基づく科学的発見の新しい方法を利用して、DM患者とHCとの間の差異を査定した。MPまたはEPCのいずれかのレベルを観察するだけの他の試験とは異なり、MPおよびEPCの両サンプルを得ることによって、本試験では、MPのレベルを通じて、血管機能不全およびEPCのレベルを通じて、修復能がいかにして互いに影響し合うかのバランスを観察した。
【0120】
患者採用および試験デザイン
5年超の間2型糖尿病と診断されている患者および臨床的に明らかなアテローム性動脈硬化症と診断されている患者、心筋梗塞、発作、跛行、または血行再建術の病歴を有する患者を本試験に含めた。試験登録前3ヶ月以内の急性の病気、心筋梗塞または発作および妊婦は、本試験から除外した。年齢が同じくらいの「健常」対象を、糖尿病の既往歴もしくは現病歴または心血管疾患の病歴、あるいは喫煙、高血圧もしくはLDLコレステロールの上昇を含む主要な心血管リスク因子がないことに基づいて試験に採用した。
【0121】
最初に、対象104人を連続的に採用した(DM 52人およびHC 52人)。その後、MP分析のために凍結サンプルではなく新鮮サンプルの分析を要したプロトコルの修正により、追加の対象を連続的に採用した(DM n=14およびHC n=7)。これらの対象から、DM 62サンプルおよびHC 51サンプルで、EPCを定量化するのに実行可能なデータを得た。DM 48サンプルおよびHC 48サンプルをMP分析に利用できた。DM 47サンプルおよびHC 43サンプルのデータを、複合MPおよびEPC分析に利用できた。全血数(CBC)からの全リンパ球数(ALC)の結果を用いてEPC数を規準化したが、96サンプルのうちの5つにはALCがなく、ゆえにEPC分析には利用できなかった。EPCデータを有する対象22人は、利用可能な新鮮サンプルがなく、ゆえにMP分析に含まれなかった。対象ごとに個体群統計的情報、病歴および薬歴、身体検査ならびに生命兆候を記録した。統計計算用のR環境(バージョン2.13.1, R Development Core Team, Vienna, Austria)およびflowFP (Rogers et al., 2008, Cytometry Part A 73A:430-441)、flowCore (Ellis, B., Haaland, P., Hahne, F., Le Meur, N., and Gopalakrishnan, N. 2009. flowCore: Basic Structures for flow cytometry data. Bioconductorパッケージバージョン1.18.0. http://bioconductor.org/packages/2.10/bioc/html/flowCore.htmlからソフトウェアを入手できる)ならびにKernSmooth (Wand, M. (R port by Brian Ripley). 2011. KernSmooth:Functions for kernel smoothing for Wand & Jones (1995). Rパッケージバージョン2.23-6. http://CRAN.R-project.org/package=KernSmoothからソフトウェアを入手できる)のパッケージを用いてデータを分析した。
【0122】
サンプル収集
一晩絶食後、21ゲージの注射針を用いて既述(Curtis et al., 2010, Cytometry B Clin Cytom 78(5):329-37)のように、血液を脂質分析の場合にはゴールデンキャップ(golden cap) (Fisher Scientific)血清分離管(SST)ならびにHbA
1cおよびCBC分析の場合にはEDTA添加剤を有するラベンダキャップ(lavender cap)管(Fisher Scientific)の中に採血した。4本のクエン酸ナトリウム減圧式注射(vacutainer)管にMP分析用に末梢血3 mlを満たし、また、EPC分析用に60 mlのヘパリン・コーティング注射器の中に末梢血30 mlを採血した。
【0123】
EPCフローサイトメトリー
サンプル収集後1時間以内に、全血30 mlを塩化アンモニウムで溶解し、PBS中3%のFCSで2回洗浄し、PBS中3%のFCS 10 mlに再懸濁した。細胞8×10
6個を氷上で10分間、マウスIgG (Sigma, カタログ番号I5381- 10MG)とともにインキュベートした。ブロッキング後、細胞を暗所中、氷上で45分間、FITC-CD31 (BD カタログ番号555445, クローンWM59) 20 μl、PE-Cy7-CD34 (BD カタログ番号348791, クローン8G12) 20 μl、Percp-Cy5.5-CD3 (BD カタログ番号340949, クローンSK7) 20 μl、Percp-Cy5.5-CD33 (BD カタログ番号341650, クローンP67.6) 20 μl、Percp-Cy5.5-CD19 (BD カタログ番号340951, クローンSJ25C1) 20 μl、V450-CD45 (BD カタログ番号560367 クローンHI30) 5 μl、PE-CD133 (Miltenyl Biotec カタログ番号130-080-801, クローンAC133) 10 μl、およびAPC-VEGFR2 (R&D カタログ番号FAB357A, クローン89106) 20 μlで染色した。陰性ゲートをセットアップするために1項目除外蛍光チューブを用いた(Roederer, 2001 , Cytometry 45: 194-205)。染色後、サンプルを2回洗浄し、0.1%のBSAを含むPBS 600 μlおよび5 μg/mlのヨウ化プロピジウム(Sigma カタログ番号P4170)を各チューブに加えた。
【0124】
補正用のチューブは、BD CompBeads (抗マウスIgGおよび陰性対照, カタログ番号552843)を用いて調製した。8ピーク蛍光キャリブレーションビーズ(Spherotech, カタログ番号RCP-30-SA)を日々間の規準化のために毎日、収集の前後に流した。全ての収集はBD FACS Canto A分析フローサイトメーターで行われ、少なくとも200,000個のリンパ球がカウントされた後に停止された。
【0125】
EPCデータ分析
対象ごとに、非変換線形座標でflowCore Bioconductorパッケージ(Ellis, B., Haaland, P., Hahne, F., Le Meur, N., and Gopalakrishnan, N. 2009. flowCore: Basic Structures for flow cytometry data. Bioconductorパッケージバージョン1.18.0. http://bioconductor.org/packages/2.10/bioc/html/flowCore.htmlからソフトウェアを入手できる)を用いてリストモードデータを読み出し、加工処理した。デジタル補正を、FACSDiva収集ソフトウェアにより判定されFCSヘッダに保管されたスピルオーバ行列に基づいて適用し、最も明るいピークを使って、毎日流した参照ビーズ(Spherotech, カタログ番号RCP-30-5A)に基づいてデータを規準化した。蛍光データを双指数関数的に変換し、散乱データを線形変換して、蛍光および散乱データを類似のスケールに置いた。起こりうる操作者によるバイアスを取り除くために、完全に自動化されたゲーティング戦略を開発した(
図15)。手短に言えば、前方散乱域(FSC-A)または側方散乱域(SSC-A)のシグナルが関心領域を超えた事象および前方散乱域の小事象(リンパ球クラスタ下の)を除去して、自動化ゲーティングの妨害を阻止した。生存ゲートを適用し、そのなかではPI結合に相当する、PE-A (フィコエリトリン)検出器の(575/26バンドパスフィルタの)一定の閾値を超える全ての事象を除外した。2Dカーネル密度推定に基づくブロブ分析アルゴリズムを用いた自動多角形ゲートを用いて、FSC-A vs. SSC-Aでリンパ球領域内の事象を検出した。ダブレット集団がFSC-A vs. 前方散乱幅(FSC-W)でシングレット集団から分離されるという事実に基づいてシングレット細胞を選択するために、自動ゲートを作成した。最後に、造血系へ既に分化した細胞および/または明るくCD45を発現する細胞を取り除いて、系統
陰性およびCD45
弱・中陽性〜陰性事象だけを残すように、CD45 vs. 系統カクテル(CD3 T細胞、CD19 B細胞、およびCD33単球)での二次元の長方形ゲートを作成した。残った事象を次いで、flowFPパッケージ(Holyst, H.A., and Rogers, W.T. 2009. FlowFP: Fingerprinting for Flow Cytometry. Bioconductorパッケージバージョン1.12.1. ソフトウェアをhttp://bioconductor.org/packages/2.10/bioc/html/flowFP.htmlから入手できる)を用いて分析した。ゲーティングに使われなかった4つの測定蛍光パラメータ(PE-Cy7-CD34、PE-CD133、APC-VEGF-R2およびFITC-CD31)を用いて、健常対照の対象からの全ゲート事象の集合に基づきデフォルトの解像度でflowFPModel法を用いてビン分割モデルを構築した。得られたビン分割モデルには、1024個のビンが含まれた。次に、DMおよびHCの両対象由来サンプルの全てに対しflowFP法を用いて、フィンガープリントを作成した。ビンにおける事象の数を小細胞ゲートにおける事象の数(フローサイトメーターにおいて測定されたリンパ球の数に相当すると一般に見なされる)で割ることにより、各ビンにおける相対事象数をコンピュータで計算した。全血1 μlあたり何千個のリンパ球として表現されるALC検査結果を相対事象数に乗じることにより、絶対事象数を得た。最後に、ウィルコクソン検定を用いてDMサンプルとHCサンプルとの間でビンを比較し、ベンジャミン・ホッホベルク(Benjamimi-Hochberg)補正を用いてP値を多重比較のために補正した。0.05未満のP値を有意と見なした。
【0126】
MP単離
乏血小板血漿(PPP)は、クエン酸ナトリウム管の中に集められた血液から遠心分離を用いて得た。採血後1時間以内に、既述(Curtis et al., 2010, Cytometry B Clin Cytom 78(5):329-37)のようにMPを単離するために、室温で15分間2,500 gで全血を遠心分離した。PPPを新しいチューブに注意深く移し、穏やかに混合した。新鮮サンプルを次に、フローサイトメトリーによって分析した。
【0127】
MPフローサイトメトリー
PPP 50 μlを暗所中、室温で30分間、FITC-アネキシン-V (BD Bioscience カタログ番号556570) 2.5 μl、PE-CD144 (BD Bioscience カタログ番号560410, クローン55-7H1) 2.5 μl、Percp-Cy5.5-CD64 (BD Bioscience カタログ番号561194, クローン10.1) 0.75 μl、AF647-CD105 (BD Bioscience カタログ番号561439, クローン266) 0.75 μl、APC-H7-CD41a (BD Bioscience カタログ番号561422, クローンHIP8) 0.75 μl、PE-Cy7-CD31 (Biolegend カタログ番号303118, クローンWM59) 2.5 μlおよびBV421-CD3 (Biolegend カタログ番号300433, クローンUCHT1) 0.75 μlで標識した。標識化の前に0.1 μmのタンパク質低結合フィルタ(Millipore, カタログ番号SLVV033RS)を用いて抗体を二度ろ過した。
【0128】
サンプルチューブを染色した後に、3.0 μmのビーズ5 μlを、参照カウンティングビーズとして各チューブに加えた。アネキシン緩衝液(10 mM Hepes, pH 7.4、140 mM NaCl、および2.5 mM CaCl
2)を各チューブに加えて、全容量を500 μlとした。アネキシン緩衝液は0.22μmのフィルタによって、引き続き0.1 μmのフィルタによって二度ろ過した。
【0129】
Diva Softwareバージョン6.1.2を用いCell Tracker Beads (BD)で毎日、BD FACSCanto Aサイトメーターをキャリブレーションした。前方散乱および側方散乱閾値、光電子増倍管(PMT)電圧ならびにウィンドウ拡張(WE)を最適化し、0.3、1.0および3.0 μmのキャリブレーションビーズを用いて0.1〜1.0 μmの粒子を検出した。既知サイズ(0.3 μm、1.0 μmおよび3.0 μm)のビーズをMPサイズの推定に用いた。
【0130】
3.0 μmビーズの固定数(20,000)がカウントされた時点で収集を停止し、1サンプルあたり82000個から220万個のMPを得た。また、PPP、BD CompBead (BD Bioscience カタログ番号552843)を用いて補正用のチューブを流し、サンプルチューブにおいて使用したのと同じ試薬を用いて染色した。
【0131】
MPデータ分析
統計的計算用のR環境をフローサイトメトリーデータの分析に用いた。flowCoreパッケージ(38)をファイルの読み出し、補正およびゲーティングに用いた。FlowFP (Rogers et al., 2008, Cytometry Part A 73A:430-441)を、サイトメトリック・フィンガープリンティング(CF)分析に用いた。対象ごとに、非変換線形座標でリストモードデータを読み出した。デジタル補正を、Diva収集ソフトウェアにより判定されFCSヘッダに保管されたスピルオーバ行列に基づいて適用した。データを粒径の相対的測定として側方散乱幅でゲートし(
図16および17)、毎日収集されたサイズキャリブレーションビーズによって判定した場合に1 μmよりも大きな全事象を除外した。捕捉された全事象の単変量分布のカーネル密度推定を調べることによって、マーカーの陽性発現の閾値を特定した(
図18)。閾値の選択に対しての分析結果の感度を判定するために、陽性集団と陰性集団との間のカーネル密度推定での明らかな区別なく、蛍光マーカーの閾値は約1.4〜2.5倍の間でさまざまな要因によって増加し、その結果は安定であることが明らかになり、閾値の選択によって結果は実質的に影響されないことが実証された。蛍光データを双指数関数的に変換し、パネルにおけるマーカーのいずれも発現していなかった事象はデブリであると推測されてゲートアウトされた(
図19)。得られた分布に対してフィンガープリンティング分析を、RパッケージflowFP (Holyst, H.A., and Rogers, W.T. 2009. FlowFP: Fingerprinting for Flow Cytometry. Bioconductorパッケージバージョン1.12.1. ソフトウェアをhttp://bioconductor.org/packages/2.10/bioc/html/flowFP.htmlから入手できる)を用いて行った。デフォルトの解像度で全ての蛍光マーカーを用いHC対象に基づいてflowFPModel法を用いビン分割モデルを作成し、8192ビンを得た。次に、このモデルに基づきflowFP法を用いて、各サンプルに対しフィンガープリントを作成した。ビンを、ウィルコクソン検定を用いてDMサンプルとHCサンプルとの間で比較し、ベンジャミン・ホッホベルク(Benjamimi-Hochberg)補正を用いて多重比較のために補正した。補正したP値が0.05未満の場合、有意と見なした。有意であると判断されたビンを表現型の類似性によってさらに分類した。かくして、HCと比べてDMの間で差次的に発現されるものと判定された表現型サブセットは、多変量空間において隣接する1つまたは複数のビンから構成されることができ、それらの全てが陽性発現に対する各パラメータの閾値の同じ側に位置しうる。
【0132】
高感度C反応性タンパク質の測定
高感度C反応性タンパク質は、製造業者が示す方法にしたがいレーザーを基にした自動比濁計(Siemens Healthcare Diagnostics, Model BNII)にてレーザーを基にした免疫比濁定量法を用いて測定した。
【0133】
統計分析
必要に応じて、ウィルコクソンの順位和検定またはフィッシャーの直接確率検定を用いてDM群とHC群との間で参加者の特性を比較した。ウィルコクソンの順位和検定を用いてDM群とHC群との間でEPC数およびMP数を比較した。多変量直線回帰モデルを用いて、群間でEPC数およびMP数の調整差異を推定した。赤池情報量規準(AIC)に基づく段階的モデル選択手順に基づいて調整変数を選択したが、その場合にAICを低減した変数は保持された。査定された変数は、年齢、性別、人種、現在の運動、および肥満度指数であった。EPC数およびMP数は正にゆがんでいたので、対数変換を適用し、したがってDM vs. HCの累乗回帰係数によりDM群とHC群との間の平均数の比率が定量化された。事後分析において、DM群とHC群との間で最も強い差異を示したMP数およびEPC数は、HC群における中央値によってそれぞれ標準化された。標準化されたEPC vs. 標準化されたMPのプロットを用いて、DMとHCとを区別するうえでMPおよびEPCの組み合わせが有用であるかどうかをグラフによって査定した。より形式的には、受信者動作特性(ROC)曲線を用い、hsCRPの有り無しで、MP数およびEPC数がDM群とHC群とを識別する能力を査定した。Rを用いて全ての分析を完了した。
【0134】
実施例6: 結果
DM群は、表6に示されるように、HC群よりもいくぶん高齢であった。
【0135】
(表6)参加者の特性
特に断りのない限り中央値(四分位範囲)として、n (%)と提示された要約
*必要に応じて、ウィルコクソンの順位和検定またはフィッシャーの直接確率検定から得たP値
【0136】
DM群の女性およそ40%と比べてHC群の女性およそ60%と、DMとHCとの間で性別がわずかに異なっていた。また、HC群と比べてDM群にはより多数のアフリカ系アメリカ人が存在していた。さらに、DM群では喫煙の割合がより高く、運動を報告している割合がより低く、平均BMIがより高かった。予想通り、HbA
1cはDM群で上昇しており、血圧も同様であった; しかしながら、いずれもスタチン治療を受けていなかった対照と比べて、EPC分析の場合にはDMコホートの68%およびMP分析ではDMコホートの73%がスタチン治療を受けていたので、LDLレベルは対照と比べてDMにおいて低かった。興味深いことに、スタチン治療を受けていなかったDM患者のLDLは、スタチン治療を受けていたものよりも高かったが、しかしそれでもなお、HCよりも低かった。DM患者のLDLはHCと類似しているかもしれないが、LDLの組成は異なっており、もっと粥腫発生性であるという理論が立てられるので、これは、全く予想外というわけではない(Nesto, 2008, Clinical Diabetes 26:8-13)。さらに、HDLのレベルはHC群と比べてDM群において低かった。高感度CRPのレベルは、MPおよびEPCの両コホートでHCよりもDMにおいて高かった(Haffner, 2006, Am J Cardiol 97(2A):3A-11A)。DM患者の大部分が抗血小板薬および/またはスタチン薬による治療を受けていたが、対照の少数の者しか予防的な抗血小板投薬による治療を受けていなかった。
【0137】
従来の(FlowJo, Treestar, Ashland, ORを用いた)手動逐次ゲーティング分析によるEPCの評価では、DMとHCとの間で統計的有意差のないことが実証された。しかし、サイトメトリック・フィンガープリンティングを適用した場合、本明細書においてEPCといわれる、異なる表現型サブセットが1つのフィンガープリントビンにおいて判別された。このサブセットはCD34
+/CD31
+/CD133
強陽性/CD45
弱・中陽性〜陰性の表現型を有し(
図20)、HCと比べてDM患者で平均して低かった。このサブセットの相対事象数(EPC
相対)は、上記のように共変量の調整後でさえも、DMとHCとの間で有意に異なっていた。別個に、ALCレベルは糖尿病患者と対照との間で有意に異なっていた(P < 0.001)が、しかしこの相違は交絡因子の調整後に減弱された(P = 0.11)。この所見は、リンパ球数が心血管事象と関連していることを見出した他の著者の研究と一致している; しかしながら、交絡変数の調整後には相関が認められなかった(Eryd et al., 2012, Arterioscler Thromb Vasc Biol. 32(2):533-9)。
【0138】
サイトメトリック・フィンガープリンティングによるMPの評価は、HC群とDM群との間で有意に異なっていたMPの8種の異なる表現型サブセットの発見につながった(
図21)。1つ(下記)を除くこれらの全てにおいて、濃度はHCと比べてDMで平均して高かった。フィンガープリンティングによって発見された統計的に有意な各集団は現に、表示したマーカーが陽性のMPのサブセットである。例えば、
図21Gは、CD41が陽性であるMPのサブセットを示す。これらは、CD41が陽性であるMPの全てではなく、むしろCD41が陽性であり、その上、パネルにおける他の全てのマーカーが陰性でもある、かつDMコホートとHCコホートとの間でかなり異なるようにして集合されたフィンガープリントビンに入る事象である。DMとHCとの間でかなり異なっていた1つのサブセットは、CD3
+ Tリンパ球MP (TMP)のサブセットであったが、これもHCと比べてDM患者において高い濃度で存在していた。同様に、CD105
+内皮MP (EMP)集団のサブセットは、DM患者においていっそう高い平均濃度であった。別の有意なサブセットは、アネキシンV
+である事象から構成され、これはDMにおいて上方制御されていた。アネキシンV単一陽性サブセットは、アポトーシスMPを表すが、それは、親細胞型に特異的なマーカーではない。増大された別のサブセットは、CD31
+表現型であった。このサブセットは、0.05超のp値を有していたが、それは交絡変数の調整後に顕著であった。PE-CAM1 (CD31)マーカー単独では、一種類の細胞に特異的ではない。有意であると分かったMPの最後の4サブセットは、全て血小板MP (PMP)であり、CD41陽性(一部は同様にCD31陽性)であった。CD41単一陽性集団およびアネキシンV
+/CD31
+/CD41
+三重陽性サブセットはDM患者において、かろうじて有意(P < 0.05)でもあり、上方制御されてもいた。CD41
+もアネキシンV
+/CD31
+/CD41
+サブセットも、交絡変数の調整後には有意でなかった。最後に、DMとHCとの間で異なることがフィンガープリンティングにより発見されたPMPの2種のCD31
+/CD41
+二重陽性サブセットが存在していた。これらの一方はDM患者において、かろうじて有意(P = 0.11)であり、上方制御されていた(CD31
弱・中陽性/CD41
弱・中陽性)が、他方は極めて有意であり(P < 0.001)、HCと比べてDMで平均して低い濃度で存在していた唯一の差次発現サブセットであった(CD31
強陽性/CD41
強陽性)。最後に、CD31
弱・中陽性/CD41
弱・中陽性サブセットとCD31
強陽性/CD41
強陽性サブセットとの比率は、個別に弱・中陽性もしくは強陽性のサブセット、またはサイトメトリック・フィンガープリンティングによって発見された他の差次発現MPサブセットのいずれかよりもかなり差次的に発現されており(P < 0.001)、その結果、本発明のEPCおよびMPの組み合わせ指標を形成させる際に用いられた。
【0139】
前駆細胞は細胞修復能および新生血管成長に影響を及ぼし、微粒子は細胞損傷の指標であるものと一般的に考えられるので、この二つの組み合わせは、どちらか一つだけよりも心血管状態に関して臨床的に情報価値があるものと仮定された。DMとHCとを識別するために、弱・中陽性〜強陽性CD31
+/CD41
+微粒子の比率での、およびリンパ球あたりのEPC (CD31
+, CD34
+, CD133
強陽性, CD45
弱・中陽性〜陰性)の相対事象数の能力を査定した(
図22)。これらの2つのマーカーの組み合わせに対するROC曲線下面積(AUC)は、0.86, 95% CI: (0.79, 0.94)であり、高い識別精度を示すものであった。CRPと組み合わせた場合、AUCは0.90, 95% CI: (0.83, 0.96)まで増大した。表7は、DM群とHC群との間でのEPCサブセットおよびMPサブセットの比較を例証する。
【0140】
(表7)DM群とHC群との間でのEPCサブセットおよびMPサブセットの比較
IQR, 四分位範囲
*ウィルコクソンの順位和検定から得られたP値
**対数変換数のための多変量直線回帰モデルから得られた
***EPC
Absは、血液1 mlあたりのCD31
+/CD34
+/CD45
弱・中陽性〜陰性/CD133
+前駆細胞のサブセットを示す
****EPC
Relは、FSC-A vs. SSC-Aのリンパ球領域における事象の割合としてのCD31
+/CD34
+/CD45
弱・中陽性〜陰性/CD133
+前駆細胞のサブセットを示す
【0141】
試験結果から、DMと比べてHCにおいて上方制御されるCD31
+/CD34
+/CD45
弱・中陽性〜陰性/CD133
強陽性 EPCの1つの亜集団が特定された。さらに、血小板、Tリンパ球、アネキシンV
+、および内皮の微粒子に対応する7種の微粒子亜集団が存在することが分かった。それゆえ、本試験は、EPCおよびMPのレベルがHC患者とアテローム性動脈硬化症を有するDM患者との間で異なるという仮説を確認するものであり、これらの指標が心血管の健康の予後マーカーとして有用であることを示唆するものである。
【0142】
バイオマーカーとしてのEPCの使用は、基礎症状に非特異的に応答する他のよく使われるバイオマーカーとは対照的に、それが心血管系の病的過程に直接関与するので有意である。HCと比べてDM患者の場合、対照群において上方制御されていたCD31
+/CD34
+/CD45
弱・中陽性〜陰性/CD133
+の表現型を有する、1つのEPC集団が存在していた。このEPC集団は、Estesら(Estes et al., 2010, Cytometry Part A 77A:831-839)によって記述され、かつ
図20に示された循環血中造血幹・前駆細胞(CHSPC)集団と類似している。EPCは、特異的表現型の定義にまだ議論の余地がある不均一集団である。一般に、文献に記述されているEPC表現型には、CD34のような幹細胞マーカー、CD133のような未成熟マーカー、およびVEGF-R2 (KDR)のような内皮マーカーが含まれよう(Mobius-Winkler et al., 2009, Cytometry Part A 75A:25-37)。
【0143】
本試験においては、細胞がサイズに基づき最初に選択された、包括的パネルが利用された。次いで、CD3
+、CD19
+、CD33
+およびCD45
強陽性細胞をゲートアウトすることにより、成熟造血系に属する細胞を除去した。次に、フィンガープリンティングを用いて、残りの集団を所定のバイアスなしに、細分類し、統計的評価に供して、DM患者とHCとの間で差次的に発現される細胞の集団が存在するかどうかを発見した。いくつかの他の試験と同様に、VEGF-R2は分析において有用なマーカーではないことが認められており(Estes, M.L., Mund, J.A., Ingram, D.A., and Case, J. 2001. Identification of Endothelial Cells and Progenitor Cell Subsets in Human Peripheral Blood. In Current Protocols in Cytometry: John Wiley & Sons, Inc.)、このマーカーは情報価値がないか、またはいくつかの試験によって示されているように、試薬に信頼性がないかを示唆していた。
図23に見られるように、VEGF-R2に対する多くの偽陽性事象があり、それゆえ、陽性の真の閾値を見出すことは困難である。さらに、パネルにおける抗体の濃度の増加が、得られるシグナルを高めるので、VEGF-R2抗体を十分に力価測定できないことが示されている。本試験におけるパネルには、情報価値がある表現型において同様に陽性発現されていた、さらなる内皮マーカー(CD31)が含まれており、EPCにて発現されることが認められている未成熟(CD133)、幹(CD34)、および内皮(CD31)マーカーの類似の一般表現型を支持するものであった。
【0144】
本試験で差次的に発現されることが分かった集団は、Estesらの試験(Estes et al., 2010, Cytometry Part A 77A:831-839)において見出され、血管新生促進性であることが示された同一のマーカーを発現する。Estesらにおいて、マウスのインビボ腫瘍モデルは、本試験でのEPCと同じ表現型を有する細胞が腫瘍成長の顕著な増大をもたらすことを示しており、これらの細胞が血管新生に関与することを示唆していた。さらに、類似の細胞集団CD34
+/CD133
+/CD117
+ (CD117, c-Kitは幹細胞マーカーである)は、CD133を発現していない、より成熟した血管内皮とは対照的に、虚血組織における血管新生の増大をもたらし、2週間後にラットの梗塞域で3〜5倍高い毛細血管数を生ずることが分かった(Kocher et al., 2001, Nat Med 7:430-436)。本試験ではCD117を含めなかったが、しかし、他の2マーカーにより、2つの集団は重複し、類似の機能を共有している可能性が高い。それゆえ、本発明者らの試験の偏りのない結果は、血管新生促進性EPCがアテローム性動脈硬化症の集団とHCとの間で差次的に発現されることを示すうえで他の試験と一致している。
【0145】
血小板MP (PMP)は、血管健康に有益な影響も有害な影響も及ぼすことが知られている(Tushuizen et al., 2011, Arterioscler Thromb Vase Biol 31:4-9)。これらの主張は本試験によって、複数の異なるPMP集団が2つの集団の間で有意に異なっており、そのうちの3つのものがDM患者において上方制御され、その他のものがHCにおいて上方制御されていたので、支持される。Omotoら(Omoto et al., 1999, Nephron 81:271-277)は、PMPが、合併症のないDM患者と比べて腎症を有する2型DM患者において有意に上方制御されることを見出しており、PMPが、腎機能不全につながる活動に関与していることを示唆している。さらに、Tanら(Tan et al., 2005, Diabetic Medicine 22: 1657-1662)は、臨床的に明らかなアテローム性動脈硬化症を有するDM患者が、臨床的に明らかなアテローム性動脈硬化症のないDM患者とHCの両方よりも顕著に高いレベルのPMPを有することを発見した。さらに、PMPもEMPもともに、重症高血圧を有する患者において上方制御されることが示されており(Preston et al., 2003, Hypertension 41:211-217)、EMPおよびPMPが内皮、したがって血管損傷に及ぼす血圧の影響に対するマーカーでありうることが示唆されている。PMPは、インビトロで内皮細胞を刺激してサイトカインを放出することや、接着分子を発現することも示されている(Nomura et al., 2001, Atherosclerosis 158:277-287)。本結果は、MPサブセットの大部分が不良な血管健康のマーカーであることを実証する。しかしながら、偏りのないサイトメトリック・フィンガープリンティング法では、PMPが有益な影響を及ぼしうるという他の所見と一致し、HCにおいて上方制御されているPMPの集団を発見することも可能であった。PMPは、ヒト臍帯静脈内皮細胞の血管新生活性および末梢血単核細胞でのEPC分化の増大を補助することが示されている(Kim et al., 2004, Br J Haematol 124(3):376-384)。Mauseらにより、PMPは、血管新生の初期増殖細胞が血管損傷後に内皮完全性を回復する可能性を促進しうることも示されている(Mause et al., 2010, Circulation 122:495-506)。それゆえ、偏りのない計算論的手法を通じて、本試験では、血管健康に影響を与える2つの別個のPMP集団を区別した。
【0146】
PMPのような、内皮MP (EMP)は、DM患者において上昇し、EMPが血管機能不全と関連していることや、細胞アポトーシスの兆候であり、それゆえ血管壁損傷を反映していることが理論立てられている(Chironi et al., 2009, Cell Tissue Res 335: 143-151)。1つの試験において、EMPレベルは血流依存性血管拡張反応(FMD)と負の相関関係にあり、EMPが内皮機能不全と関連することを示唆している(Feng et al., 2010, Atherosclerosis 208:5)。さらに、別の試験で、EMPが対照でよりも冠動脈疾患を有する患者で有意に高いことが示されている(Bernal-Mizrachi et al., 2003, American Heart Journal 145:962-970)。本試験において発見されたCD105
+集団サブセットは、EMPに対応する可能性が高く、これは多数の試験において、疾患および血管機能不全のマーカーであることが示されている。それゆえ、本明細書において提示される結果は、臨床アテローム性動脈硬化症を有するDM患者がHCよりも高いレベルのEMPを有することを示したEMPに関する過去の研究と一致している。
【0147】
これらの結果から、CD3
+ T細胞MP (TMP)集団サブセットはHCと比べてDM患者において有意に上方制御されることも示された。この所見は過去の研究を支持するものであるが、これは、TMPが炎症促進性であると知られており、eNOS発現のレベルを低減することによりNO生成を減少させ、内皮細胞での酸化ストレスを増加させるからである(Martin et al., 2004, Circulation 109: 1653-1659)。さらに、TMPはNOプロスタサイクリン経路の変化により導電性および抵抗性動脈の両方において内皮機能不全を誘導する。さらに、TMPは、ヒトに対して類似の濃度で大動脈輪のアセチルコリン誘導性の弛緩を損なった(Martin et al., 2004, Circulation 109: 1653-1659)。最後に、TMPは、流れおよび化学的刺激に応じて内皮機能不全をもたらすことも示されている(Martin et al., 2004, Circulation 109: 1653-1659)。
【0148】
アネキシンV
+細胞は、アポトーシスのマーカーであるホスファチジルセリンに結合する。アテローム性動脈硬化プラークに関して行われた試験から、プラーク中に見出されたアポトーシスMPがプラーク抽出物のTF (組織因子)活性のほぼ全ての割合を占めることが示されている。これは、MPが凝固カスケードの開始に重要な役割を果たしうることを示唆している(Mallat et al., 1999, Circulation 99:348-353)。さらに、アネキシンV陽性のMPは、安定狭心症を有する患者と比べて急性冠症候群を有する患者において有意に上方制御される(Mallat et al., 2000, Circulation 101:841-843)。これは、アネキシンV
+ MPの増加が患者のアテローム性動脈硬化状態の悪化を反映することを表している。しかしながら、アネキシンV
+ MPに対するプロトロンビナーゼアッセイ法がフローサイトメトリーとは別に行われており、それゆえ、これらの細胞が任意の起源のものでありうるということが試験の限界であった。本試験は、これらの所見を支持するものであり、というのはDM患者においてアネキシンV
+集団サブセットが有意に上方制御されていたからである。
【0149】
「サイトミクス」としても知られる、細胞に基づくシステム分析では、環境的および遺伝的心血管リスク因子の生物学的影響が統合される。日常的に用いて医学的治療およびリスク評価をガイドできるそのようなアッセイ法を開発するというまだ満たされていない臨床的必要性が存在する。本結果は、パターン発見計算法を用いて、内皮前駆細胞および血管微粒子(血管健康の強力なバイオマーカーと最近になって特定された)の集団を含む、いくつかの標的の特徴を分析することにより、血管健康についての包括的な洞察を提供する。例えば、無症状の患者を心血管リスク因子について査定することができ、症状のある患者を長期にわたってモニターすることができる。これらの能力によって、個別化医療の主たる目標が実現される。
【0150】
本試験の目的は、偏りのない手法を用いて、アテローム性動脈硬化DM集団とHCとの間で差次的に発現された、細胞の表現型サブセットおよび微粒子を見出すことであった。したがって、機能的アッセイ法は、発見されたEPC (ECFCもしくはインビボ動物モデルのような)またはMP (プロトロンビナーゼアッセイ法のような)の集団に対しては行わなかった。これらの集団で提唱される機能は、考察において引用される他群により行われた研究に由来する。
【0151】
それにもかかわらず、他の試験と異なり、サイトメトリック・フィンガープリンティングおよび広範なアッセイ法の使用によって、本発明者らは、意図していない任意のゲーティング・バイアスを取り除いて、集団内で差次的に発現される多数の集団を見出すことができた。さらに、用いられる方法には、残存するさらなる機器差異をビーズ標準物質によって数学的に補正するとともにビーズ標準物質によって経時的に注意深く機器を標準化すること、陽性のFMO対照を用いること、双指数関数的な変換、およびデジタル計装を用いることを伴う厳密なフローサイトメトリープロトコルを用いた。最後に、DM患者およびHCは遡及的にではなく連続的に採用された。
【0152】
本試験の結果から、アテローム性動脈硬化症を有するDM集団と比べて健常対照においてEPCは高く、かつ大部分のMPサブセットは低いことが示唆される。重要なことには、これらの結果は、従来の分析方法を用いた場合には隠れたままでありうる分布パターンを発見できる、偏りのない新規のデータ分析方法であるサイトメトリック・フィンガープリンティングで得られた。いくつかのサブセットは、その2つの集団において有意に差次的に発現されており、そのなかには文献において支持されているものもあれば、新規の所見であるものもある。興味深いことに、EPCと関連付けられることが多いマーカーであるVEGF-R2には、情報価値がなかった。サイトメトリック・フィンガープリンティングは、客観的、包括的かつ労力節約的な方法であり、隠されたデータパターンを含みうる複雑な、多変量分布の分析において一般用途を有する。総合すれば、これらの結果は、創薬、臨床的なリスク評価およびコンパニオン診断を含むいくつかの用途に有用でありうる、血管健康プロファイルの基礎を提供する。
【0153】
本明細書において引用されるありとあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0154】
本発明を具体的な態様に関連して開示してきたが、当業者は、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の他の態様および変形を考案できることが明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような全ての態様および等価な変形を含むものと解釈されるように意図される。