(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6059535
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】拡張流体ルーメンを備える可撓性チップカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
A61M25/00 530
【請求項の数】17
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-547066(P2012-547066)
(86)(22)【出願日】2010年9月22日
(65)【公表番号】特表2013-516218(P2013-516218A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】US2010049836
(87)【国際公開番号】WO2011081686
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2013年9月13日
【審判番号】不服2015-16445(P2015-16445/J1)
【審判請求日】2015年9月7日
(31)【優先権主張番号】12/651,074
(32)【優先日】2009年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506257180
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ ラマ アラン
(72)【発明者】
【氏名】ハタ キャリー
(72)【発明者】
【氏名】ディー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ツァン ヨンシン
【合議体】
【審判長】
長屋 陽二郎
【審判官】
宮下 浩次
【審判官】
平瀬 知明
(56)【参考文献】
【文献】
特表2002−513652(JP,A)
【文献】
特表2007−509693(JP,A)
【文献】
特開2000−279528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体と細長可撓性電極とを有するカテーテル用のルーメン拡張部材であって、
前記細長可撓性電極はその内部を貫通して延在する電極ルーメンを画定しており、
前記ルーメン拡張部材は、前記カテーテル本体に連結され且つ前記細長可撓性電極の前記電極ルーメン内に位置決めされるチューブ状部材であって、側壁と、前記側壁を貫通して延在する少なくとも1つの開口とを有するチューブ状部材を備え、
前記ルーメン拡張部材は、前記細長可撓性電極の可撓性を損なわない長さを有しており、
前記側壁が、第1の内径を有する近位部分と、前記第1の内径と異なる第2の内径を有する遠位部分とを含む、ルーメン拡張部材。
【請求項2】
前記側壁が、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する実質的に一様な幾何学的形状を有する、請求項1に記載のルーメン拡張部材。
【請求項3】
前記少なくとも1つの開口が、第1の構成を有する第1の開口と、前記第1の構成と異なる第2の構成を有する第2の開口とを含む、請求項1又は2に記載のルーメン拡張部材。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口が、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する第1の複数の開口と、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する第2の複数の開口とを含み、前記第1の複数の開口が前記第2の複数の開口と半径方向及び長手方向の少なくとも1つの方向に離間される、請求項1〜3のいずれかに記載のルーメン拡張部材。
【請求項5】
遠位部分を有するカテーテル本体を含むカテーテルであって、
チップアセンブリであって、細長可撓性電極を有し、前記チップアセンブリを貫通して延在するチップルーメンを画定し、前記カテーテル本体の遠位部分に連結されるチップアセンブリと、
前記カテーテル本体の前記遠位部分に連結され且つ前記細長可撓性電極内に位置決めされるチューブ状部材であって、側壁と、前記側壁を通じて延在する少なくとも1つの開口とを有するチューブ状部材を有するルーメン拡張部材と、
を備え、
前記ルーメン拡張部材は、前記細長可撓性電極の可撓性を損なわない長さを有しており、
前記ルーメン拡張部材が、第1の内径を有する近位部分と、前記第1の内径と異なる第2の内径を有する遠位部分と、を含む、カテーテル。
【請求項6】
前記チップアセンブリ及び前記ルーメン拡張部材の少なくとも1つが、生体適合性材料、非磁性材料、非導電性材料及び非高周波反応性材料のうちの少なくとも1つにより作製される、請求項5に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ルーメン拡張部材が、貫通して延在する複数の開口を有する側壁を含み、前記複数の開口が前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する、請求項5又は6のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項8】
遠位部分を有するカテーテル本体と、
その内部を貫通して延在する電極ルーメンを画定する細長可撓性電極であって、前記カテーテル本体の前記遠位部分に連結される細長可撓性電極と、
前記カテーテル本体の前記遠位部分に連結され且つ前記細長可撓性電極内に位置決めされるチューブ状部材であって、側壁と、前記側壁を通じて延在する少なくとも1つの開口とを有するチューブ状部材を有するルーメン拡張部材と、
を備え、
前記ルーメン拡張部材は、前記細長可撓性電極の可撓性を損なわない長さを有しており、
前記ルーメン拡張部材が、第1の内径を有する近位部分と、前記第1の内径と異なる第2の内径を有する遠位部分と、を含む、アブレーションカテーテル。
【請求項9】
前記カテーテル本体が、遠位端を有する内側チューブを含み、前記ルーメン拡張部材が、前記遠位端との連結及び前記遠位端との一体形成のうちの少なくとも一方が行われる近位端を有する、請求項8に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項10】
前記カテーテル本体が、第1の内径を有する内側チューブを含み、前記ルーメン拡張部材が前記第1の内径と実質的に同様の第2の内径を有する、請求項8又は9に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項11】
前記細長電極が第1の長さを有し、且つ可撓特性を有するように構成され、及び前記ルーメン拡張部材が前記第1の長さより短い第2の長さを有し、且つ前記細長電極の前記可撓特性を低下させないように構成される、請求項8〜10のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項12】
前記電極ルーメン内で前記ルーメン拡張部材の周りに位置決めされた付勢要素であって、前記電極ルーメンに構造的完全性をもたらす付勢要素をさらに含む、請求項8〜11のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項13】
前記細長電極が、画定される複数のチャネルを含む側壁を含むアブレーションカテーテルであって、前記複数のチャネルの少なくとも1つを含む前記側壁の一部分に渡るように延在する膜をさらに含む、請求項8〜12のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項14】
前記細長電極が、画定される複数のチャネルを含む側壁を含み、前記細長電極側壁が、撓曲しかつ前記チャネルの開放サイズが変動するように構成される、請求項8〜13のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項15】
前記ルーメン拡張部材が、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する実質的に一様な幾何学的形状を有する、請求項8〜14のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項16】
前記カテーテル本体、前記細長電極及び前記ルーメン拡張部材が、各々、生体適合性材料、非磁性材料、非導電性材料、及び非高周波反応性材料のうちの少なくとも1つにより作製される、請求項8〜15のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【請求項17】
前記ルーメン拡張部材が、貫通して延在する複数の開口を有する側壁を含み、前記複数の開口が前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する、請求項8〜16のいずれかに記載のアブレーションカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年12月31日に出願された米国特許出願第12/651,074号明細書(‘074号出願)に対する優先権及びその利益を主張する。本願はまた、2007年4月4日に出願された米国特許出願第11/696,657号明細書(‘657号出願)の一部継続出願であり;及び本願は2007年9月11日に出願された米国特許出願第11/853,759号明細書(‘759号出願)の本出願である。‘074号出願、‘657号出願、及び‘759号出願は、本明細書に全て記載されたものとして本明細書によって参照により援用される。
【0002】
本明細書に開示される主題は、概してカテーテル装置に関し、より具体的には、拡張流体ルーメンを含むアブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは可撓性の管状装置であり、体内領域へのアクセスを得る医療手技を行う医師によって広く用いられている。外科分野では、1つ又は複数の電極を備えるカテーテルが一般に公知である。例えば、電極カテーテルは身体部位の電気的マッピング及び/又は身体部位への治療の送達に使用することができ、及び/又はそれに使用される。
【0004】
公知のアブレーションカテーテルは、遠位端を有する主カテーテル本体と、主カテーテル本体の遠位端に連結されたアブレーション電極とを含む。いくつかの公知のアブレーションカテーテルは、アブレーション電極を冷却するための潅注流体を提供する潅注システムを含む。少なくともいくつかの公知のカテーテル構成では、潅注流体によるアブレーション電極の冷却は実質的に一様でなく、潅注流体はアブレーション電極を完全には取り囲まない。
【0005】
さらに、公知の潅注式アブレーションカテーテルにおいて、焼灼される組織材料と接触しているアブレーション電極の一部に提供される潅注流体がより多く、且つ組織材料と接触していないアブレーション電極の一部に提供される潅注流体がより少ないということはない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
電極を含むカテーテルであって、とりわけ、電極の長手方向長さに沿って実質的に一様な、半径方向に送り込まれる潅注流体を提供するカテーテルの有利な実施形態が開示される。
【0007】
一態様において、カテーテル本体と細長電極とを有するカテーテルに対してルーメン拡張部材が提供される。ルーメン拡張部材は、カテーテル本体に連結され且つ細長電極内に位置決めされるチューブ状部材を含む。チューブ状部材は、側壁と、側壁を貫通して延在する少なくとも1つの開口とを含む。
【0008】
別の態様において、遠位部分を有する本体を含むカテーテルが提供される。このカテーテルはチップアセンブリとルーメン拡張部材とを含む。チップアセンブリは、それを貫通して延在するチップルーメンを画定し、カテーテル本体の遠位部分に連結される。ルーメン拡張部材はチップルーメン内に位置決めされ、カテーテル本体の遠位部分に連結される。
【0009】
さらに別の態様において、アブレーションカテーテルが提供される。アブレーションカテーテルは、遠位部分を有するカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位部分に連結される細長電極とを含む。細長電極は、それを貫通して延在する電極ルーメンを画定する。ルーメン拡張部材が電極ルーメン内に位置決めされ、カテーテル本体の遠位部分に連結される。
【0010】
本発明の潅注式カテーテル装置のいくつかの形態において、細長電極は比較的可撓性のない材料で形成することができ、及び/又はそのような材料で形成され、可撓性と、表面に鋭角で当たった時の細長電極から出る流体の方向誘導性とを提供するように作製される。例えば、電極は比較的薄肉の金属カップで形成されてもよく、この金属カップは、表面に近付くほど幅が広く、すなわちより大きく開放し、表面から離れるほど狭くなる、すなわち開放が少なくなる傾向を有する蟻継ぎの継目状にレーザーカットされる。本発明の潅注式カテーテルのかかる可撓性細長状電極が表面に当たると、電極が撓曲した位置にあるとき継目によって形成される開放又は間隙のサイズにばらつきがあるため、細長電極の長手方向長さに沿って潅注用流体の流れが変化する。例えば、継目は表面に近付くほど大きく開放し、表面から離れるほど開放が少なくなるため、流体は表面から遠い流れより、表面に近い流れのほうが多くなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図1に示されるカテーテルと共に使用される例示的チップアセンブリの斜視図である。
【
図4】
図1に示されるカテーテルと共に使用される別の例示的チップアセンブリの斜視図である。
【
図5】
図3に示されるチップアセンブリの断面図である。
【
図6】
図4に示されるチップアセンブリの断面図である。
【
図7】
図3に示されるチップアセンブリと共に使用される例示的ルーメン拡張部材の断面図である。
【
図8】
図7に示されるルーメン拡張部材の側面図である。
【
図9】
図7に示されるルーメン拡張部材の上面図である。
【
図10】
図7に示されるルーメン拡張部材の近位端図である。
【
図11】
図7に示されるルーメン拡張部材の遠位端図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
チップアセンブリと拡張ルーメンとを含むアブレーションカテーテルの実施形態について記載する。拡張ルーメンは、チップアセンブリが撓曲されていない、すなわち弛緩した状態にあるとき、チップアセンブリの長手方向長さに沿って実質的に一様な、半径方向に送り込まれる潅注パターンを提供するのに役立つ。加えて、電極が撓曲した位置にあるときは、継目によって形成される開口又は間隙のサイズにばらつきがあるため、拡張ルーメンは細長電極の長手方向長さに沿って変化する流体の流れを提供する。例えば、継目は表面に近付くほど開放し、表面から離れるほど開放が少なくなるため、流体は表面から遠い流れより、表面に近い流れのほうが多くなる。
【0013】
以下にさらに詳細に記載されるとおり、チップアセンブリと、貫通するように拡張ルーメンを画定するルーメン拡張部材とを含むカテーテルが提供される。ルーメン拡張部材はチップアセンブリ内に位置決めされ、貫通して延在する複数の開口を有する側壁を含む。複数の開口は様々な異なるサイズ、形状、及び向きを有することができ、カテーテルがチップアセンブリの長手方向長さに沿って実質的に一様な流体の流れを誘導することが可能となる。ルーメン拡張部材は、比較的従来型の可撓性のない細長電極並びに新規の可撓性細長電極の双方に対し、以下に多くの例示的実施形態で説明するとおりの様々な構成を有することができる。
【0014】
図1は、可撓性外側チューブ又はチュービング102を含む例示的カテーテル100の斜視図である。例示的カテーテル100の態様が様々な医療手技及び最終用途に適用可能であることが明らかとなるものの、例示的実施形態については、主としてアブレーションカテーテルの具体例に関連して説明する。しかしながら、本明細書に開示される主題は、任意の具体例により限定されることを意図するものではない。
【0015】
チュービング102は任意の好適な数の部分を含み得る。例示的実施形態において、チュービング102は近位部分104と遠位部分106とを含む。例示的実施形態において、チップアセンブリ108はチュービング102、より具体的には遠位部分106の遠位端に連結される。チュービング102は剛性が可変であっても、又は一定であってもよく、及び予め曲げられていても、又は当該技術分野において公知のとおり偏向自在であってもよい。
【0016】
チュービング102は、押出し法などの任意の好適な方法により、人工的ナイロン樹脂及びプラスチックなどの、限定はされないが、Ato Fina Chemicals、仏国のPEBAX(登録商標)チュービングを含めた任意の好適なチュービング材料により作製される。例示的実施形態において、近位部分104が第1のチュービング材料により作製され、遠位部分106が、第1のチュービング材料と異なる第2のチュービング材料により作製される。チュービング材料は、カテーテル100の使用時におけるチュービング102の性能を高めるための種々の材料及び/又は材料等級を含み得る。
【0017】
チュービング102は、部分104及び106が変化のある可撓特性を有することから、マルチフレキシブルチューブと称されることもある。例示的実施形態において、第1の材料は比較的剛性及び耐キンク性が高い編組材料である。より具体的には、例示的実施形態において近位部分104は、編組材料、半軟質材料、及び軟質材料の異なる部分を互いに融合して形成され、従って近位部分104はチュービング102の長手方向長さに沿って漸進的に可撓性となる。さらに、遠位部分106を画定する第2の材料は、可撓特性を有する軟質で可撓性の材料で形成される。例示的実施形態において、部分104と106とは、例えば7フレンチの共通の外径を共有し、しかしながら他の実施形態では部分104と106とは異なる直径を有する。
【0018】
例示的実施形態において、近位部分104はチュービング102の長手方向長さの大部分にわたり延在し、遠位部分106は近位部分104の長さより短い長さにわたり延在する。より具体的には、例示的実施形態において近位部分104は約126.3cmの長手方向長さにわたり延在し、遠位部分106は約0.8cmの長手方向長さにわたり延在するが、他の実施形態ではチューブ部分104と106との他の相対的な長さも同様に用いられ得る。部分104と106との相対的長さが異なり、且つ部分104と106との可撓特性が異なることにより、チップアセンブリ108を患者の体内でより正確に位置決めすると同時に、チュービング102のその長さの大部分に沿った使用及び取扱い時のキンク及び過度の偏向の問題を回避することも可能となる。
【0019】
操作時、チップアセンブリ108を含むカテーテル100の遠位部分106が、心房マッピング、ペーシング及び/又はアブレーションなどの医療手技が行われる体内部位まで進められる。遠位部分106は、例えば患者の心腔内まで延在し得る。
【0020】
図2はカテーテル100の断面図である。例示的実施形態において、カテーテル100は、貫通して延在する中心ルーメン112を画定する内側チューブ110を含む。2つ以上の内側チューブ110、又はルーメンが、同心若しくは同軸構成で、又はカテーテル100の中心軸からオフセットして実現され得ることは理解されなければならない。例示的実施形態において、内側チューブ110はチュービング102の内径より小さい外径を有し、従って内側チューブ110の外表面とチュービング102の内表面との間に空間が延在する。内側チューブ110は、チュービング102の可撓性を低下させることのない、チップアセンブリ108がいかなる向きにあるときも中心ルーメン112を通る流路を維持する編組ポリイミドチューブであってもよく、一実施形態ではそのような編組ポリイミドチューブである。
【0021】
図3はチップアセンブリ108の斜視図である。例示的実施形態において、チップアセンブリ108は、略シリンダ状側壁114とドーム型チップ116とを含む可撓性のチップ電極である。例示的実施形態において、チップアセンブリ108は、貫通して延在するチップルーメン118を画定する。
【0022】
例示的実施形態において、側壁114は、側壁114にカッティングされるか、又は他の方法で形成された複数の環状表面チャネル120を含む。例示的実施形態において、チャネル120は、側壁114の壁厚が減少し、且つ断面積が減少した細長い範囲を画定する。例示的実施形態において、チャネルは、潅注流体をチップアセンブリ108の内部からチップアセンブリ108の外部へと誘導するように構成される。例示的実施形態において、細長チャネル120は弛緩した状態では構造的に開放され、チップアセンブリ108に付与される力のベクトル特性に応じて開放を増減させることが可能である。例示的実施形態において、側壁114のうち細長チャネル120によって占有されない範囲は、側壁114のうち細長チャネル120によって占有される範囲のようには変形しない。より具体的には、例示的実施形態において、側壁114のうち細長チャネル120によって占有される範囲は側壁114のうち細長チャネル120によって占有されない範囲より可撓性が高く、従って細長電極側壁は、撓曲し、且つ前記チャネルの開放サイズが変動するように構成される。
【0023】
チャネル120は任意の好適なサイズ及び/又は形状を有し得る。例示的実施形態において、細長チャネル120は長さがチャネル120の幅の少なくとも約3倍であり、しかしながらこれは少なくとも約5倍、又はさらに言えば少なくとも約10倍若しくはそれ以上であってもよい。さらに、例示的実施形態において、細長チャネル120はチップアセンブリ108の周方向に置かれ、互いに略平行に延在する。少なくとも1つの環状チャネル120はチップアセンブリ108の長手方向長さと略垂直な平面内に延在する。それぞれのチャネル120はチップアセンブリ108の長手方向長さに沿って互いに等距離に離間することができ、一実施形態ではそのように離間される。少なくとも1つの環状チャネル120は、連続する360度の終端のない環状ループを形成してもよい。
【0024】
一実施形態において、チップアセンブリ108は、チップアセンブリ108の少なくとも一部分に渡るように延在して対象(図示せず)のチャネル120との分離を促進する膜(図示せず)を含む。より具体的には、この実施形態において膜は、側壁114のうちチャネル120によって占有される範囲に渡るように延在し、チップアセンブリ108を撓曲及び/又は屈曲させるときにチャネル120内に組織が挟み込まれることを防止するのに役立つ。この実施形態において、膜は好適には多孔質で、膜を通じた流体の誘導が可能である。さらに、この実施形態において膜は好適には伝導性で、チップアセンブリ108を本明細書に記載されるとおり機能させることが可能である。
【0025】
一実施形態において、チップアセンブリ108はアブレーション手技に特に適しており、この手技では電極が通電され、体内の異常な電気経路の部位に高周波(RF)が送達される。従ってRFエネルギーはチップアセンブリ108に近接する生体組織に印加され得る。アブレーション手技は、典型的には例えば心臓の内腔の中で用いられ、心臓組織を熱的に焼灼する。電極はさらに、心内信号を記録し、且つペーシング信号を単極構成で、又はシャフト102に連結された隣接電極(例えば、チップアセンブリ108から離間されたリング型電極)に至る検知ベクトルを含む双極構成で提供するように動作し得る。
【0026】
図4はチップアセンブリ108の代替的実施形態の斜視図である。例示的実施形態において、ドーム型チップ116は、チップアセンブリ108の側壁114を貫通して延在する少なくとも1つの潅注ポート又は開口124を含む。より具体的には、例示的実施形態においてドーム型チップ116は、中心開口124aと、中心開口124aを囲んで円周方向に位置決めされた4つのサテライト開口124bとを含む。
図4に示されるとおり、中心開口124aは第1のサイズを有し、各サテライト開口124bは第1のサイズより小さい第2のサイズを有する。例示的実施形態において、チャネル120はチップアセンブリ108の周囲を囲んで延在するパターンを有する。例示的実施形態において、このパターンは互いに組み合う蟻継ぎパターンである。或いは、パターンは、チップアセンブリ108の全て又は一部のいずれかに対して近位方向及び遠位方向への相対的な移動をもたらす任意のタイプの互いに組み合う構成であってもよく、一実施形態ではそのような構成である。例えば、互いに組み合う構成の別のパターンは、球形、台形、三角形、矩形、及び互いに組み合う嵌め合いを生じる任意の他の形状であってよく、一実施形態ではその形状である。
【0027】
図5は、チュービング102の遠位部分106に連結されたチップアセンブリ108の断面図である。例示的実施形態では、チップアセンブリ108はアタッチメント部分122で熱融合、接着、及び/又はレーザー溶接などの好適な連結機構によってチュービング102に連結される。
【0028】
例示的実施形態において、カテーテル100は生理食塩水などの潅注流体をチップアセンブリ108の外部に誘導するように構成される。より具体的には、例示的実施形態において内側チューブ110が流体をチップアセンブリ108に誘導するように構成され、そこで流体は開口124に誘導される。
【0029】
図5に示されるとおり、カテーテル100は、以下でさらに詳細に記載するルーメン拡張部材126を含み、これは内側チューブ110を越えてチップアセンブリ108内まで延在する。例示的実施形態において、ルーメン拡張部材126は熱融合、接着、及び/又はレーザー溶接などの好適な連結機構によって内側チューブ110に連結される。或いは、ルーメン拡張部材126は内側チューブ110と一体形成されてもよい。
【0030】
ルーメン拡張部材126は、貫通して延在する拡張流体ルーメン128(
図7に図示)を画定する。ルーメン拡張部材126は、流体を内側チューブ110からチップアセンブリ108の長手方向長さ130に沿って誘導することが可能である。従って、拡張流体ルーメン128は中心ルーメン112及び/又はチップルーメン118と流体連通しており、チップアセンブリ108内に実質的に一様な潅注パターン又は流体の流れを提供する。
【0031】
一実施形態において、ルーメン拡張部材126は少なくとも1つの開口124まで延在し、従ってルーメン拡張部材126は、少なくとも1つの開口124に専用の流体分流を誘導するように構成される。この実施形態では、ルーメン拡張部材126を通って専用の流体分流が誘導されることで、少なくとも1つの開口124を通じて誘導される流体の制御が促進される。
【0032】
それに加えて又は代えて、ルーメン拡張部材126がマニホルド(図示せず)に連結され、このマニホルドは流体を拡張流体ルーメン128から少なくとも1つの開口124に誘導するように構成される。より具体的には、この実施形態において、マニホルドはルーメン拡張部材126をチップアセンブリ108の遠位端、より具体的には遠位開口124に連結する。この実施形態において、マニホルドはチップアセンブリ108内に位置決めされ、チップアセンブリ108の可撓性を低下させることのない任意の好適な材料で作製される。
【0033】
それに加えて又は代えて、ルーメン拡張部材126は、拡張流体ルーメン128とは別個の第2の拡張流体ルーメン(図示せず)を画定する側壁(図示せず)を含む。この実施形態では、側壁はルーメン拡張部材126内に、拡張流体ルーメン128と第2の拡張流体ルーメンとが実質的に同心となるように位置決めされる。この実施形態では、側壁は少なくとも1つの開口124まで延在し、それにより第2の拡張流体ルーメンが、少なくとも1つの開口124に専用の流体分流を誘導するように構成される。この実施形態では、側壁を通って専用の流体分流が誘導されることで、少なくとも1つの開口124を通じて誘導される流体の制御が促進される。この実施形態において側壁は、チップアセンブリ108の可撓性を低下させることのない任意の好適な材料で作製される。
【0034】
例示的実施形態において、チップアセンブリ108は、チップルーメン118内でルーメン拡張部材126の周りに位置決めされたスプリングコイル132などの付勢要素を含む。コイル132は側壁114に構造的完全性をもたらし、チップアセンブリ108に加わる力がないとき、チップアセンブリ108を所定の構成に弾性的に維持する。例示的実施形態では、所定の構成はチップアセンブリ108の長手方向長さ130を直線に従うように置く。或いは、所定の構成はチップアセンブリ108の長手方向長さを湾曲した、又は弧状の経路に沿って置く。
【0035】
例示的実施形態において、コイル132はチップアセンブリ108を弾性的に付勢し、長手方向に軸方向に延伸させる。チップアセンブリ108は、力が加えられて所定の構成から偏向しているとき、その加えられている力が除かれると所定の構成を弾性的に回復する。
【0036】
例示的実施形態において、チップアセンブリ108及び/又はコイル132は、一実施形態では形状記憶材料で作製され、チップアセンブリ108及び/又はコイル132を所定の構成に置くことが促進される。一実施形態において、チップアセンブリ108は、流体がそこを通って誘導されるときに膨張、収縮、及び/又は調整するように構成されることを含め、バルーン様の特性を有する伸展性材料で作製される。別の実施形態において、チップアセンブリ108は非伸展性材料で作製され、場合により可撓性及び潅注流体を接触している表面に向ける誘導性をなお可能にしながらも、流体がそこを通って誘導されるときに強固な全体形状を維持するように構成される。
【0037】
例示的実施形態において、チップアセンブリ108は、アブレーション温度に好適な生体適合性材料で作製することができ、一実施形態ではそれで作製される。かかる材料としては、限定なしに、天然及び合成ポリマー、様々な金属及び金属合金、ニチノール、天然に存在する材料、紡織繊維、及びそれらの組み合わせが挙げられる。例示的実施形態において、チップアセンブリ108、並びに限定なしにルーメン拡張部材126及びコイル132を含む他のカテーテル構成要素は、非磁性、非導電性、及び非高周波反応性材料により作製され、チップアセンブリ108の磁気共鳴イメージング(MRI)によるMRIシステム(図示せず)を用いたチップアセンブリ108の位置決め及び/又は向き調整が可能となる。カテーテル100はMRIシステムと共に使用するのに有利であるが、チップアセンブリ108の画像を生成するための磁場及び勾配は、或いは必要に応じて他のシステム及び技術により生成され得ることが企図される。例えば、一実施形態においてチップアセンブリ108は、チップアセンブリ108を蛍光透視鏡の照射下に見ることができるように、90%の白金及び10%のイリジウム、又は当該技術分野において公知の他の材料により作製される。
【0038】
或いは、チップアセンブリ108は導体材料により作製され、それにより、心房マッピング、ペーシング及び/又はアブレーションなどの医療手技が行われる体内部位までチップアセンブリ108を送り進めることが可能となる。代替的実施形態では、遠位部分106が患者の心腔内まで延在すると磁界が印加され、それによりチップアセンブリ108の導体材料が印加された磁界に反応し、チップアセンブリ108を特定の箇所に正確に位置決めすることが可能となる。代替的実施形態では、チップアセンブリ108の位置を調整するために使用される磁界は磁気定位システム(図示せず)で生成される。かかる定位システムは公知であり、例えばSt.Louis,MissouriのStereotaxisから市販されている。カテーテル100は定位システムと共に使用するのに有利であるが、チップアセンブリ108を偏向させるための磁場及び勾配は、或いは必要に応じて他のシステム及び技術により生成され得ることが企図される。それに加えて又は代えて、電極の熱伝導性を増加させるため、チップアセンブリ108は、限定なしに金及び/又は白金を含む導体材料を含んでも、及び/又はそれで被覆されてもよい。さらに、チップアセンブリ108は抗凝血作用を提供するヘパリンで被覆することができ、一実施形態ではそれで被覆される。さらに、チップアセンブリ108は尖鋭な縁端を低減するため電解研磨することができ、一実施形態では電解研磨される。
【0039】
図6は
図4に示されるチップアセンブリ108の実施形態の断面図である。例示的実施形態において、チップアセンブリ108は可撓特性を有し、好適な方向に屈曲するように構成される。例示的実施形態において、チップアセンブリ108はチップアセンブリ108の長手方向軸から約20°屈曲するように構成される。
【0040】
例示的実施形態において、チップアセンブリ108は、チップアセンブリ108の動作温度のモニタリングに役立つ温度センサ135を含む。より具体的には、例示的実施形態において温度センサ135は熱電対型温度センサであり、ドーム型チップ116に近接して位置決めされることで、チップアセンブリ108及び/又はチップアセンブリ108を取り囲む組織において過熱が生じないことが確実とされる。
【0041】
図7はルーメン拡張部材126の断面図であり、
図6〜
図9はルーメン拡張部材126の正射影図を提供する。例示的実施形態において、ルーメン拡張部材126は、貫通して延在する複数の開口136を有する側壁134を含む。以下でさらに詳細に記載する開口136は、用途に応じ、デザイン毎にそして近位端138から遠位端140にかけて異なる直径、形状、個数、及び/又は分布を有する。
【0042】
内側チューブ110及び/又はルーメン拡張部材126は、ポリイミド材料、ポリエーテルブロックアミド材料、シリコーン材料、及びポリウレタン材料のうちの少なくとも1つを含む好適な生体適合性材料により作製することができ、一実施形態ではそれにより作製される。例示的実施形態において、ルーメン拡張部材126は内側チューブ110の作製に使用される材料と実質的に同様の材料により作製される。或いは、ルーメン拡張部材126は、内側チューブ110の作製に使用される生体適合性材料と異なる生体適合性材料により作製することができ、一実施形態ではそれにより作製される。例示的実施形態において、ルーメン拡張部材126はポリイミド材料により作製される。
【0043】
ルーメン拡張部材126は、そこを通じて流体を誘導可能な任意の好適な断面形状を有し得る。例示的実施形態において、ルーメン拡張部材126は、円形、楕円形、及び長円形などの実質的に丸い断面形状を有する。さらに、ルーメン拡張部材126は、ルーメン拡張部材126の長手方向長さ142に沿って延在する任意の好適な幾何形状を各々が有する任意の好適な数の部分を有し得る。例えば、ルーメン拡張部材126は、ルーメン拡張部材126の長手方向長さ142に沿って延在する実質的に一様な幾何形状を有してもよい。さらに、ルーメン拡張部材126は、ルーメン拡張部材126の長手方向長さ142に沿って延在する漏斗形の幾何形状を有してもよい。例えば、漏斗形のルーメン拡張部材126は、近位端138から遠位端140へとルーメン拡張部材126の長手方向長さ142に沿って徐々に増加する直径を有する。例示的実施形態において、ルーメン拡張部材126は、第1の幾何形状を有する近位部分144と、第2の幾何形状を有する遠位部分146とを含む。
【0044】
ルーメン拡張部材126は、チップアセンブリ108の可撓性を低下させることのない任意の好適な長さを有し得る。ルーメン拡張部材126は、熱伝導材料から形成されてもよく、又はそれで部分的若しくは全体的に被覆若しくは裏装され、潅注流体、化学物質、治療物質、ゲル、及び冷却又は加熱溶液などが身体又は電極エネルギーから隔離される。例示的実施形態において、ルーメン拡張部材126は最大でチップアセンブリ108の長さの約90パーセントの長さを有する。例えば、例示的実施形態において、チップアセンブリ108は約2.0mm以上約8.0mm以下の長手方向長さ130を有し、ルーメン拡張部材126は約1.8mm以上約7.2mm以下の長手方向長さ142を有する。より具体的には、例示的実施形態において近位部分144は約0.13mm以上約0.55mm以下の長手方向長さ148を有し、遠位部分146は約1.67mm以上約6.65m以下mの長手方向長さ150を有する。
【0045】
側壁134は任意の好適な構成を有し得る。例示的実施形態において、側壁134は内側チューブ110の構成と異なる構成を有する。さらに、例示的実施形態において、近位部分144の側壁は遠位部分146の側壁の構成と異なる構成を有する。
【0046】
例示的実施形態において、側壁134を貫通して開口136が延在し、これによりチップアセンブリ108の長手方向長さ130に沿って流体の流れを誘導することが可能となる。各開口136は任意の好適な構成を有し得る。例示的実施形態において、各開口136は、円形、楕円形、及び長円形などの実質的に丸い形状を有する。さらに、例示的実施形態において、少なくとも1つの開口136はルーメン拡張部材126の長手方向長さ142と実質的に垂直な軸を有する。さらに、例示的実施形態において、少なくとも1つの開口136は約0.05mm以上約0.20mm以下の直径160を有する。
図6に示される実施形態において、開口136は、ルーメン拡張部材126の近位端138に近接した第1の直径を有する第1の開口と、ルーメン拡張部材126の遠位端140に近接した、第1の直径より小さい第2の直径を有する第2の開口とを含む。
【0047】
例示的実施形態において、複数の開口136は第1の複数の開口136aと第2の複数の開口136bとを含む。第1の複数の開口136a及び第2の複数の開口136bは、各々が任意の好適な数量の開口を含み得る。例えば、第1の複数の開口136aが第1の数量の開口を含んでもよく、第2の複数の開口136bが第2の数量の開口を含んでもよい。例示的実施形態において、第1の数量は第2の数量と等しい。或いは、第1の数量は第2の数量と異なってもよく、一実施形態では異なる。
【0048】
例示的実施形態において、第1の複数の開口136a及び第2の複数の開口136bは、各々がルーメン拡張部材126の長手方向長さ142に沿って位置決めされる。例示的実施形態において、第1の複数の開口136a及び第2の複数の開口136bは、各々が長手方向に約0.51mmの距離162を離して位置決めされる開口136を含む。さらに、例示的実施形態において、第1の複数の開口136aは第2の複数の開口136bと長手方向に離間される。
【0049】
例示的実施形態において、第1の複数の開口136aは第2の複数の開口136bと半径方向に離間される。より具体的には、例示的実施形態において、第1の複数の開口136aは第2の複数の開口136bから約90度のところに位置決めされる。例示的実施形態において、第1の複数の開口136aは直径の反対側にある第1の開口対を含み、第2の複数の開口136bは直径の反対側にある第2の開口対を含む。より具体的には、例示的実施形態において第1の複数の開口136aが第1の平面に位置決めされ、第2の複数の開口136bが第1の平面と実質的に垂直な第2の平面に位置決めされる。
【0050】
アブレーションカテーテルの多くの実施形態が、カテーテルに連結されたチップアセンブリの長手方向長さに沿って実質的に一様な、半径方向に送り込まれる潅注流パターンを提供する以下の例示的な方法を促進する。流体が内側チューブ110を通じて誘導され、ルーメン拡張部材126に至る。次に流体は拡張ルーメン128を通じて誘導され、チップアセンブリ108の長手方向長さに沿った流体の流れの誘導が促進される。より具体的には、流体は、ルーメン拡張部材126の長手方向長さに沿って位置決めされた少なくとも1つの開口136を通じて誘導される。開口136の構成は、チップアセンブリ108が撓曲していない位置にあるとき、チップアセンブリ108の長手方向長さに沿って実質的に一様な、半径方向に送り込まれる潅注流パターンの提供を促進する。チップアセンブリ108が撓曲した位置にあるとき、例えば表面に角度をなして当たるときなど、チャネル120の開放の大きさにばらつきがあるため、潅注用流体の流れはチップアセンブリ108の長手方向長さに沿って変化する。チャネル120は表面に近付くほど大きく開放し、表面から離れるほど開放が少なくなるため、流体は表面から遠い流れより、表面に近い流れのほうが多くなる。
【0051】
以上、可撓性チップ電極の具体的な実施形態及び適用を説明した。しかしながら当業者には、既に説明したもの以外の多くのさらなる変形例が、本明細書における本発明の概念から逸脱することなく可能であることは明らかなはずである。従って本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の趣旨を除いては、制限を受けるものではない。
【0052】
上記において本発明のいくつかの実施形態をある程度詳細に説明しているが、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、開示される実施形態の代替例を多数実現し得る。例えば、つなぎ合わせることに関するあらゆる言及(例えば、取り付けられる、連結される、接続されるなど)は広義に解釈されるべきであり、要素の接続の間にある中間的な構成物及び要素間の相対的な移動を含み得る。従って、つなぎ合わせることに関する言及は、必ずしも2つの要素が直接的に、互いに固定的な関係で接続されることを含意するものではない。上記の説明に含まれ、又は添付の図面に示される事項は全て、限定ではなく、あくまでも例示として解釈されなければならないことが意図される。添付の特許請求の範囲に定義されるとおりの本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細又は構造の変更を実現することができる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
カテーテル本体と細長電極とを有するカテーテル用のルーメン拡張部材であって、
前記ルーメン拡張部材が、前記カテーテル本体に連結され且つ前記細長電極内に位置決めされるチューブ状部材を含み、
前記チューブ状部材が、側壁と、前記側壁を貫通して延在する少なくとも1つの開口とを含む、ルーメン拡張部材。
(項目2)
前記側壁が、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する実質的に一様な幾何学的形状を有する、項目1に記載のルーメン拡張部材。
(項目3)
前記側壁が、第1の内径を有する近位部分と、前記第1の内径と異なる第2の内径を有する遠位部分とを含む、項目1に記載のルーメン拡張部材。
(項目4)
前記少なくとも1つの開口が、第1の構成を有する第1の開口と、前記第1の構成と異なる第2の構成を有する第2の開口とを含む、項目1に記載のルーメン拡張部材。
(項目5)
前記少なくとも1つの開口が、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する第1の複数の開口と、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する第2の複数の開口とを含み、前記第1の複数の開口が前記第2の複数の開口と半径方向及び長手方向の少なくとも1つの方向に離間される、項目1に記載のルーメン拡張部材。
(項目6)
遠位部分を有するカテーテル本体を含むカテーテルであって、
貫通して延在するチップルーメンを画定するチップアセンブリであって、前記カテーテル本体の前記遠位部分に連結されるチップアセンブリと、
前記チップルーメン内に位置決めされるルーメン拡張部材であって、前記カテーテル本体の前記遠位部分に連結されるルーメン拡張部材と、
を含むカテーテル。
(項目7)
前記チップアセンブリ及び前記ルーメン拡張部材の少なくとも1つが、生体適合性材料、非磁性材料、非導電性材料及び非高周波反応性材料のうちの少なくとも1つにより作製される、項目6に記載のカテーテル。
(項目8)
前記ルーメン拡張部材が、第1の内径を有する近位部分と、前記第1の内径と異なる第2の内径を有する遠位部分と、を含む、項目6に記載のカテーテル。
(項目9)
前記ルーメン拡張部材が、貫通して延在する複数の開口を有する側壁を含み、前記複数の開口が前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する、項目6に記載のカテーテル。
(項目10)
遠位部分を有するカテーテル本体と、
貫通して延在する電極ルーメンを画定する細長電極であって、前記カテーテル本体の前記遠位部分に連結される細長電極と、
前記電極ルーメン内に位置決めされるルーメン拡張部材であって、前記カテーテル本体の前記遠位部分に連結されるルーメン拡張部材と、
を含むアブレーションカテーテル。
(項目11)
前記カテーテル本体が、遠位端を有する内側チューブを含み、前記ルーメン拡張部材が、前記遠位端との連結及び前記遠位端との一体形成のうちの少なくとも一方が行われる近位端を有する、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目12)
前記カテーテル本体が、第1の内径を有する内側チューブを含み、前記ルーメン拡張部材が前記第1の内径と実質的に同様の第2の内径を有する、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目13)
前記細長電極が第1の長さを有し、且つ可撓特性を有するように構成され、及び前記ルーメン拡張部材が前記第1の長さより短い第2の長さを有し、且つ前記細長電極の前記可撓特性を低下させないように構成される、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目14)
前記電極ルーメン内で前記ルーメン拡張部材の周りに位置決めされた付勢要素であって、前記電極ルーメンに構造的完全性をもたらす付勢要素をさらに含む、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目15)
前記細長電極が、画定される複数のチャネルを含む側壁を含むアブレーションカテーテルであって、前記複数のチャネルの少なくとも1つを含む前記側壁の一部分に渡るように延在する膜をさらに含む、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目16)
前記細長電極が、画定される複数のチャネルを含む側壁を含み、前記細長電極側壁が、撓曲しかつ前記チャネルの開放サイズが変動するように構成される、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目17)
前記ルーメン拡張部材が、前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する実質的に一様な幾何学的形状を有する、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目18)
前記カテーテル本体、前記細長電極及び前記ルーメン拡張部材が、各々、生体適合性材料、非磁性材料、非導電性材料、及び非高周波反応性材料のうちの少なくとも1つにより作製される、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目19)
前記ルーメン拡張部材が、第1の内径を有する近位部分と、前記第1の内径と異なる第2の内径を有する遠位部分と、を含む、項目10に記載のアブレーションカテーテル。
(項目20)
前記ルーメン拡張部材が、貫通して延在する複数の開口を有する側壁を含み、前記複数の開口が前記ルーメン拡張部材の長手方向長さに沿って延在する、項目10に記載のアブレーションカテーテル。