(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
部品本体を保持して所定位置に搬送すると共に部品を基板上に下降させる搬送ヘッドと前記搬送ヘッドに保持された状態の前記部品を撮像する撮像装置とを備える部品実装装置において、前記部品本体から突出するリード端子を前記基板の端子挿入孔に挿入して前記部品を前記基板に実装するための制御方法であって、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記部品本体の所定部位と前記リード端子の挿入端の位置とから前記リード端子の曲がり量を算出し、
前記曲がり量が限界値よりも大きいと判断した場合、前記搬送ヘッドを所定の部品回収位置に移動させて、前記部品の保持を解く部品回収処理を行わせ、
前記曲がり量が前記限界値以下と判断した場合、
前記搬送ヘッドを正規位置に対して前記曲がり量分ずれるように移動させることで前記リード端子の挿入端を前記端子挿入孔に一致する状態とし、その状態で前記搬送ヘッドを下降させ、前記リード端子の挿入端が前記端子挿入孔に挿入されるまで下降したことを条件に前記搬送ヘッドによる前記部品本体の保持を解除して前記部品本体を下降させることで、前記部品本体が前記正規位置に近づくように自己矯正させる部品実装装置の制御方法。
部品本体を保持して所定位置に搬送すると共に部品を基板上に下降させる搬送ヘッドと前記搬送ヘッドに保持された状態の前記部品を撮像する撮像装置とを備え、前記部品本体から突出するリード端子を前記基板の端子挿入孔に挿入して前記部品を前記基板に実装するための部品実装装置が有するコンピュータに、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記部品本体の所定部位と前記リード端子の挿入端の位置とから前記リード端子の曲がり量を算出させ、
前記曲がり量が限界値よりも大きいと前記コンピュータが判断した場合、前記搬送ヘッドを所定の部品回収位置に移動させて、前記部品の保持を解く部品回収処理を行わせ、
前記曲がり量が限界値以下と前記コンピュータが判断した場合、
前記前記搬送ヘッドを正規位置に対して前記曲がり量分ずれるように移動させることで前記リード端子の挿入端を前記端子挿入孔に一致する状態とし、その状態で前記搬送ヘッドを下降させ、前記リード端子の挿入端が前記端子挿入孔に挿入されるまで下降したことを条件に前記搬送ヘッドによる前記部品本体の保持を解除して前記部品本体を下降させることで、前記部品本体が前記正規位置に近づくように自己矯正させる部品実装装置用プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、リード端子をいわば外部的に付加された矯正機構によって曲がりを矯正するため、それらの機構が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、構造が複雑化することを抑制しつつ、リード端子に曲がりがある部品でも正しく実装することができる部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書によって開示される部品実装装置は、部品本体から突出するリード端子を基板の端子挿入孔に挿入して部品を前記基板に実装する部品実装装置であって、
前記部品本体を保持して所定位置に搬送すると共に前記部品を前記基板上に下降させる搬送ヘッドと、前記搬送ヘッドの動作を制御する制御部と、前記搬送ヘッドに保持された状態の前記部品を撮像する撮像装置と、を備え、
前記制御部は
、前記搬送ヘッドを正規位置に対して前記曲がり量分ずれるように移動させることで前記リード端子の挿入端を前記端子挿入孔に一致する状態とし、その状態で前記搬送ヘッドを下降させ、前記リード端子の挿入端が前記端子挿入孔に挿入されるまで下降したことを条件に前記搬送ヘッドによる前記部品本体の保持を解除して前記部品本体を下降させることで、前記部品本体が前記正規位置に近づくよう自己矯正させる。
【0009】
この部品実装装置によれば、搬送ヘッドの下降時に、リード端子の挿入端が基板の端子挿入孔に挿入された後には搬送ヘッドによる部品本体の保持が解除されるから、その状態では部品は基板の面方向に沿って変位可能となる。この状態で搬送ヘッドにより部品本体が下降させられると、リード端子に曲がりがあった場合には、端子挿入孔の開口縁部からリード端子が受ける分力によって部品本体が基板の面方向に沿って変位しつつリード端子の曲がりが矯正されて部品が下降することになり、部品を基板に正しい位置に実装することができる。したがって、構造が複雑化することを抑制しつつ、リード端子に曲がりがある部品でも正しく実装することができる。
また、この部品実装装置によれば、制御部は、リード端子の曲がり量が限界値よりも大きいと判断した場合、部品回収処理を実行する。これにより、基板に挿入できない不良部品を回収することができる。
【0010】
上記部品実装装置は、前記搬送ヘッドは、前記部品本体を挟持して保持する挟持ホルダーを有し、前記制御部は、前記搬送ヘッドの下降時に、前記リード端子の挿入端が前記端子挿入孔に挿入された後には前記挟持ホルダーによる前記部品本体の保持を解除した状態としつつ前記挟持ホルダーを前記部品本体の上面に当てて下降させる動作を行わせてもよい。
【0011】
この部品実装装置によれば、搬送ヘッドは、挟持ホルダーを有し、制御部は、搬送ヘッドの下降時に、リード端子の挿入端が端子挿入孔に挿入された後には挟持ホルダーによる部品本体の保持を解除した状態としつつ挟持ホルダーを部品本体の上面に当てて下降させる動作を行わせる。このため、制御部が、搬送ヘッドによる部品本体の保持を解除した状態として部品本体を下降させる動作を行わせた場合、部品本体は、挟持ホルダーと接触し、挟持ホルダーによって基板に向かって押し出される。これによって、リード端子に曲がりがあった場合には、端子挿入孔の開口縁部からリード端子が受ける分力によって部品本体が基板の面方向に沿って変位することを妨げることなく、挟持ホルダーからの鉛直下向きに押す力を部品本体の上面が受けることによって、実装時間を短縮しつつ部品を基板に正しい位置に実装することができる。
【0012】
上記部品実装装置は、前記搬送ヘッドは、前記部品本体を吸着して保持する吸着ノズルを有し、前記制御部は、前記搬送ヘッドの下降時に、前記リード端子の挿入端が前記端子挿入孔に挿入された後には前記吸着ノズルによる前記部品本体の保持を解除した状態としつつ前記吸着ノズルを前記部品本体の上面に当てて下降させる動作を行わせる、部品実装装置。
【0013】
この部品実装装置によれば、搬送ヘッドは、吸着ノズルを有し、制御部は、搬送ヘッドの下降時に、リード端子の挿入端が端子挿入孔に挿入された後には吸着ノズルによる部品本体の保持を解除した状態としつつ吸着ノズルを部品本体の上面に当てて下降させる動作を行わせる。このため、挟持ホルダーに代えて吸着ノズルを用いる場合でも、端子挿入孔の開口縁部からリード端子が受ける分力によって部品本体が基板の面方向に沿って変位することを妨げることなく、吸着ノズルからの鉛直下向きに押す力を部品本体の上面が受けることによって、実装時間を短縮しつつ部品を基板に正しい位置に実装することができる。
【0016】
なお、本明細書に開示される技術は、部品実装装置、部品実装方法、これらの装置または方法の機能を実現するための部品実装装置用プログラム、その部品実装装置用プログラムを記録した記録媒体やコンピュータ等の種々の態様で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<一実施形態>
(部品実装装置の全体構造)
本発明の一実施形態を
図1から
図8を参照して説明する。本実施形態の部品実装装置1はプリント基板(以下、単に基板)Pの上面に電子部品B(部品の一例)を実装するための装置である。
図1に示すように、部品実装装置1は、基台10上に、基板Pを搬送する搬送コンベア20、所定位置に搬送された基板Pを支持する基板支持装置30、および基板P上に電子部品Bを実装する実装作業装置90を配置してなる。
【0019】
尚、以下の説明において、基台10の長手方向(
図1の左右方向)をX方向と呼ぶものとする。また、Y方向を水平面内で基台10の長手方向に垂直な方向(
図1の上下方向)とし、Z方向をX方向およびY方向の両方に垂直な方向(
図1の紙面手前方向)に定めるものとする。また、
図1において右手側を上流側(作業対象となる基板Pの搬入側)、左手側を下流側(作業済みの基板Pの搬出側)として説明を行う。
【0020】
基台10はX方向に長い長方形状をなしている。基台10は、中央に搬送コンベア(以下、単にコンベアと呼ぶ)20を配置し、上流側にあたる基台10の右端に搬入コンベア12を配置し、下流側にあたる基台10の左端に搬出コンベア13を配置している。これら3つのコンベア12、13、20は互いに段差なく連続しており、作業対象となる基板Pを上流側から下流側に順々に送ることができる。
【0021】
基台10上には、昇降動作可能な基板ストッパ25が設けられており、コンベア20により上流側から下流側に送られる基板Pを、基台中央の実装作業位置にて停止させる。そして、基台中央には基板支持装置30が設けられており、実装作業位置に停止したプリント基板Pを下から支える。
【0022】
また、基台10上であって、上記実装作業位置の周囲4箇所には部品供給部80が設けられ、部品供給部80には部品供給装置としての複数のフィーダ85がX方向に並んで設置されている。各フィーダ85からは、電子部品Bが供給される。そして、電子部品Bは、後述する実装作業装置90により、実装作業位置で基板指示装置30によってバックアップされた基板P上に実装される。
【0023】
電子部品としては表面実装タイプのものと、リード端子付きのものとがあり、これらを混在して基板Pに実装することができる。リード端子付きの電子部品Bとしては例えばメカニカルリレーを例示できる。これは
図2に示す通り、樹脂モールドされた部品本体Hと、その下面から突出する金属製のリード端子Lとを備える。
【0024】
さて、基台10上であってコンベア20を挟んだY方向の両側には、部品認識カメラ95(撮像装置の一例)が一対設置されている。この部品認識カメラ95は、後述するクランプヘッド185により吸着保持された電子部品Bを、電子部品Bを下側から撮影するためのものである。
【0025】
図1および
図3に示す通り、実装作業装置90は、移動装置135とヘッドユニット170とを備える。移動装置135はXYZの直交する3つの駆動軸を備えた直交座標ロボットであり、これら3つの駆動軸を後述の制御コントローラ100によって複合的に駆動することで、ヘッドユニット170を基台10の上方の任意の位置に移動させることができる。
【0026】
具体的に説明してゆくと、
図1および
図3に示すように基台10上にはコンベア20を跨ぐ形で、一対の支持脚141が設置されている。両支持脚141は実装作業位置の両側(X方向両側)に位置しており、共にY方向(
図1では上下方向)にまっすぐに延びている。
【0027】
両支持脚141にはY方向に延びるガイドレール(Y方向案内軸)142が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール142にガイドされるヘッド支持体151が設けられている。そして、
図1において右側に位置する支持脚141にはY方向に延びるY軸ボールねじ軸(Y方向駆動軸)145が装着され、更にY軸ボールねじ軸145にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ軸145の軸端部にはY軸モータ147が設けられている。
【0028】
このY軸モータ147が駆動されると、Y軸ボールねじ軸145に沿ってボールナットが進退する。その結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体151、ひいては次述するヘッドユニット170(搬送ヘッドの一例)が、ガイドレール142に沿ってY方向に水平移動する(Y軸サーボ機構)。
【0029】
図3に示すように、ヘッド支持体151にはX方向に延びるガイド部材(X方向案内軸)153が設置され、更に、ガイド部材153に対してヘッドユニット170が、移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体151には、X方向に延びるX軸ボールねじ軸(X方向駆動軸)155が装着されており、更にX軸ボールねじ軸155にはボールナットが螺合されている。
【0030】
そして、X軸ボールねじ軸155の軸端部にはX軸モータ157が設けられており、同X軸モータ157が駆動されると、X軸ボールねじ軸155に沿ってボールナットが進退する。その結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット170がガイド部材153に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0031】
従って、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構が複合的に制御されることで、基台10上においてヘッドユニット170が水平方向(XY方向)、即ち基板Pの面方向に沿って移動できる構成となっている。
【0032】
また、ヘッドユニット170には、一対の爪(ホルダーHD、挟持ホルダーの一例)を有するクランプヘッド185(搬送ヘッドの一例)が設けられている。クランプヘッド185は、Z軸ボール螺子を備えたZ軸サーボ機構(図略)により、Z方向(上下方向)に移動可能であり、かつZ軸周り(R方向)に回転可能である。そして、クランプヘッド185には吸引ノズル186が設けられており、バキュームモータを駆動することによって、吸引ノズル186のノズル先端に吸引力を生じるようになっている。
【0033】
図4に示すとおり、吸引ノズル186のノズル先端に吸引力が生じると、内蔵されている圧縮コイルバネSPが左方向(収縮方向)へ収縮する(
図4A)。この場合、圧縮コイルバネSPの収縮に連動してホルダーHD間の距離Dが縮まるため、クランプヘッド185は電子部品Bを保持することができる。
【0034】
一方、吸引ノズル186のノズル先端に吸引力が生じていない状態では、圧縮コイルバネSPが右方向(伸展方向)へ伸展する(
図4B)。この場合、ホルダーHD間の距離Dが広がり、クランプヘッド185による電子部品Bの保持が解除される。なお、クランプヘッド185は、挟持ホルダーの一例である。
【0035】
以上のように、ヘッドユニット170が部品供給部80と基台中央の実装作業位置との間を往復移動し、クランプヘッド185が適宜昇降動作をすることにより、部品供給部80から電子部品Bが取り出され、かつ取り出された電子部品Bが実装作業位置にてバックアップされた基板P上に実装される。
【0036】
(部品実装装置の電気的構成)
次に、
図5を参照して、部品実装装置1の電気的構成を説明する。本実施形態の部品実装装置1では、同図に示す制御コントローラ100(制御部の一例)が部品認識カメラ95を含む部品実装装置1の全体を統括的に制御している。
【0037】
図5に示すように、制御コントローラ100は、CPU等により構成される演算処理部110を備える他、実装プログラム記憶手段120、搬送系データ記憶手段130、モータ制御部140、外部入出力部150、画像処理部160を備える。
【0038】
また、演算処理部110は、実装プログラム記憶手段120に記憶された部品実装プログラムや、搬送系データ記憶手段130に記憶された搬送プログラム等の各種プログラムによって各部を制御する。
【0039】
モータ制御部140は、ヘッドユニット170をX・Y・Rの各方向に駆動するためのモータや、後述するクランプヘッド185をZ方向に移動させるためのモータ、および、吸引ノズル186に吸引力を発生させ、圧縮コイルバネSPを収縮させるためのバキュームモータを制御する。
【0040】
外部入出力部150はいわゆるインターフェースであって、部品実装装置1に設けられる各センサから出力される検出信号が入力されるほか、基板ストッパ25を駆動させるための制御信号が出力されるようになっている。
【0041】
画像処理部160は、部品認識カメラ95より得られる電子部品Bの下側からの撮像画像に基づいて、リード端子Lの先端(挿入端)、および部品本体Hの底面の外周縁を認識し、それらのXY平面内における位置座標(XY座標)を取得することができる。
【0042】
そして、制御コントローラ100は、上述した各種プログラムと取得した各種の位置情報とに基づいて、ヘッドユニット170の移動、およびクランプヘッド185の昇降動作を所定のタイミングで実行する。これによって、制御コントローラ100は、部品供給部80から取り出した電子部品Bを基板P上に実装することができる。
【0043】
(電子部品Bの実装フロー)
図6および
図7を用いて、リード端子付きの電子部品Bを基板Pへ実装する実装処理の流れについて説明する。まず、制御コントローラ100は、フィーダ85にある電子部品Bをクランプヘッド185によってホルダーHDに挟持する。そして、制御コントローラ100は、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御することで、ヘッドユニット170を部品認識カメラ95の上に搬送させる。そして、制御コントローラ100は、次の認識処理を実行する(S1)。
【0044】
この認識処理S1では、制御コントローラ100は、部品認識カメラ95より得られる電子部品Bの下側からの撮像画像に基づいて、リード端子Lの挿入端、および部品本体Hの底面の外周縁のXY平面内における位置座標(XY座標)を取得する。そして、部品本体Hの底面の外周縁の位置から、そのXY平面における中心位置M(所定部位の一例)を算出し、その中心とリード端子Lの挿入端との間の距離A(以下、リード先端距離という)を算出する。
【0045】
そして、制御コントローラ100は、算出したリード先端距離と、リード端子Lが曲がっておらず、その先端が正しい位置にある場合における部品本体Hの中心とリード端子Lの先端との間の距離A
0とを比較し、リード端子の曲がり量Δα(=A−A
0)を算出する(
図2参照)。なお、曲がり量ΔαはX軸及びY軸の座標軸について、各軸成分について算出されるが、以下の説明では簡略化のため、
図2に示したようにX軸成分に関してのみ説明する。また、リード端子Lが曲がっていない場合のリード先端距離A
0は、電子部品B毎に予め実測されて制御コントローラ100に予め記憶されている。
【0046】
次に、制御コントローラ100は、基板Pに実装しようとしている電子部品Bが、基板Pに実装可能であるか否かを判断する(S2)。例えば、制御コントローラ100は、S1で算出したリード端子の曲がり量Δαと、限界値LMとを比較する。制御コントローラ100は、リード端子の曲がり量Δαが限界値LMより大きいと判断した場合、即ち、限界値LM<Δαと判断した場合、電子部品Bが基板Pに実装不能であると判断する。
【0047】
制御コントローラ100は、電子部品Bが、基板Pに実装不能であると判断した場合(S2:NO)、電子部品Bの廃棄動作(部品回収処理の一例)を実行する(S3)。この廃棄動作では、制御コントローラ100は、ヘッドユニット170を水平方向(XY方向)に移動させ、電子部品Bを廃棄可能な領域(部品回収位置)まで移動させる。そして制御コントローラ100は、ホルダーHDによる電子部品Bの挟持を停止させ、電子部品Bの保持を解いて電子部品Bを回収箇所に投下する。
【0048】
制御コントローラ100は、電子部品Bが、基板Pに実装可能であると判断した場合(S2:YES)、即ち、限界値LM≧Δαと判断した場合、実装プログラム記憶手段120に記憶された部品実装プログラムに基づいて、X軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を複合的に制御し、基台10上においてヘッドユニット170を水平方向(XY方向)に移動操作させる(S4)。具体的には、制御コントローラ100は、電子部品Bのリード端子Lの先端が、リード端子Lの基板P上の挿入位置である端子挿入孔SKに一致するように、ヘッドユニット170によって電子部品Bを移動させる(
図7A)。
【0049】
次に、Z軸サーボ機構を制御してクランプヘッド185を所定量だけ垂直下方向(Z方向)に下降させる(S5)。この結果、リード端子Lの挿入端が基板Pの端子挿入孔SKに僅かに挿入された状態となる(
図7B)。そして、制御コントローラ100は、クランプヘッド185の下降操作を開始してから、クランプヘッド185をどれだけ下降させたか、即ち、電子部品Bをどれだけ下降させたかを検出する。これにより、制御コントローラ100は、リード端子Lが端子挿入孔SKに挿入される高さまで、クランプヘッド185を下降させたか否かを判断する(S6)。
【0050】
制御コントローラ100は、リード端子Lが端子挿入孔SKに挿入される高さまでクランプヘッド185を下降させていないと判断した場合(S6:NO)、S5に戻り、クランプヘッド185をさらに下降させる。
【0051】
一方、制御コントローラ100は、リード端子Lが端子挿入孔SKに挿入される高さまでクランプヘッド185を下降させたと判断した場合(S6:YES)、
図7Cにも示す通り、バキュームモータを制御して、ホルダーHDによる電子部品Bの挟持を停止させ、電子部品Bの保持を解除する(S7)。そして、制御コントローラ100は、
図7Dにも示す通り、電子部品Bの保持を解除したまま、ホルダーHDの先端を部品本体Hの上面に当てながら、クランプヘッド185を下降させる(S8)。
【0052】
このとき、
図8に示す通り、電子部品Bが保持されている場合(
図8A)に比べて、電子部品Bの保持が解除された場合(
図8B)では、部品本体HとホルダーHDとの間に隙間が生じる。この隙間によって、電子部品Bは、X方向、Y方向、およびXY平面状の回転方向であるR方向の各方向へ変位可能となる。
【0053】
そして、制御コントローラ100は、電子部品BのX方向、Y方向、R方向への変位が可能となった状態でクランプヘッド185を下降させ、ホルダーHDの先端と部品本体Hとを接触させつつ、電子部品Bを基板Pへ押し込む。このため、電子部品Bは、正しい挿入姿勢となるように、X方向、Y方向、R方向への変位を繰り返して、自己矯正しながら、基板Pに実装される。
【0054】
そして、制御コントローラ100は、実装プログラム記憶手段120に記憶された部品実装プログラムに基づいて、予め決められた高さだけクランプヘッド185を下降させて、実装処理を終了する。
【0055】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、制御コントローラ100は、電子部品Bのリード端子Lの先端が、基板P上の挿入位置である端子挿入孔SKと一致するように、ヘッドユニット170によって電子部品Bを移動させる(
図7A)。次に、制御コントローラ100は、リード端子Lを端子挿入孔SKへ挿入するために、Z軸サーボ機構を制御し、基台10上においてクランプヘッド185を垂直下方向(Z方向)に下降操作させる(
図7B)。制御コントローラ100は、リード端子Lが端子挿入孔SKに挿入される高さまでクランプヘッド185を下降させたと判断した場合、バキュームモータを制御して、電子部品Bの保持を解除する(
図7C)。そして、制御コントローラ100は、電子部品Bの保持を解除したまま、ホルダーHDの先端を部品本体Hの上面に当てながら、クランプヘッド185を下降させ、電子部品Bを基板Pへ押し込む。(
図7D)。これにより、リード端子Lの挿入姿勢を矯正して、電子部品Bを基板Pに実装する構成に比べて、リード端子Lの挿入姿勢を矯正するための構成が不要となるため、挿入装置の構成が増大することを抑制しつつ、電子部品Bを基板Pに正しく実装することができる。
【0056】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
【0057】
上記実施形態では、制御コントローラ100は、1つの演算処理部110を有する構成であった。しかし、制御コントローラ100は、これに限らず、複数の演算処理部を備える構成や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハード回路を備える構成や、ハード回路及び演算処理部の両方を備える構成でもよい。例えば上記実装処理の一部または全部を、別々の演算処理部やハード回路で実行する構成でもよい。
【0058】
上記実施形態では、吸引ノズル186のノズル先端に吸引力が生じると、ホルダーHDが収縮し、電子部品Bを保持する構成であった。しかしこれに限らず、
図9に示すように、制御コントローラ100は、バキュームモータを制御することで、吸着ノズル190のノズル先端に吸引力を生じさせる(
図9A)。そして、その吸引力によって吸着ノズル190そのものが電子部品Bを保持する構成でもよい。また、制御コントローラ100は、リード端子Lが端子挿入孔SKに挿入される高さまで下降されている(
図9B)と判断した場合、バキュームモータを制御して、電子部品Bの保持を解除し(
図9C)、吸着ノズル190そのものによって、電子部品Bを基板Pに押し込む(
図9D)ことで、電子部品Bを基板Pに実装する構成でもよい。なお、吸着ノズル190そのものによって、電子部品Bを基板Pに押し込む場合、吸着ノズル190の先端には吸引力が発生していないため、電子部品Bは、X方向、Y方向、R方向への変位が可能となった状態でクランプヘッド185と接しつつ、クランプヘッド185によって基板Pへ押し込まれる。つまり、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0059】
上記実施形態では、制御コントローラ100は、基板Pに実装しようとしている電子部品Bが、基板Pに実装可能であるか否かを判断するため、リード端子の曲がり量Δαと、限界値LMとを比較する構成であった。しかしこれに限らず、制御コントローラ100は、例えば、吸着ヘッド185を下降させる途中で、図示しない応力センサによって、リード端子Lから吸着ヘッド185へ加わる応力を検出する。そして、制御コントローラ100は、当該応力が基準値を上回った場合には、リード端子Lが基板Pの端子挿入孔SKではなく、基板Pそのものに突き当たってしまっていると判断することで、電子部品Bを基板Pに実装不能であるとして廃棄動作を行わせる構成でもよい。
【0060】
上記実施形態では、電子部品Bは、部品本体Hと、リード端子Lとによって構成される例を挙げた。しかしこれに限らず、電子部品Bは、部品本体Hと、リード端子Lと、ボスQとによって構成されていてもよい。なお、ボスQは、部品本体Hの樹脂によって一体に形成されており、リード端子Lに比べて長さが短く、太く形成してあり、電子部品Bの基板P上での位置決めや固定等の目的で利用される。
【0061】
上記実施形態では、ホルダーHDの先端を部品本体Hの上面に当てながら、クランプヘッド185を下降させる構成を例に挙げた。しかしこれに限らず、ホルダーHD間の距離Dが部品本体HのXY方向の長さより長い場合などは、吸引ノズル186の下面を部品本体Hの上面に当てながら、クランプヘッド185を下降させる構成でもよい。
【0062】
上記実施形態では、リード端子付きの電子部品Bとして、メカニカルリレーを例に挙げた。しかしこれに限らず、リード端子付きの電子部品Bは、コンデンサや抵抗等の受動部品でもよく、半導体製品でもよい。