(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6059908
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/04 20060101AFI20161226BHJP
A22C 7/00 20060101ALI20161226BHJP
A47J 43/20 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
B65D43/04
A22C7/00 Z
A47J43/20
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-177697(P2012-177697)
(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2014-34418(P2014-34418A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】足立 将司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−037470(JP,A)
【文献】
特開平09−323743(JP,A)
【文献】
特開2006−096363(JP,A)
【文献】
特開2007−186230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/04
A22C 7/00
A47J 43/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性材料よりなり、ソーセージの成形に用いられる容器であって、
対向する位置に少なくとも一対配置され、各々の内面の少なくとも一部が上方に対して対向側に狭まるテーパー状の嵌合雌部を有する容器本体と、
前記容器本体に脱着自在に嵌合し、嵌合状態において前記嵌合雌部の各々の間に配置される少なくとも一対の嵌合雄部を有し、前記嵌合雄部の各々の対向長さの少なくとも一部が、前記嵌合雌部の各々の内面における対向長さの最小値より大きく設定された蓋体とを備え、
前記容器本体には、上面に、前記ソーセージの生地を入れることができる第1の凹部が複数個形成されており、
前記蓋体には、下面に、前記第1の凹部に対向して重なり合う第2の凹部が複数個形成されており、
前記第2の凹部の各々は、前記蓋体の上面よりも上方に盛り上がるように凹み、前記蓋体の上面よりも上方に位置する頂部において貫通孔を有する、容器。
【請求項2】
可撓性材料よりなり、ソーセージの成形に用いられる容器であって、
対向する位置に少なくとも一対配置され、各々の内面の少なくとも一部が上方に対して対向側に狭まるテーパー状の嵌合雌部を有する容器本体と、
前記容器本体に脱着自在に嵌合し、嵌合状態において前記嵌合雌部の各々の間に配置される少なくとも一対の嵌合雄部を有し、前記嵌合雄部の各々の対向長さの少なくとも一部が、前記嵌合雌部の各々の内面における対向長さの最小値より大きく設定された蓋体とを備え、
前記容器本体には、上面に、前記ソーセージの生地を入れることができる第1の凹部が形成されており、
前記蓋体には、下面に、前記第1の凹部に対向して重なり合う第2の凹部が形成されており、
前記第2の凹部の縁の全周には、前記蓋体の下面から外方に突出し、かつ、前記第1の凹部と重なり合うときに、前記第1の凹部の縁の内壁の全周に密着状態で沿うようにして前記第1の凹部の内部に入り込む堰部が形成されており、
前記堰部は、その体積が前記第2の凹部の容積に等しくなるように設定されている、容器。
【請求項3】
前記嵌合雄部は、下方に対して対向側に広がる逆テーパー状に形成される、請求項1又は請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記嵌合雌部は、前記内面の全周に形成される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記嵌合雄部は、前記蓋体の側壁部に形成される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記容器本体は、前記容器本体の上方側に形成され、上方に対して対向側に広がる逆テーパー状に形成された周壁部を有し、
前記周壁部の上端部は、前記第1の凹部と前記蓋体に形成された前記第2の凹部とが重なり合うときに、前記蓋体の上面の水平位置の上方に位置するように形成されており、
前記蓋体は、外縁全周に形成される側壁部を有し、
前記側壁部の上端部は、前記蓋体の上面の水平位置の上方に位置するように形成されており、
前記嵌合雄部は、前記蓋体の前記側壁部に形成されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は容器に関し、特に容器本体と蓋体とからなる容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器本体と蓋体とからなる容器として、例えば以下のような容器が既に存在している。
【0003】
図13は、そのような容器の外観形状を示す平面図であり、
図14は、
図13に示す容器のXIV−XIVラインの端面図である。
【0004】
これらの図を参照して、容器80は、容器本体81と、容器本体81の開口82を塞ぐために用いられる蓋体83とからなる。蓋体83は、その上面の中央付近から上方に突出する摘み部84を有し、容器本体81に対して脱着自在に設置できるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような容器は、容器本体に単に蓋体が被さるだけであるため、蓋体が不用意に容器本体から外れる虞があった。
【0006】
尚、蓋体の下面の外縁に、容器本体の上端部の表面と密着する内面を有する凹部を形成し、容器本体の上端部に凹部を被せて、蓋体の凹部の内面と容器本体の上端部の外面との摩擦によって、蓋体が容器本体から不用意に外れるのを防止する容器も既に存在している。しかし、そのような容器の凹部は細く狭く形成されているため、容器の洗浄時において凹部の洗浄がしにくいという問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、洗浄等が容易で蓋体が不用意に外れにくくなる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、可撓性材料よりなり、ソーセージの成形に用いられる容器であって、対向する位置に少なくとも一対配置され、各々の内面の少なくとも一部が上方に対して対向側に狭まるテーパー状の嵌合雌部を有する容器本体と、容器本体に脱着自在に嵌合し、嵌合状態において嵌合雌部の各々の間に配置される少なくとも一対の嵌合雄部を有し、嵌合雄部の各々の対向長さの少なくとも一部が、嵌合雌部の各々の内面における対向長さの最小値より大きく設定された蓋体とを備え、容器本体には、上面に、ソーセージの生地を入れることができる第1の凹部が複数個形成されており、蓋体には、下面に、第1の凹部に対向して重なり合う第2の凹部が複数個形成されており、第2の凹部の各々は、蓋体の上面よりも上方に盛り上がるように凹み、蓋体の上面よりも上方に位置する頂部において貫通孔を有するものである。
【0009】
このように構成すると、嵌合雌部と嵌合雄部とで抜け止め状態となる。又、ソーセージの成形工程において加熱により生地から分離した肉汁や油等の汁気は、貫通孔を通って外部に抜ける。更に、汁気は蓋体の上面に流れ落ちる。
請求項2記載の発明は、可撓性材料よりなり、ソーセージの成形に用いられる容器であって、対向する位置に少なくとも一対配置され、各々の内面の少なくとも一部が上方に対して対向側に狭まるテーパー状の嵌合雌部を有する容器本体と、容器本体に脱着自在に嵌合し、嵌合状態において嵌合雌部の各々の間に配置される少なくとも一対の嵌合雄部を有し、嵌合雄部の各々の対向長さの少なくとも一部が、嵌合雌部の各々の内面における対向長さの最小値より大きく設定された蓋体とを備え、容器本体には、上面に、ソーセージの生地を入れることができる第1の凹部が形成されており、蓋体には、下面に、第1の凹部に対向して重なり合う第2の凹部が形成されており、第2の凹部の縁の全周には、蓋体の下面から外方に突出し、かつ、第1の凹部と重なり合うときに、第1の凹部の縁の内壁の全周に密着状態で沿うようにして第1の凹部の内部に入り込む堰部が形成されており、堰部は、その体積が第2の凹部の容積に等しくなるように設定されているものである。
このように構成すると、嵌合雌部と嵌合雄部とで抜け止め状態となる。又、ソーセージの成形工程において堰部が第1の凹部の内部に完全に入り込んだ際には、生地が第1の凹部及び第2の凹部よりなる空間の全体に充満する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、嵌合雄部は、下方に対して対向側に広がる逆テーパー状に形成されるものである。
【0011】
このように構成すると、嵌合雌部の表面と嵌合雄部の表面とに摩擦が生じる。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、嵌合雌部は、内面の全周に形成されるものである。
【0013】
このように構成すると、抜け止めの効力を発揮する範囲が増加する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、嵌合雄部は、蓋体の側壁部に形成されるものである。
【0015】
このように構成すると、側壁部が嵌合雄部を兼ねる。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、容器本体は、容器本体の上方側に形成され、上方に対して対向側に広がる逆テーパー状に形成された周壁部を有し、周壁部の上端部は、第1の凹部と蓋体に形成された第2の凹部とが重なり合うときに、蓋体の上面の水平位置の上方に位置するように形成されており、蓋体は、外縁全周に形成される側壁部を有し、側壁部の上端部は、蓋体の上面の水平位置の上方に位置するように形成されており、嵌合雄部は、蓋体の側壁部に形成されているものである。
このように構成すると、容器本体の周壁部は、外方に広がる逆テーパー上に形成される。又、汁気が蓋体の上面に溜まる。更に、側壁部が嵌合雄部を兼ねる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、嵌合雌部と嵌合雄部とで抜け止め状態となるので、洗浄等が容易で蓋体が不用意に外れにくくなる。又、ソーセージの成形工程において加熱により生地から分離した肉汁や油等の汁気は、貫通孔を通って外部に抜けるので、食品の成形時に第2の凹部の内圧が不用意に高まりにくくなる。更に、汁気は蓋体の上面に流れ落ちるので、汁気が第2の凹部の側に逆流しにくくなる。
請求項2記載の発明は、嵌合雌部と嵌合雄部とで抜け止め状態となるので、洗浄等が容易で蓋体が不用意に外れにくくなる。又、ソーセージの成形工程において堰部が第1の凹部の内部に完全に入り込んだ際には、生地が第1の凹部及び第2の凹部よりなる空間の全体に充満するので、後に成形されるソーセージの密度や外観が良好なものとなる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、嵌合雌部の表面と嵌合雄部の表面とに摩擦が生じるので、蓋体がより不用意に外れにくくなる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、抜け止めの効力を発揮する範囲が増加するので、蓋体がより不用意に外れにくくなる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、側壁部が嵌合雄部を兼ねるので、嵌合雄部の別途の形成が不要となり、蓋体の形成が容易となる。
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、容器本体の周壁部は、外方に広がる逆テーパー上に形成されるため、生地の加熱工程の終了後、周壁部を持って容器ごと傾けて蓋体の上面に溜まった汁気を捨てやすい。又、汁気が蓋体の上面に溜まるので、容器の周囲及び電子レンジのターンテーブルが汚れにくくなる。更に、側壁部が嵌合雄部を兼ねるので、嵌合雄部の別途の形成が不要となり、蓋体の形成が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の第1の実施の形態による容器の平面図である。
【
図4】
図1で示した容器の容器本体と蓋体とを分離した状態の正面図である。
【
図6】
図4で示したVI−VIラインから見た図である。
【
図7】
図4で示したVII−VIIラインから見た図である。
【
図8】
図4で示したVIII−VIIIラインの端面図である。
【
図9】
図8で示した“X”部分及び“Y”部分の各々の拡大図である。
【
図10】
図8の(1)に示した容器本体に生地を入れた状態を示した端面図である。
【
図11】
図10で示した“Z”部分の拡大図において、蓋体と容器本体とが嵌合する前後の状態を示した模式図である。
【
図12】
図11で示した容器におけるソーセージの成形過程を示した模式図である。
【
図13】従来の容器の外観形状を示す平面図である。
【
図14】
図13に示す容器のXIV−XIVラインの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、この発明の第1の実施の形態による容器の平面図であり、
図2は、
図1で示した容器の正面図であり、
図3は、
図1で示した容器の右側面図であり、
図4は、
図1で示した容器の容器本体と蓋体とを分離した状態の正面図であり、
図5は、
図4で示した容器の右側面図であり、
図6は、
図4で示したVI−VIラインから見た図であり、
図7は、
図4で示したVII−VIIラインから見た図であり、
図8は、
図4で示したVIII−VIIIラインの端面図であり、
図9は、
図8で示した“X”部分及び“Y”部分の各々の拡大図である。
【0022】
図1から
図5及び
図8を参照して、容器1は、ソーセージ(食品)の成形に用いられるものであって、硬度75のシリコン樹脂よりなる容器本体10と蓋体20とからなる。このように構成すると、容器本体10及び蓋体20の形状が安定したものとなるので、後述するソーセージの成形工程において生地の膨張を防ぎやすくなる。又、容器本体10及び蓋体20の耐熱性が向上するので、加熱による食品の形成に対応できるものとなる。
【0023】
蓋体20は、後述するように容器本体10に抜け止め状態に嵌合する。このように構成すると、閉状態から開状態に移行する際において、蓋体20が容器本体10に押し付けられるので、後述するソーセージの成形時に生地が膨張しても蓋体20が不用意に外れにくくなる。又、膨張する生地を圧縮できる。
【0024】
次に、
図6及び
図8を参照して、容器本体10には、上面に、ソーセージの生地を入れることができる、平面視ソーセージ形状の第1の凹部12が10個形成されている。又、
図8を参照して、容器本体10の上面11の側の内面の全周には、上方に対して対向側に狭まるテーパー状の嵌合雌部13が形成されている。尚、嵌合雌部13の対向長さの最小値はW
1に設定されている。このように構成したことによる効果は後述する。
【0025】
次に、
図1から
図3、
図6及び
図8を参照して、容器本体10の上方側には、上方側に対して対向側に広がる逆テーパー状に形成された周壁部14が形成されており、
図8の(2)に示すように、第1の凹部12と蓋体20に形成された第2の凹部22とが重なり合うときに、容器本体10の上端部15が蓋体20の上面24の水平位置の上方に位置するように形成されている。このように構成したことによる効果は後述する。
【0026】
次に、
図7及び
図8を参照して、蓋体20には、下面21に、第1の凹部12に対向して重なり合う、底面視ソーセージ形状の第2の凹部22が10個形成されている。尚、
図4、
図5、
図7、
図8及び
図9を参照して、第2の凹部22の縁26の全周には、下面21から外方に突出し、かつ、第1の凹部12と重なり合うときに、
図8の(2)及び
図9の(2)に示すように第1の凹部12の縁16の内壁17の全周に密着状態で沿うようにして第1の凹部12の内部に入り込む堰部27が形成されている。第2の凹部22の縁26の全周から突出する堰部27の体積は、第2の凹部22の容積に等しくなるように設定されている。このように構成したことによる効果は後述する。尚、重なり合う第1の凹部12及び第2の凹部22により形成される空間の各々の容積は9cm
3に設定されている。
【0027】
第2の凹部22の各々は、
図1、
図7及び
図8に示すように、蓋体20の上面24よりも上方に盛り上がるように凹み、蓋体20の上面24よりも上方に位置する貫通孔28を3つずつ有する。このように構成したことによる効果は後述する。
【0028】
次に、
図4、
図5、
図8及び
図9を参照して、蓋体20の側壁部29は、下方に対して対向側に広がる逆テーパー状の形状を有し、嵌合雄部23として形成されている。このように構成すると、側壁部29が嵌合雄部23を兼ねるので、嵌合雄部23の別途の形成が不要となり、蓋体20の形成が容易となる。
【0029】
尚、嵌合雄部23の対向長さの最大値は、嵌合雌部13の対向長さの最小値のW
1よりも長いW
2に設定されている。このように構成すると、
図8の(2)及び
図9の(2)に示すように、嵌合雌部13と嵌合雄部23とで抜け止め状態となるので、洗浄等が容易になると共に蓋体20が不用意に外れにくくなる。又、嵌合雌部13の表面と嵌合雄部23の表面とに摩擦が生じるので、蓋体20がより不用意に外れにくくなる。更に、上述したように嵌合雌部13は容器本体10の内面の全周に形成されているから、抜け止めの効力を発揮する範囲が増加するので、蓋体20がより不用意に外れにくくなる。
【0030】
図8を参照して、蓋体20の側壁部29の上端部25は、蓋体20の上面の水平位置の上方に位置する。このように構成したことによる効果は後述する。又、
図1から
図5及び
図7を参照して、蓋体20には、上方側に突出する一対の摘み片30a及び30bが形成されている。このように構成すると、摘み片30a及び30bの各々を指で摘んで蓋体20を上方に引っ張り上げることができるので、容器本体10からの蓋体20の取り外しが容易となる。
【0031】
図10は、
図8の(1)に示した容器本体に生地を入れた状態を示した端面図であり、
図11は、
図10で示した“Z”部分の拡大図において、蓋体と容器本体とが嵌合する前後の状態を示した模式図であり、
図12は、
図11で示した容器におけるソーセージの成形過程を示した模式図である。
【0032】
まず、
図10及び
図11の(1)を参照して、第1の凹部12の各々に、ソーセージの生地40を入れる。尚、生地40は豚ひき肉500g、水50g、塩9g、香辛料少々を混ぜ合わせたものよりなる。尚、生地40を第1の凹部12の各々に入れる際には、適度に圧力をかけながら第1の凹部12の各々に詰め込むようにして、第1の凹部12の各々を満たすように入れる。第1の凹部12の各々よりはみ出した生地40は図示しないヘラ等で取り除き、すりきり一杯の状態で生地40が第1の凹部12の各々に入るようにする。
【0033】
次に、
図11の(2)を参照して、蓋体20を容器本体10に嵌合する。すると、上述したように、蓋体20の堰部27が第1の凹部12の縁16の内壁17の全周に密着状態で沿うようにして第1の凹部12の内部に入り込むので、生地40が第2の凹部22の側に押しのけられる。この時、生地40と第2の凹部22の内面との間に存在する空気は、第2の凹部22に形成された貫通孔28を通って外部に抜ける。尚、上述したように、堰部27の体積は第2の凹部22の容積に等しくなるように設定されているから、堰部27が第1の凹部12の内部に完全に入り込んだ際には、生地40が第1の凹部12及び第2の凹部22よりなる空間の全体に充満する。このように構成すると、後に成形されるソーセージの密度や外観が良好なものとなる。
【0034】
次に、
図12の(1)を参照して、電子レンジを用いて容器1ごと生地40を加熱する。加熱は500Wで5分間行う。すると、加熱により生地40が膨張し、図の矢印にて示す力が堰部27にかかり、堰部27が第1の内壁17に押さえつけられる。このように構成すると、堰部27と第1の凹部12の縁16との隙間に生地40が漏れにくくなる。すなわち、成形した食品にバリが生じにくくなるので、成形後の食品の見栄えが良好なものとなる。
【0035】
又、加熱により生地40から分離した肉汁や油等の汁気41は、第2の凹部22に形成された貫通孔28を通って外部に抜ける。このように構成すると、食品の成形時に第2の凹部22の内圧が不用意に高まりにくくなる。
【0036】
尚、上述したように、貫通孔28は蓋体20の上面よりも上方に位置するから、汁気41は蓋体20の上面に流れ落ちる。よって、汁気41が第2の凹部22の側に逆流しにくくなる。又、上述のように、蓋体20の上端部25及び容器本体10の上端部15のいずれもが、第1の凹部12と第2の凹部22とが重なり合う時に、蓋体20の上面の水平位置の上方に位置するように形成されているから、汁気41が蓋体20の上面に溜まる。このように構成すると、容器1の周囲及び電子レンジのターンテーブルが汚れにくくなる。更に、容器本体10の周壁部14は、上述したような外方に広がる逆テーパー状に形成されているから、生地40の加熱工程の終了後、周壁部14を持って容器1ごと傾けて蓋体20の上面に溜まった汁気41を捨てやすい。
【0037】
最後に、
図12の(2)を参照して、蓋体20を容器本体10から外して、ソーセージ50の成形工程を終了する。
【0038】
尚、上記の第1の実施の形態では、容器はソーセージの成形に用いられるものであったが、物の保管等、他の用途に用いられるものであってもよい。
【0039】
又、上記の第1の実施の形態では、嵌合雌部は容器本体の内面の全周に形成されていたが、対向する位置に少なくとも一対配置されていればよい。
【0040】
更に、上記の第1の実施の形態では、嵌合雄部は蓋体の側壁部に形成されていたが、蓋体の他の部分に形成されていてもよい。
【0041】
更に、上記の第1の実施の形態では、嵌合雄部は、下方に対して対向側に広がる逆テーパー状に形成されていたが、その対向長さの少なくとも一部が、嵌合雌部の内面における対向長さの最小値より大きく設定されていればよい。
【0042】
更に、上記の第1の実施の形態では、容器本体及び蓋体はシリコン樹脂よりなるものであったが、可撓性材料よりなるものであればよい。
【符号の説明】
【0043】
1…容器
10…容器本体
13…嵌合雌部
20…蓋体
23…嵌合雄部
29…側壁部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。