特許第6059938号(P6059938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6059938
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】コーヒー抽出バッグ
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20161226BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20161226BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   A47J31/06 130
   B65D81/34 G
   B65D77/00 E
   B65D77/00 J
【請求項の数】13
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-219188(P2012-219188)
(22)【出願日】2012年10月1日
(65)【公開番号】特開2014-68975(P2014-68975A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】599074257
【氏名又は名称】オアシス珈琲有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】石川 高信
(72)【発明者】
【氏名】石川 博美
【審査官】 木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−218712(JP,A)
【文献】 特開2010−042847(JP,A)
【文献】 特開2012−040153(JP,A)
【文献】 特開2000−333609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
B65D 77/00
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焙煎され挽かれたコーヒー豆の粉末(以下、「コーヒー粉末」という)を封入可能で封止されたまま使用される封入バッグと、
前記封入バッグの両側面の外側の少なくとも一方の側の一部もしくは全部を覆う外部バッグと、
前記封入バッグの両側面の一方である第1側面に取り付けられ、折り曲げにより前記第1側面より外側に突出可能な部材であって、飲用容器の縁に取り付け可能な第1爪部を有する第1羽根部材と、
前記第1側面と対向する第2側面に取り付けられ、折り曲げにより前記第2側面より外側に突出可能な部材であって、前記飲用容器の縁に取り付け可能な第2爪部を有する第2羽根部材と、を備え、
前記外部バッグの一部は、前記封入バッグと外部とを連通させる開口部を有し、
前記第1羽根部材は、前記第1側面に、前記外部バッグが設けられている場合には、前記外部バッグの表面に取り付けられ、
前記第2羽根部材は、前記第2側面に、前記外部バッグが設けられている場合には、前記外部バッグの表面に取り付けられ、
前記第1羽根部材および前記第2羽根部材の少なくとも一方が、折り曲げによって前記第1側面および前記第2側面の少なくとも一方の外側に突出することで、前記開口部が広がり、
前記外部バッグが、前記封入バッグの両側面の一方のみの側面に設けられる場合には、前記外部バッグが取り付けられる前記封入バッグの側面(以下、「被覆側面」という)は、前記被覆側面と逆側の側面(以下、「開放側面」という)よりも、高い通水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを有する、コーヒー抽出バッグ。
【請求項2】
前記封入バッグは、微量の前記コーヒー粉末が外部に漏出する程度の通水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを備える不織布で形成され、
前記外部バッグの前記開口部以外の部分は、前記コーヒー粉末が外部に漏出しない通水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを備える不織布で形成される、請求項1記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項3】
前記封入バッグは、300〜360cm/cm/Sの通気性および、13〜20g/mの目付を有し、
前記外部バッグは、20〜27g/mの目付を有する、請求項1又は2記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項4】
前記封入バッグは、略矩形状を有して内部に前記コーヒー粉末を封入可能な袋状の空間を有し、
前記外部バッグは、前記封入バッグの略矩形状から生じる略方形の両側面の少なくとも一方に、開口部以外の部分で固着されている、請求項1から3のいずれか記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項5】
前記開口部は、前記コーヒー抽出バッグが、飲用容器に設置される場合の上方に設けられる、請求項1からのいずれか記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項6】
前記開口部は、一定の開口可能な面積を有する複数の開口空隙の集合による、網目状を有する、請求項1からのいずれか記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項7】
前記網目状の開口部は、前記被覆側面に設けられた前記外部バッグの一部に、段違いに設けられた複数のスリットで形成される、請求項記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項8】
前記外部バッグは、前記開口部以外において、その外周部分を、前記被覆側面の外周に固着させ、前記外部バッグと前記被覆側面との間には、前記開口部を介して外部と繋がる空間が形成される、請求項1からのいずれか記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項9】
前記第1羽根部材および前記第2羽根部材のそれぞれは、前記コーヒー抽出バッグが、飲用容器に設置される場合の上方に設けられる、請求項1からのいずれか記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項10】
前記第1羽根部材の折り曲げによって飲用容器の縁に向けて突出する突出可能な第1突出長は、前記第2羽根部材の折り曲げによって飲用容器の縁に向けて突出する突出可能な第2突出長よりも長い、請求項1から記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項11】
前記第1羽根部材は、前記外部バッグの側面に取り付けられる、請求項10記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項12】
前記第1羽根部材および前記第2羽根部材の少なくとも一方は、突出のために折り曲げ可能な変形部分と、取り付けられている前記封入バッグおよび前記外部バッグのいずれかの側面に一定面積で固着される固着部分とを、有する、請求項1から11のいずれか記載のコーヒー抽出バッグ。
【請求項13】
前記固着部分は、略方形状を有する前記封入バッグおよび前記外部バッグの横方向の長さが、縦方向の長さよりも長い形状を有している、請求項12記載のコーヒー抽出バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焙煎および挽かれたコーヒー豆の粉末を収容して保存および運搬容易としたコーヒー抽出バッグであって、コーヒー豆の粉末がこぼれることがなく、お湯を注いでコーヒーを抽出できる、コーヒー抽出バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国を始め、多くの国おいてコーヒーは人々に愛飲されている。朝食の際、昼食後、休憩時間、眠気防止、談話の際など、様々なシチュエーションで、人々はコーヒーを飲む。ここで、人々に愛飲されているコーヒーには、大きく2種類がある。コーヒーの豆を焙煎して所定の粉末に挽いたものを、種々の方法でドリップして抽出されるコーヒーと、コーヒー抽出物を人工的な粉末としたいわゆるインスタントコーヒーとである。
【0003】
後者のインスタントコーヒーは、改良が進んでいるといえ、その手軽さと簡単さを優先しているので、味としては不十分であることは否めない。様々なシチューエーションの中には、来客や大事な友人とコーヒーを飲むこともあるし、自分の味にこだわってコーヒーを飲むこともある。あるいは、喫茶店や飲食店で、コーヒーを提供する際には、インスタントコーヒーを用いることは、商売上からも信義上からもはばかれることが多い。
【0004】
このため、前者のように、焙煎後に挽かれたコーヒー豆の粉末を種々の手段で、ドリップして、コーヒーを入れることが多く行われる。このようないわゆるレギュラーコーヒーであれば、豆、焙煎、挽き方、入れ方などの要素に依存する以外は、一般的にはコーヒー本来の味が楽しめるので、インスタントコーヒーよりはおいしくなることが多い。ここで、ドリップは、様々なやり方を有している。たとえば、サイフォン式、ペーパーフィルター式、ネルドリップ式などの方法で、コーヒーは抽出される。
【0005】
しかしながら、このようなサイフォン式、ペーパーフィルター式、ネルドリップ式などの方法での抽出は、容器や機器をセットした上で、コーヒー豆を挽くか、挽いてあるコーヒー豆の粉末を、これら容器に投入しなければならない。その上で、コーヒー豆の粉末に当てるようにしてお湯を注ぐ必要がある。これらの手順は、非常な手間であるし、容器や機器(使い捨てとなるペーパーフィルターなども)を、用意する手間や、必要な場所に移動させたり運搬させたりする面倒がある。
【0006】
また、コーヒーは、お中元、お歳暮などの贈答品として使用されることも多いが、受け取った人が、コーヒー豆を挽く道具やコーヒーを抽出する容器や機器(サイフォン、フィルター、ネルなど)を有していない場合には、却って迷惑な贈答品となりかねない。この迷惑を防止するには、コーヒーが贈答品に選ばれる場合には、上述のインスタントコーヒーしか選択できない問題もあった。
【0007】
このように、コーヒーを楽しむシチュエーションは、贈答も含めて様々にあり、抽出のための特別な容器や機器を必要とせず、十分においしく運搬や保管が容易なレギュラーコーヒーが求められていた。このような要望の中で、フィルターペーパーの内部に予め挽いたコーヒー豆を封入しておき、コーヒーカップなどの飲用容器に取り付ける機構を備えたコーヒー抽出バッグが提案されている。
【0008】
これらのコーヒー抽出バッグの多くは、コーヒー豆の粉末を封入しているフィルターの上部部分を開封して、コーヒー豆の粉末を露出させてお湯を、コーヒー豆の粉末に注ぎながら抽出を行うものである。このとき、羽根や爪などの部材が、フィルターに備わっており、これ等が、飲用容器の縁に取り付けられて、フィルターが固定されるようになっていることが多い(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
しかし、特許文献1に開示されるコーヒー抽出バッグは、必ずフィルターの上部を開口する必要があり、内部に封入されているコーヒー豆の粉末が露出することになる。このため、作業を誤って倒したり、フィルター内にお湯を入れすぎたりする場合には、抽出された飲用容器中のコーヒーの中に粉末が混じってしまうこともある。こうなると、この抽出したコーヒーは飲むことが難しくなる。あるいは、コーヒーを抽出後に、当該コーヒー抽出バッグを捨てる場合に、開口部からコーヒー豆の粉末がこぼれてしまって、台所を汚したり、ごみとしても処理が不衛生になったりする問題があった。
【0010】
このような特許文献1に開示される問題を開示するために、フィルター内に封入され、フィルターを開口することなく、封入されているコーヒー豆からフィルターの膜を介してコーヒーを飲用容器に抽出するコーヒー抽出バッグが提案されている(例えば、特許文献2、3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4105185号公報
【特許文献2】特開平8−299183号公報
【特許文献3】実用新案登録第3148480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、特許文献1は、上述の通り、必ずコーヒー豆の粉末が封入されているフィルターの上部部分を開封して、中のコーヒー豆の粉末を露出させる必要を有している。この露出したコーヒー豆の粉末にお湯を注ぐことでレギュラーコーヒーを抽出することができる。しかし、上述の通り、フィルターにお湯を入れすぎたり、抽出バッグを動かしたりしてしまうと、コーヒーの中に粉末がこぼれたり、周囲を汚したりする問題がある。
【0013】
特許文献2,3は、コーヒー豆の粉末が封入されているフィルターが封止されたままでお湯を注いで、コーヒーを抽出するので、特許文献1のようなコーヒー豆の粉末がこぼれる問題を生じさせない。
【0014】
しかしながら、特許文献2に開示されるコーヒーバッグは、コーヒー豆の粉末を封入して封止されたままのバッグ部分を、コーヒーカップなどの飲用容器に投入し、注がれるお湯によって、コーヒーを抽出する。ここで、特許文献2は、紐でフィルター部分を吊っているので、フィルター部分は、飲用容器の底に到達する。当然ながら、コーヒー豆の粉末も、飲用容器の底に到達する。この状態では、お湯を注ぎながら抽出されるコーヒーの中に、フィルター中のコーヒー豆の粉末が浸かってしまうことになる。
【0015】
一般的に、コーヒー豆は、大きく苦味、酸味、うまみ、えぐみなどの味の要素を有している。苦味や酸味は、飲用する人の好みによって、コーヒー豆の種類、焙煎方法などで、バランスを調整しているものである。このため、コーヒーの苦味や酸味が、コーヒーバッグに注がれるお湯によって抽出されることに問題はない。苦味と酸味のバランスにおいても問題ない。もちろん、うまみは言うまでも無い。
【0016】
しかし、えぐみは、ほとんどの人にとって好ましい味の要素ではない。えぐみは、コーヒー豆の粉末が、抽出されたコーヒーに浸かってしまうことで抽出されてしまうものであり、特許文献2に開示されるコーヒーバッグは、このえぐみの抽出を防止できない問題を有していた。
【0017】
このえぐみは、コーヒー豆の粉末の残渣や油脂に基づくものと考えられている。
【0018】
加えて、コーヒー豆の粉末を封入して封止されたフィルターにお湯を注ぐ場合には、上部を開口してお湯を注ぐ特許文献1のコーヒーバッグの場合と異なり、フィルターが十分に膨らまず、封入しているコーヒー豆の粉末全体に、お湯が行き渡りにくい問題もある。
【0019】
特許文献2に開示されるコーヒーバッグは、この問題に対応するために、フィルター内部に炭酸ガスを封入している。特許文献2に開示されるコーヒーバッグにお湯が注がれると、炭酸ガスの拡張や発泡によって、コーヒー豆の粉末全体にお湯が行き渡りやすいようにして、封入しているコーヒー豆の粉末全体を活用することを実現しようとしている。
【0020】
しかしながら、炭酸ガスによる、余分な味の混合が生じてしまったり、風味が損なわれてしまったりする問題を、特許文献2のコーヒーバッグは有していた。
【0021】
また、特許文献2は、炭酸ガスの拡張や発泡によって、短時間でコーヒーを抽出することを目的としている。特許文献2に開示されるコーヒーバッグも、特許文献1のコーヒーバッグと同じく、飲用容器の内部で、抽出されたコーヒー液の内部に、コーヒー豆の粉末が浸かってしまう。このため、特許文献2は、上記のようなえぐみの抽出を防止するために、短時間でのコーヒーの抽出を目的としている(炭酸ガスを用いることによる)。
【0022】
しかしながら、短時間での抽出では、コーヒー豆の有する本来の苦味や酸味、うまみといった好適な味の要素の抽出も不十分となり、十分においしいコーヒーを抽出することができない問題を有していた。すなわち、特許文献2は、コーヒー豆の粉末へお湯を行き渡らせること、えぐみを出させない短時間抽出を企図していることで、コーヒーの本来の味、香りなどを、十分に抽出できない根本的な問題を有している。
【0023】
特許文献3も、特許文献2と同様に、封入しているコーヒー豆の粉末を風刺したフィルターに、吊り下げようの紐を取り付けて、飲用容器内部に投入して注がれるお湯でコーヒーを抽出する。ここで、フィルターのろ過シートが、上部分と下部分とに分離され、下部分のろ過シートの内側には、シートと外部バッグ上部分のろ過シーとの下端とで接合された部となって、この通気性によって、コーヒー豆の粉末からの抽出を促している。コーヒー豆の粉末がバッグであるフィルターの下部分に集中することを利用して、下部分での濾過の容易性を、フィルターの透過性や形状によって、特許文献3は、特許文献2と同様に短時間でコーヒーを抽出することを目的としている。これは、特許文献2と同じく、飲用容器内部で抽出されるコーヒーにコーヒー豆の粉末が使ってしまうことでえぐみが抽出されることを防止することを目的としている。
【0024】
しかしながら、特許文献3も、特許文献2と同様に、短時間抽出によって、本来の苦味、酸味、うまみが十分に抽出されない問題を有している。
【0025】
加えて、糸で吊り下げているだけなので、封入バッグと外部バッグとが十分に広がらず、フィルターであるバッグ内部に封入されているコーヒー豆の粉末に十分に、お湯が行き渡らない問題も生じさせる。この場合にも、特許文献3に開示されるコーヒーバッグは、コーヒー豆が本来有する十分な味を抽出することができない問題を有している。
【0026】
以上のように、従来技術は、つぎのような問題を有していた。
(問題1)フィルターを開口する場合には、コーヒー豆の粉末がこぼれてしまったり、ごみ処理する際に散らかったりする問題を有している。
(問題2)問題1に対応するために、開口させないフィルターを使う場合には、飲用容器で抽出中に、抽出したコーヒーにコーヒー豆の粉末が使ってしまい、えぐみが抽出してしまう問題がある。
(問題3)えぐみの抽出を防止するために、短時間で抽出したり、フィルターを2重構成にしたりする場合には、コーヒー本来の味を十分に抽出できない問題がある。これは、上述の通り、それぞれ様々な問題による。
【0027】
本発明は、これらの問題を解決し、簡素で量産性に優れながらも、コーヒー豆の本来の特性を十分に活用して、えぐみを出すことなく、コーヒー豆の有している本来の味を十二分に抽出できるコーヒー抽出バッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
上記課題に鑑み、本発明のコーヒー抽出バッグは、焙煎され挽かれたコーヒー豆の粉末(以下、「コーヒー粉末」という)を封入可能で封止されたまま使用される封入バッグと、封入バッグの両側面の外側の少なくとも一方の側の一部もしくは全部を覆う外部バッグと、封入バッグの両側面の一方である第1側面に取り付けられ、折り曲げにより第1側面より外側に突出可能な部材であって、飲用容器の縁に取り付け可能な第1爪部を有する第1羽根部材と、第1側面と対向する第2側面に取り付けられ、折り曲げにより第2側面より外側に突出可能な部材であって、飲用容器の縁に取り付け可能な第2爪部を有する第2羽根部材と、を備え、外部バッグの一部は、封入バッグと外部とを連通させる開口部を有し、第1羽根部材は、第1側面に、外部バッグが設けられている場合には、外部バッグの表面に取り付けられ、第2羽根部材は、第2側面に、外部バッグが設けられている場合には、外部バッグの表面に取り付けられ、第1羽根部材および第2羽根部材の少なくとも一方が、折り曲げによって第1側面および第2側面の少なくとも一方の外側に突出することで、開口部が広がり、外部バッグが、封入バッグの両側面の一方のみの側面に設けられる場合には、外部バッグが取り付けられる封入バッグの側面(以下、「被覆側面」という)は、被覆側面と逆側の側面(以下、「開放側面」という)よりも、高い通水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを有する。
【発明の効果】
【0029】
本発明のコーヒー抽出バッグは、コーヒー豆の粉末を封入している第1バッグは、封止されたままであるので、飲用容器に設置してお湯を注いで抽出する場合でも、コーヒー豆の粉末がこぼれる問題がない。もちろん、ごみとして処理する際にも、周囲を汚したりすることなく、簡便な作業で済む。
【0030】
また、本発明のコーヒー抽出バッグは、コーヒー豆の粉末を封入している第1バッグの外側に第2バッグを有し、この第2バッグが、第1バッグに対して開口することで、お湯が、第1バッグに到達する。加えて、コーヒー抽出バッグの側面を広げるように延びる取り付け具によって、この開口および第1バッグが広がる。この結果、お湯が、コーヒー豆の粉末全体に行き渡るようになり、十分な抽出が行える。炭酸ガスなどの不要なものを用いていないので、余分な風味が生じる問題もない。
【0031】
加えて、第1バッグと第2バッグとの構造や組成が異なることで、コーヒーの抽出において、苦味、酸味、うまみが十分に抽出できる。更に、第1バッグに封入されたコーヒー豆の粉末は、所定手順でコーヒー豆の焙煎前に洗浄されているので、そもそも余分なえぐみがコーヒー豆の粉末に生じていない。このため、十分な時間にわたって抽出される(しかも、飲用容器の中で抽出されたコーヒーにコーヒー豆の粉末が浸かった状態を維持して十分な時間で抽出される)ことで、コーヒー豆の有する本来の味が、十二分に抽出される。
【0032】
このような結果、簡便で運搬や保管が容易であるコーヒー抽出バッグでありながら、専門のプロフェッショナルのバリスタが入れたように、十二分においしいコーヒーを、本発明のコーヒー抽出バッグは、提供できる。このため、コーヒーの消費が喚起され、社会経済にとってもプラスメリットを生じさせる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの正面図である。
図2】本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの背面図である。
図3】本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの使用態様図である。
図4】本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの正面図である。
図5】本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの側面図である。
図6】本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの側面図である。
図7】本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの上面図である。
図8】本発明の実施の形態2におけるコーヒー抽出バッグの側面図である。
図9】本発明の実施の形態2におけるコーヒー抽出バッグの上面図である。
図10】本発明の実施の形態2における、コーヒー抽出バッグの正面図である。
図11】本発明の実施の形態3におけるコーヒー抽出バッグ1を製造する際の、最終製品直前の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の第1の発明に係るコーヒー抽出バッグは、焙煎され挽かれたコーヒー豆の粉末(以下、「コーヒー粉末」という)を封入可能で封止されたまま使用される封入バッグと、封入バッグの両側面の外側の少なくとも一方の側の一部もしくは全部を覆う外部バッグと、封入バッグの両側面の一方である第1側面に取り付けられ、折り曲げにより第1側面より外側に突出可能な部材であって、飲用容器の縁に取り付け可能な第1爪部を有する第1羽根部材と、第1側面と対向する第2側面に取り付けられ、折り曲げにより第2側面より外側に突出可能な部材であって、飲用容器の縁に取り付け可能な第2爪部を有する第2羽根部材と、を備え、外部バッグの一部は、封入バッグと外部とを連通させる開口部を有し、第1羽根部材は、第1側面に、外部バッグが設けられている場合には、外部バッグの表面に取り付けられ、第2羽根部材は、第2側面に、外部バッグが設けられている場合には、外部バッグの表面に取り付けられ、第1羽根部材および第2羽根部材の少なくとも一方が、折り曲げによって第1側面および第2側面の少なくとも一方の外側に突出することで、開口部が広がる。
【0035】
この構成により、コーヒー粉末は封止された状態を維持しつつ、その外側の外部バッグとの間の空間にお湯が入り込んでいくことで、コーヒー粉末の蒸らし、均一的な浸透、時間をかけた抽出、コーヒー液へのコーヒー粉末の浸透といったメカニズムが生じる。この結果、コーヒー抽出バッグは、コーヒー本来の苦味、酸味、うまみを十二分に抽出することができる。
【0036】
本発明の第2の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1の発明に加えて、封入バッグは、微量のコーヒー粉末が外部に漏出する程度の通水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを備える不織布で形成され、外部バッグの開口部以外の部分は、コーヒー粉末が外部に漏出しない通水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを備える不織布で形成される。
【0037】
この構成により、封入バッグと外部バッグとの間に形成される空間に、お湯が一定時間留まりやすくなり、コーヒー粉末の蒸らしや抽出が十分にできるようになる。更に、抽出に要する時間が長くなり、よりおいしいコーヒーが抽出される。
【0038】
本発明の第3の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1又は第2の発明に加えて、封入バッグは、300〜360cm/cm/Sの通気性および、13〜20g/mの目付を有し、外部バッグは、20〜27g/mの目付を有する。
【0039】
この構成により、封入バッグと外部バッグとの間に形成される空間に、お湯が一定時間留まりやすくなり、コーヒー粉末の蒸らしや抽出が十分にできるようになる。更に、抽出に要する時間が長くなり、よりおいしいコーヒーが抽出される。
【0040】
本発明の第4の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第3のいずれかの発明に加えて、封入バッグは、略矩形状を有して内部にコーヒー粉末を封入可能な袋状の空間を有し、外部バッグは、封入バッグの略矩形状から生じる略方形の両側面の少なくとも一方に、開口部以外の部分で固着されている。
【0041】
この構成により、封入バッグの側面と外部バッグの内面との間に空間が形成されると共に、封入されているコーヒー粉末が、外にこぼれることはない。
【0042】
本発明の第5の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、外部バッグが、封入バッグの両側面の一方のみの側面に設けられる場合には、外部バッグが取り付けられる封入バッグの側面(以下、「被覆側面」という)は、被覆側面と逆側の側面(以下、「開放側面」という)よりも、高い通水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを有する。
【0043】
この構成により、コーヒー抽出バッグは、直接的に飲用容器に抽出するコーヒー液と外部バッグを介して間接的に飲用容器に抽出するコーヒー液とを、調整できる。
【0044】
本発明の第6の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第5のいずれかの発明に加えて、開口部は、コーヒー抽出バッグが、飲用容器に設置される場合の上方に設けられる。
【0045】
この構成により、お湯を注ぐ際に、開口部からお湯が内部に入っていきやすくなる。
【0046】
本発明の第7の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第7のいずれかの発明に加えて、開口部は、一定の開口可能な面積を有する複数の開口空隙の集合による、網目状を有する。
【0047】
この構成により、開口部は、強度と耐久性を有するようになる。また、お湯を注ぐ際の、コーヒー抽出バッグ全体の強度と耐久性も維持できる。
【0048】
本発明の第8の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第7の発明に加えて、網目状の開口部は、被覆側面に設けられた外部バッグの一部に、段違いに設けられた複数のスリットで形成される。
【0049】
この構成により、網目状の開口部が簡単にできる。
【0050】
本発明の第9の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第8のいずれかの発明に加えて、外部バッグは、開口部以外において、その外周部分を、被覆側面の外周に固着させ、外部バッグと被覆側面との間には、開口部を介して外部と繋がる空間が形成される。
【0051】
この構成により、この空間に一定時間お湯が留まりながらコーヒー液が抽出されるので、コーヒー粉末の蒸らし、コーヒー粉末への均一的なお湯の浸透、時間をかけた抽出が実現される。結果として、コーヒー抽出バッグは、従来よりもおいしいコーヒーを提供できる。
【0052】
本発明の第10の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第9のいずれか記載の発明に加えて、第1羽根部材および第2羽根部材のそれぞれは、コーヒー抽出バッグが、飲用容器に設置される場合の上方に設けられる。
【0053】
この構成により、飲用容器でコーヒー液が抽出される際に、抽出されたコーヒー液に、コーヒー粉末が浸かるようになる。
【0054】
本発明の第11の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第10のいずれかの発明に加えて、第1羽根部材の折り曲げによって飲用容器の縁に向けて突出する突出可能な第1突出長は、第2羽根部材の折り曲げによって飲用容器の縁に向けて突出する突出可能な第2突出長よりも長い。
【0055】
この構成により、開口部が存在する外部バッグが引っ張られる力が相対的に強くなって、開口部がより広がるようになる。
【0056】
本発明の第12の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第11の発明に加えて、第1羽根部材は、外部バッグの側面に取り付けられる。
【0057】
この構成により、開口部がより確実に広がるようになる。
【0058】
本発明の第13の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第12のいずれかの発明に加えて、第1羽根部材および第2羽根部材の少なくとも一方は、突出のために折り曲げ可能な変形部分と、取り付けられている封入バッグおよび外部バッグのいずれかの側面に一定面積で固着される固着部分とを。
【0059】
この構成により、第1羽根部材および第2羽根部材は、封入バッグや外部バッグを、幅方向にも広く引っ張ることになり、全体を大きく膨らませることができる。
【0060】
本発明の第14の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第13の発明に加えて、固着部分は、略方形状を有する封入バッグおよび外部バッグの横方向の長さが、縦方向の長さよりも長い形状を有している。
【0061】
この構成により、第1羽根部材および第2羽根部材は、封入バッグや外部バッグを、幅方向にも広く引っ張ることになり、全体を大きく膨らませることができる。
【0062】
本発明の第15の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第1から第14のいずれかの発明に加えて、コーヒー粉末は、焙煎前のコーヒー生豆の段階で、所定手順で洗浄されており、所定手順は、焙煎前の乾燥コーヒー生豆を攪拌水に水洗いする水洗いステップと、水洗いしたコーヒー生豆を延伸脱水して、コーヒー生豆の水分量を含有水分および表面水分の全量で20%以下にする脱水ステップと、脱水後に乾燥する乾燥ステップと、を、含む。
【0063】
本発明の第16の発明に係るコーヒー抽出バッグでは、第15の発明に加えて、水洗いステップで用いられる洗浄水が20℃以下であり、水洗いステップでの水洗い時間が30分以内であるか、水洗いが複数回に分けて行われる。
【0064】
これらの構成により、コーヒー抽出液にコーヒー粉末が使った状態で、コーヒーの抽出が行われても、えぐみは生じず、苦味、酸味、うまみといった、コーヒー本来の味がよりよく抽出されるようになる。
【0065】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0066】
(実施の形態1)
【0067】
(全外概要)
まず、実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの全体概要を説明する。図1は、本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの正面図である。図2は、本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの背面図である。図1図2は、表裏において一対となる状態を示している。
【0068】
コーヒー抽出バッグ1は、封入バッグ2、外部バッグ3を大きな基本要素として有する。封入バッグ2は、焙煎されて挽かれたコーヒー豆の粉末(以下、「コーヒー粉末」という)を封入可能である。また、封入バッグ2は、封入したコーヒー粉末が、外部にこぼれないように周囲が封止されており、コーヒー粉末を封入したままで、注がれるお湯によって、コーヒー液を抽出できる。
【0069】
外部バッグ3は、封入バッグ2の両側面21、22の少なくとも一方である第1側面21の一部もしくは全部を覆う。図1図2においては、外部バッグ3は、封入バッグ2の一方の側面である第1側面21(すなわち図2に外部バッグ3が示される。図1は、外部バッグ3を備えていない封入バッグ2の一方の側面22が見えた状態となっている)の一部もしくは全部を覆っている。
【0070】
外部バッグ3は、封入バッグ2の両側面の少なくとも一方を覆う要素であるので、袋状というよりも、封入バッグ2の側面を覆う平面状の部材と考えても良い。また、外部バッグ3は、後述するように開口部8を備えており、この開口部8が開口することで、外界と封入バッグ2の外側表面を連通させる(封入バッグ2を露出させる)。このため、外部バッグ3は、その内部にコーヒー粉末を封入することはない。
【0071】
この封入バッグ2と外部バッグ3と、をあわせた全体を、本体部10と称する。本体部10が、コーヒー粉末を封入しつつ、実際のコーヒー液の抽出を行う要素であって、本体部10が、コーヒー抽出バッグ1の全体的のおおまかな外形を形成する。
【0072】
コーヒー抽出バッグ1は、コーヒーカップ、マグカップ、茶碗、紙コップ、樹脂カップ、その他の飲用容器に取り付けられてから、コーヒーの抽出に用いられるので、本体部10を、これら飲用容器に取り付ける要素を必要とする。このため、コーヒー抽出バッグ1は、第1羽根部材6と第2羽根部材7と、を備える。
【0073】
第1羽根部材6は、封入バッグ2の両側面の一方の側面である、封入バッグの第1側面21に取り付けられる。第1羽根部材6は、折り曲げ可能な部材であって、折り曲げによって、第1側面より外側に突出可能である。この突出において、飲用容器の縁に引っ掛け(取り付け)可能な第1爪部61を有している。また、第1羽根部材6を、第1側面21に固定するための、固定領域62も備えている。固定領域62は、接着、溶着、縫いつけなどで、第1側面21に固定されている(固着されている)。
【0074】
また、封入バッグ2の第1側面21には、図2に示されるように、外部バッグ3が取り付けられている。このため、第1羽根部材6は、この外部バッグ3に取り付けられてもよい。
【0075】
同様に、第2羽根部材7は、図1に示されるように、封入バッグ2の両側面の一方であって、第1側面21と逆側の第2側面22に取り付けられる。第2羽根部材7は、折り曲げ可能な部材であって、折り曲げによって、第2側面22より外側に突出可能である。この突出において、飲用容器の縁に引っ掛け(取り付け)可能な第2爪部71を有している。また、第2羽根部材7を、第2側面22に固定するための、固定領域72も備えている。固定領域72は、接着、溶着、縫いつけなどで、第2側面22に固定されている(固着されている)。
【0076】
また、第2羽根部材7は、封入バッグ2の第2側面22の外側に外部バッグ3が取り付けられている場合には、この外部バッグ3に、第2羽部材7が取り付けられてもよい。
【0077】
要は、第1羽根部材6と第2羽根部材7のそれぞれは、本体部10の両側面のそれぞれとなる部材(封入バッグ2の側面であることも、外部バッグ3の側面であることもありえる)であって、本体部10を飲用容器に取り付けやすい高さ、位置に取り付けられればよい。
【0078】
(使用態様)
実施の形態1のコーヒー抽出バッグ1を使用してコーヒーを淹れる使用者は、この第1羽根部材6と第2羽根部材7とを折り曲げて広げ(側面方向に突出させる)、第1爪部61と第2爪部71とを更に折り曲げて、飲用容器の縁に引っ掛ける。図3は、本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの使用態様図である。図3は、コーヒー抽出バッグ1が、コーヒーカップやマグカップのような飲用容器50に取り付けられて、コーヒーが抽出される様子を示している。
【0079】
飲用容器50は、当然ながら、上方に開口を有しており、開口は、飲用に適したように、外周となる縁51を有している。第1羽根部材6と第2羽根部材7とが広げられて側面方向に突出して、縁51に、第1爪部61と第2爪部71のそれぞれが引っ掛けられている。
【0080】
まず、この第1羽根部材6と第2羽根部材7の突出によって、外部バッグ3の少なくとも一部に設けられているスリット8は、広がって開いて開口部9となる。特に、第1爪部61と第2爪部71のそれぞれが、縁51に引っ掛かることで、本体部10は、飲用容器50内部で安定した位置に固定され、この固定に対応するように、封入バッグ2の第1側面21の外側に設けられている外部バッグ3が、引っ張られる。封入バッグ2は、コーヒー粉末を封入して封止している不織布で形成された袋であり、外部バッグ3は、図1図3では、第1側面21のみに取り付けられた不織布による平面部材である。加えて、外部バッグ3は、封入バッグ2の外周の少なくとも一部で固着されているが、全体としては独立している。
【0081】
このため、第1爪部61の引っ掛かりによる第1羽根部材6の突出によって、外部バッグ3は、封入バッグ2に対して外側に広がるようになる。このとき、通常状態では単なる切れ込みでしかなかったスリット8が広がって、開口部9が生じるようになる。この開口部9は、封入バッグ2の外側と外界とを連通させる。すなわち、開口部9を通じて、封入バッグ2であって外部バッグ3に覆われていた面が見えるようになる。更にいえば、開口部9を通じて封入バッグ3に封入されているコーヒー粉末100が、封入バッグ2に封入されている状態が見えるようになる(あくまで、コーヒー粉末100は封入バッグ2に封止されているので、外側には露出しない)。
【0082】
使用者は、この開口部9に向けてお湯を注ぐことで、封入バッグ2の表面であって、コーヒー粉末100にお湯が到達するようになる。封入バッグ2に封止されているコーヒー粉末100は、このお湯によって、コーヒー液を抽出するようになる。このとき、封入バッグ2の第1側面21であって、コーヒー粉末100が封入されている領域の外側には、外部バッグ3が存在している。このため、封入バッグ2は、第1側面21と外部バッグ3とに挟まれた空間にお湯を一定時間溜めることができる(封入バッグ2および外部バッグ3のいずれも不織布であり、透水性や抽出性を有しているので、この空間に入ったお湯は、永遠に留まるわけではなく、外部バッグ3から飲用容器50の内部に抽出していく間だけ、この空間にお湯が留まる。
【0083】
しかしながら、封入バッグ2のみだけの従来技術と異なり、一定時間において、この第1側面21と外部バッグ3との間の空間にお湯が留まるので、封入バッグ2に封入されているコーヒー粉末100は、最初にこのお湯で蒸らされることになる。コーヒーが抽出される際には、コーヒー粉末が最初に一定時間蒸らされることが重要であるが、この開口部9から入ってくるお湯が、第1側面21と外部バッグ3との間の空間に一定時間留まることで、コーヒー粉末が蒸らされやすくなる。
【0084】
更にお湯が注がれていくと、封入バッグ2に封入されているコーヒー粉末100からコーヒー液110が抽出され、透水性や抽出性を有する不織布で形成される封入バッグ2から、コーヒー液110が飲用容器50内部に抽出される。第2側面22からは、直接的にコーヒー液110が飲用容器50に抽出され、第1側面21からは、不織布で形成される外部バッグ3を介して、間接的にコーヒー液110が飲用容器50に抽出される。
このように、封入バッグ2に封入されているコーヒー粉末100の全てが、封入バッグ2から直接的にコーヒー液を抽出せずに、外部バッグ3によって一定時間をかけることになって抽出することになる。この結果、コーヒー液110は、よりおいしく抽出される。
【0085】
また、抽出されたコーヒー液110は、飲用容器50の底から段々と溜まっていく。ここで、図3より明らかなように、第1爪部61と第2爪部71とは、本体部10の底部が、飲用容器50の底部に近接するような位置に設けられている。このため、飲用容器50に装着された本体部10の下側は、飲用容器50の下側に位置するようになる。
【0086】
封入バッグ2は、コーヒー粉末100を封入しているが、単純に袋に入っている状態であるので、飲用容器50に装着されると、コーヒー粉末100は、封入バッグ2の下側に溜まる。すなわち、コーヒー抽出バッグ1でコーヒーを淹れると、飲用容器50の内部で抽出したコーヒー液110の中に、封入バッグ2に封入されているコーヒー粉末100が浸かるようになる。
【0087】
一般的には、コーヒー抽出液110にコーヒー粉末100が浸かるように、コーヒーが淹れられることは、えぐみが出やすくなって好ましくないと考えられている。しかし、後述するように実施の形態1のコーヒー抽出バッグ1に用いられるコーヒー粉末100は、本発明者が既に特許出願して登録している特許(特許第3022885号)に開示される所定の手法で、洗浄された後で、焙煎、粉末化が行われている。このため、このようなえぐみ成分が抽出されなくなっている。
【0088】
逆に、コーヒー抽出液110にコーヒー粉末100が、一定時間浸かることが不可避となることで、コーヒー抽出液110に、コーヒー粉末100の持つ本来の苦味、酸味、うまみが十分に抽出される。すなわち、通常のペーパーフィルター、ネルドリップなどよりも、ずっとコーヒー本来の味を抽出することができる。しかも、従来技術のようにえぐみを生じさせる心配もない。
【0089】
以上のように、上述のように、封入バッグ2の第1側面21と外部バッグ3との間の空間にお湯が溜まることで、(1)自動的にコーヒー粉末100が蒸らされるようになる、(2)抽出に時間を要するようになる、(3)抽出されたコーヒー液110に、コーヒー粉末100が浸かるようになる、(4)コーヒー豆自体が洗浄されてえぐみの原因が最初から除去されている、ことが相まって、実施の形態1のコーヒー抽出バッグ1は、従来技術の問題点を解決しつつ、よりおいしいコーヒーを手軽に作ることができる。これら(1)〜(4)が、実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグ1によるおいしいコーヒーの抽出のメカニズムである。
【0090】
当然ながら、コーヒー粉末100は、封止された封入バッグ2に封入されたままであるので、飲用容器50にコーヒー粉末100がこぼれることもない。使用後のコーヒー抽出バッグ1の廃棄においても、コーヒー粉末100が散らばったりすることがなく、衛生的かつ環境にもよい。
【0091】
次に、各部の詳細と個々の処理の詳細を説明する。
【0092】
(封入バッグ)
封入バッグ2は、上述の通り、コーヒー粉末100を封入する。不織布で形成されており、コーヒー粉末100が封入された後で、外周が封止される。この封止によって、コーヒー粉末100が外部に漏れることがない。
【0093】
封入バッグ2は、種々の形状を有していればよいが、方形、特にやや縦長の長方形を有していることが適当である。製造、保管、輸送が容易であり、使用時に飲用容器50への装着も容易となるからである。もちろん、封入バッグ2は、内部にコーヒー粉末100を封入する必要があるので、袋状となって外周が封止されていることが好ましい。
【0094】
また、封入バッグ2は、封入しているコーヒー粉末110が外部に漏出しない程度での透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを備える不織布で形成される。但し、コーヒー粉末からの抽出液が漏出する程度の透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを備える不織布で形成される。ここで、封入バッグ2は、300〜360cm/cm/Sの通気性および、13〜20g/mの目付を有することが好適である。
【0095】
これらの範囲の透水性などを有することで、最適な時間で、コーヒー液が抽出するようになるからである。
【0096】
また、封入バッグ2は、第1側面21および第2側面22の少なくとも一方に、外部バッグ3を備える。この外部バッグ3と第1側面21および第2側面22の少なくとも一方との間に、広がったり狭まったりする空間を有することが適当である。封入バッグ2は、この外部バッグ3と共に本体部10を形成し、外部バッグ3が取り付けられている側面では、二重構造となっている。
【0097】
ここで、外部バッグ3が、第1側面21および第2側面22のいずれか一方のみに設けられる場合には、外部バッグ3が設けられる側の透水性、通気性および抽出性が、外部バッグ3が設けられない側の透水性、通気性および抽出性よりも高いことも好適である。図1図3では、第1側面21に外部バッグ3が設けられているので、第1側面21の透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つは、第2側面22の透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つよりも高いことが適当である。
【0098】
第1側面21からは外部バッグ3を介した間接的な抽出、第2側面22からは直接的な抽出が行われるので、この抽出速度(抽出時間)を合わせることで、よりバランスよく、コーヒー液110が抽出されるようになるからである。
【0099】
(外部バッグ)
外部バッグ3は、封入バッグ2の両側面の少なくとも一方の側面である第1側面21および第2側面22の少なくとも一方の外側に設けられる。外部バッグ3は、袋状というよりも、平面状の部材であり、封入バッグ2の外周に固着されて、封入バッグ2の第1側面21および第2側面22の少なくとも一方の外側に取り付けられた平面体であると把握されてもよい。
【0100】
外部バッグ3は、開口部9以外においては、コーヒー粉末が外部に漏出しないと透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つを備える不織布で形成される。また、外部バッグ3は、20〜27g/mの目付を有することが好適である。外部バッグ3の透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つが、封入バッグ2の透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つよりも低いことで、本体部10の強度や耐久性の向上に加えて、コーヒー液110の抽出時のバランスも図られるからである。
【0101】
また、外部バッグ3は、封入バッグ2の外形に合わせた形状を有していることが好ましい。すなわち、方形や略方形あるいは長方形であることが好ましく、開口部9となるスリット8以外の外周で、封入バッグ2の外周と固着されている。
【0102】
これらの結果、本体部10は、矩形状となる。
【0103】
外部バッグ3は、その一部に複数のスリット8を設ける。図2には、外部バッグ3の上方に複数のスリット8が設けられていることが示されている。複数のスリット8は、階段状や段違いに設けられることが好ましい。このように階段状や段違いに設けられることで、第1羽根部材6の突出によってスリット8が開いて生じる開口部9は、網状となるからである。この網状となっている状態は図3に示される。
【0104】
図4は、本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの正面図である。図4は、第1羽根部材6が引っ張られて突出することで、複数のスリット8が開いて、網状の開口部9となっている状態を示している。このように、開口部9が、一つの大きな開口部ではなく、ある大きさの複数の網状の開口部9となることで、外部バッグ3と封入バッグ2との接続における耐久性と強度が高まる。
【0105】
特に、お湯は、封入バッグ2の第1側面21と外部バッグ3との間の空間に溜まるので、開口部9の強度が十分でないと、外部バッグ3が封入バッグ2から外れてしまったり破れてしまったりする。図4に示されるように、網状の開口部9であることで強度が十分となり、このような問題を生じさせることもなく、上述で説明したメカニズムによっておいしいコーヒーが抽出される。
【0106】
また、開口部9となる複数のスリット8は、飲用容器50に設置される場合の本体部10の(外部バッグ3の)上方に設けられることが好適である。コーヒー抽出バッグ1は、飲用容器50に設置されて、お湯が注がれることで、コーヒーを抽出する。このため、開口部9は、飲用容器50の上方であってお湯を注ぎやすい位置において、開口することが好ましい。このため、複数のスリット8も外部バッグ3の上方に設けられることが好ましい。
【0107】
また、複数のスリット8は、第1羽根部材6の上に設けられることも好ましい。第1羽根部材6が引き出されて引っ張られる力で、スリット8は広がって図4のような網状の開口部9を生じさせる。このため、スリット8が、第1羽根部材6の下にあると、広がりにくかったり、広がっても、お湯を注ぎにくかったりする。これに対して、第1羽根部材6の上に複数のスリット8が設けられることで、これらの問題が解決されて、十分な面積で、開口部9が網状(網目状)に形成される。
【0108】
このように、開口部9は、複数のスリット8の開口によって形成されるので、複数の開口空隙の集合体である網目状のものであるとみなしてもよい。
【0109】
(開口部の広がり)
開口部9は、複数のスリット8の開口によって生じる。これは、上述の通り、第1羽根部材6および第2羽根部材7が、側面方向に引っ張られて突出することで、生じる。このとき、第1羽根部材6および第2羽根部材7の突出両が大きくなるほど、開口部9の広がりが大きくなる。図5図6を用いて、この開口部9の広がりを説明する。
【0110】
図5図6は、本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの側面図である。図5は、第1羽根部材6および第2羽根部材7のそれぞれが、ある程度引っ張られた状態である。本体部10が側面に沿った方向にやや広がっている様子が示されている。本体部10が広がると、封入バッグ2が広がる。加えて、側面21に取り付けられている外部バッグ3も、広がる。この外部バッグ3の広がりに合わせて、スリット8が広がり始めて、開口部9が開き始める。開口部9は、この図5の段階では、広がり方がまだ小さい。すなわち開口部9の開口面積は、まだ小さい状態である。
【0111】
また、封入バッグ2内部には、コーヒー粉末100が封入されているので、封入バッグ2には、コーヒー粉末100が封入されている。このため、封入バッグ2の広がりに合わせて、コーヒー粉末100は、封入バッグ2の下方に落ちてくる。このときの図5の状態を上から見ると、図7のようになる。
【0112】
図7は、本発明の実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグの上面図である。開口部9が開きだして、開口部9によって、内部の封入バッグ2と外界とが連通する状態が示されている。また、第1側面21と外部バッグ3の内側との間に生じる空間35は、徐々に広がっている。但し、まだ、図6で説明するように、開口部9の開口や空間35の広がりは十分ではない。但し、コーヒーカップなどの飲用容器50が小さくて、この程度しか第1羽根部材6と第2羽根部材7を突出させることができない場合には、この程度でも問題なく、コーヒーは、抽出される。
【0113】
次に、更に第1羽根部材6および第2羽根部材7が引っ張られると、図6のように、本体部10が更に広がる。本体部10を形成する封入バッグ2と外部バッグ3は、柔軟性のある不織布で形成されているので、引っ張りによって広がりが大きくなるからである。
【0114】
この広がりによって、図6では、図5に比べて、開口部9の広がりが更に広がっている。すなわち、開口部9は、図6の段階では、より開口面積を大きくできる。これにより、お湯を注ぎやすくなる。また、第1側面21と外部バッグ3との間の空間35も大きくなる。そうして、注がれるお湯であって、一定時間留まりながら、コーヒー粉末100を蒸らしつつ抽出させるお湯の量も、多くなる。この結果、コーヒー粉末100からのコーヒー液110の抽出がよりやりやすくなる。
【0115】
このように、第1羽根部材6と第2羽根部材7とが引っ張られて突出することで、開口部9が広がり、封入バッグ2や空間35の体積も大きくなるので、よりコーヒー粉末に対してお湯が均一に浸透する。この浸透によって、コーヒー粉末100の均一的な蒸らしおよびコーヒー液110の抽出が実現される。この結果、よりおいしいコーヒーが得られる。
【0116】
このため、第1羽根部材6と第2羽根部材7の突出両となる折り曲げ後の長さは、一般的に用いられるコーヒーカップやマグカップの平均的な直径を考慮して決められることが好ましい。あるいは、第1羽根部材6および第2羽根部材7の折り曲げ位置が、複数の箇所に設けられて、コーヒーカップやマグカップなどの飲用容器50の直径の違いに対応しつつ、十分に開口部9や本体部10を拡げるようにしてもよい。
【0117】
(第1羽根部材および第2羽根部材)
開口部9を開くだけでなく、飲用容器50に、本体部10を装着するために、第1羽根部材6および第2羽根部材7が備えられる。本体部10の一方の側面となる第1側面21もしくは外部バッグ3の側面に第1羽根部材6が取り付けられ、本体部10の他方の側面となる第2側面22もしくは外部バッグ3の側面に第2羽部材7が取り付けられる。
【0118】
第1羽根部材6は、図2に示されるように、外部バッグ3の側面に固着される固着部分62と、折り曲げて突出する変形部分63を有している。更に、変形部分63の一部が、更に折り曲げられて、第1爪部61を形成する。図3から明らかな通り、第1爪部61は、下方に折り曲げられて、飲用容器50の縁が引っ掛かるようになっている。
【0119】
ここで、第1爪部61は、図2図3に示されるように、所定長さを有する線状の部材であるが、これに限られるものではない。
【0120】
第2羽根部材7は、図1に示されるように、第2側面22に固着される固着部分72と、折り曲げて突出する変形部分73を有している。更に、変形部分73の一部が、第2爪部71を形成する。図3から明らかな通り、第2爪部71は、下方に折り曲げられて、飲用容器50の縁が引っ掛かるようになっている。
【0121】
第2爪部71は、図1図3などに示されるように、2箇所の引っ掛けを有したハの字的な形状を有しているが、これに限られるものではなく、第1爪部61と同じような形状を有してもよい。あるいは、更に異なる形状を有していてもよい。
【0122】
第1羽根部材6および第2羽根部材7のそれぞれは、十分な面積の固着部分62および72を有していることで、第1羽根部材6および第2羽根部材7の取り付け強度が十分となる。加えて、変形部分63および73によって外部バッグ3の側面や第2側面22が引っ張られる際に、本体部10の横方向に広く引っ張られるので、本体部10(封入バッグ2および外部バッグ3および空間35)が、効率的かつ広く拡げられる。
【0123】
また、固着部分62、72のそれぞれは、略方形を有することが好適である。略方形を有することで、本体部10の側面への取り付け強度が向上する。また、略方形である場合に、固着部分62、72のそれぞれは、本体部10の横方向に沿った長さが、縦方向に沿った長さよりも、長いことが好適である。この形状であることで、上述の通り、本体部10、封入バッグ2、外部バッグ3、開口部9および空間35を、より3次元的に大きく拡げることができるようになる。
【0124】
また、第1羽根部材6と第2羽根部材7の、形状および第1爪部61および第2爪部71のそれぞれの形状が異なることで、開口部9となる側が、使用者に分かりやすいメリットが生じる。また、飲用容器50への固定力も高まる。
【0125】
図5図6などに示されるように、第1羽根部材6が第2羽根部材7よりも突出両が大きいことが好適である。第1羽根部材6は、外部バッグ3の側面に取り付けられるので、第1羽根部材6の側面方向への突出(引っ張り)は、スリット8を拡げて、開口部9をより大きく広げることを実現できるからである。このため、第1羽根部材6の長さと第2羽根部材7の長さがアンバランスであり、第1羽根部材6の長さが第2羽根部材7よりも長いことが適当である。
【0126】
もちろん、開口部9を生じさせる外部バッグ3に取り付けられるのが、第2羽部材7である場合には、第2羽根部材7の長さが、第1羽根部材6よりも長いことが適当である。ここでの長さとは、折り曲げによって突出する変形部分63および73が、折り曲げによって突出可能な長さのことである。
【0127】
第1羽根部材6および第2羽根部材7の、固着部分62、72、変形部分63、73、第1爪部61、第2爪部71のそれぞれが、上記のような特徴を有することで、開口部9の広がりや、本体部10全体の広がりが促され、封入バッグ2に封入されているコーヒー粉末へのお湯の均一的な広がりが促される。結果として、コーヒー粉末全体から、十分なコーヒー本来の苦味、酸味、うまみが抽出されるようになる。
【0128】
以上のように、実施の形態1におけるコーヒー抽出バッグ1は、従来技術の問題を解決し、上述した(1)〜(4)のメカニズムによって、手軽かつ簡単においしいコーヒーを抽出することができる。当然ながら、コーヒー粉末がこぼれたり、ごみ処理時の手間が掛かったりすることも防止できる。保管や輸送も容易となり、普及が促進されれば、コーヒー消費量の増加という産業上の効果ももたらす。
【0129】
なお、基本的には、封入バッグ2の表面の目は、外部バッグ3の表面の目よりも粗くなっており、コーヒー液の抽出が容易である。
【0130】
(実施の形態2)
【0131】
次に実施の形態2について説明する。実施の形態2では、封入バッグ2の両側面に、外部バッグ3が設けられるコーヒー抽出バッグについて説明する。図8は、本発明の実施の形態2におけるコーヒー抽出バッグの側面図である。図9は、本発明の実施の形態2におけるコーヒー抽出バッグの上面図である。図8図9の2つを用いて、実施の形態2について説明する。
【0132】
図8図9に示されるコーヒー抽出バッグ1では、内部にコーヒー粉末100を封入して封止する封入バッグ2の両側面に、外部バッグ3が設けられている。すなわち、封入バッグ2の第1側面21には、外部バッグ3Aが設けられ、封入バッグ2の第2側面22には、外部バッグ3Bが設けられる。もちろん、外部バッグ3Aおよび外部バッグ3Bの上方には、実施の形態1で説明したような、階段状や段違いの複数のスリット8を備えている。
【0133】
この、外部バッグ3Aに備わるスリット8は、第1羽根部材6の折り曲げによる突出(引っ張り)によって、開口し、開口部9Aを形成する。もちろん、スリット8が開いて開口部9Aが形成されると同時に、封入バッグ2の第1側面21と外部バッグ3Aの内面との間の空間(もちろん、コーヒー粉末100は、入っていない)35Aも広がっていく。
【0134】
同様に、実施の形態2のコーヒー抽出バッグ1は、実施の形態1のコーヒー抽出バッグ1と異なり、封入バッグ2の第2側面22にも、外部バッグ3Bが設けられている。図10に示されるように、外部バッグ3Bにも階段状や段違いの複数のスリット8が備わっている。図10は、本発明の実施の形態2における、コーヒー抽出バッグの正面図である。
【0135】
この外部バッグ3Bに備わるスリット8は、第2羽根部材7の折り曲げによる突出(引っ張り)によって、開口し、開口部9Bを形成する。もちろん、スリット8が開いて開口部9Bが形成されると同時に、封入バッグ2の第2側面22と外部バッグ3Bの内面との間の空間(もちろん、コーヒー粉末100は、入っていない)35Bも広がっていく。
【0136】
このように両方に外部バッグ3A,3Bを備えることは、コーヒー粉末100を封入している封入バッグ2の両側面に、空間35A、空間35Bを形成できる。もちろん、これらの空間35Aに対しては、開口部9Aが繋がり、空間35Bに対しては、開口部9Bが繋がる。
【0137】
図9に示される上面図のように、封入バッグ2の両側に、お湯を注いで、封入バッグ2に到達させることのできる開口部9A、9Bが封入バッグ2の両側に設けられる。同様に空間35Aと35Bも、封入バッグ2の両側に設けられる。このような形態となることで、お湯を注いだ際に、封入バッグ2の両側の空間35Aと空間35Bとに溜まることになる。この結果、封入バッグ2に封入されるコーヒー粉末100の両側からお湯が当たり、蒸らしおよび抽出が均一によりなりやすい。もちろん、コーヒー粉末100全体にお湯が両側から浸透していくので、コーヒー液の抽出も、十分となりやすい。
【0138】
また、この場合には、封入バッグ2の第1側面および第2側面の透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つが、外部バッグ3Aおよび外部バッグ3Bの透水性、通気性および抽出性の少なくとも一つよりも、高いことが好ましい。この結果、封入バッグ2からコーヒー液110が抽出しながら、空間35A、35B、更には外部バッグ3Aおよび3Bを通じて、飲用容器50に抽出されていく。このとき、図3に示されるように、抽出されたコーヒー液110に、コーヒー粉末100が浸かることになって、コーヒー本来の苦味、酸味、うまみが十分に抽出される。もちろん、えぐみは出ないのは説明の通りである。
【0139】
このように、封入バッグ2の両側面に、外部バッグ3A,3Bおよび開口部9A,9Bが形成されることは、コーヒーの抽出において、より高いメリットを提示できる。
【0140】
以上のように、実施の形態2のコーヒー抽出バッグ1は、よりおいしいコーヒーを抽出でき、コーヒーの楽しみを更に増すことができる。
【0141】
(実施の形態3)
【0142】
次に実施の形態3について説明する。実施の形態3では、コーヒー抽出バッグ1の製造について説明する。図11は、本発明の実施の形態3におけるコーヒー抽出バッグ1を製造する際の、最終製品直前の分解図である。コーヒー抽出バッグ1は、不織布で形成される封入バッグ2と外部バッグ3(これらは本体部10を成す)と、紙、樹脂、ビニールなどの素材で形成される第1羽根部材6と第2羽根部材7とで、形成される。図11に示されるように、これらの要素が形成されることで、コーヒー抽出バッグ1が、製造される直前の状態となる。
【0143】
図11では、コーヒー抽出バッグ1が開かれた状態が示されている。この状態から中央線120で折り曲げられて、外周が固着されることで、最終的なコーヒー抽出バッグ1が製造される。もちろん固着される際に、封入バッグ2の内部にコーヒー粉末を投入する。
【0144】
固着は、接着、溶着、超音波溶着、レーザー溶着、縫い合わせなど、種々の手段で実現されればよい。外周が固着されることで、全体として袋状となる本体部10が形成され、その側面に、第1羽根部材6と第2羽根部材7が取り付けられた図1図2に示されるコーヒー抽出バッグ1が形成される。
【0145】
また大きな一枚の不織布において、図11に示される複数の部材が形成されて、切断、折り曲げ、コーヒー粉末封入、固着の順序で、一つ一つのコーヒー抽出バッグ1が製造されてもよい。製造工程のやりやすさ、工場の製造ラインの特性、コストなどを検討して、種々の方法で製造されればよい。
【0146】
また、図11では図示していないが、封入バッグ2は、外部バッグ3と別の不織布が用いられる側面(例えば第1側面21)を有することもあるので、その場合には、図11に示される部材の内側に、この第1側面21に対応する部材を挟んでそれぞれに必要な固着がなされればよい。相することで、図1、2に示されるコーヒー抽出バッグ1が製造される。
【0147】
(実施の形態4)
【0148】
次に実施の形態4について説明する。
【0149】
実施の形態4では、コーヒー豆が予め洗浄されていることについて説明する。実施の形態1で説明したように、本発明の発明者による特許第3022885号の手法によって、焙煎前に、コーヒー豆は、洗浄されている。
【0150】
すなわち、焙煎前のコーヒー生豆の段階で、所定手順で洗浄されており、所定手順は、次のステップを含む。
【0151】
(ステップ1)焙煎前の乾燥コーヒー生豆を攪拌水に水洗いする水洗いステップ。
(ステップ2)水洗いしたコーヒー生豆を延伸脱水して、コーヒー生豆の水分量を含有水分および表面水分の全量で20%以下にする脱水ステップ。
(ステップ3)脱水後に乾燥する乾燥ステップ。
【0152】
加えて、所定手順は、次のステップを更に含んでもよい。
(ステップ4)水洗いステップで用いられる洗浄水が20℃以下である。
(ステップ5)水洗いステップでの水洗い時間が30分以内であるか、水洗いが複数回に分けて行われる。
【0153】
このような、所定手順でコーヒー生豆が洗浄されることで、コーヒー豆の有するえぐみの原因が取り除かれ、図3に示されるように、抽出されるコーヒー液110に、コーヒー粉末100が使った状態で、飲用容器50でコーヒーが抽出される場合でも、えぐみは生じずに、苦味、酸味、うまみといったコーヒー本来の味のみが十分に抽出される。特に、浸かることで、抽出時間が相対的に長くなり、実施の形態1〜4のコーヒー抽出バッグ1は、よりおいしいコーヒーを提供できる。
【0154】
なお、洗浄のより詳細は、上述の特許第3022885号の手法に開示されている。
【0155】
なお、実施の形態1〜4で説明されたコーヒー抽出バッグ1は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0156】
1 コーヒー抽出バッグ
2 封入バッグ
3 外部バッグ
6 第1羽根部材
61 第1爪部
62 固着部
63 変形部
7 第2羽根部材
71 第2爪部
72 固着部
73 変形部
8 スリット
9 開口部
50 飲用容器
51 縁
100 コーヒー粉末
110 コーヒー抽出液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11