特許第6059974号(P6059974)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6059974-無停電電源装置 図000002
  • 特許6059974-無停電電源装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6059974
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   H02J9/06 120
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-268467(P2012-268467)
(22)【出願日】2012年12月7日
(65)【公開番号】特開2014-117038(P2014-117038A)
(43)【公開日】2014年6月26日
【審査請求日】2015年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】木村 友孝
(72)【発明者】
【氏名】野川 智章
【審査官】 馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−269699(JP,A)
【文献】 特開平7−154976(JP,A)
【文献】 特開2011−229259(JP,A)
【文献】 特開2010−206899(JP,A)
【文献】 特開2007−181312(JP,A)
【文献】 特開2005−136211(JP,A)
【文献】 特開平11−299289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収納された無停電電源装置であって、
交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記コンバータの出力する直流電力の一部を蓄電する蓄電池と、
前記コンバータまたは蓄電池の出力する直流電力を負荷に供給する交流電力に変換するインバータと、
前記筐体内を冷却する冷却ファンと、
前記コンバータ及び前記インバータの少なくとも一方の温度を検出する温度検出手段と、
前記温度検出手段で検出した結果に基づいて前記冷却ファンによる冷却を制御するファン制御手段と、
前記コンバータに入力される交流電力と前記インバータから出力される交流電力を切換えて、前記冷却ファンを駆動する電源として、通常時に、前記コンバータに入力される交流電力を選択し、停電時に、前記インバータから出力される交流電力を選択する電源選択手段と
を具備したことを特徴とする無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、交流電力をコンバータにより直流電力に変換し、変換した直流電力をインバータにより交流電力に変換して負荷に供給する無停電電源装置がある。このような無停電電源装置を盤内に収納し、冷却ファンによる強制風冷を行なう無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)が知られている。さらに同種の無停電電源装置で、負荷に供給する電流に比例して冷却ファンへの供給電力を可変することで、運転効率を向上させるようにした技術が知られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−074940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載された技術は、負荷に供給される電流値に応じて冷却ファンの運転状態を可変している。したがって、負荷の運転状況が同じでも、無停電電源装置自体が設置されている場所の温度環境が異なる場合など、実際に冷却動作が必要な度合いが必ずしも考慮されているとは言い難い。
【0005】
本発明の目的は前記実情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、無駄な電力の消費を避け、必要に応じた冷却動作を実現することが可能な無停電電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る無停電電源装置は、筐体内に収納された無停電電源装置であって、交流電力を直流電力に変換するコンバータと、前記コンバータの出力する直流電力の一部を蓄電する蓄電池と、前記コンバータまたは蓄電池の出力する直流電力を負荷に供給する交流電力に変換するインバータと、前記筐体内を冷却する冷却ファンと、前記コンバータ及び前記インバータの少なくとも一方の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段で検出した結果に基づいて前記冷却ファンによる冷却を制御するファン制御手段と、前記コンバータに入力される交流電力と前記インバータから出力される交流電力を切換えて、前記冷却ファンを駆動する電源として、通常時に、前記コンバータに入力される交流電力を選択し、停電時に、前記インバータから出力される交流電力を選択する電源選択手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無駄な電力の消費を避け、必要に応じた冷却動作を実現することが可能な無停電電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係る無停電電源装置の回路構成を示すブロック図。
図2】第2の実施形態に係る無停電電源装置の回路構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る無停電電源装置(UPS)10の機能回路の構成を示すブロック図である。無停電電源装置10は筐体内に設けられた盤形式の装置である。バイパス入力電源11からの交流電源が、無停電電源装置10内の無瞬断切換回路12に直接与えられる。
【0011】
一方、交流入力電源13からの交流電源が、無停電電源装置10でコンバータ14により直流に整流される。コンバータ14の出力する直流電源は、インバータ15及び蓄電池16に与えられる。インバータ15は、コンバータ14または蓄電池16からの直流の電力を再度交流の電力に変換した上で、前記無瞬断切換回路12に与える。
【0012】
前記無瞬断切換回路12は、詳細は図示しないが、例えば半導体スイッチとコンタクタとを含み、バイパス入力電源11からの交流電力、またはインバータ15の出力する交流電力を選択的に無瞬断に切換えて、後段の図示しない負荷に出力する。
【0013】
具体的には、この無停電電源装置10の故障時、すなわちコンバータ14またはインバータ15の故障時に、バイパス入力電源11からの電力を選択して切換え、後段の負荷に出力する。
【0014】
またコンバータ14に入力される電力、及びインバータ15の出力する電力は、電源切換回路17にも与えられる。この電源切換回路17は、通常時には交流入力電源13からの電力を、停電時はインバータ15の出力する電力を切換えて選択し、可変速駆動回路18に与える。
【0015】
この可変速駆動回路18にはまた、無停電電源装置10の筐体の吸気口近傍に設置された吸気温度センサ19、前記コンバータ14のヒートシンクに設置された温度センサ20、及び前記インバータ15のヒートシンクに設置された温度センサ21からの各検出信号が纏めて入力される。
【0016】
可変速駆動回路18は、電源切換回路17から与えられる電力を用い、前記各センサ19〜21での検出信号に応じた回転速度で強制空冷用ファン22を駆動し、無停電電源装置10の筐体内を冷却する。
【0017】
次に前記実施形態の動作を説明する。
停電が生じていない通常時、交流入力電源13からの交流電力がコンバータ14で直流電力に変換され、蓄電池16を充電する一方で、インバータ15で再度交流化され、無瞬断切換回路12で選択されて後段の負荷に供給される。
【0018】
このとき電源切換回路17は、コンバータ14に入力される交流電力を選択して可変速駆動回路18に動作電力として供給する。
可変速駆動回路18は、吸気温度センサ19での検出温度により無停電電源装置10の筐体内で加熱されていない吸気の温度を、コンバータヒートシンク温度センサ20、及びインバータヒートシンク温度センサ21からの各検出温度により無停電電源装置10の筐体内の発熱源となるコンバータ14及びインバータ15の各温度を直接認識することで、必要に応じた回転速度で強制空冷用ファン22を駆動し、無停電電源装置10の筐体内を換気して冷却させる。
【0019】
停電が生じた非常時には、それまで蓄電池16に充電されていた直流電力がインバータ15で交流化され、無瞬断切換回路12で選択されて後段の負荷に供給される。
【0020】
このとき電源切換回路17は、インバータ15の出力する交流電力を選択して可変速駆動回路18に動作電力として供給する。
【0021】
可変速駆動回路18は、吸気温度センサ19での検出温度により無停電電源装置10の筐体内で加熱されていない吸気の温度を、コンバータヒートシンク温度センサ20、及びインバータヒートシンク温度センサ21からの各検出温度により無停電電源装置10の筐体内の発熱源となるコンバータ14及びインバータ15の各温度を直接認識することで、必要に応じた回転速度で強制空冷用ファン22を駆動し、無停電電源装置10の筐体内を換気して冷却させる。
【0022】
またコンバータ14またはインバータ15が故障するか、あるいは無停電電源装置10のメンテナンス作業によりコンバータ14及びインバータ15の少なくとも一方が正常に動作しない場合、無瞬断切換回路12がバイパス入力電源11から供給される交流電力を選択して切換え、後段の負荷に供給する。
【0023】
このとき、コンバータ14及びインバータ15の少なくとも一方が機能していないために、電源切換回路17は可変速駆動回路18への給電を行なわず、強制空冷用ファン22による無停電電源装置10の筐体内の冷却は実行されない。
【0024】
このように本実施形態では、可変速駆動回路18が電源切換回路17から供給される電力を用い、特にコンバータヒートシンク温度センサ20と、インバータヒートシンク温度センサ21の各検出温度に応じて強制空冷用ファン22の回転速度を適切に調整することにより、冷却対象となるコンバータ14及びインバータ15の温度を勘案して無駄な電力の消費を避け、必要に応じた冷却動作を実現することができる。
【0025】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る無停電電源装置(UPS)30の機能回路の構成を示すブロック図である。無停電電源装置30内の個々の構成について、前記図1で示したものと同一部分には同一符号を付加して、重複する説明を省略する。
【0026】
無瞬断切換回路12が後段の負荷に対して出力する交流電力の電流値が検出され、その検出結果が可変速駆動回路18に与えられる。
【0027】
また、前記コンバータ14及びインバータ15のヒートシンクに近接して熱電変換素子を用いた熱電交換部31が設けられる。この熱電交換部31は、例えばゼーベック効果を利用して無停電電源装置30の筐体内で発生する熱を電力に変換するものであり、ここで発生した直流の電力は電力回生回路32により回収され、交流化されて前記電源切換回路17に与えられる。
【0028】
電源切換回路17は、電力回生回路32から供給される電力と、通常時には交流入力電源13からの電力を、停電時はインバータ15の出力する電力を切換えて選択し、可変速駆動回路18に与える。
【0029】
可変速駆動回路18は、電源切換回路17から与えられる電力を用い、前記無瞬断切換回路12が負荷に電力を供給する際の検出電流に応じた回転速度で強制空冷用ファン22を駆動し、無停電電源装置10の筐体内を冷却する。
【0030】
次に前記実施形態の動作を説明する。
停電が生じていない通常時、交流入力電源13からの交流電力がコンバータ14で直流電力に変換され、蓄電池16を充電する一方で、インバータ15で再度交流化され、無瞬断切換回路12で選択されて後段の負荷に供給される。
【0031】
このとき電源切換回路17は、コンバータ14に入力される交流電力を選択する。また合わせてコンバータ14及びインバータ15で発生した熱の一部が前記熱電交換部31及び電力回生回路32により回収され、交流入力電源13からの交流電力に重畳して電源切換回路17に与えられる。電源切換回路17は、これらの電力を可変速駆動回路18に動作電力として供給する。
【0032】
可変速駆動回路18は、無瞬断切換回路12から負荷への電流値により必要に応じた回転速度で強制空冷用ファン22を駆動し、無停電電源装置10の筐体内を換気して冷却させる。
【0033】
停電が生じた非常時には、それまで蓄電池16に充電されていた直流電力がインバータ15で交流化され、無瞬断切換回路12で選択されて後段の負荷に供給される。
【0034】
このとき電源切換回路17は、インバータ15の出力する交流電力を選択する。またこの際、コンバータ14及びインバータ15で発生した熱の一部が前記熱電交換部31及び電力回生回路32により回収され、途絶している交流入力電源13からの交流電力に代えて電源切換回路17に与えられる。電源切換回路17は、選択したインバータ15からの交流電力に電力回生回路32からの電力を重畳して可変速駆動回路18に動作電力として供給する。
【0035】
可変速駆動回路18は、無瞬断切換回路12から負荷への電流値により必要に応じた回転速度で強制空冷用ファン22を駆動し、無停電電源装置10の筐体内を換気して冷却させる。
【0036】
またコンバータ14またはインバータ15が故障するか、あるいは無停電電源装置10のメンテナンス作業によりコンバータ14及びインバータ15の少なくとも一方が正常に動作しない場合、無瞬断切換回路12がバイパス入力電源11から供給される交流電力を選択して切換え、後段の負荷に供給する。
【0037】
このとき、コンバータ14及びインバータ15の少なくとも一方が機能していないために、電源切換回路17は可変速駆動回路18への給電を行なわず、強制空冷用ファン22による無停電電源装置10の筐体内の冷却は実行されない。
【0038】
このように本実施形態では、冷却対象で発生する熱を積極的に回収して、冷却動作を実行する強制空冷用ファン22に供給するものとしたので、無駄な電力の消費を避け、必要に応じた冷却動作を実現することができる。
【0039】
なお前記第1の実施形態で説明した構成と前記第2の実施形態で説明した構成とを組合せ、前記図1の電源切換回路17に対して前記図2の熱電交換部31及び電力回生回路32を付加するような構成とすることも考えられる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0041】
10…無停電電源装置、11…バイパス入力電源、12…無瞬断切換回路、13…交流入力電源、14…コンバータ、15…インバータ、16…蓄電池、17…電源切換回路、18…可変速駆動回路、19…吸気温度センサ、20…コンバータヒートシンク温度センサ、21…インバータヒートシンク温度センサ、22…強制空冷用ファン、30…無停電電源装置、31…熱電交換部、32…電力回生回路。
図1
図2