特許第6059984号(P6059984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ヴァレオジャパンの特許一覧

特許6059984車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置
<>
  • 特許6059984-車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置 図000002
  • 特許6059984-車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置 図000003
  • 特許6059984-車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置 図000004
  • 特許6059984-車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置 図000005
  • 特許6059984-車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置 図000006
  • 特許6059984-車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置 図000007
  • 特許6059984-車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6059984
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20161226BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20161226BHJP
   B60H 1/03 20060101ALI20161226BHJP
   B60H 1/08 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   B60H1/22 611C
   B60H1/22 671
   B60H1/00 102C
   B60H1/03 C
   B60H1/08 611B
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-510639(P2012-510639)
(86)(22)【出願日】2011年4月8日
(86)【国際出願番号】JP2011058867
(87)【国際公開番号】WO2011129266
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年3月20日
【審判番号】不服2015-19343(P2015-19343/J1)
【審判請求日】2015年10月28日
(31)【優先権主張番号】特願2010-91727(P2010-91727)
(32)【優先日】2010年4月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ヴァレオジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】長野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】荒木 大助
(72)【発明者】
【氏名】江藤 仁久
(72)【発明者】
【氏名】林 直人
【合議体】
【審判長】 中村 則夫
【審判官】 窪田 治彦
【審判官】 佐々木 正章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−219731(JP,A)
【文献】 特開平11−208250(JP,A)
【文献】 特開2006−218909(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/108066(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H1/00,1/03,1/08,1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用空調装置に搭載される車両空調用電気発熱式ヒーターコアにおいて、
複数のチューブとフィンとを有する熱交換部と、
前記各チューブが接続されたヘッダと、を備え、
前記ヘッダの内部には電気発熱部品が配置され、
前記各チューブと前記ヘッダとが閉鎖系の流路の少なくとも一部を形成し、
該閉鎖系の流路には、液状熱媒体が充填されており、
前記閉鎖系の流路は、前記液状熱媒体を循環させるものであり、他の機器とつながっておらず、前記液状熱媒体はエンジン冷却水を用いるものではなく、前記閉鎖系の流路の全体が前記車両空調用電気発熱式ヒーターコア内にあることを特徴とする車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項2】
さらに、前記液状熱媒体を循環させる循環手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項3】
前記ヘッダは、前記循環手段の吐出口側を接続した上流側ヘッダと前記循環手段の吸入口側を接続した下流側ヘッダとを有し、
前記各チューブは、一端が前記上流側ヘッダに接合され、かつ、他端が前記下流側ヘッダに接合され、
前記電気発熱部品は、前記上流側ヘッダに配置され、かつ、前記循環手段の吐出口側に近い部分の発熱量が最も多い発熱分布を有することを特徴とする請求項2に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項4】
前記電気発熱部品は、開口部を少なくとも二つ有した筒形状であり、かつ、該筒形状の中空部分が前記液状熱媒体の流路となることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項5】
前記電気発熱部品は、耐振部品を外部に嵌めていることを特徴とする請求項2、3又は4に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項6】
前記ヘッダは、前記循環手段の吐出口側を接続した上流側ヘッダと前記循環手段の吸入口側を接続した下流側ヘッダとを有し、
前記各チューブは、一端が前記上流側ヘッダに接合され、かつ、他端が前記下流側ヘッダに接合され、
前記電気発熱部品は、前記上流側ヘッダに配置され、かつ、前記各チューブより上流に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項7】
前記ヘッダは、一つのヘッダ内に前記循環手段の吐出口側を接続した上流側区画と前記循環手段の吸入口側を接続した下流側区画とを有し、
前記各チューブは、折返し部を有し、一端が前記上流側区画に接合され、かつ、他端が前記下流側区画に接合されていることを特徴とする請求項2に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項8】
さらに、前記熱交換部の温度を検知する熱交換部温度検知素子と、
前記熱交換部温度検知素子から得られた前記熱交換部の温度に応じて、前記電気発熱部品の発熱量を制御する発熱制御手段と、
前記熱交換部温度検知素子から得られた前記熱交換部の温度に応じて、前記循環手段による循環量を制御する循環量制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項2、3、4、5、6又は7に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項9】
さらに、前記循環手段の吐出口の下流で、かつ、前記電気発熱部品の下流に配置された第一の液温検知素子と、
該第一の液温検知素子から得られる温度に応じて前記電気発熱部品の発熱量を制御する発熱制御手段と、
前記下流側ヘッダ又は前記下流側区画に接続された前記チューブと前記循環手段の吸入口との間に配置された第二の液温検知素子と、
該第二の液温検知素子から得られる温度に応じて前記循環手段を制御する循環量制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項3、4、5、6又は7に記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項10】
(1)ガソリン車のリアヒーター用のヒーターコア、
(2)電気自動車のヒーターコア又は
(3)ハイブリッド車のエンジン冷却水を熱源とするヒーターコアと併設されるヒーターコア
の(1)〜(3)のいずれかとして使用されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコア。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つに記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコアを備えたことを特徴とする車両空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用空調に用いられる電気発熱式のヒーターコアに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車(Hybrid Electric Vehicle)又は電気自動車(Electric Vehicle)は、内燃機関(以下、エンジンと称すこともある。)の発熱量が少ない又は内燃機関自体が存在しないため、従来のガソリン車のようなエンジン冷却水からのエンジン排熱を利用した温水式ヒーターコアによる暖房システムでは十分な熱を得ることができないという問題がある。
【0003】
上記問題を解決するために、冷凍サイクルをヒートポンプに利用し、車室内を暖房する手段があるが、外気温が氷点下であると車外熱交換器が凍結する場合があり、この結果、充分な暖房能力を安定して得られない欠点がある。このため、ヒートポンプ能力の補助ヒータとして、電気発熱式ヒーターコアを使用する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
電気発熱式ヒーターコアは、空気との熱交換部に発熱素子(電気発熱式ヒータ)を設け、発生した熱をフィンに伝達して伝達面積を増やし、通過する空気を暖める構成を有している(例えば、特許文献2又は3を参照。)。ところで、ヒーターコアが設置される送風経路内の空気の風速は、送風経路の形状の複雑さなどから一様ではなく、風速の分布が有り、送風経路の同一断面において風速が異なる場合が一般的である。このため、送風経路内に電気発熱式ヒーターコアを設ける場合には、温風の温度を均一化するために、風速が早い部位(空気流通量が多い部位)の発熱量を増やし、風速が遅い部位(空気流通量が少ない部位)の発熱量を減らす必要がある。電気発熱式ヒーターコアの温度分布を調節する技術としては、例えば、電気発熱式ヒーターコアの発熱素子の配置を粗密にする技術(例えば、特許文献2を参照。)、発熱素子ごとに通電時間を制御する技術(例えば、特許文献3を参照。)が提案されている。
【0005】
また、エンジン冷却水の排熱を利用した温水式ヒーターコアに電気発熱体を一体化したヒーターコアが提案されている(例えば、特許文献4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−237431号公報
【特許文献2】特開2006−213232号公報
【特許文献3】特開2006−218909号公報
【特許文献4】特開平11−151926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の構成では、車室内に熱交換器とは別に補助ヒータを配置するため、取り付けスペースが増大してしまう。特許文献2に記載の構成では、配置される送風経路ごとに、経路内の風速が異なるので、粗密の配置を変更することとなり、汎用性が低い問題がある。特許文献3に記載の構成では、制御が複雑化するうえ、発熱素子ごとの温度検知手段を設ける必要があり、構成が複雑化する問題がある。また、特許文献4の構成では、電気発熱体は、エンジンで加熱されたエンジン冷却水による温水式ヒーターコアの補助的熱源として使用されており、エンジン自体が存在しない電気自動車に適用することができない。
【0008】
本発明は、車両用空調に用いられる電気発熱式ヒーターコアに関し、送風経路に風量分布がある場合であっても温度の均一性を確保することができる汎用性の高い構成の車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアは、車両用空調装置に搭載される車両空調用電気発熱式ヒーターコアにおいて、複数のチューブとフィンとを有する熱交換部と、前記各チューブが接続されたヘッダと、を備え、前記ヘッダの内部には電気発熱部品が配置され、前記各チューブと前記ヘッダとが閉鎖系の流路の少なくとも一部を形成し、該閉鎖系の流路には、液状熱媒体が充填されており、前記閉鎖系の流路は、前記液状熱媒体を循環させるものであり、他の機器とつながっておらず、前記液状熱媒体はエンジン冷却水を用いるものではなく、前記閉鎖系の流路の全体が前記車両空調用電気発熱式ヒーターコア内にあることを特徴とする。
【0010】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、さらに、前記液状熱媒体を循環させる循環手段を備えることが好ましい。より温度を均一にすることができる。また、ヒーターコアの姿勢に関わらず温度の均一性を確保できる。
【0011】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、前記ヘッダは、前記循環手段の吐出口側を接続した上流側ヘッダと前記循環手段の吸入口側を接続した下流側ヘッダとを有し、前記各チューブは、一端が前記上流側ヘッダに接合され、かつ、他端が前記下流側ヘッダに接合され、前記電気発熱部品は、前記上流側ヘッダに配置され、かつ、前記循環手段の吐出口側に近い部分の発熱量が最も多い発熱分布を有することが好ましい。より温度を均一にすることができる。
【0012】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、前記電気発熱部品は、開口部を少なくとも二つ有した筒形状であり、かつ、該筒形状の中空部分が前記液状熱媒体の流路となることが好ましい。表面積が大きいため、効率的に液状熱媒体を暖めることができる。また、筒内を通過する液状熱媒体を確実に遠くのチューブまで運ぶことができる。
【0013】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、前記電気発熱部品は、耐振部品を外部に嵌めていることが好ましい。振動による電気発熱部品の破損を防止することができる。
【0014】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、前記ヘッダは、前記循環手段の吐出口側を接続した上流側ヘッダと前記循環手段の吸入口側を接続した下流側ヘッダとを有し、前記各チューブは、一端が前記上流側ヘッダに接合され、かつ、他端が前記下流側ヘッダに接合され、前記電気発熱部品は、前記上流側ヘッダに配置され、かつ、前記各チューブより上流に配置されていることが好ましい。低温水のショートサーキットを防止し、より温度を均一にすることができる。
【0015】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、前記ヘッダは、一つのヘッダ内に前記循環手段の吐出口側を接続した上流側区画と前記循環手段の吸入口側を接続した下流側区画とを有し、前記各チューブは、折返し部を有し、一端が前記上流側区画に接合され、かつ、他端が前記下流側区画に接合されていることが好ましい。ヘッダを一つにすることで、省スペース化を図ることができる。
【0016】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、さらに、前記熱交換部の温度を検知する熱交換部温度検知素子と、前記熱交換部温度検知素子から得られた前記熱交換部の温度に応じて、前記電気発熱部品の発熱量を制御する発熱制御手段と、前記熱交換部温度検知素子から得られた前記熱交換部の温度に応じて、前記循環手段による循環量を制御する循環量制御手段と、を備えることが好ましい。温度検知素子の部品数を削減することができる。
【0017】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、さらに、前記循環手段の吐出口の下流で、かつ、前記電気発熱部品の下流に配置された第一の液温検知素子と、該第一の液温検知素子から得られる温度に応じて前記電気発熱部品の発熱量を制御する発熱制御手段と、前記下流側ヘッダ又は前記下流側区画に接続された前記チューブと前記循環手段の吸入口との間に配置された第二の液温検知素子と、該第二の液温検知素子から得られる温度に応じて前記循環手段を制御する循環量制御手段と、を備えることが好ましい。このように検知素子を配置することで、発熱量及び循環量を確実に制御することができる。
【0018】
本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアは、(1)ガソリン車のリアヒーター用のヒーターコア、(2)電気自動車のヒーターコア又は(3)ハイブリッド車のエンジン冷却水を熱源とするヒーターコアと併設されるヒーターコア、の(1)〜(3)のいずれかとして使用されることが好ましい。低熱源車両向けのヒーターコアとして最適である。また、エンジン冷却水の供給を受けないので、車両内での冷却水の配管を省略することができる。
【0019】
本願発明に係る車両空調装置は、本願発明に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアのいずれか一つに記載の車両空調用電気発熱式ヒーターコアを備えたことを特徴とする。電気発熱部品の熱は、液状熱媒体に拡散されるため、局所的な温度上昇がなく、安全性の高い空調装置とすることができる。特に、低熱源車両向けの車両用空調装置として、最適である。また、熱交換器に換えて配置することで、空調装置の取り付けスペースを活用し、エンジン冷却水を用いるヒーターコアと置き換えることができる。エンジン冷却水を使用しないため、エンジンを有さない電気自動車に適用することができ、ガソリン車又はハイブリッド車に適用することで、エンジン冷却水の配管を省略することができる。
【0020】
なお、上記構成は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、車両用空調に用いられる電気発熱式ヒーターコアに関し、送風経路に風量分布がある場合であっても温度の均一性を確保することができる汎用性の高い構成の車両空調用電気発熱式ヒーターコア及びそれを配した車両用空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアの一例の構造概要を示す断面図である。
図2】循環手段を備えた車両空調用電気発熱式ヒーターコアの一例の構造概要を示す断面図である。
図3】電気発熱部品の一例を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。
図4】車両空調用電気発熱式ヒーターコアの電気発熱部品を1本とした形態の一例の構造概要を示す断面図である。
図5】車両空調用電気発熱式ヒーターコアの電気発熱部品を1本とした形態の変形例の構造概要を示す断面図である。
図6】車両空調用電気発熱式ヒーターコアの別形態の構造概要を示す断面図である。
図7】車両空調用電気発熱式ヒーターコアを備えた車両空調装置の構造概要を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本発明の一態様を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。本発明の効果を奏する限り、種々の形態変更をしてもよい。
【0024】
図1は、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアの一例の構造概要を示す断面図である。本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコア100は、複数のチューブ2とフィン3とを有する熱交換部10と、各チューブ2が接続されたヘッダ4と、を備え、ヘッダ4の内部には電気発熱部品1が配置され、各チューブ2とヘッダ4とが閉鎖系の流路50を形成し、閉鎖系の流路50には、液状熱媒体Lが充填されている。
【0025】
各チューブ2は、内部が液状熱媒体Lの閉鎖系の流路50となっている。チューブ2は、アルミニウム、銅などの金属材料で形成されている。熱伝達の点から、断面形状は扁平状であることが好ましい。また、熱伝達率の向上を目的としてディンプル又はリブを設けてもよい。なお、本発明の効果を奏する限り、チューブの材質、製法及び形状は制限されるものではない。
【0026】
フィン3は、アルミニウム、銅などの金属材料で形成されている。フィンの形状は、特に限定されないが、熱伝達の点から、波状に曲折された薄板のコルゲートタイプが好ましい。また、熱伝達率の向上を目的としてルーバ、スリットなどの切り起こしを施してもよい。
【0027】
熱交換部10は、公知の構造とすることができ、図1ではチューブ2とチューブ2との間にフィン3を配置した積層構造を形成している。熱交換部10では、チューブ2を通過する液状熱媒体Lの熱とフィン3を通過する送風とを熱交換させることで車室内を暖める温風が形成される。
【0028】
ヘッダ4は、アルミニウム、銅などの金属材料で形成されている。ヘッダ4は、各チューブ2に液状熱媒体Lを分配させ、かつ、合流させるタンクである。
【0029】
各チューブ2とヘッダ4とは閉鎖系の流路50を形成している。閉鎖系の流路50には、液状熱媒体Lが充填されている。ここで、閉鎖系とは、流路50がエンジンなど他の機器とつながってない状態をいう。すなわち、液状熱媒体Lは、エンジン冷却水を用いるものではないため、エンジン冷却水を循環させるための配管が不要となり、省スペース、低コストを実現できる。そもそもエンジンをもたない電気自動車にも適用可能である。さらに、従来のエンジン冷却水を用いるヒーターコアより、液状熱媒体Lの循環量を激減できるため、省動力(省電力)、軽量化を図ることができる。よって、低熱源車両向けのヒーターコアとして最適である。例えば、ガソリン車のリアヒーター用のヒーターコア、電気自動車のヒーターコア、ハイブリッド車のエンジン冷却水を熱源とするヒーターコアと併設されるヒーターコアとして使用されることが好ましい。ガソリン車のリアヒーター用に使用する場合には、前述のとおり配管が不要なため、設置位置の自由度が高くなる。電気自動車用として使用する場合には、限られた電気容量のもとで、最大かつ安全な暖房を提供できる。ハイブリッド車用として使用する場合では、水温確保だけを目的としたエンジンの稼動が不要となり、燃費を向上させることができる。
【0030】
液状熱媒体Lは、水、不凍液、油など周知の媒体を使用できる。液状熱媒体Lの充填量は、液状熱媒体Lの流動音を避けるため、閉鎖系の流路50に気泡が残らないように行われることが好ましい。
【0031】
本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアには、さらに、液状熱媒体Lが高温となった時の容積変化を吸収しうる補助空間を有するリザーバータンク部を設けることが好ましい。
【0032】
電気発熱部品1は、例えば、半導体セラミックスからなる周知のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが使用される。チタン酸バリウム系半導体セラミックスが例示できる。PTCヒータの特性を利用して定温発熱体として利用する。PTCヒータの形状は、板状、棒状、円筒状など適宜選択することができるが、円筒状がより好ましい。電気発熱部品1は、ヘッダ4の内部に、ヘッダ4の壁面と非接触状態、かつ、液状熱媒体Lに全面が浸漬した状態で配置されていることが好ましい。非接触状態、かつ、浸漬した状態で配置することで、電気発熱部品1の熱をより効率的に液状熱媒体Lに伝達することができる。電気発熱部品1への電力供給は、図1にはヘッダ4の側面に端子部43を設けているが、本実施形態では、これに特に限定されるものではない。後述する循環手段と一体化して行うことも可能である。
【0033】
電気発熱部品1に加熱部41と非加熱部42とを設け、電気発熱部品1を下方のヘッダ4aに配置することで、液状熱媒体Lは、自然対流によって循環する。図1では、一例として電気発熱部品1の加熱部41を下方のヘッダ4aの中央部に配置し、電気発熱部品1の非加熱部42を端子側に配置した。電気発熱部品1で暖められた液状熱媒体Lは、矢印aのように上方のヘッダ4bに向かって上昇し、フィン3を介して送風空気と熱交換され、矢印bのように下方のヘッダ4aに向かって下降し、再び電気発熱部品1に暖められて上昇する。このように、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、電気発熱部品1で発生させた熱は、液状熱媒体Lを介して拡散するため、送風経路内の風量分布ごとに電気発熱部品1の配置を変更する必要がない。よって、後述の取り付ける車両用空調装置の形状に関わらず、様々な車種に転用することができ、汎用性が高い。さらに、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアは、送風経路内の風量分布に関わらず、良好な温度均一性を確保することができる。また、局所的な温度上昇がなく、安全性が高い。なお、図1において、X1−X2方向は、車両の略左右方向となり、Y1−Y2方向は、車両の略上下方向となる。
【0034】
図2は、循環手段を備えた車両空調用電気発熱式ヒーターコアの一例の構造概要を示す断面図である。本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコア200は、さらに、液状熱媒体Lを循環させる循環手段15を備えることが好ましい。循環手段15によって、液状熱媒体Lを強制対流させることで、温度均一性をより向上することができる。また、図2並びに後述の図3図4図5及び図6のように循環手段15を備える場合において、X1−X2方向は、車両の略左右方向となるが、Y1−Y2方向は、必ずしも車両の略上下方向に限定されず、例えば、車両の略前後方向とすることができる。このように循環手段15を備えて強制的に循環させることによって、ヒーターコアの設計位置の自由度が高くなる。
【0035】
循環手段15は、例えば、渦巻きポンプタイプ、軸流ポンプタイプなど周知の循環手段を用いることができ、本実施形態では特に限定されない。また、循環手段15の接続は、ヘッダ4に配管を接続することが好ましい。配管接続の形態は、本実施形態では特に限定されず、カシメリング結合、膨張弁タイプのプレート結合など周知の接続方法を適宜選択することができる。
【0036】
図3は、電気発熱部品の一例を説明するための図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、電気発熱部品8は、開口部を少なくとも二つ8a、8b有した筒形状であり、かつ、該筒形状の中空部分8cが液状熱媒体Lの流路となることが好ましい。表面積が大きいため、効率的に液状熱媒体Lを暖めることができ、暖房能力が向上する。第1の開口部8aと第2の開口部8bとは、それぞれ電気発熱部品8の両端部に形成することが好ましい。例えば、図3に示すように、第1の開口部8aを電気発熱部品8の端部で液状熱媒体Lの循環の上流に対面するように形成し、第2の開口部8bを液状熱媒体Lの循環の最下流側で、かつ、チューブ2側に形成する。このように形成することで、筒内を通過する液状熱媒体Lを確実に遠くのチューブまで運ぶことができる。第2の開口部8bは、例えば、図3(c)に示すように、筒状の一部を切欠いて形成することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、電気発熱部品1は、耐振部品44を外部に嵌めていることが好ましい。振動による電気発熱部品の破損を防止することができる。耐振部品44の形状は、ヘッダ内の流路を塞がない形状であれば、特に限定されない。例えば、図3に示すような十字状の羽部44aを有する形態の他、一部に穴が開けられた形態が挙げられる。また、材質は、本実施形態では、本発明の効果を奏する限り、限定されず、ゴムなど適宜選択可能である。
【0038】
図2では、電気発熱部品1を上下のヘッダ5、6に各1本の合計2本を配置しているが、所望の放熱量に応じて、いずれか1本とすることができる。図4は、車両空調用電気発熱式ヒーターコアの電気発熱部品を1本とした形態の一例の構造概要を示す断面図である。本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、ヘッダは、循環手段15の吐出口側15aを接続した上流側ヘッダ5と循環手段15の吸入口側15bを接続した下流側ヘッダ6とを有し、各チューブ2は、一端2aが上流側ヘッダ5に接合され、かつ、他端2bが下流側ヘッダ6に接合され、電気発熱部品1は、上流側ヘッダ5に配置され、かつ、循環手段15の吐出口側15aに近い部分Hの発熱量が最も多い発熱分布を有することが好ましい。より好ましくは、循環手段15の吐出口側15aに近い部分Hの発熱量を最も高くし、下流に向かうにつれて(図4のX2の方向へ向かうにつれて)次第に発熱量が低くなる発熱分布を有することである。このように発熱分布を形成することで、循環する液状熱媒体Lの温度をより均一にすることができるため、ヒーターコアの左右(X1−X2方向)での温度差を小さくすることができる。なお、電気発熱部品1の発熱量は、例えば、電気発熱部品1の発熱線の密度を変えることによって所望の発熱量を得ることができる。また、発熱分布の形成方法は、本実施形態では特に限定されない。例えば、1本の電気発熱部品の中で発熱線の密度を変えて発熱分布を形成する形態、発熱量の異なる電気発熱部品を複数本配置した形態とすることができる。
【0039】
図5は、車両空調用電気発熱式ヒーターコアの電気発熱部品を1本とした形態の変形例の構造概要を示す断面図である。本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコア301では、ヘッダは、循環手段15の吐出口側15aを接続した上流側ヘッダ5と循環手段15の吸入口側15bを接続した下流側ヘッダ6とを有し、各チューブ2は、一端2aが上流側ヘッダ5に接合され、かつ、他端2bが下流側ヘッダ6に接合され、電気発熱部品1は、上流側ヘッダ5に配置され、かつ、各チューブ2より上流に配置されていることが好ましい。このように配置することで、循環する液状熱媒体Lは、必ず電気発熱部品1を通過することとなり、低温水のショートサーキットを防止し、より温度を均一にすることができる。また、電気発熱部品1を小さくすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0040】
図1図2図4又は図5では、各チューブ2の端部2a、2bはそれぞれ対向するヘッダ(図1の下方のヘッダ4a及び上方のヘッダ4b、図2図4又は図5の上流側ヘッダ5及び下流側ヘッダ6)に接続されているが、本実施形態では、これに限定されない。図6に示すように、片ヘッダとすることができる。図6は、車両空調用電気発熱式ヒーターコアの別形態の構造概要を示す断面図である。本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコア400では、ヘッダ7は、一つのヘッダ7内に循環手段15の吐出口側15aを接続した上流側区画7aと循環手段15の吸入口側15bを接続した下流側区画7bとを有し、各チューブ2は、折返し部2cを有し、一端2aが上流側区画7aに接合され、かつ、他端2bが下流側区画7bに接合されていることが好ましい。このように配置することで、ヘッダを一つにすることができ、省スペース化を図ることができる。図2図4又は図5に示した循環手段15を有し、かつ、ヘッダが二つである形態では、上流側ヘッダ5と下流側ヘッダ6とが離れているため、電気発熱部品1を下流側ヘッダ6だけに配置すると、熱損失の影響で加熱効率が劣る場合があるのに対し、図6に示したヘッダが一つである形態では、上流側区画7aと下流側区画7bとが同一ヘッダ内であり近接しているため、下流側区画7bに配置しても熱損失の影響が小さい。したがって、より好ましい形態は、電気発熱部品1を上流側区画7aに配置する形態であるが、これに限定されず、下流側区画7bに配置してもよい。また、所望の放熱量に応じて両方に配置してもよい。
【0041】
次に、図2図4図5又は図6を用いて、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアの発熱量制御について説明する。
【0042】
図2に示すように、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコア200では、さらに、熱交換部10の温度を検知する熱交換部温度検知素子21と、熱交換部温度検知素子21から得られた熱交換部10の温度に応じて、電気発熱部品1の発熱量を制御する発熱制御手段(不図示)と、熱交換部温度検知素子21から得られた熱交換部10の温度に応じて、循環手段15による循環量を制御する循環量制御手段(不図示)と、を備えることが好ましい。
【0043】
熱交換部温度検知素子21で検知した熱交換部10の温度情報により、電気発熱部品1の発熱量と循環手段15の循環量とを一括して制御することができるため、温度検知素子の部品数を削減することができる。また、熱交換部10を通過する風量、送風空気の設定温度などが変化しても、簡便な構造で発熱量を制御することができる。また、熱交換部温度検知素子21は、図2に示すようにフィン3に取り付けることがより好ましい。熱交換部10の発熱量をより確実に検知することができる。
【0044】
例えば、熱交換部温度検知素子21が検知した熱交換部10の温度が、所望の温度より低い場合には、電気発熱部品1への通電をオンにする又は発熱量を大きくする信号を発熱制御手段(不図示)に出力し、かつ、循環手段15の循環量を多くする信号を循環量制御手段(不図示)に出力する。熱交換部10の温度を高くすることができ、車室内に吹き出す空調空気を暖めることができる。熱交換部温度検知素子21が検知した熱交換部10の温度が、所望の温度である場合には、電気発熱部品1の発熱量を維持する信号を発熱制御手段(不図示)に出力し、かつ、循環手段15の循環量を少なくする信号を循環量制御手段(不図示)に出力する。熱交換部10の温度を維持することができ、車室内に吹き出す空調空気の温度を維持することができる。また、熱交換部温度検知素子21が検知した熱交換部10の温度が、所望の温度より高い場合には、電気発熱部品1の通電を切る又は発熱量を小さくする信号を発熱制御手段(不図示)に出力し、かつ、循環手段15の循環量を少なくする信号を循環量制御手段(不図示)に出力する。熱交換部10の温度を低くすることができ、車室内に吹き出す空調空気の温度を下げることができる。
【0045】
図4図5又は図6に示すように、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアでは、さらに、循環手段15の吐出口側15aの下流で、かつ、電気発熱部品1の下流に配置された第一の液温検知素子22と、第一の液温検知素子22から得られる温度に応じて電気発熱部品1の発熱量を制御する発熱制御手段(不図示)と、下流側ヘッダ6又は下流側区画7bに接続されたチューブ2と循環手段15の吸入口側15bとの間に配置された第二の液温検知素子23と、第二の液温検知素子23から得られる温度に応じて循環手段15を制御する循環量制御手段(不図示)と、を備えることが好ましい。
【0046】
第一の液温検知素子22は、放熱前の液状熱媒体Lの最高温度t1を検知するものである。所望の温度に対する液状熱媒体Lの温度t1の高低に応じて、電気発熱部品1の発熱量を大小とする信号を発熱制御手段(不図示)に出力する。また、第二の液温検知素子23は、放熱後の液状熱媒体Lの温度t2を検知するものである。第一の液温検知素子22が検知した液状熱媒体Lの温度t1と第二の液温検知素子23が検知した液状熱媒体Lの温度t2との差Δ(Δ=t1−t2)に応じて循環手段15の循環量の増減を循環量制御手段(不図示)へ出力する。液状熱媒体Lの最高温度の制御と液状熱媒体Lの循環量とを一連に制御することができるため、ヒーターコアを通過する風量、送風空気の設定温度が変化しても、一定温度の空調空気を車室内に吹き出すことができる。
【0047】
例えば、第一の液温検知素子22が検知した液状熱媒体Lの温度t1が、所望の温度より低い場合には、電気発熱部品1の発熱量を大きくする信号を発熱制御手段(不図示)に出力する。第一の液温検知素子22が検知した液状熱媒体Lの温度t1が、所望の温度である場合には、電気発熱部品1の発熱量を維持する信号を発熱制御手段(不図示)に出力する。また、第一の液温検知素子22が検知した液状熱媒体Lの温度t1が、所望の温度より高い場合には、電気発熱部品1への通電を切る又は発熱量を小さくする信号を発熱制御手段(不図示)に出力する。それぞれの場合において、更に、第一の液温検知素子22が検知した液状熱媒体Lの温度t1と第二液温検知素子23が検知した液状熱媒体Lの温度t2との差Δに比例して循環手段15の循環量を制御する。
【0048】
暖房用ヒータとして本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアを取り付けした時の車両用空調装置の一形態を図7に示した。なお、図7において、Z1−Z2方向は、車両の前後方向であり、Y1−Y2方向は、車両の上下方向であり、更に、手前奥方向は、車両の左右方向である。車両用空調装置900は、空気通路を形成するケース66に、空気流れ発生手段(例えばブロア)60と、集塵脱臭フィルタ64と、エバポレータ65と、電気発熱式ヒーターコア68とを備える。空気流れ発生手段60を作動させることで空気通路に空気流れが形成される。すなわち、インテークドア(不図示)の切り替えにより車室外空気又は車室内空気が空気通路内に取り込まれ、その空気流れ32がブロア60に吸気される。続いて集塵脱臭フィルタ64及びエバポレータ65に空気流れ33がブロア60によって吐出され、浄化され、かつ、熱交換された空気流れ34がエアミックスドア67の切り替えによって、空気流れ35又は空気流れ36となる。空気流れ35は冷房運転時の空気流れである。一方、空気流れ36は、電気発熱式ヒーターコア68によって加熱される。電気発熱式ヒーターコア68は、本実施形態に係る車両空調用電気発熱式ヒーターコアであり、図1図2図4図5又は図6の車両空調用電気発熱式ヒーターコアが例示できる。
【0049】
車両用空調装置900のケース66への電気発熱式ヒーターコア68の取り付けは、従来のヒーターコアと同様に行う。すなわち、電気発熱式ヒーターコアのフィン3に空気流れ36が通過してフィン3との熱交換により空気流れ36が加熱される向きにフィン3が向くように、ケース66に電気発熱式ヒーターコア68を取り付ける。具体的には、図1図2図4図5又は図6に示す電気発熱式ヒーターコアのヘッダの長手方向(図1図2図4図5又は図6のX1−X2方向)が空気流れ36の方向(図7のZ1−Z2方向)と垂直(図7の手前奥方向)になるように配置する。なお、電気発熱式ヒーターコアの上方向(図1図2図4図5又は図6のY1方向)と下方向(図1図2図4図5又は図6のY2方向)とを上下逆転させて、車両空調装置に配置してもよい。本実施形態に係る電気発熱式ヒーターコア68を取り付けた車両用空調装置900では、電気発熱部品の発熱は液状熱媒体に拡散されるため、局所的な温度上昇がない。したがって、送風空気に含まれる有機物による焦げ臭の発生を防止することができる。さらに、主にポリプロピレンなどの樹脂からなるケース66の熱変形などの熱劣化が生じにくくなる。乗員の身体が接触しうる位置にケース66がある場合、特に商用車で多い配置であるが、この場合、乗員は電気発熱部に身体が接触することがないので、安全性が確保できる。
【0050】
本実施形態に係る車両用空調装置900は、特に低熱源車両向けの空調装置として、最適である。また、熱交換器に換えて配置することで、空調装置の取り付けスペースを縮小することができる。エンジン冷却水を使用しないため、エンジンを有さない電気自動車に適用することができ、ガソリン車又はハイブリッド車に適用することで、エンジン冷却水の配管を省略することができる。
【符号の説明】
【0051】
1、8 電気発熱部品
2 チューブ
2a、2b チューブの端部
2c チューブの折り返し部
3 フィン
4、7 ヘッダ
4a 下方のヘッダ
4b 上方のヘッダ
5 上流側ヘッダ
6 下流側ヘッダ
7a 上流側区画
7b 下流側区画
8a、8b 電気発熱部品の開口部
8c 電気発熱部品の中空部
10 熱交換部
15 循環手段
15a 吐出口側
15b 吸入口側
21 熱交換部温度検知素子
22 第一の液温検知素子
23 第二の液温検知素子
32、33、34 空気流れ
35 冷房運転時の空気流れ
36 暖房運転時の空気流れ
41 加熱部
42 非加熱部
43 端子部
44 耐振部品
44a 羽部
50 閉鎖系の流路
60 空気流れ発生手段(例えばブロア)
64 集塵脱臭フィルタ
65 エバポレータ
66 ケース
67 エアミックスドア
68、100、200、300、301、400 電気発熱式ヒーターコア
900 車両用空調装置
図1
図2
図3
図5
図6
図7
図4