【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、かつ第1の態様によれば、本発明は、全て工場で使い捨ての無菌密封包装内に用意された、多機能の取付チューブを備えた事前取付式の椎弓根スクリュー型骨固定要素を提案する。より具体的には、本発明は、後方進入路または後外側進入路を介して椎骨を固定するための脊椎デバイスであって、前記デバイスは、少なくとも:
− ロッド型またはプレート型の接続要素を取り付けるためのインタフェースを備えた基端側部分とスレッド付きの先端側部分とを含んでなる、椎弓根スクリュー型または椎骨スクリュー型の骨固定要素、
− 骨固定要素の上に予め相互依存的に取付けられた取付チューブであって、骨固定要素から取り外し可能なチューブ、
− 骨固定要素および予め取付けられた取付チューブの無菌密封包装
を含んでなることを特徴とするデバイスを指す。
【0010】
一実施形態によれば、取付チューブは、接続要素が通過するための、骨固定要素の基端側部分に現れる、長手方向に伸びる開口部を含んでなる。
好都合には、予め取付けられるチューブは、骨固定要素およびその係止要素の移植後に取り外し可能である。
【0011】
一実施形態によれば、取付チューブの内部直径は、骨固定要素に接続要素を係止するための係止要素の通過を可能にする。
一実施形態によれば、取付チューブの内部直径は、係止要素の位置決めを行うための付属品の通過を可能にする。
【0012】
好都合には、デバイスは、取付チューブを通り抜け、かつ一端が骨固定要素に予め取付けられた付属品を含んでなる。
好都合には、取付チューブは、付属品を骨固定要素と一直線上に保持する手段を備えている。特定の構成形態によれば、該保持手段は、取付チューブの内側面に配置構成された突起部を含んでなる。該突起部に加えて、または該突起部に替えて、取付チューブおよび骨固定要素に対して所定の位置に付属品を保持するために、取付チューブの先端側端部に設置された保持フィンが提供されてもよい。
【0013】
特定の変形形態によれば、取付チューブは、このアセンブリに加わる応力に対して十分に耐える相互接続を得るために、該チューブの内部通路に、係止要素の位置決めを行うための付属品と相補形の少なくとも1つのダブテイルを備えている。
【0014】
一実施形態によれば、取付チューブは、複合材料、ポリマー材料、鉄合金もしくは非鉄合金材料または更にこれらの様々な材料の組み合わせで作製されている。
一実施形態によれば、取付チューブは骨固定要素にあわせてオーバーモールド成型される。
【0015】
一実施形態によれば、取付チューブは、134℃で18分間の保持相を伴うオートクレーブ滅菌サイクルには適合性のない少なくとも1つの前記材料を用いて、1つまたは数種の材料で作製される。
【0016】
一実施形態によれば、取付チューブの先端側端部は、ハンドル型の垂直保持要素の位置決めを行うための凹凸部を含んでなる。この垂直保持要素は、逆トルク作用を用いて係止要素を締め付ける際に主として使用され、これにより骨固定要素および取付チューブのアセンブリの回転が回避される。
【0017】
一実施形態によれば、取付チューブの先端側端部はスレッド付き領域またはタップ付き領域を含んでなる。このスレッドまたはタップは、下記に記載される係止要素保持チューブの押進要素を受承するように設計されている。
【0018】
一実施形態によれば、取付チューブは2つのハーフシェルで構成されている。
一実施形態によれば、2つのハーフシェルは同一である。
一実施形態によれば、2つのハーフシェルの先端側部分は隣接している。
【0019】
一実施形態によれば、2つのハーフシェルの隣接部分は、これら2つのハーフシェルの適切な位置決めを確実にするために、ほぞ穴結合式位置決め手段または同様の位置限定手段を含んでなる。
【0020】
一実施形態によれば、2つのハーフシェルは、接着接合、溶接またはクリップ留めされる。
特定の変形形態によれば、骨固定要素上へのハーフシェルの基端側の接続は、組立または分解が骨固定要素の周りでハーフシェルを回転させることにより行われるように、このハーフシェルの形状と相補形の凹凸部によって提供される。
【0021】
この特定の変形形態によれば、2つのハーフシェルの先端側部分が相互接続されてしまえば、これを骨固定要素から分離することは不可能である一方、2つのハーフシェルが分離されると容易に分解することが可能となる。
【0022】
一実施形態によれば、2つのハーフシェルは、好ましくは前記ハーフシェルの先端側端部のリングによって、相互依存的に保持される。
好都合には、かつこの特定の変形形態によれば、このリングの先端側部分はスレッドおよび凹凸部を備えている。このスレッドは係止要素保持チューブの押進要素を受承するように設計され、凹凸部は垂直保持要素を受承するように設計されている。
【0023】
一実施形態によれば、リングは、2つのハーフシェル上に配置構成されたスタッドと相互接続する少なくとも1つのバヨネット型形状を含んでなることにより、前記リングの容易かつ迅速な組立を可能とする。
【0024】
一実施形態によれば、アセンブリの安全な嵌合を保証するためにリングと2つのハーフシェルとの間に圧縮ばねが設置される。
一実施形態によれば、リングは、リングと2つのハーフシェルとの間に少なくとも1つの横断スピンドルを含んでなる。
【0025】
一実施形態によれば、該スピンドルの寸法取りは、所定トルクによる剪断力の下で破壊されるように規定される。
好都合には、取付チューブおよびリングは強剛なアセンブリを形成するように配置構成される。
【0026】
好都合には、2つのハーフシェルは互いに相互依存的に保持されたときにガイドチューブを形成するように配置構成される。
好都合には、2つのハーフシェルはそれぞれ骨固定要素と係合するように係止するように配置構成された基端側端部を有する。
【0027】
好都合には、かつ、この特定の変形形態によれば、この破壊トルクは、骨固定要素中のロッド接続要素を固定する係止要素の締付けトルクと同一である。
好都合には、かつ、この特定の変形形態によれば、この破壊はリングの解離を決定し、したがって2つのハーフシェルの解離をも決定する。
【0028】
一実施形態によれば、係止要素には、係止アセンブリを形成するために係止要素保持チューブが相互依存的に予め取り付けられ、該係止要素は係止要素保持チューブから取り外し可能である。
【0029】
好都合には、この保持はタップによって行なわれる。
特定の変形形態によれば、このタップは、トラッピングによりその保持を確実にするために係止要素のスレッドとはわずかに異なっていてもよい。
【0030】
特定の変形形態によれば、係止要素はクリップ留めによって保持される。
好都合には、係止アセンブリは無菌包装されうる。
一実施形態によれば、係止アセンブリは密封包装内に無菌包装される。
【0031】
一実施形態によれば、係止要素保持チューブは取付チューブ内への挿入が可能な寸法である。取付チューブは、好都合には少なくとも1つの位置決め起伏部が設けられた管状の内部壁を有することが可能であり、併せて係止要素保持チューブは取付チューブの位置決め起伏部と相補的な形状の相補的位置決め起伏部を有する。係止要素保持チューブは、骨固定要素の相互依存的インタフェース上に接続要素を載せ置くために、係止要素保持チューブが取付チューブに挿入されたときに骨固定要素の相互依存的インタフェースの向かい側に位置する、軸受け起伏部が設けられた基端側部分をさらに有することができる。デバイスは、取付チューブ内への係止要素保持チューブの挿入のための、係止要素保持チューブと相互作用する押進要素を更に含んでなることができる。
【0032】
好都合には、基端側端部に、ロッドと接触するように意図された係止要素の面に関して係止要素の高さと少なくとも等しい長さの2つの突起部が、係止要素の両側に備えられている。これらの突起部の幅は、ロッド接続要素の直径より大きくはなりえない。これら2つの突起部の機能は、係止要素が骨固定要素またはロッド接続要素のいずれとも接触することなく、ロッド接続要素に影響力を及ぼすことができることである。
【0033】
特定の変形形態によれば、係止要素保持チューブの外部形状には、2つのハーフシェルと相補的な形状の2つのダブテイルが提供される。
2つのハーフシェルと係止要素保持チューブとの間の上記の相補的なダブテイルがアセンブリを大幅に強化することにより、高応力の下で2つのハーフシェルが分離するいかなるリスクも回避され、かつ屈曲およびねじれにおける一層大きな機械抵抗が付与される。
【0034】
特定の変形形態によれば、係止要素保持チューブの全長は、2つのハーフシェルの全長または更に2つのハーフシェルおよびリングの全長よりも大きい。
この特定の変形形態によれば、係止要素保持チューブの先端側部分および押進要素の内部形状は、骨固定要素に提供されるU字型のハウジングの底部におけるロッド接続要素の位置決めとの適合性を有する。したがって、係止要素保持チューブはロッド押出し具としての役割も果たす。
【0035】
一実施形態によれば、押進要素は、接続要素を位置決めするための取付チューブのスレッド付き領域またはタップ付き領域と相互作用するスレッドまたはタップを含んでなる。
好都合には、取付チューブは、係止要素保持チューブが内部に配置されると、ガイドチューブを形成する。
【0036】
好都合には、取付チューブおよび係止要素保持チューブは、係止要素保持チューブが取付チューブの内部に配置されると強剛なアセンブリを形成する。
一実施形態によれば、係止要素保持チューブは、係止要素を締緩するためのスクリュードライバーの通過を可能にする内部形状を有する。
【0037】
一実施形態によれば、係止要素保持チューブは、複合材料、ポリマー材料、鉄合金もしくは非鉄合金材料または更にこれらの様々な材料の組み合わせで作製される。
一実施形態によれば、デバイスの構成要素はすべて使い捨てである。
【0038】
一実施形態によれば、デバイスの構成要素はいずれも1または数個の密封包装に無菌方式で包装される。
上記において、骨固定要素および予め取り付けられた取付チューブについて無菌包装の存在が強調されてきた。しかしながら本発明の別の態様によれば、本発明は、無菌包装とは関係なく、該チューブの機械的特性および骨固定要素への該チューブの固定も包含する。従って、本発明は、後方進入路または後外側進入路を介して椎骨を固定するための脊椎デバイスであって、固定要素およびチューブを含んでなり、かつ、個々にまたは組み合わせとして、段落[0010]〜[0034]に記載された1または数個の特徴により識別される脊椎デバイスも指している。
【0039】
本発明の別の態様によれば、本発明は、脊椎インプラントを挿入または除去する器具のキットであって、前記インプラントの挿入または除去に関係する全ての外科的処置を実施するために、少なくとも2つのスレッド付きの骨固定要素と、該骨固定要素を機械的に接続するロッド型またはプレート型の接続要素と、接続要素を固定要素に関して適所に係止するための係止要素とを含んでなり、前記の必要とされた器具が全て使い捨てであり、かつ1または数個の密封包装に無菌方式で包装されていることを特徴とするキットも指している。
【0040】
特定の変形形態によれば、器具のキットはインプラントの挿入または除去のために縮小される。該キットは、2つのスクリュードライバー軸部(骨固定要素および係止要素)、2つの多機能ハンドル、ロッド保持プライヤーおよび圧縮‐伸延プライヤー、すなわち合計6つの要素を中心として構成される。
【0041】
好都合には、インプラントの挿入または除去のための器具類キットは、該器具類の多機能設計ならびに前記インプラント上に予め取り付けられた取付チューブおよび係止要素保持要素の部品に起因して、6つの器具のみで構成される。
【0042】
好都合には、かつ特定の変形形態によれば、本発明は、椎弓根スクリュー型の骨固定要素上へのロッド接続要素の保持を確実にするために、係止要素の締付けトルクの制御を提示する。
【0043】
好都合には、本発明は、最小限に侵襲性の手法によるかまたは従来の観血的手術によるか、外科的手法の選択を外科医に提供する。
一実施形態によれば、器具は、複合材料、ポリマー材料、鉄合金もしくは非鉄合金材料または更にこれらの様々な材料の組み合わせで作製される。
【0044】
一実施形態によれば、使い捨て器具デバイスは少なくとも1つのスクリュードライバー軸部、ハンドルおよび1対のプライヤーを含んでなる。
一実施形態によれば、該キットは、係止要素を締め付けるファイナルトルクのためのトルクリミッタを備えた「T」字形状のハンドルを含んでなる。係止要素の締付けトルクは、骨固定要素中でのロッド接続要素の保持を確実にするために最適なものである。
【0045】
好都合には、係止要素保持チューブの押進要素/ロッド導入器も、2つのハーフシェルの先端側端部またはリングのスレッドに対応するスレッドを備えたT字形状のハンドルである。
【0046】
好都合には、このT字形状のハンドルは、骨固定要素および係止要素のための2つのスクリュードライバー軸部を受承するように設計されている。
好都合には、このT字型のハンドルはその全長にわたってカニューレが挿入されて、スクリュードライバー軸部の通過が可能となっている。
【0047】
この特定の構成形態によれば、椎弓根スクリューおよび止め具のスクリュードライバー軸部の基端側かみ合い部分は異なっている。
この特定の構成形態によれば、このT字形状のハンドルのトルク機能は、係止要素を締め付けるためのスクリュードライバーの軸部にのみ適用可能である。
【0048】
一実施形態によれば、キットは、骨固定要素の位置決めまたは解離、係止要素の一時的な締緩、およびデバイスの垂直方向の保持を可能にする直線状のハンドルを含んでなる。
好都合には、この直線状のハンドルは様々なスクリュードライバー軸部(椎弓根スクリューおよび止め具)を受承するように設計されている。
【0049】
好都合には、この直線状のハンドルはその全長にわたってカニューレが挿入されて、様々なスクリュードライバー軸部の通過が可能となっている。
好都合には、骨固定要素の位置決めまたは解離、および係止要素の締緩のためのT字としての使用も可能にする直線状のハンドルに備えた用意もなされて、より大きなトルクがより簡単に適用されるようになっていてもよい。
【0050】
好都合には、垂直保持要素も直線状のハンドルである。該ハンドルの端部のうちの一方は、2つのハーフシェルまたはリングの先端側端部の凹凸部と相補形の凹凸部を備えている。
【0051】
一実施形態によれば、直線状のハンドルは、係止要素を締緩するための骨固定要素の保持を可能にするように配置構成可能である。この直線状のハンドルの端部のうちの一方は、骨固定要素のヘッドと相補的な形状を備えている。
【0052】
したがって、好都合には、この直線状のハンドルは、2つのハーフシェルまたはハーフシェル+リングが適所にあるとき、およびリングが取り外されたときのいずれにおいても、係止要素の締緩の間に、逆トルク効果の発揮を可能にする。
【0053】
一実施形態によれば、直線状のハンドルは、係止要素の把持および骨固定要素上における係止要素の誘導も可能にすることができる。この把持部は、骨固定インプラントのヘッドと相補的な形状に近い端部において係止要素を確実に保持するように配置構成される。
【0054】
好都合には、この保持はタップによって行なわれる。
特定の変形形態によれば、このタップは、トラッピングにより係止要素の保持を確実にするために係止要素のスレッドとはわずかに異なっていてもよい。
【0055】
特定の変形形態によれば、係止要素はクリップ留めによって保持される。
好都合には、器具のキットは骨固定要素の圧縮用プライヤーおよび伸延用プライヤーを含んでなり、圧縮用プライヤーおよび伸延用プライヤーは単独で1対のプライヤーを形成している。
【0056】
一実施形態によれば、該マニューバリングプライヤーは、骨固定要素の圧縮および伸延を可能にする2つのアームを含んでなる。この2アーム型マニューバリングプライヤーは、凸面部分にノッチを備えた湾曲した基端側端部を含んでなることができる。
【0057】
好都合には、この2アーム型マニューバリングプライヤーは、長手方向の正の配置(インデクセーション)を備えた湾曲した基端側端部を含んでなる。正の配置は一方のアーム上の溝部と他方のアーム上の突出スタッドとによって実施可能である。
【0058】
好都合には、器具のキットは、基準面に関して対称的でありかつ接合部によって互いに固定された2つの交差したアームを含んでなるプライヤー(900)を備え、各アームはロッドと重なり合うフォーク形状の端部を有し、各アームの前記フォーク形状の端部は、対称面に関して対面して配置構成されていることと、アームの端部は圧縮端部を形成することと、各アームの圧縮端部の反対側の端部は、圧縮端部が互いに向かって移動する動作の際にロッドを把持することが可能なように配置構成されることとを特徴とする。
【0059】
器具のキットはさらに、基準面に関して対称的でありかつ接合部によって互いに接合された2つの交差したアームを含んでなるプライヤーも備え、各アームはロッドと重なり合う第1および第2のフォーク形状の端部を有することと、一方のアームの端部のうち一方は、伸延端部を形成するために対称面に関して前者のアームの反対側に配置された他方のアームの端部と併せて配置構成されることと、他方の端部は圧縮端部を形成することとを特徴とする。
【0060】
本発明の別の態様によれば、本発明は、少なくとも2つのスレッド付き骨固定要素と、該骨固定要素を機械的に接続するロッド型またはプレート型の接続要素と、接続要素を固定要素に関して適所に係止するための係止要素とを含んでなる脊椎インプラントを挿入または除去する操作であって、該インプラントの挿入または除去の際に骨固定要素および係止要素と相互作用する器具は、操作の開始時に1つまたは数個の密封された無菌包装から取り出され、操作の終了時には再滅菌されることなく廃棄されることを特徴とする操作に関する。
【0061】
本発明のその他の目的および利点は、添付の図面に関してなされた以下の説明において明らかとなるであろう。