(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1摺接部は、前記第1配管の上端に固定した環状をなすベースプレート座に設けられ、前記第2摺接部は、前記第2配管の下端に固定した環状をなす据付プレート座に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のポンプ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施形態に係る立軸ポンプ10を示す。この立軸ポンプ10は、鉛直方向に延びるポンプケーシング11を第1の据付床であるポンプ床2に設置し、駆動手段である駆動モータ24をポンプ床2上の第2の据付床であるモータ床4に設置した2床式である。本実施形態では、何らかの原因で駆動モータ24の出力軸25とポンプケーシング11の回転軸23の軸芯に位置ズレが生じても、容易に再調整できるようにして運転可能な状態に復旧できるようにする。
【0021】
立軸ポンプ10を設置するポンプ機場は、コンクリート等の打設により設けられている。このポンプ機場は、図示しない流入側管路から流入する雨水等の水を一時的に貯留する吸込水槽1を備える。この吸込水槽1の上方は、底から所定間隔をあけて水平方向に延びるように設けたポンプ床2によって覆われている。このポンプ床2には、吸込水槽1内に連通するポンプ挿通孔3が設けられている。また、ポンプ床2の上方は、底から所定間隔をあけて水平方向に延びるように設けたモータ床4によって覆われている。このモータ床4には、ポンプ挿通孔3の同一軸芯上に位置するように軸挿通孔5が設けられている。ポンプ床2にポンプケーシング11を吊り下げて設置し、モータ床4に駆動モータ24を設置することで、ポンプ床2に必要な剛性を軽減している。なお、ポンプ床2とモータ床4との間の空間がポンプ室6を構成し、モータ床4上の空間が制御室7を構成する。
【0022】
ポンプケーシング11は、ポンプ床2のポンプ挿通孔3に上側から差し込まれた状態で固定されている。このポンプケーシング11は、ポンプ挿通孔3から下向きに延びるように配置される第1配管である揚水管12と、この揚水管12上に配置される第2配管である吐出エルボ16とを備える。
【0023】
揚水管12は、ポンプ床2のポンプ挿通孔3上に固定するためのベースプレート13を上端に備え、吸込水槽1内で鉛直方向に延びるように配管される。このベースプレート13は、揚水管12の上端から径方向外向きに突出したフランジ状の部材である。揚水管12の下端には羽根車ケース14が連結され、羽根車ケース14の下端に吸込ベルマウス15が連結される。羽根車ケース14は、径方向外向きに膨出した楕円筒状をなす。吸込ベルマウス15は、下向きに漸次拡径した略円錐筒状をなし、下端開口からなる吸込口が吸込水槽1の底に対して所定の距離を隔てて対向配置されている。
【0024】
吐出エルボ16は、揚水管12を通した垂直方向の水流を水平方向に変える90度湾曲した曲がり管である。吐出エルボ16には、下端(上流)側に揚水管12上に配設するための上流側フランジ部17が設けられ、上端(下流)側に連結するための下流側フランジ部18が設けられている。また、吐出エルボ16には、揚水管12の軸線と同一軸線上に位置するように円筒状をなすように枠台19が設けられている。
【0025】
ポンプケーシング11の吐出口である吐出エルボ16の下流側フランジ部18には、吐出槽(図示せず)に連通する送水管20が接続されている。この送水管20は横方向に延びるように配管され、ポンプ床2上に固定されている。本実施形態では、吐出エルボ16と送水管20との間に、軸方向および径方向の変形が可能な可撓管21が介設されている。
【0026】
羽根車ケース14内には、吸込水槽1内の液体を下流側へ排出するための羽根車22が配設されている。この羽根車22は、揚水管12の軸線に沿って貫通配置された回転軸23の下端に連結されている。この回転軸23は、図示しない水中軸受けによって揚水管12内に回転可能に支持されている。回転軸23の上端は、吐出エルボ16の枠台19を貫通して、ポンプ室6内に位置する。回転軸23と吐出エルボ16の貫通孔とは、軸シールによって液密にシールされている。
【0027】
駆動モータ24は電動式であり、出力軸25が軸挿通孔5内に位置するように、モータケーシング26がモータ床4に固定されている。出力軸25は、回転軸23と軸線が一致するように設置される。そして、出力軸25と回転軸23とが中間軸27を介して連結されている。回転軸23と中間軸27、および、出力軸25と中間軸27は、それぞれカップリング28A,28Bによって連結される。カップリング28A,28Bは、回転軸23と中間軸27および出力軸25と中間軸27の軸芯の位置ズレ(傾斜)を設定された許容範囲で許容するたわみ軸継手が用いられる。但し、たわみ軸継手の1つであるユニバーサルジョイント継手は、定期的なメンテナンスが必要になるため、その他のたわみ軸継手を用いることが好ましい。
【0028】
図2に示すように、本実施形態の立軸ポンプ10は、異なる床2,4に配設したポンプケーシング11の回転軸23の軸芯と駆動モータ24の出力軸25の軸芯とが位置ズレした場合に、再調整を可能とするための軸芯調整機構29,49を備える。第1軸芯調整機構29は、ポンプケーシング11の揚水管12と吐出エルボ16との間に設けられ、第2軸芯調整機構49は、モータ床4とモータケーシング26との間に設けられている。
【0029】
図3Aおよび
図4に示すように、下側の第1軸芯調整機構29は、揚水管12のベースプレート13に固定されるベースプレート座30と、吐出エルボ16の上流側フランジ部17に固定される据付プレート座36とを備える。また、第1軸芯調整機構29は、ベースプレート座30(下側第1摺接部33)上に配置した据付プレート座36(下側第2摺接部39)を、希望位置で移動不可能に固定するための固定部材40と、横方向に移動させるための横移動部材44と、縦方向に移動させる縦移動部材47と、を備える。
【0030】
ベースプレート座30は、揚水管12の内径と同一内径の貫通孔31を備える円環状の部材である。このベースプレート座30の外周部には、揚水管12のベースプレート13にボルト止めして固定するためのブラケット部32が周方向に所定間隔をもって設けられている。また、ベースプレート座30の上面には、所定曲率をなすように下向きに窪む球面凹部からなる下側第1摺接部33が設けられている。また、ベースプレート座30には、下側第1摺接部33上に位置するように、据付プレート座36との間を液密にシールするシール部材34を配設する配設溝35が円環状に設けられている。
【0031】
据付プレート座36は、吐出エルボ16の内径と同一内径の貫通孔37を備える円環状の部材である。この据付プレート座36の内周部には、吐出エルボ16の上流側フランジ部17の挿通孔17aにボルトを通して固定するためのボルト止め部38が設けられている。また、据付プレート座36の下面には、下側第1摺接部33と同一曲率をなすように下向きに突出する球面凸部からなる下側第2摺接部39が設けられている。この下側第2摺接部39をベースプレート座30の下側第1摺接部33上に配置することにより、ベースプレート座30の軸線に対する据付プレート座36の軸線の角度および間隔を、調整範囲内で調整(移動)することができる。
【0032】
ベースプレート座30および据付プレート座36は、経年的な運転(振動や熱)により互いに焼き付くことを防止するために、硬度が異なる素材によって形成されている。但し、同一硬度の素材により形成し、下側摺接部33,39の一方にハードクロムメッキを施し、下側摺接部33,39だけが硬度が異なる素材により形成される構成としてもよい。
【0033】
固定部材40は、ベースプレート座30に対して据付プレート座36を所定位置に調整した状態で、移動不可能に固定するボルトである。ベースプレート座30の下側第1摺接部33上には、周方向に所定間隔をもってボルト止め部41が設けられている。据付プレート座36の下側第2摺接部39上には、ベースプレート座30と同一軸線上に位置する初期位置に配置した状態で、ボルト止め部41と同一軸線上に位置するように大径のボルト遊嵌孔42が設けられている。ボルト遊嵌孔42上には球面座金43が配設され、固定部材40が球面座金43からボルト遊嵌孔42を通してボルト止め部41に締め付けられる。これにより、ベースプレート座30に対して希望位置に移動させた据付プレート座36をガタツキなく固定できる。また、据付プレート座36は、ボルト遊嵌孔42の範囲内において径方向に移動可能である。
【0034】
横移動部材44は、ベースプレート座30に対して据付プレート座36を横方向に移動させるジャッキボルトである。ベースプレート座30の下側第1摺接部33の外周部には環状枠45が設けられ、この環状枠45にボルト止め孔46が周方向に所定間隔をあけて設けられている。全ての横移動部材44を径方向外向きに緩め、所定の横移動部材44をボルト止め孔46に締め付けて、横移動部材44の先端で据付プレート座36の外周面を径方向に押圧することで、据付プレート座36を横方向に移動させることができる。また、希望位置に移動させた状態で、全ての横移動部材44を据付プレート座36の外周面に当接させることで、横方向の移動を規制できる。
【0035】
縦移動部材47は、ベースプレート座30に対して据付プレート座36を垂直(縦)方向上向きに移動させるジャッキボルトである。据付プレート座36の外周部には、軸方向に沿って貫通するボルト止め孔48が設けられている。縦移動部材47をボルト止め孔48に締め付けて、縦移動部材47の先端でベースプレート座30の上面を押圧することで、据付プレート座36を立て方向に移動させ、ベースプレート座30から離反させる。これにより、横移動部材44の操作により据付プレート座36を横方向に移動し易くなる。
【0036】
図2および
図3Bに示すように、第2軸芯調整機構49は、モータ床4上に配設される第2のベースプレート50と、ベースプレート50上に配設される第2のベースプレート座53と、モータケーシング26に一体的に設けられた第2の据付プレート座56とを備える。また、第2軸芯調整機構49は、ベースプレート座53(上側第1摺接部55)上に配置した据付プレート座56(上側第2摺接部58)を、希望位置で移動不可能に固定するための第2の固定部材59と、横方向に移動させるための第1および第2横移動部材63,66と、縦方向に移動させる第2の縦移動部材69と、を備える。
【0037】
ベースプレート50は、軸挿通孔5の内径と同一内径の貫通孔51を備える円環状の部材である。このベースプレート50の外周部には、モータ床4上に固定するためのブラケット部52が周方向に所定間隔をもって設けられている。そして、貫通孔51が軸挿通孔5と同一軸線上に位置するように固定される。
【0038】
ベースプレート座53は、貫通孔51の内径と同一内径の貫通孔54を備える円環状の部材である。このベースプレート座53の上面には、所定曲率をなすように上向きに突出する球面凸部からなる上側第1摺接部55が設けられている。
【0039】
据付プレート座56は、貫通孔51の内径と同一内径の貫通孔57を備えるモータケーシング26の下端外周部から径方向外向きに突出したフランジ状の部材である。この据付プレート座56の下面には、上側第1摺接部55と同一曲率をなすように上向きに窪む球面凹部からなる上側第2摺接部58が設けられている。この上側第2摺接部58をベースプレート座53の上側第1摺接部55上に配置することにより、ベースプレート座53の軸線に対する据付プレート座56の軸線の角度および間隔を、調整範囲内で調整(移動)することができる。
【0040】
ベースプレート50とベースプレート座53とは硬度が異なる素材によって形成され、ベースプレート座53と据付プレート座56は硬度が異なる素材によって形成されている。但し、同一硬度の素材により形成し、ベースプレート50の上面とベースプレート座53の下面の一方にハードクロムメッキを施し、下側摺接部55,58の一方にハードクロムメッキを施してもよい。
【0041】
固定部材59は、ベースプレート座53に対して据付プレート座56を所定位置に調整した状態で、移動不可能に固定するボルトである。第1固定部材と同様に、ベースプレート座53の上側第1摺接部55にボルト止め部60が設けられ、据付プレート座56の上側第2摺接部58にボルト遊嵌孔61が設けられている。また、ボルト遊嵌孔61上には球面座金62が配設され、固定部材59が球面座金62からボルト遊嵌孔61を通してボルト止め部60に締め付けられる。これにより、ベースプレート座53に対して希望位置に移動させた据付プレート座56をガタツキなく固定できる。また、据付プレート座56は、ボルト遊嵌孔61の範囲内において径方向に移動可能である。
【0042】
第1横移動部材63は、ベースプレート50に対してベースプレート座53を横方向に移動させるジャッキボルトである。ベースプレート50の外周部には第1環状枠64が設けられ、この第1環状枠64にボルト止め孔65が周方向に所定間隔をあけて設けられている。全ての第1横移動部材63を径方向外向きに緩め、所定の第1横移動部材63をボルト止め孔65に締め付けて、第1横移動部材63の先端でベースプレート座53の外周面を径方向に押圧することで、ベースプレート座53を横方向に移動させることができる。また、希望位置に移動させた状態で、各第1横移動部材63をベースプレート座53の外周面に当接させることで、横方向の移動を規制できる。
【0043】
第2横移動部材66は、ベースプレート座53に対して据付プレート座56を横方向に移動させるジャッキボルトである。ベースプレート座53の上側第1摺接部55の外周部には第2環状枠67が設けられ、この第2環状枠67にボルト止め孔68が周方向に所定間隔をあけて設けられている。全ての第2横移動部材66を径方向外向きに緩め、所定の第2横移動部材66をボルト止め孔68に締め付けて、第2横移動部材66の先端で据付プレート座56の外周面を径方向に押圧することで、据付プレート座56を横方向に移動させることができる。また、希望位置に移動させた状態で、各第2横移動部材66を据付プレート座56の外周面に当接させることで、横方向の移動を規制できる。
【0044】
縦移動部材69は、ベースプレート座53に対して据付プレート座56を垂直(縦)方向上向きに移動させるジャッキボルトである。据付プレート座56の外周部には、軸方向に沿って貫通するボルト止め孔70が設けられている。縦移動部材69をボルト止め孔70に締め付けて、縦移動部材69の先端でベースプレート座53の上面を押圧することで、据付プレート座56を立て方向に移動させ、ベースプレート座53から離反させる。これにより、第2横移動部材66の操作により据付プレート座56を横方向に移動し易くなる。
【0045】
図2に示すように、本実施形態では、第1軸芯調整機構29の下向きに湾曲した下側摺接部33,39の曲率中心と、第2軸芯調整機構49の上向きに湾曲した上側摺接部55,58の曲率中心とは、同一点に位置するように設定されている。しかも、その曲率中心Xは、回転軸23と中間軸27とを連結したカップリング28Aに位置するように設定している。これにより、カップリング28Aを基準として軸芯の位置調整を行うようにしている。
【0046】
図1および
図5に示すように、本実施形態の立軸ポンプ10には、ポンプ床2に配設したポンプケーシング11と、モータ床4に配設した駆動モータ24との上下位置関係(軸芯の位置ズレ)を容易に判断するための軸芯位置判断機構71が設けられている。この軸芯位置判断機構71は、自重により吊り下げられ、鉛直下向きに延びた状態を維持する下げ振り部材72である。この下げ振り部材72は線状部材73の下端に連結され、モータ床4側であるモータケーシング26から軸挿通孔5を通してポンプ床2側へ下向きに延びるように配設される。なお、線状部材73の上端はベースプレート座53に連結されている。また、ポンプケーシング11には、下げ振り部材72の下部に位置する枠台19に、ポンプケーシング11の初期設置位置を示す+字状の印部74aを有する突出部74が設けられている。初期設置位置では、下げ振り部材72が印部74a上に位置する。何らかの原因で床2,4が傾いたり、ポンプケーシング11または駆動モータ24が傾いたりした場合には、下げ振り部材72が印部74a上から離反する。
【0047】
図1および
図6に示すように、本実施形態の立軸ポンプ10には、吐出エルボ16および駆動モータ24が水平に設置されているか否か、また、水平状態を維持しているか否かを確認するための水準器75A,75Bが配設されている。第1の水準器75Aは、初期設置状態で水平面となるように形成した吐出エルボ16の枠台19の上面に配設されている。第2の水準器75Bは、初期設置状態で水平面となるように形成したモータケーシング26の据付プレート座56の上面に配設されている。なお、水準器75A,75Bは、球面状をなすように上向きに膨出した上面部76を備える。上面部76は透視可能な部材からなり、許容範囲内であるか否かを示す平面視円形状の指標線77を備える。また、内部には、指標線77より小さい気泡78が含まれるように液体が充填されている。気泡78が指標線77の内側に位置するか外側に位置するかにより、吐出エルボ16および据付プレート座56が水平(許容範囲内)に設置されているか否かを判断できる。
【0048】
図1に示すように、本実施形態の立軸ポンプ10には、可撓管21の反対側に位置するように吐出エルボ16に支持部材79が配設されている。この支持部材79は、吐出エルボ16の枠台19の側面に固定した第1アーム部80と、ポンプ床2に固定した第2アーム部81とを備える。これらアーム部80,81は同一軸線上に位置し、ポンプ床2に対して任意(例えば45度)の傾斜角度で延びるように設けられる。各アーム部80,81の対向する自由端には球座82,82が配設され、外周部が保持部材83によって移動可能に保持されている。球座82,82の間には台形状をなす空隙部が設けられ、その空隙部に楔部材84が配設されている。この楔部材84を介して一対のアーム部80,81が連続し、可撓管21の配設によってポンプケーシング11に加わる推力に抗して吐出エルボ16を支持できる。また、ポンプケーシング11が傾斜すると、アーム部80,81の端部が接近または離間する。そうすると、逆台形状をなす楔部材84が移動することにより、楔部材84を介して一対のアーム部80,81が連続した状態を維持(全長を調節可能)する。
【0049】
この立軸ポンプ10をポンプ機場に設置する際には、例えば、羽根車ケース14および吸込ベルマウス15をポンプ床2のポンプ挿通孔3に挿通し、ベースプレート13をポンプ床2に固定する。ベースプレート13の上面にはベースプレート座30が固定されている。ついで、揚水管12の内部に羽根車22を連結した回転軸23を配設するとともに、揚水管12の上部に据付プレート座36を固定した吐出エルボ16を配設する。
【0050】
この際、水準器75Aに基づいて吐出エルボ16の枠台19が水平に位置し、かつ、揚水管12の軸線、回転軸23の軸線、吐出エルボ16の枠台19の軸線が同一線上に位置するように、横移動部材44によって調整し、固定部材40によって揚水管12と吐出エルボ16とを固定する。また、吐出エルボ16の下流側フランジ部18に可撓管21および送水管20を接続するとともに、吐出エルボ16とポンプ床2との間に支持部材79を配設する。
【0051】
次に、モータ床4の軸挿通孔5上にベースプレート50を固定するとともに、ベースプレート50上にベースプレート座53を配設する。ついで、据付プレート座56を有するモータケーシング26を配設する。この際、水準器75Bに基づいて据付プレート座56が水平に位置するように、第2横移動部材66によって調整する。また、下げ振り部材72が印部74a上に位置するように、ベースプレート50の位置を第1横移動部材63によって調整する。
【0052】
最後に、回転軸23と、回転軸23の鉛直上方に位置する駆動モータ24の出力軸25との間に中間軸27を配置し、カップリング28A,28Bによって連結する。これにより、
図1に示すように、ポンプ床2にポンプケーシング11を吊り下げて設置し、モータ床4に制御手段を含む駆動モータ24を設置した2床式の立軸ポンプ10が構築される。
【0053】
この立軸ポンプ10は、地震等によってポンプ機場に予期しない負荷が生じた場合、各床2,4に配設した水準器75A,75Bを確認することで、吐出エルボ16および駆動モータ24の据付プレート座56の傾きを判断できる。また、下げ振り部材72を確認することで、駆動モータ24とポンプケーシング11の位置関係(出力軸25と回転軸23の位置ズレ)を判断できる。即ち、立軸ポンプ10を施工する専門の作業者を呼ぶことなく、水準器75A,75Bおよび下げ振り部材72を確認することで、簡単に運転の可否を判断できる。そして、モータケーシング26の傾きが許容範囲内である場合には、出力軸25と回転軸23の軸芯の位置ズレを再調整し、直ぐに運転を再開することができる。
【0054】
具体的には、
図7Aに示すように、ポンプ床2が左側から右側へ向けて上向きに水平線に対して傾斜角αで傾斜し、モータ床4が右側から左側へ異なる向きで上向きに傾斜角βで傾斜する。この場合、回転軸23の軸線L1は垂直方向に延びる基準線L0に対して傾斜角αで傾斜し、出力軸25の軸線L2は基準線L0に対して傾斜角βで傾斜する。そして、中間軸27の軸線L3は、傾斜角α,βに従って傾斜する。
【0055】
または、
図8Aに示すように、ポンプ床2が左側から右側へ向けて上向きに水平線に対して傾斜角αで傾斜し、モータ床4が左側から右側へ同じ向きで上向きに傾斜角γで傾斜する。この場合、回転軸23の軸線L1は垂直方向に延びる基準線L0に対して傾斜角αで傾斜し、出力軸25の軸線L2は基準線L0に対して傾斜角γで傾斜する。そして、中間軸27の軸線L3は、傾斜角α,γに従って傾斜する。
【0056】
なお、これらのように床2,4が傾いたとしても、ポンプケーシング11と送水管20とは、変形可能な可撓管21によって接続状態を確実に維持できる。
【0057】
出力軸25と回転軸23の軸芯の位置ズレを再調整する場合、まず、第1軸芯調整機構29の固定部材40および横移動部材44を緩めるとともに、支持部材79の保持部材83および楔部材84を緩め、ポンプケーシング11の吐出エルボ16の位置(傾き)を調整する。具体的には、水準器75Aを見ながら、据付プレート座36の傾斜した下側に位置する縦移動部材47を、据付プレート座36が水平になるまで締め付ける。据付プレート座36が水平になると、所定位置の横移動部材44を締め付けて、回転軸23の軸線L1が基準線L0に一致するように調整する。そして、軸線L1が基準線L0に一致すると、すべ得ての横移動部材44を据付プレート座36に当接させて位置決めするとともに、固定部材40を締め付けて移動不可能に固定する。また、一対のアーム部80,81間の空隙に楔部材84を打ち込んで支持部材79の全長を調節し、再調整後の運転時の推力にも確実に対抗できるようにする。
【0058】
次に、第2軸芯調整機構49の固定部材59を緩めるとともに第1および第2横移動部材63,66を緩めて、モータケーシング26の位置(傾き)を調整する。具体的には、水準器75Bを見ながら、据付プレート座56の下側に位置する縦移動部材69を、据付プレート座56が水平になるまで締め付ける。据付プレート座56が水平になると、下げ振り部材72を見ながら、所定位置の第2横移動部材66を締め付けて、出力軸25の軸線L2が基準線L0に一致するように調整する。また、第2横移動部材66による調整では、軸線L2と基準線L0とを一致させることができない場合には、第1横移動部材63の調整によりベースプレート座53毎移動させる。そして、軸線L2が基準線L0に一致すると、全ての第2横移動部材66を据付プレート座56に当接させて位置決めするとともに、固定部材59を締め付けて移動不可能に固定する。また、全ての第1横移動部材63をベースプレート座53に当接させて位置決めする。
【0059】
なお、中間軸27は、回転軸23および出力軸25の軸芯調整に連動して調整される。これにより、
図7Bおよび
図8Bに示すように、床2,4の傾斜により傾いた回転軸23、出力軸25および中間軸27の軸芯を直線上に位置させることができる。特に、上下に離れた回転軸23と出力軸25の位置調整作業は、モータ床4側に吊り下げて配設した下げ振り部材72により容易に設定位置を判断できる。
【0060】
このように、本発明の立軸ポンプ10では、ポンプケーシング11の揚水管12と吐出エルボ16とに球面状の下側摺接部33,39を設けるとともに、モータ床4側とモータケーシング26側とに球面状の上側摺接部55,58を設けているため、カップリング28A,28Bを分解することなく、出力軸25と回転軸23とが同一軸線上に位置するように再調整できる。
【0061】
よって、ポンプケーシング11の傾きが許容範囲内である場合、大掛かりな工事を伴うことなく、直ぐに運転可能な状態に復旧できる。特に、本実施形態では、横移動部材44,66を設け、吐出エルボ16およびモータケーシング26を揺動させるように横方向に微動できるため、出力軸25および回転軸23を同一軸線上に位置するように確実に調整し、固定することができる。また、縦移動部材47,69を設けているため、経年的な圧着により固くなった第1摺接部33,55と第2摺接部39,58とを確実に離反し、横方向に移動させることができる。
【0062】
一方、ポンプケーシング11が許容範囲を超えて傾いている場合には、ポンプ床2とベースプレート13との間にエポキシ樹脂等のスペーサを配設し、ポンプケーシング11の傾きを許容範囲内とし、第1軸芯調整機構29によって同様に調整する。同様に、モータケーシング26が許容範囲を超えて傾いている場合には、モータ床4とベースプレート50との間にエポキシ樹脂等のスペーサを配設し、モータケーシング26の傾きを許容範囲内とし、第2軸芯調整機構49によって調整する。また、複数の軸芯調整機構29,49を複数段重ねて配設し、調整可能な範囲を広げることもできる。
【0063】
なお、本発明のポンプは、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、前記実施形態では、駆動モータ24をポンプ床2上のモータ床4に配設した2床式の立軸ポンプ10を用いて説明したが、
図9に示すように、ポンプ床2にモータ載置部8を形成した1床式の立軸ポンプ10であっても同様に適用可能である。即ち、同一のポンプ床2上にポンプケーシング11と駆動モータ24とを配設しても、ポンプ床2の変形は均一でない場合が多い。特に、モータ載置部8を打設している場合には、ポンプ床2の変形が不均一になる。この場合でも、ポンプケーシング11に第1軸芯調整機構29を配設することにより、変速機85を介して連結する回転軸23と出力軸25とを、運転可能な所定方向に再調整することができる。
【0065】
また、固定部材40、横移動部材44および縦移動部材47は前記構成に限られず、前記と同様の目的を達成できる構成であれば、適用可能である。また、ポンプは回転軸23を縦方向に延びるように配設したポンプ10に限らず、羽根車ケース14を軸線が水平方向に延びるように配管して回転軸23を横方向に延びるように配設した横軸ポンプであってもよい。