(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060080
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】キャップ及び容器
(51)【国際特許分類】
B65D 41/34 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
B65D41/34
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-533393(P2013-533393)
(86)(22)【出願日】2011年9月14日
(86)【国際出願番号】JP2011070936
(87)【国際公開番号】WO2013038515
(87)【国際公開日】20130321
【審査請求日】2014年6月25日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(72)【発明者】
【氏名】城田 章義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克幸
【審査官】
藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−001158(JP,A)
【文献】
特開平10−152156(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第2001−0008861(KR,A)
【文献】
特開2006−160301(JP,A)
【文献】
特開2009−234640(JP,A)
【文献】
特開2008−114879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天壁の外周部から垂下し容器口部に螺着するスカート壁を備え、スカート壁の上部に位置する洗浄液導入用の複数の洗浄孔と、前記スカート壁の下方に位置する洗浄液導出用の複数の排出口とを有する一方、前記天壁及び前記スカート壁を有するキャップ本体内に、キャップ本体とは別体であって前記容器口部を密封するパッキンを備えるとともに、前記パッキンは、前記容器口部の外周面に密接するサイドシール部を有し、さらに、前記スカート壁は、前記洗浄孔よりも上方に位置し、かつ前記スカート壁の内周面の上部を占めるパッキン押さえブロックを有し、前記パッキン押さえブロックの内周面の内径は、前記パッキン押さえブロックより下部のスカート壁内周面の内径よりも小さく構成されているとともに、
前記洗浄孔は、前記スカート壁が容器口部に螺着し前記パッキンが容器口部を密封する装着状態にあるときに前記パッキンの前記サイドシール部の下端よりも下方に位置するよう構成されている一方、前記パッキン押さえブロックは、前記パッキンの前記サイドシール部の下端よりも下方にまで延設されており、さらに、前記洗浄孔は、前記パッキン押さえブロックよりも下方に位置している2ピースキャップであって、
少なくとも一つの前記洗浄孔は前記各排出口の直上からスカート壁の周方向に離れた位置にあるとともに、
前記洗浄孔のバリが開栓の際に前記パッキンを持ち上げることが無いように前記洗浄孔は、前記スカート壁が容器口部に螺着し前記パッキンが容器口部を密封する装着状態にあるときに前記パッキン押さえブロックより下部のスカート壁内周面と前記パッキンの前記サイドシール部の外周面との間にクリアランスが存在する部位に位置することを特徴とするキャップ。
【請求項2】
破断可能なブリッジを介して前記スカート壁の下部に連なるタンパーエビデンスバンドを備え、前記排出口は該タンパーエビデンスバンドの内周側に位置する請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記洗浄孔は略筒状の前記スカート壁の周方向に等ピッチまたは不等ピッチで複数存在し、前記排出口は略環状の前記タンパーエビデンスバンドの周方向に等ピッチまたは不等ピッチで複数存在する請求項2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記洗浄孔と前記排出口との個数が異なる請求項1に記載のキャップ。
【請求項5】
前記排出口の個数が2〜8個である請求項1に記載のキャップ。
【請求項6】
前記洗浄孔は、スカート壁が容器口部に螺着した装着状態にあるときに容器口部の上端から下方に1〜2.2mmの範囲にあり、スカート壁の周方向に1〜6mmの範囲で延びるスリット状の孔である請求項1に記載のキャップ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のキャップを備えたことを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば洗浄液を用いた洗浄をキャッピング後に行うのに適したキャップ及びこれを備えた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
果汁飲料等の液体を容器に充填する際、その液体が零れて容器の口部まわりに残留すると、その残留物が、黴の発生原因となったり、キャップの開栓トルクの不要な増大を招いたりし兼ねない。この問題の解決方法の一つは、キャッピング後の容器に対して、キャップのスカート壁とタンパーエビデンスバンドとを繋ぐ複数のブリッジの間からキャップと容器口部との間に洗浄液を流入させることである(特開2001−130518号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記方法によれば、ブリッジ間からキャップ内に流入した洗浄液が残留物を除去する。しかし、斯かる洗浄の用に供するパストライザーの多くは洗浄液を容器の天面側から散水(シャワー)するだけのものであるため、実際には洗浄液がキャップの下部にあるブリッジ間からキャップ内へうまく流入しない恐れがある。
【0004】
この発明は、上記の事柄に留意してなされたものであり、その目的は、容器の天面側から散水するだけのパストライザー等によっても良好に洗浄することのできるキャップ及び容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、この発明のキャップは、天壁の外周部から垂下し容器口部に螺着するスカート壁を備え、スカート壁の上部に位置する洗浄液導入用の複数の洗浄孔と、前記スカート壁の下方に位置する洗浄液導出用の複数の排出口とを有する一方、前記天壁及び前記スカート壁を有するキャップ本体内に、キャップ本体とは別体であって前記容器口部を密封するパッキンを備えるとともに、前記パッキンは、前記容器口部の外周面に密接するサイドシール部を有し、さらに、前記スカート壁は、前記洗浄孔よりも上方に位置し、かつ前記スカート壁の内周面の上部を占めるパッキン押さえブロックを有し、前記パッキン押さえブロックの内周面の内径は、前記パッキン押さえブロックより下部のスカート壁内周面の内径よりも小さく構成されている
とともに、
前記洗浄孔は、前記スカート壁が容器口部に螺着し前記パッキンが容器口部を密封する装着状態にあるときに前記パッキンの前記サイドシール部の下端よりも下方に位置するよう構成されている
一方、前記パッキン押さえブロックは、前記パッキンの前記サイドシール部の下端よりも下方にまで延設されており、さらに、前記洗浄孔は、前記パッキン押さえブロックよりも下方に位置している2ピースキャップであって、
少なくとも一つの前記洗浄孔は前記各排出口の直上からスカート壁の周方向に離れた位置にあるとともに、
前記洗浄孔のバリが開栓の際に前記パッキンを持ち上げることが無いように前記洗浄孔は、前記スカート壁が容器口部に螺着し前記パッキンが容器口部を密封する装着状態にあるときに前記パッキン押さえブロックより下部のスカート壁内周面と前記パッキンの前記サイドシール部の外周面との間にクリアランスが存在する部位に位置することを特徴としている(請求項1)。
【0006】
また、この発明では、上記キャップが、破断可能なブリッジを介して前記スカート壁の下部に連なるタンパーエビデンスバンドを備え、前記排出口は該タンパーエビデンスバンドの内周側に位置していてもよく(請求項
2)、この場合、前記洗浄孔は略筒状の前記スカート壁の周方向に等ピッチまたは不等ピッチで複数存在し、前記排出口は略環状の前記タンパーエビデンスバンドの周方向に等ピッチまたは不等ピッチで複数存在していてもよい(請求項
3)。
【0007】
上記キャップにおいて、前記洗浄孔と前記排出口との個数が異なっていてもよく(請求項
4)、前記排出口の個数が2〜8個であってもよい(請求項
5)。
【0008】
上記キャップにおいて、前記洗浄孔は、スカート壁が容器口部に螺着した装着状態にあるときに容器口部の上端から下方に1〜2.2mmの範囲にあり、スカート壁の周方向に1〜6mmの範囲で延びるスリット状の孔であってもよい(請求項
6)。
【0009】
【0010】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の容器は、請求項1〜
6の何れか1項に記載のキャップを備えたことを特徴とする(請求項
7)。
【発明の効果】
【0012】
各請求項に係る発明では、容器の天面側から散水するだけのパストライザー等によっても良好に洗浄することのできるキャップ及び容器が得られる。
【0013】
すなわち、各請求項に係る発明のキャップでは、容器の天面側から洗浄液を散水するだけのパストライザー等であってもその洗浄液がスカート壁の上部にある洗浄孔からキャップ内に効率よく流入するので、良好な洗浄を行える。
【0014】
また、少なくとも一つの洗浄孔は各排出口の直上からスカート壁の周方向に離れた位置にあるので、その洗浄孔からキャップ本体と容器口部との間に入った洗浄液は、仮にストレートに流下しても、その直下には排出口は存在しないので、キャップ外へ流出するまでの間に必ずタンパーエビデンスバンドの周方向にも流れることになり、それだけ洗浄液による洗浄効果は高まる。
【0015】
請求項
6に係る発明のキャップでは、洗浄孔を容器口部の上端から下方に2.2mm以内の範囲に設けるので、容器口部の上部やスカート壁の上部にまで洗浄液がうまく行き渡らないという不都合が起こらず、充分な洗浄を確実に行える。尚、同キャップでは、パッキンのサイドシール部(
図1の符号7c参照)によって塞がれない位置に洗浄孔を設けておくことにより、容器口部の外周面に密接するサイドシール部による洗浄の阻害を確実に回避することができる。
【0016】
請求項
6に係る発明のキャップではまた、洗浄孔をスカート壁の周方向に1mm以上延ばすので、洗浄液が洗浄孔からキャップ内に良好に導入され、また、洗浄孔の幅は6mm以下であるので、洗浄孔からの微小な異物の侵入、見栄えや強度の低下等を問題とならない程度に抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の一実施の形態に係る容器の部分断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1 天壁
2 スカート壁
3 ブリッジ
4 タンパーエビデンスバンド
7 パッキン
8 洗浄孔
9 排出口
10 パッキン押さえブロック
11 螺子切り始め部
M 容器口部
M1 環状突起
w 幅
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
本発明の一実施の形態に係る容器が備えるキャップは、
図1に示すように、容器口部Mに螺着するピルファープルーフキャップである。すなわち、天壁1の外周部から垂下するスカート壁2と、破断可能なブリッジ3を介してスカート壁2の下部に連なるタンパーエビデンスバンド(以下、バンドと略称する)4とを備え、バンド4の内周側にはフラップ5が延び、フラップ5は容器口部Mの環状突起M1に係合可能である。従って、開栓時に、天壁1及びスカート壁2を有するキャップ本体6は容器口部Mから離脱するが、バンド4は容器口部Mにとどまり、キャップ本体6(スカート壁2)とバンド4とをつなぐブリッジ3は破断する。
【0021】
本キャップはまた、合成樹脂製のキャップであって、容器口部Mを密封するパッキン7をキャップ本体6内に備えた所謂2ピースキャップである。すなわち、キャップ本体6とバンド4は合成樹脂からなる一体成形品であり、パッキン7はこれとは別体の合成樹脂製の部材である。尚、パッキン7は、容器口部Mの上面に当接する円盤状の天板7aと、天板7aから垂下し容器口部Mの内周面に密接する中足7bと、天板7aの外周側から下方へと湾曲し容器口部Mの外周面に密接するサイドシール部7cとを有する(
図1参照)。
【0022】
そして、本キャップは、容器の天面側から散水するだけのパストライザーによる洗浄に対応するように、スカート壁2の上部に位置する洗浄孔(洗浄液導入孔)8と、バンド4の内周側に位置する排出口(洗浄液導出孔)9とを有する(
図1、
図2、
図4参照)。
【0023】
洗浄孔8は、スカート壁2の周方向に延びスカート壁2を貫通するスリット状の孔であり、スカート壁2の周方向に間隔をおいて(等ピッチで)四つ存在する(
図2、
図4参照)。
【0024】
ここで、洗浄孔8は、スカート壁2の周方向に1〜6mmの範囲で延び、換言すれば、洗浄孔8の幅w(
図2参照)は1〜6mmである。幅wが1mm未満であると洗浄液が洗浄孔8からキャップ内に入り難くなり、幅wが6mm超であると、洗浄孔8からの微小な異物の侵入、見栄えや強度の低下等が問題化する恐れがある。
【0025】
洗浄孔8はまた、キャップが容器口部Mに螺着した状態(装着状態)にあるときに、容器口部Mの上端から下方に1mm以上離れた範囲に位置するように存在し、換言すれば、洗浄孔8の容器口部Mの上端からの距離d(
図1参照)は、1mm以上の範囲にある。
【0026】
ここで、距離dが1mm未満であると、パッキン7が洗浄孔8を塞ぎ洗浄を阻害する可能性がある。また、
図1、
図2、
図4に示すように、スカート壁2の内周面の上部はパッキン押さえブロック(以下、ブロックと略称する)10が占めており、距離dが1mm未満であると、洗浄孔8がこのブロック10を貫くようにして形成されてしまう可能性、ひいては、キャップのタンパーエビデンス機能を損失する可能性を高めることになる。つまり、例えばスカート壁2の一部を外側からカッターで切断して洗浄孔8を形成したときに、スカート壁2の内周面側に所謂バリが出来る可能性がある。そして、洗浄孔8がブロック10を貫く位置にあれば、バリはブロック10の内周面に形成されることになる。ブロック10の内周面は小径であり、しかもパッキン7のすぐ近くにあるので、ブロック10の内周面にバリが存在すると、開栓の際にそのバリがパッキン7に当たり、パッキン7がバリによって持ち上がる可能性は高く、この場合、タンパーエビデンス機能が損なわれる可能性も高くなる。
【0027】
尚、距離dが1mm以上であれば、洗浄孔8は、スカート壁2が容器口部Mに螺着しパッキン7が容器口部Mを密封する装着状態にあるときにパッキン7のサイドシール部7cの下端よりも下方に位置し(
図1参照)、さらにはブロック10よりも下方に位置することになり、ブロック10の下方では、スカート壁2の内周面とパッキン7のサイドシール部7cの外周面との間に0.2mm以上のクリアランスA(
図1、
図2参照)が存在するので、突出量は高々0.1mm程度のバリが開栓の際にパッキン7を持ち上げることは無く、タンパーエビデンス機能は確実に保証されることになる。
【0028】
また、
図7に示すように、容器口部Mは、容器口部Mの上端から下方に距離D(
図1も参照)として1.7mm離れた位置に螺子切り始め部11を有し、容器口部Mの上端から下方に距離D’として2.2mm離れた位置に洗浄限界部11’を有する。ここで、螺子切り始め部11は、容器口部Mの上端部の外周面上を通る鉛直線L1と、容器口部Mにおいて最上に位置する螺子山の上面側に設けられた傾斜角度が一定の傾斜面上を通る傾斜線L2との交点P1と同じ高さ位置に存在する。また、洗浄限界部11’は、容器口部Mにおいて最上に位置する螺子山の外周面上を鉛直方向に通る鉛直線L3と傾斜線L2との交点P2と同じ高さ位置に存在する。そして、距離dが距離D(1.7mm)以内であれば、容器口部Mの上部やスカート壁2の上部にまで洗浄液が行き渡り、充分な洗浄を行える。さらに、距離dが距離D(1.7mm)超であっても距離D’(2.2mm)以内であれば、洗浄液は最上の螺子山の上面(傾斜線L2が通る面)によって上側に向かって流れるように案内され、容器口部Mの上部やスカート壁2の上部の洗浄を行えると考えられる。距離dが距離D’(2.2mm)超であると、容器口部Mの上部やスカート壁2の上部にまで洗浄液がうまく行き渡らず、充分な洗浄を行えない可能性がある。すなわち、本例の距離dは、1〜2.2mm(好ましくは1〜1.7mm)の範囲にある。
【0029】
排出口9は、バンド4の下部の折り返し部分を切り欠いた形状を呈する孔であり、バンド4の周方向に間隔をおいて(等ピッチで)五つ存在する(
図2〜
図4参照)。
【0030】
上記のように、洗浄孔8は四つであるのに対して、排出口9は五つであり、両者8,9の個数は異なる。そして、少なくとも一つの洗浄孔8は各排出口9の直上からスカート壁2の周方向に離れた位置にあるようにすれば、その洗浄孔8からキャップ本体6と容器口部Mとの間に入った洗浄液は、仮にストレートに流下しても、その直下には排出口9は存在しないので、キャップ外へ流出するまでの間に必ずバンド4の周方向にも流れることになり、それだけ洗浄液による洗浄効果は高まる。
【0031】
例えば、本キャップを備えた容器の内容物が耐熱性を有する場合、パストライザーがその内部を通過するこの容器に浴びせるシャワー水(洗浄液)の温度は、その入口から出口に向かって徐々に下がり、入口付近では80℃前後、出口付近では30℃前後である。従って、パストライザーの入口付近では、本キャップは熱水を浴びて温まり、洗浄孔8は
図5に示すように開いてシャワー水が入り易くなるので、洗浄孔8の幅wは1〜2mm程度であっても十分な洗浄を行える。加えて、シャワー水の粘性は高温ほど低くなり、斯かる高温のシャワー水がキャップと容器口部Mの間の隅々にまで行き渡るので、これによっても洗浄効果は高まることになる。また、容器がパストライザーの出口に近づくにつれ、シャワー水の温度は低下し、これに伴って洗浄孔8が狭まるとともにシャワー水の粘性が上がるため、シャワー水は本キャップ内へ入り難くなり、故に、水切り性が良好となる上、先にキャップ内に流入するほど汚れをより多く含むことになる粘性の比較的高い水は、後から流入する粘性の比較的低い水によって汚れと共に絡めとられるようにして洗い流され、排出口9から排出されることになるので、非常に効果的な洗浄を行える。
【0032】
また、本キャップを備えた容器の内容物が常温充填される炭酸水等である場合、この容器が浴びるシャワー水の温度は、内容物が耐熱性である上記の場合よりも低くなるが、キャップの洗浄孔8の幅wを6mm程度にしておくことにより、充分な洗浄を行える。
【0033】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0034】
洗浄孔8、排出口9の個数は、それぞれ4個、5個に限らず、種々に変更可能である。例えば、洗浄孔8の個数は2〜16個、好ましくは2〜8個とし、排出口9の個数は2〜8個、好ましくは4〜6個とすることができる。但し、洗浄性の観点から、両者8,9がそれぞれスカート壁2、バンド4の周方向に等間隔で複数位置していることが好ましい。また、洗浄孔8の直下に排出口9を設けないことが洗浄液の流域拡大による洗浄性向上の点で望ましいが、洗浄孔8を後加工で形成する関係上、排出口9に対する洗浄孔8の位置を特定して形成するのが困難な場合もある。そこで、そのような場合には、両者8,9の個数を互いに異ならせつつ、両者8,9を共に周方向に等間隔で設けるのが洗浄性の点では最も有効である。しかし、例えば、洗浄孔8、排出口9の何れか一方(例えば洗浄孔8)のみを周方向に等間隔(等ピッチ)で設け、他方(例えば排出口9)を周方向に等間隔とならないように(不等ピッチで)設けるようにしてもよく、両方を不等ピッチで設けてもよい。勿論、両者8,9の個数を等しくしつつ、両者8,9の位置を周方向にずらすようにしてもよい。
【0035】
容器口部Mは、容器口部Mの上端から下方に1.7mmより離れた位置に螺子切り始め部11を有していてもよい。
【0036】
図1に示すように、本キャップのスカート壁2は、容器口部Mの雄ねじ部M2に螺合する雌ねじ部12を有し、この雌ねじ部12は、
図4に示すように、スカート壁2の周方向に複数に分断された小片状の突起13からなり、隣り合う突起13間には洗浄液の通り道となる縦溝14が存在する。そこで、
図4に示すように、複数の縦溝14が上下に連なっているような場合には、各縦溝14の直下から周方向に避けた位置に少なくとも一つの排出口9(望ましくは各排出口9)を設けるようにすれば、洗浄液の流域を広げることができ、それだけ洗浄液による洗浄効果を高めることができる。また、複数の縦溝14が上下に並ばないように互いに周方向にずれるようにしても同様の効果が得られる。
【0037】
図6は参考例を示し、このキャップは、キャップ本体6が容器口部Mを密閉する中足(インナーリング)1aと外足(アウターリング)1bとを有する1ピースキャップである。すなわち、中足1a、外足1bはそれぞれパッキン7の中足7b、サイドシール部7cに相当する部位である。尚、1ピースキャップである場合、バリによるパッキン7の持ち上げの問題は生じないので、洗浄孔8の高さ位置を規定する距離dを上記範囲(1〜2.2mm)外に設定することができ、ブロック10も不要となる。
【0038】
また、
図2に示すスカート壁2の外面の全周にわたるローレット15の山数は120個であるが、この山数や山の高さ等も任意に変更可能である。例えば、参考例の1ピースキャップの場合には、一般的に開栓トルクが2ピースキャップよりも大となるので、力を掛けやすいように山を高くしつつローレット15の山数を120未満としてもよく、
図6には山数を60とした例を示している。
【0039】
フラップ5は、拡径方向に弾性変形可能であり、容器口部Mに対するキャップの装着時には弾性変形して環状突起M1を乗り越え、乗り越えた後は弾性復帰してこの環状突起M1に係止するものであればよく、
図2〜
図4には連続蛇腹状のフラップ5を示している。、
図6の参考例では、フラップ5が周方向に間隔をおいて並ぶ複数の係止片5aからなり、この場合、隣り合う係止片5aの間隔が排出口9となる。
【0040】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。