【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔ウェブサイトの掲載日〕 2013年10月8日 〔ウェブサイトのアドレス〕 https://www.youtube.com/watch?v=Rj4NxUHw−X0&list=FLBom_Z−0CHkbNHQesOvZRLg http://www.s−sleep.com/ 〔公開者〕 根橋 豊光 〔公開された発明の内容〕 サポート具及び袋体
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
支持面及び反支持面間の閉じ空間に水などの非圧縮性流体を収容した伸縮性の袋体で形成され前記非圧縮性流体の圧力と前記袋体の張力とにより人体の一部を前記支持面で支えるサポート具であって、
前記袋体は、前記支持面側を前記反支持面側に対して結合する部分的な結合部と、前記支持面に予め設定された膨出支持予定部とを備え、
前記支持面及び反支持面間で前記結合部の周りを移動する前記非圧縮性流体の圧力を前記膨出支持予定部に働かせて該圧力と前記袋体の張力とにより膨出支持形状を形成する膨出支持部と、前記支持面及び反支持面間で前記膨出支持部に連通し該膨出支持部に対する相対的な圧縮で前記膨出支持部側に向かう非圧縮性流体の移動により前記圧力を発生させる圧縮支持部とを構成可能にし、
前記非圧縮性流体を収容した袋体の支持面は、人体の頭部を支持するものであり、
前記非圧縮性流体を収容した袋体の支持面に、前記頭部を収容させる凹部を備え、
前記結合部は、前記凹部内に配置され、
前記圧縮支持部は、前記相対的な圧縮を前記頭部により行わせる後頭部支持部であり、
前記膨出支持部は、前記圧縮支持部に対し前記結合部を挟むように配置されて人体の頸椎を支持する膨出支持形状となる頸椎支持部であり、
前記頸椎支持部の表面は、主に双曲放物面の一部により構成した、
ことを特徴とするサポート具。
【発明を実施するための形態】
【0016】
人体の凹凸に合わせてサポートする場合に、様々な人に適用し易くすることを可能にするという目的を、支持面及び反支持面間の閉じ空間に水などの非圧縮性流体を収容した伸縮性の袋体で形成され前記非圧縮性流体の圧力と前記袋体の張力とにより人体の一部を前記支持面で支えるサポート具であって、前記袋体は、前記支持面側を前記反支持面側に対して結合する部分的な結合部と、前記支持面に予め設定された膨出支持予定部とを備え、前記支持面及び反支持面間で前記結合部の周りを移動する前記非圧縮性流体の圧力を前記膨出支持予定部に働かせて該圧力と前記袋体の張力とにより膨出支持形状を形成する膨出支持部と、前記支持面及び反支持面間で前記膨出支持部に連通し該膨出支持部に対する相対的な圧縮で前記膨出支持部側に向かう非圧縮性流体の移動により前記圧力を発生させる圧縮支持部とを構成可能にすることにより実現した。
【0017】
前記非圧縮性流体を収容した袋体の支持面は、人体の頭部を支持するものであり、前記非圧縮性流体を収容した袋体の支持面に、前記頭部を収容させる凹部を備え、前記結合部は、前記凹部内に配置され、前記圧縮支持部は、前記相対的な圧縮を前記頭部により行わせる後頭部支持部であり、前記膨出支持部は、前記圧縮支持部に対し前記結合部を挟む前記凹部の両側に配置されて人体の頸椎を支持する膨出支持形状となる頸椎支持部であってもよい。
【0018】
前記膨出支持部は、前記頸椎支持部及び圧縮支持部が前記結合部を挟んで配置された方向に交差して前記凹部の両側に配置され人体の顎を支持する膨出支持形状となる顎支持部を備え、前記凹部に乗せた頭部が横向きになることで前記顎支持部は人体の肩幅に合わせて頸部が側屈(頭が落下しない高さ)しない肩幅に応じた高さに合わせて高さを増すように膨出してもよい。
【0019】
前記非圧縮性流体を収容した袋体の支持面は、人体の臀部を支持するものであり、前記非圧縮性流体を収容した袋体の支持面に、凹部を備え、前記結合部は、前記凹部内に配置され、前記圧縮支持部は、前記相対的な圧縮を着座した人の脚により行わせる脚支持部であり、前記膨出支持部は、前記脚支持部に対し前記結合部を挟んで配置され人体の骨盤を支持して後傾を規制し前傾を誘発する膨出支持形状となる骨盤支持部であってもよい。
【0020】
前記袋体の内部又は外部に空気袋を備えてもよい。
【0021】
サポート具を構成する袋体であって、前記結合部及び膨出支持予定部を備え、前記非圧縮性流体を注入、排出可能な開閉自在な注入口を備えた。
【実施例1】
【0022】
[枕の構造]
図1(a)は、枕の平面図、(b)は、同正面図、
図2(a)は、
図1(a)のA−A線矢視断面図、(b)は、
図1(a)のB−B線矢視断面図、
図3は、枕を仰臥位で使用した状態を示し、(a)は、平面図、(b)は、(a)のC−C線矢視断面図である。なお、以下の説明において、仰臥位の使用者の頭部が正しく載置された状態で使用者の頭頂方向を枕の先端方向、使用者の首方向を同基端方向、使用者の左右方向が同左右方向を意味する。
【0023】
図1〜
図3のように、サポート具は、枕1として構成されている。枕1は、支持面1a及び反支持面1b間の閉じ空間に非圧縮性流体、例えば水を収容して立体形状となる袋体としての枕本体2を備えている。水を収容した枕本体2は、水の圧力と袋体の張力とにより人体の一部、すなわち使用者Uの頭部Hを支持面1a側で支持するものである。この枕本体2は、結合部4a及び第1の膨出支持予定部7を備え、水を注入、排出可能な注入口3を備えている。
【0024】
枕本体2は、伸縮性の袋体であり、非透水性で伸縮性のある合成樹脂の膜材料で形成されている。伸縮性の膜材料としては、例えばアクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ポリウレタンなどの合成ゴム膜材料が選択可能である。この膜材料は、比重が水と同じか近いものが採用されている。但し、枕本体2の膜材料は、第1の膨出支持予定部7に働く水の圧力により後述の膨出支持部を膨出形成できればよく、限定されるものではない。
【0025】
結合部4aは、支持面1a側と反支持面1b側とを部分的に結合したものである。この結合部4aは、枕本体2が支持面1a側を反支持面1b側間で接着或いは溶着などによって円形状に結合されたものである。結合部4aの内周側には通気孔8が貫通形成されている。
【0026】
水を収容した枕本体2として説明すると、支持面1aの略中央には、頭部Hを収容させる凹部である陥凹支持部として第1上面側凹部4を備えている。第1上面側凹部4は、頭部Hを中央部で圧を逃がしながら支持するように支持面1aにおいて周囲より高さが低く形成されている。このため、第1上面側凹部4内に結合部4aを備え、通気孔8が貫通形成されている。第1上面側凹部4の先端側には、第1の稜線部R1が形成されている。
【0027】
第1上面側凹部4には、第2の稜線部R2を境に基端方向に向けて第2上面側凹部5が連成されている。第2上面側凹部5は、凹部形状を呈しながら第1上面側凹部4から第2の稜線部R2を超えて枕本体2の基端に向かう凸に湾曲しており、第2の稜線部R2周辺から第2上面側凹部5の底部にかけて前記第1の膨出支持予定部7が形成されている。第2上面側凹部5は、左右方向において凹状に形成され、第2の稜線部R2は、人体の頸椎に合わせて膨出形状となるために左右方向に若干凹状となっている。稜線部R2及びその周辺は、水を入れた状態で若干のたるみを備え、圧力により膨出し易いようになっている。
【0028】
第1の膨出支持予定部7は、支持面1aに予め設定されるものである。この第1の膨出支持予定部7は、非圧縮性流体の圧力を働かせて該圧力と枕本体2の張力とにより頸椎支持部70を構成する。この頸椎支持部70は、膨出支持形状を形成する膨出支持部として構成される。
【0029】
この膨出支持部として頸椎支持部70は、圧縮支持部としての後頭部支持部40に対し第1上面側凹部4内の結合部4aを挟んで配置されている。頸椎支持部70は、支持面1a及び反支持面1b間で結合部4aの周りを移動する水の圧力を第1の膨出支持予定部7に働かせて該圧力と枕本体2の張力とにより膨出支持形状を形成する。
【0030】
第1の膨出支持予定部7は、枕本体2の一部を予め特別な形状に設定すると共に材質の選定により膨出支持形状を形成するか、主に材質の選定により膨出支持形状を形成するかの選択ができる。膨出形成する箇所として頸椎支持部70のみ他の部分に対して相対的に膨出変形し易く形成して第1の膨出支持予定部7とすることができる。
【0031】
勿論、頸椎支持部70を含めて全体的に膨出し易く形成する場合も、頸椎周辺の凹凸に合わせて頸椎支持部70が形成されることになるので、第1の膨出支持予定部7を設定することを意味する。
【0032】
結合部4aの周りの水の移動は、頸椎支持部70に対し後頭部支持部40を頭部Hにより相対的に圧縮させることで行わせる。後頭部支持部40は、第1の稜線部R1の存在により圧縮支持部として構成される。後頭部支持部40は、支持面1a及び反支持面1b間で頸椎支持部70に連通している。頸椎支持部70に対する後頭部支持部40の相対的な圧縮で頸椎支持部70側に向かう水の移動により第1の膨出支持予定部7に対する圧力を発生させる。
【0033】
頸椎支持部70の膨出の程度は、水の圧力と枕本体2の張力とにより決定される。この膨出で頸椎を支持する形状となる。なお、頸椎支持部70は、頭部Hが乗らない時は形成されないが、
図1、
図2では便宜上符号を付している。
【0034】
第1上面側凹部4の左右両側には、左右側の稜線部RL、RRを介して上方に隆起する隆起部6が形成されている。稜線部RL、RRは、
図1の平面から見ると、結合部4aに対応する部分で左右方向に湾曲が拡大し、先端側、基端側で漸次幅が狭くなるように構成されている。
【0035】
隆起部6は、第2の稜線部R2の両側で支持面1aに予め設定された第2の膨出支持予定部6aを構成する。この第2の膨出支持予定部6aは、水の圧力を働かせて該圧力と枕本体2の張力とにより膨出支持形状を形成する膨出支持部として顎支持部60aを構成する。
【0036】
膨出支持部として顎支持部60aは、支持面1a及び反支持面1b間で結合部4aの周りを移動する水の圧力を第2の膨出支持予定部6aに働かせて該圧力と枕本体2の張力とにより膨出支持形状を形成する。
【0037】
第2の膨出支持予定部6aは、枕本体2の一部を予め特別な形状に設定すると共に材質の選定により膨出支持形状を形成するか、主に材質の選定により膨出支持形状を形成するかの選択ができる。膨出形成する箇所として顎支持部60aのみ他の部分に対して相対的に膨出変形し易く形成して第2の膨出支持予定部6aとすることができる。
【0038】
勿論、顎支持部60aを含めて全体的に膨出し易く形成する場合も、顎周辺の凹凸に合わせて顎支持部60aが形成されることになるので、第2の膨出支持予定部6aを設定することを意味する。
【0039】
結合部4aの周りの水の移動は、顎支持部60aに対し側頭部支持部60bを頭部Hによりの相対的に圧縮させることで行わせる。側頭部支持部60bは、左右側の稜線部RL、RRの存在により圧縮支持部として構成される。側頭部支持部60bは、支持面1a及び反支持面1b間で顎支持部60aに連通している。顎支持部60aに対する側頭部支持部60bの相対的な圧縮で頸支持部60b側に向かう水の移動により第2の膨出支持予定部6aに対する圧力を発生させる。
【0040】
顎支持部60aの膨出の程度は、水の圧力と枕本体2の張力とにより決定される。この膨出で、顎を支持する形状となる。また前記第1上面側凹部4に乗せた頭部Hが横向きになることで前記顎支持部60aが人体の肩幅に合わせて頸部部が側屈(頭が落下しない高さ)しない肩幅に応じた高さに合わせて高さを増すように膨出する。なお、顎支持部60aは、頭部Hが乗らない時は形成されないが、
図1、
図2では便宜上符号を付している。
【0041】
前記結合部4aは、枕本体2の反支持面1bよりも高い位置に配置されている。枕本体2の反支持面1b側には、通気孔8の孔縁に向かってテーパー状となる凹部9が形成されている。なお、後述するように、枕本体2が床面GLに置かれ、かつ使用者Uの頭部Hが載置された状態にあっては、反支持面1b側の凹部9によって、通気孔8下方に床面GLとの間の空隙が形成される(
図3参照)。
【0042】
前記注入口3は、第1の稜線部R1の下側で反支持面1b側に配置されている。この注入口3は、キャップによって開閉自在となっている。
【0043】
[頸椎支持部]
前記枕本体2内への水の注入は、ほぼ満杯となる程度に行われる。
【0044】
図3に示すように、第1上面側凹部4において、上向きに横臥した仰臥位の使用者Uの後頭部が後頭部支持部40の略全面に面接触して支持される。
【0045】
この支持により、後頭部支持部40が頭部Hにより圧縮され、支持面1a及び反支持面1b間で結合部4aの周りを水が移動し、この水の圧力が第1の膨出支持予定部7に働く。この第1の膨出支持予定部7に働く圧力と枕本体2の張力とにより膨出支持形状の頸椎支持部70が形成される。頸椎支持部70は、
図1の頭部Hが存在しない状態の時よりも水の移動で膨張しており、使用者Uの頸椎の形状に応じて面接触の支持形態を形成する。
【0046】
[顎支持部]
図4のように、使用者Uが横臥位になると、隆起部6の側頭部支持部60bが頭部Hの側頭部により圧縮され、支持面1a及び反支持面1b間で結合部4aの周りを水が移動し、この水の圧力が第2の膨出支持予定部6aに働く。この第2の膨出支持予定部6aに働く圧力と枕本体2の張力とにより膨出支持形状の顎支持部60aが形成される。顎支持部60aは、
図1の頭部Hが存在しない状態の時よりも水の移動で膨張しており、使用者Uの頬骨及び下顎骨の形状に応じて面接触の支持形態を形成する。
【0047】
第1上面側凹部4に乗せた頭部Hが横向きになることで前記顎支持部60aは人体の肩幅に応じた高さに合わせて高さを増すように膨出する。
【0048】
なお、本実施例において、枕本体2の後頭部支持部40、顎支持部60a、及び頸椎支持部70を形成する第1、第2上面側凹部4、5、隆起部6は、いわゆる二次曲面の一部により構成されている。
【0049】
これによって、使用者Uに対して該枕本体2の内圧をより均一にして面接触させることができる。例えば、水を入れた状態で使用前(頭部載置前)の後頭部支持部40の表面は、主に錐面の一部により構成される。使用前における顎支持部60の表面は、主に楕円面の一部により構成される。使用前における頸椎支持部70の表面は、主に楕円柱面若しくは一葉双曲面の一部により構成される。
【0050】
さらに、使用状態(頭部載置後)における枕本体2の後頭部支持部40、顎支持部60、及び頸椎支持部70を構成する湾曲面の主要部も、二次曲面を部分的に含む形状になると考えられる。例えば、仰臥位において後頭部支持部40の表面は、主に楕円放物面の一部により構成される。横臥位において顎支持部60の表面は、主に二葉双曲面の一部により構成される。仰臥位において頸椎支持部70の表面は、主に双曲放物面の一部により構成される。
【0051】
使用状態における枕1は、前記使用者Uの頭部及び首部と床面GLとの間に形成される該枕本体2の内空において常時、静水圧が発生するのに十分な量の水が介在する(通気孔8内に対応する部分は除く)。
【0052】
さらに、使用者Uの頭部及び首部の自重により、該枕本体2の第1上面側凹部4を構成する伸縮性膜材料及び第2上面側凹部5の第1の膨出支持予定部7を構成する伸縮性膜材料及び隆起部6を構成する伸縮性膜材料のうち少なくともいずれかの一部には収縮方向への内部応力が発生した状態となる。このとき、該枕本体2は、使用者Uの姿勢変化等によっても枕1の反支持面1bは形状がほぼ維持されており、床面GLに対して移動することなく安定保持される。
【0053】
これに対して、使用者Uと枕本体2との接触部分は、使用者Uの姿勢変化に追従して即時変形し、使用者Uの姿勢が安定した際には使用者Uと接触する部位において静水圧が均等となり、伸縮性膜材料に張力が生じた状態を維持しつつ安定的に頭部を支持する。
【0054】
また、いわゆるパスカルの原理に基づき、かかる使用者Uと接触する枕本体2の部分は、寝返り時の身体の動きや、あるいは呼吸時又はいびき時の胸郭等のわずかな動きに対して、即時に柔軟に変形する。
【0055】
具体的には、仰臥位において人は呼吸時の胸郭の動きに連動して頸椎が僅かにしなる動きを示すが、そのしなり時に見られる、後頭部が枕本体2の第1上面側凹部4に向けて下降し、これに伴い頸椎が頸椎支持部70に対して上昇するような動きの際にも、頸椎支持部70に対応する部位へ円滑に水が即時に流動し、対応部位に適切に面接触して確実にこれらを支持する。
【0056】
また、通気孔8が設けられることにより使用者Uの後頭部に対して通気が確保されるため、例えば寝返りに伴う通気孔8の開放の度に、後頭部周囲における輻射・対流が円滑になり、後頭部の発汗による不快感を防ぐことができる。
【0057】
また、枕本体2に充填された水に使用者Uの後頭部や頸部から発生する熱が伝導されるため、該熱を好適に吸収することもできる。これにより、頭部におけるうつ熱の蓄積量を飛躍的に低減することができる。
【0058】
さらには、頭部の最下端部が通気孔8内に配されることで、該最下端部が枕本体2あるいは床面GLに対して非接触となると共に、該最下端部の周辺が枕本体2と面接触して第1上面側凹部4を構成する伸縮性膜材料によって頭部自身が吊持されるような状態となる。このため、頭部の表面に対する応力集中がより一層回避されることとなる。
【0059】
本実施例においては、床面GLから前記隆起部6の頂点までの高さH1は30mm、床面GLから前記通気孔8の中心までの高さH2は15mmとされ、H1:H2=1:2とされている。最適な高さH1,H2は、個人差はあるが、概ねH1:H2=2:1〜3:1であり、前記H2は15mm以上65mm以下の範囲内(子供用から大人用まで適用可)で適宜設定される。
【0060】
上記範囲の寸法の枕1を使用した使用者Uは、仰臥位で使用した際にも横臥位で使用した際にも直立姿勢とほぼ同一の姿勢を保つことができる。また、横臥位にあっては、顔の中心軸線CLを基準とした下顎の落下が阻止される。つまり、上記した条件を満たす寸法を選択することにより、最も安定した頭部位置を維持することができる形状が得られ、かつそれを保つのに十分な水量を確保した枕1を構成することが可能となる。
【0061】
また、
図1に示すように、前記通気孔8の中心を
通る枕本体2の中心線L上にあって、該通気孔8の中心から該枕本体2の先端までの距離S1、及び該通気孔8の中心から該枕本体2の基端までの距離S2は、S1≦S2であることが望ましい。
【0062】
かかる構成とすることにより、枕本体2に水を注入したときに距離S2に対応する前記第1の膨出支持予定部7における床面GLからの高さを、距離S1に対応する部位のなかで最も床面GLから高い位置の高さに対して、それと等高あるいはそれよりも高く定めることが可能となる。
【実施例2】
【0063】
図5は、実施例2に係り、(a)は、枕の底面図、(b)は、同側面図である。なお、本実施例においても、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分に同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0064】
本実施例の枕10は、実施例1の枕1の枕本体2の反支持面1bに、袋体11が配設されてている。この袋体11は、外縁が枕本体2に部分的に固着(接着或いは溶着)されている。この袋体11には、注入口11aが設けられており、該注入口11aを介して空気が給排可能に注入される。
【0065】
この枕10は、袋体11に注入された空気の量を変更することによって袋体11の厚みが調整自在であり、これにより使用時における枕本体2の高さを微調節することができる。なお、空気に代えて水を注入するようにしてもよい。
空気を注入するときは、全体の重量を軽減することができる。
【実施例3】
【0066】
図6は、実施例3に係る枕の側断面図である。なお、本実施例においても、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分に同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0067】
本実施例の枕20は、枕本体2に袋体12の端部が結合されている。袋体12内には水又は氷水が注入されており、袋体12が使用者Uの頭部側に折り返されることで、枕本体2に載置された使用者Uの頭部(例えば目頭)上に載置可能とされている。
【0068】
この袋体12を使用者Uの頭部上に載置することで使用者Uの頭部を冷却することができる。なお、該袋体12の先端には、使用者Uの鼻が配置される切欠部が設けられていてもよい。
【実施例4】
【0069】
図7〜
図9は、実施例4に係り、
図7(a)は、枕の平面図、(b)は、同底面図、
図8(a)は、同正面図、(b)は、同背面図、
図9は、
図7(a)のE−E線矢視断面図である。なお、本実施例においても、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分に同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0070】
本実施例の枕90は、実施例1の形状に対し、支持面1a、反支持面1bが略対称に形成され、反支持面1bに空気袋90a、90b、90cが形成されている。空気袋90a、90b、90cには、それぞれ空気袋キャップ90aa、90ba、90caが設けられ、空気を個別に給排できるようになっている。空気袋90a、90b、90cの取り付けは、実施例2の袋体11と同様である。
【0071】
第1上面側凹部4側で結合部4aの回りには、仕切シート90dが設けられている。仕切シート90bにより枕本体2内が主室2b及び結合部4a回りの周回状の副室2cに区画されている。仕切シート90dには、小孔90daが形成され、主室2b及び副室2c間の水の瞬間的な流通を規制している。
【0072】
したがって、頸椎支持部70や顎支持部60aの急激な圧縮に対しては抗力を発生させ、定状では水の流通を許容し、頸椎支持部70や顎支持部60aの適正な膨出形状を形成させることができる。
【実施例5】
【0073】
図10〜
図12は、実施例5に係り、
図10(a)は、枕の平面図、(b)は、同底面図、
図11(a)は、同正面図、(b)は、同背面図、
図12(a)は、
図10(a)のF−F線矢視断面図、(b)は、
図10(a)のG−G線矢視断面図、(c)は、空気袋の底面図である。なお、本実施例においても、基本的な構成は実施例1と同様であり、対応する構成部分に同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0074】
本実施例の枕100は、実施例1の形状に対し、支持面1a、反支持面1bが略対称に形成され、内部に
図12(c)のような空気袋101が内包されたものである。
【0075】
空気袋101の空気注入口101aは、枕本体2の空気注入口2aに連通接続され、空気注入口2aは、キャップにより開閉自在となっている。
【0076】
したがって、本実施例では、実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0077】
しかも、空気袋101は、枕100内に内包されており、取り扱いが容易である。
【0078】
なお、これまでに述べた枕1、10、20、90、100は、様々に変更が可能である。
【0079】
例えば、枕本体2内を複数(例えば、中央、左右)の分室に区画形成し、分室ごとに水を適量だけ注入可能としてもよい。かかる構成とすることにより、各分室で水量を調整することにより、所要位置の高さをそれぞれ微調整することが可能となる。
【0080】
また、枕本体2内に別体の袋体を挿入配置し、該袋体により空気室を構成してもよい。かかる構成とすることにより、枕本体2に注入すべき総水量を減らして枕本体2の所望の外観形状を確保することができ、水を注入した時の枕1,10,20、90、100の重量を小さくすることが可能となる。
【0081】
また、前記袋体11,12を適宜組み合わせることも可能である。また、枕全体の形状寸法は、大人用、子供用などに応じて適宜設定可能である。また、袋本体2内には、氷を含む水やお湯を注入してもよいし、他のものを含む水を注入してもよい。
【実施例6】
【0082】
図13〜
図16は、実施例6に係り、
図13(a)は、座布団の平面図、(b)は、
図13(a)のH−H線矢視断面図、
図14(a)は、
図13(a)のI−I線矢視断面図、(b)は、
図13(a)のJ−J線矢視断面図、
図15(a)は、実施例の座布団に着座し脚を延ばした時の使用者の骨盤の状態を示す説明図、(b)は、実施例以外の通常の着座により脚を延ばした時の使用者の骨盤の状態を示す説明図、
図16(a)は、実施例以外の通常の着座により脚を曲げた時の使用者の骨盤の状態を示す説明図、(b)は、起立時の使用者の骨盤の状態を示す説明図である。
【0083】
なお、本実施例においても、基本的な概念は実施例1と同様である。以下の説明において、使用者の臀部側が座布団の基端側、大体部側が同先端側、使用者が着座して正面を向いた前後方向が前後方向、同左右方向が同左右方向を意味する。
【0084】
本実施例は、サポート具を座布団200として構成したものである。
【0085】
座布団200は、水を収容した袋体である座布団本体202が、人体の一部である臀部を支持するものである。この座布団200は、結合部として中央の第1の結合部204a、その両側の第2、第3の結合部204b、204cが形成され、全体的に着座するために支持面201a、反支持面201b間の高さが着座に適した寸法で形成されている。
【0086】
座布団200は、支持面201a及び反支持面201b間の閉じ空間に非圧縮性流体、例えば水を収容して座布団本体202が立体形状となる。この座布団本体202は、支持面201a及び反支持面201b間が対称形状に形成されている。
【0087】
水を収容した座布団本体202は、水の圧力と袋体の張力とにより使用者Uの臀部を支持面201a側で支持するものである。この座布団本体202は、前記第1〜第3の結合部204a、204b、204cの他、膨出支持予定部207を備え、水を注入、排出可能な注入口203を備えている。
【0088】
座布団本体202は、伸縮性の袋体であり、非透水性で伸縮性のある合成樹脂の膜材料で形成されている。伸縮性の膜材料としては、例えばアクリルゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、ポリウレタンなどの合成ゴム膜材料が選択可能である。この膜材料は、比重が水と同じか近いものが採用されている。但し、座布団本体202の膜材料は、膨出支持予定部207に働く水の圧力により後述の膨出支持部を膨出形成できればよく、限定されるものではない。
【0089】
第1の結合部204aは、中央に小さな円形として形成され、第2の結合部204bは、第1の結合部204aの左右に間隔を置いて前後方向に指向して形成され、第3の結合部204cは、第2の結合部204bの左右に間隔を置いて前後方向に指向して形成されている。第2、第3の結合部204b、204cは、膨出支持予定部207側に屈曲している。
【0090】
第1〜第3の結合部204a、204b、204cは、支持面201a側と反支持面201b側とを部分的に結合したものである。第1〜第3の結合部204a、204b、204cは、座布団本体202が支持面201a側を反支持面201b側間で接着或いは溶着などによって結合されたものである。
【0091】
水を収容した座布団本体202として説明すると、支持面201aの略中央とその両側には、凹部として第1上面側凹部204d、204e、204fを備えている。第1上面側凹部204d、204e、204fは、支持面201aにおいて周囲より高さが低く形成されている。
【0092】
第1上面側凹部204e、204fは、第2、第3の結合部204b、204cによる区画部202aが、その両側の区画部202bに対して相対的に小さく形成され大腿部を支持し易いように形成されている。この第1上面側凹部204e、204f内に第2、第3の結合部204b、204cが配置されている。第1上面側凹部204dは、中央部に配置され、区画部202b間に形成されている。
【0093】
座布団本体202の基端側には、隆起部206が形成されている。この隆起部206に前記膨出支持予定部207が、支持面201aに予め設定されている。
この膨出支持予定部207は、境界207aによりその他の部分である低位の第1上面側凹部204d、204e、204f側に連続し、脚支持部240に対し第1〜第3の結合部204a、204b、204cを挟んで配置されている。膨出支持予定部207は、
図13(b)のように予め区画部202bよりも曲面状に大きく膨らみ区画部202b側に曲面で下降傾斜するように形成されている。
【0094】
膨出支持予定部207に水の移動によりさらに圧力を働かせて該圧力と座布団本体202の張力とにより人体の骨盤を支持して後傾を規制し前傾を誘発する骨盤支持部270を構成する。この骨盤支持部270は、膨出支持形状を形成する膨出支持部として構成される。なお、着座前には、水が満たされていても膨出支持予定部207に張力の上昇が無いように形成することもできる。
【0095】
この膨出支持部として骨盤支持部270は、着座時に骨盤がその一部に乗る形態となり、前記のようにして膨出支持予定部207の座面を相対的に高くしている。骨盤支持部270は、圧縮支持部としての脚支持部240に対し第1上面側凹部204d、204e、204f内の第1〜第3の結合部204a、204b、204cを挟んで配置されている。この骨盤支持部270は、支持面201a及び反支持面201b間で第1〜第3の結合部204a、204b、204cの周りを移動する水の圧力を膨出支持予定部207に働かせて該圧力と座布団本体202の張力とにより膨出支持形状を形成する。
【0096】
膨出支持予定部270は、座布団本体202の一部を予め特別な形状に設定すると共に材質の選定により膨出支持形状を形成するか、主に材質の選定により膨出支持形状を形成するかの選択ができる。膨出形成する箇所として骨盤支持部270のみ他の部分に対して相対的に膨出変形し易く形成して膨出支持予定部270とすることができる。
【0097】
勿論、骨盤支持部270を含めて全体的に膨出し易く形成する場合も、骨盤周辺の凹凸に合わせて骨盤支持部270が形成されることになるので、膨出支持予定部270を設定することを意味する。
【0098】
第1〜第3の結合部204a、204b、204cの周りの水の移動は、骨盤支持部270に対し脚支持部240を大腿により相対的に圧縮することで行わせる。脚支持部240は、稜線部S3の存在により圧縮支持部として構成される。脚支持部240は、支持面201a及び反支持面201b間で骨盤支持部270に連通している。骨盤支持部270に対する脚支持部240の相対的な圧縮で骨盤支持部270側に向かう水の移動により膨出支持予定部207に対する圧力を発生させる。
【0099】
骨盤支持部270の膨出の程度は、水の圧力と座布団本体202の張力とにより決定され、骨盤を支持する形状となるように膨出する。なお、骨盤支持部270は、脚支持部240に大腿等が乗らない時は形成されないが、
図13では便宜上符号を付している。
【0100】
第1〜第3の結合部204a、204b、204cには、稜線部S3を境に先端方向に向けて第2上面側凹部205が連成されている。第2上面側凹部205の凹状の深さは、僅かである。第2上面側凹部205は、第1〜第3の結合部204a、204b、204cから稜線部S3を超えて座布団本体202の先端に向かう凸に湾曲しており、稜線部S3周辺から第2上面側凹部5の底部にかけて脚支持部240が形成されている。第2上面側凹部205は、左右方向において凹状に形成され、稜線部S3は、人体の大腿に合わせて左右方向に若干凹状となっている。
【0101】
前記第1〜第3の結合部204a、204b、204cは、座布団本体202の反支持面201bよりも高い位置に配置されている。
【0102】
前記注入口203は、稜線部S3の下側で反支持面201b側に配置されている。この注入口203は、キャップによって開閉自在となっている。
[骨盤支持部]
前記座布団本体202内への水の注入は、ほぼ満杯となる程度に行われる。
【0103】
図13、
図14において、座布団本体202への着座により、膨出支持予定部207の一部に殿部が乗る形態となる。
【0104】
この着座により、
図15(a)のように脚を伸ばすと、第1上面側凹部204e、204f上等に大腿が対応し、区画部202aやその両側の区画部202bによって大腿部が面接触により支持され、且つ脚支持部240が大腿の前部側により圧縮される。なお、脚支持部240の圧縮は、下肢の移動や、胡坐をかいた時にも同様に行われる。つまり、使用時の脚支持部240の圧縮は、大腿部による形態には特に限定されるものではない。
【0105】
この圧縮により、支持面1a及び反支持面1b間で第1〜第3の結合部204a、204b、204cの周りを水が移動し、この水の圧力が膨出支持予定部207に働く。この膨出支持予定部207に働く圧力と座布団本体202の張力とにより膨出支持形状の骨盤支持部270が形成される。骨盤支持部270は、
図13の大腿が存在しない状態の時よりも水の移動で膨張しており、使用者Uの骨盤の形状に応じて隆起状面接触の支持形態を形成する。
【0106】
この支持により使用者Uの骨盤Pを支持して
図15(b)のような後傾を規制し、
図16(a)の正しい着座姿勢、(b)の正しい起立姿勢と同様な骨盤姿勢状態となるように、前傾姿勢で骨盤が相対的に高くなることを促すことができる。なお、
図15(b)は、、通常の座布団に着座して脚を伸ばしてた場合について示している。この
図15(b)の場合、脚を伸ばしても、脚支持部240の圧縮による水の移動は無く、骨盤支持部270は形成されず、骨盤Pの後傾は避けられない。なお、膨出支持予定部207は、座布団本体202の一部を予め特別な形状に設定すると共に材質の選定により膨出支持形状を形成するか、主に材質の選定により膨出支持形状を形成するかの選択ができる。膨出形成する箇所として骨盤支持部270のみ他の部分に対して相対的に膨出変形し易く形成して膨出支持予定部207とすることができる。
【0107】
勿論、骨盤支持部270を含めて全体的に膨出し易く形成する場合も、骨盤周辺の凹凸に合わせて骨盤支持部270が形成されることになるので、膨出支持予定部207を設定することを意味する。
【実施例7】
【0108】
図17は、実施例7に係り、
図17(a)は、座布団の平面図、(b)は、
図17(a)のK−K線矢視断面図である。なお、本実施例においても、基本的な構成は実施例6と同様であり、対応する構成部分に同符号を付し、重複した説明は省略する。
【0109】
本実施例の座布団300は、平面から見てハート型で上下ほぼ対称に形成され、結合部204aが中央部に一つ形成されている。
【0110】
第1上面側凹部204の左右両側には、上方に隆起する隆起部206が形成されている。支持面201a、反支持面201bは、結合部204aに向かって湾曲状に形成されている。
【0111】
隆起部206は、左右両側で支持面201aに予め設定された膨出支持予定部207を構成する。この膨出支持予定部207は、水の圧力を働かせて該圧力と座布団本体300の張力とにより臀部支持部270を構成する。この臀部支持部270は、膨出支持形状を形成する膨出支持部として構成される。
【0112】
したがって、大腿を伸ばした時等、実施例6と同様な作用効果に加え、臀部支持部270が臀部の左右両側を支持することなり、また左右に体重移動する際、通常の座面では荷重した臀部と反対側に座面との空隙が発生するのに対し、本品は膨出支持部の形成により想定された荷重の動きによって空隙を消失させ非動側に面圧力を加えることになる。
なお、本実施例において、
図18、
図19のように、膨出支持予定部207内に左右の坐骨支持予定部を形成し、臀部支持部270の形成時に凹部270aとなる領域を構成させることで坐骨の左右部を支持させるようにすることもできる。[その他]
前記水の注入口3は、頸椎支持部70の下側等に配置することもできる。この場合、使用時に膨出形成される頸椎支持部70等により注入口3の存在に係わらず違和感のない支持状態を維持させることができる。
【0113】
本発明のサポート具は、マフラ―、帽子、椅子の背もたれ、靴の中敷き等にも適用できる。例えば、水の自重でマフラ―、帽子、椅子の背もたれ、靴の中敷き等の一部が圧縮され予め設定した膨出支持形状を形成することができる。