特許第6060116号(P6060116)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060116
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】表面実装インダクタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20161226BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20161226BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20161226BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20161226BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20161226BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20161226BHJP
   H01F 41/12 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   H01F17/04 F
   H01F15/10 F
   H01F41/04 B
   H01F41/02 D
   H01F27/28 C
   H01F27/32 A
   H01F41/12 C
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-147486(P2014-147486)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-25180(P2016-25180A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003089
【氏名又は名称】東光株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】正田 佳利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃三
(72)【発明者】
【氏名】村上 誠
(72)【発明者】
【氏名】佐々森 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
【審査官】 五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−49597(JP,A)
【文献】 特開2010−283119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/04
H01F 27/28
H01F 27/29
H01F 27/32
H01F 41/02
H01F 41/04
H01F 41/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、該コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタにおいて、
該コイルは、引き出し端部が巻回部の外周に位置する様に導線を巻回して形成され、
該成形体は、該コイルの巻軸と平行な4つの側面のうち一方の対向する側面に該コイルの引き出し端部が、他方の対向する側面に該コイルの巻回部の表面が部分的にそれぞれ露出し、該コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積が該コイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成されていることを特徴とする表面実装インダクタ。
【請求項2】
導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、該コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタにおいて、
該コイルは、その両端が外周に位置する様に導線が巻回された巻回部と、該巻回部の外周から引き出された引き出し端部を有し、
該成形体は、該コイルの巻軸と平行な4つの側面のうち一方の対向する側面に該コイルの引き出し端部が、他方の対向する側面に該コイルの巻回部の表面が部分的にそれぞれ露出し、該コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積が該コイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成されていることを特徴とする表面実装インダクタ。
【請求項3】
導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、該コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタにおいて、
該コイルは、その両端が外周に位置する様に導線を巻回して楕円形に形成された巻回部と、該巻回部の外周から引き出された引き出し端部を有し、該巻回部の短径方向の大きさと該成形体の幅方向の大きさを同じにし、該巻回部の長径方向の大きさを、該成形体の長さ方向の大きさから導線2本分の大きさを引いた大きさ以下にし、
該成形体は、幅方向の対向する2つの側面の表面に該コイルの巻回部の短径方向の表面を露出させ、該コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積が該コイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成され、長さ方向の対向する2つの側面の表面に該コイルの引き出し端部の表面を露出させて、該コイルの引き出し端部を外部端子に接続したことを特徴とする表面実装インダクタ。
【請求項4】
導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、該コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタの製造方法において、
引き出し端部が巻回部の外周に位置する様に導線を巻回してコイルが形成される工程、
該封止材を用いて形成された1対の板状タブレット間に該コイルを配置し、これらを樹脂成形法を用いて一体化させて、該コイルの巻軸と平行な4つの側面のうち一方の対向する側面に該コイルの引き出し端部が、他方の対向する側面に該コイルの巻回部の表面が部分的にそれぞれ露出し、該コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積が該コイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に成形体を形成する工程及び、
該成形体の表面に該コイルの引き出し端部と接続する外部端子を形成する工程を備えたことを特徴とする表面実装インダクタの製造方法。
【請求項5】
導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、該コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタの製造方法において、
その両端が外周に位置する様に導線を巻回して楕円形に形成された巻回部と、該巻回部の外周から引き出された引き出し端部を有し、該巻回部の短径方向の大きさと該成形体の幅方向の大きさを同じにし、該巻回部の長径方向の大きさを、該成形体の長さ方向の大きさから導線2本分の大きさを引いた大きさ以下にしたコイルが形成される工程、
該封止材を用いて形成された1対の板状タブレット間に該コイルを配置し、これらを樹脂成形法を用いて一体化させて、幅方向の対向する2つの側面の表面に該コイルの巻回部の短径方向の表面を露出させ、該コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積が該コイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成され、長さ方向の対向する2つの側面の表面に該コイルの引き出し端部の表面を露出させた成形体を形成する工程及び、
該成形体の表面に該コイルの引き出し端部と接続する外部端子を形成する工程を備えたことを特徴とする表面実装インダクタの製造方法。
【請求項6】
導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、該コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタの製造方法において、
その両端が外周に位置する様に導線を巻回して楕円形に形成された巻回部と、該巻回部の外周から引き出された引き出し端部を有し、該巻回部の短径方向の大きさと該成形体の幅方向の大きさを同じにし、該巻回部の長径方向の大きさを、該成形体の長さ方向の大きさから導線2本分の大きさを引いた大きさ以下にしたコイルが形成される工程、
成型金型のキャビティ内において該封止材を用いて形成された板状タブレット上に該コイルを配置し、該コイル上に該封止材を充填し、これらを樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて一体化させて、幅方向の対向する2つの側面の表面に該コイルの巻回部の短径方向の表面を露出させ、該コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積が該コイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成され、長さ方向の対向する2つの側面の表面に該コイルの引き出し端部の表面を露出させた成形体を形成する工程及び、
該成形体の表面に該コイルの引き出し端部と接続する外部端子を形成する工程を備えたことを特徴とする表面実装インダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いて形成されたコイルを内蔵する成形体とを備えた表面実装インダクタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の表面実装インダクタに、図8に示す様に、導線を巻回してコイル21を形成し、このコイル21を磁性粉末と樹脂を含む封止材で形成された成形体27内に埋設し、コイル21を成形体27表面に形成された外部端子28に接続したものがある(例えば、特許文献1を参照。)。この表面実装インダクタは、図9に示す様に、導線を巻回して形成したコイル21をタブレット22に載置し、図10に示す様に、コイル21の引き出し端部21bをタブレット22の柱状凸部22aの外側側面に沿わせて成型金型24の内壁面との間に挟まれるようにコイルとタブレットを成型金型に配置し、この金型を用い、樹脂成形法もしくは圧粉成形法によりコイル21を内蔵する成形体27が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−245473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様な従来の表面実装インダクタは、コイルが磁性材料入りの封止材で形成された成形体内に埋設されているので、コイル全体が磁性材料で被覆されることとなり、漏れ磁束を低減することができる。
この種の表面実装インダクタでは、小型化が望まれている上、高密度実装でない用途においては漏れ磁束よりも重畳電流値Idcや抵抗値Rdcが重視され、重畳電流値Idcが高く、抵抗値Rdcが低いものが望まれている。
しかしながら、この様な従来の表面実装インダクタは、コイルの引き出し端部をタブレットの柱状凸部と成型金型の内壁面に挟んだ状態で樹脂成形法もしくは圧粉成形法によりコイルを内蔵する成形体を形成しているため、タブレットの形状が複雑になると共に、コイルの形状を大きくできず、コイルの巻軸部分の面積や導線の断面積が小さくなって重畳電流値Idcや抵抗値Rdcが悪かった。
【0005】
本発明は、重畳電流値Idcや抵抗値Rdcを改善でき、安価に製造できる表面実装インダクタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタにおいて、コイルは、引き出し端部が巻回部の外周に位置する様に導線を巻回して形成され、成形体は、コイルの巻軸と平行な4つの側面にコイルの表面が部分的に露出し、コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積がコイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成されている。
また、本発明は、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタの製造方法において、引き出し端部が巻回部の外周に位置する様に導線を巻回してコイルが形成される工程、封止材を用いて形成された1対の板状タブレット間にコイルを配置し、これらを樹脂成形法を用いて一体化させて、コイルの巻軸と平行な4つの側面にコイルが部分的に露出し、コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積がコイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に成形体を形成する工程及び、成形体の表面にコイルの引き出し端部と接続する外部端子を形成する工程を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタにおいて、コイルは、引き出し端部が巻回部の外周に位置する様に導線を巻回して形成され、成形体は、コイルの巻軸と平行な4つの側面にコイルの表面が部分的に露出し、コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積がコイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成されているので、成形体に内蔵するコイルを大きくでき、重畳電流値Idcや抵抗値Rdcを改善することができる。また、成形体を形成するためのタブレットの構造を簡素化することができると共に、タブレットを作り易くすることができる。
また、本発明は、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用い、コイルを内蔵する成形体を備えた表面実装インダクタの製造方法において、引き出し端部が巻回部の外周に位置する様に導線を巻回してコイルが形成される工程、封止材を用いて形成された1対の板状タブレット間にコイルを配置し、これらを樹脂成形法を用いて一体化させて、コイルの巻軸と平行な4つの側面にコイルが部分的に露出し、コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積がコイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に成形体を形成する工程及び、成形体の表面にコイルの引き出し端部と接続する外部端子を形成する工程を備えるので、製造工程を複雑にすることなく、成形体に内蔵するコイルを大きくでき、重畳電流値Idcや抵抗値Rdcを改善することができる。また、タブレットの構造を簡素化することができると共に、タブレットを作り易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の表面実装インダクタの実施例の成形体の内部を透視した状態を示す斜視図である。
図2】本発明の表面実装インダクタの実施例の成形体の内部を透視した状態を示す断面図である。
図3】本発明の表面実装インダクタの実施例を示す斜視図である。
図4】本発明の表面実装インダクタの実施例のコイルとタブレットの配置を示す斜視図である。
図5】本発明の表面実装インダクタの実施例の成型金型内のコイルとタブレットの配置を示す上面図である。
図6】本発明の表面実装インダクタの実施例の製造方法のコイルとタブレットを成型金型に配置する工程を説明する断面図である。
図7】本発明の表面実装インダクタの実施例の製造方法の成形体の成形工程を説明する断面図である。
図8】従来の表面実装インダクタの内部を透視した状態を示す斜視図である。
図9】従来の表面実装インダクタのタブレットを説明する斜視図である。
図10】従来の表面実装インダクタの成型金型内のコイルとタブレットの配置を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の表面実装インダクタは、導線を巻回して形成したコイルと、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いて形成されたコイルを内蔵する成形体を備える。コイルは、その両端が外周に位置する様に導線が巻回された巻回部と、巻回部の外周から引き出された引き出し端部を有する。成形体は、コイルの巻軸と平行な4つの側面にコイルの表面が部分的に露出し、コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積がコイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成される。従って、本発明の表面実装インダクタは、コイルの外形の大きさを成形体の外形の大きさの範囲内で極限まで大きくすることができるので、成形体のデットスペースを小さくすることができ、コイルの巻軸部分の径や導線の断面積を大きくできる。
本発明の表面実装インダクタの製造方法は、まず、引き出し端部が巻回部の外周に位置する様に導線を巻回してコイルが形成される。次に、封止材を用いてコイルの外周の大きさとほぼ同じ大きさに形成された1対の板状タブレット間にコイルを配置し、これらを樹脂成形法を用いて一体化させて、コイルの巻軸と平行な4つの側面にコイルが部分的に露出し、コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積がコイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に成形体を形成する。最後に、成形体の表面にコイルの引き出し端部と接続する外部端子を形成する。従って、本発明の表面実装インダクタの製造方法は、コイルの外形の大きさを成形体の外形の大きさの範囲内で極限まで大きくすることができるので、成形体のデットスペースを小さくすることができ、コイルの巻軸部分の径や導線の断面積を大きくできる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の表面実装インダクタの実施例を図1乃至図7を参照して説明する。
図1は本発明の表面実装インダクタの実施例の成形体の内部を透視した状態を示す斜視図、図2は本発明の表面実装インダクタの実施例の成形体の内部を透視した状態を示す断面図である。
図1図2において、11はコイル、17は成形体である。
コイル11は、導線をその両端部が外周に位置するように渦巻き状に2段の外外巻きに巻回した巻回部11aと、巻回部11aから引き出された引き出し端部11bを備えた空芯コイルが形成される。導線は断面が平角状の平角線が用いられる。巻回部11aは楕円形に形成される。また、引き出し端部11bは、導線の両端部が巻回部11aから巻回部11aを挟んで対向する様に引き出され、さらに引き出された方向とは逆方向に折り曲げられて形成される。
成形体17は、樹脂と磁性材料を含む封止材を用いてコイル11を内蔵する様に形成される。封止材としては、磁性材料として例えば鉄系の金属磁性粉末を、樹脂として例えばエポキシ樹脂をそれぞれ用い、これらを混合したものが用いられる。この成形体17の幅方向の大きさW1は、コイル11の巻回部11aの短径方向の外周の大きさW2とほぼ同じ大きさに形成される。また、この成形体17の長さ方向の大きさL1は、コイル11の巻回部11aの長径方向の外周の大きさL2と一方の引き出し端部11bの厚みAと他方の引き出し端部11bの厚みAを足した大きさとほぼ同じ大きさか又は、少し大きく形成される。この成形体17の幅方向の対向する側面には、コイル11の巻回部11aの短径方向の表面の一部が露出する。また、成形体17の長さ方向の対向する側面には、コイル11の引き出し端部11bの表面が露出する。この時、成形体17のコイル11の巻回部11aの外周表面よりも外側の部分D1、D2、D3、D4の合計面積が、コイル11の巻回部11aの内周表面よりも内側の部分S1とほぼ同じか又は小さくなる様に形成される。この成形体17の表面には、図3に示す様に、1対の外部端子18が形成される。
そして、成形体17の長さ方向の対向する側面にそれぞれ露出したコイル11の引き出し端部11bが外部端子18に接続されることにより、コイル11が1対の外部端子18間に接続される。
【0011】
この様な表面実装インダクタは以下の様にして製造される。まず、断面が平角状の絶縁被覆が施された導線をその両端が外周に位置する様に渦巻き状に2段の外外巻きに巻回して巻回部を形成した後、導線の両端が巻回部の外周から引き出され、さらに折り曲げ加工を施して引き出し端部を形成して空芯コイルが形成される。
また、後述の様に巻回部11aと引き出し端部11bを備えた空芯コイル11を内蔵する成形体を形成するために、封止材を用いて図4に示す様にコイル11の外周の大きさとほぼ同じ大きさの板状タブレット12、13が形成される。
次に、図5に示す様に、割型14aと割型14bを備える上型14と下型とでキャビティを形成する成型金型のキャビティ内に、板状タブレット12上に搭載された状態で巻回部11aと引き出し端部11bを備えた空芯コイルを収納する。
続いて、巻回部11aと引き出し端部11bを備えた空芯コイルと板状タブレット12が収納された成型金型のキャビティ内に、板状タブレット13が空芯コイル上に位置する様に収納される。これにより、図6に示す様に、割型14aと割型14bを備える上型14と下型15とでキャビティを形成する成型金型のキャビティ内において、巻回部11aと引き出し端部11bを備えた空芯コイルが1対の板状タブレット12、13間に配置された状態となり、この状態で成型金型のキャビティにパンチ16がセットされる。
さらに、図7に示す様に、1対の板状タブレットと空芯コイルを成型金型とパンチによって120〜250℃で圧縮するいわゆる樹脂成形法で成型することにより、空芯コイル11を内蔵した成形体17が形成される。この成形体17は、幅方向の対向する側面にコイル11の巻回部11aの短径方向の表面の一部が、長さ方向の対向する側面にコイル11の引き出し端部11bの表面がそれぞれ露出し、成形体17をコイル11の巻軸方向から透視した場合における、コイル11の巻回部11aの外周表面よりも外側の部分の面積が、コイル11の巻回部11aの内周表面よるも内側の部分の面積とほぼ同じか、又は、それよりも小さくなる様に形成される。
この様に形成された成形体17は、長さ方向の対向する側面に露出したコイル11の引き出し端部11bの絶縁被覆を剥離する処理と、バレル研磨処理が施される。この絶縁被覆を剥離する処理と、バレル研磨処理は、同時に行うこともできる。
そして、この成形体17の表面に導電材を含有する外部端子材料を塗布し、硬化させて成形体17の表面に外部端子18が形成される。この外部端子18は、Ni、Sn、Cu、Au、Pd等から1つもしくは複数を適宜選択した材料でメッキを施してもよい。
【0012】
以上、本発明の表面実装インダクタ及びその製造方法の実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限られるものではない。例えば、実施例では封止材として充填物に鉄系金属磁性粉末、樹脂にエポキシ樹脂を用いたが、充填物として他の組成の金属磁性粉末、その表面がガラス等の絶縁体で被覆された金属磁性粉末、表面を改質した金属磁性粉末、フェライト粉末、ガラス粉末等を用いても良い。また、樹脂として、ポリイミド樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂や、ポリエチレン樹脂やポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂を用いても良い。さらに、コイルは、巻回部が円形に形成されても良い。またさらに、成形体は、成型金型のキャビティ内において封止材を用いて形成された板状タブレット上にコイルを配置し、コイル上に粉末状の封止材を充填し、これらを樹脂成形法もしくは圧粉成形法を用いて一体化させて、幅方向の対向する2つの側面の表面にコイルの巻回部の短径方向の表面を露出させ、コイルの巻回部の外周よりも外側の部分の面積がコイルの巻回部の内周よりも内側の部分の面積とほぼ同じか、それよりも小さくなる様に形成され、長さ方向の対向する2つの側面の表面にコイルの引き出し端部の表面を露出させて形成しても良い。
【符号の説明】
【0013】
11 コイル
17 成形体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10