(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の刺激パターンは、前記複数の電極のうちの前記選択された電極の第1の部分に送達され、前記第2の刺激パターンは、前記複数の電極のうちの前記選択された電極の第2の部分に送達され、前記第1の部分は、前記第2の部分とは異なる、請求項1に記載のデバイス。
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記センサインターフェースから受信される前記信号に基づいて機械学習方法を実行して、一組の刺激パラメータを決定するように構成され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記一組の刺激パラメータに少なくともある程度基づいて、前記少なくとも1つの複雑な刺激パターンを修正する、請求項1に記載のデバイス。
前記少なくとも1つのプロセッサは、電気信号を前記複数の電極から受信し、かつ前記複数の電極から受信される前記電気信号に少なくともある程度基づいて、前記少なくとも1つの複雑な刺激パターンを修正するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
コンピューティングデバイスとともに使用するための請求項1に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記センサインターフェースから受信される前記信号を記録し、前記記録された電気信号を前記コンピューティングデバイスに伝送し、かつ情報を前記コンピューティングデバイスから受信するように構成され、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記コンピューティングデバイスから受信される前記情報に少なくともある程度基づいて、前記少なくとも1つの複雑な刺激パターンを修正するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
身体を有する対象とともに使用するための請求項1に記載のデバイスであって、前記刺激アセンブリ、センサインターフェース、および少なくとも1つのプロセッサは、前記対象の前記身体における実装のために構成される筐体内に収容される、請求項1に記載のデバイス。
前記複数のセンサは、筋電図検査センサ、関節角度センサ、加速度計、ジャイロスコープセンサ、流量センサ、圧力センサ、および荷重センサのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のデバイス。
患者の身体の一部において神経学的に誘導される麻痺を有する対象とともに使用するための請求項1に記載のデバイスであって、前記対象は、少なくとも1つの選択された脊髄回路を活性化するのに必要とされる刺激の最少量を表す第1の刺激閾値と、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路が完全に活性化される刺激を超える刺激の量を表す第2の刺激閾値と、を有する前記少なくとも1つの選択された脊髄回路を有する脊髄を有し、
前記少なくとも1つの複雑な刺激パターンが前記患者の脊髄の一部に印加されるときに、前記少なくとも1つの複雑な刺激パターンは、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路が(a)前記麻痺を有する前記患者の身体の前記一部に由来する神経学的信号、および(b)脊髄上位信号のうちの少なくとも1つの追加によって少なくとも部分的に活性化可能であるように、前記第2の刺激閾値未満である、
請求項1に記載のデバイス。
患者の身体の一部において神経学的に誘導される麻痺を有する対象とともに使用するための請求項1に記載のデバイスであって、身体トレーニングは、前記麻痺を有する前記患者の身体の前記一部において誘導された神経学的信号を誘導し、前記対象は、少なくとも1つの選択された脊髄回路を活性化するのに必要とされる刺激の最少量を表す第1の刺激閾値と、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路が完全に活性化される刺激を超える刺激の量を表す第2の刺激閾値と、を有する前記少なくとも1つの選択された脊髄回路を有する脊髄を有し、前記誘導された神経学的信号の追加は、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路にさらなる影響を及ぼさず、前記誘導された神経学的信号は、前記第1の刺激閾値未満であり、かつ前記少なくとも1つの選択された脊髄回路を活性化するのに不十分であり、
前記少なくとも1つの複雑な刺激パターンが前記患者の脊髄の一部に印加されるときに、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路は、(a)前記誘導された神経学的信号の一部、および(b)脊髄上位信号のうちの少なくとも1つの追加によって、少なくとも部分的に活性化可能であるように、前記少なくとも1つの複雑な刺激パターンが前記第2の刺激閾値未満である、
請求項1に記載のデバイス。
少なくとも部分的に活性化されるとき、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路は、起立、足踏み、手を伸ばす動作、握る動作、一方または両方の脚の自発的な位置変更、一方または両方の腕の自発的な位置変更、前記対象の膀胱排泄、前記対象の腸排泄、姿勢運動、および歩行運動のうちの少なくとも1つに関与する筋肉の自発的な動きのうちの少なくとも1つを含む神経学的機能の改善をもたらす、請求項13に記載のデバイス。
少なくとも部分的に活性化されるとき、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路は、前記対象の膀胱排泄、前記対象の腸排泄、心臓血管機能、呼吸機能、消化機能、体温、および代謝プロセスのうちの少なくとも1つの自律神経調節の改善のうちの少なくとも1つを含む神経学的機能の改善をもたらす、請求項13に記載のデバイス。
少なくとも部分的に活性化されるとき、前記少なくとも1つの選択された脊髄回路は、自律神経機能、性機能、運動機能、血管運動機能、および認識機能のうちの少なくとも1つを含む神経学的機能の改善をもたらす、請求項13に記載のデバイス。
前記少なくとも1つのプロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、およびデジタル信号処理エンジンのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のデバイス。
少なくとも1つの記録用電極とともに使用するための請求項1に記載のデバイスであって、前記少なくとも1つのプロセッサが前記少なくとも1つの記録用電極に接続され、かつ前記少なくとも1つの記録用電極から受信される電気信号を受信および記録するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
前記1つ以上のセンサは、前記対象の前記身体に取り付けられるか、またはそれに隣接して位置付けられる表面EMG電極、フットフォースプレートセンサ、インシューセンサ、加速装置、およびジャイロスコープセンサのうちの少なくとも1つを備える、請求項30に記載のシステム。
前記電極アレイは、脊髄、1つ以上の脊髄神経、1つ以上の神経根、1つ以上の末梢神経、脳幹、脳、および末端器官のうちの少なくとも1つの一部に隣接して埋め込み可能である、請求項23に記載のシステム。
前記電極アレイは、高密度電極アレイであり、前記複数の電極のうちの隣接した電極は、それぞれ前記高密度電極アレイ内に相互から300マイクロメートル以内に位置付けられる、請求項23に記載のシステム。
ネットワークおよび身体組織を有する対象、ならびに前記対象に関連した生理学的データを収集するように位置付けられる1つ以上のセンサとともに使用するためのシステムであって、
前記対象の前記身体組織に隣接して埋め込み可能な電極アレイ内に配置される複数の電極と、
前記複数の電極に接続され、かつ複雑な刺激パターンをそこに送達するように構成される請求項1に記載のデバイスと、
前記ネットワークに接続され、かつ前記デバイスに刺激パラメータを伝送するように構成される第1のコンピューティングデバイスであって、前記デバイスは、前記第1のコンピューティングデバイスから受信される前記刺激パラメータに少なくともある程度基づいて、前記複雑な刺激パターンを生成するように構成される、第1のコンピューティングデバイスと、
前記ネットワークに接続される第2のリモートコンピューティングデバイスと、を備え、前記第1のコンピューティングデバイスは、前記1つ以上のセンサによって収集される前記生理学的データを前記第2のコンピューティングデバイスに伝送するように構成され、前記第2のコンピューティングデバイスは、前記1つ以上のセンサによって収集される前記生理学的データに少なくともある程度基づいて、前記刺激パラメータを決定し、かつ前記刺激パラメータを前記第1のコンピューティングデバイスに伝送するように構成される、
システム。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で引用されるすべての出版物(公開された特許出願および発行された特許を含む)は、それぞれの個々の出版物または特許出願が参照により組み込まれると具体的かつ個別に示されるのと同程度に、参照により組み込まれる。以下の記述は、本科学技術を理解するのに有用であり得る情報を含む。本記述は、本明細書に提供される情報のうちのいずれかが先行技術であるか、または具体的もしくは暗黙的に参照される任意の出版物が先行技術であることを認めるものではない。
【0034】
(概説)
研究は、神経学的欠損(SCIによって引き起こされるもの等)が複雑であり、患者間で欠損プロファイルが大きく異なるため、異なる戦略を組み合わせることが脊髄損傷(「SCI」)後に機能を改善するのに最も効果的な方法であることを示している。それらの戦略は、電気刺激(例えば、高密度硬膜外刺激)、任意で、1つ以上のセロトニン作動薬、ドーパミン作動薬、ノルアドレナリン作動薬、GABA作動薬、および/またはグリシン作動薬に加えて、理学療法を含む。そのような組み合わせ戦略が対象における脊髄回路の電気生理学的性質の調節を促進し、したがって、それらが固有受容入力によって活性化され、かつ通常脳と脊髄をつなぐことが可能ではない脊髄回路の随意制御を間接的に使用すると考えられる。つまり、それらの戦略は、脊髄回路網およびその固有受容情報を解釈する能力を活用し、機能的な方法でその固有受容情報に応答する。
【0035】
図1は、埋め込み可能な電極アレイアセンブリ100を図解する。図解されるアセンブリ100の実施形態がヒト対象102における実装のために構成されるが(
図2を参照のこと)、実施形態は、ラットを含む他の哺乳動物等の他の対象で用いるために構成されてもよく、そのような実施形態は、本教示の範囲内である。対象102は、脳108、少なくとも1つの選択された脊髄回路(図示されず)を有する脊髄110、および対象の身体の一部において神経学的に誘導される麻痺を有する。本明細書で議論される例において、対象102の脊髄110は、病変112を有する。
【0036】
非限定的な例として、活性化されると、選択された脊髄回路は、(a)起立、足踏み、手を伸ばす動作、握る動作、一方もしくは両方の脚および/または一方もしくは両方の腕の自発的な位置変更、対象の膀胱排泄、対象の腸排泄、姿勢運動、および歩行運動のうちの少なくとも1つに関与する筋肉の自発的な動きを可能にし、(b)心臓血管機能、体温、および代謝プロセスのうちの少なくとも1つの自律神経調節を可能にするか、または改善し、かつ/あるいは(c)自律神経機能、性機能、血管運動機能、および認識機能のうちの少なくとも1つの回復を促進するのに役立ち得る。選択された脊髄回路の活性化の効果は、「神経学的機能の改善」と称される。
【0037】
理論によって制限されることなく、選択された脊髄回路が、選択された脊髄回路を活性化するのに必要とされる刺激の最少量を表す第1の刺激閾値と、選択された脊髄回路が完全に活性化される刺激を超える刺激の量を表す第2の刺激閾値とを有し、加えて、誘導された神経学的信号が、少なくとも1つの選択された脊髄回路にさらなる影響を及ぼさないと考えられる。
【0038】
麻痺は、運動完全な麻痺または運動不完全な麻痺であってもよい。麻痺は、運動完全または運動不完全に分類されるSCIによって引き起こされたかもしれない。麻痺は、虚血性または外傷性脳損傷によって引き起こされたかもしれない。麻痺は、発作または急性外傷に起因する虚血性脳損傷によって引き起こされたかもしれない。別の例として、麻痺は、神経変性脳損傷によって引き起こされたかもしれない。神経変性脳損傷は、パーキンソン病、ハンチントン病、ジストニア、アルツハイマー病、虚血、発作、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、原発性側索硬化症(PLS)、および脳性麻痺のうちの少なくとも1つに関連し得る。
【0039】
神経学的信号は、(例えば、身体トレーニングによって)対象の身体の麻痺した部分において誘導されてもよい。しかしながら、誘導された神経学的信号が第1の刺激閾値未満であり、かつ少なくとも1つの選択された脊髄回路を活性化するのに不十分である場合、誘導された神経学的信号の追加は、選択された脊髄回路にほとんどまたはまったく影響しない場合がある。
【0040】
アセンブリ100は、電気刺激を神経組織(例えば、脊髄110の一部、1つ以上の脊髄神経、1つ以上の神経根、1つ以上の末梢神経、脳幹、および/または脳108等)に印加するように構成される。さらに、電気刺激は、1つ以上の末端器官(例えば、膀胱、腎臓、心臓、肝臓等)の組織を含む他の種類の組織に印加されてもよい。説明図を簡略化するために、電気刺激は、身体組織に送達されるように描写される。刺激が神経組織ではない身体組織に送達されてもよいが、刺激の標的は、概して、身体組織への刺激の追加によって修正される神経系の構成要素である。
【0041】
送達された電気刺激は、選択された脊髄回路が、(a)誘導された神経学的信号(例えば、身体トレーニングを介して誘導された神経学的信号)、および/または(b)脊髄上位信号の追加によって少なくとも部分的に活性化可能であるように、第2の刺激閾値未満であるように構成される。非限定的な例として、アセンブリ100は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2012年1月3日に出願された米国特許出願第13/342,903号、表題「High Density Epidural Stimulation for Facilitation of Locomotion,Posture,Voluntary Movement,and Recovery of Autonomic,Sexual,Vasomotor and Cognitive Function after Neurological Injury」に記載の方法を実行するために使用されてもよい。しかしながら、選択された脊髄回路は、身体トレーニングを介して誘導された神経学的信号以外の神経学的信号の追加によって、少なくとも部分的に活性化可能であってもよい。
【0042】
アセンブリ100は、1つ以上の電極アレイ140、1つ以上のリード130、および神経刺激デバイス120を含む。説明図を簡略化するために、1つ以上の電極アレイ140は、単一の電極アレイを含むように描写される。しかしながら、通常の技術を本教示に適用することにより、2つ以上の電極アレイを含む実施形態を構成することができる。したがって、そのような実施形態は、本教示の範囲内である。神経刺激デバイス120は、1つ以上のリード130によって電極アレイ140に送達される電気刺激を生成する。実装例の詳細に応じて、神経刺激デバイス120は、神経調節デバイスであると見なされ得る。
【0043】
電極アレイ140は、ヒト患者における実装のために設計および認可された市販の高密度電極アレイを用いて実装されてもよい。非限定的な例として、(16個の電極を組み込む)Medtronic Specify5−6−5多電極アレイを使用してもよい。好適な電極アレイの例には、シリコーンに埋め込まれる白金ワイヤおよび表面電極で構成されるパドル形状の電極(例えば、5−6−5の電極配置を有する)が挙げられる。さらに、電極アレイ140は、複数の電極アレイ(例えば、直列または並列配列で神経刺激デバイス120に接続される複数の16電極アレイ)を用いて実装されてもよい。
【0044】
図3Aは、16個の電極「E−1」〜「E−16」を有する先行技術の電極アレイ148を図解する。電極アレイ140は、電極アレイ148を用いて実装されてもよい。先行技術の刺激装置は、ユーザ(例えば、臨床医)が電極「E−1」〜「E−16」を最大4つの群に分けることを可能にする。それぞれの群は、任意の数の電極を含んでもよい。異なる周波数およびパルス幅を有する刺激は、それらの群に送達されてもよい。対照的に、神経刺激デバイス120は、電極「E−1」〜「E−16」を任意の数の群に分けてもよい。例えば、それぞれの電極は、それぞれの群に割り当てられてもよい。別の例として、1つ以上の電極は、複数の群に属してもよい。以下の表Aは、独立して特定および刺激され得る群の数例を提供する。どの電極がアノードとして機能し、どの電極がカソードとして機能するかも、例証目的のために明記される。
【0045】
【表1A】
さらに、先行技術の刺激装置は、矩形波のみを電極「E−1」〜「E−16」に送達するように構成される。対照的に、かつ以下で詳細に記載されるように、神経刺激デバイス120は、単に矩形波だけでなく、波形形状を有する刺激を送達するように構成される。
【0046】
特定の実施形態において、神経刺激デバイス120は、刺激を電極142のうちの単一の選択された電極に送達し、かつ/または電極142のうちの単一の選択された電極を参照電極として使用するように構成される。先行技術の刺激装置は、このレベルのアドレス指定能力がない。
【0047】
いくつかの実施形態において、電極アレイ140は、マイクロファブリケーション技術を用いて、多数の電極をアレイ構成で可塑性基材上に設置するように構成されてもよい。1つの好適な硬膜外アレイ作製方法は、網膜刺激アレイ(例えば、Maynard,Annu.Rev.Biomed.Eng.,3:145−168(2001)、Weiland and Humayun,IEEE Eng.Med.Biol.Mag.,24(5):14−21(2005)を参照のこと)、ならびにすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2006/0003090号および同第2007/0142878号(例えば、それらに開示されるデバイスおよび作製方法)のために最初に開発された。様々な実施形態において、刺激アレイは、可塑性材料(例えば、パリレンA、パリレンC、パリレンAM、パリレンF、パリレンN、パリレンD、または他の可塑性基材材料)上に配置される1つ以上の生体適合性金属(例えば、金、白金、クロム、チタン、イリジウム、タングステン、および/もしくは酸化物、ならびに/またはそれらの合金)を備える。利用可能なマイクロファブリケーションポリマーの中で最も低い透水性を有するパリレンは、独特に等角かつ均一な様式で沈殿し、以前にFDAによって米国薬局方(USP)のクラスVIの生体適合性材料に分類されており(長期移植片におけるその使用を可能にする)(Wolgemuth,Medical Device and Diagnostic Industry,22(8):42−49(2000))、可撓性特性を有し(ヤング率約4GPa(Rodger and Tai,IEEE Eng.Med.Biology,24(5):52−57(2005)))、PDMS(多くの場合、軟らかすぎると見なされる)と大抵のポリイミド(多くの場合、硬すぎると見なされる)との間である。最終的に、パリレンの破損時の引き裂き抵抗および伸長はともに大きく、外科的処置下での電極アレイへの損傷を最小限に抑える(Rodger et al.,Sensors and Actuators B−Chemical,117(1):107−114(2006))。
【0048】
図3で図解される実施形態において、電極アレイ140は、微小電気機械システム(「MEMS」)デバイスであると見なされてもよい。
図3で図解される電極アレイ140の実装例が動物における使用に好適であり得るが、基本的な形状および作製技術は、ヒトにおける使用に合わせて基準化されてもよい。電極アレイ140は、脊髄110に沿った実装のために構成され(
図1を参照のこと)、電気刺激をそこに提供する。例えば、電極アレイ140は、硬膜外刺激を脊髄110に提供してもよい。電極アレイ140は、先行技術のワイヤベースの移植片と比較して、刺激部位を選択する際に高い自由度および特異性を可能にし、対象102における脊髄110および神経学的機能の改善のさらなる理解につながり得る多様な生物学的応答を誘発する。電極アレイ140を構成するために使用され得る電極アレイの非限定的な例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2012年1月23日に出願された同時係属米国特許出願第13/356,499号、表題「Parylene−Based Microelectrode Array Implant for Spinal Cord Stimulation」に記載されている。
【0049】
図3を参照して、電極アレイ140は、複数の電極142(例えば、電極A1〜A9、B1〜B9、およびC1〜C9)、ならびに複数の導電性トレース144を含む。電極142の大きさは異なってもよく、生体適合性の実質的に非導電性(または絶縁性)の材料(例えば、可塑性パリレン)の中に埋め込まれるか、またはその上に位置付けられる生体適合性の実質的に導電性の材料(等の白金、Ag/AgCI等)を用いて構成されてもよい。トレース144のうちの1つ以上は、電極142のそれぞれに接続される。トレース144のうちの2つ以上を電極142のそれぞれに接続することは、信号が、電極142のそれぞれに到達し、かつ電極142のそれぞれから受信されることを確実にする。つまり、冗長性を用いて、信頼性を改善することができる。電極142のそれぞれは、身体組織に沿って位置付け可能な1つ以上の導電性接点(図示されず)を有する。身体組織は、神経組織(例えば、脊髄110、1つ以上の脊髄神経、1つ以上の神経根、1つ以上の末梢神経、脳幹、および/または脳108等)、他の種類の脊髄組織(例えば、脊髄110の硬膜)、ならびに末端器官組織を含んでもよい。さらに、電極アレイ140は、そのような身体組織に沿って位置付け可能であるように構成されてもよい。
【0050】
電極アレイ140を、当業者に周知のいくつかの方法(例えば、椎弓切除術)のうちのいずれかを使用して埋め込んでもよい。非限定的な例として、電極142を脊髄110(
図1を参照のこと)に沿って硬膜外に埋め込んでもよい。電極142を、脊髄110(
図1を参照のこと)の腰仙骨部、頸部、および胸部のうちの1つ以上で位置付けてもよい。図解される実施形態において、電極142は、脳108(
図1を参照のこと)と比較して、病変112(
図1を参照のこと)より遠位に位置付けられる。つまり、電極142は、病変112よりも脳108から遠くに位置付けられる。
【0051】
図解される1つ以上のリード130は、導電性要素を含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のリード130は、電極アレイ140のトレース144のそれぞれに導電性要素を含む。別の非限定的な例として、いくつかの実施形態において、1つ以上のリード130は、電極アレイ140の電極142のそれぞれに導電性要素を含む。アセンブリ100の1つ以上のリード130は、神経刺激デバイス120を電極アレイ140のトレース144に接続し、それらはそれぞれ、電極142のうちの1つに接続される。したがって、神経刺激デバイス120によって生成される信号は、1つ以上のリード130を介してトレース144のうちの選択されたトレースに伝送され、それらは、信号を電極142のうちの選択された電極に伝送し、それらは、次いで、刺激を電極142の導電性接点(図示されず)と接触した身体組織に送達する。1つ以上のリード130の長さは異なってもよい。導電性要素は、生体適合性の実質的に非導電性(または絶縁性)の材料(例えば、可塑性パリレン)に埋め込まれるか、またはそれによって包囲される生体適合性の実質的に導電性の材料(白金、Ag/AgCI等)を用いて構成されてもよい。任意で、1つ以上のリード130は、1つ以上のコネクタ132および134を含んでもよい。図解される実施形態において、コネクタ132は、1つ以上のリード130を電極アレイ140に接続するために使用され、コネクタ134は、1つ以上のリード130を神経刺激デバイス220に接続するために使用される。
【0052】
先行技術の硬膜外刺激インパルス発生器(例えば、背中の痛み軽減等の用途のために設計された種類のもの)は、神経学的機能の改善(例えば、重度のSCIおよび/または神経運動障害の発現後の足踏み、起立、腕運動等)をもたらすのに必要とされる複雑なパターンの刺激信号を生成することはできない。例えば、足踏みを回復するために、右脚遊脚期中に脊髄110の右側(例えば、腰仙骨部の)にわたってピークになる振動、および左脚遊脚期中に脊髄110の左側(例えば、腰仙骨部の)にわたってピークになる振動を有する時空間交流電場を使用してもよい。別の例として、自主的な起立を回復するために、電極電圧および電極刺激周波数の両方における吻側尾側勾配を使用してもよい。吻側は脳108により近く、尾側は脳108から遠い。先行技術の刺激装置は、単にそのような複雑な刺激パターンを送達するように構成されていない。
【0053】
先行技術の硬膜外刺激インパルス発生器は、患者が神経学的に誘導される麻痺の結果として失った機能性を回復することを支援するそれらの能力を制限する他の制限を有する。例えば、典型的な先行技術の刺激装置は、同一の振幅を有する刺激をすべての活性電極に送達する。いくつかの先行技術の刺激装置は、異なる振幅を有する刺激を4つの異なる群の電極に送達するように構成される。さらに、典型的な先行技術の刺激装置は、同一の周波数を有する刺激をすべてのチャネル(または電極)に送達する。いくつかの先行技術の刺激装置は、異なる周波数を有する刺激を4つの群のチャネル(または電極)に送達するように構成される。加えて、典型的な先行技術の刺激装置は、同一のパルス幅を有する刺激をすべてのチャネル(または電極)に送達する。さらに、典型的な先行技術の刺激装置は、非パルス波形を生成する能力を欠く。
【0054】
神経学的機能の改善(例えば、足踏み、起立、腕運動等)を達成するために、先行技術の刺激装置によって生成される種類よりも複雑な波形が1つ以上の標的位置に送達されなければならない。例えば、非矩形波形(例えば、
図4Aで図解される波形160)および主要な「駆動」パルス(例えば、
図4Bで図解される駆動パルス164)とは異なる振幅およびパルス幅を有する小さい「プレパルス」(例えば、
図4Bで図解されるプレパルス162)を用いて、異なる繊維径および異なる電気特性を有するニューロンを選択的に動員することができることが知られている。Z.−P.Fang and J.T.Mortimer,“Selective Activation of Small Motor Axons by Quasitrapezoidal Current Pulses,”IEEE Trans.Biomedical Engineering,38(2):168−174,Feb.1991、およびW.M.Grill and J.T.Mortimer,“Inversion of the Current−Distance Relationship by Transient Depolarization,”IEEE Trans.Biomedical Engineering,44(1):1−9,Jan.1997。したがって、それらの波形を用いて、異なる治療目標を達成するために必要とされる1つ以上の感知/動力回路の異なる部分を選択的に動員する(例えば、異なる脊髄回路を活性化する)ことができる。
【0055】
神経学的機能の改善(例えば、足踏み、起立、腕運動等)を達成するために、電気刺激開始のタイミングを慎重に制御しなければならない。例えば、足踏みのために必要とされる刺激電圧場の時空間特性は、全電極アレイ140にわたって電極142間の位相シフト(刺激波形の開始の正確なタイミング)を特定および制御する能力を必要とする。先行技術の刺激装置は、この能力を欠いている。
【0056】
神経刺激デバイス120は、神経学的機能の改善をもたらす複雑な種類およびパターンの電気刺激を生成するように構成される。つまり、神経刺激デバイス120は、1つ以上の「複雑な刺激パターン」を生成する(かつ電極アレイ140に送達する)ように構成される。複雑な刺激パターンは、少なくとも以下の特性を有する:
1.電極142のそれぞれに印加する一種の刺激(これは、適切な場合、1つ以上の選択された電極142への刺激の印加を含まなくてもよい)(この一種の刺激は、波形形状、振幅、波形期間、波形周波数等を含む刺激種類パラメータによって定義され、電極142は、個別にアドレス可能である)、
2.刺激が電極142のそれぞれに印加されるときを示す刺激タイミング(これは、刺激を電極142に印加するシーケンスを定義する)(刺激タイミングは、刺激の開始、異なる電極上での波形開始間の相対遅延、刺激が送達される期間、刺激が送達されない期間等を含むタイミングパラメータによって定義される)、
3.1つの波形をどのように経時的に円滑に適合させて、異なる波形に変化させる(または変形させる)ことができるかを定義する遷移パラメータ(波形パターン間のそのような円滑な変化は、着座から起立への遷移等の複雑な運動機能を可能にするのに役立ち得る)。
刺激種類パラメータ、タイミングパラメータ、および遷移パラメータを合わせて、複雑な刺激パターンを定義する「刺激パラメータ」になる。神経刺激デバイス120は、複雑な刺激パターンを電極アレイ140に送達する。したがって、電極アレイ140は、電極142のうちのどの電極が刺激を受信するかを選択することができるように構成される。特定の実施形態において、電極142は、神経刺激デバイス120によって個別にアドレス可能である。さらに、神経刺激デバイス120は、電極142のうちの選択された電極のそれぞれに送達される刺激の周波数、波形幅(もしくは期間)、および/または振幅が調節可能であり得るようにも構成されてもよい。複雑な刺激パターンは、一定のままであるか、反復するか、または経時的に変化してもよい。
【0057】
(刺激パラメータを変化させることによって)神経刺激デバイス120によって送達される複雑な刺激パターンの構成能力は、移動および/または最初の外科的誤整合を修正するために、効果的な複雑な刺激パターンの特定ならびに複雑な刺激パターンの調節を可能にする。神経刺激デバイス120は、複数の異なる複雑な刺激パターンを電極142に送達するように構成されてもよい。
【0058】
神経刺激デバイス120は、プログラム可能である(例えば、対象102または医師によって)。神経刺激デバイス120は、安全で、効果的で、かつ/または選択的な複雑な刺激パターンを標的特異的身体組織に送達するように構成される刺激パラメータおよび/または制御パラメータを用いてプログラミングされてもよい。さらに、刺激パラメータおよび/または制御パラメータは、それぞれの患者に対してカスタマイズされてもよい(例えば、手術前(埋め込み)評価および試験への応答に基づいて)。神経刺激デバイス120は、複雑な刺激パターンを断続的または連続的のいずれかで提供し、かつ周波数、波形幅、振幅、および期間の調節を可能にするために、可変の活性化制御を有してもよい。そのようなカスタマイズ可能な刺激を生成することによって、神経刺激デバイス120を用いて、(a)効果的および/もしくは最適な複雑な刺激パターンを生成または維持し、かつ/あるいは(b)実装中にアセンブリ100が移動し、かつ/または整合を誤ったときに、刺激の印加(神経組織に対して)の位置を調節することができる。
【0059】
神経刺激デバイス120は、データを記憶、送信、および受信するように構成されてもよい。送信および受信されたデータは、無線接続155(
図2を参照のこと)を介して、無線で伝送されてもよい(例えば、ブルートゥース、ZigBee、FCC認可のMICS医療用伝送周波数帯域等の現在の技術を使用して)。神経刺激デバイス120は、自動的に調整されるように構成されてもよい(例えば、開ループおよび/または閉ループ機能性のために構成されてもよい)。さらに、神経刺激デバイス120は、脊髄110の背側によって生成される体感覚性誘発電位(SSEP)等の電極142によって検出される電場電位を記録するように構成されてもよい。神経刺激デバイス120は、再充電可能であるように構成されてもよい。
【0060】
実装例の詳細に応じて、神経刺激デバイス120は、以下の特性または特徴のうちの1つ以上を用いて構成されてもよい:
1.外科手術を介して神経刺激デバイス120を埋め込むことを可能にするフォームファクタ、
2.再充電可能なバッテリを有する電力発生器、
3.二次予備バッテリ、
4.1つ以上の生体適合性材料から作製される密封パッケージ中に封入される電子および/または機械構成要素、
5.プログラム可能な自動調整器、
6.電場電位を記録する能力、
7.独立して、または他の埋め込まれたデバイスもしくは外部デバイスと協調して動作する能力、ならびに
8.無線技術を介してデータを送信、記憶、および受信する能力。
【0061】
任意で、神経刺激デバイス120は、接続194(例えば、ワイヤ、無線接続等)を介して、1つ以上のセンサ188(例えば、筋電図検査(「EMG」)センサ190、関節角度(または屈曲)センサ191、加速度計192、ジャイロセンサ、圧力センサ、流量センサ、荷重センサ等)に接続されてもよい。接続(例えば、接続194)およびセンサ188は、外部構成要素および/または埋め込まれた構成要素を用いて実装されてもよい。センサ188を含む実施形態において、神経刺激デバイス120は、接続194を介してセンサ188から受信される情報に基づいて、複雑な刺激パターンを修正または調節するように構成されてもよい。接続194は、有線または無線接続を用いて実装されてもよい。任意で、神経刺激デバイス120は、参照ワイヤ196に接続されてもよい。
図2において、参照ワイヤ196の一方は、肩の近くに位置付けられ、参照ワイヤ196の他方は、腰背部に位置付けられる。しかしながら、これは必要条件ではない。
【0062】
接続194が任意でワイヤを用いて実装される実施形態において、接続194は、1つ以上のコネクタ136および138を含んでもよい。図解される実施形態において、コネクタ136は、接続194をセンサ188に接続するために使用され、コネクタ138は、接続194を神経刺激デバイス220に接続するために使用される。
【0063】
比較的大きい対象(例えば、ヒト)とともに使用するための非限定的な例として、神経刺激デバイス120は、約20mm〜約25mmの幅、約45mm〜約55mmの長さ、および約4mm〜約6mmの厚さであってもよい。比較的小さい対象(例えば、ラット)とともに使用するための別の非限定的な例として、神経刺激デバイス120は、約3mm〜約4mmの幅、約20mm〜約30mmの長さ、および約2mm〜約3mmの厚さであってもよい。
【0064】
上述のように、アセンブリ100は皮下に設置される。電極142は、標的領域上または標的領域の近くに位置付けられる(例えば、
図1で図解される病変112より遠位)。対象102(
図2を参照のこと)がSCIを有する場合、電極アレイ140を、病変112の縁のすぐ遠位の標的領域内の脊髄110に沿って位置付けることができる。したがって、麻痺が脊髄110(
図1を参照のこと)に沿って第1の位置でSCIによって引き起こされた場合、電極142を、対象の脳108に対して脊髄に沿って第1の位置よりも低い第2の位置で(例えば、硬膜外に)埋め込むことができる。電極142を、脊髄110(
図1を参照のこと)、1つ以上の脊髄神経、1つ以上の神経根、1つ以上の末梢神経、脳幹、および/または脳108(
図1を参照のこと)の中または上に設置してもよい。
【0065】
複雑な刺激パターンは、持続的刺激および間欠的刺激のうちの少なくとも1つを含んでもよい。印加される刺激は、パルスされてもよい。電気刺激は、脊髄110、1つ以上の脊髄神経、1つ以上の神経根、1つ以上の末梢神経、脳幹、および/または脳108(
図1を参照のこと)の異なる領域の同時または逐次刺激を含んでもよい。アセンブリ100によって印加される複雑な刺激パターンは、対象102(
図2を参照のこと)によって生成される神経学的信号(例えば、身体トレーニングによって誘導される神経学的信号または脳108に由来する神経学的信号)の追加によって、少なくとも1つの選択された脊髄回路が少なくとも部分的に活性化可能であるように、第2の刺激閾値未満であってもよい。非限定的な例として、対象102によって生成される神経学的信号は、対象を身体活動またはトレーニング(ハーネス172または他の支持構造物に吊るされている間の踏み車170上での足踏み等)に供することによって誘導されてもよい。対象102によって生成される神経学的信号は、対象102の麻痺した部分に誘導されてもよい。別の非限定的な例として、対象102によって生成される神経学的信号は、脊髄上位信号(または脳108に由来する神経学的信号)を含んでもよい。
【0066】
上述のように、
図1で図解されるアセンブリ100の実施形態は、対象102(
図2を参照のこと)における実装のために構成される。しかしながら、当技術分野における通常の技術を本教示に適用することにより、ラットを含む他の哺乳動物等の他の対象とともに使用するための実施形態を構成することができる。アセンブリ100は、長期実装および使用のために構成されてもよい。例えば、アセンブリ100を用いて、1つ以上の神経根、1つ以上の神経、脊髄110(
図1を参照のこと)、脳幹、および/または脳を経時的に刺激してもよい。
【0067】
埋め込み可能なアセンブリ100(
図1を参照のこと)を、
図2で図解される外部システム180とともに使用してもよい。
図2を参照して、外部システム180は、(例えば、無線接続155を介して)神経刺激デバイス120をプログラミングし、データ収集し、かつ/または充電するために使用することができる外部制御ユニット150を含む。
図2で図解される実施形態において、外部制御ユニット150は、手で持てるように構成される。任意で、外部システム180は、以下で詳細に説明されるコンピューティングデバイス152を含む。外部制御ユニット150は、接続154(例えば、USB接続、無線接続等)を介して外部コンピューティングデバイス152に接続されてもよい。
【0068】
コンピューティングデバイス152は、ネットワーク156(例えば、インターネット)に接続されてもよく、ネットワーク上で1つ以上のリモートコンピューティングデバイス(例えば、リモートコンピューティングデバイス157)に情報を送信し、そこから情報を受信するように構成されてもよい。
【0069】
コンピューティングデバイス152が無線通信インターフェースで実装される実施形態において、外部制御ユニット150は、省略されてもよい。コンピューティングデバイス152は、無線接続155を介して、指示を神経刺激デバイス120に直接通信してもよい。例えば、コンピューティングデバイス152は、従来の無線通信インターフェースを有する携帯電話、タブレットコンピューティングデバイス等として実装されてもよい。そのような実施形態において、コンピューティングデバイス152は、ブルートゥース等の無線通信プロトコルを用いて、指示を神経刺激デバイス120に通信してもよい。さらに、コンピューティングデバイス152は、無線接続155を介して、神経刺激デバイス120からデータを受信してもよい。指示およびデータは、ネットワーク156上で、リモートコンピューティングデバイス157に通信され、かつそれから受信されてもよい。したがって、リモートコンピューティングデバイス157を用いて、ネットワーク156上で(コンピューティングデバイス152を介して)神経刺激デバイス120を遠隔的にプログラミングしてもよい。
【0070】
1つ以上の外部センサ158は、(有線および/または無線)接続159を介して、コンピューティングデバイス152に接続されてもよい。さらに、動き捕捉システム166は、コンピューティングデバイス152に接続されてもよい。外部センサ158および/または動き捕捉システム166を用いて、コンピューティングデバイス152および/または神経刺激デバイス120による分析のために、対象102についてのデータを収集してもよい。
【0071】
外部センサ158は、足圧センサ、フットフォースプレート、インシューセンサ、加速度計、表面EMGセンサ、ジャイロセンサ等のうちの少なくとも1つを含んでもよい。外部センサ158は、対象102の身体に取り付けられるか、またはその近くに位置付けられてもよい。
【0072】
動き捕捉システム166は、任意の従来の動き捕捉システム(例えば、ビデオベースの動き捕捉システム)を含んでもよく、本教示は、いかなる特定の動き捕捉システムとの使用にも限定されない。
【0073】
(第1の実施形態)
図5は、システム200の第1の実施形態のブロック図である。システム200は、上述のアセンブリ100に実質的に類似した埋め込み可能なアセンブリ202、および上述の外部システム180に実質的に類似した外部システム204を含む。したがって、アセンブリ100の構成要素とは異なるアセンブリ202の構成要素および外部システム180の構成要素とは異なる外部システム204の構成要素のみが詳細に説明される。説明図を簡略化するために、同様の参照番号は、
図1〜3および
図5において、同様の構成要素を特定するために使用されている。
【0074】
アセンブリ202は、神経刺激デバイス220、1つ以上のリード130、および電極アレイ140、および接続194を含む。アセンブリ202は、参照ワイヤ196(
図2を参照のこと)も含んでもよい。非限定的な例として、アセンブリ202は、
図2で図解される2つの参照ワイヤを含んでもよい。図解される実施形態において、接続194は、16個のワイヤを含み、それぞれ、センサ188(例えば、EMGセンサ190)のうちの異なる1つに接続される。しかしながら、これは必要条件ではなく、実施形態は、本教示の範囲から逸脱することなく、異なる数の接続(例えば、ワイヤ)、異なる数のセンサ、および/または異なる種類のセンサを用いて構成されてもよい。
【0075】
図解される実施形態において、電極アレイ140は、27個の電極、A1〜A9、B1〜B9、およびC1〜C9を含む。しかしながら、これは必要条件ではなく、異なる数の電極(例えば、16個の電極、32個の電極、64個の電極、256個の電極等)を含む実施形態は、本教示の範囲内である。特定の実施形態は、少なくとも16個の電極を含む。
【0076】
神経刺激デバイス220は、刺激信号(例えば、「パルス」)を電極アレイ140内の電極142のうちのいずれかに送信するように構成される。神経刺激デバイス220は、異なる電極間を非常に迅速に切り替わるようにも構成される。したがって、神経刺激デバイス220は、所定のパターンのパルスを電極アレイ140内の電極142のうちの選択された電極に効率的に送信することができる。いくつかの実施形態において、神経刺激デバイス220は、実質的に任意のパルスされた波形が生成され得るように、多種多様の波形を生成するように構成される。上述のように、電極142は、5つ以上の群内に配置されてもよく、それぞれの群は、それらの電極のうちの1つ以上を含む。さらに、電極は、2つ以上の群に含まれてもよい。2つ以上の電極を含む群において、電極は同時に刺激されてもよい。
【0077】
無線接続155は、2つの構成要素、通信接続155Aおよび電力転送接続155Bであってもよい。
【0078】
実装例の詳細に応じて、神経刺激デバイス220は、以下の特性を有する刺激を送達するように構成されてもよい:
1.約±12Vの最大電圧(例えば、定電圧モード)、
2.約±5mAの最大刺激電流(例えば、定電圧モード)、
3.約100kHzの最大刺激周波数、
4.約50kHzと同程度に高い周波数を有する約0.1msの最小パルス幅、
5.約60kHz(−3dB)の最大記録帯域幅、
6.約7ビット〜約12ビットのデジタルアナログ変換器(「DAC」)解像度、
7.約3マイクロ秒の設定切替時間、
8.刺激を構成し、刺激(例えば、パルス)を1ミリ秒毎に約100回送達する能力、
9.同時にアドレス可能な電極(例えば、任意の対の電極142は、複数の群(例えば、5つ以上の群)の同時にアドレス可能な(例えば、そこから刺激または記録される)電極でアドレス指定されてもよい)、
10.刺激を印加するために使用されない場合、差動対の電極として選択され、かつ記録のために使用されてもよい、電極142のうちのいずれか、
11.データを送信および/または受信するための通信接続155Aにわたる約250kBps(ISM帯域915MHz)の無線データ転送速度、ならびに
12.約100mWの最大電力消費。
【0079】
図解される実施形態において、神経刺激デバイス220は、マルチプレクサ分岐回路230、刺激装置回路240、コントローラ250(
図8で図解されるコントローラ回路252に接続される)、および任意の無線電力回路260を含む。コントローラ250は、3つの制御信号、クロック、データ、およびENをマルチプレクサ分岐回路230に送信し、データA1’〜A4’をマルチプレクサ分岐回路230から受信する。刺激装置回路240は、第1の刺激信号STIM+および第2の刺激信号STIM−をマルチプレクサ分岐回路230に供給する。コントローラ250は、制御信号PWMおよびMODEを刺激装置回路240に送信する。コントローラ250によって刺激装置回路240に送信される制御信号MODEは、刺激装置回路240に指示して、定電圧モードまたは定電圧モードのいずれかで動作させる。コントローラ250によって刺激装置回路240に送信される制御信号PWMは、第1および第2の刺激信号STIM+およびSTIM−として刺激装置回路240によってマルチプレクサ分岐回路230に送信される電力を制御するために、パルス幅調節を使用する。したがって、制御信号PWMは、複雑な刺激パターンの少なくとも一部を構成する。しかしながら、マルチプレクサ分岐回路230は、どの電極142および/または接続194が刺激を受信するかを決定する。したがって、マルチプレクサ分岐回路230は、複雑な刺激パターンの少なくとも一部を構成する。しかしながら、刺激装置回路240およびマルチプレクサ分岐回路230は両方ともに、コントローラ250から受信される指示に基づいて複雑な刺激パターンを構成する。
【0080】
コントローラ250は、通信接続155Aを介して外部プログラミングユニット150に無線接続される。通信接続155Aは、コントローラ250が外部プログラミングユニット150からシステム制御コマンドおよびデータを受信し、かつ外部プログラミングユニット150にステータス情報およびデータを伝送することができる双方向無線通信を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、通信接続155Aは、1つ以上のアナログ通信チャネル、1つ以上のデジタル通信チャネル、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0081】
コントローラ250は、電力(例えば、3V)を無線電力回路260から、電力監視信号PWRMONを無線電力回路260から受信する。無線電力回路260は、電力(例えば、12Vおよび3V)をマルチプレクサ分岐回路230に供給する。無線電力回路260は、電力(例えば、12Vおよび3V)を刺激装置回路240にも供給する。無線電力回路260は、電力転送接続155Bを介して、電力を外部プログラミングユニット150から無線で受信する。
【0082】
図6Aおよび
図6Bは、マルチプレクサ分岐回路230の例示的な実装例の回路図である。
図6Aは、マルチプレクサ分岐回路230の回路図の一番左の部分であり、
図6Bは、マルチプレクサ分岐回路230の回路図の一番右の部分である。
図6Aおよび
図6Bの回路図は、増幅器AMP1〜AMP4、シフトレジスタSR1〜SR4(例えば、NXP半導体74HC164を用いて実装される)、およびアナログマルチプレクサチップM0〜M9を含む。
【0083】
増幅器AMP1〜AMP4は、それぞれ、データA1’〜A4’を出力する。増幅器AMP1〜AMP4(例えば、アナログデバイスAD8224)は、増幅率が200に設定された差動増幅器として実装されてもよい。しかしながら、当業者に明らかであるように、他の増幅率を使用してもよい。さらに、当業者に既知の構成要素の修正によって、増幅器AMP1〜AMP4の増幅率を容易に変更することができる。
【0084】
マルチプレクサ分岐回路230は、第1および第2の刺激信号Stim+およびStim−を電極142および/または接続194のうちの選択されたものにルートする。マルチプレクサ分岐回路230はまた、電極142および/または接続194のうちの選択されたものから受信される信号を増幅器AMP1〜AMP4にルートする。したがって、マルチプレクサ分岐回路230は、信号を刺激装置回路240、増幅器AMP1〜AMP4、電極142、および接続194の間でルートするように構成される。
【0085】
コントローラ250は、制御信号クロックおよびデータを介して、30ビットのシリアルデータストリームをマルチプレクサ分岐回路230に送信し、これは、シフトレジスタSR1〜SR4に送り込まれる。シフトレジスタSR1〜SR4は、次いで、アナログマルチプレクサチップM0〜M9を制御し、これは、制御信号ENによって可能にされる。
【0086】
マルチプレクサチップM0は、第1および第2の刺激信号STIM+およびSTIM−をコントローラ250から受信するために、それぞれ、入力「Da」および「Db」を有する。マルチプレクサチップM0は、切断された構成要素(複数を含む)によって検出される信号の記録中に、電極142のうちの1つ以上および/またはセンサ188(例えば、EMGセンサ190)のうちの1つ以上を切断するために使用される。マルチプレクサチップM0は、刺激が印加されるときに電極142のそれぞれの極性(またはトライステート)を選択するためにも使用される。マルチプレクサチップM0は、2倍(4:1)マルチプレクサ(例えば、アナログデバイスADG1209)として実装されてもよい。
【0087】
マルチプレクサチップM1〜M9は、ほとんどの対の電極142または接続194を増幅器AMP1ならびにマルチプレクサチップM0の入力「Da」および「Db」(それぞれ、第1および第2の刺激信号STIM+およびSTIM−を受信する)に接続するために相互接続される。マルチプレクサチップM1〜M9はそれぞれ、8:1のマルチプレクサ(例えば、アナログデバイスADG1208)を用いて実装されてもよい。
【0088】
マルチプレクサチップM1〜M9に関して、回路図におけるそれぞれの矩形タグのラベルは、電極142のうちの1つまたは接続194のうちの1つへの接続を特定する。文字「E」で始まる矩形タグのそれぞれのラベルは、188のうちの1つセンサ(例えば、EMGセンサ190のうちの1つ)に接続される接続194のうちの1つへの接続を特定する。例えば、マルチプレクサチップM1に隣接したラベル「E1+」は、第1のワイヤへの接続を特定し、マルチプレクサチップM2に隣接したラベル「E1−」は、第2のワイヤへの接続を特定する。合わせて、ラベル「E1+」および「E1−」は、接続194の第1の対への接続を特定する。
【0089】
マルチプレクサチップM9に隣接したラベル「G1」および「G2」は、参照ワイヤ196(
図2を参照のこと)への接続を特定する。
【0090】
文字「E」または文字「G」以外の文字で始まる矩形タグのそれぞれのラベルは、電極142のうちの1つへの接続を特定する。例えば、ラベル「A3」は、A列3行目(A列が一番左であり、B列が中間であり、C列が一番右であり、1行目が吻側であり、9行目が尾側である)の電極A3(
図3を参照のこと)への接続を指す。
【0091】
任意で、いくつかの主要な電極は、マルチプレクサ分岐回路230に対して2つ以上の接続を有してもよい。例えば、電極A1、B1、C1、A9、B9、およびC9はそれぞれ、2つ以上のラベルによって特定される。
【0092】
マルチプレクサ分岐回路230は、4つのモードで動作するように設計される。第1のモードでは、マルチプレクサ分岐回路230は、個々の電極を選択して、そこに単極刺激パルスを印加するように構成される。第2のモードでは、マルチプレクサ分岐回路230は、一対の電極142を選択して、両極様式で刺激するように構成される。第3のモードでは、マルチプレクサ分岐回路230は、単一の電極を選択して、そこから記録するように構成され、記録された波形は、グラウンド信号に参照される。第4のモードでは、マルチプレクサ分岐回路230は、一対の電極142を選択して、そこから差動様式で記録するように構成される。
【0093】
上述のように、神経刺激デバイス220は、選択的刺激を電極142のうちのいずれかに供給する。マルチプレクサ分岐回路230は、刺激をほとんどの対の電極142または接続194間でルートするように構成される。例えば、電極A1はアノードであってもよく、電極B6はカソードであってもよい。
【0094】
マルチプレクサ分岐回路230は、それによる記録のために、接続194から受信される信号を、増幅器AMP1〜AMP4および(データΑ1’〜Α4’における)コントローラ250にルートするように構成される。同様に、マルチプレクサ分岐回路230は、それによる記録のために、電極142から受信される信号を、増幅器AMP1〜AMP4および(データA1’〜A4’における)コントローラ250にルートするように構成される。非限定的な例として、マルチプレクサ分岐回路230は、同一の列に位置付けられる4つの電極(例えば、電極A1、A3、A5、およびA7)から受信される信号および同一の列に位置付けられる第5の電極(例えば、電極A9)から受信される信号を、(増幅器AMP1〜AMP4によって出力されるデータA1’〜A4’における)コントローラ250にルートするように構成されてもよく、したがって、第5の電極に対して最初の4つから受信される差動信号が、それぞれの対の電極(例えば、電極A1およびA9を含む第1の対、電極A3およびA9を含む第2の対、電極A5およびA9を含む第3の対、ならびに電極A7およびA9を含む第4の対)について、コントローラ250によって記録されてもよい。
【0095】
上述のように、マルチプレクサ分岐回路230は、電力(例えば、12Vおよび3V)を無線電力回路260から受信する。説明図を簡略化するために、この電力をマルチプレクサ分岐回路230に供給する電力線は省略されている。電力線は、約+12Vの電圧を有する1本の線、約+2V〜約+6V(例えば、+3V)の電圧を有する1本の線、および1本のグラウンド線を用いて実装されてもよい。
【0096】
マルチプレクサ分岐回路230は、制御信号クロックおよびデータが十分に速い実施形態において、1マイクロ秒未満後に構成を変化させるように構成されてもよい。このことは、(刺激装置回路240から受信される)第1および第2の刺激信号Stim+およびStim−が短パルスで電極142のうちの選択された電極に約1ミリ秒後に送達されることを可能にし、増幅器AMP1〜AMP4が迅速に入力信号に切り替わることも可能にし、したがって、コントローラ250を、(たった4個ではなく)8個または16個の信号からわずか約20マイクロ秒以内に効率的に記録することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ250を、(たった4個ではなく)8個または16個の信号からわずか5マイクロ秒以内に効率的に記録することができる。
【0097】
図7は、刺激装置回路240の例示的な実装例の回路図である。上述のように、刺激装置回路240は、2つのモード、定電圧モードおよび定電圧モードで選択的に動作するように構成される。
図7において、ラベル「モード1」および「モード2」は、それぞれ、コントローラ250(
図8を参照のこと)のピン「P1_0」および「P1_1」への接続を特定する。(「モード1」とラベル付けされた接続に接続される)ピン「P1_0」がグラウンドに設定され、かつ(「モード2」とラベル付けされた接続に接続される)ピン「P1_1」が高インピーダンスであるとき、刺激装置回路240は、定電圧モードである。(「モード2」とラベル付けされた接続に接続される)ピン「P1_1」がグラウンドに設定され、かつ(「モード1」とラベル付けされた接続に接続される)ピン「P1_0」が高インピーダンスであるとき、刺激装置回路240は、定電圧モードである。
【0098】
図8は、コントローラ250およびその周辺回路網を含むコントローラ回路252の例示的な実装例の回路図である。コントローラ250は、マルチプレクサ分岐回路230を制御し、(データA1’〜A4’における)マルチプレクサ分岐回路230から受信された増幅信号を記録し、(無線電力回路260から受信される電力監視信号PWRMONを用いて)無線電力を監視する。コントローラ250は、外部コントローラ270とも通信する。図解される実施形態において、コントローラ250は、Texas Instruments CC1110を用いて実装されている。しかしながら、通常の技術を本教示に適用することにより、コントローラ250が異なるマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、デジタル信号処理(「DSP」)エンジン、それらの組み合わせ等を用いて実装される実施形態を構成することができる。
【0099】
電極アレイ140から受信される信号(例えば、運動誘発電位(MEP))を記録することが望ましくあり得る。例えば、記録されたMEPは、脊髄110の健康状態を評価するのに役立つことができ、長期の硬膜外刺激下で脊髄機能の回復の速度および種類を監視するために使用されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、コントローラ回路252は、それが刺激されていないときに電極アレイ140から受信される電圧および電流を記録するように構成される。そのような実施形態において、コントローラ回路252は、記録されたデータを通信接続155A(例えば、「リアルタイム」で)上で外部プログラミングユニット150に伝送するようにも構成される。図解される実施形態において、コントローラ回路252は、外部コントローラ270と通信するように構成されるアンテナ272を含む。コントローラ回路252は、電極アレイ140に対して刺激(信号送信)および読み取り(信号受信)サイクルを協調させるように構成されてもよい。
【0100】
埋め込まれた神経刺激デバイス220の状態の制御に関して、コントローラ回路252は、刺激開始の正確なタイミングを測定(および/または制御)するように構成されてもよい。コントローラ回路252は、刺激を所望の時点でリセットまたは停止するように構成されてもよい。コントローラ回路252は、連続的刺激(例えば、パルス)と連続的刺激パターンとの間を円滑に遷移するように構成されてもよい。
【0101】
患者監視および安全性に関して、コントローラ回路252は、電極インピーダンス、および電極/組織インターフェースにおけるインピーダンスを監視するように構成されてもよい。比較的低い周波数(例えば、10〜1000Hz)でのインピーダンスが特に懸念される。コントローラ回路252は、電流および電圧を制限するように構成されてもよい。さらに、コントローラ回路252は、電圧または電流制限を超えたときに警告をトリガする(または警告メッセージをコンピューティングデバイス152に送信する)ように構成されてもよい。任意で、安全ではない状況が検出された場合、神経刺激デバイス220は、停止するか、または電源切断し得る。
【0102】
外部コントローラ270を用いて、コントローラ250をプログラミングしてもよい。外部コントローラ270は、外部制御ユニット150(
図2を参照のこと)の構成要素であってもよい。外部コントローラ270は、Texas Instruments CC1111を用いて実装されてもよい。外部コントローラ270は、接続154(例えば、USB接続、および/または無線接続)を介して、情報をコンピューティングデバイス152に/からリレーしてもよい。
【0103】
コンピューティングデバイス152は、データストリームが神経刺激デバイス220に送信されるように制御するように構成されてもよい。コンピューティングデバイス152は、神経刺激デバイス220から受信されるデータストリームを解釈してもよい。いくつかの実装例において、コンピューティングデバイス152は、神経刺激デバイス220と通信するために、グラフィカルユーザインターフェースを提供するように構成される。ユーザインターフェースを用いて、神経刺激デバイス220をプログラミングして、特定の刺激を送達してもよい。例えば、ユーザインターフェースを用いて、刺激の特定のシーケンスを待ち行列に入れてもよい。あるいは、コンピューティングデバイス152は、刺激パラメータを決定するように構成される方法(例えば、以下に記載の機械学習方法)を実行してもよい。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェースを用いて、コンピューティングデバイス152によって実行される方法を構成してもよい。ユーザインターフェースを用いて、それによる記憶および/または分析のために、神経刺激デバイス220によって記録される情報をコンピューティングデバイス152に転送してもよい。ユーザインターフェースを用いて、内部システム状態(刺激パラメータ値の電流選択)および/または動作モード(例えば、定電圧モード、定電流モード等)を示す情報を表示してもよい。
【0104】
図9は、任意の無線電力回路260の例示的な実装例の回路図である。無線電力回路260は、電力を外部無線電力回路280から無線で受信するように構成される。無線電力回路260は、約3VのDC(出力VCC)および約12VのDC(出力VDD)の両方を供給してもよい。上述のように、出力VCCは、マルチプレクサ分岐回路230、刺激装置回路240、およびコントローラ250に接続され、出力VDDは、マルチプレクサ分岐回路230および刺激装置回路240に接続される。
【0105】
外部無線電力回路280は、外部制御ユニット150(
図2を参照のこと)の構成要素であってもよい。外部無線電力回路280は、クラスE増幅器を用いて実装され、可変出力を提供するように構成されてもよい。図解される実施形態において、外部無線電力回路280は、電力転送接続155B上の誘導結合を介して、電力を無線電力回路260に供給する。無線電力回路260は、高周波(「RF」)充電コイル264を含んでもよく、外部無線電力回路280は、電力をRF充電コイル264に(例えば、誘導的に)転送するように構成されるRF充電コイル284を含む。任意で、通信チャネルは、無線伝送上で多重送信されてもよい。
【0106】
無線電力回路260は、外部無線電力回路280から受信される電力を用いて充電可能な1つ以上の再充電可能なバッテリ(図示されず)に接続されてもよい。バッテリは、再充電可能なマルチセルリチウムイオンポリマーバッテリを用いて実装されてもよい。
(第2の実施形態)
【0107】
図10は、埋め込み可能なアセンブリ300のブロック図である。説明図を簡略化するために、同様の参照番号は、
図1〜3、5、および10において、同様の構成要素を特定するために使用されている。アセンブリ300は、通信接続155Aを介して外部コントローラ270と通信するように構成されてもよい。任意で、アセンブリ300は、電力転送接続155B上の誘導結合を介して、電力を外部無線電力回路280から無線で受信してもよい。
【0108】
複雑な刺激パターンを身体組織(例えば、神経組織)に提供することに加えて、アセンブリ300は、電気刺激を筋肉(図示されず)に直接提供するようにも構成され、筋肉を移動(例えば、収縮)させ、それによって、複雑な刺激パターンのみによって提供される神経学的機能の改善を増強する。アセンブリ300は、神経学的機能の改善(例えば、SCI後の可動性回復の改善)を提供するために、1つ以上の複雑な刺激パターンを16個の電極またはより個別にアドレス可能な電極に提供するように構成される。
【0109】
アセンブリ300は、神経刺激デバイス320、1つ以上のリード130、および電極アレイ140、(センサ188に接続される)接続194、および(埋め込まれ、かつ/または外部の)筋電極312への接続310(例えば、ワイヤ、無線接続等)を含む。アセンブリ300は、参照ワイヤ196(
図2を参照のこと)も含んでもよい。非限定的な例として、アセンブリ300は、
図2で図解される2つの参照ワイヤを含んでもよい。図解される実施形態において、接続194は、16個のワイヤを含み、それぞれ、センサ188(例えば、EMGセンサ190)のうちの異なる1つに接続される。しかしながら、これは必要条件ではなく、実施形態は、本教示の範囲から逸脱することなく、異なる数のワイヤ、異なる数のEMGセンサ、および/または異なる種類のセンサを用いて構成されてもよい。
【0110】
神経刺激デバイス320は、コントローラ322、記録サブシステム330、監視および制御サブシステム332、刺激サブシステム334、筋刺激装置ドライブ336、センサインターフェース338、無線通信インターフェース340、RF電力インターフェース342、ならびに少なくとも1つの電力源344(例えば、再充電可能なバッテリ)を含む。図解される実施形態において、コントローラ322は、マイクロコントローラ(例えば、Texas Instruments CC1110)を用いて実装されている。しかしながら、通常の技術を本教示に適用することにより、コントローラ250がマイクロプロセッサ、FPGA、DSPエンジン、それらの組み合わせ等を用いて実装される実施形態を構成することができる。
【0111】
記録サブシステム330は、電極アレイ140内の電極142のうちの1つ以上から受信される電気信号を記録するように構成される。記録するために使用される電極は、複雑な刺激パターンを提供するために使用される電極と同一の電極であってもよいか、または記録するために特殊化された異なる電極であってもよい。記録サブシステム330は、リード130のうちの1つ以上に(直接、または他の方法で)接続されてもよい。図解される実施形態において、記録サブシステム330は、監視および制御サブシステム332を介してリード130に接続される。
【0112】
記録サブシステム330は、1つ以上の増幅器346を含む。図解される実施形態において、増幅器346は、プログラム可能な増幅率を有する低雑音増幅器(「LNA」)として実装される。
【0113】
図解される監視および制御サブシステム332は、リード130に直接接続されるブランキング回路350を含む。ブランキング回路350は、増幅器346の損傷を回避するために、複雑な刺激パターンが電極142に印加されるときに、(そこに接続される)記録サブシステム330をリード130から切断するように構成される。双方向制御およびブランキング回路350とコントローラ340との間を延在するステータスライン(図示されず)は、ブランキング回路350の挙動を制御する。
【0114】
監視および制御サブシステム332は、神経刺激デバイス320の全体的な活動、ならびに電極アレイ140の機能性(例えば、動作性)を監視する。監視および制御サブシステム332は、双方向デジタルおよびアナログ信号ならびに制御ライン352によってCPUに接続される。いくつかの実施形態において、監視および制御サブシステム332は、電極インピーダンスを監視するように構成される回路354を含む。任意で、マルチプレクサ(図示されず)は、リード130に接続されてもよく、監視および制御サブシステム332がそれぞれの電極から受信される信号から選択的にデータを得ることを可能にする。マルチプレクサ(図示されず)の出力は、電極142のうちの選択された1つの電極から受信される信号がデジタル化され、かつコントローラ322に伝送されて、刺激回路網の機能性を評価することができるように、A/D回路(図示されず)に接続される。監視および制御サブシステム332は、電力源344の機能性(例えば、動作性)を評価するように構成される回路網356を含んでもよい。
【0115】
増幅器346は、ブランキング回路350がオフの状態にあるときに、信号をリード130から受信する。いくつかの実施形態において、増幅器346のうちの異なる1つは、リード130のうちのそれぞれの異なる1つに接続される。他の実施形態では、ブランキング回路350は、リード130に接続される入力およびブランキングシステム350の出力を有する多重送信回路を含むか、またはそれに接続される。そのような実施形態において、多重送信回路は、(コントローラ322によって選択される)電極信号を増幅器346のうちの単一の増幅器にルートする。増幅器346は、コントローラ322が増幅器346の増幅率および挙動を制御することを可能にする双方向制御およびステータスライン(図示されず)を介して、コントローラ322に接続される。
【0116】
記録サブシステム330は、増幅器346から受信される出力(複数を含む)をデジタル化するアナログデジタル(「A/D」)回路347を含む。いくつかの実施形態において、別個のA/D回路は、それぞれの増幅器346の出力用に設けられる。他の実施形態では、多重送信回路(図示されず)は、増幅器346のうちの選択された1つの出力を単一のA/D回路にルートする。A/D回路347の出力は、シリアルまたはパラレルデジタルバス348を介して、コントローラ322に接続される。図解される実施形態において、記録サブシステム330は、バス348上で伝送するためにA/D回路347から受信される出力をシリアル化するパラレルシリアル変換回路349を含む。制御およびステータスライン(図示されず)は、A/D回路347をコントローラ322に接続し、コントローラ322がAD回路347のタイミングおよび挙動を制御することを可能にする。
【0117】
刺激サブシステム334は、チャネル上で複雑な刺激パターンを送達するように描写される。それぞれのチャネルは、電極142のうちの1つに対応する。チャネル上で送達される刺激は、電極142のうちの対応する1つに印加される。同様に、電極142のうちの1つから受信される刺激は、対応するチャネル上で受信されてもよい。しかしながら、いくつかの実施形態において、2つ以上の電極が同一のチャネルに物理的に接続されるため、それらの動作は、単一のチャネルによって支配されてもよい。
【0118】
刺激サブシステム334は、複雑な刺激パターンを生成するように構成され、それらのパターンは、上述のように、複雑な波形(電圧モードまたは電流モードのいずれかで)を含み、チャネルのうちの1つ以上のそれぞれの上で刺激を送達する。刺激サブシステム334は、刺激サブシステム334が、コマンドおよび刺激波形情報を受信する複数の双方向ライン360によってコントローラ322に接続される。刺激サブシステム334は、ライン360上で回路ステータス情報をコントローラ322に伝送してもよい。それぞれの出力は、リード130のうちの1つに接続され、それによって、電極アレイ140内の電極142のうちの単一の電極を刺激する。
【0119】
図解される実施形態において、刺激サブシステム334は、刺激波形形状情報をコントローラ322から受信するデジタルアナログ増幅器362を含む。増幅器362の変化は、(電圧または電流)増幅器364を駆動する。増幅器364の出力は、過電圧または過電流保護回路網366によって監視され、かつ潜在的に制限される。
【0120】
筋刺激装置ドライブ336は、筋電極312のうちの1つ以上を駆動するように構成される。あるいは、筋刺激装置ドライブ336は、インターフェースを別個の駆動システム(図示されず)を提供してもよい。筋刺激装置ドライブ336は、双方向制御ライン368によってコントローラ322に接続され、筋刺激装置ドライブ336の動作を制御する。
【0121】
センサインターフェース338は、センサ188(EMGセンサ190、関節角度センサ191、加速度計192等)のうちの1つ以上とインターフェースする。実装例の詳細に応じて、センサインターフェース338は、デジタル信号入力(図示されず)、アナログ信号ライン入力のために構成される低雑音増幅器(図示されず)、およびA/D回路(図示されず)に接続されるアナログ入力(図示されず)を含んでもよい。
【0122】
コントローラ322は、通信接続155Aを介して外部プログラミングユニット150に無線で接続されてもよい。通信接続155Aは、コントローラ322がシステム制御コマンドおよびデータを外部プログラミングユニット150から受信し、かつステータス情報およびデータを外部プログラミングユニット150に伝送することができる双方向無線通信を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、通信接続155Aは、1つ以上のアナログ通信チャネル、1つ以上のデジタル通信チャネル、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0123】
RF電力インターフェース342は、電力転送接続155Bを介して電力を外部プログラミングユニット150から無線で受信してもよい。RF電力インターフェース342は、高周波(「RF」)充電コイル372を含んでもよい。そのような実施形態において、外部無線電力回路280のRF充電コイル284は、電力をRF充電コイル272に(例えば、誘導的に)転送するように構成されてもよい。任意で、通信チャネルは、無線伝送上で多重送信されてもよい。
【0124】
電力源344は、1つ以上の再充電可能なマルチセルリチウムイオンポリマーバッテリを用いて実装されてもよい。
(第3の実施形態)
【0125】
図11は、システム400の第1の実施形態のブロック図である。システム400は、上述のアセンブリ100に実質的に類似した埋め込み可能なアセンブリ402、および上述の外部システム180に実質的に類似した外部システム404を含む。したがって、アセンブリ100の構成要素とは異なるアセンブリ402の構成要素および外部システム180の構成要素とは異なる外部システム404の構成要素のみが詳細に説明される。説明図を簡略化するために、同様の参照番号は、
図1〜3、5、および10〜12Bにおいて、同様の構成要素を特定するために使用されている。
【0126】
アセンブリ402は、神経刺激デバイス420、電極アレイ140、および1つ以上のトレース130を含む。神経刺激デバイス420は、コントローラインターフェースバス437によって埋め込み可能な筋刺激装置パッケージ438、およびEMGモジュール446に接続される。神経刺激デバイス420は、埋め込み可能な筋刺激装置パッケージ438およびEMGモジュール446の両方とインターフェースし、かつそれらを制御するように構成される。非限定的な例として、該システムとともに使用するための好適な埋め込み可能な筋刺激装置パッケージは、Case Western Universityで開発されたネットワーク化刺激システムを含んでもよい。
【0127】
神経刺激デバイス420は、トランシーバ430、刺激装置回路網436、無線電力回路440、電力源448(例えば、バッテリ)、ならびにEMGモジュール446および電力源448用のコントローラ444を含む。図解される神経刺激デバイス420は、別個のEMGモジュール446とインターフェースし、かつそれを制御するように構成される。しかしながら、代替の実施形態において、EMG記録および管理能力が神経刺激デバイス320(
図10を参照のこと)内に存在するため、それらの能力は神経刺激デバイス420に組み込まれてもよい。図解される実施形態において、EMGモジュール446は、アナログデジタル変換器(「ADC」)445を含む。EMGモジュール446によって出力され、かつコントローラ444によって受信されるデジタルデータは、コントローラインターフェースバス437を介して刺激装置回路網436に送信される。
【0128】
トランシーバ430は、通信接続155A上で外部コントローラ270に接続される外部プログラミングユニット150の対応するトランシーバ432と通信するように構成される。トランシーバ430および432はそれぞれ、医療用埋め込み通信サービス(「MICS」)帯域トランシーバとして実装されてもよい。非限定的な例として、トランシーバ432は、2.45GHzのトランスミッタに接続されるZL70102 MICS帯域トランシーバを用いて実装されてもよい。トランスミッタは、トランシーバ430を「ウェイクアップ」するように構成されてもよい。非限定的な例として、トランシーバ430は、ZL70102 MICS帯域トランシーバを用いて実装されてもよい。
【0129】
図12Aは、刺激装置回路網436のトランシーバ430および構成要素を図解するブロック図である。
図12Aにおいて、「SPI」とラベル付けされた接続は、図解目的のために、シリアル周辺インターフェースバスを使用して実装されている。
【0130】
図12Aを参照して、刺激装置回路網436は、中央処理ユニット(「CPU」)またはコントローラ422、1つ以上のデータ記憶デバイス460および462、デジタルアナログ変換器464、アナログスイッチ466、ならびに任意の複雑なプログラム可能な論理デバイス(「CPLD」)468を含む。図解される実施形態において、コントローラ422は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)を用いて実装されている。EMGモジュール446によって出力され、かつコントローラ444によって受信されるデジタルデータは、コントローラインターフェースバス437を介してコントローラ422に送信される。
【0131】
記憶デバイス460は、コントローラ422に接続され、かつコントローラ422の指示を記憶するように構成される。非限定的な例として、記憶デバイス460は、FPGA構成メモリ(例えば、PROMまたは非フラッシュメモリ)として実装されてもよい。任意のCPLD468は、トランシーバ430と記憶デバイス460との間に接続される。任意のCPLD468は、記憶デバイス460上に記憶される指示の更新を記憶するのに有用であり得る記憶デバイス460へのロバストアクセスを提供するように構成されてもよい。
【0132】
記憶デバイス462は、コントローラ422に接続され、記録された波形データを記憶するように構成される。非限定的な例として、記憶デバイス462は、8MB以上のメモリを含んでもよい。
【0133】
デジタルアナログ変換器464は、コントローラ422に接続され、そこから受信されるデジタル信号を電極アレイ140に送達されるアナログ信号に変換するように構成される。デジタルアナログ変換器464は、AD5360デジタルアナログ変換器を用いて実装されてもよい。
【0134】
アナログスイッチ466は、デジタルアナログ変換器464とリード130との間に位置付けられる。アナログスイッチ466は、コントローラ422から受信される指示に基づいて、デジタルアナログ変換器464から受信されるアナログ信号を調節する(例えば、選択的にスイッチを入れたり切ったりする)ように構成される。アナログスイッチ466は、複数のアナログスイッチ(例えば、それぞれのチャネルに対して別個のアナログスイッチ)を含んでもよい。任意で、アナログスイッチ466は、高インピーダンスモードを有してもよい。アナログスイッチ466は、神経刺激デバイスが刺激を電極142に送達していないときに、(アナログスイッチ466に指示して高インピーダンスモードで動作させるコントローラ422からの指示に応じて)高インピーダンスモードで動作するように構成されてもよい。アナログスイッチ466は、1つ以上の制御ライン467上でコントローラ422から指示を受信してもよい。
【0135】
図解される実施形態において、(神経刺激の補助として)筋肉を直接刺激する能力が、上に記載され、かつ
図10で図解される神経刺激デバイス320内に存在するため、その能力は、神経刺激デバイス420に組み込まれない。代わりに、コントローラ422は、コントローラインターフェースバス437を介して別個の埋め込み可能な筋刺激装置パッケージ438と通信する。任意で、監視および制御サブシステム(神経刺激デバイス320の監視および制御サブシステム332等)は、神経刺激デバイス420から省略されてもよい。しかしながら、これは必要条件ではない。
【0136】
神経刺激デバイス420は、刺激を複数のチャネルのそれぞれに独立して送達するように構成される。上述のように、それぞれのチャネルは、電極142のうちの1つに対応する。チャネル上で送達される刺激は、電極142のうちの対応する1つに印加される。図解される実施形態において、複数のチャネルは、16個のチャネルを含む。しかしながら、これは必要条件ではない。刺激を送達するために、神経刺激デバイス420は、1つの正のチャネルおよび1つの負のチャネルを使用する。
【0137】
いくつかの実施形態において、電極142のうちの1つ以上によって検出または受信される信号は、対応するチャネル上で神経刺激デバイス420によって受信されてもよい。
【0138】
神経刺激デバイス420は、チャネルのそれぞれの極性(陽極もしくは陰極)またはトライステート(陽極、陰極、もしくは高Z)を制御するように構成されてもよい。神経刺激デバイス420は、約0.1Hz〜約100Hzの範囲内の周波数を有する刺激を送達するように構成されてもよい。送達される刺激は、約0.1Vdcずつ増加する約−10Vdc〜約+10Vdcの振幅を有してもよい。神経刺激デバイス420は、標準の波形形状(例えば、正弦、三角形、正方形等)および/またはカスタム定義された波形形状を有する刺激を生成するように構成される。神経刺激デバイス420の負荷サイクルが(例えば、正方形の波形形状用に)構成されてもよい。神経刺激デバイス420は、指定の増分で(例えば、25マイクロ秒ずつ)位相シフトを提供してもよい。
【0139】
神経刺激デバイス420は、タイミング必要条件を満たすように構成されてもよい。例えば、神経刺激デバイス420は、約50μsの最小パルス幅を送達し、かつ最小パルス幅内ですべての正のチャネルを更新するように構成されてもよい。そのような実施形態において、最大数の正のチャネルが決定されてもよい(例えば、15個のチャネル)。神経刺激デバイス420は、最少量の位相シフト(例えば、25μsの位相シフト)を調整するように構成されてもよい。さらに、神経刺激デバイス420は、第1の期間(例えば、25μs)中にいくつかのチャネルを更新し、かつ第2の期間(例えば、25μs)中に休止するように構成されてもよい。神経刺激デバイス420は、出力チャネルを同時に更新するように構成されてもよい。
【0140】
神経刺激デバイス420は、特定の制御必要条件を満たすように構成されてもよい。例えば、チャネル出力構成がオンザフライで構成されてもよいように神経刺激デバイス420を構成することは有用であり得る。同様に、いくつかの実施形態において、実際的制限(例えば、数秒の限度)は、更新時間に設置されてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、神経刺激デバイス420は、調整可能なカスタム波形定義で動作するように構成される。出力刺激が出力再構成中に停止(またはドロップアウト)しないように神経刺激デバイス420を構成することも望ましくあり得る。
【0141】
図12Aで図解される実施形態において、EMGモジュール446(
図11を参照のこと)を介する記録および電極142への刺激の送達は、完全に別々に(または独立して)実行されてもよい。さらに、いくつかの実施形態において、コマンドまたは指示は、独立して、または別々に、埋め込み可能な筋刺激装置パッケージ438(もしくは組み込み型筋刺激装置システム)に送信されてもよい。したがって、この実施形態は、全二重モードで動作してもよい。
【0142】
代替の実施形態において、神経刺激デバイス420は、EMGセンサ190または刺激を送達するために使用される電極142から独立した記録用電極(図示されず)に接続されてもよい。そのような実施形態において、プリアンプ(図示されず)およびADC(図示されず)は、刺激装置回路網436内に包含され、かつデジタルEMGまたは神経記録信号をコントローラ422に直接送信するために使用されてもよい。そのような実施形態は、記録と刺激の間に2つの完全に別個の連続時間チャネルを提供し、したがって、全二重モードで動作可能であると見なされてもよい。任意で、記録用電極は、電極アレイ140および/または別個の電極アレイ(図示されず)に組み込まれてもよい。
【0143】
別の代替の実施形態において、アナログスイッチ466は、刺激モードと記録モードを切り替えるために使用されてもよい。アナログスイッチ466は、アナログスイッチ466に指示してそのモードで動作させるコントローラ422から(制御ライン467を介して)指示を受信してもよい。この実装例は、記録および刺激用の同一の電極またはそれらのサブセットを使用することによって電極の数を減少させるのに役立つことができる。この例示的な実施形態は、半二重モードで動作可能であると見なされてもよい。
【0144】
図12Aで図解される実施形態において、刺激装置回路網436は、定電圧モードで動作するように構成される。したがって、DAC446(およびアナログスイッチ466)の出力は、複数(例えば、16個)の定電圧信号(または電源)である。しかしながら、
図12Bを参照して、代替の実施形態において、刺激装置回路網436は、定電圧モードと定電圧モードを切り替えるように構成される。この実施形態において、アナログスイッチ466は、それぞれのチャネルに別個のアナログスイッチ(例えば、単一プル双投スイッチ)、および2:1のマルチプレクサ(「MUX」)を含む。この実施形態は、アナログスイッチ470および回路ブロック472も含む。アナログスイッチ470は、それぞれのチャネルに別個のアナログスイッチ(例えば、単一プル双投スイッチ)、および1:2のデマルチプレクサ(「DEMUX」)を含んでもよい。アナログスイッチ470の出力は、アナログスイッチ466または回路ブロック472のいずれかに選択的に送達される複数(例えば、16個)の定電圧信号である。本質的に、アナログスイッチ470および466は、定電流信号または定電圧信号のいずれかが電極アレイ140に印加されることを可能にするように構成されてもよい。
【0145】
回路ブロック472は、電圧電流変換器回路網および定電流源回路網を含む。回路ブロック472は、複数(例えば、16個)の定電圧信号をアナログスイッチ470から受信し、かつ複数(例えば、16個)の定電流信号(または電流源)を出力する。
【0146】
神経刺激デバイス420は、(センサ188、記録用電極、および/または電極142から受信される)フィードバックをコントローラ422に提供するように構成されてもよく、コントローラは、刺激パターンもしくは波形を修正または調節するために、それを使用してもよい。コントローラ422がFPGAを用いて実装される実施形態において、FPGAは、リアルタイム付近で対象102に送達される複雑な刺激パターンを修正するように構成されてもよい。さらに、コントローラ422は、異なる対象のために複雑な刺激パターン(複数を含む)をカスタマイズするために使用されてもよい。
【0147】
図解される無線電力回路440は、電力転送接続155Bを介して電力を受信するように構成されるRF充電コイル449を含む。受信された電力を用いて、電力源448(例えば、バッテリ)を充電してもよい。
【0148】
(機械学習方法)
それぞれの患者の損傷または疾病が異なるため、最善の刺激パターンが患者によって著しく異なると考えられる。さらに、脊髄110の可塑性のため、最適な刺激が経時的に変化すると考えられる。このため、学習システム(例えば、コンピューティングデバイス152ならびに/または神経刺激デバイス220、320、および420のうちの1つ)は、対象102の個別化(またはカスタム)された刺激パターンを「学習」し、かつこの刺激パターンを経時的に連続して適応させるようにプログラミングされてもよい。
【0149】
学習システムは、センサ188のうちの1つ以上および/または外部補助デバイスから入力を受信し、それらは、神経刺激デバイス220、320、もしくは420とともに埋め込まれ、かつ/あるいは対象102に一時的に印加されてもよい(例えば、臨床セッティングにおいて)。そのようなセンサの例として、EMGセンサ190、関節角度センサ191、加速度計192等が挙げられる。外部補助デバイスは、支持プラットフォーム、支持スタンド、外部ブレーシングシステム(例えば、外骨格システム)、インシューセンサシステム、および/または治療機械を含んでもよい。電極142、接続194、および/または外部補助デバイスから受信される情報は、神経刺激デバイス220、320、および420によって送達される複雑な刺激パターンを調整および/または調節するために使用されてもよい。
【0150】
学習システムは、センサ188から受信される情報に基づいて好適または最適な刺激パラメータを決定する(以下に記載の)機械学習方法を実行してもよい。(例えば、コンピューティングデバイス152および外部プログラミングユニット150を使用して)臨床セッティングにおいて刺激を大々的に調節し、かつ(例えば、神経刺激デバイス220、320、および420のうちの1つを使用して)継続的にわずかに調節(微調整)することがより効率的であり得ると考えられる。
【0151】
臨床セッティングにおいて、多数の高感度EMGセンサ190、ならびに足圧センサ(図示されず)、加速度計192、および動き追跡システム(図示されず)は、特定の刺激に応じた対象102のパフォーマンスに関する広範囲に及ぶデータを収集するために使用されてもよい。それらのパフォーマンス評価は、好適および/または最適な刺激パラメータを決定するために、学習システムによって使用されてもよい。神経刺激デバイス220、320、および420のうちの1つが対象102に埋め込まれてからすぐに、対象102は、臨床セッティングにおいて身体トレーニングを開始し(例えば、踏み車170上の歩行)、それを数ヵ月間(学習システムが刺激パラメータを調整することができる期間)続ける。その後、対象102は、より主要な「調整」のために、時々(例えば、定期的に(例えば、3ヵ月に1回))診療所に戻ってもよい。
【0152】
上述のように、診療所の外で、神経刺激デバイス220、320、および420は、オンボード埋め込み型の外部感知システム(例えば、電極142、センサ188等)から信号を受信する。この情報は、刺激パラメータを調整するために、神経刺激デバイス220、320、および420のうちの1つによって使用されてもよい。
【0153】
上述のように、神経刺激デバイス220、320、および420はそれぞれ、患者に合わせてカスタマイズされた刺激を提供し、電極アレイ140の外科的設置におけるエラーを相殺し、かつ刺激を脊髄の可塑性(脊髄機能および接続性の変化)に経時的に適応させるように構成されてもよい。しかしながら、この可撓性は、可能性のあるパターンおよびパラメータの広大な空間内で好適な刺激パラメータ(例えば、電圧振幅を刺激し、電流を刺激し、周波数を刺激し、かつ波形形状を刺激する電極アレイのパターン)を見つけるのを困難にする。好適および/または最適なパラメータの組み合わせを見つけるために、この空間内ですべての可能性のあるパラメータを試験することが重要である。そのようなプロセスは、膨大な量の臨床リソースを消費し、対象102を失望させる場合もある。したがって、機械学習方法は、有効なパラメータの組み合わせをより効率的に見つけ出すために採用される。長期にわたって、機械学習方法は、刺激を構成するために使用される動作パラメータを(例えば、時々、周期的に、連続して、ランダムに、必要に応じて等)適応させるために使用されてもよい。
【0154】
(刺激パラメータの最適化を目指す)機械学習方法は、(パラメータ空間が検索され、刺激および運動応答に関係する回帰モデルが構築される)探索期と(刺激パターンが回帰モデルに基づいて最適化される)開拓期を行ったり来たりする。当業者に明らかなように、多くの機械学習方法は、探索期および開拓期を組み込み、そのような方法を適応して、当技術分野における通常の技術を本教示に適用することにより、好適または最適な刺激パラメータを決定してもよい。
【0155】
非限定的な例として、ガウス過程最適化(「GPO」)を用いて刺激パラメータを決定してもよい。C.E.Rasmussen,Gaussian Processes for Machine Learning,MIT Press,2006。GPOは、刺激から運動パフォーマンス(例えば、足踏み、起立、手を伸ばす動作等)までの基礎となるマッピングのオンライン回帰モデルを構成しながら、可能性のある刺激パラメータの空間を探索および開拓する更新ルールを有する能動的な学習方法である。GPOの中核を成す回帰モデリング技術であるガウス過程回帰(「GPR」)は、多くの他の機械学習回帰技術の広範囲に及ぶ再計算ではなく、それぞれの新たなデータ点を組み込むために極めて最小限の計算を必要とするため、オンライン使用に適している。GPRはノンパラメトリックでもあり、GPOからの予測は、単一のモデルからではなく、制限されたセット内にある無数のモデルのアンサンブルに基づいており、それが多くのパラメトリック回帰および機械学習方法に固有のオーバーフィット問題を回避することを可能にする。
【0156】
GPRは、核関数k(,)で公式化され、これは、(以前の硬膜外刺激研究で得られた経験およびデータから得られる)パフォーマンス関数の局所形状についての予備知識を組み込み、以前に探索された刺激パターンから新たな試験されていない刺激まで推論を拡張することができる。パフォーマンス(例えば、足踏み、起立、または手を伸ばす動作)を測定する関数を考慮して、GPOは、2つの主要な式および適切な核関数の選択に基づいている。核となるGPO等式は、過去の測定結果(雑音のあるパフォーマンス値Y
t={y
1,y
2,...}を戻した刺激値X={x
1,x
2,…}の試験)に基づいて、(可能性のある刺激のスペースにわたって)候補刺激x*でのパフォーマンス関数の予想平均μ
t(x*)および分散σ
t2(x*)を説明し、
μ
t(x*)=k(x*,X)[K
t(X,X)+σ
n2I]
−1Y
t;
σ
t2(x*)=k(x*,x*)−k(x*,X)[K
t(X,X)+σ
n2I]
−1k(X,x*)
式中、K
tは、過去のデータの無雑音共分散行列であり、σ
n2は、パフォーマンス評価において使用されるデータの推定の雑音共分散である。我々が良好なパフォーマンスを予想する領域の開拓で予想されるパフォーマンスについて少ししか知られていない刺激空間の領域の探索を平衡化するために、GPOは、信頼上限更新ルール(N.Srinivas,A.Krause,et.al.,“Guassian Process Optimization in the bandit setting:No Regret and Experimental Design,”Proc.Conf.on Machine Learning,Haifa Israel,2010)を使用する:
x
t+1=argmax
xε X* [μ
t(x)+β
t σ
t(x)] (1)
パラメータβ
tが時間とともに増加するとき、かつパフォーマンス関数がガウス過程であるか、またはガウス過程と比較して低再生核ヒルベルト空間ノルムを有する場合、GPOは、十分な時間を考慮して、高確率で最適な行動に集中する。
【0157】
上述の方法は、単純サイクルで作動する逐次更新方法である。単一の既知の刺激は、電極アレイに印加され、患者の刺激への応答は、埋め込まれたセンサ(接続194に接続されるEMGセンサ190等)のいずれかを使用して、かつ/または外部センサ(表面EMG電極、フットフォースプレート、およびビデオ監視システムから収集される動き捕捉データ等)を使用して測定される。ガウス過程システムの平均および共分散は、単一の刺激に基づいて即座に更新され、等式(1)の信頼上限手順は、次に評価する刺激パターンを選択する。この手順は、パフォーマンスの最低限の増加等の終了基準に達するまで続く。
【0158】
あるいは、臨床治療セッションにおいて印加するバッチの刺激を提案し、その後、そのバッチの結果を評価し、その全体のバッチの刺激応答対を用いて回帰モデルを更新し、次いで、次の臨床セッション中に評価される新たなバッチの刺激パターンを提案することが望ましくあり得る。上述の信頼上限方法を、この事例に容易に拡張することができる。T.Desautels,J.Burdick,and A.Krause,“Parallelizing Exploration−Exploitation Tradeoffs with Gaussian Process Bandit Optimization,”(提出済)International Conference on Machine Learning,Edinburgh,Scotland,June26−July1,2012。バッチプロセスの刺激更新ルールは、以下の形態をとり得る:
x
t+1=argmax
xε X* [μ
t−Β(x)+β
t σ
t(x)] (2)
式中、ここで等式(2)がB回評価されて、評価する刺激を提案したBのバッチを作り出すが、平均関数μ(x)は、最後のバッチの実験の最後にのみ更新され、分散σ
t(x)は、提案されたバッチにおけるそれぞれの品目のために更新される。
【0159】
ヒト運動挙動(例えば、起立または足踏み挙動)を特徴付けるパフォーマンス関数の定義は、少なくとも2つの要素:(1)どのような種類の運動パフォーマンスデータが利用可能であるか(例えば、ビデオベースの動き捕捉データ、足圧分布、加速度計、EMG測定結果等)、および(2)運動パフォーマンスを定量化する能力に依存し得る。より多くの感覚データが好ましい一方で、パラメータ最適化への機械学習アプローチは、運動パフォーマンスに関連した様々な種類の感覚データを採用することができる。専門家でさえも、対象102が運動課題を始めるときにビデオまたは実際の対象102を見ることなく、足踏みまたは起立の質をそのようなデータから決定することは非常に困難であることに留意されたい。しかしながら、過去の実験からの十分な数のトレーニング例およびそれらの実験における起立または足踏みの人間による格付けを考慮して、パフォーマンス(所与の一組の利用可能なセンサに関して)を特徴付ける一組の特徴は、学習され、その後、専門知識を捕捉し、かつ利用可能な測定データを使用する合理的なパフォーマンスモデルを構成するために使用されてもよい。
【0160】
図13は、硬膜外位置に設置される電極アレイ140の27個の電極実装例とともに、哺乳類の脊髄500の電気特性の多コンパートメント物理的モデルを示す。
図1において、第1および第2の電極502および504は活性化されている(すなわち、刺激を脊髄500に送達している)。活性化された電極のうちの一方がカソードであり、他方はアノードである。電極506は活性化されておらず、中性であると考えられる。
図14において、電極502および504は活性化されている。
図14は、2電極刺激例の刺激電場の(双極活性化電極の中心を突き通す)等電位曲線508を示す。哺乳類の脊髄500は、硬膜510、白質512、灰白質514、および硬膜外脂516を含む。
【0161】
図15は、上で要約されたガウス過程最適化方法を用いて、刺激された脊髄500の区分L2と区分S2との間の後根においてニューロンに刺激を与えるアレイ刺激パターンを最適化するときの瞬間リグレット(最適な刺激パラメータを検索する機械学習方法におけるエラーの測定)を示す。瞬間リグレットパフォーマンスは、機械学習方法がより良好な刺激パラメータを迅速に見つけ出すが、刺激空間も連続して探索することを示す(瞬間リグレットのグラフにおける「バースト」は、以前は知られていなかったが、乏しいパフォーマンスを有すると考えられる刺激パラメータ空間の領域までの機械学習方法の可動域に相当する)。
【0162】
図16は、累積平均リグレット対学習反復を示す。累積平均リグレットは、最適な刺激パラメータを選択する際に機械学習方法の全体の進行をより良好に示すリグレットパフォーマンス関数の平滑化バージョンである。
【0163】
機械学習方法は、コンピューティングデバイス152ならびに/または神経刺激デバイス220、320、および420のうちの1つによって実行されてもよい。したがって、この方法を実行するための指示は、コンピューティングデバイス152、神経刺激デバイス220、神経刺激デバイス320、および神経刺激デバイス420のうちの少なくとも1つの非一時的メモリ記憶ハードウェアデバイスに記憶されてもよい。さらに、それらのデバイスは、該方法のパフォーマンス中に相互作用するか、またはその実行部分を分配してもよい。この方法を実行することによって、コンピューティングデバイス152、神経刺激デバイス220、神経刺激デバイス320、および/または神経刺激デバイス420は、電極142に印加される複雑な刺激パターンの刺激パラメータ(例えば、波形形状、振幅、周波数、および相対位相整合)を決定することができる。上で議論されるように、機械学習方法は、刺激パラメータを選択および最適化する信頼上限手順を用いて、逐次またはバッチガウス過程最適化(「GPO」)方法を実装してもよい。
【0164】
(コンピューティングデバイス)
図17は、ハードウェア、ならびにコンピューティングデバイス152および/またはリモートコンピューティングデバイス157が実践され得る実装例と連動した動作環境の略図である。
図17の記述は、好適なコンピュータハードウェアおよび実装例が実践され得る好適なコンピューティング環境の簡単な概要を提供することを目的としている。必要とされるわけではないが、実装例は、パーソナルコンピュータ等のコンピュータによって実行されるプログラムモジュール等のコンピュータ実行可能命令の一般的状況で説明される。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造等を含む。
【0165】
さらに、当業者であれば、実装例を、手持ちデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ等を含む他のコンピュータシステム構成とともに実践することができることを理解する。実装例を、タスクが通信ネットワークを通じてリンクされるリモート処理デバイスによって実行される分散コンピューティング環境下で実践することもできる。分散コンピューティング環境下で、プログラムモジュールは、ローカルメモリ記憶デバイスおよびリモートメモリ記憶デバイスの両方にあってもよい。
【0166】
図17の例示的なハードウェアおよび動作環境は、コンピューティングデバイス12の形態の汎用コンピューティングデバイスを含む。コンピューティングデバイス152および/またはリモートコンピューティングデバイス157は、コンピューティングデバイス12と実質的に同一であってもよい。コンピューティングデバイス12は、システムメモリ22、処理ユニット21、およびシステムメモリ22を含む様々なシステム構成要素を処理ユニット21に動作可能に連結するシステムバス23を含む。コンピューティングデバイス12のプロセッサが、並列処理環境と一般に称される単一の中央処理ユニット(「CPU」)または複数の処理ユニットを含むように、1つの処理ユニット21のみが存在しても、2つ以上の処理ユニット21が存在してもよい。複数の処理ユニットが使用されるとき、処理ユニットは、異機種環境にあってもよい。非限定的な例として、そのような異機種環境にある処理環境は、従来のCPU、従来のグラフィックス処理ユニット(「GPU」)、浮動小数点ユニット(「FPU」)、それらの組み合わせ等を含んでもよい。
【0167】
コンピューティングデバイス12は、従来のコンピュータ、分散コンピュータ、または任意の他の種類のコンピュータであってもよい。
【0168】
システムバス23は、様々なバスアーキテクチャのうちのいずれかを用いるメモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、およびローカルバスを含むいくつかの種類のバス構造のうちのいずれかであってもよい。システムメモリ22は、単にメモリと称される場合もあり、読み出し専用メモリ(ROM)24およびランダムアクセスメモリ(RAM)25を含む。例えば、起動中に、コンピューティングデバイス12内において情報を要素間で転送するのに役立つ基本的なルーチンを含む基本的な入力/出力システム(BIOS)26は、ROM24に記憶される。コンピューティングデバイス12は、ハードディスク(図示されず)から読み取り、かつそれに書き込むハードディスクドライブ27、リムーバブル磁気ディスク29から読み取るか、またはそれに書き込む磁気ディスクドライブ28、およびリムーバブル光ディスク31から読み取か、またはそれに書き込むCD−ROM、DVD、または他の光媒体等の光ディスクドライブ30をさらに含む。
【0169】
ハードディスクドライブ27、磁気ディスクドライブ28、および光ディスクドライブ30は、それぞれ、ハードディスクドライブインターフェース32、磁気ディスクドライブインターフェース33、および光ディスクドライブインターフェース34によってシステムバス23に接続される。ドライブおよびそれらの関連コンピューター可読媒体は、コンピューター可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および他のデータの不揮発性記憶装置をコンピューティングデバイス12に提供する。磁気カセット、フラッシュメモリカード、ソリッドステートメモリデバイス(「SSD」)、USBドライブ、デジタルビデオディスク、ベルヌーイカートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)等のコンピュータによってアクセス可能なデータを記憶することができる任意の種類のコンピューター可読媒体を例示的な動作環境下で使用してもよいことが当業者によって理解されるはずである。当業者に明らかなように、処理ユニット21によってアクセス可能なハードディスクドライブ27および他の形態のコンピューター可読媒体(例えば、リムーバブル磁気ディスク29、リムーバブル光ディスク31、フラッシュメモリカード、SSD、USBドライブ等)を、システムメモリ22の構成要素と見なすことができる。
【0170】
いくつかのプログラムモジュールは、オペレーティングシステム35、1つ以上のアプリケーションプログラム36、他のプログラムモジュール37、およびプログラムデータ38を含む、ハードディスクドライブ27、磁気ディスク29、光ディスク31、ROM24、またはRAM25上に記憶されてもよい。ユーザは、キーボード40およびポインティングデバイス42等の入力デバイスを介して、コマンドおよび情報をコンピューティングデバイス12に入力してもよい。他の入力デバイス(図示されず)は、マイクロホン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライトディッシュ、スキャナ、タッチセンサ式デバイス(例えば、スタイラスまたはタッチパッド)、ビデオカメラ、デプスカメラ等を含んでもよい。これらおよび他の入力デバイスは、多くの場合、システムバス23に連結されるシリアルポートインターフェース46を介して処理ユニット21に接続されるが、パラレルポート、ゲームポート、ユニバーサルシリアルバス(USB)、または無線インターフェース(例えば、ブルートゥースインターフェース)等の他のインターフェースによって接続されてもよい。モニタ47または他の種類の表示デバイスも、ビデオアダプタ48等のインターフェースを介してシステムバス23に接続される。モニタに加えて、コンピュータは、典型的には、スピーカー、プリンタ、ならびに触覚フィードバックおよび/または他の種類の物理的フィードバックを提供する触覚デバイス(例えば、力フィードバックゲームコントローラ)等の他の周辺出力デバイス(図示されず)を含む。
【0171】
上述の入力デバイスは、ユーザ入力および選択を受信するように動作可能である。入力デバイスおよび表示デバイスはともに、ユーザインターフェースを提供するように描写されてもよい。
【0172】
コンピューティングデバイス12は、リモートコンピュータ49等の1つ以上のリモートコンピュータへの論理的接続を用いるネットワーク化された環境下で動作することができる。それらの論理的接続は、(ローカルコンピュータとして)コンピューティングデバイス12またはその一部に連結される通信デバイスによって達成される。実装例は、特定の種類の通信デバイスに限定されない。リモートコンピュータ49は、別のコンピュータ、サーバ、ルーター、ネットワークPC、クライアント、メモリ記憶デバイス、ピアデバイスまたは他の共通ネットワークノードであってもよく、典型的には、コンピューティングデバイス12に関連して上に記載される要素のうちの大部分またはすべてを含む。リモートコンピュータ49は、メモリ記憶デバイス50に接続されてもよい。
図17に示される論理的接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)51および広域ネットワーク(WAN)52を含む。そのようなネットワーキング環境は、オフィス、企業規模のコンピュータネットワーク、イントラネット、およびインターネットにおいて一般的である。
【0173】
当業者であれば、LANが、電話ネットワーク、ケーブルネットワーク、セルラーネットワーク、または電力線上のキャリア信号を用いて、モデムを介してWANに接続されてもよいことを理解する。そのようなモデムは、ネットワークインターフェース(例えば、シリアルまたは他の種類のポート)によってコンピューティングデバイス12に接続されてもよい。さらに、多くのラップトップコンピュータは、セルラーデータモデムを介してネットワークに接続されてもよい。
【0174】
LANネットワーキング環境下での使用の際、コンピューティングデバイス12は、通信デバイスの一種であるネットワークインターフェースまたはアダプタ53を介してローカルエリアネットワーク51に接続される。WANネットワーキング環境下での使用の際、コンピューティングデバイス12は、典型的には、インターネット等の広域ネットワーク52上での通信を確立するために、通信デバイスの一種であるモデム54、または任意の他の種類の通信デバイスを含む。内蔵モデムまたは外部モデムであり得るモデム54は、シリアルポートインターフェース46を介してシステムバス23に接続される。ネットワーク化された環境下で、パーソナルコンピューティングデバイス12に関連して示されるプログラムモジュールまたはそれらの部分は、リモートコンピュータ49および/またはリモートメモリ記憶デバイス50に記憶されてもよい。示されるネットワーク接続は例示であり、コンピュータ間の通信リンクを確立するために、通信デバイスの他の手段を用いてもよいことが理解される。
【0175】
コンピューティングデバイス12および関連構成要素は、開示の概念の高レベルの見識を促進するために、特定の例として、かつ抽象化によって本明細書に提示されている。実際の技術的設計および実装例は、特定の実装例に基づいて異なり得るが、開示の概念の全体的な本質を維持する。
【0176】
いくつかの実施形態において、システムメモリ22は、1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、1つ以上のプロセッサに上述の機械学習方法のすべてまたは一部を実行させるコンピュータ実行可能命令を記憶する。そのような命令は、1つ以上の非一時的コンピューター可読媒体(例えば、
図12Aで図解される記憶デバイス460)上に記憶されてもよい。
【0177】
前述に記載の実施形態は、異なる他の構成要素内に含まれるか、またはそれらと接続される異なる構成要素を示す。そのような示されるアーキテクチャが例示にすぎず、実際には、同一の機能性を達成する多くの他のアーキテクチャを実装することができることを理解されたい。概念的な意味で、同一の機能性を達成するための構成要素の任意の配列は、所望の機能性が達成されるように、効率的に「関連する」。したがって、特定の機能性を達成するために組み合わせられる本明細書の任意の2つの構成要素を、アーキテクチャまたは媒介構成要素に関係なく、所望の機能性が達成されるように相互に「関連する」と見なすことができる。同様に、そのように関連付けられる任意の2つの構成要素を、所望の機能性を達成するために、相互に「動作可能に接続される」か、または「動作可能に連結される」と見なすこともできる。
【0178】
本発明の特定の実施形態が示され、かつ説明されているが、本明細書の教示に基づいて、本発明およびそのより広範な態様から逸脱することなく変更および修正を行ってもよく、したがって、添付の特許請求の範囲が、本発明の真の精神および範囲内にあるとして、すべてのそのような変更および修正をそれらの範囲内に包含することは、当業者には明らかである。さらに、本発明が単に添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解されたい。一般に、本明細書使用される用語、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の主要部)で使用される用語は、概して、「オープンな」用語(例えば、「〜を含む(including)」という用語は、「〜を含むが、それらに限定されない」と解釈されるべきであり、「〜を有する」という用語は、「〜を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「〜を含む(include)」という用語は、「〜を含むが、それらに限定されない」と解釈されるべきである)であるよう意図されていることが、当業者によって理解される。特定の数の導入される特許請求の範囲の列挙が意図される場合、そのような意図は、特許請求の範囲において明示的に列挙され、そのような列挙がない場合は、そのような意図がないということが当業者によってさらに理解される。例えば、理解の助けとして、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の列挙を導入するために、「少なくとも1つの」および「1つ以上の」という前置きの言い回しの使用を含み得る。しかしながら、そのような言い回しの使用は、同一の特許請求の範囲が、「1つ以上の」または「少なくとも1つの」という前置きの言い回しおよび「a」または「an」等の不定冠詞(例えば、「a」および/または「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」または「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)を含む場合でさえも、不定冠詞「a」または「an」による特許請求の範囲の列挙の導入が、そのような導入される特許請求の範囲の列挙を含む任意の特定の特許請求の範囲をそのような列挙を1つのみ含む発明に限定することを暗示すると解釈されるべきではなく、特許請求の範囲の列挙を導入するために使用される不定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、特定の数の導入される特許請求の範囲の列挙が明示的に列挙される場合でさえも、当業者であれば、そのような列挙が、典型的には、少なくとも列挙される数を意味すると解釈されるべきではないことを理解する(例えば、他の修飾語句のない「2つの列挙」という単純な列挙は、典型的には、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)。
【0179】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。