特許第6060150号(P6060150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボーグワーナー インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特許6060150-排気ガスターボチャージャ 図000002
  • 特許6060150-排気ガスターボチャージャ 図000003
  • 特許6060150-排気ガスターボチャージャ 図000004
  • 特許6060150-排気ガスターボチャージャ 図000005
  • 特許6060150-排気ガスターボチャージャ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060150
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】排気ガスターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   F02B39/00 S
   F02B39/00 C
   F02B39/00 U
【請求項の数】8
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-510353(P2014-510353)
(86)(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公表番号】特表2014-513769(P2014-513769A)
(43)【公表日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】US2012035433
(87)【国際公開番号】WO2012154424
(87)【国際公開日】20121115
【審査請求日】2014年12月16日
(31)【優先権主張番号】102011101057.6
(32)【優先日】2011年5月10日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ―ハンス・ヘーマー
(72)【発明者】
【氏名】ウーベ・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・シュムニグ
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−29148(JP,A)
【文献】 特開2009−156901(JP,A)
【文献】 特開2006−95402(JP,A)
【文献】 特開2008−231993(JP,A)
【文献】 特開2008−8173(JP,A)
【文献】 特開平3−50328(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/002717(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスターボチャージャ(1)であって、
− タービン(2)を有し、
− コンプレッサ(3)を有し、
− 前記タービン(2)と前記コンプレッサ(3)との間に配置される軸受ハウジング(4)を有し、前記軸受ハウジングのコンプレッサ側フランジ(5)が前記コンプレッサ(3)に隣接し、
− 熱絞り部(6、6’)が前記軸受ハウジング(4)の前記コンプレッサ側フランジ(5)に配置され、最も狭い断面(D)が絞り点を構成し、かつ約2〜3mmの範囲内となり、
前記熱絞り部が内側溝(6’)として形成され、
断熱要素(7、8)が前記内側溝(6’)に配置される、
排気ガスターボチャージャ。
【請求項2】
前記内側溝(6’)が、360°取り囲む溝として形成される、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項3】
前記断熱要素(8)が前記溝(6’)を完全に満たす、請求項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項4】
前記断熱要素(7、8)が、断熱材料から構成されるディスクとして形成される、請求項1又はに記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項5】
前記ディスクがセラミックディスクとして形成される、請求項4に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項6】
前記溝(6’)の幅(B)に対する高さ(H)の比率が2.5を超える、請求項2〜5のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項7】
排気ガスターボチャージャ(1)の軸受ハウジング(4)であって、
コンプレッサ側フランジ(5)を有し、
熱絞り部(6、6’)が前記コンプレッサ側フランジ(5)に配置され、最も狭い断面(D)が絞り点を構成し、かつ約2〜3mmの範囲内となり、
前記熱絞り部が内側溝(6’)として形成され、
断熱要素(7、8)が前記内側溝(6’)に配置される、
軸受ハウジング。
【請求項8】
前記排気ガスターボチャージャ(1)が、請求項2〜6のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ(1)であることを特徴とする、請求項に記載の軸受ハウジング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の排気ガスターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
前記タイプの排気ガスターボチャージャの軸受ハウジングが、コンプレッサのハウジングに直接隣接するコンプレッサ側フランジ又は一体化された後壁を有する場合、タービン側からコンプレッサ側への熱の流れが生じ、これにより、特に低い回転速度/負荷においてコンプレッサの追加の加熱がもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、タービン側からコンプレッサ側への熱伝達の低減を可能にする、請求項1の前提部に規定されたタイプの排気ガスターボチャージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0005】
コンプレッサ側フランジに熱絞り部を設けることによって、コンプレッサから又はコンプレッサハウジングから軸受ハウジングを熱的に切り離し、これによって、コンプレッサの方向のタービン側からの熱伝導を低減することが可能である。
【0006】
このようにして、上に説明したようなコンプレッサの追加の加熱が排除され、コンプレッサ効率の著しい改善が得られる。
【0007】
従属請求項は、本発明の有利な改良形態に関する。
【0008】
請求項11及び12は、排気ガスターボチャージャの軸受ハウジングを独立して販売できる物と規定している。
【0009】
本発明のさらなる詳細、特徴及び利点は、図面に基づき例示的な実施形態の以下の説明から理解される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による排気ガスターボチャージャの第1の実施形態の単純化した概略図である。
図2図1に対応する第2の実施形態の図面である。
図3】本発明による軸受ハウジングの僅かに単純化した概略図である。
図4】本発明による排気ガスターボチャージャの第3の実施形態の図1及び図2に対応する図面である。
図5】本発明による排気ガスターボチャージャの第4の実施形態の図1図2及び図4に対応する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図2図4及び図5は、本発明による排気ガスターボチャージャ1の4つの実施形態を示しており、この場合、これらの各々はタービン2及びコンプレッサ3を有する。ここで、タービン2はタービンホイール2Aで示され、一方、コンプレッサはコンプレッサホイール3Aで示されている。しかし、説明を簡単にするために、タービンハウジング及びコンプレッサハウジングは図1図2図4及び図5では図示されていないが、これらは、排気ガスターボチャージャの実際の実施形態に設けられることが自明である。このことは、このような排気ガスターボチャージャの他のすべての構成要素に当てはまるが、これらの構成要素は、本発明の原理を説明するために必要でないので、以下に詳細に説明しない。
【0012】
図1図2図4及び図5の実施形態による排気ガスターボチャージャ1は各々軸受ハウジング4を有し、図示した実施形態の各々では、軸受ハウジングには、コンプレッサ側の一体化されたフランジ又は一体化された後壁5が設けられ、後壁は、排気ガスターボチャージャ1が完全に組み立てられた状態において、各々、コンプレッサ3のコンプレッサハウジング(図示せず)に隣接している。
【0013】
上述の実施形態で、タービン側とコンプレッサ側との間の熱的な分離を可能にするために、コンプレッサ側フランジ5に、各々熱絞り部6又は6’が設けられる。
【0014】
図1による実施形態では、前記熱絞り部6は、図1で詳細に見ることができるように、フランジ5の外側溝として、すなわち外部領域に開口する溝6として形成される。この場合、溝6は、フランジ5の周りを360°取り囲む溝として形成されることが好ましい。前記溝6により、所望の熱的な分離が達成され、ここでは、絞り点を構成する最も狭い断面が参照符号Dによって示されている。
【0015】
外側溝又はアンダーカット6は、フランジ5の鋳造又は機械的加工によって製造することが可能である。
【0016】
図2図4及び図5による実施形態では、内側溝の形態の熱絞り部6’が設けられ、前記内側溝はここでも、360°取り囲む溝として形成されることが好ましいが、このことは、図3の軸受ハウジング4の代替実施形態によって示されるように、必ずしも必要ではないが、好ましい。
【0017】
同様に、内側溝6’により、冒頭に説明した本発明による排気ガスターボチャージャ1の利点をもたらす所望の熱的な分離が達成される。
【0018】
図4による実施形態では、断熱要素7が内側溝6’に配置されるが、断熱要素は溝6’を完全に満たさない。
【0019】
図5による実施形態では、同様に断熱要素8が溝6’に配置されるが、この場合、断熱要素8は溝を完全に満たし、すなわち、図5の細部に見ることできるように軸受ハウジング4のハウジングカバー9まで延びる。
【0020】
断熱要素7又は8は、断熱材料から構成されるディスクとして、例えばセラミックディスクとして製造してもよい。
【0021】
内側溝6’は、機械的にあるいは軸受ハウジング4の鋳造の過程で製造してもよい。
【0022】
断熱要素7、8は、溝6’内に配置するか又はその中に鋳造することも可能である。
【0023】
上に説明したように、図3は、部分的にのみ取り囲む溝である溝6’を示している。ここでも、参照符号Dは最も狭い断面を示している。同様に図3には、溝6’の高さH及び幅Bが示されており、比率H/B>2.5であることが好ましい。最も狭い断面Dは、約2〜3mmの範囲にある。
【0024】
360°取り囲む溝として溝6’が形成される場合、前記比率H/Bは自明であり、同様に可能である。
【0025】
本発明の上述の開示に加えて、図1図5の概略図が本明細書により明示的に参照される。
【符号の説明】
【0026】
1 排気ガスターボチャージャ
2 タービンハウジング
3 コンプレッサ
4 軸受ハウジング
5 コンプレッサ側フランジ/一体化された後壁
6、6’ 熱絞り部(外側又は内側溝)
7、8 断熱要素
9 軸受ハウジングカバー
D 最も狭い断面/絞り点
H 溝の高さ
B 溝の幅
図1
図2
図3
図4
図5