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特許6060153通信ネットワークにおける事象ベースキープアライブ時間
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060153
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】通信ネットワークにおける事象ベースキープアライブ時間
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20161226BHJP
   H04B 3/54 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   H04L12/44 M
   H04B3/54
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-512180(P2014-512180)
(86)(22)【出願日】2012年5月29日
(65)【公表番号】特表2014-516225(P2014-516225A)
(43)【公表日】2014年7月7日
(86)【国際出願番号】US2012039799
(87)【国際公開番号】WO2012162691
(87)【国際公開日】20121129
【審査請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】61/605,400
(32)【優先日】2012年3月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/473,323
(32)【優先日】2012年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/490,187
(32)【優先日】2011年5月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】クマラン ヴィジャヤサンカール
(72)【発明者】
【氏名】ラマヌジャ ヴェダンハム
(72)【発明者】
【氏名】シャオリン ルー
【審査官】 岡 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/140034(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0322124(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0025258(US,A1)
【文献】 Recommendation ITU-T G.9904,ITU,2012年10月,pp.69,73-74,100
【文献】 Xiaolin Lu et al.,White Paper: Implementing PRIME for Robust and Reliable Power Line Communication(PLC),Texas Instruments,2013年 7月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
H04B 3/54
IEEE Xplore
CiNii
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースノードと複数のサービスノードとを含む複数のノードを有するネットワークにおいて通信する方法であって、前記サービスノードが少なくとも1つのスイッチノードと少なくとも1つの端子ノードを含み、前記方法が、
第1のサービスノードからのデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取る時に前記ベースノードで前記第1のサービスノードに対してALV_Sタイマーを再開することと、
ALV_BフレームにおいてアライブALV.TIMEフィールドを伝送することにより第1のKAタイマーに対してキープアライブKAタイムアウト(KA_TO)値を設定することであって、前記KA_TO値が前記ベースノードにより設定され、前記KA_TO値により定められる各タイムインタバルの間に前記ベースノードが少なくとも幾らかのフレームを前記第1のサービスノードに送信することを確実にするため、前記第1のサービスノードに対て最後に送信されたデータフレーム又は前記ALV_Bフレームを追跡するために前記ベースノードがALV_Bタイマーを使用する、前記設定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記ネットワークが直交周波数分割多重(OFDM)シグナリングを用いる、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記通信が電力線通信を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記通信がワイヤレス通信を含む、方法。
【請求項5】
ベースノード(BN)と複数のサービスノード(SN)とを含む複数のノードを有するネットワークにおいて通信する方法であって、前記複数のSNが少なくとも1つのスイッチノード(SW)と少なくとも1つの端子ノード(TN)とを含み、前記方法が、
前記複数のSNからの第1のSNが、前記BNからの(i)データ/ALV_B/ACKフレーム、又は前記BN又は前記SWからの(ii)ビーコンを受け取り、前記(i)又は(ii)を受け取るときに前記第1のSNで第1のキープアライブ(KA)タイマーを再開することと、
ALV_BフレームにおいてアライブALV.TIMEフィールドを伝送することにより前記第1のKAタイマーに対してKAタイムアウト(KA_TO)値を設定することであって、前記KA_TO値が前記BNにより設定され、前記KA_TO値により定められる各タイムインタバルの間に前記BNが少なくとも幾つかのフレームを前記第1のSNに送信することを確実にするため、前記第1のSNに対して最後に送信されたデータフレーム又は前記ALV_Bフレームを追跡するために前記BNがALV_Bタイマーを用いる、前記設定することと、
を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記ネットワークが直交周波数分割多重(OFDM)シグナリングを用いる、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記通信が電力線通信を含む、方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法であって、
前記通信がワイヤレス通信を含む、方法。
【請求項9】
ベースノード(BN)と複数のサービスノード(SN)とを含む複数のノードを有するネットワークにおいて通信する方法であって、前記複数のSNが少なくとも1つのスイッチノード(SW)と少なくとも1つの端子ノード(TN)とを含み、前記方法が、
前記複数のSNからの第1のSNが、前記BNからの(i)データ/ALV_B/ACKフレーム、又は前記BN又は前記SWからの(ii)ビーコンを受け取り、前記(i)又は(ii)を受け取るときに前記第1のSNで第1のキープアライブ(KA)タイマーを再開することと、
前記第1のSNからのデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取るときに前記第1のSNに対して前記SNでアライブALV_Sタイマーを再開することと、
ALV_BフレームにおいてALV.TIMEフィールドを伝送することにより前記第1のKAタイマーに対してKAタイムアウト(KA_TO)値を設定することであって、前記KA_TO値が前記BNにより設定され、前記KA_TO値により定められる各タイムインタバルの間に前記BNが前記第1のSNに対して少なくとも幾らかのフレームを送信することを確実にするため、前記第1のSNに対て最後に送信されたデータフレーム又は前記ALV_Bフレームを追跡するために前記BNがALV_Bタイマーを用いる、前記設定することと、
を含む、方法。
【請求項10】
請求項1、5又は9に記載の方法であって、
前記KA_TO値が前記ベースノードによりKAメッセージ管理アルゴリズムを用いて設定される、方法。
【請求項11】
ベースノードと、少なくとも1つのスイッチノード及び少なくとも1つの端子ノードを有する複数のサービスノードとを含む複数のノードを有するネットワークにおける第1のノードにおいて、KAロス低減アルゴリズムを実装するためにストアされた命令を有する非一時的(non−transitory)メモリに通信可能に結合されるキープアライブ(KA)タイマーを実装するプロセッサを含む、モデムであって、
実行されるとき、前記プロセッサに、
前記モデムが前記複数のサービスノードからの第1のサービスノードにあるとき、前記第1のサービスノードが、(i)前記ベースノードからのデータ/ALV_B/ACKフレーム、又は(ii)前記ベースノード又は前記スイッチノードからのビーコンを受け取る時に前記第1のサービスノードにおける第1のキープアライブ(KA)タイマーを再開させ、
前記モデムが前記ベースノードにあるとき、前記第1のサービスノードからのデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取る時に前記第1のサービスノードに対して前記ベースノードにおけるALV_Sタイマーを再開させ、
ALV_BフレームにおいてALV.TIMEフィールドを伝送することにより前記第1のKAタイマーに対してKAタイムアウト(KA_TO)値を設定させ、
前記KAロス低減アルゴリズムを用いて前記ベースノードにより前記KA_TO値が設定され、前記KA_TO値により定められる各タイムインタバルの間に前記第1のサービスノードに対して前記ベースノードが少なくとも幾らかのフレームを送信することを確実にするため、前記第1のサービスノードに対して最後に送信されたデータフレーム又は前記ALV_Bフレームを追跡するために前記ベースノードがALV_Bタイマーを使用する、モデム。
【請求項12】
請求項11に記載のモデムであって、
前記モデムが、半導体表面を有する基板を含む集積回路上に形成され、前記プロセッサがデジタルシグナルプロセッサを含む、モデム。
【請求項13】
請求項11に記載のモデムであって、
前記モデムが電力線モデムを含む、モデム。
【請求項14】
請求項11に記載のモデムであって、
前記モデムがワイヤレスモデムを含む、モデム。
【請求項15】
モデムを含む通信デバイスであって、
前記モデムが、
ベースノードと、少なくとも1つのスイッチノード及び少なくとも1つの端子ノードを有する複数のサービスノードとを含む複数のノードを有するネットワークにおける第1のノードにおいて、KAロス低減アルゴリズムを実装するためストアされた命令を有する非一時的メモリに通信可能に結合されるキープアライブ(KA)タイマーを実装するプロセッサと、
前記モデムに通信可能に結合されるトランシーバと、
を含み、
実行されるとき、前記プロセッサに、
前記モデムが前記複数のサービスノードからの第1のサービスノードにあるとき、(i)前記ベースノードからのデータ/ALV_B/ACKフレーム、又は(ii)前記ベースノード又は前記スイッチノードからのビーコンを受け取る時に前記第1のサービスノードが前記第1のサービスノードにおける第1のキープアライブ(KA)タイマーを再開させ、
前記モデムが前記ベースノードにあるとき、前記第1のサービスノードからのデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取る時に前記第1のサービスノードに対して前記ベースノードにおけるALV_Sタイマーを再開させ、
ALV_BフレームにおいてALV.TIMEフィールドを伝送することにより前記第1のKAタイマーに対してKAタイムアウト(KA_TO)値を設定させ、
前記KAロス低減アルゴリズムを用いて前記ベースノードにより前記KA_TO値が設定され、前記KA_TO値により定められる各タイムインタバルの間に前記第1のサービスノードに対して前記ベースノードが少なくとも幾らかのフレームを送信することを確実にするため、前記第1のサービスノードに対して最後に送信されたデータフレーム又は前記ALV_Bフレームを追跡するために前記ベースノードがALV_Bタイマーを使用する、通信デバイス。
【請求項16】
請求項15に記載の通信デバイスであって、
前記モデムと前記非一時的メモリとが半導体表面を有する基板を含む集積回路上に形成され、前記プロセッサがデジタルシグナルプロセッサを含む、通信デバイス。
【請求項17】
請求項15に記載の通信デバイスであって、
前記モデムが電力線モデムを含み、前記トランシーバが電力線トランシーバを含む、通信デバイス。
【請求項18】
請求項15に記載の通信デバイスであって、
前記モデムがワイヤレスモデムを含み、前記トランシーバがワイヤレストランシーバを含む、通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施例は、概して通信の分野に関し、更に特定して言えば、通信ネットワークにおいてノード利用可能性の方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
スマートグリッド技術とは、生成地点から消費者までの電気の伝送及び分配のための進行中の改善を指す。スマートグリッドネットワークにおける一つの主要構成要素は、いわゆる「スマートメータリング」ネットワークである。典型的なスマートメータリングネットワークにおいて、居住地又は他の建物に位置する電気(又は他のユーティリティ)メーターは、リアルタイムメーター読み取り値を電力線を介して電力コンセントレータに伝送することができ、電気提供者に対して有益なリアルタイム電気制御及び請求情報を提供することができる。
【0003】
電力線において電力効率が重要であること及びひどいノイズに起因して、電力線を介するメータリング情報の直接伝送は範囲が限定されている。従って、典型的なスマートメータリングネットワークがツリー状のトポロジーを有し、1)ツリーにおけるルートノードとして機能するデータコンセントレータ(ベースノードBNと呼ぶこともある)、2)それらのメーター読み取り値をBNに送信する、ツリーにおけるターミナルノード(TN)におけるメータリングデバイス、及び3)ツリーにおけるブランチノードとして機能するスイッチングノード(SW)を含む。SWは、直接通信範囲を超える通信ペア(例えば、TN及びBN)のためにデータトラフィックを更なるホップに中継する。ネットワークにおけるSW及びTNは、本明細書では集合的にサービスノード(SN)と称する。
【0004】
PRIME(Powerline Related Intelligent Metering
Evolution(電力線通信によるインテリジェント・メーターの進化))は、スマートメータリングネットワークの欧州標準である。PRIME標準は、42〜90KHz帯域において直交周波数分割多重(OFDM)を用いる電気的電力グリッドのための電力線通信ナローバンドデータ伝送システムの下側層を定義する。PRIMEネットワークが、上述のようなツリー状のトポロジーを用いる。PRIMEネットワークにおいて、媒体アクセス制御(MAC)機能は、BN及びSWにビーコンを周期的に送信させる。ビーコンは更に、ネットワークにおける全てのSNが、それらのクロックを同期化し、時間ドメインを離散時間フレームに仮想的にチョップすることを助ける。
【0005】
BN及びSNがアライブであるか否かを検出するためにキープアライブ(KA)手順が用いられる。KAフレームは、ネットワーク構成/トポロジーの変化(不良リンク、チャネル条件、負荷変動、SNがサブネットワークを残すなど)に、又はそれが回復不能なSNにおける致命的エラーに起因してSNが到達不能となるときをBNに検出させる。
【0006】
従来のKA手順は、BNがKA要求フレーム(ALV_Bとも称される)をネットワーク内のSNの各々に送ること及びSNからのKA応答フレーム(ALV_Sとも称される)を探すことを必要とする。しかし、幾つかのSNを付加することによりネットワークサイズが増大するとき、KAトラフィックは、図1に示す通信ネットワーク100において示すようにネットワーク安定性の問題を引き起こす。図1は、BN110が、SW1として示されるSWを介して、TN1、TN2、及びTN3として示される3つのターミナルノード(TN)と通信することを示す。特に、例えばファームウェアアップグレードに起因して、ネットワークトラフィックが既に高であるとき、図示する高トラフィックが起こり得る。
【0007】
高トラフィック条件の間、付加されたデータトラフィックに起因してネットワーク輻輳が増大するため、KAメッセージのエンドツーエンド搬送を保証することが難しい可能性がある。例えば、PRIME準拠ネットワークにおける場合などのネットワークにおいて、KAメッセージのロスは、ネットワークからの意図されないノード登録解除につながり得る。
【発明の概要】
【0008】
開示される実施例は、KAタイマーに時間を付加するよう機能するネットワークにおいてKAタイマーの事象ベース再開によってネットワークトラフィックを低減する新しいアルゴリズムにより実装される通信ネットワークにおけるキープアライブ(KA)ロス低減の方法を含む。KAタイマーの時間を延長することが、伝送されるKAフレームの数の著しい低減となることが分かっている。
【0009】
1つの実施例が、ベースノード(BN)と複数のサービスノード(SN)とを含む複数のノードを有するネットワークにおいて通信する方法を含む。本明細書において用いられるように、SNは、スイッチノード(SW)又はターミナルノード(TN)のいずれかであり得る。ネットワークは、少なくとも一つのSW及び少なくとも1つのTNを含む。第1のSNが、(i)BNからのデータ/ALV_B/ACKフレームを受け取るか、又は(ii)BN又はSWからのビーコンを受け取る。第1のSNにおける第1のキープアライブ(KA)タイマーが(i)又は(ii)時に再開される。第1のSNからのデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取る時にBNにおける第1のSNに対するALV_Sタイマーも再開され得る。
【0010】
更に、開示されるKAロス低減アルゴリズムを実装するためのストアされた命令を有する非一時的(non−transitory)メモリに通信可能に結合されるプロセッサを含むモデムも開示される。開示されるモデム及びトランシーバを含む通信デバイスも開示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、高トラフィック状態の間KAメッセージを通信するSW1として示されるSWを介して、TN1、TN2、及びTN3として示されるTNと通信するBNを有する通信ネットワークを示す。
【0012】
図2図2は、KAロスを定量化するためシミュレーションを実行するために用いられるネットワークセットアップを示す。
【0013】
図3図3は、例示の実施例に従って、開示されるKAメッセージロス低減アルゴリズムを実装する開示されるプロセッサを有する通信デバイスの概略のブロック図を示す。
【0014】
図4図4は、例示の実施例に従って、例示のKAメッセージロス低減アルゴリズムを用いて通信する方法のためのフローチャートである。
【0015】
図5A図5Aは、例のセクションで説明されるシミュレーションに用いられる60ノード3レベルトポロジーを示す。
図5B図5Bは、異なるKAタイムアウト値にわたるメーター読み取り値サイクル遅延に対しシミュレーションされたデータを示す。
図5C図5Cは、幾つかの例示のKAタイムアウト値にわたる数千のうちの総成功メーター読み取り値に対しシミュレーションされたデータを示す。
図5D図5Dは、例示のKAタイムアウト値にわたる数百のうちのBNにより送信される総ALVフレームに対しシミュレーションされたデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図2は、開示される実施例とは異なり、既知のPRIMEKAプロセスを用いてKAメッセージロスを定量化する本明細書に開示するシミュレーションを実行するために用いられるネットワークセットアップ200を示し、これは、ネットワークにおいてKAタイマーを再開するためネットワークにおけるノードの利用可能性に関する情報を得るためにネットワークトラフィックを考慮しない。開示される実施例に適用される、本明細書において用いられるようにKAタイマーを再開することとは、タイムアウト状態を遅延させることになる事象の発生時にネットワークのノードにおけるKAタイマーに時間を付加することを指し、これにより、ネットワークからの意図されないノード登録解除の発生率が低減される。
【0017】
BN208、SW211、SW212、SW213、及びTM218を含む5つのノードが、それぞれのノード間に100m(メートル)の距離を有する4レベルネットワークを提供するため図2に示すようにラインに沿って配置された。ファームウェアアップグレードシナリオ(ラボ測定値に基づく)をシミュレーションする、0.05sの平均到達間時間と73バイトフレームを有するポワソン分布データトラフィックが、このシミュレーションのために考慮された。下記は用いられたシミュレーションパラメータである。
− MCS_SCHEME=0(BPSK_FEC)
− MacMaxReTxTimer=15.0秒
− MacMaxCtrlReTx=3
− macSCPMaxTxAttempts=7
− macFrameLength=276(シンボル)
− macBeaconLength=5(シンボル)
− macSCPLength=251(シンボル)
− symbolTime=0.00224(秒)
− preambleTime=0.002048(秒)
− csmaSenseDelay=0.004096(秒)
− ALVTIMER_INTERVAL=16.0(秒)
− NUM_WAIT_BEACON_FOR_REG=3
− TIME_WAIT_FOR_SEND_PNPDU=5.0(秒)
− TIME_RETRY_REGAFTER_FAIL=10.0(秒)
【0018】
ノード伝送範囲は、衝突レート(=ALV/DATAロスレート)で上限を得るため互いから隠されるべき(200mで)2ホップ距離ノード及び更なる距離ノードを生じさせる、150mに設定された。衝突レートは、伝送範囲が、ALV/DATAロスレートに対し下限として報告される250mに設定されたシナリオと対比された。下限及び上限シミュレーション結果を下記表1に示す。
【表1】
【0019】
表1から、ネットワーク輻輳から生じる衝突に起因して、考慮される4レベルネットワークに対しKAメッセージロスレートが35〜40%まで増大することが分かる。これは、ネットワークトポロジーが変更されないにもかかわらず不要な(所望としない)ノード登録解除につながる。ネットワークにおけるノードが登録解除し、その後再登録する度に、再登録が付加的なネットワーク登録トラフィック及び接続の再確立を引き起こす。このような不要な登録解除は、ノードの利用可能性に関する情報を得るためにネットワークトラフィックを用いることができる、開示されるKAメッセージング方法を用いることによって避けることができる。
【0020】
開示される方法において、BNは、2つの個別のKAタイマー、ALV_Bタイマー及びALV_Sタイマー、を維持する。ALV_Bタイマーは、最後のALV_B/Data/ACKフレームがネットワークにおけるSNの各々に送られたときを監視し、ALV_Sタイマーは、ネットワークにおけるSNからの入ってくるData/ACK/ALV_Sフレームを監視する。ネットワークにおけるSNはまた、各々KAタイマーを有する。BNは、それ自体に及び幾つかの実装の特定のアルゴリズムを用いてネットワークにおけるノードにKAタイムアウト値(KA_TO値)を決定する。KA_TO値は、ALV_BフレームにおけるALV.TIMEフィールドを用いてBNによりSNに通信され得る。
【0021】
BNは、1つの特定の実装において3など、(特定の実装により定められるように)所与の数のALV_B/Dataフレームを、各KA_TOインタバルにネットワーク内のSNに送信する。BNにおけるプロセッサが、充分なALV_B又はデータフレームを特定のSNに送信していないことを認識している場合、BNは、ALV_BフレームのそのSNへの送信をトリガする。BNは、それがそのSNからデータ/ACK/ALV_Sフレームを受け取る度、所与のSNに対しそのALV_Sタイマーを再開する。BNがALVタイムアウトインタバルにSNからALV_S/データ/ACKフレームを受け取らない場合、ALV_Sタイマーは満了し、BNは、そのSNが切断されるべきみなすことができ、そのため、ネットワークからそのSNを登録解除することができる。
【0022】
SWは、SWがデータ/ACK/ALV_Sフレームを受け取る度、そのスイッチノード表におけるネットワークツリーにおいてそれを下回るSWに対しそれらのKAタイマーを再開する。SNは、SNがデータフレーム/ACK/ALV_BBNからのを受け取る度、BNに対しそれらのKAタイマーを再開することができる。また、SNは、現在の標準において特定されるようにBNからの入ってくるALV_BにALV_Sで応答することができる。SNは更に、SW又はBNからビーコンを受け取った時それらのKAタイマーを再開することもできる。
【0023】
一実施例において、明確にするため本明細書において「第1のSNノード」と称するネットワークにおけるSNに対するKAタイマーは、第1のSNが、(i)BNからのデータ/ALV_B/ACKフレーム又は(ii)BN又はSWからのビーコンを受け取るときKAタイムアウト(KA_TO)値に再開される。第1のSNに対するBNにおけるALV_SKAタイマーも、第1のSNからのデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取る時に再開され得る。第1のSNは、それらの現在のKA_TO値を演算する際に用いるためのLIFE_EXTN_TIME(拡張された時間として)における(ALV_Bフレームからの)ALV.TIMEフィールド又はREG.TIMEフィールド(REGはノードがネットワークに加わるとき実行される)のいずれかからのその最後に受信したKA_TO値を維持することができる。ALV.TIME及びREG.TIMEとは、それぞれのパケットにおける時間フィールドを指す。
【0024】
SNにおけるKAタイマーの現在のKA_TO値は、BNからのALV_Bフレームの受信時にKA_TO(ALV.TIME)によっても拡張され得(即ち、データが受信される瞬間に再開される)、BNからのデータ/ACKフレームの受信時にLIFE_EXTN_TIMEにより拡張され得る。このLIFE_EXTN_TIMEは、定数値に設定されてもよく、又はBNからの登録(REG)プロセスの間受信したREG.TIMEフィールドにより設定されてもよい。それぞれのBN、SW、及びTNのアクティビティは次のようになり得る。
【0025】
1.BN:それがSNからデータ/ACK/ALV−Sフレームを受け取る度に所与のSNに対してそのALV_Sタイマーを再開する。また、上述のように、BNはまた、それぞれのSNにALV_B/データフレームを最後に送ったのがいつかを判定するためSNに対しALV−Bタイマーを維持する。任意のSNに対しALV−Bタイマーが満了する場合、BNはALV_BメッセージをSNに送る。
【0026】
2.SW:それがこれらのSWからデータフレームを得る度にネットワークツリーにおけるそれを下回るSWノードに対しそのKAタイマーを再開する。例えばPRIMEにおいて、SWに対するKAタイマーは、ツリーにおけるSWを下回るSWに対する。
【0027】
3.SN(TN又はSW):それがBNからのデータフレーム又はそのSWからのビーコンを得る度にBNに対しそのKAタイマーを再開する。SNは、そのBNに対しタイマーを維持し得る(サービスノードは1BNのみに接続される)。しかし、上述のようにSW(これらもSNである)は、それらを下回る全てのSWに対しタイマーを維持し得る。SW又はBNから受信したビーコンが、ネットワーク安定性の良好な表示を提供することもでき、そのため、SNにおいてKAタイマーを再開するために用いることができる。
【0028】
図3は、例示の実施例に従った開示されるKAロス低減アルゴリズムを実装する関連する非一時的メモリ305を有するプロセッサ(例えば、デジタルシグナルプロセッサ、(DSP))304aを含むモデム304を含む通信デバイス300の概略のブロック図を示す。モデム304は、タイマー407として示される少なくとも一つのKAタイマーを含む。SNとして用いられる通信デバイス300の場合、SNは、本明細書において第1のKAタイマーと称するタイマーを有する。
【0029】
通信デバイス300がBNとして用いられるとき、BNは、タイマー407がALV_Bタイマー及びALV_Sタイマーを含むように2つのKAタイマーを維持する。上述で開示されるように、KAロス低減アルゴリズムは、a)(i)BNからのデータ/ALV_B/ACKフレームの受信、又は(ii)ネットワークにおけるBN又はSWからのビーコンの受信の少なくとも1つを用い、(i)又は(ii)の時第1のSNにおいて第1のKAタイマーを再開し、b)第1のSNからデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取る時に第1のSNに対してBNにおけるALV_Sタイマーを再開する。
【0030】
モデム304は、シリコン表面などの半導体表面326を有する基板325を含む集積回路(IC)320上に形成されて示されている。別の実施例において、モデム304は、2DSPチップなどの2プロセッサチップを用いて実装される。通信デバイス300は、ネットワークにおいてSNとの通信を助けるため、電力線通信のための電力線又はワイヤレス通信のための無線など、通信デバイス300の通信媒体340への結合を可能にするトランシーバ(TX/RX)306として示されるアナログフロントエンド(AFE)を更に含む。ワイヤレスアプリケーションでは、トランシーバ306は、アンテナ(図示せず)に結合されるワイヤレストランシーバを含む。一実施例においてトランシーバ306は、IC320から離れたICを含む。上述のDSPのほかに、プロセッサ304aは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含み得る。
【0031】
図4は、例示の実施例に従った、例示のKAメッセージロス低減アルゴリズムを用いる通信の方法400のためのフローチャートである。ネットワークは、BNを含む複数のノードと、少なくとも1つのSW及び少なくとも1つのTNを有する複数のSNとを有する。ステップ401が、第1のSNが、(i)BNからのデータ/ALV_B/ACKフレーム又は(ii)BN又はSWからのビーコンを受け取ることを含む。ステップ402が、(i)又は(ii)時に第1のSNにおいて第1のKAタイマーを再開することを含む。ステップ403が、第1のSNからデータ/ALV_S/ACKフレームを受け取る時に第1のSNに対しBNにおいてALV_Sタイマーを再開することを含む。ステップ404が、再開されたタイマー(第1のKAタイマー又はALV_Sタイマー)に対し、更新されたKAタイムアウト(KA_TO)値を設定することを含む。上述のように、更新されたKA_TO値は、受信したALV.TIMEフィールドにおける時間情報に基づき得るか、又は第1のSNにおいてストアされ得る。
【0032】
開示される実施例を下記の特定の例で更に示すが、これらは、いかなる方式においても本開示の範囲又は内容を限定すると解釈すべきではない。
【0033】
既知のKAアルゴリズムを用いた同じ電力線通信ネットワークに対して、電力線通信ネットワークに適用される開示されるKAメッセージロス低減アルゴリズムからの結果を比較するためシミュレーション結果が得られた。このシミュレーションに用いられたトポロジーは、ネットワークセットアップ200に関して上述したトポロジーとは異なっていた。この例で説明されるトポロジーは、対象の電力線通信ネットワークアプリケーション及びパラメータを更によく表すと考えられる。
【0034】
電力線通信は典型的にメーター読み取りアプリケーションにおいて用いられる。メーター読み取り値アプリケーションにおいて、BNは、ネットワークにおける各SNにデータ要求を送信し、それぞれのSNが要求されたデータで応答する。このアプリケーションをエミュレートするため、下記アプリケーションが用いられた。
1.BNは、90バイトデータを各SNに送信し、データリトライタイムアウトに対する応答を待つ。
2.SNは、要求フレームの受信時に90バイトデータフレームで応答する。
3.BNがタイムアウトする場合、BNは、5回までメーター読み取りをリトライし得る。
4.メーター読み取りアプリケーションは、シミュレーションの開始後3000sに開始される。
5.全シミュレーション時間が15000sに設定される。
【0035】
公正な比較を実行するため、開示されるKAメッセージロス低減アルゴリズムを用いてBNにより送信されるALV_Bフレームの数は、データトラフィックがないときの既知のKAアルゴリズムのものと同じに保たれた。データトラフィックの間、開示されるKAメッセージロス低減アルゴリズムは、KAトラフィックを低減し、そのため、ネットワーク性能を著しく改善するため、データトラフィック及びビーコンを含むネットワーク事象の発生を用いる。
【0036】
図5Aは、シミュレーションに用いられた60ノード3レベルトポロジーを示す。3レベルの各々は20ノードを有していた。軸は、メートルにおける距離である。1つのレベルにおける全てのノードは、近接するレベルにおける全てのノードからの送信を感知すると仮定されていた。レベルは、100メートル分離されて示されている。
【0037】
【表2】
【表3】
【表4】
【0038】
この例で提供されるデータから、開示されるKAアルゴリズムの利用により、メーター読み取り遅延は55%まで低減され、メーター読み取りの数は120%まで増大されることが分かる。この改善は、低減されたKAフレームによりネットワークトラフィックが低減されるため達成される。BNによりSNに送信される総KAフレームは、開示されるKAアルゴリズムの利用により68%まで低減された。
【0039】
本発明に関連する技術に習熟した者であれば、本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に変形が成され得ること、及び他の実施例を実装し得ることが分かるであろう。
図1
図2
図5A
図3
図4
図5B
図5C
図5D