【実施例】
【0040】
実施例1
CHOK1SV細胞におけるFGF21変異体の発現
チャイニーズハムスター卵巣(CHOK1SV)細胞を使用して哺乳動物細胞発現系において本発明のFGF21変異体を産生する。FGF21変異体をコードする遺伝子を、グルタミンシンテターゼ(GS)を含有する発現プラスミド骨格(pEE12.4ベースのプラスミド)内でサブクローニングする。FGF21変異体をコードするcDNA配列を、組織培養培地内への所望の産物の分泌を増強するために好ましいシグナルペプチド配列のコード配列とフレーム内で融合する。好ましいシグナルペプチド配列は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6のアミノ酸配列に示されるようなポリペプチドである。
【0041】
発現はウイルスであるサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターにより駆動する。CHOK1SV細胞をエレクトロポレーションおよび適切な量の組換え発現プラスミドを使用して安定にトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞を、適切な細胞密度で懸濁培養物中に維持する。トランスフェクトした細胞の選択は、メチオニンスルホキシイミン(MSX)を含有する無血清培地中の増殖により達成し、35〜37℃および5〜7%CO
2にてインキュベートする。
【0042】
フローサイトメトリーの使用によりクローンに由来する細胞株を生成する。哺乳動物細胞におけるFGF21変異体の発現は、通常、天然のN末端配列、HPIP、すなわちN末端においてメチオニン残基を有さない、例えば配列番号1のアミノ酸配列により示されるFGF21変異体を産生する。
【0043】
CHO細胞から培地内に分泌されるFGF21変異体は、清浄した細胞培養培地を、最大2時間、50〜60℃で加熱し、冷却し、ウイルス不活性化のために洗浄剤(TritonX−100)で処理し、Capto MMC(GE Healthcare)混合モードクロマトグラフィーカラムに適用する、プロセスにより精製する。FGF21変異体はpH8の緩衝液を使用してカラムから溶出し、その後、生成物のプールを、ウイルス不活性化のために50mMのクエン酸、150mMのNaCl溶液を用いて1時間、3.2〜3.5のpH範囲に調整する。Tris緩衝液を添加することにより溶液をpH6.7〜7.3に調整し、Phenyl Sepharose High Performance樹脂(GE Healthcare)を使用して疎水性交換クロマトグラフィーによりFGF21変異体をさらに精製する。疎水性相互作用カラムを、pH7にて硫酸ナトリウムの減少させた勾配で溶出する。HIC精製したFGF21変異体を、pH8にてNaClを含有するTris緩衝液に緩衝液を交換し、Source30Q樹脂(GE Healthcare)上でアニオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製する。アニオン交換カラムはpH8にて増加させた濃度の塩化ナトリウムで溶出する。Planova20N(Asahi Kasei Medical)ウイルス保持フィルタを通して精製したFGF21変異体を通過させ、続いて、再生セルロース膜(Millipore)上での接線流限外濾過を使用して10Mクエン酸塩、150mMのNaCl pH7内で濃縮/血液透析濾過する。
【0044】
実施例2
3T3−L1−βKlotho線維芽細胞グルコース摂取アッセイ
3T3−L1−βKlotho線維芽細胞は、野生型マウスβKlothoのコード配列およびブラストサイジン耐性マーカーを含有するCMVにより駆動される哺乳動物発現ベクターのレトロウイルス形質導入により3T3−L1線維芽細胞から生成する。15μMのブラストサイジンの存在下で14日間の増殖後にブラストサイジン耐性細胞を選択し、βKlothoタンパク質発現を、抗βKlotho抗体を用いた免疫ブロットにより検証する。実験での使用のために播種するまで、10%のウシ血清、および15μMのブラストサイジンを有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中に3T3−L1−βKlotho線維芽細胞を維持する。
【0045】
グルコース摂取に関して、3T3−L1−βKlotho線維細胞を、96ウェルプレート中に20,000個の細胞/ウェルにて播種し、10%のウシ血清を有するDMEM中で48時間インキュベートする。細胞を、目的のFGF21変異体を有するまたは有さない0.1%のウシ血清アルブミン(BSA)を有するDMEM中で3時間インキュベートし、続いて、FGF21変異体を有するまたは有さない100μMの2−デオキシ−D−(
14C)グルコースを含有するクレブス・リンガーリン酸(KRP)緩衝液(15mMのHepes、pH7.4、118mMのNaCl、4.8mMのKCl、1.2mMのMgSO
4、1.3mMのCaCl
2、1.2mMのKH
2PO
4、0.1%のBSA)中で1時間インキュベートする。非特異的結合を、1mMの2−デオキシ−D−(
14C)グルコースを含有するクレブス・リンガー重炭酸塩/Hepes(KRBH)緩衝液中での選択ウェルのインキュベーションにより決定する。20μMのサイトカラシンBを細胞に添加することにより反応を停止させ、液体シンチレーションカウンタを使用してグルコース摂取を測定する。
【0046】
3T3−L1−βKlotho線維芽細胞グルコース摂取アッセイにおいて配列番号1のFGF21変異体のインビトロ効力は0.026nMであった。配列番号1のFGF21変異体は、公知の配列番号11のFGF21変異体(国際公開第2006/028595号に開示されている)と比較して有効なFGF21変異体である。3T3−L1−βKlotho線維芽細胞グルコース摂取アッセイにおいて配列番号11のFGF21変異体のインビトロ効力は0.49nMであった。
【0047】
実施例3
ヒト293細胞−βKlotho−SREルシフェラーゼアッセイ
293−βKlotho−SRElucレポーター細胞の構築:
37℃、5%CO
2にて、ダルベッコ改変イーグル培地中に10%ウシ胎児血清(FBS)を含有する増殖培地中でHEK−293(ヒト胎児腎臓細胞)を培養する。CMVプロモーターにより駆動されるβKlotho発現カセットを含有するプラスミドおよび血清反応要素(SRE)により駆動されるリスフェラーゼ発現カセットを含有するプラスミドを用いて細胞を共トランスフェクトする。βKlotho発現プラスミドもまた、アミノグリコシド系抗生物質G418に対する耐性を与えるためにSV40プロモーターにより駆動されるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ発現カセットを含有する。トランスフェクトプラスミドがゲノム内に組み込まれている細胞を選択するために600μg/mLのG418を用いてトランスフェクトしたHEK−293細胞を選択する。希釈により選択した細胞をクローニングし、FGF21の添加の24時間後にルシフェラーゼ産物の増加について試験する。最大のFGF21に依存したルシフェラーゼの増加を示しているクローンを、関連するFGF21変異体活性を測定するために使用する細胞株として選択する。
【0048】
293−βKlotho−SRElucFGF21活性アッセイ:
293−βKlotho−SREluc細胞をリンスし、CD293懸濁培養培地(Invitrogen)内に入れる。37℃、6%CO
2、125rpmにて細胞を懸濁液中で一晩増殖させる。細胞を計数し、遠心分離によりペレット化し、0.1%BSAを含有するCD293培地中で再懸濁する。25,000個の細胞/ウェルにて細胞を白色96ウェルプレート内に入れる。CD293/0.1%BSA中での4倍連続希釈を、100nM〜0.006nMの最終濃度で8個の希釈物を生成するために各FGF21変異体について調製する。希釈物を3連で細胞に加え、37℃、5%CO
2にて16〜20時間インキュベートする。等体積のOneGlo(商標)ルシフェラーゼ基質(Promega)を添加し、相対蛍光を測定することによりルシフェラーゼレベルを決定する。曲線を適合するために4パラメータロジスティックモデル(XLfitバージョン5.1)を使用してデータを分析し、EC
50を決定する。
【0049】
ヒト293細胞−βKlotho−SRElucアッセイにおける配列番号1のFGF21変異体のインビトロ効力は0.25nMであった。配列番号1のFGF21変異体は、公知の配列番号11のFGF21変異体(国際公開第2006/028595に開示されている)と比較して有効なFGF21変異体である。ヒト293細胞−βKlotho−SRElucアッセイにおける配列番号11のFGF21変異体のインビトロ効力は22.39nMであった。
【0050】
実施例4
哺乳動物細胞における製造の間のチロシン硫酸化
ヒト野生型FGF21は、CHOK1SV細胞における哺乳動物タンパク質発現の間、179位におけるチロシン硫酸化に影響を受けやすい(データは示さず)。この硫酸化は不均質を生じることを導き、タンパク質の異なる形態(すなわち硫酸化を有するおよび有さない)が発生し得ることを意味する。生成物の同質性は生物製剤の所望の特性である。治療タンパク質の産生の間に起こる翻訳後修飾は望ましくない。なぜなら、修飾は活性または他の生物薬剤特性の相違を導き得るからである。
【0051】
FGF21変異体が硫酸化されるかどうかを評価するために、試料の1μLのアリコートを99μLの0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)と混合する。以下の条件を使用して、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)により試料を分析する:移動相Aは0.1%TFA/10%アセトニトリルであり、移動相Bはアセトニトリル中の0.1%TFAであり、カラムは2.1×12.5mmC8ガードを有する、C8カラム、3.5μm2.1×150mmであり、注入体積は試料濃度に応じて12〜20μLであり、約1μgのタンパク質が注入される。
【0052】
【表1】
【0053】
Waters Micromass LCT Premier(商標)質量分析計を、400〜1990amuの質量範囲、極性ES+、毛細管2000、試料錐体40Vに設定し、開口1は30Vであり、ソース温度は105℃であり、錐体ガス流は50L/時間であり、脱溶媒和温度は300℃であり、脱溶媒和ガス流は600L/時間である。
【0054】
【表2】
【0055】
表2から見られ得るように、予想される質量(硫酸化を有さない)は配列番号1のFGF21変異体について観測された質量とほぼ同じであり、硫酸化は配列番号1のFGF21変異体において検出されなかったことが示される。したがって、アミノ酸置換Y179Fは、配列番号1のFGF21変異体における179位において硫酸化が発生するのを防いだ。この結果は、治療タンパク質産物として、より許容可能である、より均質な産物を提供する。
【0056】
実施例5
P115Wは凝集を促進するのに対して、L98Dは物理的安定性および製剤中のベンジルアルコールとの適合性を増加させる
タンパク質自己会合および凝集の量を測定するために、分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法を使用して、高分子量凝集体のパーセント(%HMW)を測定する。タンパク質の初期ストック溶液をSECにより特徴付けて、HMWの開始レベルを決定する(表3)。
【0057】
【表3】
【0058】
4℃で2mg/mLの濃度にて一晩、(表4〜6に記載した)試料緩衝液内に(10,000ダルトンの分画分子量を有する透析カセットを使用して)透析することにより各タンパク質の試料を調製する。透析後、試料を滅菌濾過(0.22μm膜)し、280nmにおける吸光度により定量する。次に、試料を、10,000MWカットオフ遠心分離フィルタを使用して4℃で3000rpmにて、≧60mg/mLの標的濃度に濃縮する。試料を濃縮した後、タンパク質濃度を280nmにおける吸光度により定量し、SECアッセイを使用して%HMWを決定する。
【0059】
SEC法は30cm×0.78cmの寸法を有するTosoHaasモデルTSK−GEL(登録商標)G2000SW
XLカラムを利用する。移動相は、0.5mL/分の流速で0.1Mリン酸ナトリウム、pH7.4である。低濃度の試料を10μLの注入として適用し、214nmの吸光度波長にてモニターし、一方で、濃縮した試料を1μLの注入として適用し、280nmにてモニターする。
【0060】
表4はFGF21変異体の配列番号8および配列番号9の濃縮溶液中のタンパク質濃度および%HMWを報告している。単量体(非凝集形態)中に存在したままの各変異体のパーセンテージを表に記載しているが、100%−報告した%HMWに等しい。配列番号8のFGF21変異体および配列番号9のFGF21変異体は、115において効力を増強するトリプトファン残基を含有する配列番号8のFGF21変異体(P115W)および野生型プロリン残基を含有する配列番号9のFGF21変異体(P115P)を有するアミノ酸位置115のみが異なる。種々の製剤緩衝条件下で、配列番号8のFGF21変異体(P115W)についての%HMVは配列番号9のFGF21変異体と比較して著しく高く、凝集および自己会合を促進することに対する115位においてトリプトファンを有する原因となる効果を示している。同様に、115位においてトリプトファン残基を含有する配列番号10のFGF21変異体は、115位においてアミノ酸プロリンを含有する配列番号1のFGF21変異体と比較して実質的に高い%HMWを有する。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
物理的安定性および0.9%の保存剤レベル濃度におけるベンジルアルコールとの適合性を、SECアッセイにおいて%HMWとして測定し、0.02%Tween−80の存在または非存在下で、pH7.0にて150mMのNaClを有する緩衝液10mMヒスチジン中でモニターする。試料を30mg/mLにて調製し、4℃、25℃、および40℃にて4週間インキュベートする。新たに製剤化したFGF21変異体(すなわち時間ゼロ)および4週間インキュベートしたものを、SEC法により%HMWについて分析する。表6は、時間ゼロの試料(「初期」)および40℃にて4週間インキュベートしたものを比較している、分析の結果をまとめている。
【0064】
【表6】
【0065】
配列番号1のFGF21変異体はアミノ酸置換L98Dを含有する。配列番号9のFGF21変異体は、アミノ酸置換L98Dを含有せず、代わりに98位において野生型アミノ酸ロイシンを含有する。各タンパク質を製剤条件下で30mg/mLにて製剤化した場合にアミノ酸置換L98Dの利点を観測する(表6)。試験した全ての条件下で、40℃で4週間、FGF21変異体にストレスを加えた結果、配列番号1のFGF21変異体と比較して配列番号9のFGF21変異体について実質的に高い%HMWを生じる。さらに、多くの医薬製剤に使用される一般的な保存剤である0.9%ベンジルアルコールの添加は、配列番号9のFGF21変異体について%HMWの増加を悪化させるが、配列番号1のFGF21変異体については悪化させない。このベンジルアルコールとの不適合性はまた、開始試料調製物の分析にも観測され、0.9%ベンジルアルコールの存在下の%HMWは、ベンジルアルコールの非存在下の0.97%のみと比較して11%である。配列番号9のFGF21変異体も配列番号1のFGF21変異体のいずれもP115W残基を含有していないので、これらの条件下での不十分な物理的安定性はP115W残基に起因し得ない。アミノ酸置換L98Dがなされた後、0.9%ベンジルアルコールの存在下で高い物理的安定性が観測される。
【0066】
これらのデータは、特定の置換が、特にベンジルアルコールなどの特定の保存剤の存在下で高分子量種内の凝集に起因して全タンパク質の安定性に影響を与え得ることを示す。これらのHMW凝集体の最小化が治療タンパク質について好ましい。これは、配列番号1に示されるFGF21変異体におけるL98DなどのFGF21変異体タンパク質における特定の置換により達成され得る。P115Wなどの他の置換は、変異体における凝集のレベルを増加させることなどの有害作用を有し得る。
【0067】
実施例6
インビボでのタンパク質分解
オスのカニクイザル、n=2/群に、配列番号1のFGF21変異体の単回の2mg/kg注射を皮下投与する。活性化合物の量を定量化するために質量分析によりインビボタンパク質分解の24時間の評価の間、血清を経時的に得る(0.25〜12時間後に引き抜く)。
【0068】
液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS)解析を実施する。各血清試料の100μLアリコートを、磁性ビーズに共有結合する抗FGF21モノクローナル抗体で免疫沈降させる。免疫沈降した試料を別のアリコートに分け、インタクトなタンパク質および典型的に消化されるタンパク質の検出を可能にする。インタクトなタンパク質を、C5でコーティングした3μm粒子を含有するDiscovery(登録商標)Bioワイドポアカラム、100×0.32mmi.d.上に注入する。典型的に消化した試料を、C18でコーティングした3μm粒子を含有するDiscovery Bioワイドポアカラム、100×0.32mmi.d.上に注入する。全ての注入についてのクロマトグラフ条件は、移動相A(0.1/100、ギ酸:水)および移動相B(0.1/100、ギ酸:アセトニトリル)からなる2勾配を使用する。LCからの流出物は、陽イオンモードにおいて質量スペクトル検出用のMicromass Synapt(登録商標)Q−Tof質量分析計に直接接続される。Masslynx(v4.1)およびMaxEnt1デコンボリューションソフトウェアを使用してQ−Tof質量分析計からのデータを収集する。
【0069】
FGF21タンパク質の171位における切断はタンパク質の生物活性を100倍以上減少させることが見出されている。したがって、この部位においてタンパク質分解を減少させることにより、完全な活性薬物の曝露を増強させることが望ましい。上記のLC/MS法で分析する場合、配列番号1のFGF21変異体は、24時間の評価にわたってタンパク質分解産物が検出されなかったことを示す。これらのデータは、配列番号1のFGF21変異体におけるG170Eの置換が、G170Eのアミノ酸置換を含有しない、配列番号7のFGF21変異体と比較してオスのカニクイザルにおいて24時間にわたってインビボでのタンパク質分解を減少させることを実証する。
【0070】
実施例7
Ob/obマウスモデルにおけるグルコース低下
オスのob/ob(B6.V−Lep
ob/Lep
+/OlaHsd)マウスおよび年齢を一致させたob/m痩せた対照(B6.V−Lep
+/OlaHsd)は、到着時に7〜8週齢で、治療開始時に10〜11週齢である。到着時に全てのマウスをケージ当たり3匹で収容し、治療の開始前に3週間馴れさせる。マウスにPurina Rodent Chow5015を与え、水を自由に与える。マウスを70°Fに設定した周囲温度で12時間明/暗周期に収容する。治療の開始の前日に、マウスを2時間絶食させ、尾出血によりヘパリン化毛細管内に血液試料を採取する。Ascensia Contor血糖測定器を用いて血糖値を測定し、Meso Scaleマウス/ラットインスリンアッセイキット(Meso Scale Discovery、Gaithersburg、MD)を使用して血漿インスリンレベルを定量する。治療の開始日(0日)に、前日の体重、血糖、および血漿インスリンに基づいてマウスを分類する。無菌食塩水(0.9%NaCl)を用いてFGF21変異体を希釈し、ミニ浸透圧Alzetポンプにより皮下投与する。5日目に、明サイクルの開始後約2時間で、供給した血糖および血漿インスリンレベルを測定する。5日目に全てのマウスを一晩絶食させ、6日目に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施する。グルコース(2g/kg)の経口投与前に尾を切断することによりヘパリン化した毛細管内にマウスを出血させる。経口グルコース投与後、30、60および120分にさらに血液試料を採取する。Cayman Chemicals製のグルコースアッセイキットを用いて血漿グルコースを測定する。4パラメータロジスティック回帰モデルフィットを6日目に、正規化したグルコースAUC値で実施する。
【0071】
5日目、ビヒクル処置したマウスは、240.4±15.0mg/dlにて測定した平均血糖値(平均±SEM)を有して高血糖であったのに対して、ob/m痩せた対照マウスは、150.6±6.0mg/dl(平均±SEM)の血糖値を有した。配列番号1のFGF21変異体および配列番号11のFGF21変異体の両方は、ob/m痩せた対照に匹敵するレベルまで用量依存的に血糖を低下させた。配列番号1のFGF21変異体のED
50は0.7μg/kg/hrであったのに対して、配列番号11のFGF21変異体のED
50は3.1μg/kg/hrであった。配列番号1のFGF21変異体は、配列番号11のFGF21変異体よりob/obマウスにおいて低い血糖で約4.4倍効果があった。したがって、配列番号1のFGF21変異体は、公知の配列番号11のFGF21変異体と比較して有効なFGF21変異体である(国際公開第2006/028595号に開示されている)。
【0072】
配列
配列番号1−FGF21変異体
HPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTECHLEIREDGTVGCAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFREDLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGDKSPHRKPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLRLVEPSQLLSPSFLG
配列番号2−野生型FGF21(ホモサピエンス)
HPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGNKSPHRDPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGPSQGRSPSYAS
配列番号3−ヒトトランスフェリン(hTrf)シグナルペプチド
MRLAVGALLVCAVLGLCLA
配列番号4−ヒト線維芽細胞増殖因子結合タンパク質−1(hFGFP−1)シグナルペプチド
MKICSLTLLSFLLLAAQVLLVEG
配列番号5−ウシリゾチームシグナルペプチド
MKALVILGFLFLSVAVQG
配列番号6−マウス軽鎖(mカッパ)シグナルペプチド
METDTLLLWVLLLWVPGSTG
配列番号7−FGF21変異体
HPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTECHLEIREDGTVGCAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFREDLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGDKSPHRKPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLRLVGPSQLLSPSFLG
配列番号8−FGF21変異体
HPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTECHLEIREDGTVGCAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLWLHLPGDKSPHRKPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPYSLVEPSQLLSPSFLG
配列番号9−FGF21変異体
HPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTECHLEIREDGTVGCAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGDKSPHRKPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPYSLVEPSQLLSPSFLG
配列番号10−FGF21変異体
HPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTECHLEIREDGTVGCAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLWLHLPGDKSPHRKPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLRLVEPSQLLSPSFLG
配列番号11−FGF21変異体
DSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHCPGNKSPHRDPAPRGPCRFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLAMVGPSQGRSPSYAS
配列番号12−(DNA)FGF21変異体
CACCCTATCCCTGACTCCAGCCCTCTGCTGCAGTTTGGCGGACAGGTCCGGCAGCGGTACCTGTACACCGACGACGCCCAGCAGACCGAGTGCCACCTGGAAATCCGGGAGGACGGCACCGTGGGCTGTGCCGCCGACCAGTCCCCTGAGTCCCTGCTGCAGCTGAAGGCCCTGAAGCCTGGCGTGATCCAGATCCTGGGCGTGAAAACCTCCCGGTTCCTGTGCCAGAGGCCTGATGGCGCCCTGTACGGCTCCCTGCACTTCGACCCTGAGGCCTGCTCCTTCCGGGAGGACCTGCTGGAAGATGGCTACAACGTGTACCAGTCCGAGGCTCACGGCCTGCCTCTGCATCTGCCTGGCGACAAGTCCCCCCACCGGAAGCCTGCTCCTAGGGGCCCTGCCAGATTCCTGCCACTGCCTGGCCTGCCTCCAGCTCTGCCTGAGCCTCCTGGCATCCTGGCCCCTCAGCCTCCAGACGTGGGCTCCTCCGACCCTCTGCGGCTGGTCGAGCCTTCCCAGCTGCTGAGCCCTAGCTTCCTGGGC
配列番号13−FGF21変異体−コンセンサス
HPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTECHLEIREDGTVGCAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFREX
1LLEDGYNVYQSEAHGLX
2LHLPGDKSPHRKPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPX
3X
4LVX
5PSQLLSPSFLG
X
1はLまたはDであり、
X
2はPまたはWであり、
X
3はLまたはYであり、
X
4はSまたはRであり、
X
5はGまたはEである。