特許第6060168号(P6060168)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6060168レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤からなる前眼部疾患治療剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060168
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤からなる前眼部疾患治療剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4704 20060101AFI20161226BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20161226BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   A61K31/4704
   A61K31/728
   A61P27/02
【請求項の数】13
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-538080(P2014-538080)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2014-532641(P2014-532641A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】JP2012078769
(87)【国際公開番号】WO2013065866
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2015年10月8日
(31)【優先権主張番号】特願2011-240177(P2011-240177)
(32)【優先日】2011年11月1日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(72)【発明者】
【氏名】竹治 康広
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 英雄
(72)【発明者】
【氏名】浦島 博樹
(72)【発明者】
【氏名】篠原 久司
(72)【発明者】
【氏名】平田 雄樹
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−301866(JP,A)
【文献】 特開昭60−084225(JP,A)
【文献】 特開平01−238530(JP,A)
【文献】 特表2011−524854(JP,A)
【文献】 特表2010−512363(JP,A)
【文献】 特表2008−519759(JP,A)
【文献】 Investigative Ophthalmology & Visual Science,2011年 4月,Vol.52,3825,ARVO Annual Meeting Abstract
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00− 9/72
A61K 31/00−31/80
A61K 33/00−33/44
A61K 47/00−47/48
A61P 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバミピド又はその塩と、ヒアルロン酸又はその塩との組み合わせを含有する前眼部疾患治療剤。
【請求項2】
レバミピド又はその塩と、ヒアルロン酸又はその塩との組み合わせを含有し、各成分がお互いにその作用を補完および/または増強することを特徴とする前眼部疾患治療剤。
【請求項3】
ヒアルロン酸又はその塩と併用することを特徴とする、レバミピド又はその塩を含有する前眼部疾患治療剤。
【請求項4】
前眼部疾患が角膜疾患または結膜疾患である請求項1からのいずれかに記載の前眼部疾患治療剤。
【請求項5】
前眼部疾患がドライアイである請求項1からのいずれかに記載の前眼部疾患治療剤。
【請求項6】
レバミピド又はその塩と、ヒアルロン酸またはその塩を含有する点眼液。
【請求項7】
更に亜鉛化合物を含む請求項の点眼液。
【請求項8】
亜鉛化合物が塩化亜鉛および/または硫酸亜鉛である請求項の点眼液。
【請求項9】
更に溶解補助剤、アミノ糖、および緩衝剤を含有する請求項からのいずれかに記載の点眼液。
【請求項10】
更に等張化剤を含有する請求項からのいずれかに記載の点眼液。
【請求項11】
pHが7〜9の範囲にある請求項から10のいずれかに記載の点眼液。
【請求項12】
亜鉛化合物の濃度が亜鉛に換算して、0.000001%(w/v)〜0.0001%(w/v)である請求項10または11に記載の点眼液。
【請求項13】
レバミピドとヒアルロン酸またはその塩の濃度がそれぞれ1〜3%(w/v)および0.1〜0.3%(w/v)である請求項から12のいずれかに記載の点眼液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせを含有する前眼部疾患治療剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドライアイを初めとした角膜、結膜疾患などの前眼部疾患では角膜表面または結膜表面に種々の要因により傷が生じる。特にドライアイでは涙液の減少や蒸発などの要因により眼が乾燥した状態(いわゆるドライアイ)となり傷が生じ、放置すれば角膜潰瘍や失明に至る危険性のある眼疾患であり、様々な治療方法が臨床で用いられている。ドライアイによる傷を治癒する方法としては、薬物療法、涙点プラグ、手術の3つが挙げられる。薬物療法には、ヒアルロン酸ナトリウムに代表される涙液保持作用を有する薬剤、ジクアホソルナトリウムに代表される結膜ムチン増加作用を有する薬剤および涙液成分と類似した成分を含む人工涙液が用いられている。
【0003】
最近、新たな作用機序に基づく薬物として角膜上皮細胞、結膜杯細胞からのムチン分泌促進作用、杯細胞増殖促進作用を有する薬剤であるレバミピド(化学名:2−(4−クロロベンゾイルアミノ)−3−[2(1H)−キノリノン−4−イル]プロピオン酸)が開発された。レバミピドは角膜上皮細胞および結膜杯細胞よりムチンの産生を促進することで涙液を安定化すること、および角膜上皮障害改善作用を有することから角膜および結膜表面の傷を治癒し、ドライアイの自覚症状を改善する(特許文献1)。
【0004】
ヒアルロン酸ナトリウムは涙液保持作用、角膜の傷を改善する作用を有することで商品名ヒアレイン0.1%、0.3%として市販されている(販売:参天製薬株式会社)。
【0005】
人工涙液は涙液成分と類似した成分等を含むことで眼の乾燥、異物感などの軽減を目的として多くの製剤が市販されている。
【0006】
レバミピド又はその塩と涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせとしてドライアイを初めとした前眼部疾患を治療した報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO1997/013515
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように新規な作用機序を有するレバミピド又はその塩と涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせによる前眼部疾患治療剤としての有用性を見出すことは、非常に興味ある課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせによるドライアイを初めとした前眼部疾患治療剤としての開発の可能性を鋭意研究した結果、これらを組み合わせると角結膜表面での涙液保持作用および角膜上皮障害改善作用が増強されることを見出し、本発明を完成させた。詳細な試験方法および、その結果は後述の薬理試験の項で説明するが、レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤とを組み合わせることによって、顕著な角結膜表面の涙液保持作用および角膜上皮障害改善作用の増強が示された。また、本発明による前眼部疾患治療剤はドライアイの治療だけでなくドライアイの予防、ドライアイではないものの角膜または結膜に傷のある疾患にも好適に用いることができる。
【0010】
本発明は下記の各種の態様の発明を提供するものである。
[1]レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせを含有する前眼部疾患治療剤。
【0011】
[2]レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせを含有し、各成分がお互いにその作用を補完および/または増強することを特徴とする前眼部疾患治療剤。
【0012】
[3]レバミピド又はその塩と涙液保持作用を有する薬剤との組み合わせを含有する[1]または[2]に記載の前眼部疾患治療剤。
【0013】
[4]涙液保持作用を有する薬剤と併用することを特徴とする、レバミピド又はその塩を含有する前眼部疾患治療剤。
【0014】
[5]涙液保持作用を有する薬剤がヒアルロン酸またはその塩、またはコンドロイチン硫酸またはその塩である[3]または[4]に記載の前眼部疾患治療剤。
【0015】
[6]前眼部疾患が角膜疾患または結膜疾患である[1]から[5]のいずれかに記載の前眼部疾患治療剤。
[7]前眼部疾患がドライアイである[1]から[5]のいずれかに記載の前眼部疾患治療剤。
【0016】
[8]レバミピド又はその塩、およびヒアルロン酸またはその塩を含有する点眼液。
【0017】
[9]更に亜鉛化合物を含む[8]の点眼液。
[10]亜鉛化合物が塩化亜鉛および/または硫酸亜鉛である[9]の点眼液。
【0018】
[11]更に溶解補助剤、アミノ糖、および緩衝剤を含有する[8]〜[10]のいずれかに記載の点眼液。
[12]更に等張化剤を含有する[8]〜[11]のいずれかに記載の点眼液。
【0019】
[13]pHが7〜9の範囲にある[8]〜[12]のいずれかに記載の点眼液。
【0020】
[14]亜鉛化合物の濃度が亜鉛に換算して、0.000001%(w/v)〜0.0001%(w/v)である[12]または[13]に記載の点眼液。
【0021】
[15]レバミピドとヒアルロン酸またはその塩の濃度がそれぞれ1〜3%(w/v)および0.1〜0.3%(w/v)である[8]〜[14]のいずれかに記載の点眼液。
【0022】
[16]レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液とを組み合わせて患者に投与することを特徴とする前眼部疾患の治療方法。
【0023】
[17]前眼部疾患の治療に使用するためのレバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせ。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】グラフは薬理試験1における各被験化合物溶液の涙液貯留量を示す。
図2】グラフは薬理試験1における各被験化合物溶液の角膜上皮障害(スコアー)を示す。
図3】グラフは薬理試験2における各被験化合物溶液の涙液貯留量を示す。
図4】グラフは薬理試験2における各被験化合物溶液の角膜上皮障害(スコアー)を示す。
図5】グラフは薬理試験3における各被験化合物溶液の涙液貯留量を示す。
図6】グラフは薬理試験3における各被験化合物溶液の角膜上皮障害(スコアー)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせによるドライアイを初めとした前眼部疾患治療剤であり、各成分がお互いにその作用を補完および/または増強するものである。
【0026】
前眼部疾患の治療に関しては、レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液を1つの製剤に配合した形で投与、即ち合剤にして投与してもよく、これらを別々の製剤にして投与、即ち併用投与の形態をとってもよい。
上記レバミピドの塩としては、生理的または薬学的に許容される塩が使用できる。例えば、一般的な塩基である、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トロメタモール(トリス[ヒドロキシメチル]アミノメタン)、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、メグルミン等と共に形成した塩が挙げられる。
【0027】
涙液保持作用を有する薬剤は塩の形態をとっていてもよく、塩の例としてナトリウム、カリウム等の無機酸との塩等が挙げられるが、特にナトリウム塩が好ましい。
【0028】
本発明は、レバミピドまたはその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせで前眼部疾患を治療するところに特徴があるもので、涙液保持作用を有する薬剤は涙液保持作用または涙液補充作用を有し、前眼部疾患治療に有用なものであればよく、特に制限されるものではない。涙液保持作用を有する薬剤としては、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられ、特に既に涙液保持作用薬として上市されているヒアルロン酸ナトリウムが好適に用いられる。無論、これらの涙液保持作用薬は塩またはエステルの形態をとっていてもいなくてもよい。
人工涙液は涙液成分と類似した成分等を含み、多くの製剤が市販されており、これらを用いることができる。
【0029】
本発明を実施するための製剤としては、レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液とを配合した製剤でもよく、それぞれの成分を別々にした製剤でもよい。これらの製剤の調製には特別な技術は必要ではなく、汎用されている技術を用いて製剤を調製すればよい。投与方法としては眼局所投与が好ましく、その剤型としては点眼液、眼軟膏等が挙げられる。
【0030】
レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液とを別々にした製剤を調製する場合は、公知の方法に準じて調製することができる。例えば、レバミピドの製剤としてはWO2009/154304、WO2008/050896およびWO2006/052018に開示されている製剤や市販の製剤を用いることができる。涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液の製剤は、上記公開特許公報の記載を参考にして調剤することができ、特に既に前眼部疾患治療薬として上市されている商品名:ヒアレイン(参天製薬)、商品名:コンドロン(科研製薬株式会社)、商品名:ティアバランス(千寿製薬)等については市販の製剤を用いることができる。
【0031】
レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液とを配合した製剤を調製する場合も、公知の方法に準じて調製することができる。点眼液の場合は、塩化亜鉛、硫酸亜鉛等の亜鉛化合物、ポリビニルピロリドン等の溶解補助剤、メグルミン等のアミノ酸、塩化ナトリウム、濃グリセリン等の等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸等の緩衝剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の界面活性剤、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム等の安定化剤、ポリビニルアルコールなどの懸濁化剤、塩酸、水酸化ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ベンザルコニウム、パラベン、亜鉛等の防腐剤等を必要に応じて用い調製することができる。pHは眼科製剤に許容される範囲内にあればよいが、4〜9の範囲が好ましく、より好ましくは7〜9の範囲である。本発明が亜鉛化合物を含有する点眼剤で調製される場合、亜鉛化合物の濃度は亜鉛に換算して、0.000001%(W/V)〜0.0001%(W/V)、好ましくは0.000003%(w/v)〜0.0001%(w/v)である。参考までにその製剤例の一部を後述の実施例の項に記載するが、その製剤例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0032】
レバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液の投与量は、患者の症状、年齢、剤型、投与経路等に応じて決められる。例えば点眼投与の場合、レバミピドの投与量は通常1日の点眼量が片眼あたり0.2〜8mgの範囲で、1日1回または数回に分けて投与されるが、好ましいのは1日4〜6回である。また、涙液保持作用を有する薬剤の投与量は薬物の種類によって異なるが、実際に治療に用いられている範囲の用量を基準として定められ、症状等によって適宜増減される。その1日の点眼量は片眼あたり20〜2000μgの範囲で、1回または数回に分けて投与される。より具体的に言えばヒアルロン酸ナトリウムの場合には、1日量として100〜1500μgが通常使用されているが、症状等によってその用量は適宜増減される。他の涙液保持作用を有する薬剤についても同様な基準に基づいて定めればよい。これらの点眼量はレバミピド又はその塩と、涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液とを併用投与するときに適用されるが、レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液とを1つの製剤に配合した形態で投与する場合には、1日の点眼量が上記の各成分の量またはそれ以下になるように、配合割合を適宜選択した製剤を調製し、その配合製剤を1日1回または数回に分けて点眼される。
【0033】
本発明がレバミピドとヒアルロン酸またはその塩を含有する点眼剤で調製される場合、レバミピドとヒアルロン酸またはその塩の濃度はそれぞれ、1〜3%(w/v)および0.05〜0.4%(w/v)、好ましくは1.5〜2.5%(w/v)および0.1〜0.3%(w/v)である。
【実施例】
【0034】
以下に実施例として製剤例および薬理試験を示すが、これらの例は本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
本発明におけるレバミピド又はその塩と涙液保持作用を有する薬剤とを配合する点眼剤の一般的な製剤例を以下に示す。
【0035】
製剤例1
ヒアルロン酸ナトリウム(0.1g)、ポリビニルアルコール(1g)、塩化ナトリウム(0.8g)及びクエン酸ナトリウム(0.2g)に精製水を適量加えて溶かし、レバミピド(2g)を加え、精製水を適量加えて全体量を100mLとした懸濁液を製造した。
【0036】
製剤例2
レバミピド(20g)、ポリビニルピロリドン(30g)、メグルミン(42g)、ホウ酸(10g)、塩化亜鉛(0.00104g)、ヒアルロン酸ナトリウム(1g)及びグリセリン(12g)に精製水を適量加えて溶かし、更に精製水を加えて1000mLとした溶液を製造した。
【0037】
製剤例3
レバミピド(20g)、ポリビニルピロリドン(30g)、メグルミン(42g)、ホウ酸(10g)、塩化亜鉛(0.001456g)、ヒアルロン酸ナトリウム(1g)及びグリセリン(12g)に精製水を適量加えて溶かし、更に精製水を加えて1000mLとした溶液を製造した。
【0038】
製剤例4
レバミピド(20g)、ポリビニルピロリドン(30g)、メグルミン(42g)、ホウ酸(10g)、塩化亜鉛(0.00208g)、ヒアルロン酸ナトリウム(1g)及びグリセリン(12g)に精製水を適量加えて溶かし、更に精製水を加えて1000mLとした溶液を製造した。
【0039】
製剤例5
レバミピド(20g)、ポリビニルピロリドン(30g)、メグルミン(42g)、ホウ酸(10g)、塩化亜鉛(0.00208g)及びヒアルロン酸ナトリウム(1g)に精製水を適量加えて溶かし、更に精製水を加えて1000mLとした溶液を製造した。
【0040】
日本薬局方及び米国薬局方による保存効力試験を、製剤例1、3および4を用いて実施し、結果はすべて適合した。
【0041】
薬理試験1
レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせによる効果を調べるため、マウスドライアイモデルにレバミピドとヒアルロン酸ナトリウムを併用投与し角結膜表面の涙液貯留量の測定と角膜上皮障害の評価を行った。
【0042】
(被験化合物溶液)
レバミピド投与には、レバミピド点眼液2%(2%レバミピドを含む点眼液)を使用した。ヒアルロン酸ナトリウム投与には、ヒアレインミニ点眼液0.1%(0.1%ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼液)を使用した。
【0043】
(対照モデル群)
無処置の正常群(非ドライアイ群)は1群設定した。
【0044】
(ドライアイモデル群)
ドライアイモデルには、非点眼群、レバミピド投与群、ヒアルロン酸ナトリウム投与群およびレバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム併用投与群の4つの群を設定した。
【0045】
(マウスドライアイモデルの作製)
マウスドライアイモデルは、C57BLマウスにスコポラミン(副交感神経遮断薬)生理食塩液水溶液を0.5mg/0.1mL/個体、4回/日、連日皮下投与を行い作製した。
【0046】
(投与方法)
2%レバミピド投与群(4回/日)、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム投与群(6回/日)、2%レバミピド(4回/日)+0.1%ヒアルロン酸ナトリウム(6回/日)併用投与群のマウスに、各薬物点眼剤を片眼に対して2μL連日点眼投与した。併用投与は2%レバミピドの点眼から5分以上の点眼間隔を空けて0.1%ヒアルロン酸ナトリウムを点眼した。
【0047】
(涙液貯留量の測定方法)
涙液保持作用の指標として、綿糸法(phenol red thread test)を用いて涙液貯留量を測定した。即ち、被験化合物溶液投与6日目にマウスの耳側結膜に綿糸を留置し、点眼10分後の涙液量を30秒間計測した。
綿糸が涙液で変色した長さを測定して、涙液貯留量(mm)とした。
【0048】
(角膜上皮障害の評価方法)
角膜上皮障害を、ブルーフィルター照明下フルオレセインナトリウムを用いて評価した。即ち、被験化合物溶液投与6日目にマウスの眼に1%フルオレセインナトリウム1μL点眼後、生理食塩液で洗浄し、角膜の染色性をスコアー評価(スコアー:0〜9)した。
【0049】
(結果)
結果を図1及び図2に示す。
【0050】
(考察)
図1に示したとおり、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム併用投与群は、レバミピド投与群およびヒアルロン酸ナトリウム投与群に比べて有意に涙液貯留量が多かった。また、図2に示したとおり、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム併用投与群は非投与群に比べて有意に角膜上皮障害を改善させた。これらの結果から、レバミピドとヒアルロン酸ナトリウムの組み合わせにより、より優れた涙液保持作用および顕著な角膜上皮障害改善作用が得られることが示された。
【0051】
薬理試験2
上記薬理試験1と同様に、レバミピドとヒアルロン酸ナトリウムの合剤を投与し、角結膜表面の涙液著流量の測定し、角膜上皮障害を評価した。
【0052】
(被験化合物溶液)
レバミピド投与には、レバミピド点眼液2%(2%レバミピドを含む点眼液)を使用した。ヒアルロン酸ナトリウム投与には、ヒアレインミニ点眼液0.1%(0.1%ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼液)を使用した。合剤投与群には、上記製剤例4にて製造した合剤を使用した。
【0053】
(対照モデル群)
無処置の正常群(非ドライアイ群)は1群設定した。
【0054】
(ドライアイモデル群)
ドライアイモデルには、非点眼群、レバミピド投与群、ヒアルロン酸ナトリウム投与群およびレバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム合剤(製剤例4)投与群の4つの群を設定した。
【0055】
(マウスドライアイモデルの作製)
C57BLマウスにスコポラミン(副交感神経遮断薬)生理食塩液水溶液を0.5mg/0.1mL/個体、4回/日、連日皮下投与を行い作製した。
【0056】
(投与方法)
2%レバミピド投与群(4回/日)、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム投与群(6回/日)、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム合剤投与群(4回/日)のマウスに、各薬物点眼剤を片眼に対して2μL連日点眼投与した。
【0057】
(涙液貯留量の測定方法)
涙液保持作用の指標として、綿糸法(phenol red thread test)を用いて涙液貯留量を測定した。即ち、被験化合物溶液投与6日目にマウスの耳側結膜に綿糸を留置し、点眼10分後の涙液量を30秒間計測した。
綿糸が涙液で変色した長さを測定して、涙液貯留量(mm)とした。
【0058】
(角膜上皮障害の評価方法)
角膜上皮障害を、ブルーフィルター照明下フルオレセインナトリウムを用いて評価した。即ち、被験化合物溶液投与6日目にマウスの眼に1%フルオレセインナトリウム1μL点眼後、生理食塩液で洗浄し、角膜の染色性をスコアー評価(スコアー:0〜9)した。
【0059】
(結果)
結果を図3および図4に示す。
【0060】
(考察)
図3に示したとおり、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム合剤投与群は非点眼群に比べて有意に涙液貯留量が多かった。また、図4に示したとおり、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム合剤投与群は非点眼群に比べて有意に角膜上皮障害を改善させた。これらの結果から、レバミピドとヒアルロン酸ナトリウムを組み合わせにより、より優れた涙液保持作用および顕著な角膜上皮障害改善作用が得られることが示された。
【0061】
薬理試験3
レバミピドと涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせの有用性を調べるため、ラット涙液減少モデルにレバミピドとヒアルロン酸ナトリウムを併用投与し、涙液貯留量を測定し、角膜上皮障害を評価した。試験は単回投与試験と連続投与試験を実施した。
【0062】
(被験化合物溶液)
レバミピド投与には、レバミピド点眼液2%(2%レバミピドを含む点眼液)を使用した。ヒアルロン酸ナトリウム投与には、ヒアレインミニ点眼液0.1%(0.1%ヒアルロン酸ナトリウムを含む点眼液)を使用した。
【0063】
(対照モデル群)
無処置の正常群(非涙液減少群)を1群設定した。
【0064】
(ラット涙液減少モデル群)
ラット涙液減少モデルは非点眼群、レバミピド投与群、ヒアルロン酸ナトリウム投与群およびレバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム併用投与群の4群を設定した。
【0065】
(ラット涙液減少モデルの作製)
生後4日齢のWister/STラットにカプサイシンを投与(50mg/kg)し、4週間経過後のラットをラット涙液減少モデルとして使用した。
【0066】
(投与方法)
単回投与試験では、2%レバミピド投与群、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム投与群、および2%レバミピド+0.1%ヒアルロン酸ナトリウム投与群のラットに各薬物点眼剤を片眼に対して5μL点眼した。併用投与群では2%レバミピドを点眼して5分後に0.1%ヒアルロン酸ナトリウムを点眼した。
連続投与試験では、2%レバミピド投与群(4回/日)、0.1%ヒアルロン酸ナトリウム投与群(6回/日)、および2%レバミピド(4回/日)+0.1%ヒアルロン酸ナトリウム(6回/日)併用投与群のラットに、各薬物点眼剤を片眼に対して5μL点眼した。併用投与群は2%レバミピド点眼から5分以上間隔を空けて0.1%ヒアルロン酸ナトリウムを点眼した。
【0067】
(涙液貯留量の測定方法)
涙液保持作用の指標として、シルマー試験法を用いて涙液量を測定した。ラットの下側結膜にシルマー試験紙(1.5mm幅)を留置し、涙液量を1分間計測した。
【0068】
(角膜上皮障害の評価方法)
角膜上皮障害を、ブルーフィルター照明下フルオレセインナトリウムを用いて評価した。即ち、被験化合物溶液連続投与10日目にラットの眼に1%フルオレセインナトリウム1μL点眼後、生理食塩液で洗浄し、角膜の染色性をスコアー評価(スコアー:0〜9)した。
【0069】
(結果)
結果を図5および図6に示す。
【0070】
(考察)
図5に示したとおり、単回投与試験に関して、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム併用投与群とヒアルロン酸ナトリウム投与群は、非点眼群に比べて有意に涙液貯留量が多かった。また、連続投与試験に関して、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム併用投与群とヒアルロン酸ナトリウム投与群及びレバミピド投与群は、非点眼群に比べて有意に涙液貯留量が多かった。更に、図6に示したとおり、レバミピド+ヒアルロン酸ナトリウム併用投与群は、非点眼群に比べて有意に角膜上皮障害を改善させた。これらの結果から、レバミピドとヒアルロン酸ナトリウムの組み合わせにより、即効性の涙液保持作用および顕著な角膜上皮障害改善作用が得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0071】
レバミピドとヒアルロン酸ナトリウムに代表される涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせで投与することにより、優れた涙液保持作用および顕著な角膜上皮障害改善作用が得られた。よって、本発明のレバミピドとヒアルロン酸ナトリウムに代表される涙液保持作用を有する薬剤または人工涙液との組み合わせは、ドライアイを初めとした前眼部疾患治療剤として有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6