【文献】
RIVAS, Fabiola V. et al.,"Purified Argonaute2 and an siRNA form recombinant human RISC",Nat. Struct. Mol. Biol.,2005年,Vol. 12,P. 340-349
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記疎水性物質はステロイド誘導体、グリセリド誘導体、グリセロールエーテル、ポリプロピレングリコール、12〜50個の炭素数を含む不飽和または飽和炭化水素、ジアシルホスファチジルコリン、脂肪酸、リン脂質及びリポポリアミンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の二本鎖オリゴRNA構造体。
前記ステロイド誘導体は、コレステロール、コレスタノール、コール酸、コレステリルホルメート、コレスタニルホルメートおよびコレスタニルアミンからなる群より選択されることを特徴とする請求項5に記載の二本鎖オリゴRNA構造体。
前記親水性物質はポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びポリオキサゾリンからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の二本鎖オリゴRNA構造体。
前記サバイビンのmRNA配列に特異的に結合する二本鎖オリゴRNAのセンス鎖は5’‐AAG GAG AUC AAC AUU UUC A‐3’(配列番号1)の配列を有することを特徴とする請求項12に記載の二本鎖オリゴRNA構造体。
【背景技術】
【0004】
RNA干渉(RNA interference、以下、「RNAi」とする)は、その機能が発見されてから各種の哺乳動物細胞(mammalian cell)から配列特異的にmRNAに作用するという事実が明らかになった(Silence of the transcripts; RNA interference in medicine. J. Mol. Med., 2005, 83; 764-773)。
【0005】
長鎖のRNA二本鎖が細胞に伝達されると、伝達されたRNA二本鎖は、Dicerというエンドヌクレアーゼ(endonuclease)によって21〜23塩基対(base pair、bp)からなる低分子干渉RNA(small interfering RNA、以下、「siRNA」とする)に変換される。siRNAは、19〜27塩基の低分子二本鎖RNAであって、RISC(RNA-induced silencing complex)に結合してガイド(アンチセンス)鎖が標的mRNAを認識して分解する過程により、標的遺伝子の発現を配列特異的に阻害する(Nucleic-acid therapeutics; basic principles and recent applications. Nature Reviews Drug Discovery. 2002.1, 503-514)。
【0006】
外部から伝達された長鎖のRNA二本鎖は、哺乳動物細胞でインターフェロン(interferon)発現により非配列特異的な免疫反応を誘発する問題があるが、これは、短鎖のsiRNAにより解消することができるという事実が明らかになった(Duplexes of 21-nucleotide RNAs mediate RNA interference in cultured mammalian cells. Nature. 2001. 411, 494-498)。
【0007】
化学的に合成されたsiRNAは、大体、約19〜27塩基対の二本鎖であり、3’末端部位において2‐nt(nucleotide)オーバーハング(overhang)構造からなっており、siRNA二本鎖が活性を示すための3’水酸基(OH、hydroxyl group)と5’リン酸基(PO
4、phosphate group)からなる構造が知られている(Effect of asymmetric terminal structures of short RNA duplexes on the RNA interference activity and strand selection. Nucleic Acids Res 1 October 2008; 5812-5821; Strand-specific 5’-O-methylation of siRNA duplexes controls guide strand selection and targeting specificity. RNA 1 February 2008; 263-274)。
【0008】
商用化した合成siRNAは、両末端に水酸基を有する構造であり、合成siRNAが細胞内に伝達されると、リン酸化酵素によってsiRNA5’末端がリン酸化して、siRNAの機能を示すと知られている(siRNA function in RNAi; A chemical modification analysis. RNA 2003. 9; 1034-1048)。
【0009】
バートランド(Bertrand)研究チームの研究によると、同じ標的遺伝子に対して、アンチセンスオリゴヌクレオチド(Antisense oligonucleotide、ASO)に比べてsiRNAの方が、生体内/外におけるmRNA発現の阻害効果に優れ、当該効果を長く保つ効果を奏することが明らかになった(Comparison of antisense oligonucleotides and siRNAs in cell culture and in vivo. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2002. 296; 1000-1004)。
【0010】
また、siRNAの作用メカニズムは、標的mRNAと相補的に結合して配列特異的に標的遺伝子の発現を調節するため、既存の抗体をベースとする医薬品や化学物質(小分子薬剤)に比べて適用可能な対象が著しく拡大されることができるという利点を有する(Progress Towards in vivo Use of siRNAs. MOLECULAR THERAPY. 2006 13(4); 664-670)。
【0011】
上述の優れた効果および様々な使用範囲を有するsiRNAが治療剤として開発されるためには、siRNAの安定性および細胞伝達効率を改善して、siRNAが標的細胞に効果的に伝達されるようにする必要がある(Harnessing in vivo siRNA delivery for drug discovery and therapeutic development. Drug Discov Today. 2006 Jan; 11(1-2);67-73)。
【0012】
また、siRNAが依然として非特異的な細胞免疫反応(innate immune stimulation)を有しており、これを解消するために2‐メトキシ、2フルオロ置換体が開発された。
【0013】
siRNAは、負電荷を帯びており、疎水性の細胞のリン脂質二重層を通過することができないため、単純拡散による細胞内伝達が困難である。
【0014】
生体内または生体外においてsiRNAの伝達効率を高めるために多種の細胞伝達物質が開発された。通常、リポソーム、カチオン系界面活性剤などが多く使用されており、リポソームに遺伝子を融合する方法やカチオンを有する脂質や高分子を用いた方法などの担体を用いた方法、またはsiRNAを化学的に修飾するか、接合体(conjugate)を利用する方法が知られている(Mechanisms and strategies for effective delivery of antisense and siRNA oligonucleotides. Nucleic Acids Res. 2008 Jul; 36(12);4158-71)。
【0015】
siRNAは、負電荷を帯びており、疎水性の細胞のリン脂質二重層を通過することができず、単純拡散による細胞内伝達が困難であるため、これを解消するために、siRNAの結合基本構造としてメチルホスホネート(methylphosphonate)やPNA(peptide nucleic acid)を使用することもある。リポソームに遺伝子を融合する方法やカチオンを有する脂質や高分子を用いた方法などの担体を用いた方法がある(Chemically modified siRNA; tools and applications. Drug Discov. Today. 2008 Oct; 13(19-20);842-855)。
【0016】
このうち、ナノ担体(nanocarrier)を用いる方法として、リポソーム、カチオン高分子複合体などの様々な高分子を使用する方法は、ナノ粒子の形成によりsiRNAをナノ担体(nanocarrier)に乗せて細胞にsiRNAを伝達するものである。ナノ担体を用いる方法のうち主に活用される方法は、高分子ナノ粒子(polymeric nanoparticle)、高分子ミセル(polymer micelle)、リポプレックス(lipoplex)を用いる方法などが挙げられるが、このうち、リポプレックスを用いた方法は、カチオン性脂質からなり、細胞のエンドソーム(endosome)のアニオン性脂質と相互作用して、エンドソームの脱安定化効果をもたらし、細胞内に伝達する機能を果たす(Mechanism of oligonucleotide release from cationic liposomes. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1996 Oct 15; 93(21);11493-8)。
【0017】
また、siRNAパッセンジャー(passenger;センス(sense))鎖の末端部位に化学物質などを連結して、増進した薬動態学(pharmacokinetics)的特徴を有するようにして、生体内で高い効率を誘導することができると知られている(Therapeutic silencing of an endogenous gene by systemic administration of modified siRNAs. Nature. 2004 Nov11; 432(7014);173-8)。この際、siRNAセンス(sense;パッセンジャー(passenger))またはアンチセンス(antisence;ガイド(guide))鎖の末端に結合した化学物質の性質に応じてsiRNAの安定性が異なる。例えば、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)のような高分子化合物が接合した形態のsiRNAは、カチオン性物質が存在する条件下でsiRNAのアニオン性リン酸基と相互作用を行い複合体を形成することで、改善したsiRNA安定性を有する担体となる(Local and systemic delivery of VEGF siRNA using polyelectrolyte complex micelles for effective treatment of cancer. J Control Release. 2008 Jul 14; 129(2);107-16)。特に、高分子複合体からなるミセル(micelle)は、薬物伝達の担体として使用される他のシステムである微小球体(microsphere)またはナノ粒子(nanoparticle)などに比べて、その大きさが極めて小さいながらも極めて一定に分布され、自発的に形成される構造を有することで、製剤の品質管理および再現性確保が容易であるという利点がある。
【0018】
近年、siRNAの細胞内伝達効率性を向上させるために、siRNAに生体適合性高分子である親水性物質(例えば、ポリエチレングリコール)を単純共有結合またはリンカー媒介共有結合で接合したsiRNA接合体により、siRNAの安定性確保および効率的な細胞膜透過性のための技術が開発された(韓国登録特許第883471号公報参照)。
【0019】
しかし、siRNAの化学的修飾およびポリエチレングリコールの接合(PEGylation)だけでは、生体内における安定性が低く、標的臓器への伝達がスムーズでないという欠点が依然として存在する。siRNAの化学的修飾の際に、RISCに結合して標的mRNAを認識するアンチセンス(ガイド)鎖の5’末端に修飾を加えないことがRNAiメカニズムの開始において非常に重要であり、センス(パッセンジャー)鎖は、既存の研究により両末端のすべてに接合体が結合した場合にもsiRNAの機能が確認されて、センス(パッセンジャー)鎖が接合体の結合に活用された(siRNA Conjugate Delivery Systems. Bioconjugate Chem., 2009, 20(1), pp 5-14)。
【0020】
二本鎖オリゴRNAに親水性および疎水性物質が結合した二本鎖オリゴRNA構造体は、疎水性物質の疎水性相互作用によって自己組織化ナノ粒子を形成し、前記の自己組織化ナノ粒子を「SAMiRNA」とする(韓国特開2009‐0042297号公報)。
【0021】
前記二本鎖オリゴRNAにおいて疎水性および親水性物質を核酸の末端に結合して自己組織化ナノ粒子(SAMiRNA)を形成する技術は、二本鎖オリゴRNAストランドバイアス(strand bias)、すなわち、親水性および疎水性物質が結合した位置に応じてRNAi機能が阻害されうる可能性がある。したがって、二本鎖オリゴRNA構造体の最適化により二本鎖オリゴRNAの機能が阻害されず、効率よく細胞膜を透過できる二本鎖オリゴRNA伝達技術の開発が必然的に求められる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明についてより詳細に説明する。
【0028】
本発明は、下記式(1)の構造を有する、化学物質が結合した二本鎖オリゴRNA構造体を提供する。
【化1】
(前記式(1)中、AとBのいずれか一つは親水性物質であり、他の一つは疎水性物質であり、XとYは、それぞれ独立して、単純共有結合またはリンカー媒介の共有結合であり、Sは、二本鎖オリゴRNAのセンス鎖であり、ASは、二本鎖オリゴRNAのアンチセンス鎖である。SとASは、互いに相補的結合により二本鎖構造をなし、前記相補的結合は、必ずしも完璧な相補的(perfect match)結合である必要はなく、一部の配列が相違する場合(mismatch)であってもよい。)
【0029】
また、本発明は、下記式(2)の構造を有する二本鎖オリゴRNA構造体を提供する。
【化2】
(前記式(2)中、AとBのいずれか一つは親水性物質であり、他の一つは疎水性物質であり、XとYは、それぞれ独立して、単純共有結合またはリンカー媒介の共有結合であり、Sは、二本鎖オリゴRNAのセンス鎖であり、pASは、RNAの5’末端部位にリン酸基が結合した二本鎖オリゴRNAのアンチセンス鎖である。この際、5’末端部位にリン酸基が一つから三つまで結合していてもよい。)
【0030】
本発明の二本鎖オリゴRNA構造体において、前記二本鎖オリゴRNA鎖は、19〜31個のヌクレオチドからなることが好ましい。本発明において使用可能な二本鎖オリゴRNAとしては、遺伝子治療用または研究用に使用されるか使用可能性のあるいかなる遺伝子に対する二本鎖オリゴRNAが採択されてもよい。
【0031】
前記二本鎖オリゴRNAは、生体内安定性を向上させるために、核酸分解酵素抵抗性を付与し、非特異的免疫反応を減少させるための様々な修飾がなされた形態を有してもよく、前記修飾は、一つ以上のヌクレオチド内の糖構造の2’炭素位置で‐OH基が‐CH
3(メチル)、‐OCH
3(メトキシ)、‐NH
2、‐F(フッ素)、‐O‐2‐メトキシエチル‐O‐プロピル、‐O‐2‐メチルチオエチル、‐O‐3‐アミノプロピル、‐O‐3‐ジメチルアミノプロピル、‐O‐N‐メチルアセトアミドまたは‐O‐ジメチルアミドオキシエチルへの置換による修飾、ヌクレオチド内の糖構造内の酸素が硫黄で置換された修飾、ヌクレオチド結合のホスホロチオエートまたはボラノリン酸、メチルホスホネート結合への修飾などにおいて一つまたは二つ以上組み合わされて使用されてもよく、PNA(peptide nucleic acid)、LNA(locked nucleic acid)またはUNA(unlocked nucleic acid)形態への修飾が使用されてもよい(Crookeなど、Ann.Rev.Med.Vol.55;pp61−65 2004、米国特許第5,660,985号、米国特許第5,958,691号、米国特許第6,531,584号、米国特許第5,808,023号、米国特許第6,326,358号、米国特許第6,175,001号、Braasch D.A.など、Bioorg.Med.Chem.Lett.14;1139-1143,2003;Chiu Y.L.など、RNA,9;1034−1048,2003;Amarzguioui M.など、Nucleic Acid Res.31;589-595、2003,Nucleic Acids Research,2010,Vol.38,No.175761−5773、Nucleic Acids Research,2011,Vol.39,No.51823‐1832参照)。
【0032】
前記疎水性物質は、疎水性相互作用を起こし、二本鎖オリゴRNA構造体からなるナノ粒子(SAMiRNA)を形成する機能を果たす。前記疎水性物質の中でも特に炭素鎖やコレステロールの場合、二本鎖オリゴRNA構造体の合成段階において優れた結合能を有しており、本発明の二本鎖オリゴRNA構造体の製造において非常に好適である。
【0033】
また、前記疎水性物質は、分子量が250〜1,000であることが好ましい。
【0034】
特に、前記疎水性物質としては、ステロイド誘導体、グリセリド誘導体、グリセロールエーテル、ポリプロピレングリコール、炭化水素鎖の場合、12〜50個の炭素数を含む不飽和または飽和炭化水素、ジアシルホスファチジルコリン、脂肪酸、リン脂質、リポポリアミンなどが使用されてもよく、これに制限されず、本発明の目的に適合するものであれば、いかなる疎水性物質を使用してもよい点は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者にとっては自明なことである。
【0035】
特に、前記ステロイド誘導体は、コレステロール、コレスタノール、コール酸、コレステリルホルメート、コレスタニルホルメートおよびコレスタニルアミンからなる群から選択されてもよく、前記グリセリド誘導体は、モノ‐、ジ‐およびトリ‐グリセリドなどから選択されてもよく、この際、グリセリドの脂肪酸は、C
12〜C
50の不飽和または飽和脂肪酸であることを特徴とする。
【0036】
また、前記親水性物質は、分子量が200〜10,000のカチオン性または非イオン性高分子物質であることが好ましく、より好ましくは1,000〜2,000の非イオン性高分子物質である。例えば、親水性高分子化合物としては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリンなどの非イオン性親水性高分子化合物を使用することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0037】
前記親水性物質は、必要に応じて、標的特異的リガンドのような他の物質との結合のために必要な官能基を有するように変更されてもよい。前記親水性物質の中でも特にポリエチレングリコールは、様々な分子量と官能基を導入することができ、生体内親和性が良好で、免疫反応を誘導しないなど、生体適合性(bio‐compatibility)に優れており、二本鎖オリゴRNAの生体内での安定性を増加させ、伝達効率を増加させる点から、本発明の二本鎖オリゴRNA構造体の製造において非常に好適である。
【0038】
また、前記共有結合を媒介するリンカーは、親水性物質(または疎水性物質)と二本鎖オリゴRNAの末端で共有結合し、必要に応じて、特定の環境で分解が可能な結合を提供する限り特に限定されるものではない。したがって、前記リンカーとしては、二本鎖オリゴRNA構造体の製造過程中にオリゴRNAおよび/または親水性物質(または疎水性物質)を活性化するために結合するいかなる化合物を使用してもよい。
【0039】
前記共有結合は、非分解性結合または分解性結合のいずれであってもよい。この際、非分解性結合としてはアミド結合またはリン酸化結合が挙げられ、分解性結合としてはジスルフィド結合、酸分解性結合、エステル結合、無水物結合、生分解性結合または酵素分解性結合などが挙げられ、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0040】
本発明は、下記式(3)のように二本鎖オリゴRNAのセンス鎖の5’末端に疎水性物質が結合し、3’末端に親水性物質が結合した形態の二本鎖オリゴRNA構造体を提供し、かかる二本鎖オリゴRNA構造体を製造する過程は、(1)親水性物質が結合した固形支持体をベースとし、RNA一本鎖を合成する段階と、(2)前記親水性物質が結合したRNA5’末端に疎水性物質を共有結合してRNA‐高分子構造体を製造する段階と、(3)固形支持体からRNA‐高分子構造体を分離する段階と、(4)前記RNA‐高分子構造体と相補的な配列のRNA一本鎖をアニーリングして二本鎖オリゴRNA構造体を形成する段階と、を含むことを特徴とする。
【化3】
(前記式(3)中、Aは、疎水性物質であり、Bは、親水性物質であり、XとYは、それぞれ独立して、単純共有結合またはリンカー媒介の共有結合であり、Sは、二本鎖オリゴRNAのセンス鎖であり、ASは、二本鎖オリゴRNAのアンチセンス鎖である。)
【0041】
より好ましい具体例は、(1’)固形支持体(solid support)、好ましくは、CPGをベースとし、親水性物質を結合する段階と、(2’)前記親水性物質が結合した固形支持体(CPG)をベースとし、RNA一本鎖を合成する段階と、(3’)前記RNA一本鎖の5’末端に疎水性物質を共有結合してRNA‐高分子構造体を製造する段階と、(4’)合成が完了すると固形支持体(CPG)からRNA‐高分子構造体を分離する段階と、(5’)製造されたRNA‐高分子構造体と相補的な配列のRNA一本鎖をアニーリングして二本鎖オリゴRNA構造体を製造する段階と、を含むことができる。
【0042】
前記段階(4)または(5’)の後、製造が完了すると、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography、HPLC)により前記反応物を精製した後、MALDI‐TOF質量分析装置で分子量を測定して、所望の二本鎖オリゴRNAおよび二本鎖オリゴRNA構造体が製造されているか否かを確認することができる。
【0043】
前記製造方法において、(1)または(2’)段階で合成されたRNA一本鎖の配列と相補的な配列のRNA一本鎖を合成する段階は、独立した合成過程として(1)または(1’)段階の前に行われてもよく、また、(1)〜(4)段階または(1’)〜(5’)段階のいずれか一つの過程中に行われてもよい。
【0044】
また、(1)または(2’)段階で合成されたRNA一本鎖と相補的な配列を有するRNA一本鎖は、下記式(4)のように5’末端にリン酸基が結合した形態に用いられることができる。
【化4】
(前記式(4)中、Aは、疎水性物質であり、Bは、親水性物質であり、XとYは、それぞれ独立して、単純共有結合またはリンカー媒介の共有結合であり、Sは、二本鎖オリゴRNAのセンス鎖であり、pASは、5’末端部位にリン酸基が結合した二本鎖オリゴRNAのアンチセンス鎖である。この際、5’末端部位にリン酸基が一つから三つまで結合していてもよい。)
【0045】
本発明はまた、下記式(5)のようなオリゴRNAのセンス鎖の5’末端に親水性物質が結合し、3’末端に疎水性物質が結合した形態の二本鎖オリゴRNA構造体を提供し、これを製造する過程は、(1’’)官能基が結合している固形支持体をベースとし、RNA一本鎖を合成する段階と、(2’’)段階(1’’)で得られた物質に親水性物質を共有結合する段階と、(3’’)段階(2’’)で得られた物質を固形支持体から分離する段階と、(4’’)段階(3’’)で得られた物質の3’末端に結合した官能基により疎水性物質を共有結合してRNA‐高分子構造体を製造する段階と、(5’’)段階(4’’)で製造されたRNA‐高分子構造体と相補的な配列のRNA一本鎖をアニーリングして二本鎖オリゴRNA構造体を形成する段階と、を含むことができる。
【化5】
(前記式(5)中、Aは、疎水性物質であり、Bは、親水性物質であり、XとYは、それぞれ独立して、単純共有結合またはリンカー媒介の共有結合であり、Sは、二本鎖オリゴRNAのセンス鎖であり、ASは、二本鎖オリゴRNAのアンチセンス鎖である。)
【0046】
本発明における官能基は、本発明の目的を達成できるものであればいかなるものでも制限なく使用されてもよく、好ましくは、アミン基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、ビオチン基などから選択されてもよい。
【0047】
また、疎水性物質が結合した固形支持体をベースとし、RNA一本鎖を形成し、これに親水性物質を共有結合してRNA高分子構造体を製造した後、前記RNA一本鎖に相補的な配列のRNA一本鎖をアニーリングして二本鎖オリゴRNA構造体を形成することで二本鎖オリゴRNA構造体を製造する方法も可能である。
【0048】
前記段階(5’’)の後、製造が完了すると、高速液体クロマトグラフィーにより前記反応物を精製した後、MALDI‐TOF質量分析装置で分子量を測定して、所望の二本鎖オリゴRNAおよび二本鎖オリゴRNA構造体が製造されているか否かを確認することができる。
【0049】
前記製造方法において、(1’’)段階で合成されたRNA一本鎖の配列と相補的な配列のRNA一本鎖を合成する段階は、独立した合成過程として(1’’)段階の前、または(1’’)〜(5’’)段階のいずれか一つの過程中に行われてもよい。
【0050】
また、(1’’)段階で合成されたRNA一本鎖と相補的な配列を有するRNA一本鎖は、下記式(6)のように5’末端にリン酸基が結合した形態に用いられることができる。
【化6】
(前記式(6)中、Aは、疎水性物質であり、Bは、親水性物質であり、XとYは、それぞれ独立して、単純共有結合またはリンカー媒介の共有結合であり、Sは、二本鎖オリゴRNAのセンス鎖であり、pASは、二本鎖オリゴRNAの5’末端部位にリン酸基が結合したアンチセンス鎖である。)
【0051】
一方、本発明のリガンドが結合した二本鎖オリゴRNA構造体において、二本鎖オリゴRNA構造体に結合した親水性物質の特定位置、特に末端に標的特異的リガンドをさらに備えていてもよい。前記標的化部分(targeting moiety)は、受容体を介したエンドサイトーシス(receptor‐mediated endocytosis、RME)により標的細胞内在化(internalization)を増進させる受容体と特異的に結合する特性を有する。かかる物質は、標的特異的抗体やアプタマ(aptamer)、受容体特異的リガンドなどから選択されるペプチドまたは葉酸、N‐アセチルガラクトサミン(N‐acetyl galactosamine、NAG)およびマンノース(mannose)などの化学物質となることができる。この際、標的化部分は、標的受容体特異的に結合して伝達を行うことができる物質であればいかなるものを使用してもよく、前記抗体、アプタマ、ペプチドおよび化学物質に限定されるものではない。
【0052】
リガンドが結合した二本鎖オリゴRNA構造体を製造する過程は、例えば、(1’’’)官能基が結合している固形支持体(CPG)に親水性物質を結合する段階と、(2’’’)官能基‐親水性物質が結合している固形支持体(CPG)をベースとし、RNA一本鎖を合成する段階と、(3’’’)前記RNA一本鎖の5’末端に疎水性物質を共有結合して官能基‐RNA‐高分子構造体を製造する段階と、(4’’’)固形支持体(CPG)から官能基‐RNA‐高分子構造体を分離する段階と、(5’’’)前記官能基を用いて親水性物質の末端にリガンドを結合して、リガンドが結合したRNA高分子構造体を製造する段階と、(6’’’)製造されたリガンドが結合したRNA高分子構造体と相補的な配列のRNA一本鎖をアニーリングしてリガンドが結合した二本鎖オリゴRNA構造体を製造する段階と、を含むことができる。
【0053】
本発明における官能基は、本発明の目的を達成できるものであればいかなるものでも制限なく使用されてもよく、好ましくは、アミン基、チオール基、カルボキシル基、アルデヒド基、ビオチン基などから選択されてもよい。
【0054】
前記(6’’’)段階の後、製造が完了すると、高速液体クロマトグラフィーなどにより前記反応物とリガンドが結合した二本鎖オリゴRNA構造体および相補的な配列のRNA一本鎖を分離して精製した後、MALDI‐TOF質量分析装置で分子量を測定して、所望のリガンドが結合した二本鎖オリゴRNA構造体および相補的なRNAが製造されているか否かを確認することができる。前記製造方法において、(2’’’)段階で合成されたRNA一本鎖の配列と相補的な配列のRNA一本鎖を合成する段階は、独立した合成過程として(1’’’)段階の前または(1’’’)〜(6’’’)段階のいずれか一つの過程中に行われてもよい。
【0055】
また、本発明は、前記リガンドが結合した二本鎖オリゴRNA構造体からなるナノ粒子(SAMiRNA)を提供する。二本鎖オリゴRNA構造体は、疎水性および親水性物質の両方を含んでいる両親媒性であり、親水性物質は、体内に存在する水分子と水素結合などの相互作用により親和力を有することで外側に向かうようになり、疎水性物質は、それらの疎水性相互作用(hydrophobic interaction)により内側に向かうようになり、熱力学的に安定したナノ粒子(SAMiRNA)を形成する。すなわち、ナノ粒子の中心に疎水性物質が位置し、二本鎖オリゴRNAの外側の方向に親水性物質が位置して、二本鎖オリゴRNAを保護する形態のナノ粒子を形成する(
図1参照)。このように形成されたナノ粒子は、二本鎖オリゴRNAの細胞内伝達および二本鎖オリゴRNAの機能を向上させ、これを疾病の治療のために応用することができる。より具体的な構造体の合成と二本鎖オリゴRNA構造体からなるナノ粒子(SAMiRNA)の特徴、細胞伝達効率および効果については、後述する実施例の部分でより詳細に説明する。
【0056】
また、本発明は、前記二本鎖オリゴRNA構造体またはSAMiRNAを用いた治療方法を提供する。
【0057】
具体的に、前記二本鎖オリゴRNA構造体からなるナノ粒子(SAMiRNA)を準備する段階と、前記ナノ粒子(SAMiRNA)を動物の体に投入する段階と、を含む治療方法を提供する。
【0058】
また、本発明は、前記二本鎖オリゴRNA構造体または二本鎖オリゴRNA構造体からなるナノ粒子(SAMiRNA)の薬学的有効量を含む薬剤学的組成物を提供する。
【0059】
本発明の組成物は、投与のために、前記の有効成分以外に薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んでなることができる。薬剤学的に許容可能な担体は、本発明の有効成分と両立可能である必要があり、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エチルアルコールおよびこれらの成分のいずれか一つの成分または二つ以上の成分を混合して使用してもよく、必要に応じて、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加してもよい。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤および潤滑剤をさらに添加して、水溶液、懸濁液、乳濁液などの注射用剤形に製剤化することができる。特に、凍結乾燥化(lyophilized)した形態の剤形に製剤化して提供することが好ましい。凍結乾燥化の剤形を製造するために、本発明が属する技術分野において通常知られている方法が使用されてもよく、凍結乾燥化のための安定化剤が追加されてもよい。
【0060】
さらに、当分野の適正な方法またはレミントン薬学科学(Remington’s pharmaceutical Science, Mack Publishing company, Easton PA)に開示されている方法を用いて、各疾病または成分に応じて好ましく製剤化することができる。
【0061】
本発明の薬剤学的組成物は、通常の患者の症状と疾病の深刻度に応じて本技術分野における通常の専門家が決定することができる。また、散剤、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤、軟膏剤、シロップ剤などの様々な形態に製剤化することができ、単位投与量または多回投与量容器、例えば、シールしたアンプルおよびビンなどで提供されることができる。
【0062】
本発明の薬剤学的組成物は、経口または非経口投与が可能である。本発明による薬剤学的組成物の投与経路は、これらに限定されるものではなく、例えば、口腔、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、心臓内、硬皮、皮下、腹腔内、腸管、舌下または局所投与が可能である。
【0063】
かかる臨床投与のために、本発明の薬剤学的組成物は、公知の技術を用いて好適な剤形に製剤化することができる。本発明の組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、方法、排泄率および疾病の重症度などに応じてその範囲が多様であり、本技術分野における通常の専門家が容易に決定することができる。
【0064】
本発明は、前記二本鎖オリゴRNA構造体を用いた生体内または生体外における遺伝子発現調節方法を提供する。また、本発明は、前記二本鎖オリゴRNA構造体を含むナノ粒子を用いた生体内または生体外における遺伝子発現調節方法を提供する。
【0065】
以下、実施例を参照して本発明についてより詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の要旨により本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないということは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって自明なことである。
【0066】
実施例1.二本鎖オリゴRNA構造体の製造
以下、実施例では、サバイビンを抑制するためにサバイビンに対する二本鎖オリゴRNAを使用した。サバイビンは、今までテストされたほとんどの新生の腫瘍や形質転換された細胞株において共通して発現するタンパク質であって、抗ガン治療において重要な標的になると予測されている(Survivin; a new target for anti‐cancer therapy. Cancer Treat Rev. 2009 Nov; 35(7); 553‐62)。
【0067】
本発明のサバイビンに対する二本鎖オリゴRNAは、配列番号1と記載されるセンス鎖とこれに相補的な配列であるアンチセンス鎖からなっており、対照群として使用される二本鎖オリゴRNAは、配列番号2と記載されるセンス鎖とこれに相補的な配列であるアンチセンス鎖からなっている。本実施例に使用された二本鎖オリゴRNAの塩基配列は、下記の通りである。
(配列番号1)5’‐AAG GAG AUC AAC AUU UUC A‐3’
(配列番号2)5’‐CUU ACG CUG AGU ACU UCG A‐3’
【0068】
前記二本鎖オリゴRNAは、β‐シアノエチルホスホラミダイト(β‐cyanoethylphosphoramidite)を用いてRNA骨格構造をなすホスホジエステル(phosphodiester)結合を連結する方法を用いて、前記二本鎖オリゴRNA一本鎖の合成を行った(Polymer support oligonucleotide synthesis XVIII; use of beta‐cyanoethyl‐N,N‐dialkylamino‐/N‐morpholinophosphoramidite of deoxynucleosides for the synthesis of DNA fragments simplifying deprotection and isolation of the final product. Nucleic Acids Res. 1984 Jun 11; 12(11); 4539‐57)。
【0069】
合成過程は、ヌクレオシド(nucleoside)が結合した固形支持体(CPG)上から始まり、遮断除去(deblocking)、結合(coupling)、キャッピング(capping)および酸化(oxidation)からなるサイクルを繰り返すことで、所望の配列のRNA一本鎖を得る。当該一連の二本鎖オリゴRNAの合成過程は、RNA合成機(384 Synthesizer、BIONEER社製、韓国)を使用した。
【0070】
二本鎖オリゴRNA構造体を構成する二本鎖オリゴRNAと高分子物質の結合位置による二本鎖オリゴRNAの標的遺伝子発現阻害効率を比較して、二本鎖オリゴRNA構造体の最適化を行うために、次のような構造の二本鎖オリゴRNA構造体を製造した。
【0071】
本発明で製造した二本鎖オリゴRNA構造体は、表1のような構造を有する。
【0073】
表1において、Sは、二本鎖オリゴRNAのセンス鎖であり、ASは、二本鎖オリゴRNAのアンチセンス鎖であり、PO
4は、リン酸基であり、PEGは、親水性物質のポリエチレングリコールであり、C
24は、疎水性物質のジスルフィド結合が含まれているテトラドコサンであり、5’および3’は、二本鎖オリゴRNA末端の方向性を意味する。
【0074】
二本鎖オリゴRNA構造体のセンス鎖は、上述した方式通りに、β‐シアノエチルホスホラミダイトを用いてRNA骨格構造をなすホスホジエステル結合を連結する方法を用いて合成を行った後、5’末端部位にポリエチレングリコールをさらに結合して二本鎖オリゴRNA構造体のSAMiRNALPセンス鎖を作製した。
【0075】
前記二本鎖オリゴRNA構造体のセンス鎖とアニーリングを行うアンチセンス鎖の場合、上述した方式通りに、β‐シアノエチルホスホラミダイトを用いてRNA骨格構造をなすホスホジエステル結合を連結する方法を用いて合成を行った後、5’末端部位に疎水性物質であるジスルフィド結合が含まれているテトラドコサン(C
24)をさらに結合してSAMiRNALPアンチセンス鎖を作製した。
【0076】
S‐SAMiRNALPのセンス鎖の場合、既存の特許(韓国特開2009‐0042297号公報)の実施例1で製造された3’ポリエチレングリコール‐CPGを支持体として前記反応を行い、3’末端部位にポリエチレングリコールが結合したセンス鎖の二本鎖オリゴRNA‐親水性物質構造体を合成した後、ジスルフィド結合が含まれているテトラドコサン(C
24)を5’末端に結合して所望のS‐SAMiRNALPのセンス鎖を製造した。前記S‐SAMiRNALPのセンス鎖とアニーリングを行うアンチセンス鎖の場合、上述した方式通りに、β‐シアノエチルホスホラミダイトを用いてRNA骨格構造をなすホスホジエステル結合を連結する方法によりセンス鎖と相補的な配列のアンチセンス鎖を製造した。
【0077】
AS‐SAMiRNALPセンス鎖の場合、上述した方式通りに、β‐シアノエチルホスホラミダイトを用いてRNA骨格構造をなすホスホジエステル結合を連結する方法により製造した。
【0078】
前記AS‐SAMiRNALPのセンス鎖とアニーリングを行うアンチセンス鎖の場合、既存の特許(韓国特開2009‐0042297号公報)の実施例1で製造された3’PEG‐CPGを支持体として前記反応を行い、3’末端部位にポリエチレングリコールが結合したアンチセンス鎖の二本鎖オリゴRNA‐親水性高分子構造体を合成した後、ジスルフィド結合が含まれているテトラドコサン(tetradocosane)(C
24)を5’末端に結合して所望のAS‐SAMiRNALPのアンチセンス鎖を製造した。
【0079】
S‐SAMiRNALP‐PO
4は、二本鎖オリゴRNAの効果を極大化するために、センス鎖に親水性および疎水性物質の構造体を結合し、アンチセンス鎖の5’末端部位にリン酸基が結合した形態である。
【0080】
S‐SAMiRNALP‐PO
4のセンス鎖は、前記S‐SAMiRNALPのセンス鎖と同じ方法で製造し、アニーリングを行うアンチセンス鎖もまた、上述した方式通りに、β‐シアノエチルホスホラミダイトを用いてRNA骨格構造をなすホスホジエステル結合を連結する方法により製造してから5’末端にリン酸基を結合するために化学的リン酸化試薬(Chemical Phosphorylation Reagent、CPR)である[3‐(4,4’ジメトキシトリチルオキシ)‐2,2‐ジカルボキシエチル]プロピル‐(2‐シアノエチル)‐(N,N‐ジイソプロピル)‐ホスホラミダイト([3‐(4,4’Dimethoxytrityloxy)‐2,2‐dicarboxyethyl]propyl‐(2‐cyanoethyl)‐(N,N‐diisopropyl)‐phosphoramidite)を用いて5’末端にリン酸基が結合したS‐SAMiRNALP‐PO
4のアンチセンス鎖を製造した(
図2参照)。もしくは、RNA一本鎖をCPGから回収した後、リン酸化酵素の処理を施して5’末端にリン酸基を結合する方法により、リン酸基が結合したS‐SAMiRNALP‐PO
4のアンチセンス鎖を製造した。
【0081】
合成が完了すると、60℃の恒温槽で28%(v/v)のアンモニア処理を施して合成されたRNA一本鎖およびRNA‐高分子構造体をCPGから分離した後、脱保護(deprotection)反応により保護残基を除去した。保護残基が除去されたRNA一本鎖およびRNA‐高分子構造体は、70℃のオーブンでN‐メチルピロリドン、トリエチルアミンおよびトリエチルアミントリヒドロフルオリドを体積比10:3:4の割合で処理して2’TBDMS(tert‐butyldimethylsilyl)を除去した。
【0082】
また、二本鎖オリゴRNA構造体の親水性高分子末端部位にリガンドを結合するために、3’CPGにリガンドが結合可能な官能基を結合した後、親水性高分子を結合して前記反応を行い、リガンドが結合可能なSAMiRNALPセンス鎖を製造した。より詳細に説明すると、アミン基のような官能基が結合しているアミン‐CPGにポリエチレングリコールホスホラミダイト試薬を用いて3’アミン‐PEG‐RNAの形態に合成した後、3’アミン‐PEG‐RNAオリゴにC
24のような疎水性物質を結合して3’アミン‐PEG‐RNA‐C
24を合成した後、合成された3’アミン‐PEG‐RNA‐C
24を60℃の恒温槽で28%(v/v)のアンモニア処理を施して合成されたRNA一本鎖およびRNA‐高分子構造体をCPGから分離した後、脱保護反応により保護残基を除去した。保護残基が除去されたRNA一本鎖およびRNA‐高分子構造体は、70℃のオーブンでN‐メチルピロリドン、トリエチルアミンおよびトリエチルアミントリヒドロフルオリドを体積比10:3:4の割合で処理して2’TBDMSを除去した。これより回収された3’アミン‐PEG‐RNA‐C
24をN‐ヒドロキシスクシンイミドリガンド形態からなる結合可能なリガンド物質とエステル(ester)反応により3’リガンド結合PEG‐RNA‐C
24オリゴを合成した。前記反応物から高速液体クロマトグラフィーによりRNA一本鎖、RNA‐高分子構造体およびリガンドが結合したRNA‐高分子構造体を分離し、これをMALDI‐TOF質量分析装置(MALDI TOF‐MS、SHIMADZU社製、日本)で分子量を測定して、合成しようとする塩基配列およびRNA‐高分子構造体と対応するかを確認した。
【0083】
次に、それぞれの二本鎖オリゴRNA構造体を製造するためにセンス鎖とアンチセンス鎖を同量混合して1Xアニーリングバッファー(30mM HEPES、100mMの酢酸カリウム、2mMの酢酸マグネシウム、pH7.0〜7.5)に投入し、90℃の恒温槽で3分間反応させた後、また37℃で反応させて、所望のSAMiRNALPおよびリン酸基が結合したS‐SAMiRNALP‐PO
4をそれぞれ製造した。製造されたSAMiRNALPの電気泳動によりアニーリングを確認した。
【0084】
実施例2.SAMiRNALPからなるナノ粒子(SAMiRNA)の物性分析
S‐SAMiRNALPおよびS‐SAMiRNALP‐PO
4は、二本鎖オリゴRNAの末端に結合した疎水性物質間の疎水性相互作用によってナノ粒子、すなわち、ミセルを形成する(
図1参照)。
【0085】
実施例1で製造されたS‐SAMiRNALPのナノ粒子の大きさおよび臨界ミセル濃度(critical micelle concentration、CMC)値と透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)分析により該当SAMiRNALPからなるナノ粒子(SAMiRNA)の形成を確認した。
【0086】
実施例2‐1.SAMiRNALPからなるナノ粒子の大きさおよび多分散指数(polydispersity index、以下、「PDI」とする)の測定
ゼータ‐電位測定装置(zeta‐potential measurement)により前記ナノ粒子の大きさを測定した。具体的に、前記SAMiRNALPを1.5mLのDPBS(Dulbecco’s Phosphate buffered saline)に50μg/mLの濃度で溶かした後、超音波分散機(Wiseclean、DAIHAN社製、韓国)でナノ粒子の大きさを均質化(700W;振幅20%)した。均質化したナノ粒子は、ゼータ‐電位測定装置(Nano‐ZS、MALVERN社製、イギリス)で大きさを測定したが、物質に対する屈折率は、1.459、吸収率は0.001とし、溶媒であるPBS(phosphate buffered saline)の温度は25℃、それによる粘度は1.0200および屈折率は1.335の値を入力して測定した。1回の測定は、大きさを20回繰り返して測定することで行われ、これを3回繰り返した。
【0087】
S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子は、約150nmの大きさと0.4程度のPDI値を有することが確認された(
図3の(A)参照)。PDI値が低いほど当該粒子が均一に分布していることを示し、S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子は、比較的均一な大きさのナノ粒子を形成することが分かった。前記構造体からなるナノ粒子の大きさは、エンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれるために適した大きさであることを確認した(Nanotoxicology; nanoparticles reconstruct lipids. Nat. Nanotechnol. 2009 Feb; 4(2);84‐5)。
【0088】
実施例2‐2.SAMiRNALPからなるナノ粒子の臨界ミセル濃度の測定
単分子に疎水基と親水基がともに存在している両親媒性の物質(amphiphile)は、界面活性剤となることができ、界面活性剤が水溶液に溶解されると、疎水基は、水との接触を避けるために中央に集まり、親水基は、外側に向かってミセルを形成する。この際、最初にミセルを形成する濃度を臨界ミセル濃度とする。蛍光染料を用いてCMCを測定する方法は、ミセルが形成される前/後に蛍光染料の蛍光値(intensity)グラフ曲線の傾斜が急激に変化する特性に基づくものである。
【0089】
S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子の臨界ミセル濃度を測定するために、蛍光染料である0.04mMのDPH(1,6‐Diphenyl‐1,3,5‐hexatriene、SIGMA社製,USA)を準備する。S‐SAMiRNALP1nmole/μLを0.0977μg/mLで最高50μg/mLの濃度でDPBSで段階別に希釈して、計180μLのS‐SAMiRNALP試料を準備する。準備した試料に0.04mMのDPHと対照群として使用されるDPHの溶媒であるメタノールをそれぞれ20μLずつ添加して均一に混合した後、実施例2‐1と同じ方法で超音波分散機(Wiseclean、DAIHAN社製、韓国)によりナノ粒子の大きさを均質化(700W;振幅20%)した。均質化した試料は、光を遮断した常温条件で約24時間反応させた後、蛍光値(excitation;355nm、emission;428nm、top read)を測定した。測定された蛍光値は相対的な蛍光値を確認するものであるため、同じ濃度でDPHが含まれた試料の蛍光値‐メタノールのみが含まれた試料の蛍光値を求めて(Y軸)処理したS‐SAMiRNALP濃度のlog値(X軸)に対するグラフで示した(
図3の(B)参照)。
【0090】
各濃度別に測定された蛍光値は、低濃度区間から高濃度区間に移動するにつれて急激に増加するが、このように急激に増加する点の濃度がCMC濃度となる。したがって、蛍光量が増加しない低濃度区間と蛍光量が増加した高濃度区間をいくつかの点に区分して傾向線を作成し、二つの傾向線が交差する交差点のX値がCMC濃度となる。測定されたS‐SAMiRNALPからなるナノ粒子のCMCは2.53μg/mLと非常に低く形成されることが観察され、これにより、S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子が非常に低い濃度でもミセルを容易に形成することを確認した。
【0091】
実施例2‐3.SAMiRNALPからなるナノ粒子の透過型電子顕微鏡観察
S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子が形成された形態を確認するために、透過型電子顕微鏡により観察した。
【0092】
具体的に、S‐SAMiRNALPをDPBSに最終100μg/mLの濃度で溶かした後、超音波分散機(Wiseclean、DAIHAN社製、韓国)によりナノ粒子の大きさを均質化(700W;振幅20%)した。S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子は、陰性染色法(negative staining)により電子密度が高い物質と観察された(
図3の(C)参照)。
【0093】
TEMにより観察されたナノ粒子は、実施例2‐1で測定されたナノ粒子の大きさと類似した程度にナノ粒子がよく形成されていることが確認された。
【0094】
実施例3.SAMiRNALPからなるナノ粒子を用いた腫瘍細胞株での標的遺伝子の発現抑制
前記実施例1で製造したそれぞれのSAMiRNALP、S‐SAMiRNALPおよびAS‐SAMiRNALPからなるナノ粒子を用いて、トランスフェクションされた腫瘍細胞株のサバイビン(Survivin)遺伝子の発現パターンを分析した。
【0095】
実施例3‐1.腫瘍細胞株の培養
アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American type Culture Collection、ATCC)から取得したヒト子宮頸部癌細胞(HeLa)は、EMEM培養培地(ATCC‐formulated Eagle’s Minimum Essential Medium、アメリカ)に10%(v/v)のウシ胎児血清、ペニシリン100units/mL、ストレプトマイシン100μg/mLを添加して、37℃で5%(v/v)CO
2の条件下で培養した。
【0096】
実施例3‐2.SAMiRNALPからなるナノ粒子を用いた腫瘍細胞株の形質転換
前記実施例3‐1で培養された腫瘍細胞株(1.3×10
5)を実施例3‐1の条件下で6‐ウェルプレートで18時間EMEM培養培地で培養した後、培地を除去してから各ウェル当たり同量のOpti‐MEM培地を分注した。
【0097】
Opti‐MEM培地100μLと前記実施例1で製造したそれぞれのSAMiRNALP、S‐SAMiRNALPおよびAS‐SAMiRNALPを50μg/mLの濃度でDPBSに添加して、実施例2‐1と同じ方法で超音波分散機(Wiseclean、DAIHAN社製、韓国)によりSAMiRNALP、S‐SAMiRNALPおよびAS‐SAMiRNALPからなるナノ粒子を均質化(700W;振幅20%)して溶液を製造した。次に、Opti‐MEMが分注された腫瘍細胞株の各ウェルにトランスフェクション用溶液を100nMと200nMの濃度で処理し、37℃で5%(v/v)CO
2の条件下で計48時間培養した。
【0098】
実施例3‐3.サバイビン遺伝子のmRNA相対定量分析
前記実施例3‐2でトランスフェクションされた細胞株から全体RNAを抽出してcDNAを合成した後、リアルタイムPCRによりサバイビン(Survivin)mRNA発現量を韓国特開2009‐0042297号公報の方法にしたがって相対定量した(
図4参照)。
【0099】
AS‐SAMiRNALPからなるナノ粒子を処理した場合は、二本鎖オリゴRNAメカニズムで標的mRNAと結合するアンチセンス鎖にのみ構造体が結合した場合であって、既存のSAMiRNALPを処理した場合より低い阻害効率を示した。S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子を処理した場合は、AS‐SAMiRNALPからなるナノ粒子を処理した場合とは反対に、センス鎖にのみ構造体が結合した場合であって、既存のSAMiRNALPからなるナノ粒子を処理した場合より低い濃度でも高い阻害効率を示した(
図4参照)。
【0100】
Sur584は、SAMiRNALPの構造別に標的遺伝子であるサバイビンに特異的な二本鎖オリゴRNA配列(配列番号1)を有するSAMiRNALPを意味し、CONは、標的遺伝子の発現に影響を与えない対照群配列(配列番号2)を含むSAMiRNALPを意味する。標的遺伝子のmRNA発現阻害程度は、CONを処理した試料の標的遺伝子の発現量に対するSur584を処理した試料の標的遺伝子の発現量であって、相対定量法(Comparative Quantitation)により計算された。
【0101】
最適化した構造であるS‐SAMiRNALPからなるナノ粒子を処理した場合、トランスフェクション物質が存在しない条件下でも細胞に容易に伝達されて標的遺伝子のmRNA発現阻害効果を奏することが観察され、これは、既存の構造であったSAMiRNALPからなるナノ粒子を処理した場合に対して100nMの処理条件で比較したときに、約3倍以上(SAMiRNALPからなるナノ粒子処理群‐23.4%発現阻害vs.S‐SAMiRNALPからなるナノ粒子処理群‐77%発現阻害)の二本鎖オリゴRNAの効果が増加することを確認することができた。また、陰性対照群としてすべての構造体がアンチセンス配列に結合したAS‐SAMiRNALPからなるナノ粒子が処理された実験群は、高濃度の処理群でも標的遺伝子のmRNA発現阻害効果が低く観察された。
【0102】
実施例4.SAMiRNALPを用いた腫瘍細胞株での標的遺伝子発現抑制
前記実施例1で製造したそれぞれの配列番号1、2のS‐SAMiRNALPおよびS‐SAMiRNALP‐PO
4をトランスフェクション物質を用いて腫瘍細胞株であるヒト子宮頸部癌細胞株(HeLa)をトランスフェクションし、トランスフェクションした腫瘍細胞株のサバイビンの発現パターンを分析した。
【0103】
実施例4‐1.SAMiRNALPを用いた腫瘍細胞株のトランスフェクション
前記実施例3‐1で培養された腫瘍細胞株1.3×10
5を前記実施例の3‐1条件下で6‐ウェルプレートで18時間EMEM培養培地で培養した後、培地を除去してから各ウェル当たり800μLのOpti‐MEM培地を分注した。
【0104】
一方、Lipofectamine(商標)RNAiMax(Invitrogen社製、アメリカ)2μLとOpti‐MEM培地198μLを混合して、常温で5分間反応させた後、前記実施例1で製造したそれぞれのS‐SAMiRNALPおよびS‐SAMiRNALP‐PO
4(25pmole/μL)を最終0.2、1および5nmの濃度で処理し、また常温で20分間反応させて溶液を製造した。
【0105】
次に、Opti‐MEMが分注された腫瘍細胞株の各ウェルにトランスフェクション用溶液をそれぞれ200μLずつ分注して6時間培養した後、Opti‐MEM培地を除去した。これに、EMEM培養培地2.5mLを分注した後、37℃、5%(v/v)CO
2の条件下で24時間培養した。
【0106】
実施例4‐2.サバイビン遺伝子のmRNA相対定量分析
前記実施例4‐1でトランスフェクションされた細胞株から全体RNAを抽出してcDNAを合成した後、リアルタイムPCRによりサバイビンmRNAの発現量を韓国特開2009‐0042297号公報の方法にしたがって相対定量した。
【0107】
S‐SAMiRNALPおよびS‐SAMiRNALP‐PO
4の標的遺伝子発現阻害効果を分析するために、トランスフェクション物質とともに形質転換した後、サバイビン遺伝子のmRNA発現程度を比較した結果、S‐SAMiRNALPおよびS‐SAMiRNALP‐PO
4を処理した場合、二本鎖オリゴRNA末端に何も接合されていないネイキッドの二本鎖オリゴRNAを処理したものと類似した程度の標的遺伝子発現阻害効果を示した。S‐SAMiRNALP‐PO
4は、S‐SAMiRNALPを処理した場合より比較的高い発現阻害効率を示しており、特に低い濃度(0.2nM)で高い標的遺伝子発現阻害効果を示した(
図5参照)。S‐SAMiRNALPの高分子が結合している形態は、RNAiのメカニズムを阻害しない構造であり、特に、S‐SAMiRNALP‐PO
4の場合、追加結合したリン酸基によって二本鎖オリゴRNAの効果が増加することが観察された。