特許第6060187号(P6060187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060187
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/36 20060101AFI20161226BHJP
【FI】
   A47K10/36 L
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-4982(P2015-4982)
(22)【出願日】2015年1月14日
(65)【公開番号】特開2016-129597(P2016-129597A)
(43)【公開日】2016年7月21日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】515012712
【氏名又は名称】中野トーヨー住器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100117097
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 充浩
(72)【発明者】
【氏名】中野 徳一
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−058847(JP,U)
【文献】 実開昭64−016893(JP,U)
【文献】 特開2007−330728(JP,A)
【文献】 実開平02−064392(JP,U)
【文献】 実開昭63−009991(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面などに取り付けられる背板部、および背板部の左右両端部から前方に延びて互いに対向する左右の側板部から構成されるホルダー本体と、
ホルダー本体の側板部に設けられロールペーパーの中心空洞部と係合してロールペーパーを回転自在に支持するロール支持部と、
ホルダー本体の後部に上下揺動自在に連結されていて前端部の突部によりロールペーパーの上面を押える第1押え板部と、
を有するロールペーパーホルダーであって、
ホルダー本体の両側板部の前部間に架け渡されていてロールペーパーからのペーパーを載置する載置杆部と、
第1押え板部の前端部に上下揺動自在に連結されていて載置杆部上のペーパーを押える第2押え板部と、
載置杆部よりも前方位置の側板部間に架け渡された受け杆部と、
第2押え板部の前端部に上下揺動自在に連結されていて受け杆部上に載置される先板部と、
受け杆部に設けられていて先板部の上下揺動支点として先板部を揺動自在に保持する保持部と、
先板部の前部下辺に設けられていて載置杆部から垂れ下がったペーパーを切断するための切断刃部と、
を備えて成ることを特徴とするロールペーパーホルダー。
【請求項2】
先板部に上下貫通した貫通溝部が形成され、貫通溝部と保持部とが係脱可能に係合する構成にされている請求項1に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項3】
第1押え板部に、前記突部をロールペーパーの上面に押しつけるための錘体部が設けられている請求項1または請求項2に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項4】
ロール支持部が、ロールペーパーの中心空洞部に挿通される軸部材と、左右の側板部の互いに対向する内側面に各側板部の上面から下向きに刻設された支持用溝部と、から構成されていて、ロールペーパーの中心空洞部に挿通された軸部材の両端部が、左右の支持用溝部に支持されるように成っている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のロールペーパーホルダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトイレットペーパーなどを片手で切断するためのロールペーパーホルダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のロールペーパーホルダーとしては、下記の特許文献1に開示されたものが知られている。斯かる文献開示のトイレットペーパーホルダーは、壁面などに取り付けられる支柱と、この支柱の下端に横設されていてロールペーパーの中心空洞部に挿し込まれる心棒と、支柱の上端に横設された水平板と、水平板の後部に形成されていてロールペーパーからのペーパーを上向きに通す第1挿通孔部と、水平板の前部に形成されていて第1挿通孔部からのペーパーを下向きに通す第2挿通孔部と、第2挿通孔部よりも前方位置の水平板に設けられていて第2挿通孔部からもペーパーを切断するカッターと、から構成されている。
このトイレットペーパーホルダーにおいて、心棒に装着されたロールペーパーから繰り出されたペーパーの先端は、第1挿通孔部と第2挿通孔部を通されたのちにカッターに下方に位置している。そこで、利用者は、ペーパーの先端を片手で持って引き出したのち、上方向に持ち上げてカッターで切るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−167406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記文献開示のトイレットペーパーホルダーにおいて、ペーパーを使用するにあたりペーパーは第2挿通孔部から下向きに引き出されるが、第1挿通孔部と第2挿通孔部でのペーパー通過方向が上下逆方向であるために、大きな摺動抵抗がかかる。従って、ペーパーを引き出すためには大きな力が必要になる。一方、ロールペーパーは回転自由であるために、大きな力で引かれると回りすぎて、ロールペーパーからのペーパーが第1挿通孔部に向かわず、カッターの下方位置に大量に飛び出てしまう。
また、カッターで切断するときに引っ張られるペーパーは、第1挿通孔部および第2挿通孔部で摺動抵抗を受けるだけなので、確実に止めることが難しく、所望位置で確実かつ円滑に切断し難いというおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、ロールペーパーからのペーパーを片手で確実かつ容易に切断することのできるロールペーパーホルダーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るロールペーパーホルダーは、壁面などに取り付けられる背板部、および背板部の左右両端部から前方に延びて互いに対向する左右の側板部から構成されるホルダー本体と、ホルダー本体の側板部に設けられロールペーパーの中心空洞部と係合してロールペーパーを回転自在に支持するロール支持部と、ホルダー本体の後部に上下揺動自在に連結されていて前端部の突部によりロールペーパーの上面を押える第1押え板部と、を有するロールペーパーホルダーであって、ホルダー本体の両側板部の前部間に架け渡されていてロールペーパーからのペーパーを載置する載置杆部と、第1押え板部の前端部に上下揺動自在に連結されていて載置杆部上のペーパーを押える第2押え板部と、載置杆部よりも前方位置の側板部間に架け渡された受け杆部と、第2押え板部の前端部に上下揺動自在に連結されていて受け杆部上に載置される先板部と、受け杆部に設けられていて先板部の上下揺動支点として先板部を揺動自在に保持する保持部と、先板部の前部下辺に設けられていて載置杆部から垂れ下がったペーパーを切断するための切断刃部と、を備えて成ることを特徴とする構成にしてある。
【0007】
また、前記構成において、先板部に上下貫通した貫通溝部が形成され、貫通溝部と保持部とが係脱可能に係合する構成にされているものである。
【0008】
そして、前記した各構成において、第1押え板部に、前記突部をロールペーパーの上面に押しつけるための錘体部が設けられているものである。
【0009】
更に、前記した各構成において、ロール支持部が、ロールペーパーの中心空洞部に挿通される軸部材と、左右の側板部の互いに対向する内側面に各側板部の上面から下向きに刻設された支持用溝部と、から構成されていて、ロールペーパーの中心空洞部に挿通された軸部材の両端部が、左右の支持用溝部に支持されるように成っているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るロールペーパーホルダーによれば、ロールペーパーからのペーパーを載置する載置杆部と、載置杆部上のペーパーを押える第2押え板部と、載置杆部よりも前方位置の受け杆部と、第2押え板部の前端部に連結された先板部と、先板部の上下揺動支点としての保持部と、先板部の前部下辺に設けられた切断刃部と、を備えているので、載置杆部上からのペーパーが手で持ち上げられて切断刃部に当てられると、保持部を支点として先板部の後部が引き下げられる。これに伴って、第2押え板部も引き下げられてペーパーを載置杆部上に押しつける。同時に、第1押え板部も引き下げられ突部がロールペーパーを押圧するので、ロールペーパーの回転およびペーパーの繰り出しを阻止し得る。その結果、ペーパー切断時のロールペーパーの回転を確実に阻止するとともに、ペーパーを片手で確実かつ容易に切断することができる。
【0011】
また、先板部に上下貫通した貫通溝部が形成され、貫通溝部と保持部とが係脱可能に係合する構成にされているものでは、保持部を貫通溝部から取り外して先板部および第2押え板部を上げることができるので、載置杆部の上方が開放される。従って、ロールペーパーから引き出したペーパーを載置杆部上に容易にセットすることができる。
【0012】
そして、第1押え板部に錘体部が設けられているものでは、錘体部の重さにより、第1押え板部の突部がロールペーパーの上面をしっかりと押えるので、ペーパー切断時のロールペーパーの無用な回転を阻止することができる。
【0013】
更に、ロールペーパーの中心空洞部に挿通された軸部材の両端部が、左右の側板部の支持用溝部に支持されるものでは、紙管付きロールペーパーと紙管無しロールペーパーのいずれでも軸部材を相通して用いることができる。特に、紙管無しロールペーパーを用いる場合は、中心近くまでの多量のペーパーを使い切ることができ、最後に紙管を残すこともない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るロールペーパーホルダーの斜視図である。
図2】前記ロールペーパーホルダーの平面図である。
図3】前記ロールペーパーホルダーの側面図である。
図4】前記ロールペーパーホルダーの第1押え板部などを開放した状態を示す一部断面を含む側面図である。
図5】前記ロールペーパーホルダーにロールペーパーを装着しペーパーを載置杆部に載せたのちに第1押え板部などを被せた状態を示す一部断面を含む側面図である。
図6】前記ロールペーパーホルダーにおいてペーパーを手で持って引き出す状態を示す一部断面を含む側面図である。
図7】前記ロールペーパーホルダーにおいてペーパーを手で引き上げて切断しようとしている状態を示す一部断面を含む側面図である。
図8】前記ロールペーパーホルダーにおいて残量が少なくなったロールペーパーからのペーパーを手で引き上げて切断しようとしている状態を示す一部断面を含む側面図である。
図9】ロールペーパーおよびロール支持部を示す図であって、(A)(a)はこの実施形態に係る紙管無しのロールペーパーと軸部材を示す外観図、(A)(b)は(A)(a)のロールペーパーを支持するロール支持部を有するホルダー本体を示す正面図、(B)(a)は別の実施形態に係る紙管付きのロールペーパーを示す外観図、(B)(b)は(B)(a)のロールペーパーを支持するロール支持部を有するホルダー本体を示す正面図、(B)(c)は(B)(a)の紙管付きロールペーパーに(A)(a)の軸部材を挿通した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。図1は本発明の一実施形態に係るロールペーパーホルダーの斜視図、図2は前記ロールペーパーホルダーの平面図、図3は前記ロールペーパーホルダーの側面図である。
各図において、この実施形態に係るロールペーパーホルダー1は、平面視で凹の字状に形成されたホルダー本体2と、ホルダー本体2の後部に後端部10Bを上下揺動自在に連結された第1押え板部10と、ロールペーパーRの中心空洞部Cと係合してロールペーパーRを回転自在に支持するロール支持部7と、を有している。
【0016】
前記のホルダー本体2は、壁面Kなどに木ネジ23などで取り付けられる背板部3、および、背板部3の左右両端部から前方に延びて互いに対向する左右の側板部4,4から構成されている。各側板部4は、背板部3と一体に形成された一体部5と、一体部5の側面にビス24などで固定されて前方に延びる延板部6と、から構成されている。前記の第1押え板部10は、その後端部10Bが左右のヒンジ部15,15を介して側板部4の一体部5の後上部に上下揺動自在に支持されている。各ヒンジ部15は、第1押え板部10の左右後部に内向きに陥入して形成された軸穴14と、一体部5の後上部に内向きに突出していて軸穴14に挿通され支持される枢軸13と、から構成されている。第1押え板部10の前端部下面には、錘体部12が接着剤またはビスなどにより固設されている。この錘体部12は、錘体部12の前端にある突部11よりも後方の部分が下向きに膨出して形成されている。すなわち、錘体部12はその重さにより、第1押え板部10の突部11をロールペーパーRの上面に押しつけるようになっている。尚、汎用のホルダー本体では、枢軸13にコイルバネが取り付けられていて、第1押え板部10の前端部10AをロールペーパーRの上面に押しつけるようになっているものもあるが、前記の錘体部12は、そのようなコイルバネを持たない本実施形態のホルダー本体2に好適に使用され得る。また、合成樹脂材料を採用して成型により、錘体部12を第1押え板部10と一体構成にしても構わない。
【0017】
各側板部4の一体部5の内側面5Aには、やや後ろ方向下向きに傾斜した支持用溝部8が形成されている。この支持用溝部8の上面開口8Aは一体部5の上面に開口している。一方、紙管無しのロールペーパーRの中心空洞部Cには、軸部材9が挿通されている(図9(A)も参照)。ロールペーパーRに挿通された軸部材9の両端部が左右両側の支持用溝部8,8に装入されて支持されることにより、ロールペーパーRが回転自由となっている。すなわち、左右の支持用溝部8,8と軸部材9とから、ロール支持部7が構成される。
【0018】
更に、ロールペーパーホルダー1は、載置杆部22と、第2押え板部17と、受け杆部25と、先板部19と、保持部27と、刃体20と、を備えている。左右の延板部(側板部)6,6の前部の内側面には、受け筒体21,21が固設されており、対向する受け筒体21,21内に載置杆部22が架け渡されて支承されている。この載置杆部22は、ロールペーパーRから繰り出されたペーパーPを載置するようになっている。尚、第1押え板部10の突部11と載置杆部22との間は、比較的大きな間隔があけられている(図5の隙間S参照)。受け筒体21,21の外周面の前部には、前方に突出した向きで連結板26,26が固設されている。双方の連結板26,26の下面には、受け杆部25の左右端部が固設されている。すなわち、受け杆部25は、載置杆部22よりも前方位置で連結板26,26に支持されて架け渡されている。
【0019】
前記の第2押え板部17は、その後端部17Bがヒンジ部16を介して第1押え板部10の前端部10Aに上下揺動自在に連結されている。ヒンジ部16は、第2押え板部17の後端部17Bに左右離間して形成された2つの軸筒32,32と、第1押え板部10の前端部10Aに形成されていて軸筒32,32の間に配置される軸筒31と、軸筒32,31,32に一連に挿通される枢軸33と、から構成されている。この第2押え板部17は、載置杆部22上に載せられているペーパーPをその前端部17Aで押えるようになっている。
【0020】
前記の先板部19は、その後端部19Bがヒンジ部18を介して第2押え板部17の前端部17Aに上下揺動自在に連結されている。ヒンジ部18は、先板部19の後端部19Bに左右離間して形成された2つの軸筒35,35と、第2押え板部17の前端部17Aに形成されていて軸筒35,35の間に配置される軸筒34と、軸筒35,34,35に一連に挿通される枢軸36と、から構成されている。そして、この先板部19は、その前後途中の部分が受け杆部25上に載置されるようになっている。これらの第2押え板部17と先板部19は、利用者がロールペーパーRのペーパーPの残量を知り得るように、透明部材で構成されている。
【0021】
そして、先板部19には、前後に長い貫通溝部30が上下貫通して形成されている。一方、貫通溝部30と対面する位置の受け杆部25には、雌ネジ部を有する軸穴29が上下貫通して形成されている。この軸穴29には、把手状の保持部27と一体に形成された軸部材28の雄ネジ部が螺着される。すなわち、保持部27は受け杆部25に設けられており、貫通溝部30と係脱可能に係合する。そして、保持部27の下面と先板部19の上面との間には隙間が設けられていて、先板部19は保持部27に保持されながらも自由に動けるようになっている。すなわち、保持部27は、先板部19の上下揺動支点として先板部19を揺動自在に保持するようになっている。先板部19の前部には、薄板状の刃体20が両側のスペーサ37,37を介して取り付けられている。この刃体20の下辺には、切断刃部20Aが形成されている。この切断刃部20Aは、載置杆部22から垂れ下がったペーパーPを切断するために用いられる。尚、前記したスペーサ37,37により、先板部19の前端面と刃体20との間に、隙間38が形成されている。この隙間38の存在により、ペーパーPを切断する際に刃体20が前後方向(図2中の矢印T方向)に振動するので、切断刃部20Aの切れ味を高め、極めて円滑にペーパーPを切断できるようになっている。
【0022】
上記のように構成されたロールペーパーホルダー1の作用を次に説明する。この場合、第1押え板10がホルダー本体2の上面開口を蓋い、第2押え板17が載置杆部22上に載置され、先板部19が受け杆部25上に載置されている状態から説明する。
先ず、図4に示すように、第1押え板10を枢軸13回りに回動させて(矢印Y1)、ホルダー本体2の上面開口を開放する。このとき、第2押え板17は自重により矢印Y2のように枢軸33回りに揺動し、先板部19は手などで跳ね上げられて矢印Y3のように枢軸36回りに揺動する。次に、ロールペーパーRに挿通された軸部材9の両端を左右の上面開口8A,8Aから支持用溝部8,8内に装入し(矢印V1)、それぞれの底部で支持させる。これにより、ロールペーパーRが回転自由に支持される。そして、ロールペーパーRからペーパーPを繰り出して(矢印V2)、載置杆部22上に載置させたのち、ペーパーPの先端側を垂れ下がらせる(矢印V3)。このとき、載置杆部22から垂れ下がったペーパーPと、ロールペーパーRの外周面との間には、隙間S(図5参照)が形成される。この隙間Sが存在することにより、利用者が何ら阻害されることなく、ペーパーPをつかみやすいようになっている。
【0023】
続いて、図5に示すように、第1押え板10を枢軸13回りに回動させて(矢印Y4)、ホルダー本体2の上面開口を蓋止する。そして、第2押え板部17を載置杆部22に載せられたペーパーP上に置き(矢印Y5)、先板部19を受け杆部25上に置く(矢印Y6)。このとき、ロールペーパーRの上面は押え部材38の突部11で押えつけられている。一方、保持部27はその長尺方向が前後方向を向いており、先板部19の貫通溝部30を通過して先板部19の上方位置に配置される。そこで、保持部27を約90度水平方向に回転させると(矢印Y7)、保持部27の長尺方向が左右方向を向き、保持部27は貫通溝部30から抜脱できなくなって先板部19を係止する。但し、先板部19は、保持部27に対して幾ぶん動くことができ、保持部27を支点としてわずかながら上下方向(図5中の矢印Z方向)に揺動自在となっている。
【0024】
次に、図6に示すように、載置杆部22から垂れ下がったペーパーPの先端側を手Hで持ち、刃体20に向けて近づけるとともに(矢印V4)、矢印V5のように使用に必要な分量のペーパーPを引き出したのちにペーパーPを持ち上げて(矢印V6)、ペーパーPを刃体20に近づける。
【0025】
そうして、図7に示すように、利用者は、手HでペーパーPを持ち上げて(矢印V7)、ペーパーPの切断目標位置を刃体20の切断刃部20Aに当てたのち、更にペーパーPを矢印V8のように引き上げながら左右方向に引っぱる。これにより、保持部27を揺動支点として、先板部19は前端部19Aがわずかに持ち上がり(矢印Y8)、後端部19Bが押し下げられる(矢印Y9)。これに伴って、第2押え板部17の前端部17Aが押し下げられて載置杆部22上のペーパーPを押圧し、載置杆部22上でのペーパーPの摺動を阻止する。これと連動して、第2押え板部17の後端部17Bも押し下げられるので(矢印Y10)、第2押え板10の突部11はロールペーパーRの上面をよりいっそう押さえつけて、ホルダー本体2に対するロールペーパーRの回転を阻止するのである。
【0026】
以上に述べたように、この実施形態のロールペーパーホルダー1によれば、ペーパーPの切断時に保持部27を支点として第2押え板部17の前端部17Aが引き下げられてペーパーPを載置杆部22上に押し留め、同時に錘体部12の重みで突部11がロールペーパーRの上面を押下するので、ロールペーパーRの回転およびロールペーパーRからのペーパーPの繰り出しを阻止できる。その結果、ペーパーPを片方の手Hで確実かつ容易に切断することができる。ペーパーPが切断されたのちは、保持部27によるガタつき保持と先板部19の自重とにより、先板部19の前端部19Aが下降して戻るので、ペーパーPが切断刃部20Aにからむことを解消でき、ペーパーPの先端は切断刃部20Aから自ずと離れ、図5に示したように載置杆部22からぶら下がって次回につかまれやすい状態となる。他方で、保持部27を貫通溝部30から取り外して先板部19および第2押え板部17を持ち上げ得るので、載置杆部22の上方を簡便に開放できる。従って、ロールペーパーRから引き出したペーパーPを載置杆部22上に容易にセットすることができる。
【0027】
更に、左右の支持用溝部8,8と軸部材9を有しているので、紙管無しロールペーパーRと紙管付きロールペーパーR1(図9(B)(a)参照)のいずれでも、軸部材9を挿通して用いることができる(図9(B)(c)参照)。特に、紙管無しロールペーパーRを用いる場合は、中心近くまでのペーパーPを多く使い切ることができ、最後に紙管42を残すこともないので、経済的である。
【0028】
尚、このロールペーパーホルダー1は、ペーパーPの残量が少なくなったロールペーパーRであっても、片手で確実にペーパーPを切断することができる。例えば、図8はペーパーPの残量が少なくなったロールペーパーRを装着した例を示している。この場合、錘体部12と第1押え板部10の枢軸13を結ぶ直線距離は、支持用溝部8の底にある軸部材9と第1押え板部10の枢軸13を結ぶ直線距離と近似する距離になるよう予め設定されている。これにより、ペーパーPの残量が少なくなってロールペーパーRのロール径が小さくなるほど、錘体部12は軸部材9に近づいていくため、錘体部12は常にロールペーパーRの上面を押さえていることができる。すなわち、錘体部12は、ペーパー残量が少なくなったロールペーパーRの上面を突部11とともに押えることができる。
【0029】
また、上記の実施形態では、図9(A)他に示すように、紙管無しのロールペーパーRを用いた例を示したが、本発明はそれに限定されるものでない。例えば図9(B)に示したようなロールペーパーホルダー1aも本発明に含まれる。このロールペーパーホルダー1aは、ロール支持部7aを有するホルダー本体2aを備えていて、中心空洞部C1を有する紙管42付きのロールペーパーR1を使用するものである。ロール支持部7aは、側板部4,4の一体部5,5の内側面に形成された格納スペース41,41と、格納スペース41,41内に枢軸40,40回りに揺動自在に配備された軸部材9a,9aと、から構成されている。尚、ホルダー本体2aとロールペーパーR1以外の構成は、既述したロールペーパーホルダー1と同じである。すなわち、このロールペーパーホルダー1aのような構成であっても、既述のロールペーパーホルダー1と同様の作用、効果を呈することは言うまでもない。尚、既述しているが、図9(B)(c)のようにロールペーパーR1の中心空洞部C1内に軸部材9を挿通して、図9(A)(b)のホルダー本体2の支持用溝部8,8で用いることも可能である。
【符号の説明】
【0030】
1,1a ロールペーパーホルダー
2,2a ホルダー本体
3 背板部
4 側板部
5 一体部
5A 内側面
6 延板部
7,7a ロール支持部
8 支持用溝部
9,9a 軸部材
10 第1押え板部
10A 前端部
10B 後端部
11 突部
12 錘体部
15 ヒンジ部
16 ヒンジ部
17 第2押え板部
17A 前端部
17B 後端部
18 ヒンジ部
19 先板部
19A 前端部
19B 後端部
20 刃体
20A 切断刃部
22 載置杆部
25 受け杆部
26 連結板
27 保持部
28 軸部材
29 軸穴
30 貫通溝部
38 隙間
C,C1 中心空洞部
K 壁面
P ペーパー
R,R1 ロールペーパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9