特許第6060188号(P6060188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6060188樹脂組成物層用スペーサー粒子およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060188
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】樹脂組成物層用スペーサー粒子およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/18 20060101AFI20161226BHJP
   C08F 2/18 20060101ALI20161226BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20161226BHJP
   B32B 3/10 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   C08F220/18
   C08F2/18
   B32B27/18 Z
   B32B3/10
【請求項の数】6
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-15551(P2015-15551)
(22)【出願日】2015年1月29日
(62)【分割の表示】特願2013-536373(P2013-536373)の分割
【原出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2015-127416(P2015-127416A)
(43)【公開日】2015年7月9日
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】特願2011-210817(P2011-210817)
(32)【優先日】2011年9月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 良祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 智之
(72)【発明者】
【氏名】石森 史高
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−073829(JP,A)
【文献】 特開平09−222608(JP,A)
【文献】 特開2001−106859(JP,A)
【文献】 特開2010−215764(JP,A)
【文献】 特開平03−037201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−301/00
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、
室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05〜10MPaの範囲内であり、
室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が5%以下であり、
体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、
粒子径の変動係数が15%以下であり、
架橋アクリル酸エステル系樹脂からなり、
前記架橋アクリル酸エステル系樹脂が、アクリル酸エステル系単官能単量体50〜95質量%と架橋性単量体5〜50質量%とを含む単量体混合物を重合させることによって得られる重合体であることを特徴とする樹脂組成物層用スペーサー粒子。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、
−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が30%以下であることを特徴とする樹脂組成物層用スペーサー粒子。
【請求項3】
樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、
室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05〜10MPaの範囲内であり、
−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が30%以下であり、
体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、
粒子径の変動係数が15%以下であり、
架橋アクリル酸エステル系樹脂からなり、
前記架橋アクリル酸エステル系樹脂が、アクリル酸エステル系単官能単量体50〜95質量%と架橋性単量体5〜50質量%とを含む単量体混合物を重合させることによって得られる重合体であることを特徴とする樹脂組成物層用スペーサー粒子。
【請求項4】
樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、
樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が、0.01〜2Nの範囲内であり、 樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される圧縮強度の、−50℃から50℃への温度変化による変化率が、15%以下であり、
体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、
粒子径の変動係数が15%以下であり、
架橋アクリル酸エステル系樹脂からなり、
前記架橋アクリル酸エステル系樹脂が、アクリル酸エステル系単官能単量体50〜95質量%と架橋性単量体5〜50質量%とを含む単量体混合物を重合させることによって得られる重合体であることを特徴とする樹脂組成物層用スペーサー粒子。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂組成物層用スペーサー粒子であって
前記アクリル酸エステル系単官能単量体が、炭素数1〜8のアルコールのアクリル酸エステルであることを特徴とする樹脂組成物層用スペーサー粒子。
【請求項6】
シート基材と、該シート基材上に形成された樹脂組成物層とを備える積層シートであって、
上記樹脂組成物層が、請求項1〜5の何れか1項に記載の樹脂組成物層用スペーサー粒子を含むことを特徴とする積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物層(例えば、部材同士を接着する樹脂組成物層等)の厚みを制御する(特に厚みを均一かつ所望の厚みに調整する)ために、樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子およびその用途(積層シート)に関するものであり、より詳細には、温度による圧縮強度の変化が少ない樹脂組成物層用スペーサー粒子およびその用途(積層シート)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の小型化への要望に伴い、複数の電子部材を積層して多層の電子部材積層体とする3次元実装への動きが進んできている。また、電子部材積層体等の電子部品を更に小型化させる研究が進められている。これに伴い、電子部材積層体における電子部材同士を接合(接着)する電子部材接合層、例えば、圧力センサを構成する複数の部材同士を接合する接合層は極めて薄い薄膜となり、更に微細な構造が形成されるようになってきた。このような3次元実装の電子部材積層体においては、(各)接合部において各電子部材に損傷がなく、かつ、各電子部材同士を平行に保って積層することが求められている。
【0003】
これに対して、従来は、信頼性の高い電子部材積層体を得ることを目的として、下層のワイヤーを保護することや、複数の電子部材を互いに平行に保って積層することを目的として、電子部材間にスペーサーを介在させる方法等が検討されていた。このような方法として、例えば、特許文献1に、複数の電子部材を積層する際に、一方の電子部材における他方の電子部材が積層される方の面上にスペーサーを散点状に形成した後、他方の電子部材を積層する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されているスペーサーは、ペーストを散点状に塗布して硬化させたバンプによって形成されているので、径が不均一になり易く、その結果として、各電子部材間の間隔が不均一になり易い。
【0005】
また、特許文献2には、複数の電子部材を積層する際に、接合する電子部材の間にスペーサーを介在させる方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示されているスペーサーは、合成樹脂の塗布面積を拡大させるための平板状(直方体状または円板状)の部材であり、各電子部材間の間隔を均一化する粒子形状のものではない。
【0007】
また、スペーサー粒子の配合された接着剤層が検討されている。例えば、特許文献3には、熱硬化性樹脂組成物と、接着剤硬化後の膜厚を実質的に規定する粒子径を有する硬質プラスチック微粒子とを必須成分とする接着剤が記載されている。また、特許文献3の実施例には、平均粒子径20μmの硬質プラスチック微粒子を含み、硬質プラスチック微粒子の平均粒子径20μmとほぼ同じ寸法(21μm又は22μm)の膜厚の接着剤膜にてシリコン素子とリードフレームとを接着できる旨が記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献3では、硬質プラスチック微粒子の組成及び物性については、「例えば、ジビニルベンゼンを含むモノマーを重合させたビニル系重合体の微粒子」と記載されているだけであり、硬質プラスチック微粒子の圧縮強度等の物性は全く不明であるので、硬質プラスチック微粒子の圧縮強度が高すぎることによる問題、または硬質プラスチック微粒子の圧縮強度が高すぎることによる問題が生じる可能性が高い。
【0009】
硬質プラスチック微粒子の圧縮強度が高すぎる場合、硬質プラスチック微粒子が硬すぎるために、接着剤膜に接する部材を傷付ける可能性がある。また、硬質プラスチック微粒子の圧縮強度が高すぎる場合、接着剤膜の変形性が乏しいため、接着剤膜に接する部材が変形しなければならない場合(例えば接着剤膜に接する部材が圧力センサのダイヤフラムである場合)には、接着剤膜を含むデバイスの性能を低下させてしまう。一方、硬質プラスチック微粒子の圧縮強度が低すぎる場合、実用使用領域での硬質プラスチック微粒子の抗圧縮力が小さくなり、接着剤膜に圧力をかけたときに硬質プラスチック微粒子が、破壊するか、あるいは大きく変形し、接着剤膜の膜厚を適正な膜厚に保つことができない。さらに、硬質プラスチック微粒子の圧縮強度が低すぎる場合、接着剤膜に適正な強度を持たせるために、接着剤膜に添加する硬質プラスチック微粒子の個数を多くする必要がある。これは、製造コストの増大を招く。
【0010】
また、特許文献4、5、及び7には、平均粒子径が2〜200μmであり、CV値が10%以下であり、かつ、K値が980〜10000N/mm2であるスペーサー粒子を含有する電子部品用接着剤が開示されている。また、特許文献6及び8には、CV値が10%以下であり、好ましくは平均粒子径が3〜200μmであり、好ましくはK値が980〜4900N/mm2であるスペーサー粒子を含有する電子部品用接着剤が開示されている。ここで、K値は、下記式により求められる数値である。
【0011】
K=(3/√2)・F・S-3/2・R-1/2
(上記式中、F、Sはそれぞれスペーサー粒子の10%圧縮変形における荷重値(kgf)、圧縮変位(mm)を表し、Rはスペーサー粒子の半径(mm)を表す)
なお、特許文献4〜8にはK値の測定温度が記載されていないが、特許文献4〜8と同一の出願人による特許文献12において20℃のK値が規定されていることから、特許文献4〜8におけるK値の測定温度は、室温であるものと考えられる。
【0012】
特許文献4〜8に記載のスペーサー粒子を電子部品用接着剤中に使用することにより、2層以上の電子部材を電子部品用接着剤で接合する際に、電子部材間の距離を高精度に保ち、かつ、信頼性の高い電子部材積層材を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2003−179200号公報
【特許文献2】特開2006−66816号公報
【特許文献3】特開平11−189765号公報
【特許文献4】特開2009−155450号公報
【特許文献5】特開2009−158712号公報
【特許文献6】国際公開第2008/010555号
【特許文献7】特開2010−215863号公報
【特許文献8】国際公開第2008/084843号
【特許文献9】特許第4218848号公報
【特許文献10】特開平7−196752号公報
【特許文献11】特開平8−278506号公報
【特許文献12】特開平9−113916号公報
【特許文献13】特開平9−218414号公報
【特許文献14】特開2000−34306号公報
【特許文献15】特開2000−98397号公報
【特許文献16】特開平3−37201号公報
【特許文献17】特開2011−163884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献4〜8に記載のスペーサー粒子は、圧縮強度が高すぎるために、硬すぎて、接着剤層に接する部材を傷付ける可能性がある。また、特許文献4〜8に記載のスペーサー粒子は、圧縮強度が高すぎるために、接着剤層の変形性が乏しい。このため、接着剤層に接する部材が変形しなければならない場合(例えば接着剤層に接する部材が圧力センサのダイヤフラムである場合)には、接着剤層を用いたデバイスの性能(例えば接着剤層を用いた圧力センサの感度)を低下させてしまう。
【0015】
また、本願発明者等が、特許文献4〜8で規定されたK値の数値範囲(980〜4900N/mm2)に含まれるK値を有する架橋メタクリル酸メチル重合体粒子を作製し、この架橋メタクリル酸メチル重合体粒子を圧力センサの接着剤層に添加したところ、温度によって圧力センサの感度が大きく変化する傾向が見られ、圧力センサの測定精度が良好でなかった。これは、温度変化によってスペーサー粒子の圧縮強度が変化し、圧力による樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径の変化し易さが変化することによって、同一の圧力が圧力センサに印加されたときの樹脂組成物層の厚みの変化量が温度によって異なるものとなってしまうためであると考えられる。
【0016】
本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、樹脂組成物層中に添加されたときに、樹脂組成物層に接する部材を傷付けることを防止でき、樹脂組成物層の十分な変形性を確保でき、かつ温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できる(したがって、温度変化による樹脂組成物層を含むデバイスの特性の変化、例えば温度変化による樹脂組成物層を含む圧力センサの感度の変化を抑制できる)樹脂組成物層用スペーサー粒子を提供することにある。また、本発明の他の目的は、シート基材の傷付きを防止でき、かつ温度変化による特性の変化を抑制できる積層シートを提供することにある。
【0017】
なお、樹脂組成物層用スペーサー粒子ではないが、液晶層の厚さを均一に制御するための液晶層用スペーサーとして、150kg/mm2を超える圧縮強度を有するスペーサー(特許文献9)、10%圧縮変位応力が5.0〜10.0kg/mm2の範囲にある架橋ポリマー粒子(特許文献10)、10%圧縮弾性率が600〜3000kg/mm2である粒子からなる液晶表示用スペーサー(特許文献11)、前述したK値が20℃で350〜600kg/mm2の範囲である架橋微粒子からなる液晶表示用スペーサー(特許文献12)、前述したK値が250〜700kgf/mm2の範囲である重合体微粒子からなる液晶表示用スペーサー(特許文献13)、前述したK値が250〜1000kg/mm2である微粒子からなる液晶表示素子用スペーサー(特許文献14)、及び、圧縮破壊強度が0.1〜1.0gfである微粒子を用いてなる液晶表示素子用スペーサー(特許文献15)が知られている。
【0018】
しかしながら、これらのスペーサーは、圧縮強度が高すぎる(10%圧縮変位時の圧縮強度が、少なくとも5.0kg/mm2以上である)ため、樹脂組成物層用スペーサー粒子として適さない場合がある。圧縮強度が高すぎるスペーサーを用いて樹脂組成物層を形成すると、スペーサーが硬すぎるために、樹脂組成物層に接する部材(樹脂膜等)を傷付ける可能性がある。また、スペーサーの圧縮強度が高すぎる場合、樹脂組成物層の変形性が乏しいため、樹脂組成物層に接する部材が変形しなければならない場合(例えば樹脂組成物層に接する部材が圧力センサのダイヤフラムである場合)には、樹脂組成物層を用いたデバイスの性能(例えば樹脂組成物層を用いた圧力センサの感度)を低下させてしまう。さらに、特許文献9〜15では、温度変化によるスペーサーの圧縮強度の変化について何ら考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、上記の課題を解決するために、樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05〜10MPaの範囲内であり、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が5%以下であり、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、粒子径の変動係数が15%以下であることを特徴としている。また、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、上記の課題を解決するために、樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05〜10MPaの範囲内であり、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が30%以下であり、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、粒子径の変動係数が15%以下であることを特徴としている。
【0020】
これらの構成によれば、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が5%以下であるか、あるいは−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が30%以下であるので、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子を樹脂組成物層中に添加したときに、少なくとも室温から50℃までの温度範囲、あるいは少なくとも−20℃から室温までの温度範囲において温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できる。したがって、温度変化による樹脂組成物層を含むデバイスの特性の変化を抑制できる。例えば、温度変化による樹脂組成物層を含む圧力センサの感度の変化を抑制でき、良好な測定精度を有する圧力センサを実現できる。
【0021】
また、上記各構成によれば、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が10MPa以下であり、従来のスペーサー粒子より柔らかく、十分な弾性があるので、樹脂組成物層に接する部材(樹脂膜等)を傷付けることを防止できる。さらに、上記構成によれば、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が10MPa以下であるので、樹脂組成物層の十分な変形性を確保できる。このため、樹脂組成物層に接する部材が変形しなければならない場合(例えば樹脂組成物層に接する部材が圧力センサのダイヤフラムである場合)に、樹脂組成物層を用いたデバイスの性能(例えば樹脂組成物層を用いた圧力センサの感度)を向上させることができる。
【0022】
また、上記各構成によれば、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05MPa以上であるので、樹脂組成物層に圧力をかけたときに樹脂組成物層用スペーサー粒子が、破壊するか、あるいは大きく変形することを回避できるので、樹脂組成物層の膜厚を適正な膜厚に制御することができる。さらに、上記構成によれば、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05MPa以上であるので、樹脂組成物層に適正な強度を持たせるために必要な樹脂組成物層用スペーサー粒子の添加量が増大することを回避でき、製造コストの増大を回避できる。
【0023】
また、上記各構成によれば、粒子径の変動係数が15%以下であり、粒子径のばらつきが十分に小さいので、樹脂組成物層の膜厚を十分な精度に制御できる。
【0024】
また、上記各構成によれば、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であるので、樹脂組成物層の厚みを2〜200μmの範囲内に制御することができ、複数の部材同士を接着する樹脂組成物層(例えば圧力センサを構成する複数の部材同士を接着する樹脂組成物層)として適した樹脂組成物層を実現できる。
【0025】
なお、本明細書において、10%圧縮変位時の圧縮強度は、樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変位時の荷重を測定し、この荷重P(N)と、圧縮前の樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径d(mm)とから、10%圧縮変位時の圧縮強度S10を、次式
10=2.8×P/(π×d2
により算出する方法、例えば、実施例の項に記載の測定方法によって測定された10%圧縮変位時の圧縮強度を指すものとする。また、本明細書において、「室温」とは、23〜25℃の温度を指すものとする。また、本明細書において、樹脂組成物層用スペーサー粒子の体積平均粒子径は、コールターカウンター法、より詳細には実施例の項に記載の測定方法で測定された体積平均粒子径を意味するものとする。
【0026】
また、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、上記の課題を解決するために、樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が、0.01〜2Nの範囲内であり、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される圧縮強度の、−50℃から50℃への温度変化による変化率が、15%以下であり、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、粒子径の変動係数が15%以下であることを特徴としている。
【0027】
上記構成において、樹脂組成物層中に添加された状態で圧縮荷重として測定される圧縮強度は、ほぼ樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度に依存し、樹脂組成物層用スペーサー粒子以外の、樹脂組成物層を構成する成分の圧縮強度にはほとんど左右されない。このため、上記構成における「樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度の、−50℃から50℃への温度変化による変化率が、15%以下である」ことは、樹脂組成物層用スペーサー粒子自体の、−50℃から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度(圧縮荷重)の変化率が小さいことを示している。したがって、上記構成によれば、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子を樹脂組成物層中に添加したときに、少なくとも−50℃から50℃までの温度範囲において温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できる。したがって、温度変化による樹脂組成物層を含むデバイスの特性の変化を抑制できる。例えば、温度変化による樹脂組成物層を含む圧力センサの感度の変化を抑制でき、良好な測定精度を有する圧力センサを実現できる。
【0028】
また、上記構成によれば、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が2N以下であり、従来のスペーサー粒子より柔らかく、十分な弾性があるので、樹脂組成物層に接する部材(樹脂膜等)を傷付けることを防止できる。さらに、上記構成によれば、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が2N以下であるので、樹脂組成物層の十分な変形性を確保できる。このため、樹脂組成物層に接する部材が変形しなければならない場合(例えば樹脂組成物層に接する部材が圧力センサのダイヤフラムである場合)に、樹脂組成物層を用いたデバイスの性能(例えば樹脂組成物層を用いた圧力センサの感度)を向上させることができる。
【0029】
また、上記構成によれば、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が0.01N以上であるので、樹脂組成物層に圧力をかけたときに樹脂組成物層用スペーサー粒子が、破壊するか、あるいは大きく変形することを回避できるので、樹脂組成物層の膜厚を適正な膜厚に制御することができる。さらに、上記構成によれば、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が0.01N以上であるので、樹脂組成物層に適正な強度を持たせるために必要な樹脂組成物層用スペーサー粒子の添加量が増大することを回避でき、製造コストの増大を回避できる。
【0030】
また、上記構成によれば、粒子径の変動係数が15%以下であり、粒子径のばらつきが十分に小さいので、樹脂組成物層の膜厚を十分な精度で制御できる。
【0031】
また、上記構成によれば、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であるので、樹脂組成物層の厚みを2〜200μmの範囲内に制御することができ、複数の部材同士を接着する樹脂組成物層(例えば圧力センサを構成する複数の部材同士を接着する樹脂組成物層)として適した樹脂組成物層を実現できる。
【0032】
なお、本明細書において、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される圧縮強度は、例えば、実施例の項に記載の測定方法によって測定される。
【0033】
本発明の積層シートは、上記の課題を解決するために、シート基材と、該シート基材上に形成された樹脂組成物層とを備える積層シートであって、上記樹脂組成物層が、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子を含むことを特徴としている。
【0034】
上記構成の積層シートは、樹脂組成物層に含まれるスペーサー粒子が、温度変化による特性の変化が抑制された本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子であるので、温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できる。したがって、上記シート基材が、スペーサーとして使用できる程度に厚みが均一であり、かつ温度変化による圧縮強度の変化が小さいものであれば、上記構成の積層シートは、厚みが均一であり、かつ温度変化による特性の変化が抑制されたものとなるので、温度変化に強いスペーサーとして有用である。
【0035】
また、上記構成の積層シートは、樹脂組成物層に含まれるスペーサー粒子が従来のスペーサー粒子より柔らかく十分な弾性がある本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子であるので、樹脂組成物層に接するシート基材をスペーサー粒子が傷付けることを防止できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、樹脂組成物層中に添加されたときに、樹脂組成物層に接する部材を傷付けることを防止でき、樹脂組成物層の十分な変形性を確保でき、かつ温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できる樹脂組成物層用スペーサー粒子、および、シート基材の傷付きを防止でき、かつ温度変化による特性の変化を抑制できる積層シートを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔樹脂組成物層用スペーサー粒子〕
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05〜10MPa(約0.005〜約1kgf/mm2)の範囲内であり、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が5%以下であり、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、粒子径の変動係数が15%以下である構成である。
【0038】
上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.07MPa以上であることがより好ましく、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.1MPa以上であることがさらに好ましい。これにより、樹脂組成物層の膜厚をより適正な膜厚に制御することができると共に、樹脂組成物層に適正な強度を持たせるために必要な樹脂組成物層用スペーサー粒子の添加量を低減して、製造コストを削減できる。また、上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度は6MPa以下であることがより好ましい。これにより、樹脂組成物層に接する部材(樹脂膜等)を傷付けることをさらに効果的に防止できると共に、樹脂組成物層の十分な変形性をさらに良好にして、樹脂組成物層を用いたデバイスの性能(例えば樹脂組成物層を用いた圧力センサの感度)をさらに向上させることができる。
【0039】
上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が、3%以下であることがより好ましく、1%以下であることがより好ましい。これにより、温度変化による樹脂組成物層の特性の変化をさらに抑制できる。
【0040】
上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が30%以下であることがより好ましい。これにより、−20℃から50℃までの温度範囲において温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できる。
【0041】
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.05〜10MPaの範囲内であり、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が30%以下であり、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、粒子径の変動係数が15%以下である構成である。
【0042】
上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.07MPa以上であることがより好ましく、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が0.1MPa以上であることがさらに好ましい。これにより、樹脂組成物層の膜厚をより適正な膜厚に制御することができると共に、樹脂組成物層に適正な強度を持たせるために必要な樹脂組成物層用スペーサー粒子の添加量を低減して、製造コストを削減できる。また、上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度は6MPa以下であることがより好ましい。これにより、樹脂組成物層に接する部材(樹脂膜等)を傷付けることをさらに効果的に防止できると共に、樹脂組成物層の十分な変形性をさらに良好にして、樹脂組成物層を用いたデバイスの性能(例えば樹脂組成物層を用いた圧力センサの感度)をさらに向上させることができる。
【0043】
上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。これにより、温度変化による樹脂組成物層の特性の変化をさらに抑制できる。
【0044】
また、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子であって、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が、0.01〜2Nの範囲内であり、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される圧縮強度の、−50℃から50℃への温度変化による変化率が、15%以下であり、体積平均粒子径が2〜200μmの範囲内であり、粒子径の変動係数が15%以下である構成である。
【0045】
上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が、0.1N以上であることがより好ましい。これにより、樹脂組成物層の膜厚をより適正な膜厚に制御することができると共に、樹脂組成物層に適正な強度を持たせるために必要な樹脂組成物層用スペーサー粒子の添加量を低減して、製造コストを削減できる。また、上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される室温での圧縮強度が、1N以下であることがより好ましい。これにより、樹脂組成物層に接する部材(樹脂膜等)を傷付けることをさらに効果的に防止できると共に、樹脂組成物層の十分な変形性をさらに良好にして、樹脂組成物層を用いたデバイスの性能(例えば樹脂組成物層を用いた圧力センサの感度)をさらに向上させることができる。
【0046】
上記構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層中に48質量%添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される圧縮強度の、−50℃から50℃への温度変化による変化率が、10%以下であることがより好ましい。これにより、温度変化による樹脂組成物層の特性の変化をさらに抑制できる。
【0047】
上記各構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径の変動係数は、12%以下であることがより好ましい。これにより、樹脂組成物層の膜厚をさらに高い精度で制御できる。
【0048】
上記各構成の樹脂組成物層用スペーサー粒子の体積平均粒子径は、5〜200μmの範囲内であることがより好ましい。これにより、複数の部材同士を接着する樹脂組成物層(例えば圧力センサを構成する複数の部材同士を接着する樹脂組成物層)としてさらに適した樹脂組成物層を実現できる。
【0049】
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂からなることが好ましく、耐溶剤性に優れていることから架橋樹脂からなることがより好ましい。本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、架橋アクリル酸エステル系樹脂からなることがさらに好ましい。これにより、樹脂組成物層用スペーサー粒子と共に樹脂組成物層を構成するバインダー樹脂との相溶性に優れた樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現できるので、基材樹脂と混合して樹脂組成物層を形成したときに、基材中に樹脂組成物用スペーサー粒子が均一に分散し、均一な厚み及び物性を持つ樹脂組成物層を得ることができる。また、耐熱性及び耐候性に優れた樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現できるので、基材樹脂と混合して樹脂組成物層を形成したときに、優れた耐熱性及び耐候性を持つ樹脂組成物層を得ることができる。また、温度変化による圧縮強度の変化率がより小さい樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現できる。
【0050】
以下、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子が架橋アクリル酸エステル系樹脂からなる場合について、詳細に説明する。
【0051】
〔架橋アクリル酸エステル系樹脂からなる樹脂組成物層用スペーサー粒子〕
上記架橋アクリル酸エステル系樹脂からなる樹脂組成物層用スペーサー粒子は、アクリル酸エステル系単官能単量体と架橋性単量体とを含む単量体混合物を重合させることによって得られる重合体である。上記重合の方法としては、水性懸濁重合法等の懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、分散重合法等が挙げられる。これらのうち、水性懸濁重合法およびシード重合法が上記重合の方法として好ましい。
【0052】
上記アクリル酸エステル系単官能単量体は、重合可能なアルケニル基(広義のビニル基)を1分子中に1つ有するアクリル酸エステルである。上記アクリル酸エステル系単官能単量体としては、油溶性のものを使用することが好ましい。上記アクリル酸エステル系単官能単量体としては、アクリル酸とエステル結合を形成する置換基の炭素数が1〜12のアクリル酸エステル系単官能単量体が好ましい。上記アクリル酸とエステル結合を形成する置換基の炭素数が1〜12のアクリル酸エステル系単官能単量体としては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0053】
アクリル酸エステル系単官能単量体の中でも、炭素数1〜8のアルコールのアクリル酸エステルであるもの(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等)が特に好ましい。これにより、耐溶剤性に優れた樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現でき、また、温度変化による圧縮強度の変化率がより小さい樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現できる。
【0054】
上記アクリル酸エステル系単官能単量体の量は、単量体混合物の全量中、50〜95質量%の範囲内であることが好ましく、80〜90質量%の範囲内であることがより好ましい。これにより、耐溶剤性に優れた樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現でき、また、温度変化による圧縮強度の変化率がより小さい樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現できる。これらアクリル酸エステル系単官能単量体は、1種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
また、アクリル酸エステル系単官能単量体と共重合可能な他の単官能単量体を、得られる樹脂組成物層用スペーサー粒子の性能が低下しない範囲内で単量体混合物に添加してもよい。上記他の単官能単量体は、重合可能なアルケニル基(広義のビニル基)を1分子中に1つ有する化合物であって、アクリル酸エステル以外の化合物である。上記他の単官能単量体としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。これら他の単官能単量体は、1種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
上記架橋性単量体は、重合可能なアルケニル基(広義のビニル基)を1分子中に複数個有する化合物(多官能の化合物)である。このような架橋性単量体としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、フタル酸ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、多官能ポリエステル(メタ)アクリレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、下記一般式(I)
CH2=C(R1)−COO−(CH2CH2O)n−CO−C(R2)=CH2…(I)
(上記式中、R1およびR2はそれぞれ独立して水素原子またはメチル基を表し、nは5〜20の整数を表す)
で表される、オキシエチレン基の繰り返し単位を有し、重合可能なアルケニル基を分子の両末端に有する架橋性単量体等の(メタ)アクリル酸エステル系多官能単量体;ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン及びこれらの誘導体である芳香族ジビニル系単量体等が挙げられる。上記一般式(I)で表される架橋性単量体としては、例えば、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘプタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、用語「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、用語「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
【0057】
これら架橋性単量体の中でも、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスルトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及び多官能ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系架橋性単量体が、皮膚刺激性が低いため、好ましい。
【0058】
また、上記架橋性単量体の使用量は、単量体混合物の全量中、5〜50質量%の範囲内であるのが好ましく、10〜30質量%の範囲内であるのがより好ましい。これにより、耐溶剤性に優れた樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現でき、また、温度変化による圧縮強度の変化率がより小さい樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現できる。これら架橋性単量体は、1種のみを用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、アクリル酸エステル系単官能単量体50〜95質量%と架橋性単量体5〜50質量%とを含む単量体混合物を重合させることによって得られる重合体(架橋アクリル酸エステル系樹脂)からなり、前記アクリル酸エステル系単官能単量体が、炭素数1〜8のアルコールのアクリル酸エステルであることが特に好ましい。これにより、さらに耐溶剤性に優れた樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現でき、また、温度変化による圧縮強度の変化率がさらに小さい樹脂組成物層用スペーサー粒子を実現できる。
【0060】
これらアクリル酸エステル系単官能単量体、他の単官能単量体、及び架橋性単量体の組成及び配合量は、最終的に、樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度の変化率が本発明に係る数値範囲の上限値以下となり、かつ樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度が本発明に係る数値範囲の範囲内となるように決められる。
【0061】
水性懸濁重合法は、上記単量体混合物を水性媒体中に懸濁させて重合させる方法である。上記水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール(炭素数5以下のアルコール))との混合媒体が挙げられる。
【0062】
水性懸濁重合では、上記単量体混合物の重合の際に、必要に応じて、重合開始剤、分散剤、界面活性剤等が反応系に使用される。
【0063】
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化オクタノイル、オルソクロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の油溶性過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等の油溶性アゾ化合物等が挙げられる。これら重合開始剤は、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記重合開始剤の添加量は、単量体混合物100質量部に対して0.1〜1質量部の範囲内であることが好ましい。
【0064】
上記分散剤としては、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難水溶性無機塩;ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子等が挙げられる。上記分散剤は、それぞれ1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記分散剤の添加量は、単量体混合物100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0065】
上記界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル等のノニオン性界面活性剤:ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤等が挙げられる。上記界面活性剤は、それぞれ1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。上記界面活性剤の添加量は、水性媒体100質量部に対して0.01〜0.2質量部の範囲内であることが好ましい。
【0066】
重合反応は、油相(単量体混合物、及び必要に応じて用いられる重合開始剤等)と水相(水性媒体、及び、必要に応じて用いられる分散剤、必要に応じて用いられる界面活性剤等)とを混合した後、攪拌しながら昇温して行われる。昇温を2段階で行う場合、界面活性剤は、1段階目の昇温(一次昇温)後、2段階目の昇温(二次昇温)前に水相に添加してもよい。
【0067】
重合温度は40〜90℃の範囲内であることが好ましい。重合時間は1〜10時間の範囲内であることが好ましい。このとき、油相と水相との混合条件及び攪拌条件を制御することで、樹脂組成物層用スペーサー粒子の体積平均粒子径を本発明に係る数値範囲内にすることができる。混合条件及び攪拌条件の制御は、例えば、ホモジナイザーによる分散処理、回転羽根と器壁とのギャップあるいは回転羽根同士のギャップにかかる高シェアー(剪断)を利用した乳化分散機(例えば、プライミクス株式会社製の「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)を使用した分散処理、超音波分散機を用いた分散処理、セラミックミクロ多孔膜に単量体を加圧して通し水性媒体に圧入する分散処理等により行うことができる。
【0068】
重合終了後、必要に応じて、分散剤を酸(例えば塩酸)等で分解し、濾過、洗浄、乾燥、粉砕、分級を行うことにより、樹脂組成物層用スペーサー粒子を得ることができる。なお、樹脂組成物層用スペーサー粒子の製造は、特許文献16(特開平3−37201号公報)に記載された方法を利用して行ってもよい。
【0069】
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、上記樹脂組成物層用スペーサー粒子の表面に無機粉体が付着したものであってもよい。上記の無機粉体は、樹脂組成物層用スペーサー粒子同士の合着を防止するために用いられる。なお、無機粉末は、樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度に実質的に影響しないと考えられる。
【0070】
上記無機粉体としては、疎水性の無機粉体及び親水性の無機粉体をいずれも使用することができる。上記無機粉体としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、酸化鉄、酸化亜鉛等が挙げられる。これら無機粉体の中でも、特に親水性の無機粉体の表面を疎水化処理した粉体が好ましい。そのような粉体の中でも、特に、シリカを疎水化処理して得られる疎水性コロイダルシリカが、効率よく樹脂組成物層用スペーサー粒子に付着して良好な性能を発揮するため、好ましい。
【0071】
上記無機粉体は、樹脂組成物層用スペーサー粒子の製造工程のうちの重合工程、濾過工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程のいずれかでも添加することができるが、乾燥工程又は粉砕工程で添加することが好ましい。上記無機粉体は、樹脂組成物層用スペーサー粒子100質量部に対し、0.1〜5質量部の範囲内で添加することが好ましく、0.5〜4質量部の範囲内で添加することがより好ましい。無機粉体の添加量が上記範囲より少ないと、樹脂組成物層用スペーサー粒子同士の合着が発生し易くなる。
【0072】
〔樹脂組成物層用スペーサー粒子の用途〕
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層の厚みを制御するために樹脂組成物層中に添加される。樹脂組成物層は、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子と、バインダー樹脂とを含んでいる。前記バインダー樹脂としては、有機溶剤もしくは水に可溶な樹脂、または水中に分散できるエマルション型の水性樹脂を使用できる。そのようなバインダー樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。前記バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂またはシリコーン樹脂が好ましい。温度による圧縮強度変化の小さい樹脂組成物層を形成するには、本発明のスペーサー粒子と圧縮強度の近いバインダー樹脂を選択することが好ましい。
【0073】
また、樹脂組成物層の厚さは、樹脂組成物層の使用目的に必要とされる樹脂組成物層の厚み(特にスペーサーとしての使用目的に必要とされる樹脂組成物層の厚み(ギャップ厚))に応じて決定されるが、本発明のスペーサー粒子の効果を最大限発揮するために、上記樹脂組成物層の厚みは、使用するスペーサー粒子の平均粒子径以下であり、かつ2〜200μmの範囲内にあることが好ましい。
【0074】
本発明の積層シートは、上記樹脂組成物層用スペーサー粒子を含む樹脂組成物層と、シート基材とを備える積層シートであって、上記樹脂組成物層が上記シート基材上に形成されているものである。本発明の積層シートの形状は、特に限定されるものではなく、一般に板と呼ばれるような比較的厚い厚みを有する形状であってもよいし、一般にフィルムと呼ばれるような比較的薄い厚みを有する形状であってもよい。
【0075】
上記シート基材としては、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略記する)、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド等の樹脂からなる樹脂シート基材、透明なガラスシート等の無機シート基材、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属からなる金属シート基材等を適宜選択して使用できる。上記シート基材としては、PETおよびアクリル樹脂の少なくとも一方からなる樹脂シート基材が好ましい。上記シート基材は、本発明のスペーサー粒子を含む樹脂組成物層の効果を最大限発揮するために、本発明のスペーサー粒子と同等以上の圧縮強度特性を有する基材であることが好ましい。
【0076】
また、上記シート基材の厚さは、積層シートの使用目的に必要とされる積層シートの厚み(特にスペーサーとしての使用目的に必要とされる積層シートの厚み(ギャップ厚))に応じて決定されるが、本発明のスペーサー粒子を含む樹脂組成物層の効果を最大限発揮するために、上記シート基材の厚みは、使用するスペーサー粒子の平均粒子径以下であり、かつ2〜200μmの範囲内である厚みとすることが好ましい。
【0077】
上記積層シートは、例えば上記樹脂組成物層用スペーサー粒子を含む樹脂組成物をシート基材上に塗工して樹脂組成物層を形成することにより製造することができる。上記樹脂組成物をシート基材上に塗工する方法としては、リバースロールコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、スプレーコート法等の公知の塗工方法を用いることができる。
【0078】
従来より、圧力によって変形可能な薄肉部を有するダイヤフラムと、圧電振動片本体と該圧電振動片本体に形成された一対の電極とを有する圧電振動片と、前記圧電振動片と前記ダイヤフラムとの間に介在し、前記圧電振動片と前記ダイヤフラムと接着する樹脂組成物層とを有しており、ダイヤフラムに加わった圧力によりダイヤフラムとともに圧電振動片が変形し、この変形の度合いに対応して変化する圧電振動片の共振周波数を測定することにより、圧力センサに印加された圧力の大きさを検出する振動式圧力センサであって、前記接着剤に、ダイヤフラムの薄肉部と圧電振動片とを離間させるための樹脂組成物層用スペーサー粒子が含まれている振動式圧力センサが知られている(例えば特許文献17参照)。
【0079】
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、この振動式圧力センサに用いる樹脂組成物層用スペーサー粒子としても好適に使用できる。すなわち、上記振動式圧力センサでは、温度変化によって樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度が変化すると、圧力による樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径の変化し易さが変化するので、同一の圧力が振動式圧力センサに印加されたときのダイヤフラムの変形量が変化してしまう。その結果、同一の圧力が振動式圧力センサに印加されたときの振動式圧力センサの出力、すなわち振動式圧力センサの感度が、変化してしまう。したがって、温度変化によって樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度が変化すると、振動式圧力センサの測定精度が低下することになる。これに対し、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温から50℃への温度変化による圧縮強度(10%圧縮変位時の圧縮強度)の変化率が5%以下であるか、あるいは−50℃から50℃への温度変化による圧縮強度(10%圧縮変位時の圧縮荷重)の変化率が15%以下である。それゆえ、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子を振動式圧力センサに用いることで、少なくとも室温から50℃までの温度範囲、あるいは少なくとも−50℃から50℃までの温度範囲において、温度変化による感度の変化が抑制され、良好な測定精度を有する振動式圧力センサを実現できる。
【0080】
また、他の方式の圧力センサとして、圧力によって変形可能なダイヤフラムと、前記ダイヤフラム上に形成された第1の電極と、第1の電極上に樹脂組成物層を介して配置された第2の電極とを備え、前記樹脂組成物層によって前記第1の電極と前記第2の電極とが接着され、前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離を一定に保つために複数の樹脂組成物層用スペーサー粒子が前記樹脂組成物層に添加され、ダイヤフラムの変形に起因する前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離の変化によって生じた前記第1の電極と前記第2の電極との間の静電容量の変化を電気信号に変換することによって、圧力値を示す電気信号を出力する静電容量式圧力センサが知られている。
【0081】
本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、この静電容量式圧力センサに用いる樹脂組成物層用スペーサー粒子としても好適に使用できる。すなわち、上記静電容量式圧力センサでは、温度変化によって樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度が変化すると、圧力による樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径の変化し易さが変化するので、同一の圧力が静電容量式圧力センサに印加されたときの第1の電極と第2の電極との間の距離の変化量が温度によって変化してしまう。その結果、同一の圧力が静電容量式圧力センサに印加されたときの静電容量式圧力センサの出力電気信号、すなわち静電容量式圧力センサの感度が、変化してしまう。したがって、温度変化によって樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度が変化すると、静電容量式圧力センサの測定精度が低下することになる。これに対し、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温から50℃への温度変化による圧縮強度(10%圧縮変位時の圧縮強度)の変化率が5%以下であるか、あるいは−50℃から50℃への温度変化による圧縮強度(10%圧縮変位時の圧縮荷重)の変化率が15%以下である。それゆえ、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子を静電容量式圧力センサに用いることで、少なくとも室温から50℃までの温度範囲、あるいは少なくとも−50℃から50℃までの温度範囲において、温度変化による感度の変化が抑制され、良好な測定精度を有する静電容量式圧力センサを実現できる。
【0082】
上述したような各種の圧力センサは、自動車の排気ガスの圧力を測定する排気ガス用圧力センサとして好適である。なぜなら、排気ガス用圧力センサは、寒冷地の気温(例えば−20℃程度)から50℃程度までの温度範囲で温度変化による感度の変化が抑制されていることが望ましいからである。
【0083】
また、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、圧力センサ以外のセンサ(例えば、加速度によるダイヤフラムの変形を電気信号として検出する加速度センサなど)を構成する複数の部材を接着する樹脂組成物層に対して部材間の間隔を一定に保つために添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子としても、好適に使用できる。この場合、良好な測定精度を有する加速度センサなどのセンサを実現できる。また、本発明の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、センサ以外の用途に用いる樹脂組成物層用スペーサー粒子として、電子部品(例えば、半導体チップ、電子モジュール等)を構成する複数の部材を接着する樹脂組成物層に対して部材間の間隔を一定に保つために添加される樹脂組成物層用スペーサー粒子としても、好適に使用できる。この場合、温度変化による特性の変化が抑制された電子部品を実現できる。
【実施例】
【0084】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。まず、以下の実施例および比較例における体積平均粒子径、粒子径の変動係数、及び圧縮強度の測定方法を説明する。
【0085】
〔樹脂組成物層用スペーサー粒子の体積平均粒子径及び粒子径の変動係数の測定方法〕
樹脂組成物層用スペーサー粒子の体積平均粒子径およびCV値は、Coulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTERMULTISIZER(1987)に従って、測定する粒子の粒子径に適合したXμmのサイズ(径)を有するアパチャーを用いてコールター方式精密粒度分布測定装置(商品名「コールターマルチサイザーIII」、ベックマン・コールター株式会社製)のキャリブレーションを行い、前記コールター方式精密粒度分布測定装置によって測定を行った。
【0086】
アパチャーサイズXμmは、平均粒子径が1μm未満の樹脂組成物層用スペーサー粒子に対しては20μmであり、1μm以上10μm未満の樹脂組成物層用スペーサー粒子に対しては50μmであり、平均粒子径が10μm以上30μm未満の樹脂組成物層用スペーサー粒子に対しては100μmであり、平均粒子径が30μm以上90μm未満を超える樹脂組成物層用スペーサー粒子に対しては280μmであり、平均粒子径が90μmを超える樹脂組成物層用スペーサー粒子に対しては400μmである。
【0087】
具体的には、樹脂組成物層用スペーサー粒子0.1gを0.1質量%ノニオン系界面活性剤水溶液10ml中にタッチミキサ(商品名「TOUCHMIXER MT−31」、ヤマト科学株式会社製)および超音波を用いて予備分散させ、分散液を得た。次に、この分散液を、前記測定装置本体に備え付けの測定用電解液(「ISOTON(登録商標)II」、ベックマン・コールター株式会社製)を満たしたビーカー中に、緩く撹拌しながらスポイトで滴下して、前記測定装置本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせた。次に、前記測定装置本体にアパチャーサイズXμmをセットし、Current(アパチャー電流)、Gain(ゲイン)、Polarity(内側電極の極性)をアパチャーサイズに合わせた所定の条件に設定して、体積平均粒子径および体積基準の粒度分布の標準偏差を測定した。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く撹拌しておき、樹脂組成物層用スペーサー粒子10万個の測定を行った時点で測定を終了した。体積基準の粒度分布における算術平均径(体積%モードの算術平均径)を樹脂組成物層用スペーサー粒子の体積平均粒子径として算出した。
【0088】
樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、前記標準偏差(σ)および前記体積平均粒子径(D)から以下の式により算出した。
【0089】
CV値(%)=(σ/D)×100
〔樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度及びその変化率の測定方法〕
室温(23〜25℃)雰囲気下及び50℃雰囲気下における、樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変位時の圧縮強度の測定は、株式会社島津製作所製の微小圧縮試験機(「MCT−W201」)を用いた圧縮試験によって行った。すなわち、まず、樹脂組成物層用スペーサー粒子を下部加圧板(SKS平板)上に載置した。次に、下部加圧板上の樹脂組成物層用スペーサー粒子の1個に対して、直径50μmの上部加圧圧子(ダイヤモンド製平面圧子)を用いて、一定の負荷速度1.422mN/secで、荷重が最大荷重(試験力)19.60mNに達するまで、鉛直方向下向きに荷重をかけて、樹脂組成物層用スペーサー粒子を圧縮した。上記上部加圧圧子としては、樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径に適合したサイズのものを用いた。ここで測定対象とした実施例2及び比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子は体積平均粒子径が15.0μmであるため、これらの樹脂組成物層用スペーサー粒子の測定には、直径50μmの上部加圧圧子を用いた。体積平均粒子径が30.0μmである実施例3の樹脂組成物層用スペーサー粒子の測定には、直径50μmの上部加圧圧子を用いた。体積平均粒子径が100.0μm又は101.5μmである実施例1及び比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子の測定には、直径500μmの上部加圧圧子を用いた。
【0090】
そして、樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮変位(圧縮前の直径に対する、圧縮による直径の減少量の割合)が10%になった時点の荷重を測定し、荷重P(N)と、圧縮前の樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径d(mm)とから、樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変位時の圧縮強度S10を、次式
10=2.8×P/(π×d2
により、算出した。
【0091】
室温(23〜25℃)雰囲気下及び50℃雰囲気下で、前述の測定方法で10%圧縮変位時の圧縮強度の測定を行った。各温度条件について、10%圧縮変位時の圧縮強度の測定を測定する樹脂組成物層用スペーサー粒子を代えながら5回ずつ行い、5回の測定により得られた10%圧縮変位時の圧縮強度値の平均を、10%圧縮変位時の圧縮強度の測定値とした。
【0092】
室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率は、室温雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度と、50℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度とから、下記の式を用いて算出した。
【0093】
変化率(%)=((Fr.t−F50)÷Fr.t)×100
(上記式中、Fr.tは室温での圧縮強度(MPa)を表し、F50は50℃での圧縮強度(MPa)を表す)
−20℃における樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変位時の圧縮強度の測定は、株式会社フィッシャーインストルメンツ製の微小硬さ試験機(商品名「HM2000」)を用いた圧縮試験によって行った。すなわち、まず、樹脂組成物層用スペーサー粒子を−20℃に調整されたステージ上に載置した。次に、ステージ上の樹脂組成物層用スペーサー粒子の1個に対して、100μm四方の平面圧子(ダイヤモンド製平面圧子)を用いて、荷重増加モードで、最大荷重49.0mNまで70秒かけて到達するよう、鉛直方向下向きに荷重をかけて、樹脂組成物層用スペーサー粒子を圧縮した。そして、樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮変位(圧縮前の直径に対する、圧縮による直径の減少量の割合)が10%になった時点の荷重を測定し、荷重P(N)と、圧縮前の樹脂組成物層用スペーサー粒子の粒子径d(mm)とから、樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変位時の圧縮強度S10を、次式
10=2.8×P/(π×d2
により、算出した。
【0094】
−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率は、−20℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度と、室温雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度とから、下記の式を用いて算出した。
【0095】
変化率(%)=((F-20−Fr.t)÷F-20)×100
(上記式中、F-20は−20℃での圧縮強度(MPa)を表し、Fr.tは室温での圧縮強度(MPa)を表す)
〔樹脂組成物層中に添加された状態での樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度及びその変化率の測定方法〕
樹脂組成物層中に添加された状態で樹脂組成物層厚み方向への10%圧縮変位時の圧縮荷重として測定される樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度(以下、適宜、「フィルム状態での圧縮強度」と称する)は、以下のようにして、主剤及び硬化剤からなる2液型のアクリル樹脂(アクリルウレタン樹脂)をバインダー樹脂として用いて測定した。
【0096】
まず、遠心分散用容器に、バインダー樹脂としての2液型のアクリル樹脂の主剤(商品名「VM−Dメジウム」、大日精化工業株式会社製、ポリオール化合物の1種である塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸三元共重合体)5.8質量部と、溶剤としてのメチルエチルケトン4.2質量部とを入れ、アクリル樹脂の主剤をメチルエチルケトンに溶解させてアクリル樹脂の主剤の溶液を得た。さらに、このアクリル樹脂の主剤の溶液に、樹脂組成物層用スペーサー粒子6.0質量部と、2液型のアクリル樹脂の硬化剤(商品名「VM−D硬化剤」、大日精化工業株式会社製、イソシアネート化合物)0.6質量部とを添加して、アクリル樹脂溶液と樹脂組成物層用スペーサー粒子との混合物を調製した。この混合物が入っている遠心分散用容器を、遠心脱泡機(商品名「あわとり練太郎(登録商標)」、株式会社シンキー製、自転・公転ミキサー)に挿入し、上記混合物を3分間撹拌して、樹脂組成物層用スペーサー粒子がアクリル樹脂溶液中に分散した粒子分散液を作製した。
【0097】
次に、測定対象である樹脂組成物層用スペーサー粒子を含む試験体フィルムを作製した。すなわち、樹脂組成物層用スペーサー粒子がアクリル樹脂溶液中に分散した粒子分散液を、透明PETフィルム(商品名「OHPフィルム PP2500」、住友スリーエム株式会社製、外寸:横210mm×縦297mm×厚み100μm)上に垂らし、バーコート法によって上記粒子分散液をアクリル透明フィルム上に塗布することによって、厚み(ウェット膜厚)100μmのウェット膜(粒子分散液の膜)を透明PETフィルム上に形成した。その後、ウェット膜を硬化させることによって、硬化した粒子分散液の層(樹脂組成物層)と透明PETフィルムとの2層からなる試験体フィルム(5cm×5cm)を作製した。
【0098】
ここで、樹脂組成物層中における樹脂組成物層用スペーサー粒子の添加量(6.0質量部)は、樹脂組成物層の全質量(12.4質量部)に対して48質量%である。また、樹脂組成物層における樹脂組成物層用スペーサー粒子が存在しない部分の厚み(乾燥膜厚)は、ウェット膜厚(100μm)より薄いので、前記樹脂組成物層用スペーサー粒子の体積平均粒子径(100μm)よりも薄く、90μm未満(10%圧縮変位時の樹脂組成物層の厚み(最大厚)未満)であった。
【0099】
次に、試験体フィルムの圧縮強度を、株式会社島津製作所製の引張圧縮試験機(コンピュータ計測制御式精密万能試験機、商品名「オートグラフAG−X」、形名「AG−100kNX」)を用いて測定した。そして、試料台上に載置した試験体フィルムに対して、直径10cmの円形の圧盤を用いて、一定の負荷速度1.422mN/secで、試験体フィルムの厚み方向に荷重をかけて、試験体フィルムを圧縮した。そして、試験体フィルムの圧縮変位(圧縮前の厚みに対する、圧縮による厚みの減少量の割合)が10%になった時点の荷重(圧縮荷重)を測定し、測定された荷重を試験体フィルムの圧縮強度、すなわち樹脂組成物層用スペーサー粒子のフィルム状態での圧縮強度とした。ここで、上記圧盤および試料台の材質は、SK材(炭素工具鋼鋼材)である。
【0100】
樹脂組成物層用スペーサー粒子を含む試験体フィルムについて、−50℃雰囲気下、室温(23〜25℃)雰囲気下、及び50℃雰囲気下で、前述の測定方法でフィルム状態での圧縮強度の測定を行った。各温度条件について、フィルム状態での圧縮強度の測定を測定する試験体フィルムを代えながら3回ずつ行い、3回の測定により得られたフィルム状態での圧縮強度値の平均を、フィルム状態での圧縮強度の測定値とした。
【0101】
上記圧縮荷重として測定される圧縮強度(N)は、圧盤に対向する部分の試験体フィルムに圧縮荷重が均等にかかるとすれば、次式により圧縮強度(MPa)に換算できる。
【0102】
S=p/d2=p/2500
(上記式中、Sは圧縮強度(MPa)、pは圧縮荷重として測定される圧縮強度(N)、dは正方形の試験体フィルムの1辺の長さ(mm)を表す)
−50℃から50℃への温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化率は、−50℃雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度と、50℃雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度とから、下記の式を用いて算出した。
【0103】
変化率(%)=((F-50−F50)÷F-50)×100
(上記式中、F-50は−50℃雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度(N)を表し、F50は50℃雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度(N)を表す)
〔実施例1〕
アクリル酸エステル系単官能単量体としての、アクリル酸n−ブチル73質量部、アクリル酸メチル8質量部、及びアクリル酸2−エチルヘキシル6質量部と、架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製)13質量部と、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部及び過酸化ベンゾイル0.1質量部とを混合して、油相を調製した。また、水性媒体としての脱イオン水200質量部と、分散剤としての、複分解法により生成させたピロリン酸マグネシウム6.1質量部とを混合して、水相を調製した。
【0104】
次に、上記油相を上記水相中に分散させて分散液を得た。その後、攪拌機及び温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、30℃雰囲気下の状態で、上記分散液を上記攪拌機により攪拌回転数250rpmで10分間程度撹拌することによって、懸濁液を作製した。その後、重合器の内部温度を50℃に昇温して上記懸濁液の攪拌を3時間続け、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05質量部を上記懸濁液に追加した後、重合器の内部温度を90℃に昇温(二次昇温)し、上記懸濁液を90℃で1.5時間撹拌することによって、懸濁重合反応を完了させた。
【0105】
上記懸濁液を冷却した後、この懸濁液に含まれている分散剤(ピロリン酸マグネシウム)を塩酸によって分解した。その後、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分な水により固形分を洗浄した。洗浄後の固形分に、無機粉末としての疎水性コロイダルシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「AEROSIL(登録商標)R974」)2.5質量部を添加し、減圧乾燥することで、樹脂粒子を得た。最後に、樹脂粒子を分級することによって、樹脂粒子の粒度を調整し、樹脂組成物層用スペーサー粒子である樹脂粒子を得た。樹脂粒子の分級では、所望の粒子径範囲より小さい粒子径を持つ小粒子を気流分級によって除去し、所望の粒子径範囲より大きい粒子径を持つ大粒子を篩分級によって除去した。これによって、粒子径の変動係数(CV値)が10.7%であり、体積平均粒子径が100.0μmの樹脂組成物層用スペーサー粒子を得た。
【0106】
〔実施例2〕
まず、実施例1と同様にして、油相及び水相を調製した。
【0107】
次に、上記油相及び上記水相をホモミクサー(プライミクス株式会社製の卓上型高速乳化・分散機、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)により攪拌回転数4000rpmで10分間攪拌することにより、上記油相を上記水相中に分散させて、懸濁液を得た。その後、攪拌機及び温度計を備えた重合器にこの懸濁液を入れ、50℃で懸濁液の攪拌を3時間続けて、懸濁重合反応を行った。その後、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05質量部を上記懸濁液に追加し、重合器の内部温度を90℃に昇温して(二次昇温)から、上記懸濁液を90℃で1.5時間撹拌することで、懸濁重合反応を完了させた。
【0108】
上記懸濁液を冷却した後、この懸濁液に含まれている分散剤(ピロリン酸マグネシウム)を塩酸によって分解した。その後、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分な水により固形分を洗浄した。洗浄後の固形分に、無機粉末としての疎水性コロイダルシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「AEROSIL(登録商標)R974」)2.5質量部を添加し、減圧乾燥することで、樹脂粒子を得た。最後に、樹脂粒子を分級することによって、樹脂粒子の粒度を調整し、樹脂組成物層用スペーサー粒子である樹脂粒子を得た。樹脂粒子の分級では、所望の粒子径範囲より小さい粒子径を持つ小粒子を気流分級によって除去し、所望の粒子径範囲より大きい粒子径を持つ大粒子を篩分級によって除去した。これによって、粒子径の変動係数(CV値)が13.0%であり、体積平均粒子径が15.0μmの樹脂組成物層用スペーサー粒子を得た。
【0109】
〔実施例3〕
アクリル酸エステル系単官能単量体としての、アクリル酸n−ブチル67質量部、アクリル酸メチル7質量部、及びアクリル酸2−エチルヘキシル5質量部と、架橋性単量体としてのエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製)1質量部、及びテトラデカエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製、商品名「ライトエステル14EG」)20質量部と、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部及び過酸化ベンゾイル0.1質量部とを混合して、油相を調製した。また、水性媒体としての脱イオン水200質量部と、分散剤としての、複分解法により生成させたピロリン酸マグネシウム6.1質量部とを混合して、水相を調製した。
【0110】
次に、上記油相及び上記水相をホモミクサー(プライミクス株式会社製の卓上型高速乳化・分散機、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)により攪拌回転数2000rpmで10分間攪拌することにより、上記油相を上記水相中に分散させて、懸濁液を得た。その後、攪拌機及び温度計を備えた重合器にこの懸濁液を入れ、50℃で懸濁液の攪拌を3時間続けて、懸濁重合反応を行った。その後、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05質量部を上記懸濁液に追加し、重合器の内部温度を90℃に昇温して(二次昇温)から、上記懸濁液を90℃で1.5時間撹拌することで、懸濁重合反応を完了させた。
【0111】
上記懸濁液を冷却した後、この懸濁液に含まれている分散剤(ピロリン酸マグネシウム)を塩酸によって分解した。その後、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分な水により固形分を洗浄した。洗浄後の固形分に、無機粉末としての疎水性コロイダルシリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名「AEROSIL(登録商標)R974」)2.5質量部を添加し、減圧乾燥することで、樹脂粒子を得た。最後に、樹脂粒子を分級することによって、樹脂粒子の粒度を調整し、樹脂組成物層用スペーサー粒子である樹脂粒子を得た。樹脂粒子の分級では、所望の粒子径範囲より小さい粒子径を持つ小粒子を気流分級によって除去し、所望の粒子径範囲より大きい粒子径を持つ大粒子を篩分級によって除去した。これによって、粒子径の変動係数(CV値)が12.0%であり、体積平均粒子径が30.0μmの樹脂組成物層用スペーサー粒子を得た。
【0112】
〔比較例1〕
アクリル酸エステル系単官能単量体であるメタクリル酸メチル95質量部と、架橋性単量体であるエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製)5質量部と、重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部及び過酸化ベンゾイル0.2質量部とを混合して、油相を調製した。また、水性媒体である脱イオン水150質量部と、分散剤である、複分解法により生成させたピロリン酸マグネシウム2.0質量部とを混合して、水相を調製した。
【0113】
次に、上記油相を上記水相中に分散させて分散液を得た。その後、攪拌機及び温度計を備えた重合器にこの分散液を入れ、30℃雰囲気下の状態で、上記分散液を上記攪拌機により攪拌回転数250rpmで10分間程度撹拌することによって、懸濁液を作製した。その後、重合器の内部温度を50℃に昇温して上記懸濁液の攪拌を3時間続けた後、重合器の内部温度を105℃に昇温し、上記懸濁液を105℃でさらに1.0時間撹拌することによって、懸濁重合反応を完了させた。
【0114】
上記懸濁液を冷却した後、この懸濁液に含まれている分散剤(ピロリン酸マグネシウム)を塩酸によって分解した。その後、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分な水により固形分を洗浄した。洗浄後の固形分を減圧乾燥することで、樹脂粒子を得た。最後に、樹脂粒子を分級することによって、樹脂粒子の粒度を調整し、樹脂組成物層用スペーサー粒子である樹脂粒子を得た。樹脂粒子の分級では、所望の粒子径範囲より小さい粒子径を持つ小粒子を気流分級によって除去し、所望の粒子径範囲より大きい粒子径を持つ大粒子を篩分級によって除去した。これによって、粒子径の変動係数(CV値)が10.8%であり、体積平均粒子径が101.5μmの樹脂組成物層用スペーサー粒子を得た。
【0115】
〔比較例2〕
アクリル酸エステル系単官能単量体であるメタクリル酸メチル95質量部と、架橋性単量体であるエチレングリコールジメタクリレート(共栄社化学株式会社製)5質量部と、重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部及び過酸化ベンゾイル0.25質量部とを混合して、油相を調製した。また、水性媒体である脱イオン水150質量部と、分散剤である、複分解法により生成させたピロリン酸マグネシウム3.0質量部と、界面活性剤であるアルキル硫酸ナトリウム0.059質量部と、重合禁止剤である亜硝酸ナトリウム0.015質量部とを混合して、水相を調製した。
【0116】
次に、上記油相及び上記水相をホモミクサー(プライミクス株式会社製の卓上型高速乳化・分散機、商品名「T.K.ホモミクサーMARK II 2.5型」)により攪拌回転数4000rpmで10分間攪拌することにより、上記油相を上記水相中に分散させて、懸濁液を得た。その後、攪拌機及び温度計を備えた重合器にこの懸濁液を入れ、50℃で懸濁液の攪拌を3時間続けて、懸濁重合反応を行った。その後、界面活性剤としてのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05質量部と、懸濁安定剤を一部分解又は中和する水溶性酸性物質であるスルファミン酸0.15質量部とを上記懸濁液に追加し、重合器の内部温度を90℃に昇温して(二次昇温)から、上記懸濁液を105℃で1.5時間撹拌することで、懸濁重合反応を完了させた。
【0117】
上記懸濁液を冷却した後、この懸濁液に含まれている分散剤(ピロリン酸マグネシウム)を塩酸によって分解した。その後、懸濁液を濾過により脱水して固形分を分離し、十分な水により固形分を洗浄した。洗浄後の固形分を減圧乾燥することで、樹脂粒子を得た。最後に、樹脂粒子を分級することによって、樹脂粒子の粒度を調整し、樹脂組成物層用スペーサー粒子である樹脂粒子を得た。樹脂粒子の分級では、所望の粒子径範囲より小さい粒子径を持つ小粒子を気流分級によって除去し、所望の粒子径範囲より大きい粒子径を持つ大粒子を篩分級によって除去した。これによって、粒子径の変動係数(CV値)が10.8%であり、体積平均粒子径が15.0μmの樹脂組成物層用スペーサー粒子を得た。
【0118】
〔樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変位時の圧縮強度の測定〕
体積平均粒子径が15.0μmである、実施例2及び比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子のそれぞれについて、前述の測定方法で、室温(23〜25℃)雰囲気下及び50℃雰囲気下における10%圧縮変位時の圧縮強度およびその変化率の測定を行った。
【0119】
測定の結果、実施例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度が2.06MPaであり、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が0.48%であった。また、比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度が27.95MPaであり、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が15.21%であった。
【0120】
したがって、実施例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が、比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して低く、0.05〜10MPaの範囲内であり、かつ、温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が、比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して大きく抑制され、5%以下となっていることが分かった。したがって、実施例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層中に添加されたときに、温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できると考えられる。
【0121】
実施例2及び比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子について測定された、室温雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度(室温での圧縮強度)、50℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度(50℃での圧縮強度)、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化量(圧縮強度の変化量)、及び室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率(圧縮強度の変化率)を、表1にまとめて示す。
【0122】
【表1】
【0123】
〔樹脂組成物層用スペーサー粒子の−20℃における10%圧縮変位時の圧縮強度の測定〕
実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子について、前述した圧縮強度の測定方法により、室温での圧縮強度を測定したところ、0.108MPaであった。また、実施例3の樹脂組成物層用スペーサー粒子について、前述した圧縮強度の測定方法により、室温での圧縮強度を測定したところ、0.103MPaであった。比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子について、前述した圧縮強度の測定方法により、室温での圧縮強度を測定したところ、27.35MPaであった。実施例1,3及び比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子のそれぞれについて、前述の測定方法で、−20℃雰囲気下における10%圧縮変位時の圧縮強度の測定を行い、−20℃から室温への温度変化による圧縮強度の変化率を算出した。
【0124】
測定の結果、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、−20℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度が0.147MPaであり、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が26.5%であった。実施例3の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、−20℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度が0.113MPaであり、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が8.8%であった。また、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、−20℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度が46.23MPaであり、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が40.8%であった。
【0125】
したがって、実施例1及び3の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温における10%圧縮変位時の圧縮強度が、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して低く、0.05〜10MPaの範囲内であり、かつ、温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して大きく抑制され、30%以下となっていることが分かった。したがって、実施例1及び3の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層中に添加されたときに、温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できると考えられる。
【0126】
実施例1,3及び比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子について測定された、−20℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度(−20℃での圧縮強度)、室温雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度(室温での圧縮強度)、−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化量(−20℃から室温への圧縮強度の変化量)、及び−20℃から室温への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率(−20℃から室温への圧縮強度の変化率)を、表2にまとめて示す。
【0127】
また、実施例1及び比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子のそれぞれについて、前述の測定方法で、50℃雰囲気下における10%圧縮変位時の圧縮強度の測定を行い、室温から50℃への温度変化による圧縮強度の変化率を算出した。
【0128】
測定の結果、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、50℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度が0.103MPaであり、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が4.6%であった。また、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、50℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度が20.20MPaであり、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が26.1%であった。
【0129】
したがって、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率が、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して大きく抑制され、5%以下となっていることが分かった。したがって、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、樹脂組成物層中に添加されたときに、温度変化による樹脂組成物層の特性の変化を抑制できると考えられる。
【0130】
実施例1及び比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子について測定された、50℃雰囲気下での10%圧縮変位時の圧縮強度(50℃での圧縮強度)、及び室温から50℃への温度変化による10%圧縮変位時の圧縮強度の変化率(室温から50℃への圧縮強度の変化率)を、表2にまとめて示す。
【0131】
【表2】
【0132】
〔樹脂組成物層用スペーサー粒子のK値の測定〕
実施例1および2の樹脂組成物層用スペーサー粒子並びに比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子について、前述した圧縮強度の測定方法と同様の圧縮試験を室温雰囲気下で実施し、樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変形時の荷重値F(kgf)、樹脂組成物層用スペーサー粒子の10%圧縮変形時の圧縮変位S(mm)、樹脂組成物層用スペーサー粒子の半径R(mm)を測定した。そして、これらF、S、及びRから、特許文献4〜8で規定されているK値を、次式
K=(3/√2)・F・S-3/2・R-1/2
により算出した。その結果、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子のK値は11.44MPa(N/mm2)であり、実施例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子のK値は186.6MPa(N/mm2)であり、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子のK値は2939MPa(N/mm2)であり、比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子のK値は2960MPa(N/mm2)であった。したがって、実施例1および実施例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子のK値は、比較例1および比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子のK値よりも顕著に低く、また、特許文献4〜8で規定されたK値の数値範囲(980〜4900N/mm2)よりも顕著に低かった。これは、実施例1及び実施例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子が、比較例1および比較例2の樹脂組成物層用スペーサー粒子及び特許文献4〜8の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して顕著に低い圧縮強度を持っているためである。
【0133】
〔フィルム状態での樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度及びその変化率の測定〕
実施例1及び比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子のそれぞれについて、前述の測定方法で、−50℃雰囲気下、室温(23〜25℃)雰囲気下、及び50℃雰囲気下におけるフィルム状態での圧縮強度およびその変化率の測定を行った。
【0134】
また、ブランク試験用の試験体フィルムとして、樹脂組成物層用スペーサー粒子を含まず、アクリル樹脂のみからなる試験体フィルムを作製した。すなわち、樹脂組成物層用スペーサー粒子を使用しないこと以外は、前述したフィルム状態での樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度の測定方法における粒子分散液の作製方法と同様にして、アクリル樹脂溶液を作製した。次に、樹脂組成物層用スペーサー粒子を含む粒子分散液に代えて上記アクリル樹脂溶液を用いる以外は、前述したフィルム状態での樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度の測定方法と同様にして、ブランク試験用の試験体フィルムを作製し、ブランク試験用の試験体フィルムの厚み方向への10%圧縮変位時の荷重を圧縮強度として測定し、−50℃から50℃への温度変化による圧縮強度の変化率を算出した。
【0135】
測定の結果、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度が0.367N(1.47×10-4MPa)であり、−50℃から50℃への温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化率が7.5%であった。また、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度が1.334N(5.34×10-4MPa)であり、−50℃から50℃への温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化率が37.8%であった。したがって、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子は、室温におけるフィルム状態での圧縮強度が、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して低く、0.01〜2N(4.0×10-6〜8.0×10-4MPa)の範囲内であり、かつ、温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化率が、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子と比較して大きく抑制され、15%以下となっていることが分かった。
【0136】
また、ブランク試験用の試験体フィルムの温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化率が、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子の温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化率と比較して顕著に高いことから、樹脂組成物層用スペーサー粒子のフィルム状態での圧縮強度は、ほぼ樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度に依存し、樹脂組成物層用スペーサー粒子以外の、樹脂組成物層を構成する成分(アクリル樹脂)の圧縮強度にはほとんど左右されないことが分かった。また、樹脂組成物層用スペーサー粒子の圧縮強度は透明PETフィルムの圧縮強度よりもかなり低いため、樹脂組成物層用スペーサー粒子のフィルム状態での圧縮強度は、透明PETフィルムの圧縮強度に影響されていないと思われる。
【0137】
また、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子及び実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子をそれぞれ圧力センサの樹脂組成物層に添加して圧力センサを作製し、温度による圧力センサの感度の変化を測定した。その結果、比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子を用いた圧力センサは、温度によって感度が大きく変化する特性を示したのに対し、実施例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子を用いた圧力センサは、温度による感度の変化が小さい特性を示した。
【0138】
実施例1及び比較例1の樹脂組成物層用スペーサー粒子と、ブランク試験用の試験体フィルム(ブランク)とについて測定された、−50℃雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度(−50℃での圧縮強度)、室温雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度(室温での圧縮強度)、50℃雰囲気下でのフィルム状態での圧縮強度(50℃での圧縮強度)、−50℃から50℃への温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化量(圧縮強度の変化量)、及び−50℃から50℃への温度変化によるフィルム状態での圧縮強度の変化率(圧縮強度の変化率)を、表3にまとめて示す。
【0139】
【表3】
【0140】
本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0141】
また、この出願は、2011年9月27日に日本で出願された特願2011−210817に基づく優先権を請求する。これに言及することにより、その全ての内容は本出願に組み込まれるものである。