(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一観点に係るはんだ合金は、必須成分として、スズ(Sn)、銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)およびニッケル(Ni)を含有している。換言すれば、はんだ合金は、本質的に、スズ、銀、銅、ビスマス、アンチモン、インジウムおよびニッケルからなる。なお、本明細書において、本質的とは、上記の各元素を必須成分とし、また、後述する任意成分を後述する割合で含有することを許容する意味である。
【0024】
このようなはんだ合金において、スズの含有割合は、後述する各成分の残余の割合であって、各成分の配合量に応じて、適宜設定される。
【0025】
銀の含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.05質量%以上、好ましくは、0.05質量%を超過、より好ましくは、0.08質量%以上であり、0.2質量%未満、好ましくは、0.18質量%以下である。
【0026】
銀の含有割合が上記範囲であれば、低コスト化を図ることができる。また、他の金属の含有割合を後述する範囲に設定しているため、はんだ合金における銀の含有割合が上記のように少なく設定されていても、優れた接合強度を得ることができ、さらには、低融点化を図ることができる。
【0027】
一方、銀の含有割合が上記下限を下回る場合には、接合強度に劣る。また、銀の含有割合が上記上限を上回る場合には、高コスト化し、また、後述するコバルトが配合される場合において、コバルトによる効果(接合強度の向上)の発現を阻害する。
【0028】
銅の含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.1質量%以上、好ましくは、0.3質量%以上であり、1質量%以下、好ましくは、0.8質量%以下である。
【0029】
銅の含有割合が上記範囲であれば、優れた接合強度を得ることができ、また、低融点化を図ることができる。
【0030】
一方、銅の含有割合が上記下限を下回る場合には、低融点化を図ることができず、はんだ付における作業性に劣り、また、はんだ付される部材に損傷を生じるという不具合がある。また、銅の含有割合が上記上限を上回る場合にも、低融点化を図ることができず、はんだ付における作業性に劣り、また、はんだ付される部材に損傷を生じるという不具合がある。
【0031】
ビスマスの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、4質量%を超過しており、好ましくは、4.1質量%以上であり、また、10質量%以下、好ましくは、6.5質量%以下である。
【0032】
ビスマスの含有割合が上記範囲であり、かつ、ビスマスとニッケルとの質量比(Bi/Ni)が後述する範囲であれば、優れた接合強度を得ることができ、また、低融点化を図ることができる。
【0033】
一方、ビスマスの含有割合が上記下限を下回る場合には、低融点化を図ることができず、はんだ付における作業性に劣り、また、はんだ付される部材に損傷を生じるという不具合がある。また、ビスマスの含有割合が上記上限を上回る場合には、接合強度に劣る。
【0034】
アンチモンの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.005質量%以上、好ましくは、0.01質量%以上であり、8質量%以下、好ましくは、5.0質量%以下、より好ましくは、2.5質量%以下である。
【0035】
アンチモンの含有割合が上記範囲であれば、優れた接合強度を得ることができ、また、低融点化を図ることができる。
【0036】
一方、アンチモンの含有割合が上記下限を下回る場合には、接合強度に劣る。また、アンチモンの含有割合が上記上限を上回る場合には、低融点化を図ることができず、はんだ付における作業性に劣り、また、はんだ付される部材に損傷を生じるという不具合がある。
【0037】
インジウムの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.005質量%以上、好ましくは、0.05質量%以上であり、2質量%以下、好ましくは、1質量%以下である。
【0038】
インジウムの含有割合が上記範囲であれば、優れた接合強度を得ることができ、また、低融点化を図ることができる。
【0039】
一方、インジウムの含有割合が上記下限を下回る場合には、接合強度に劣る。また、インジウムの含有割合が上記上限を上回る場合には、高コスト化し、さらにボイドが発生しやすくなる場合がある。
【0040】
ニッケルの含有割合は、はんだ合金の総量に対して、0.003質量%以上、好ましくは、0.005質量%以上、より好ましくは、0.02質量%以上であり、0.4質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下である。
【0041】
ニッケルの含有割合が上記範囲であり、かつ、ビスマスとニッケルとの質量比(Bi/Ni)が後述する範囲であれば、優れた接合強度を得ることができ、また、低融点化を図ることができる。
【0042】
一方、ニッケルの含有割合が上記下限を下回る場合には、接合強度に劣る。また、ニッケルの含有割合が上記上限を上回る場合にも接合強度に劣る。さらには、低融点化を図ることができず、はんだ付における作業性に劣り、また、はんだ付される部材に損傷を生じる場合がある。
【0043】
また、本発明のはんだ合金では、ニッケルの含有量に対する、ビスマスの含有量の質量比(Bi/Ni)が、35以上、好ましくは、40以上、より好ましくは、51以上であり、1500以下、好ましくは、1200以下、より好ましくは、250以下、より好ましくは、77以下である。
【0044】
ニッケルとビスマスとの質量比(Bi/Ni)が上記範囲であれば、優れた接合強度を得ることができながら、ビスマスの含有割合を増やして低融点化を図ることができる。
【0045】
一方、ニッケルとビスマスとの質量比(Bi/Ni)が上記下限を下回る場合には、接合強度に劣る。また、ニッケルとビスマスとの質量比(Bi/Ni)が上記上限を上回る場合にも、接合強度に劣る。
【0046】
また、上記はんだ合金は、任意成分として、さらに、コバルト(Co)を含有することができる。
【0047】
任意成分としてコバルトを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0.001質量%以上、好ましくは、0.002質量%以上であり、例えば、0.1質量%以下、好ましくは、0.01質量%以下である。
【0048】
コバルトの含有割合が上記範囲であれば、より優れた接合強度を得ることができる。
【0049】
また、上記はんだ合金は、任意成分として、さらに、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)およびリン(P)からなる元素から選択される少なくとも1種を含有することができる。
【0050】
任意成分としてゲルマニウムを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
【0051】
ゲルマニウムの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
【0052】
任意成分としてガリウムを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
【0053】
ガリウムの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
【0054】
任意成分として鉄を含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
【0055】
鉄の含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
【0056】
任意成分としてリンを含有する場合には、その含有割合は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下である。
【0057】
リンの含有割合が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
【0058】
これら任意成分は、単独使用または2種類以上併用することができる。
【0059】
任意成分として上記の元素が含有される場合、その含有割合(2種類以上併用される場合には、それらの総量)は、はんだ合金の総量に対して、例えば、0質量%を超過し、例えば、1.0質量%以下となるように、調整される。
【0060】
任意成分の含有割合の総量が上記範囲であれば、本発明の優れた効果を維持することができる。
【0061】
そして、このようなはんだ合金は、上記した各金属成分を溶融炉において溶融させ、均一化するなど、公知の方法で合金化することにより得ることができる。
【0062】
なお、はんだ合金の製造に用いられる上記した各金属成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、微量の不純物(不可避不純物)を含有することができる。
【0063】
不純物としては、例えば、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、金(Au)などが挙げられる。
【0064】
そして、このようにして得られるはんだ合金の、DSC法(測定条件:昇温速度0.5℃/分)により測定される融点は、例えば、200℃以上、好ましくは、210℃以上であり、例えば、240℃未満、好ましくは、230℃以下、より好ましくは、225℃以下である。
【0065】
はんだ合金の融点が上記範囲であれば、ソルダペーストに用いた場合に、簡易かつ作業性よく金属接合することができ、また、はんだ付される部材の損傷を抑制できる。
【0066】
そして、上記のはんだ合金は、本質的に、スズ、銀、銅、ビスマス、アンチモン、インジウムおよびニッケルからなるはんだ合金において、各成分の含有割合が、上記の所定量となるように設計されている。
【0067】
そのため、上記のはんだ合金によれば、低コスト化を図ることができ、また、低融点化を図ることができ、さらには、優れた接合強度(耐冷熱疲労性など)を確保することができる。
【0068】
そのため、このようなはんだ合金は、好ましくは、ソルダペースト(ソルダペースト接合材)に含有される。
【0069】
具体的には、本発明の他の一観点に係るソルダペーストは、上記したはんだ合金と、フラックスとを含有している。
【0070】
ソルダペーストにおいて、はんだ合金は、好ましくは、粉末として含有される。
【0071】
粉末形状としては、特に制限されず、例えば、実質的に完全な球状、例えば、扁平なブロック状、例えば、針状などが挙げられ、また、不定形であってもよい。粉末形状は、ソルダペーストに要求される性能(例えば、チクソトロピー、粘度など)に応じて、適宜設定される。
【0072】
はんだ合金の粉末の平均粒子径(球状の場合)、または、平均長手方向長さ(球状でない場合)は、レーザ回折法による粒子径・粒度分布測定装置を用いた測定で、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0073】
フラックスとしては、特に制限されず、公知のはんだフラックスを用いることができる。
【0074】
具体的には、フラックスは、例えば、ベース樹脂(ロジン、アクリル樹脂など)、活性剤(例えば、エチルアミン、プロピルアミンなどアミンのハロゲン化水素酸塩、例えば、乳酸、クエン酸、安息香酸などの有機カルボン酸など)、チクソトロピー剤(硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックスなど)などを主成分とし、また、フラックスを液状にして使用する場合には、さらに有機溶剤を含有することができる。
【0075】
そして、ソルダペーストは、上記したはんだ合金からなる粉末と、上記したフラックスとを、公知の方法で混合することにより得ることができる。
【0076】
はんだ合金と、フラックスとの配合割合は、はんだ合金はんだ合金:フラックス(質量比)として、例えば、70:30〜95:5である。
【0077】
そして、上記ソルダペーストは、上記はんだ合金を含有するので、低コスト化を図ることができ、また、低融点化を図ることができ、さらには、優れた接合強度(耐冷熱疲労性など)を確保することができる。
【0078】
また、本発明は、上記のソルダペーストによってはんだ付されているはんだ付部を備える電子回路基板を含んでいる。
【0079】
すなわち、上記のソルダペーストは、例えば、電気・電子機器などのプリント基板の電極と、電子部品とのはんだ付(金属接合)において、好適に用いられる。
【0080】
換言すると、電子回路基板は、電極を有するプリント基板と、電子部品と、電極および電子部品を金属接合するはんだ付部とを備え、はんだ付部が上記のソルダペーストをリフローすることにより形成されている。
【0081】
電子部品としては、特に制限されず、例えば、チップ部品(ICチップなど)、抵抗器、ダイオード、コンデンサ、トランジスタなどの公知の電子部品が挙げられる。
【0082】
そして、このような電子回路基板は、はんだ付において、上記ソルダペーストが用いられるので、低コスト化を図ることができ、また、低融点化を図ることができ、さらには、優れた接合強度(耐冷熱疲労性など)を確保することができる。
【0083】
なお、上記はんだ合金の使用方法は、上記ソルダペーストに限定されず、例えば、やに入りはんだ接合材の製造に用いることもできる。具体的には、例えば、公知の方法(例えば、押出成形など)により、上記のフラックスをコアとして、上記はんだ合金を線状に成形することにより、やに入りはんだ接合材を得ることもできる。
【0084】
そして、このようなやに入りはんだ接合材も、ソルダペーストと同様、例えば、電気・電子機器などの電子回路基板のはんだ付(金属接合)において、好適に用いられる。
【実施例】
【0085】
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に言及がない限り、質量基準である。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0086】
実施例1〜54および比較例1〜10
・はんだ合金の調製
表1〜2に記載の各金属の粉末を、表1〜2に記載の配合割合でそれぞれ混合し、得られた金属混合物を溶解炉にて溶解および均一化させて、はんだ合金を調製した。
【0087】
また、各実施例および各比較例の配合処方におけるスズ(Sn)の配合割合は、表1〜2に記載の各金属(銀(Ag)、銅(Cu)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)、インジウム(In)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)およびリン(P))の配合割合(質量%)を、はんだ合金の総量から差し引いた残部である。なお、表中には、残部を「Bal.」と表記する。
【0088】
実施例1は、Ag、Cu、Bi、Sb、InおよびNiを、表1に示す割合で配合し、残部をSnとしたはんだ合金である。
【0089】
実施例2〜35は、実施例1の処方に対して、Biおよび/またはNiの配合割合を増減させ、それらの質量比(Bi/Ni)の値を変化させた処方の例である。
【0090】
実施例36〜42は、実施例10の処方に対して、さらに、Coを配合し、また、Coの含有割合を増減させた処方の例である。
【0091】
実施例43〜46は、実施例38の処方に対して、Ge、Ga、FeおよびPの内のいずれか1種を添加した処方の例である。
【0092】
実施例47〜48は、実施例38の処方に対して、Agの含有割合を増減させた処方の例である。
【0093】
実施例49〜52は、実施例38の処方に対して、Sbの含有割合を増減させた処方の例である。
【0094】
実施例53〜54は、実施例38の処方に対して、Inの含有割合を増減させた処方の例である。
【0095】
比較例1〜2は、実施例10の処方に対して、Biの配合割合を増減させ、Biを過剰または不十分とした処方の例である。
【0096】
比較例3は、実施例10の処方に対して、Niの配合割合を減少させ、Niを不十分とし、また、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過大とした処方の例である。
【0097】
比較例4は、実施例10の処方に対して、Niの配合割合を増加させ、Niを過剰とし、また、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過小とした処方の例である。
【0098】
比較例5は、実施例13の処方に対して、Niの配合割合を減少させ、また、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過大とした処方の例である。
【0099】
比較例6は、実施例13の処方に対して、Niの配合割合を増加させ、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過小とした処方の例である。
【0100】
比較例7は、実施例19の処方に対して、Niの配合割合を減少させ、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過大とした処方の例である。
【0101】
比較例8は、実施例19の処方に対して、Niの配合割合を増加させ、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過小とした処方の例である。
【0102】
比較例9は、実施例24の処方に対して、Niの配合割合を減少させ、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過大とした処方の例である。
【0103】
比較例10は、実施例30の処方に対して、Niの配合割合を減少させ、BiおよびNiの質量比(Bi/Ni)を過大とした処方の例である。
【0104】
比較例11〜12は、実施例10の処方に対して、Cuの配合割合を増減させ、Cuを過剰または不十分とした処方の例である。
【0105】
比較例13〜14は、実施例10の処方に対して、Sbの配合割合を増減させ、Sbを過剰または不十分とした処方の例である。
【0106】
・ソルダペーストの調製
得られたはんだ合金を、粒径が25〜38μmとなるように粉末化し、得られたはんだ合金の粉末と、公知のフラックスとを混合して、ソルダペーストを得た。
【0107】
・ソルダペーストの評価
得られたソルダペーストをチップ部品搭載用のプリント基板に印刷して、リフロー法によりチップ部品を実装した。実装時のソルダペーストの印刷条件、チップ部品のサイズ等については、後述する各評価に応じて適宜設定した。その結果を、表3〜4に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
<評価>
<濡れ性>
各実施例および各比較例において得られたソルダペーストを、チップ部品搭載用プリント基板に印刷した後、リフロー法によるチップ部品実装時と同等の条件でプリント基板を加熱して、ソルダペースト中のはんだ合金を溶解させた。プリント基板には、0603サイズ(6mm×3mm)のチップ部品の実装を対象とするものを用いた。ソルダペーストの印刷膜厚は、厚さ120μmのメタルマスクを用いて調整した。
【0111】
このとき、リフロー温度(リフローのピーク温度)は、225℃とした。
【0112】
そして、プリント基板を冷却後、プリント基板上のはんだの溶融状態を光学顕微鏡で観察して、はんだの溶融性(いわゆる「はんだの濡れ性」)を下記の基準により評価した。
【0113】
ソルダペーストの印刷箇所は、1つのプリント基板に合計20ヶ所であって、はんだの濡れ性は、プリント基板中の全印刷箇所を観察して、以下の基準で評価した。
【0114】
○: はんだは完全に溶融しており、はんだの濡れ性が良好であった。
【0115】
△: はんだ合金の溶け残りであるはんだ粒が若干観察された。
【0116】
×: はんだ合金の溶け残りが顕著であって、はんだのぬれ性が不十分であった。
【0117】
そして、上記のリフロー温度における濡れ性に優れるものを、比較的低融点であると判断した。
【0118】
<接合耐久性>
各実施例および各比較例において得られたソルダペーストを、チップ部品搭載用プリント基板に印刷して、リフロー法によりチップ部品を実装した。ソルダペーストの印刷膜厚は、厚さ150μmのメタルマスクを用いて調整した。ソルダペーストの印刷後、3216サイズ(32mm×16mm)のチップ部品を上記プリント基板の所定位置に搭載してリフローした。
【0119】
このとき、リフロー温度(リフローのピーク温度)は、225℃とした。
【0120】
そして、チップ部品が実装されたプリント基板を、冷熱サイクル試験に供した。冷熱サイクル試験では、試験基板を冷熱サイクル槽に設置した後、−40℃の環境下で30分間保持し、次いで125℃の環境下で30分間保持するという一連の操作を1500サイクル繰り返した。
【0121】
1500サイクル経過後(耐久試験後)のチップ部品の接合強度を、ボンドテスター(DAGE社製)を用いて測定した。測定時のチップ部品のせん断速度は100μm/秒に設定し、接合強度は実装したチップ部品の総数30における平均値とした。
【0122】
接合耐久性(耐冷熱疲労性)は、比較例1のソルダペーストを用いて冷熱サイクル試験に供したときの1500サイクル経過後のチップ部品の接合強度を基準として、下記の基準により相対的に評価した。
【0123】
◎:比較例1の接合強度(耐久試験後)に対して10%以上大きい値を示し、耐冷熱疲労性が良好であった。
【0124】
○:比較例1の接合強度(耐久試験後)に対して5%以上大きい値を示し、耐冷熱疲労性が良好であった。
【0125】
△:比較例1の接合強度(耐久試験後)との差が±5%未満であった。
【0126】
×:比較例1の接合強度(耐久試験後)に対して5%以上小さい値を示し、耐冷熱疲労性が不十分であった。
【0127】
そして、上記のリフロー温度における接合耐久性(耐冷熱疲労性)に優れるものを、接合強度に優れると判断した。
【0128】
<総合評価>
・評価の総合判定
上記「濡れ性」および「接合耐久性」の各評価について、評価“◎”を4点、評価“○”を3点、評価“△”を2点、および評価“×”を1点として、評点の合計を算出した。次いで、評点の合計に基づいて、各実施例および各比較例のソルダペーストを下記の基準により総合的に評価した。
【0129】
◎: 極めて良好(評点7)
○: 良好(評点6)
△: 概ね良好(評点3〜5)
×: 不良(評点2以下、または一つでも評価“×”の項目を有する場合)
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】