(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1は、最低動作電圧が小さく、小電力を出力するとともに、フラットな温度特性を任意に得ることを目的とするものであるが、基本的に一個の基準電圧源により所定範囲のフラットな温度特性を得るようにしたものであるため、例えば−50℃〜150℃程度の広い温度範囲の温度特性をフラットにする用途に供するには十分ではない。
【0006】
特許文献2は、製造工程にバラツキがあっても平坦な温度特性を得ることができるように工夫したものである。ところが、特許文献2に開示する基準電圧発生回路は、単位基準電圧発生回路を複数個並列に形成し、その後複数の単位基準電圧発生回路中、最も温度特性が平坦なものを選択するというものであるため、残りの単位基準電圧発生回路は廃棄せざるを得ず、歩留まりの悪化を招来するばかりでなく、温度特性に関しては本質的に一個の基準電圧源で形成した場合と変わるところはなく、広範囲の温度特性の十分な平滑化を実現し得るものではない。
【0007】
特許文献3は、プロセス変動、温度変動および電源電圧変動による基準電圧のバラツキを低減させるように工夫したものである。しかしながら、特許文献3も特許文献1と同様に、一個の基準電圧源により所定範囲のフラットな温度特性を得るようにしたものであるため、広い温度範囲の温度特性をフラットにする用途に供するには十分ではない。
【0008】
本発明は、上記従来技術に鑑み、十分広い温度範囲において平滑な温度特性を得ることができる基準電圧発生回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
環境温度に対する出力電圧特性を表す温度特性が異なる複数の基準電圧源を組み合わせて形成した基準電圧発生回路であって、
前記各基準電圧源は、基準電圧生成部と、増幅回路、出力トランジスタ、電圧調整部および出力端子をそれぞれ有しており、
さらに前記基準電圧生成部は、ピーク電圧となる温度が異なる固有の温度特性を有する所定の基準電圧を生成し、
前記増幅回路は、前記基準電圧と前記電圧調整部からフィードバックされるフィードバック電圧とを比較して両者が一致するように前記出力トランジスタを制御し、
前記出力トランジスタは、前記出力端子に接続されて前記出力端子に生成される出力電圧を制御し、
前記電圧調整部は、前記出力端子に接続され、前記出力電圧が所定の基準出力電圧になるように調整可能に形成されるとともに、当該電圧調整部で検出される電圧を前記フィードバック電圧とし、
前記出力端子は、纏めて一本の共通出力端子に接続され、各基準出力電圧のうちの最大電圧である最大基準出力電圧が前記共通出力端子に得られるように構成したものであることを特徴とする基準電圧発生回路にある。
【0010】
本態様によれば、各基準電圧生成部で生成される基準電圧に基づき電圧調整部における調整により出力端子に、ピーク電圧を与える温度が異なる固有の温度特性を有する所定の基準出力電圧を生成させることができる。さらに、各基準出力電圧のうち最大の最大基準出力電圧を共通出力端子を介して出力させることができる。ここで、最大基準出力電圧は、単独の基準電圧源では両端部が低下する傾向を示す各温度特性の両端部の領域の低下電圧を、別の基準電圧源のより大きな基準出力電圧で代替した特性となる。この結果、当該基準電圧発生回路の最終的な最大基準出力電圧の温度特性を、各基準電圧生成部の各温度特性の温度範囲を重畳した広い温度範囲で平坦な特性を有するものとすることができる。
【0011】
上記目的を達成する本発明の第1の態様は、
環境温度に対する出力電圧特性を表す温度特性が異なる複数の基準電圧源を組み合わせて形成した基準電圧発生回路であって、
前記各基準電圧源は、基準電圧生成部
と、出力トランジスタ、電圧調整部および出力端子をそれぞれ有しており、
さらに前記基準電圧生成部は、ピーク電圧となる温度が異なる固有の温度特性を有する所定の基準電圧を生成
し、
前記出力トランジスタは、前記出力端子に接続されて前記出力端子に生成される出力電圧を制御し、
前記電圧調整部は、前記出力端子に接続され、前記出力電圧が所定の基準出力電圧になるように調整可能に形成されるとともに、当該電圧調整部で検出される電圧
をフィードバック電圧とし、
前記出力端子は、纏めて一本の共通出力端子に接続され、各基準出力電圧のうちの最大電圧である最大基準出力電圧が前記共通出力端子に得られるように構成
し、
さらに前記基準電圧生成部は、定電流生成部と定電圧生成部とを有しており、
前記定電流生成部は、飽和結線された第1のMOSトランジスタとゲートとソースが接続されたディプレッション型の第2のMOSトランジスタとを直列に接続して形成し、
前記定電圧生成部は、前記第1のMOSトランジスタとミラー接続した第3のMOSトランジスタと、第4のMOSトランジスタとを直列に接続して形成する一方、
前記出力トランジスタは、前記定電圧生成部に対してソースフォロアとなるよう前記第3のMOSトランジスタと前記第4のMOSトランジスタとの間からゲートに接続された第5のMOSトランジスタで形成し、
前記電圧調整部は、前記第4のMOSトランジスタのゲートに前記フィードバック電圧を供給するように形成したことを特徴とする基準電圧発生回路にある。
【0012】
本態様によれば、各基準電圧発生回路の定電流生成部で生成した定電流に基づき定電圧生成部で第4のMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧として規定される電圧で所定の基準電圧を得る。ここで、電圧調整部からは、出力端子を所定の基準出力電圧になるように調整した状態で検出される所定の電圧がフィードバック電圧として、第4のMOSトランジスタに供給され、ソースフォロアとなっている出力トランジスタの出力を制御する。この結果、各出力端子には、各定電圧生成部で生成した、基準電圧に基づき固有の温度特性を有する所定の基準出力電圧が安定的に生成される。
【0014】
さらに、本態様によれば、各基準電圧発生回路の定電流生成部で生成した定電流に基づき定電圧生成部で第4のMOSトランジスタのゲート・ソース間電圧として規定される電圧で所定の基準電圧を得る。ここで、電圧調整部からは、出力端子を所定の基準出力電圧になるように調整した状態で検出される所定の電圧がフィードバック電圧として、第4のMOSトランジスタに供給され、ソースフォロアとなっている出力トランジスタの出力を制御する。この結果、各出力端子には、各定電圧生成部で生成した、基準電圧に基づき固有の温度特性を有する所定の基準出力電圧が安定的に生成される。
【0015】
本発明の第
2の態様は、
第
1の態様に記載する基準電圧発生回路において、
前記定電流生成部は、その第1のMOSトランジスタを、前記定電圧生成部の第3のMOSトランジスタにそれぞれ共通にミラー接続することにより各定電圧生成部に共通に形成したものであることを特徴とする基準電圧発生回路にある。
【0016】
本態様によれば、電圧調整部を複数の基準電圧源で共用することができる。この結果、電圧調整部における部品点数や、消費電流の削減を図り得ばかりでなく、電圧調整部の特性を容易に揃えることもできる。
【0017】
本発明の第
3の態様は、
第
1または第
2の態様に記載する基準電圧発生回路において、
前記電圧調整部は、一端が前記出力トランジスタおよび前記出力端子にそれぞれ接続されるとともに、複数の抵抗素子を直列に接続して構成するとともに、前記出力端子にそれぞれ基準出力電圧が生成されるように調整した状態で前記抵抗素子の分割比で規定される前記フィードバック電圧を第4のMOSトランジスタのゲートにそれぞれ供給するように構成することにより各定電圧生成部および各出力トラジスタに共通に形成したものであることを特徴とする基準電圧発生回路にある。
【0018】
本態様によれば、スイッチング素子のON/OFFにより動作させる出力トランジスタを選択することができる。この結果、電圧調整部における所定の基準出力電圧の調整を各定電圧生成部ごとに個別かつ容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第
4の態様は、
第
1〜第
3の態様のいずれか一つに記載する基準電圧発生回路において、
前記出力トランジスタと直列にスイッチング素子を接続して出力トランジスタを選択的に動作させるように構成したことを特徴とする基準電圧発生回路にある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は本発明の基準電圧発生回路を示すブロック図である。同図に示すように、本発明に係る基準電圧発生回路は、環境温度に対する出力電圧特性を表す温度特性がそれぞれ異なる複数の基準電圧源I−1,I−2,・・・,I−N(Nは自然数)を組み合わせて形成したものである。
【0022】
各基準電圧源I−1,I−2,・・・,I−Nは、基準電圧生成部A−1,A−2,・・・,A−N、増幅回路B−1,B−2,・・・,B−N、出力トランジスタC−1,C−2,・・・,C−N、電圧調整部D−1,D−2,・・・,D−Nおよび出力端子OUT−1,OUT−2,・・・,OUT−Nをそれぞれ有している。
【0023】
ここで、基準電圧生成部A−1,A−2,・・・,A−Nは、ピークとなる温度が固有の温度特性を有する所定の基準電圧Vref−1, Vref−2,・・・, Vref−Nを生成する。基準電圧Vref−1, Vref−2,・・・, Vref−Nは増幅回路B−1,B−2,・・・,B−Nの一方の入力となる。増幅回路B−1,B−2,・・・,B−Nの他方の入力には、電圧調整部D−1,D−2,・・・,D−Nから所定のフィードバック電圧FB−1,FB−2,・・・,FB−Nが供給される。電圧調整部D−1,D−2,・・・,D−Nは、出力トランジスタC−1,C−2,・・・,C−Nを介して制御される出力端子OUT−1,OUT−2,・・・,OUT−Nの電圧が所定の基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nになるように調整するとともに、基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nを与えるフィードバック電圧FB−1,FB−2,・・・,FB−Nを増幅回路B−1,B−2,・・・,B−Nにフィードバックする。この結果、増幅回路B−1,B−2,・・・,B−Nの出力で出力トランジスタC−1,C−2,・・・,C−Nが制御され、出力端子OUT−1,OUT−2,・・・,OUT−Nが所定の基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nに保持される。N個の出力端子OUT−1,OUT−2,・・・,OUT−Nは、並列に接続されて一本の共通出力端子OUT
COMに纏められている。したがって、共通出力端子OUT
COMには基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nのうちの最大電圧である最大基準出力電圧VREF
MAXが出力される。
【0024】
このように本発明においては、基準電圧源I−1,I−2,・・・,I−NをN個、並列に接続して基準電圧回路を形成しており、各基準電圧源I−1、・・・I−Nの各基準電圧生成部A−1,A−2,・・・,A−Nで生成される基準電圧Vref−1, Vref−2,・・・, Vref−Nが異なっていても、電圧調整部D−1,D−2,・・・,D−Nでの調整により、所定の基準で合わせ込んだ基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nが出力トランジスタC−1,C−2,・・・,C−Nを介して出力端子OUT−1,OUT−2,・・・,OUT−Nに生成される。ここで、基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nは、基準電圧Vref−1, Vref−2,・・・, Vref−Nの温度特性を反映した固有の温度特性を有している。そこで、基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nの中から温度分布に沿って最大の基準出力電圧VREF−1, VREF−2,・・・, VREF−Nを選択することで得られる最大基準出力電圧VREF
MAXは、広い温度範囲で平坦な温度特性を有するものとなる。
【0025】
次に、上記基準電圧発生回路のさらに具体的な構成の実施形態を説明する。
図2は本発明の第1の実施形態に係る基準電圧発生回路を示す回路図である。同図に示すように、本形態は、
図1に示す基準電圧生成部Aが2段の場合である。さらに詳言すると、定電流生成部1と定電圧生成部2−1とで一つの基準電圧生成部A−1(
図1参照;以下同じ)を形成するとともに、定電流生成部1と定電圧生成部2−2とで他の基準電圧生成部A−2(
図1参照;以下同じ)を形成している。すなわち、本形態では、定電圧生成部1は、2個の基準電圧生成部A−1,A−2で共用している。このように共用することで、定電流生成部1を構成する素子の部品点数や、消費電流の削減を図り得るばかりでなく、定電流生成部1の特性を容易に揃えることもできる。ただ、このように構成とすることは必須ではない。
【0026】
さらに、定電流生成部1は、飽和結線された第1のMOSトランジスタTR1とゲートとソースが接続されたディプレッション型の第2のMOSトランジスタTR2とを直列に接続して形成してある。定電圧生成部2−1は、第1のMOSトランジスタTR1とミラー接続した第3のMOSトランジスタTR3−1と、増幅回路B(
図1参照;以下同じ)を兼用する第4のMOSトランジスタTR4−1とを直列に接続して第4のMOSトランジスタTR4−1のゲート・ソース間電圧VGS−1で基準電圧Vref―1を生成する。同様に、定電圧生成部2−2は、第1のMOSトランジスタTR1とミラー接続した第3のMOSトランジスタTR3−2と、増幅回路B(
図1参照)を兼用する第4のMOSトランジスタTR4−2とを直列に接続して第4のMOSトランジスタTR4−2のゲート・ソース間電圧VGS−2で基準電圧Vref−2を生成する。
【0027】
ここで、基準電圧Vref−1、Vref−2はピーク電圧となる温度が異なる固有の温度特性を有している。本形態では基準電圧Vref−1のピーク電圧が基準電圧Vref−2のピーク電圧よりも低い温度でピークとなる温度特性を持つように設定してある。かかる設定は第4のMOSトランジスタTR4−1,4−2のW/L(W=MOSトランジスタのチャンネル幅、L=チャンネルの長さ)を選択することで任意に設定することができる。
【0028】
基準電圧源I−1(
図1参照;以下同じ)の出力トランジスタとなる第5のMOSトランジスタTR5−1は、第3のトランジスタTR3−1と第4のトランジスタTR4−1との間に、そのゲートが接続されるとともに、定電圧生成部2−1にソースフォロアとなるようにそのソースが出力端子OUT−1に接続されている。同様に、他の基準電圧源I−2(
図1参照;以下同じ)の出力トランジスタとなるMOSトランジスタTR5−2は、第3のトランジスタTR3−2と第4のMOSトランジスタTR4−2との間に、そのゲートが接続されるとともに、定電圧生成部2−2にソースフォロアとなるようにそのソースが出力端子OUT−2に接続されている。ここで、各基準電圧源Iの出力端子OUT−1,OUT−2は並列に接続され、共通出力端子OUT
COMとして一本に纏められている。この結果、共通出力端子OUT
COMには基準出力電圧VREF−1,VREF−2のうち最大の最大基準出力電圧VREF
MAXが生成される。
【0029】
複数段の基準電圧源Iを並列に接続した場合、出力トランジスタCにより出力される複数種類の基準出力電圧VREFは、所定の基準で合わせ込んでおく必要がある。すなわち、本形態は基準電圧源Iが2段の場合であるので、2種類の基準出力電圧VREF−1,VREF−2を生成する。そこで、MOSトランジスタ5−1により出力される基準出力電圧VREF−1を低温時に最大値となる特性に設定しておき、MOSトランジスタTR5−2により出力される基準電圧VREF−2を高温時に最大値となる特性に設定する。すなわち第4のMOSトランジスタTR4−1,TR4−2のW/Lを適宜設定するとともに、所定の温度(本形態では25℃)でそれぞれの温度特性曲線を交差させるように基準出力電圧VREF−1,VREF−2が同じ値になるように調整する必要がある。電圧調整部Dは、かかる調整を行うためのものである。
【0030】
そこで、電圧調整部Dは、一端が出力端子OUT−1,OUT−2にそれぞれ接続されるとともに他端が接地されており、出力トランジスタであるMOSトランジスタTR5−1,TR5−2の出力電圧がそれぞれ所定の基準出力電圧VREF−1,VREF−2になるように調整可能に形成されている。そして、電圧調整部Dで検出される電圧をフィードバック電圧FB−1,FB−2として第4のMOSトランジスタTR4−1、TR4−2にフィードバックしている。
【0031】
さらに、本形態における電圧調整部Dは、複数(本形態では3個)の抵抗素子R1,R2,R3を直列に接続して構成するとともに、基準出力電圧VREF−1,VREF−2がそれぞれ生成されるように調整した状態で抵抗素子R1,R2,R3の分割比で規定されるフィードバック電圧FB−1,FB−2を第4のMOSトランジスタTR4−1、TR4−2のゲートにそれぞれ供給するように構成してある。すなわち、本形態では、電圧調整部Dは、2個の基準電圧源Iで共用している。このように共用することで、電圧調整部Dでの消費電流の削減を図り得ばかりでなく、電圧調整部Dの特性を容易に揃えることもできる。ただ、このように構成とすることは必須ではない。なお、本形態のように電圧調整部Dを一個で形成した場合における抵抗素子R1,R2,R3の分割比の決定方法に関しては後に詳述する。
【0032】
かかる本形態によれば、各定電圧生成部2−1,2−2で生成される基準電圧Vref−1,Vref−2に基づき電圧調整部Dにおける調整により出力端子OUT−1, OUT−2に、ピーク電圧を与える温度が異なる固有の温度特性を有する2種類の基準出力電圧VREF−1,VREF−2を生成させ、さらに各基準出力電圧VREF−1,VREF−2のうち最大の最大基準出力電圧VREF
MAXを共通出力端子OUT
COMに選択的に出力させることができる。すなわち、本形態は2段の基準電圧源I−1,I−2を有するので、
図3の温度特性に示すように、ピーク電圧を与える温度が異なる2種類の温度特性を重畳した温度特性を有するものとなる。
【0033】
この結果、本形態では、単独の基準電圧源Iでは、
図3に点線で示すように、端部が低下する傾向を示す2種類の基準出力電圧VREF−1,VREF−2のうち大きい方を選択することができる。このため、
図3中に太線で示す最大基準出力電圧VREF
MAXは、単独の基準出力電圧VREF−1,VREF−2の温度特性の両端部の領域の低下電圧を、別のより大きな基準出力電圧VREF−1,VREF−2で代替した特性となる。この結果、共通出力端子OUT
COMを介して得られる最終的な出力電圧である最大基準出力電圧VREF
MAXの温度特性を、各基準電圧生成部Iの各基準電圧VREF−1,VREF−2の温度範囲を重畳した広い温度範囲で平坦な特性を有するものとすることができる。
【0034】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る基準電圧回路を示す回路図である。同図に示すように、本形態に係る基準電圧回路では、出力トランジスタであるMOSトランジスタTR5−1,TR5−2に直列にスイッチング素子であるMOSトランジスタTR6−1,TR6−2を接続しており、MOSトランジスタTR6−1,TR6−2のON/OFF状態を組み合わせることにより抵抗素子R1〜R3の抵抗値の調整による基準電圧Vref−1,Vref−2の調整を容易かつ合理的に実施し得るように工夫したものである。なお、本形態は、スイッチング素子としてのMOSトランジスタTR6−1,TR6−2を追加した点を除き、他は
図2に示す基準電圧回路とまったく同一である。そこで、同一部分には同一番号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
上述の如き本形態によれば、スイッチング素子であるMOSトランジスタTR6−1,TR6−2のON/OFF状態の組み合わせにより動作させる出力トランジスタであるMOSトランジスタTR5−1,TR5−2を選択することができる。この結果、電圧調整部Dにおける抵抗素子R1〜R3の分割比に基づく基準出力電圧VREF−1,VREF−2の調整を各定電圧生成部2−1,2−2ごとに個別かつ容易に実施することができる。具体的には、次の手順の調整作業を実行する。ここで、基準出力電圧VRF−1の調整の場合にはMOSトランジスタTR6−1をON、MOSトランジスタTR6−2をOFFの状態としておく。また、基準出力電圧VRF−2の調整の場合にはMOSトランジスタTR6−1をOFF、MOSトランジスタTR6−2をONの状態としておく。
【0036】
ここで、計算手順をまた、簡素化するため調整前の抵抗素子R1,R2の抵抗値は十分小さいものとする。例えば、フューズにより短絡されている状態として考える。
【0037】
<手順1>
R1+R2={R3×(目標値−初期値2)/初期値2}となるように抵抗値を調整する。これは、例えば抵抗素子R1〜R3のトリミング処理により良好に行うことができる。ここで、目標値は、例えば25℃でのVREF−2の電圧であり、初期値2は調整前のVREF2の計測値である。
【0038】
<手順2>
R2=[{(R1+R2+R3)×初期値1/目標値}−R3]となるように抵抗値を調整する。これは、例えば抵抗素子R1〜R3のトリミング処理により良好に行うことができる。ここで、初期値1は調整前のVREF−1の計測値である。
【0039】
<手順3>
R1={(R1+R2)−R2}となるように抵抗値を調整する。これも、手順1,2と同様のトリミング処理により行う。
【0040】
図5は本発明の第3の実施の形態に係る基準電圧発生回路を示す回路図である。同図に示すように、本形態に係る基準電圧発生回路は3段の基準電圧源I−1,I−2,I−3(
図1参照)を有している。そこで、
図2に示す基準電圧発生回路に定電圧生成部2−3を追加するとともに、この定電圧生成部2−3に対応する出力トランジスタであるMOSトランジスタTR5−3を追加した。また、フィードバック電圧FB−3および基準出力電圧VREF−3を生成するため、電圧調整部Dに抵抗素子R4を追加した。
【0041】
本形態における定電圧生成部2−3は、第1のMOSトランジスタTR1とミラー接続した第3のMOSトランジスタTR3−3と、増幅回路B(
図1参照)を兼用する第4のMOSトランジスタTR4−3とを直列に接続して第4のMOSトランジスタTR4−3のゲート・ソース間電圧VGS−3で基準電圧Vref−3を生成する。ここで、出力トランジスタとなるMOSトランジスタTR5−3は、そのゲートが第3のMOSトランジスタTR3−3と第4のMOSトランジスタTR4−3の間に接続されており、定電圧生成部2−3に対しソースフォロアとなって出力端子OUT−3に所定の基準出力電圧VREF3を生成する。基準出力電圧VREF3も電圧調整部Dでの調整により所定の基準に合わせ込むとともに、所定の温度でピークとなる固有の温度特性を有するように生成される。
【0042】
なお、
図2、
図4および
図5に図示はしないが、実際には、定電流生成部1および定電圧生成部2−1〜2−3にはカスコード回路が組み合わされており、各カスコード回路により電源電圧の変動を抑制する構造となっている。
【0043】
上述の本形態においては、ピークとなる温度が異なる固有の温度特性を有する3種類の基準出力電圧VREF−1〜VREF−3が出力端子OUT−1〜OUT−3に生成される。この結果、共通出力端子OUT
COMには、基準出力電圧VREF−1〜VREF−3の最大電圧を温度分布に沿って選択した最大基準出力電圧VREF
MAXが生成される。この最大基準出力電圧VREF
MAXは
図6中に太線で示す特性となる。同図を参照すれば明らかな通り、最大基準出力電圧VREF
MAXの温度特性は、基準出力電圧VREF−1と基準出力電圧VREF−3の温度特性の低下部分を基準出力電圧VREF−2の温度特性で補完した形の特性となる。したがって、
図2に示す2段の基準電圧源I−1,I−2の場合よりもさらに平滑な温度特性を得ることができる。
【解決手段】温度特性が異なる複数個を組み合わせて形成した各基準電圧源Iは、ピーク電圧となる温度が異なる固有の温度特性を有する所定の基準電圧Vrefを生成する基準電圧生成部A、基準電圧Vrefとフィードバック電圧FBとを比較して出力トランジスタCを制御する増幅回路B、出力端子OUTに基準出力電圧VREFを生成する出力トランジスタC、出力電圧が基準出力電圧VREFになるように調整可能するとともにフィードバック電圧FBを生成する電圧調整部Dを有して各基準出力電圧VREFのうちの最大の最大基準出力電圧VREF