特許第6060315号(P6060315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6060315排気ガスターボ過給機のタービンハウジング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060315
(24)【登録日】2016年12月16日
(45)【発行日】2017年1月11日
(54)【発明の名称】排気ガスターボ過給機のタービンハウジング
(51)【国際特許分類】
   F02B 39/00 20060101AFI20161226BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20161226BHJP
【FI】
   F02B39/00 D
   F01D25/24 E
   F01D25/24 K
   F02B39/00 S
【請求項の数】13
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-513970(P2016-513970)
(86)(22)【出願日】2014年4月30日
(65)【公表番号】特表2016-518553(P2016-518553A)
(43)【公表日】2016年6月23日
(86)【国際出願番号】US2014036042
(87)【国際公開番号】WO2014186129
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】102013008209.9
(32)【優先日】2013年5月14日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】315001028
【氏名又は名称】イソライト ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ウァルデマール・ヘンケ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ヘッカー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ムエンツ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・クロール
(72)【発明者】
【氏名】ベルナー・ロイブル
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・オベールサウヤー
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−024839(JP,U)
【文献】 特開昭63−111234(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0142152(US,A1)
【文献】 特開2007−231934(JP,A)
【文献】 米国特許第7074009(US,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第0374603(EP,A1)
【文献】 国際公開第2008/141927(WO,A1)
【文献】 特開平07−189725(JP,A)
【文献】 実開昭62−040232(JP,U)
【文献】 特開2012−102744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 39/00−16
F01D 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスターボ過給機(15)のタービンハウジング(1)であって、
金属製の外側シェル(8)によって範囲が定められ、内壁(9)を有するタービンボリュート(7)と、
前記タービンボリュート(7)の前記内壁(9)に配置されるとともに、2個の板金シェル(3A、3B、4A、4B)の間に完全に封止される熱絶縁コア(6A、6B)を有する熱絶縁層(10)と、
を有し、
前記2個の板金シェルのうち、一方の板金シェル(4A、4B)が前記タービンボリュート(7)の内壁(9)に面し、他方の板金シェル(3A、3B)がボリュート内部空間(11)を画定し、
前記熱絶縁層(10)は、別途の部品として形成され、かつ形成後に前記タービンボリュート(7)内に配置されて前記ボリュート内部空間(11)を画定する、タービンハウジング。
【請求項2】
前記熱絶縁層(10)は、前記タービンボリュート(7)内で一体に組み立てられる少なくとも2個の絶縁部品(10A、10B)に分割される請求項1記載のタービンハウジング。
【請求項3】
前記絶縁部品(10A、10B)は、前記2個の板金シェル(3Aと4A、3Bと4B)によって完全に封止される熱絶縁コア(6A、6B)を有する請求項に記載のタービンハウジング。
【請求項4】
前記板金シェル(3A、3B;4A、4B)は互いに連結される請求項1ないし請求項のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項5】
前記板金シェル(3A、3B;4A、4B)は互いに溶接される請求項4に記載のタービンハウジング。
【請求項6】
前記熱絶縁層(10)または熱絶縁部品(10A、10B)は、押圧部(2)によって前記ボリュート内部空間(11)内に固定される請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項7】
前記ボリュート内部空間(11)の方向に突出した突出部(5;5’、5’’、5’’’)が前記内壁(9)に配置されている請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項8】
前記突出部(5、5’、5’’、5’’’)は鋳造または切削工程で製造される請求項7に記載のタービンハウジング。
【請求項9】
前記内壁(9)側に向かう前記板金シェル(4A、4B)と内壁(9)との間に絶縁層(21A、21B、21C)が配置されている請求項7または請求項8に記載のタービンハウジング。
【請求項10】
前記タービンボリュート(7)はアンダーカットがない形で、互いに連結可能な2個のタービンボリュート部分(7A、7B)に分割される請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項11】
前記押圧部(2)は、シール(14)を挟んでタービンボリュート(7)に固定される請求項7ないし請求項10のいずれか一項に記載のタービンハウジング。
【請求項12】
排気ガスターボ過給機(15)であって、
圧縮機ハウジング(19)、
ベアリングハウジング(17)、及び
タービンハウジング(1)を有し、
前記タービンハウジングは、
金属製の外側シェル(8)によって範囲が定められ、内壁(9)を有するタービンボリュート(7)と、
前記タービンボリュート(7)の前記内壁(9)に配置されるとともに、2個の板金シェル(3A、3B、4A、4B)の間に完全に封止される熱絶縁コア(6A、6B)を有する熱絶縁層(10)と、
を有し、
前記2個の板金シェルのうち、一方の板金シェル(4A、4B)が前記タービンボリュート(7)の内壁(9)に面し、他方の板金シェル(3A、3B)がボリュート内部空間(11)を画定し、
前記熱絶縁層(10)は、別途の部品として形成され、かつ形成後に前記タービンボリュート(7)内に配置されて前記ボリュート内部空間(11)を画定する、排気ガスターボ過給機。
【請求項13】
記タービンハウジングは、請求項2ないし請求項11のいずれか一項に記載のタービンハウジングである請求項12に記載の排気ガスターボ過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部による排気ガスターボ過給機のタービンハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
このような種類のタービンハウジングがEP 0 374 603 A1から公知である。該タービンハウジングの場合、タービンボリュート内に熱絶縁部が提供され、該熱絶縁部は熱絶縁材料層を有し、該層には耐高温性金属層が配置される。
【0003】
一般に、熱絶縁層の脆性材料は設置が難しいという点が、上記構成の短所になり得る。
【発明の概要】
【0004】
一方、本発明の目的は、タービンハウジングのタービンボリュート内に容易に設けられる熱絶縁層を有する、請求項1の前提部によるタービンハウジングを提供することである。
【0005】
上記目的は請求項1の特徴的事項から達成される。
【0006】
熱絶縁層は、製造後にタービンハウジングのタービンボリュート内に配置可能な別途の部品として形成されるので、設置工程が相当単純化され、その結果、これと関連して、本発明によるタービンハウジングに対する全体的な製造コストが減少される。
【0007】
このような場合、熱絶縁コアは好ましくは絶縁品、特にセラミックコアとして形成される。
【0008】
従属請求項は、本発明の有利な改良例を含む。
【0009】
熱絶縁コアを取り囲む2個の板金シェルの提供により得られる利点として、熱絶縁コアは全ての側で取り囲まれ、それによって熱絶縁材料は脆性を有するにもかかわらず安定して保持される。また、好ましくは、非常に薄い壁の形態でなっている第1及び2板金シェルの提供により得られる効果として、熱絶縁層は低い熱容量を有するようになり、その結果、有利にもタービンボリュートの表面が迅速に加熱され、それによってタービンハウジングは、作動中に排気ガスターボ過給機を備えるエンジンの冷間始動特性を悪化させるヒートシンクをこれ以上構成しないこととなる。
【0010】
好ましくは、前記熱絶縁層は2個の絶縁部品に分割されてもよく、各々の絶縁部品は、第1及び2板金シェルによって封止される熱絶縁コアを有する。
【0011】
ここで、前記板金シェルは互いに連結されてもよく、このような目的には溶接連結が特に有利である。
【0012】
前記熱絶縁部品は、押圧部によってタービンボリュート内部に固定されてもよく、その押圧部は別途の加圧される部分であるか、または本発明による排気ガスターボ過給機を形成するために本発明によるタービンハウジングに連結されるベアリングハウジングの後方壁に形成されてもよい。
【0013】
前記タービンボリュートの内壁に突出部が提供されることが特に好ましく、該突出部は先ず寸法及び位置公差の実現を可能にし、かつタービンボリュートの内壁と熱絶縁層との間のさらなる絶縁、または熱絶縁層の実現を可能にする。前記さらなる絶縁層は例えば空気層であってもよい。
【0014】
ここで、前記突出部は、タービンハウジングの鋳造過程中、またはタービンハウジングの鋳造後に切削機械加工工程で製造されてもよい。
【0015】
図13及び14には、独立に市販可能な対象として排気ガスターボ過給機が記載されている。
【0016】
本発明のさらなる詳細内容、利点及び特徴は図面を参照して例示的な実施形態に対する以下の説明により分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明によるタービンハウジングの一折半部を示す概略的に単純化して示した図である。
図2図2は、本発明によるタービンハウジングの斜視図を示す。
図3図3は、タービンハウジングの平面図を示す。
図4図4は、分割面の可能な位置を説明するため、本発明によるタービンハウジングを概略的に非常に単純化させて示した図である。
図5図5は、分割面の可能な位置を説明するため、本発明によるタービンハウジングを概略的に非常に単純化させて示した図である。
図6図6は、本発明によるタービンハウジングが提供され得る本発明による排気ガスターボ過給機を概略的に非常に単純化させて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1において、図1で選択した図示で、本発明によるタービンハウジング1の上半分を示し、該タービンハウジングは、図6に示される本発明による排気ガスターボ過給機15の一部分であってもよい。
【0019】
タービンハウジング1は、金属製の外側シェル8によって範囲が定められるタービンボリュート7を有する。金属製の外側シェル8は例えば鋳造品であってもよく、内壁9を有する。
【0020】
前記タービンボリュート7内には、熱絶縁層10が配置されており、図1に示される例示的な実施形態において、該熱絶縁層は2個の絶縁部品10A,10Bに分割される。各々の絶縁部品10A,10Bは、それぞれ関連する熱絶縁コア6A,6Bを有し、これらの熱絶縁コアは、適切な材料、特に繊維材料またはセラミック材料から製造されてもよい。
【0021】
各々の前記熱絶縁コア6A,6Bは、2個の板金シェル3A,3B,4A,4Bの配置によってそれぞれ封止されている。ここで、板金シェル3A,3Bはボリュート内部空間11に隣接して配置され、それによってタービンハウジング1の作動中に流動案内表面を形成する。設置状態において、前記板金シェル4A,4Bは、前記内壁9に隣接して配置され、絶縁部品10A,10Bをタービンボリュート7内に固定させる役割をする。
【0022】
図1に詳しく示されているように、板金シェル3Aは熱絶縁コア6Aの表面12A(ボリュート内部空間11側に向かう)に接している。板金シェル4Aは熱絶縁コア6Aの表面13A(内壁9側に向かう)に接している。全ての側で板金シェル3A,4Aによって封止されるので、上述の熱絶縁コア6Aの安定化がなされ、かつ前記熱絶縁コア6Aの一部分がタービンボリュート7内に入り込むことが防止される。
【0023】
これに対応して、したがって熱絶縁コア6Bは、シェル3Bが表面12Bに接し、シェル4Bは表面13B及び押圧部2に隣接して配置される他の表面13’Bに接するように構成される。絶縁部品10A,10Bは(タービンハウジング1と独立に)製造後にタービンボリュート7内に配置され、前記押圧部2によってタービンボリュート7内に固定できる。
【0024】
ここで、前記押圧部2は別途の押圧部であるか、排気ガスターボ過給機15のベアリングハウジング17(図6に示される)のようなベアリングハウジングの後方壁であってもよい。
【0025】
図1に示される特に好ましい実施形態は、ボリュート内部空間11の方向に向かうように前記内壁9に形成されている突出部5,5’,5’’をさらに有する。これらの突出部5,5’,5’’が提供されることにより、熱絶縁コア6Aは設置状態でその外側シェル4Aで前記突出部5,5’,5’’に接することとなる。これと関連する利点として、3個のさらなる絶縁層21A,21B,21Cが生成され、これらのさらなる絶縁層は、例えば空気で充填されてもよく、タービンボリュート7またはその外側シェル8と熱絶縁コア6Aとの間の熱的分離を提供する。
【0026】
本発明によるタービンハウジング1の製造のために、このタービンハウジングは最初に鋳造され、熱絶縁層10、またはその絶縁部品10A,10Bが上述の方式で別に製造される。原理的に熱絶縁層10は、図1に示されるような2個の絶縁部品だけでなく、多数のそのような絶縁部品にも分割されてもよいことは自明であり、また絶縁部品が結合してタービンボリュート7内に固定されてもよい。また、単一の一体型熱絶縁層10も可能である。
【0027】
絶縁部品10A,10Bが配置された後、これらの絶縁部品は、前記押圧部2の加圧によってタービンボリュート7内に固定され、例えば、V−断面シールの形態でなっているシール14が好ましく前記押圧部2とタービンボリュート7の外側シェル8との間に提供され得る。
【0028】
図2は、図1に関連して上述した前記突出部5,5’,5’’,5’’’ の可能な位置を示すために、本発明によるタービンハウジング1を斜視図で示したものである。これに関連して、図2の図式的な図示を確かに参照することができる。
【0029】
図3は、ベアリングハウジングの軸線または押圧部の軸線A1に対するタービンハウジングの軸線A2の可能な偏心配置Eを示し、かかる配置によって、螺線状による半径方向へのタービンハウジングの不均一な空間要件が部分的に補償されるため空間要件が減少する。
【0030】
図4及び5は、タービンハウジング1を概略的に非常に単純化させて示した図であり、これら図示において、タービンハウジングはタービンボリュート部分7A,7Bに分割される分割型タービンボリュートを有する。ここで、アンダーカットのない各々の分割面TEが図4及び5に示されている。タービンボリュート部分7A,7Bは適切な方式によって、例えば、ねじ連結または溶接連結で互いに連結可能である。
【0031】
図6図1〜5に基づき上述の原理によって設計できるタービンハウジング1を有する、本発明による上述の排気ガスターボ過給機15を概略的に非常に単純化させて示した図である。通常は、前記タービンハウジング1は軸18の一端部に配置されるタービンホイール16を収容し、該軸の他の端部には、圧縮機ハウジング19内に配置される圧縮機ホイール20が配置される。ここで、一般に軸18はベアリングハウジング17によって取り付けられる。
【0032】
よって、上記開示の記載に加えて、その開示に対する補充のために図1〜6に示されている本発明の図式的な図示を確かに参照することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 タービンハウジング
2 押圧部
3A,3B 内側板金シェル
4A,4B 外側板金シェル
5,5’,5’’,5’’’ 突出部
6A,6B 熱絶縁コア
7 タービンボリュート
7A,7B タービンボリュート部分
8 外側シェル
9 内壁
10 熱絶縁層
10A,10B 絶縁部品
11 ボリュート内部空間
12 A、12B,13A,13B,13’B 熱絶縁コア6A,6Bの表面
14 シール
15 排気ガスターボ過給機
16 タービンホイール
17 ベアリングハウジング
18 軸
19 圧縮機ハウジング
20 圧縮機ホイール
21A,21B,21C 隔離または絶縁層
L 排気ガスターボ過給機の長さ方向の軸線
E 偏心
A1 ベアリングハウジングの軸線または押圧部の軸線
A2 タービンハウジングの軸線
TE アンダーカットのない分割面
図1
図2
図3
図4
図5
図6