特許第6060402号(P6060402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6060402
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】干し果横吊り具
(51)【国際特許分類】
   A01F 25/12 20060101AFI20170106BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20170106BHJP
   A23B 7/02 20060101ALN20170106BHJP
   F16B 2/20 20060101ALN20170106BHJP
【FI】
   A01F25/12 Z
   A23L19/00 B
   !A23B7/02
   !F16B2/20 B
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-153684(P2015-153684)
(22)【出願日】2015年7月14日
【審査請求日】2016年6月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591165425
【氏名又は名称】ヤマサ農産有限会社
(72)【発明者】
【氏名】金子 博
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−92983(JP,A)
【文献】 特開平6−133719(JP,A)
【文献】 特開2012−178999(JP,A)
【文献】 特開2000−253811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 25/12
A23L 19/00
A23B 7/02
F16B 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い隙間を挟み部とする略U字状クリップ様に二股を成す樹脂製構造物であり二股の一片は直線的に伸びる主軸を成し、それと挟み部空間域を間にして向かい合う他片をアームと呼称し、主軸とアームとがそこから股別れしてくる根っこ域が軸基部を成すのであって、アームは軸基部から主軸に略平行に伸びて、先端の少し手前から徐々に薄く爪状になり主軸側と反対側に反り曲り、先端において主軸先端と並び、挟み部空間域を間に向かい合う主軸とアームの対向面には、内側に進むにしたがって鋭利となるエッジ部を形成し、エッジ部の鋭利となった先端に1〜複数箇所に戻り防止凸部を形成し、軸基部中央部には貫通孔が設けられて掛け孔を成すのであるが、斯して、軸基部から主軸とアームとが二股クリップ状に平行に伸びて、先端域においてアームは外開きに開口して柿なり軸を挟み部に挿入し易くする開口部と、挿入された柿なり軸が挟み部から外れ落ちないように工夫された戻り防止凸部が形成されるのであり、全体としてこのように形成された樹脂製構造物が、主軸内部において長手方向に貫通する化学繊維製撚糸紐と成型溶着される形で、一本の長い撚糸紐に等間隔で多数の樹脂製構造物が配設され、インサート成型固定されて、一つの全体としての柿吊るし具が構成されることを特徴とする干し果横吊るし具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、干し柿を製造する際皮を剥いた柿を吊るす吊るし具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来干し柿を製造する際、柿を吊るすには、柿の収穫時に柿なり軸の上に結果枝を付けてT字形にして収穫し、皮を剥いてそのT字形の部分を、樹脂製の撚り紐などに挟み込んで横に張り渡して、又、縦に吊るしていたが、最近では樹脂製のもので横吊り、又縦吊りできる吊るし具も紹介されている。(特許文献1,2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2000−253811号公報
【特許文献2】 特開2005−185792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の柿なり軸に結果枝を付けてT字形にして収穫し、樹脂製の撚り紐の撚りを戻し、穴を作り、その穴にT字形になった結果枝、柿なり軸を入れ挟み込んで吊るす方法は、その為に予め収穫時に柿なり軸の上に結果枝を付けておき、挟み込まれた結果枝が撚り紐に係り落下を防ぐ訳であるので、柿なり軸のみ付けて収穫した柿には利用できない。又、撚りを戻し穴を作りT字形になった結果枝、柿なり軸を入れ、挟み込むと云う熟練の技と多くの労力が必要であった。
又縦吊り方法は、柿が少し干せてくると柔らかくなり、柿が下の方に垂れて吊るしている下の糸が食い込み、傷がついたりカビが発生してひどく品質を落としていた。
【0005】
特許文献1に示される先行技術は、横吊り法ではあるが、樹脂製の吊り具に柿を保持させた際に、柿の重心が紐より離れた状態に吊るされる為、柿が垂直ではなくどうしても傾いた状態で吊られるため製品が変形して価値を下げている。又この方法は柿なり軸に結果枝を付けて収穫した柿には柿なり軸挿入口が狭く、T字形をなす結果枝、柿なり軸が入らなく使用できない。
【0006】
特許文献2に示される先行技術は、横吊り方法ではあるが、柿なり軸挿入口に柿なり軸を入れ、V字溝の狭くなる方向に押し込み保持させる方法であり、これも柿なり軸挿入口が狭く結果枝を付けて収穫したものには使用できない。
【0007】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたもので、柿の収穫方法を選ばず、撚り紐の撚りを戻し穴を作り、その穴にT字形になった部分の結果枝、柿なり軸を押し挟むと云う熟練の技術も必要なく、品質の優れた干果が作れる安価な干果横吊り具の提供を目的とする。
【課題を解決する為の手段】
【0008】
細長い隙間を挟み部とする、略U字状クリップ様に二股を成す平板状に形成された樹脂製構造物である。二股の一片は直線的に伸びる主軸を成し、それと挟み部空間域を間にして向かい合う他片をアームと呼称し、主軸とアームとがそこから股別れしてくる根っこ域が軸基部を成す。アームは軸基部からほぼ平行に伸びて、先端の少し手前から徐々に薄く爪状になり、主軸側と反対側に反り曲り、先端において主軸先端と並ぶ。挟み部空間域を間に向かい合う主軸とアームの対向面には、内側に進むにしたがって鋭利となるエッジ部を形成し、それぞれのエッジ部の鋭利となった先端に対向する形で1〜複数箇所に戻り防止凸部を設ける。軸基部中央部に貫通孔が設けられて掛け孔を成す。斯して、軸基部から主軸とアームとが二股クリップ状に平行に伸びて、先端域において外開きに開口して柿なり軸を挿入し易くする開口部と,挿入された柿なり軸が、挟み部から外れ落ちないように工夫された戻り防止凸部が形成される。全体としてこのように形成された樹脂製構造物が、主軸内部において長手方向に貫通する撚糸紐と成型溶着される形で、一本の長い撚糸紐に等間隔で多数の樹脂製構造物が配設され、インサート成型固定されて、一つの全体としての柿吊るし具が構成される。
以上を特徴とする干し果横吊るし具である。
【発明の効果】
【0009】
本発明を干し柿製造に利用すれば、開口部より柿なり軸を挟み部の奥へ押し入れると、アームが押し広げられこの弾性とエッジ部の食い込みにより挟持される。この弾性が強く柿なり軸を押し戻そうとすると、その時は戻り防止凸部で止められ落果する事無く簡単に安定的に挟持できる。
又、T字形になった柿なり軸、結果枝の部分を撚糸紐の撚りを戻し穴を作りその穴に挟み込むという熟練の技術も必要なく作業能率も非常に高くなり、柿なり軸のみ付けて収穫した柿にも、柿なり軸の上に結果枝を付けてT字形にして収穫した柿にも使用できる。
又挟み部の位置を撚糸紐に限りなく直接的に沿うほどに接近させた為に柿がより垂直に吊れ、型崩れしなくなった。
又、柿が少し乾き柔らかくなると垂れ下がり、下の紐や果実に触れ発生する傷やカビの心配が有る縦吊りと異なり、横吊りの長所を生かした品質の高い製品ができ上がる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】 本発明の平面図
図2図1におけるA−A′ 断面拡大図(戻り防止凸部位置)
図3図1におけるB−B′ 断面拡大図(戻り防止凸部の無い位置)
図4図1におけるA 側よりの側面図
図5】 本発明の使用において柿なり軸の上に結果枝を付けて収穫した柿を吊るしている状態を示す側面図
図6】 本発明の使用において結果枝を付けず柿なり軸のみ付けて収穫した柿を吊るしている状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1〜6において,一本の撚糸紐(10)に樹脂製構造物が等間隔に多数インサート成型固定されたもので、この撚糸紐(10)は樹脂製、植物性、金属製いずれの材料でも可能で、又、撚ってなくナイロン糸状でも可能である。要は、自由に曲げたり、切ったり、樹脂製構造物を固定できる性状を有した紐で有れば良い。
【0012】
撚糸紐(10)に樹脂製構造物を固定する方法は、樹脂製構造物の成型時に撚糸紐(10)をインサート成型する方法以外でも、熱かしめ法や、主軸1の長辺部外側に溝を形成し、そこに撚糸紐(10)を入れ接着剤で固定する方法、又超音波溶着でも可能である。
【0013】
樹脂製構造物は、図1図4のように平板状に形成され、柿なり軸(12)に喰い込み柿(11)をしっかり挟持できるように、挟み部(4)を中にして主軸(1)及びアーム(2)のそれぞれの内面は略全体に、内側に進むにしたがって鋭利になるエッジ部(8)を形成し、鋭利となった先端の1〜複数箇所に、挟持された柿なり軸(12)がアーム(2)の弾性で押し戻され外れるのを防止するために、戻り防止凸部(5)を設けた構造になっている。
【0014】
治具挿入口(9)は、樹脂製構造物を成型する際、成型型内で撚糸紐(10)がずれないように保持するための治具が挿入される穴である。
【0015】
図1図4のようにアーム(2)の先端は外側に反り曲り徐々に薄くなり爪状に形成されている。これは、柿(11)が結果枝(13)に生っている位置によっては、柿なり軸(12)が柿(11)の重さで曲がり柿(11)に接するように付いている際に、アーム(2)の先端の薄く爪状になっている部分ですくうように挟み込むためのものである。
【0016】
図1に示す掛け孔(6)は、この横吊り具を使用する際、干場に合わせて撚糸紐(10)を適当な長さに切って左右に張り渡して使用するが、その際、左右の壁や竿に設けて有るかぎ状の物にこの孔を掛けて使用する。
【0017】
図5はヘタ(14)の上から出ている柿なり軸(12)の上に結果枝(13)を付けてT字形にして収穫した柿(11)を吊るしている側面図、 又図(6)は柿なり軸(12)だけ付け、結果枝(13)を付けないで収穫した柿(11)を吊るしている平面図であるが、エッジ部(8)が柿なり軸(12)にしっかり喰い込んでいる為安定的に保持できる。
【0018】
本発明を使用する際は、まず、干し場に合わせて撚糸紐(10)を切って置き、両端1個ずつの樹脂製構造物は、張り渡す際に両側のカギに掛ける為に使用するので残し、皮を剥いた柿(11)の柿なり軸(12)を2個〜3個目の樹脂製構造物の開口部(7)より挟み部(4)の奥の方へ押し入れる。すると主軸(1)及びアーム(2)の内側に設けたエッジ部(8)が柿なり軸(12)に喰い込むと同時にアーム(2)の弾性により柿なり軸(12)はしっかり挟持される。挟持された柿なり軸(12)がアーム(2)の弾性の反発力で開口部(7)の方向へ押し戻されそうになると戻り防止凸部(5)で止められ柿(11)は外れることなく安定的に挟持される。このようにして必要なだけ柿(11)を取り付けたら残した両端の樹脂製構造物を両手で持ち、左右の竿等に用意してあるかぎ状の物に掛け孔(6)を掛け張り渡して使用する。
【符号の説明】
【0019】
1主軸、2アーム、3軸基部、4挟み部、5戻り防止凸部、6掛け孔、7開口部,8エッジ部、9治具挿入口、10撚糸紐、11柿、12柿なり軸 13結果枝 14ヘタ
【要約】
【課題】干し柿等を作る際、柿の収穫方法を選ばず、熟練の技術も必要なく、省力的で商品価値の高い干果を生産できる安価な干果吊り具を提供する。
【解決手段】中心部に掛け孔を設けた軸基部から主軸とアームとが細長い隙間の挟み部を中にして二股クリップ状に略平行に伸び、これらの対向面には内側に進むほど鋭利となるエッジ部を形成し、鋭利となった先端には挟持された柿なり軸が押し戻されるのを防止する、戻り防止凸部を形成する。アームは先端域において外開きに開口する開口部が形成された略平板状の樹脂製構造物が、主軸内部において長手方向に貫通する撚糸紐と成型溶着される形で、一本の長い撚糸紐に等間隔で多数の樹脂製構造物が配設され、インサート成型固定されている。これらを特徴とする干し果横吊るし具である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6