特許第6060422号(P6060422)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060422
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】中心流れダブルダイヤフラムポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20170106BHJP
   F04B 43/06 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   F04B43/02 L
   F04B43/02 D
   F04B43/06 B
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-510648(P2013-510648)
(86)(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公表番号】特表2013-527373(P2013-527373A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】ES2011000162
(87)【国際公開番号】WO2011144772
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年5月8日
(31)【優先権主張番号】P201000633
(32)【優先日】2010年5月18日
(33)【優先権主張国】ES
(73)【特許権者】
【識別番号】512297631
【氏名又は名称】サモア インダストリアル, エセ.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス−モラティエル アルヴァレス, アルベルト
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許第01029185(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/02
F04B 43/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの外部横室(1および2)と前記外部横室間の中心ボディ(3)とを備える中心ポンプボディに含まれるポンプ流体入口マニホルド(16)および出口マニホルド(17)を有する中心流れダブルダイヤフラムポンプであって、
前記室はそれぞれ、作動流体室(1.1および2.1)をポンプ流体室(1.2および2.2)から隔てるダイヤフラム(4)を含み、前記作動流体室はさらに室カバー(14)によって密閉され、前記カバーは、前記作動流体が前記作動流体室と連通するためのマニホルドを含み、使用される作動流体は圧縮空気であり、中心流れダブルダイヤフラムポンプにおいて、
・突出羽根部(8.5)を有する枢動密封部材(8)に通じる作動流体入口を備える、前記ポンプの上面上の作動流体分配モジュール(7)であり、該作動流体分配モジュールは、前記作動流体分配モジュールの前記作動流体入口に接続された前記作動流体を前記室カバーの前記マニホルドを介して前記作動流体室(1.1および2.1)にそれぞれ代替的に分配し、前記枢動密封部材(8)は、対応する前記作動流体室の前記入口をそれぞれ密封するための密封リップ(8.1)を有する入口密封シリンダであって、前記密封リップは前記シリンダの2つの円形側面のそれぞれにある、入口密封シリンダと、切頭球形面を有する突出部(8.2)と、対応する前記作動流体室のそれぞれから通じている、前記2つの室カバーのそれぞれの前記マニホルドからの出口をそれぞれ密封するための密封リップ(8.4)を有する出口密封シリンダであって、前記密封リップは前記シリンダの2つの円形側面のそれぞれにある、出口密封シリンダと、を含み、前記作動流体は、複数の前記室カバーの複数の前記マニホルドからの複数の前記出口を介して複数の前記作動流体室から排出し、複数の前記室カバーの複数の前記マニホルドからの複数の前記出口は、前記出口密封シリンダの複数の前記円形側面の近くの、前記作動流体分配モジュールの複数の内壁の対向する複数の側面に位置し、前記突出部(8.2)は、該作動流体分配モジュールの低摩擦シール(8.3)によって支持されるとともに、該作動流体分配モジュールの低摩擦シール(8.3)に対して枢動しかつ密封し、前記枢動密封部材は、該作動流体分配モジュールの低摩擦シールに対する接触を維持する前記突出部(8.2)を中心に、水平面内で時計方向および反時計方向に代替的に回転する、作動流体分配モジュール(7)と、
・作動流体入口チャネルのうちの1つの中の絞り弁(9)であって、前記絞り弁を有する前記作動流体入口チャネルが、対応する前記枢動密封部材(8)の前記入口密封シリンダの前記密封リップ(8.1)によって密封されていないとき、対応する前記室カバーの対応する前記マニホルドを介して、前記作動流体分配モジュールの片側から対応する前記作動流体室(1.1又は2.1)まで前記作動流体の流れを許可するが制限する絞り弁(9)と、
・それぞれの前記ダイヤフラムのストロークの終わりに作動され、そして前記室カバーの前記マニホルドを介して作動流体の衝撃を前記入口密封シリンダの側面のそれぞれに交互に送る、2つのセンサ弁(5)と、
ポンプ軸(6)に対して異なるレベルに、かつ前記ポンプ流体室内に流体入口ポート(12)および出口ポート(13)をそれぞれ有する2つのポンプ流体室であり、該2つのポンプ流体室の前記流体入口マニホルド(16)は、該2つのポンプ流体室の前記入口ポート(12)の下方にあり、該2つのポンプ流体室の前記流体出口マニホルド(17)は、前記流体室の前記出口ポート(13)の上方にある、2つのポンプ流体室と、
・当該中心流れダブルダイヤフラムポンプのぬれボディの中心にて、前記室間に収容された2つの吸込弁(10)および2つの吐出弁(11)を備える4つの逆止弁であり、前記2つの吸込弁(10)は、前記ポンプ軸(6)の上方の水平面内に位置し、前記2つの吐出弁(11)は、前記吸込弁の前記水平面の下方、かつ前記ポンプ軸(6)の下方の水平面内に位置し、前記弁は、前記ポンプ流体室の前記入口ポート(12)および前記出口ポート(13)と直接連通する、4つの逆止弁と、
・起伏のある輪郭をもつ設計の2つのダイヤフラム(4)であり、該2つのダイヤフラム(4)の吸込ストロークの終わりに前記室カバー(14)の輪郭に適合し、該2つのダイヤフラムの起伏のある輪郭は、該2つのダイヤフラム(4)の吐出ストロークの終わりに前記ポンプボディ(3)の前記室の側面の輪郭に適合し、該2つのダイヤフラムはまた、前記カバー(14)と前記ポンプボディとの間にフランジシールを作る、2つのダイヤフラム(4)と、
・前ポンプ流体入口マニホルド(16)および/または前記ポンプ流体出口マニホルド(17)と前記逆止弁のハウジングとの間の連結から独立しており、そしてまた前記ポンプ流体室の前記入口ポート(12)および前記出口ポート(13)と前記逆止弁のハウジングとの間の連結からも独立している、逆止弁手入れ用の蓋(15)と、
・‐他方の室カバーから独立しており、かつ前記ポンプの中心ボディに含まれる前記ポンプ入口マニホルド(16)および前記出口マニホルド(17)からも独立している、前記中心ポンプボディにそれぞれ固定された室カバー(14)であり、それぞれ前記作動流体が前記室カバーのそれぞれの室と連通することを可能にするマニホルドを含む室カバー(14)と
を備えることを特徴とする中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
先端が入ってくる作動流体の流れと向かい合い、かつ片側を面取りされている突出羽根部(8.5)を有する低摩擦枢動密封部材(8)を備える作動流体分配モジュール(7)を備え、
作動流体が適用される場合、前記密封部材は平衡位置を有していない、ことを特徴とする、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記2つの室カバーのそれぞれの中のセンサ弁(5)を使用し、
前記作動流体入口からの前記作動流体の圧力は前記弁に絶えず作用し、前記弁は、前記2つの室カバーのそれぞれのダイヤフラムのストロークの終わりに作動されたときに開放され、その時点で、前記弁により、作動流体が対応する前記室カバーの前記マニホルドを通って前記作動流体分配モジュールの前記枢動密封部材まで流れて、前記枢動密封部材の位置を変えることが可能になり、前記センサ弁はそれぞれ、センサシャーシ(5.1)、ガスケット(5.2)、作動ボタン(5.3)、ボール弁座(5.4)、Oリングシール(5.5)、およびボール弁(5.6)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項4】
4つの逆止弁(例えば、必ずというわけではないが、ボール弁)、すなわち吸込弁として働く2つの弁(10)および2つの吐出弁(11)が、当該中心流れダブルダイヤフラムポンプのぬれボディの中心に収容され、すべて当該中心流れダブルダイヤフラムポンプの上面からアクセス可能であり、
前記吸込弁は前記吐出弁とは異なるレベルにあり、前記吸込弁は前記ポンプ軸(6)の上方にあり、前記2つの吐出弁は前記ポンプ軸(6)の下方にある、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項5】
各ポンプ流体室内で前記ポンプ流体室入口ポート(12)は、前記ポンプ流体入口マニホルド(16)の上方にあると共に前記流体室の上縁の方を向いており、前記出口ポート(13)は、前記ポンプ流体出口マニホルド(17)の下方にあると共に前記流体室の下縁の方を向いており、前記入口ポートと前記出口ポートが互いに筋向いにあり、これにより最上部から底部の方への流体の流れ及び前記室からの流体の流れを確実にし、それによって、普通なら前記流体室内で沈降が生じるであろう、ゼロおよび非常に低い流速の区域をなくす、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項6】
前記4つの逆止弁(例えば、必ずというわけではないが、ボール弁)の前記ハウジングは、前記吸込弁(10)の場合、前記ポンプ軸の上方に位置する前記ポンプ流体室入口ポート(12)を形成し、前記吐出弁(11)の場合、前記ポンプ軸の下方に位置する前記ポンプ流体室出口ポート(13)を形成しており、この配置により、前記逆止弁と前記ポンプ流体室の前記入口ポートおよび前記出口ポートとの間のマニホルドが不要になる、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項7】
当該中心流れダブルダイヤフラムポンプの前記4つの逆止弁(例えば、必ずというわけではないが、ボール弁)が、前記ポンプ流体入口マニホルドおよび/または前記ポンプ流体出口マニホルドと前記逆止弁ハウジングとの間の連結から独立しており、かつ前記ポンプ流体室の前記入口ポートおよび前記出口ポートと前記逆止弁ハウジングとの間の連結から独立している手入れ用の蓋(15)を有し、
前記逆止弁手入れ用の蓋は、前記作動流体分配モジュール(7)を取り除いた後で、前記ポンプ流体入口マニホルド(16)に接続された流体ラインから前記ポンプを切り離さずに、かつ、前記ポンプ流体出口マニホルド(17)に接続された流体ラインから前記ポンプを切り離さずに、言い換えると前記ポンプ流体入口マニホルドも前記ポンプ流体出口マニホルドも取り外す必要なしに、前記ポンプの上面からアクセス可能である、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項8】
前記ポンプ流体入口マニホルドに代えて、2つの独立したポンプ流体入口を備え、前記2つの独立したポンプ流体入口の各一方が前記2つのポンプ流体室の1つそれぞれ供給する、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項9】
前記ダイヤフラム(4)は弾性ダイヤフラムであり、前記ポンプ軸に固定されておらず、各ダイヤフラムは、前記ダイヤフラムが吸込ストロークの終わりにおいてリラックス状態にあり、吐出ストロークの間その変形の間弾性エネルギーを蓄え、前記吸込ストロークの間前記弾性エネルギーを戻すことによって吸込ストロークを助勢するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項10】
記室カバー(14)が、前記ポンプ流体入口マニホルドおよび出口マニホルドから独立しており前記ダイヤフラムは、前記ポンプ軸に固定されていない、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【請求項11】
前記中心流れダブルダイヤフラムポンプを操作および制御するための自動外部制御および/または統合制御の使用を可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の中心流れダブルダイヤフラムポンプ。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、上方向空気弁モジュールによって制御される中心流れダブルダイヤフラムポンプ(central flow double diaphragm pump)に関する。空気弁モジュールは、突出羽根部を有する枢動密封部材を使用して、圧縮空気または別の加圧流体とすることができる作動流体を分配し、それによってダイヤフラムを駆動する。このポンプは、特別な配置のポンプ流体室への2つの入口ポートと特別な配置のポンプ流体室からの2つの出口ポートとを備える。これらのポートは、やはり特別な配置の4つの逆止弁(例えば、必ずというわけではないが、ボール弁)を組み込んでいる。ダイヤフラムは、エラストマであるとともに、化学物質に対して不活性なPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)または他の材料の層を含みうるものであり、特別な設計を有し、中心内部ディスクを組み込んでいる。2つのダイヤフラムの間のポンプの軸は、自由に往復運動することができ、ダイヤフラムには固定されていない。既存の類似の流量ポンプと比べると、同じ時間に同量の流体をポンプで送る場合、本発明は、最大で3分の1少ない量の作動流体を使用し、それに対応してエネルギー消費量が減少する。
【発明の用途】
【0002】
本発明は、流体、ならびに/あるいは浮遊固体および/もしくは粉末を有し、かつ/または化学的に攻撃的なまたは炭化水素、塩素化炭化水素、酸、塩基などの流体および産業プロセスに使用される他の化学物質を取り扱うのが困難な流体をポンプで送るために、産業ポンピング用途に使用することができる。
【発明の背景】
【0003】
市場には、圧縮空気または他の加圧流体によって操作されうる多くのダブルダイヤフラムポンプがあり、一般に、これらのポンプは下記の2つの組に分類することができる。
【0004】
a)ポンプの2つの最外側面に配置された2つの流体室から流体を代替的にポンプで送る周辺流れポンプ。作動流体室はポンプ流体室からダイヤフラムで隔てられ、これらの作動流体室はダイヤフラムの内側にある。
【0005】
b)中心ポンプボディの両側に配置された2つの流体室から流体を代替的にポンプで送る中心流れポンプ。作動流体室はポンプ流体室からダイヤフラムで隔てられ、これらの作動流体室はダイヤフラムの外側にある。
【0006】
他のポンプ技術と比べたダイヤフラムポンプの利点としては下記がある。
【0007】
・例えば化学的に攻撃的または研磨性であるために流体をポンプで送るのに困難な広い範囲をポンプで送る汎用性。
・中圧流体がポンプで送られることを可能にするとともに、ポンプの制御および操作も可能にするために、作動流体の圧力、例えば圧縮空気を利用する。
・ダイヤフラムポンプの設計には、回転軸ポンプ内に使用される、漏れる可能性のある密封システムを必要としない。
【0008】
周辺流れダイヤフラムポンプは、最も一般的な種類の圧縮空気操作ダイヤフラムポンプである。これらのポンプの設計は、ポンプ流体が最初に1つまたは大抵の場合、2つの90度エルボーを含む入口マニホルドを通過しなければならないことを含意している。このマニホルドを通過した後、流体は流体室に入らなければならならず、流体は流体室からやはり1つおよび大抵の場合、2つの90度エルボーを含む別のマニホルドを通って吐出される。したがって、この設計は、圧力降下、これらのポンプの低いエネルギー効率の重要な要素を導入する。
【0009】
中心流れポンプ内の流体経路はポンプの外側に行き渡らないので、関連する圧力降下を回避し、ポンプの効率を改善する。しかし、大抵の場合、ポンピング室の弁に向かう入口とポンピング室の弁からの出口の設計には複雑な経路を伴う。また、絞り弁と室入口ポートとの間、および室出口ポートと吐出弁との間にダクトが存在する。これらのダクトを最適化するかまたは除去するポンプの設計は、効率改善を提供するはずである。
【0010】
周辺流れポンプと中心流れポンプは共に、作動流体の流れを一方の空気室から他方へ切り替えるために方向弁を使用している。必要な切り替え時間は、多かれ少なかれ脈流を引き起こす。ポンピングシステムでは、様々な理由で、例えば、効率損失、設備の振動、不規則な流体供給、および投与精度の喪失を回避するために、脈流を回避した方がよい。
【0011】
総合的なポンピング性能に関して、ポンプに利用可能な吸込圧力は、吸込圧力=(大気圧+入口での流体静圧)−(ポンプが生成することができる吸込圧力)である。このため、ポンプの吸込能力の向上は大きな価値がある(吐出性能の0.1バールの向上=5バールの吐出圧力に対して約0.1バール=「ほんの」2%の向上であるが、吸込性能の0.1バールの向上=1バールの吸込高さに対して約0.1バール=10%の向上)。
【0012】
ダイヤフラムおよび逆止弁は、すべてのダイヤフラムポンプ内で不可欠な構成要素である。ダイヤフラムおよび逆止弁はポンプ流体と接触するので、ダイヤフラムおよび逆止弁は、ポンプの適用範囲を最大限にするために、異なる材料で利用することができる。通常、ダイヤフラムは、交互する駆動力を両方のダイヤフラムに伝達するために、ダイヤフラムの内側と外側の両方に作用する、ねじ付き連結部および大きなディスク、またはピストンを使用してポンプの中心軸に固定される。
【0013】
ダイヤフラムポンプの実用寿命の間の重要な要素がメンテナンス費用である。また、この費用の重要な要素としては、ダイヤフラムポンプの寿命の終わりに構成要素(例えば、ダイヤフラム、逆止弁、方向弁および軸)を交換する費用、部品を修理したり取り換えたりする労働時間、およびダウンタイムがある。メンテナンス間隔を短縮する要素としては下記がある。
【0014】
・化学的に攻撃的な流体のためのダイヤフラム、特に、例えばPTFEを用いて、エラストマだけをベースとはしない高い耐化学性を実現する設計を有するダイヤフラムは、各サイクル中の交互運動のせいで早期に破裂する傾向があり、ストロークが長くなるほどかかるダイヤフラムの寿命は短くなる。
・ポンプ流体室内の沈降物の蓄積は、ダイヤフラムが、これらの堆積物との接触により、変形してダイヤフラムのストロークを終えざるを得なくなると、ダイヤフラムおよび軸の摩耗につながる可能性がある。
・かなりの吸込抵抗または吐出抵抗に逆らってポンピングしたときに軸およびダイヤフラムに加わる力。
・浮遊固体を有するポンプ流体がダイヤフラムおよび逆止弁の摩耗を増大させる。
・汚染した圧縮空気が空気弁の早期摩耗を引き起こす可能性がある。
【0015】
ダウンタイムと部品を修理または交換するのに要する労働時間とを増大させる重要な要素としては、下記がある。
【0016】
・修理または交換を必要とする構成要素にアクセスするために、ポンプの入口マニホルドおよび出口マニホルドが取り外される必要があるときに、流体ラインからポンプを切り離す必要がある。
・これらの部品へのアクセスが容易でない設計のために、修理または交換を必要とする構成要素にアクセスするために、ポンプを取り外す必要がある。
・ポンプ流体が危険な流体である場合、流体ラインの分離およびメンテナンスは、こぼれること、およびオペレータが流体と接触することを回避するために、特に注意して実現されなければならない。
【0017】
ダイヤフラムポンプ内でのストローク方向切換えの速度を上げるとともに、サイクリング頻度を高くすることが可能であれば、このことは流体脈動の悪影響を低減するはずであり、流量(流量=サイクル頻度×1サイクル当たりのポンプで送られる量)を低減せずにストローク長を短縮し、したがってダイヤフラムの寿命を延ばすことが可能になる。しかし、これにはより速い方向弁が必要である。方向弁の多くの設計は、空気漏れなどの問題および/またはポンプ起動および停止のための不十分な運転信頼性を軽減するように徐々に発展してきた。しかし、空気漏れを低減するには、不都合なことに、汚染され方向弁の固着を引き起こしうるシールおよび潤滑剤が使用され、このことは、ポンプ始動障害や望まれないポンプ停止につながる可能性がある。新しい方向弁が空気を漏らさず、信頼性のあるポンプ始動および運転を行うことが不可欠である。
【0018】
前述した特徴をもつ様々な中心流れポンプが存在し、例えば、欧州特許第0823023号明細書/欧州特許第1029185号明細書があり、特筆すべきポンプが、FLOTRONICS AGによって所有されている欧州特許第0132913号明細書である。この種のポンプは、2つの室および4つの逆止弁、ならびにダイヤフラムを押す軸を備える。しかし、下記のものを備える、本発明の特徴をすべて取り入れたポンプは知られていない。
【0019】
・吐出弁とは異なるレベルにある吸込弁で上方からアクセス可能な、ポンプの中心に位置する逆止弁。
・軸の上方にかつ室の中に位置する室までの流体入口ポート、および軸の下方にかつ室の中に位置する室からの流体出口ポート。
・枢動密封部材の特別な突出羽根部がポンプの対称機能を壊し、したがって枢動密封部材を阻止し、結果としてポンプが停止しないようにする、空気を分配する枢動密封部材。
・特別なダイヤフラム設計。
・軸に何も固定せずに自由に組み付けられるダイヤフラム。
【0020】
したがって、記述されている革新および本発明の機能的利点をすべて同時に提供するポンプは知られていない。
【発明の説明】
【0021】
下記の用語が使用される。
・空気/圧縮空気=圧縮空気または他の加圧作動流体。
・流体=液体、浮遊粒子を有する液体、または浮遊粒子を有する空気とすることができるポンプ流体。
・空気分配モジュール=突出羽根部を有する低摩擦の枢動密封部材を使用して圧縮空気を分配する上側モジュール。
・ピボット弁=突出羽根部を有する枢動密封部材。
・ボール弁=本発明ではボール弁として提示されているが、フラップ、またはフラットもしくは他の種類の逆止弁とすることもできる、2つの吸込弁および2つの吐出弁。
【0022】
本発明は、類似の流量ポンプと比べると、同量の流体をポンプで送るときに、最大で3分の1少ない量の圧縮空気を、エネルギー消費量の対応する減少を伴って使用する特別な設計のダブルダイヤフラムポンプである。このポンプは、空気漏れをなくし、停止または失速せずに確実に始動し、より少ない脈動流を送出し、ダイヤフラムの動作寿命を延ばす。ダイヤフラムおよびボール弁(または他の種類の逆止弁)の洗浄および交換は、流体ラインを切り離す必要がなく、ポンプを完全に取り外す必要もないので、直接、簡単かつ迅速に可能である。したがって、必要な時間が短縮されるおかげで、この種のメンテナンスはずっと経済的になる。
【0023】
本発明は、流体入口マニホルド(16)と流体出口マニホルド(17)と空気室(1.1および2.1)および流体室(1.2および2.2)をそれぞれ含む2つの外部横室(1および2)とを有する特別に構成された中心流れダブルダイヤフラムポンプ、ならびにこれらの室の間に位置する中心ボディ(3)を備える。横室はそれぞれ、空気室(1.1および2.1)を流体室(1.2および2.2)から隔てるダイヤフラム(4)を含む。空気室は最外側面にあり、さらに室カバー(14)によって密閉される。空気室は、圧縮空気または別の加圧作動流体によって操作される。圧縮空気は、ダイヤフラムが圧縮空気によって代替的に変位するように、突出羽根部を有する枢動密封部材によって制御される。中心軸(6)は変位し、ダイヤフラムの中心は、ダイヤフラムのストロークセンサ(5)の各端部と接触する。したがって、交互する前後運動が起こり、流体を各室のぬれ側面内に吸い込み、液体を各室のぬれ側面から吐出する。
【0024】
より具体的には、本発明は下記を含む。
【0025】
1.制御および操作システムに関して
【0026】
・突出羽根部を有する低摩擦枢動密封部材(8)。突出羽根部を有する枢動密封部材は、作動流体分配モジュール(7)に含められる。枢動密封部材(8)は、2つの入口のそれぞれのための密封リップを有する入口密封シリンダ(8.1)と、切頭球形面を有する突出部(8.2)と、2つの出口のそれぞれのための密封リップを有する出口密封シリンダ(8.4)と、その先端が入ってくる作動流体の流れと向かい合う突出羽根部(8.5)と、を含む。突出部(8.2)は、分配モジュールの低摩擦シール(8.3)によって支持されるとともに、この低摩擦シール(8.3)に対して枢動しかつ密封する。枢動密封部材は、枢動密封部材の切頭球形突出部の周囲を最低限の摩擦で自由に動き、これにより非常に高速の位置変化が可能になる。切頭球形突出部と低摩擦シールとの間のシールは、作動流体の漏れ、したがって不必要なエネルギーの使用を防止する。例えば、ポンプがポンプ流体吐出ライン内の弁を使用して制御される場合、加圧作動流体およびポンプ流体を有するポンプを、作動流体の漏れが全くなく、かつ全く動かない状態にしておくことが可能である。
【0027】
・絞り弁(9)。ポンプの対称機能を壊し、したがってポンプが停止または失速するのを防止するために、絞り弁が作動流体チャネルのうちの1つだけに含められる。これにより、突出羽根部を有する枢動密封部材(8)の機能を強化する。
【0028】
・2つのセンサ弁(5)。センサ弁が2つの室カバー(14)にそれぞれ組み込まれ、2つの室カバー(14)のそれぞれのダイヤフラムのストロークの終わりに作動される。センサ弁は、センサシャーシ(5.1)、ガスケット(5.2)、作動ボタン(5.3)、ボール弁座(5.4)、Oリングシール(5.5)、およびボール弁(5.6)を備える。
【0029】
2.‐ポンプ流体室に関して
【0030】
ポンプ流体室を備え、ぬれるボディ(以下「ぬれボディ」という)(wetted body)としても知られている中心ポンプボディ(3)は、特別な構成の逆止弁を含み、逆止弁は、ボール弁または他の種類の逆止弁とすることができ、それにより、逆止弁のハウジングとポンプ流体室の吸込口ポートおよび吐出口ポートとの間の直接連結が可能になる。したがって、逆止弁とポンプ流体室との間を連結するために、本発明に先立って、空気操作ダブルダイヤフラムポンプに一般的に使用されているマニホルドは必要ない。吸込および吐出性能は、直接の逆止弁を通じてポンプ流体室連結部まで大幅に改善される。
【0031】
・4つの弁、例えばボール弁。2つの吸込逆止弁(10)および2つの吐出逆止弁(11)が、室間の中心ボディの中心に、かつダイヤフラムの一部の突出部の中に収容される。ボール弁の場合、ボール弁は、ポンプの中への流体の流れおよびポンプから外への流体の流れに対して垂直な垂直運動で動作する。2つの吸込弁(10)は、2つの吐出弁(11)の上方の水平面内に位置する。ボール弁は、ポンプ流体室の入口ポート(12)および出口ポート(13)と直接連結する。
【0032】
・両方のポンプ流体室の入口ポート(12)および出口ポート(13)。逆止弁のハウジングは、入口ポートおよび出口ポートを形成する。入口ポート(12)は中心軸(6)の上方にあり、出口ポート(13)は中心軸の下方にある。この配置は、最上部から底部の方への流体の流れを確実にするとともに、ゼロおよび非常に低い流速の区域を防止し、したがって浮遊状態で運ばれる固体粒子の流体室内での沈降を防止する。浮遊する粒子は出口ポート(13)を通って吐出される。これによりダイヤフラムおよび軸の寿命が延びる。というのは、そうでないと粒子が沈降し、粒子の堆積によって引き起こされる摩耗および機械的変形のせいで、ダイヤフラムおよび軸を損傷させるからである。
【0033】
本発明は、ポンプ流体の入口ポートおよび出口ポートを異なるレベルに、かつ室の突出部分の中に配置することにより、沈降によって引き起こされるこれらの既存の問題を解決する。したがって、吸込口は、ポンプからの固体の排除を促進するために、吐出口より高いレベルにある。このことは、流体室の吸込ポートが室の底部の方を向いている既存のポンプと対照的である。
【0034】
本発明はまた、ポンプ流体入口マニホルドを2つに分割することにより、2つの流体の同時吸込みを可能にする。ポンプ流体入口マニホルドは、2つのポンプ流体を異なるポンプ流体室の各入口ポートへ変える。2つの流体は、ポンプ流体出口マニホルド内で混合される。
【0035】
・2つの室カバー(14)の輪郭に適合し、かつ2つのポンプ流体室(1.2)および(2.2)の外側面に適合する輪郭をそれぞれ有する2つのダイヤフラム(4)。これらのダイヤフラムの設計は下記の2つの機能を実現する。
【0036】
1.ダイヤフラムがポンプ流体室にぴったり合うことにより、漏れ止めシールを確実にする。
【0037】
2.ダイヤフラムは、ダイヤフラムがダイヤフラムの初期状態またはリラックス状態にあるときに、室カバー(14)の輪郭に適合する形状のエラストマで作られる。ダイヤフラムの吐出サイクルの間に、ダイヤフラムは作動流体から弾性エネルギーを蓄える。次いで、ダイヤフラムの吸込サイクルの間に、ダイヤフラムはこのエネルギーを放出し、したがってポンプの吸込サイクルを助勢する。吸込サイクルの間に、吸込ダイヤフラムは、両方のダイヤフラムから自由に作動する中心軸によって押され、それによって普通なら軸およびダイヤフラムの寿命を縮めることになる力が生成されないようにもする。このことは、キャビテーション中、乾燥運転、摩耗により軸の動きに遊びが導入されうるときの軸の寿命を通じて、などの極端な状況にも当てはまる。突出羽根部を有する枢動密封部材は、既存のシャトル弁に比べてより速いストローク方向切換えおよびより高い頻度切換えを可能にし、したがってダイヤフラムがより短いストロークで駆動されることを可能にする。ストローク方向切換えが速くなるほど脈動が減少し、ストロークが短くなるほどダイヤグラムの寿命が延びる。脈動を最小限に抑えるとポンプ内の流動抵抗も低減し、したがってエネルギー消費量の大幅な節約を達成する。
【0038】
本発明は、前述した4つの逆止弁(2つの吸込弁(10)および2つの吐出弁(11))に加えて、すべてがポンプの同じ側から、すなわち作動流体分配モジュールの下からアクセスできる逆止弁手入れ用の蓋(15)を含む。逆止弁手入れ用の蓋は、弁を洗浄または交換するために、逆止弁への直接的で簡単なアクセスを可能にする。したがって、これらの作業が必要となるべきときはいつでも、メンテナンスのためのポンプのダウンタイムは最小限に短縮することができる。というのは、弁に到達するために、作動流体分配モジュールおよび逆止弁手入れ用の蓋を取り外すだけでよいからである。したがって、逆止弁のメンテナンスの間、ポンプは流体ライン内に連結されたままとすることができ、ポンプ流体の吸込ホースおよび吐出ホースを切り離す必要はない。
【0039】
同様に、室カバーおよびダイヤフラムの設計および側面配置により、ダイヤフラムは、室カバーを取り外し、軸に固定されていないダイヤフラムを交換するだけで交換することが可能になる。この場合も、ポンプは流体ライン内に連結されたままとすることができ、ポンプ流体の吸込ホースおよび吐出ホースを切り離す必要はない。
【0040】
流体ラインからポンプを切り離さずに逆止弁またはダイヤフラムを交換できることは、これらのポンプが化学的に攻撃的な流体をポンプで送るために使用される場合に特に重要である。この場合、ダウンタイムおよび修理時間が最小限に短縮されうるだけでなく、この種の流体を取り扱うのに関係する健康上のリスクおよび安全性のリスクを減らすこともできる。高価なポンプ流体の場合、メンテナンス時に失われる流体の量も最小限に抑えることができる。
【0041】
本発明のこの記述を補完するとともに、本発明の特徴のより良い理解を伝達するために、図面一式が下記に記載されている。これらの図面は例示的なものであり、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】ポンプの機能図である。
図2】作動流体分配モジュール、ボール弁、逆止弁手入れ用の蓋、および中心ポンプボディを示すとともに、枢動密封部材の詳細図を含む図である。
図3】ポンプの正面断面図である。
図4】ポンプ流体室の入口ポートおよび出口ポートを含む中心ポンプボディの側面図である。
図5】ボール弁の位置を含むポンプの側断面図である。
図6】センサ弁を含むポンプの一部の正面詳細断面図、およびセンサ弁の詳細分解図である。
図7】左側ダイヤフラム(4.1)が左側ダイヤフラム(4.1)のリラックス状態に復帰し、右側ダイヤフラム(4.2)が作動流体の圧力を受けて動いたところのポンプの正面断面図、およびダイヤフラムの詳細図である。
図8】室カバー(14)を取り除くことによるダイヤフラムへの直接アクセスを示す図である。また、上側から作動流体分配モジュールを取り除き、逆止弁手入れ用の蓋(15)を取り除くことによる逆止弁への直接アクセスがこの図に示されており、図2にも示されている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ポンプは、ポンプの下記のサブシステムおよび構成要素の相互作用によって機能する。
【0044】
制御および操作サブシステムの構成要素においては
・突出羽根部を有する枢動密封部材(8)を備える作動流体分配モジュール(7)
・絞り弁(9)を有する作動流体チャネル
・ストロークセンサ弁(5)の端部
【0045】
ポンプ流体サブシステムの構成要素においては
・ダイヤフラム(4)
・軸(6)
・逆止弁、例えば、必ずというわけではないが、ボール弁(10)、(11)
・ポンプ流体の入口ポート(12)および出口ポート(13)を有するポンプのぬれボディ
・ポンプ流体入口マニホルド(16)および出口マニホルド(17)を有するポンプのぬれボディ
【0046】
作動流体分配モジュールに連結された作動流体ラインが加圧されると、突出羽根部を有する枢動密封部材(8)は、作動流体の流れを、対応するダイヤフラム(4)と室カバー(14)との間に形成された作動流体室の一方(1.1)の方へ向ける。次いで、ダイヤフラムは、ダイヤフラムの側面の一方に作用する作動流体によって加圧されると、ポンプの中心に向かって動き始め、この動きの結果として下記となる。
【0047】
a)作動流体によって加圧された室(1.1)のダイヤフラムは、隣接する流体室(1.2)内のポンプ流体を加圧し始める。ポンプ流体は、逆止弁(例えば、必ずというわけではないが、ボール弁(11))が開放されている室の出口ポート(13)から吐出される。この弁は、ポンプ流体がポンプから吐出されることを可能にするが、ポンプ流体が逆方向にポンプに流れ込むのを阻止する。ポンプ流体室の出口ポートの位置は、ポンプの軸の下方であるので、室(1.2)からポンプ流体中に浮遊しうる固体粒子を吐出するのを容易にする。
【0048】
b)その間、他方のダイヤフラムのストロークは逆の経路をたどる。すなわち、流体室(2.2)は、流体室の吸込サイクルを開始して、室の入口ポート(12)の逆止弁(例えば、必ずというわけでないが、ボール弁)を開放するが、室出口ポート(13)の逆止弁は閉鎖される。ポンプ流体入口マニホルドに接続されている流体が室に流れ込み始める。このダイヤフラムは、ダイヤフラムの先の変形中に、作動流体によって加圧された他方の室内のダイヤフラムが2つのダイヤフラムの間に位置する軸を押すことによって蓄えられた、ダイヤフラムの弾性エネルギーを放出するように動く。
【0049】
c)上記の機能シーケンスの間、センサ弁(5)は、加圧された作動流体室の反対側のダイヤフラムが、このダイヤフラムのストロークの終わりに達し、このダイヤフラムの対応するセンサ弁(5)を作動させるまで、閉鎖されたままである。
【0050】
センサ弁(5)が作動される(開放される)と、ポンプを制御する突出羽根部を有する枢動密封部材(8)に影響を与える別の一連の動作が引き起こされる。センサ弁(5)が作動されると、センサ弁(5)は、作動流体を、室カバー内の作動流体マニホルドを通じて枢動密封部材(8)の入口密封シリンダに送る。この作動流体の衝撃により、突出羽根部を有する枢動密封部材(8)の位置が変わる。枢動密封部材の新しい位置では、枢動密封部材により、加圧されていた作動流体室(1.1)が周囲に排出することが可能になるとともに、作動流体が他の作動流体室(2.1)に入りこれを加圧することが可能になる。枢動密封部材の位置の変化は、枢動密封部材が片側へ押しやられるようにするために片側を面取りされた突出羽根部によって確保され、そしてまた、絞り弁(9)がポンプの対称機能を壊してポンプが停止または失速するのを防止することによって強化される。枢動密封部材の突出羽根部および絞り弁がないと、ポンプは、枢動密封部材が平衡位置に達するたびに停止し、ポンプを再び始動するために外部作用を必要とすることになる。
【0051】
この時点で、ポンプのストロークは逆向きに再開し、上記に説明した初期ストロークと同じようにポンプのポンピングサイクルを終える。これらのサイクルは非常に速く、1秒当たり数回完了される。
【0052】
このように、ダイヤフラムで収容されたポンプ流体室は、ポンプ流体を、既存のダイヤフラムポンプの頻度を上回るサイクル頻度で代替的に吸い込み吐き出し、したがって、連続的な、既存のダイヤフラムポンプより少ない脈流がポンプ出口に供給されることが可能になる。
【0053】
ポンプの特別な設計により、ダイヤフラム(4)および逆止弁(例えば、必ずというわけではないが、ボール弁(10)および(11))が流体ラインからポンプを切り離さずに交換されることが可能になる。作動流体分配モジュール(7)を取り外し、逆止弁に手が届くように逆止弁手入れ用の蓋(15)を取り除くか、または何ら固定されていないダイヤフラムを交換するために室カバー(14)を取り除くだけでよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8