(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置が、車両の発進時と過渡時に前記スーパーチャージャーで過給する制御を行う一方で、排ガスにより前記ターボチャージャーが駆動すると、前記スーパーチャージャーを停止して、前記ターボチャージャーで過給する制御を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の内燃機関。
スーパーチャージャー、ターボチャージャー、EGRガスを貯蔵するEGRガスタンクを有する低圧EGRシステム、及び該低圧EGRシステムと駆動領域が異なる高圧EGR
システムを備える内燃機関の制御方法であって、
車両の発進時と過渡時に前記スーパーチャージャーで過給し、排ガスにより前記ターボチャージャーが駆動すると、前記スーパーチャージャーを停止して、前記ターボチャージャーで過給する過給切換工程と、
エキゾーストマニホールド内の圧力がインテークマニホールド内の圧力以下の場合に、前記EGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを還流し、エキゾーストマニホールド内の圧力がインテークマニホールド内の圧力よりも大きい場合に、前記高圧EGRシステムでEGRガスを還流するEGR切換工程と、を含むことを特徴とする内燃機関の制御方法。
前記EGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを還流する前に、車両の制動エネルギーにより前記低圧EGRシステムに設けた加圧ポンプを駆動して、前記EGRガスタンクに加圧したEGRガスを貯蔵する低圧EGR貯蔵工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の制御方法。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の燃費向上のために動力源となるエンジンのダウンサイジングやダウンスピード化が進み、ターボチャージャーに2ステージターボやVGS(可変翼)ターボを採用して、エンジンの作動域全体で高トルクを実現し、燃費及び出力の向上を図っている。
【0003】
しかし、ターボチャージャーによる過給は、エンジンの排ガスエネルギーを使用するため、発進時、及び過渡時の過給、すなわちアイドリングからの発進時の過給や、定常運転状態から過渡時への急な移行での過給などの状態では過給の応答の遅れ、すなわちターボラグが発生する。そのため十分な空気がシリンダー内に供給されずスモークの発生や、発進トルクの不足が起きる。
【0004】
そこで、エンジンクランク軸より回転運動を取出して、過給するスーパーチャージャー(機械式過給装置)を設け、その発進トルクの改善や過渡過給特性の改善を図るものもある。
【0005】
一方、排ガス性能の向上では、排ガスを吸入空気に再循環させ吸入空気と混合しシリンダーに吸入させるEGRシステム(排気再循環システム)を用いて、NOx(酸化窒素化合物)を低減している。このEGRシステムは、エキゾーストマニホールド(以下、エキマニという)から分岐された後、排ガスを冷却するためのEGRクーラーを通過し、EGRバルブによる流量コントロールを経て、インレットマニホールド(以下、インマニという)へ導入する。
【0006】
このシステムには二種類あり、エキマニ後に、ターボチャージャーなどの過給装置を設置した排気系では、特にエキマニ内の排ガスの圧力が通常の過給装置を持たないエンジンの排気系より高くなるため、この状態のEGRシステムについてHP−EGRシステム(高圧EGRシステム)とする。これに対し排気系の過給装置の下流の比較的排気圧力の低い部分の排気管から分岐し、EGRクーラーを通過しEGRバルブにより流量コントロールを経て、ターボチャージャーのコンプレッサー手前に合流し吸入新気とミックスする方法をLP−EGRシステム(低圧EGRシステム)とする。
【0007】
従来のEGRシステムでは、HP−EGRシステムとLP−EGRシステムのそれぞれにおいて問題点を有する。まず、HP−EGRシステムを作動させた場合の問題点は、EGRガスをエキマニから導入するため、エキマニからターボチャージャーを通過する排ガス量が低下する。このためEGRシステムを使用しない場合の同じエンジン回転数とエンジン負荷とを比較して、ターボチャージャーの効率の低い領域でターボチャージャーを駆動することになり、ターボラグが発生する。また、HP−EGRシステムでは、エキマニとインマニの圧力差によりEGR割合が変化するため、エンジン負荷の低い領域ではEGR割合が上げられない状態もある。
【0008】
次に、LP−EGRシステムでは、過給機付エンジンにおいてターボチャージャーの下流よりEGRガスを導入するため、排ガス全量がタービンを通過することになり、ターボチャージャーの使用領域についてはLP−EGRシステムの利用に関係なく、ターボチャ
ージャーを高効率領域で使用できる。
【0009】
しかし、排気管からのEGRガスの導入は吸気負圧に寄与するため、排気管への排気絞りの弁の設置や、コンプレッサーやインタークーラーを通過するため、これらの内部腐食が問題となる。また、吸気負圧を発生させる手段として吸気絞りを行うため、燃費が悪化することが考えられる。
【0010】
加えて、発進トルクを確保するためにスーパーチャージャーを使用する場合、エキマニ内の圧力が上昇しない領域では、EGRガスの供給が不安定な状態となる。さらに、LP−EGRシステムはEGRガスを供給するルートがHP−EGRシステムと比較して長くなるために、過渡時のEGRガスの供給量の調整にタイムラグを生じる場合もある。
【0011】
そこで、スーパーチャージャーと外気ブースタ(ターボチャージャー)を備えるエンジンに、排気を加圧するEGRブースタと、排気を一時貯留するEGRタンクを設けた装置がある(例えば、特許文献1参照)。この装置は、スーパーチャージャーを備えることで、ほとんどの運転領域で、排気圧より吸気圧の方が高くなる高過給下においても排ガス再循環を確実に行える。
【0012】
しかしながら、車両の発進時と過渡時の排ガス流量の少ない状態では、外気ブースタとEGRブースタを駆動することができず、排ガスを循環させることができない。また、排ガスを一時貯留するEGRタンクを設けているが、これは単気筒エンジンなど場合には有効であるが、そもそも排ガス流量が少ない状態では排ガスを貯留することができない。
【0013】
また、スーパーチャージャーにより燃費が悪化するという問題の他に、排ガスによりターボチャージャー、EGRブースタ、及び排気還流通路の内部が腐食するという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、過給遅れを防いで内燃機関の運転域全体で過給を行うことにより、車両の発進時や過渡時のスモークの発生、及びトルク不足を抑制すると共に、排ガス流量の少ないときにもEGRガスを供給することで、内燃機関の運転域全体でEGRガスの還流を行うことができ、NOxの発生を抑制することができる内燃機関
、及びその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を解決するための本発明の内燃機関は、スーパーチャージャーと、ターボチャージャーとを備える内燃機関において、EGRガスを貯蔵するEGRガスタンクを有する低圧EGRシステムを前記ターボチャージャーの排ガス下流に設けると共に、高圧EGRシステムを前記ターボチャージャーの排ガス上流に設け、
エキゾーストマニホールド内の圧力がインテークマニホールド内の圧力以下の場合に、前記低圧EGRシステムを作動させて、前記EGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを還流し、
エキゾーストマニホールド内の圧力がインテークマニホールド内の圧力よりも大きい場合に、前記高圧EGRシステムを作動させて、EGRガスを還流する制御装置を備えて構成される。
【0017】
この構成によれば、スーパーチャージャーとターボチャージャーを用いて二ステージの
過給領域を構成し、内燃機関の運転領域全体で過給することができる。これにより、ターボチャージャーのみで過給する場合に発生する車両の発進時と過渡時の過給遅れを防いで、発進時のトルクの向上と極低速からの加速を行うことができ、且つ、スーパーチャージャーのみで過給する場合に発生する燃費の悪化を防ぐことができる。
【0018】
また、作動領域が異なる二つのEGRシステムを設け、スーパーチャージャーの過給領域内で、低圧EGRシステムに設けたEGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを還流し、ターボチャージャーの過給領域で、高圧EGRシステムからEGRガスを還流することにより、運転領域全体でEGRガスを還流することができる。
【0019】
これにより、車両の発進時、及び過渡時の排ガス供給が十分でないときに、排ガス流量によらずEGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを供給して、内燃機関の運転領域全体でNOxの発生を抑制することができる。また、排ガスの供給量が十分なときに、EGRガスをコンプレッサーやインタークーラーを通過させない、及び、EGRガスの供給ルートが比較的短い高圧EGRシステムでEGRガスを供給して、それらの装置や排気管の内部腐食を防ぐと共に、燃費の悪化も防ぐことができる。
【0020】
さらに、排ガス流量が少ないときに、高圧EGRシステムとターボチャージャーを組み合わせることで発生する駆動効率の低い領域でターボチャージャーを使用することがなくなり、過給不足によるスモークの発生や発進トルクの不足を抑制することができる。
【0021】
また、上記の内燃機関において、前記低圧EGRシステムに第1EGRバルブと第1EGRクーラーを、前記高圧EGRシステムに第2EGRバルブと第2EGRクーラーをそれぞれ備え、前記制御装置が、エキゾーストマニホールド内の圧力がインレットマニホールド内の圧力以下のときに、前記第1EGRバルブを開き、前記第2EGRバルブを閉じて、前記第1EGRクーラーで冷却され、且つ前記EGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを還流し、エキゾーストマニホールド内の圧力がインレットマニホールド内の圧力よりも大きくなるときに、前記第1EGRバルブを閉じ、前記第2EGRバルブを開いて、前記第2EGRクーラーで冷却されたEGRガスを還流する手段を備えると、作動領域が異なるEGRシステムを切換えて、運転領域全体でEGRガスを還流することができるので、NOxを低減し、排ガスを低減することができる。
【0022】
加えて、上記の内燃機関において、前記低圧EGRシステムに、EGRガスを加圧するEGR加圧ポンプを備え、前記制御装置が、前記低圧EGRシステムで貯蔵されたEGRガスを還流する前に、前記EGR加圧ポンプでEGRガスを加圧して、前記EGRガスタンクに貯蔵する手段を備えると、排ガス流量の少ないスーパーチャージャーの過給領域内で、低圧EGRシステムからタイムラグ無しにEGRガスを供給することができる。
【0023】
さらに、上記の内燃機関において、前記EGR加圧ポンプを、クラッチを介して駆動軸、又は車軸と接続し、前記制御装置が、車両の制動時に前記クラッチを接続し、車両の制動エネルギーで前記EGR加圧ポンプを駆動する手段を備えると、車両の制動エネルギーでEGRガスをEGRガスタンクに貯蔵することができるので、車両の制動後の発進時や過渡時にその貯蔵されたEGRガスを供給することができる。また、所謂エンジンブレーキとなり、EGR加圧ポンプの駆動で悪化する燃費を向上することができる。
【0024】
その上、上記の内燃機関において、前記制御装置が、車両の発進時と過渡時に前記スーパーチャージャーで過給する制御を行う一方で、排ガスにより前記ターボチャージャーが駆動すると、前記スーパーチャージャーを停止して、前記ターボチャージャーで過給する制御を行うように構成される。
【0026】
上記の
構成によれば、作動領域の異なるEGRシステムを用いることで、スーパーチャージャーとターボチャージャーによる二ステージの過給領域を設けた内燃機関の運転領域の全域でEGRガスを供給することができるので、NOxを低減することができる。
【0027】
また、排ガス流量が少ないときに、EGRガスタンクに貯蔵したEGRガスを供給することができるので、通常のEGRシステムでは発生するEGRガスの供給遅れを無くすことができる。加えて、低圧EGRシステムのみでEGRガスを還流するときに発生する装置の内部腐食を防ぐと共に、燃費の悪化も抑制することができる。
【0028】
上記の問題を解決するための内燃機関の制御方法は、スーパーチャージャー、ターボチャージャー、EGRガスを貯蔵するEGRガスタンクを有する低圧EGRシステム、及び該低圧EGRシステムと駆動領域が異なる高圧EGRシステムを備える内燃機関の制御方法であって、車両の発進時と過渡時に前記スーパーチャージャーで過給し、排ガスにより前記ターボチャージャーが駆動すると、前記スーパーチャージャーを停止して、前記ターボチャージャーで過給する過給切換工程と、エキゾーストマニホールド内の圧力がインテークマニホールド内の圧力以下の場合に、前記EGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを還流し、エキゾーストマニホールド内の圧力がインテークマニホールド内の圧力よりも大きい場合に、前記高圧EGRシステムでEGRガスを還流するEGR切換工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0029】
また、上記の内燃機関の制御方法において、前記EGRガスタンクに貯蔵されたEGRガスを還流する前に、車両の制動エネルギーにより前記低圧EGRシステムに設けた加圧ポンプを駆動して、前記EGRガスタンクに加圧したEGRガスを貯蔵する低圧EGR貯蔵工程を含む。
【0030】
この方法によれば、スーパーチャージャーとターボチャージャーを容易に切換えて制御して、過給遅れを防ぎ、運転領域全体で過給することができる。また、作動領域の異なるEGRシステムを排ガス流量で切換えて制御することができ、運転領域全体でEGRガスを還流することができる。
【0031】
また、排ガスの供給量の少ない車両の発進時や過渡時に、還流させるEGRガスを、車両の制動中に制動エネルギーによりEGRガスタンクに貯蔵することができるので、燃費を悪化させること無く、必要となるEGRガスを確保することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、過給遅れを防いで内燃機関の運転域全体で過給を行うことにより、車両の発進時や過渡時のスモークの発生、及びトルク不足を抑制すると共に、排ガス流量の少ないときにもEGRガスを供給することで、内燃機関の運転域全体でEGRガスの還流を行うことができ、NOxの発生を抑制することができる。
【0033】
また、排ガス流量の少ない車両の発進時や過渡時に供給するEGRガスを、車両の制動中に、制動エネルギーを用いてEGRガスタンクに貯蔵することができるので、燃費を悪
化させること無く、EGRガスを確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る実施の形態の内燃機関
、及びその制御方法について、図面を参照しながら説明する。この実施の形態では、直列4気筒のディーゼルエンジンを例に説明するが、本発明はディーゼルエンジンに限定せずに、ガソリンエンジンにも適用することができ、その気筒数や、気筒の配列は限定しない。なお、図面に関しては、構成が分かり易いように寸法を変化させており、各部材、各部品の板厚や幅や長さなどの比率も必ずしも実際に製造するものの比率とは一致させていない。
【0036】
まず、本発明に係る実施の形態のエンジン(内燃機関)について、
図1を参照しながら説明する。本発明に係る実施の形態のエンジン2を搭載する車両1は、エンジン2の他に、トランスミッション3、プロペラシャフト5、ディファレンシャル6、ドライブシャフト7、前輪8、及び後輪9を備える。この車両1は、周知の技術の車両を用いることができ、この実施の形態では、フロントエンジンリアドライブ方式を例に説明する。
【0037】
エンジン2は、クランクシャフト4を有するエンジン本体10、エキゾーストマニホールド(以下、エキマニという)11、ターボチャージャー(以下、T/Cという)12、エアクリーナー13、スーパーチャージャー(以下、S/Cという)14、スーパーチャージャー用クラッチ(以下、S/C用クラッチという)15、吸気切換えバルブ16、インタークーラー17、吸気スロットル18、及びインレットマニホールド(インテークマニホールド;以下、インマニという)19を備える。各装置を、排気管、又は吸気管と呼ばれる配管によって、接合する。
【0038】
T/C12は、エンジン本体10からの排ガスのエネルギーを利用してタービンを高速回転させ、その回転力でコンプレッサーを駆動する装置を用いる。S/C14は、この実施の形態では、クランクシャフト4からベルト等を介して取り出した動力によって圧縮機を駆動し、空気を圧縮してエンジン本体10に供給する装置を用いる。このS/C14とクランクシャフト4との間に、S/C用クラッチ15を設け、そのS/C用クラッチ15を接続、又は切断することにより、S/C14の駆動を制御することができる。吸気切換えバルブ16は、全開するとT/C12からの過給を、全閉するとS/C14からの過給をインマニ19へ導く。
【0039】
上記の構成は、それぞれ周知の技術のものを用いることができ、例えば、S/C14の
駆動をエンジン本体10とは別に設けた電動機で行ってもよい。また、T/C12に排気ガス量により過給状態を可変制御するVGS(可変翼)機構を搭載したものを用いてもよい。
【0040】
各装置を、エアクリーナー13からインマニ19への吸気の流れ順に、T/C12、S/C14、インタークーラー17、及び吸気スロットル18と配置する。また、インタークーラー17までの途中にT/C12とS/C14の過給を分岐する配管を設けると共に、吸気切換えバルブ16を配置する。この配置によれば、T/C12とS/C14で区別して過給でき、インマニ19への吸気量の調整をインマニ19の直前に設けた吸気スロットル18で行うことができる。
【0041】
また、このエンジン2は、排気システム20と、低圧EGRシステム(低圧排気再循環システム;以下、LP−EGRという)30と、高圧EGRシステム(高圧排気再循環システム;以下、HP−EGRという)40を備える。
【0042】
排気システム20は、DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルタ)21とマフラー22を備え、車外に浄化した排ガスを放出するシステムである。この排気システム20は、上記の構成に限定せず、例えば、DPF21の上流側にNOx触媒(酸化窒素化合物還元触媒)、DOC(ディーゼル用酸化触媒)、又は、尿素SCR触媒(尿素選択的還元触媒)などの後処理装置を追加してもよい。
【0043】
LP−EGR30は、T/C12の排ガス下流側に設けられ、LP−EGRクーラー(第1EGRクーラー)31、EGR加圧ポンプ32、EGR加圧ポンプ用クラッチ33、逆流防止バルブ34、EGRガスタンク35、ブローバルブ36、及びLP−EGRバルブ(第1EGRバルブ)37を備える。
【0044】
このLP−EGR30は、T/C12を駆動させた排ガスを、DPF21の排ガス下流側からEGRガスとして取り込み、エンジン冷却水が循環するLP−EGRクーラー31で冷却し、EGR加圧ポンプ32で、EGRガスタンク35に貯蔵し、その貯蔵したEGRガスをLP−EGRバルブ37を開いてエンジン本体10へ再循環するシステムである。
【0045】
EGR加圧ポンプ32は、ドライブシャフト7からベルト等を介して取り出した動力によって圧縮機を駆動し、LP−EGRクーラー31を通過したEGRガスを圧縮して、EGRガスタンク35へ送り、EGRガスタンク35を充填する装置である。
【0046】
この実施の形態では、ドライブシャフト7からの動力により駆動するものを用いたが、例えばプロペラシャフト5からの動力により駆動するもの、また、図示しない車軸により駆動するものでもよい。電動機により駆動するものも使用することができるが、配置スペースの問題や消費電力の増加などを考慮すると、電動機の駆動ではなく、プロペラシャフト5、ドライブシャフト7、又は車軸からの動力により駆動するものが好ましい。
【0047】
EGR加圧ポンプ用クラッチ33は、ドライブシャフト7とEGR加圧ポンプ32との間に設けられ、接続、又は切断することにより、EGR加圧ポンプ32の駆動を制御することができる。
【0048】
逆流防止バルブ34は、EGR加圧ポンプ32とEGRガスタンク35の間に設けられ、EGR加圧ポンプ32からEGRガスタンク35に送られたEGRガスが、EGR加圧ポンプ32の停止時に逆流するのを防止する装置である。
【0049】
EGRガスタンク35は、EGR加圧ポンプ32により加圧されたEGRガスを貯蔵するタンクである。このEGRガスタンク35には、ブローバルブ36を設け、EGRガスタンク35内の圧力が規定値以上に上昇した場合に、ブローして、その過剰な圧力分を逃がすことができる。
【0050】
このEGRガスタンク35の出口から吸気スロットル18よりも吸気下流側と合流する配管を設ける。また、例えば、EGRガスタンク35の出口から直接インマニ19へと至る配管を設けてもよい。その配管にEGRガスのコントロールを行うLP−EGRバルブ37を設ける。
【0051】
上記のLP−EGR30は、DPF21の下流から浄化された排ガスを取り込み、各装置を、LP−EGRクーラー31、EGR加圧ポンプ32、EGRガスタンク35、及びLP−EGRバルブ37の順に配置し、エンジン本体10へEGRガスタンク35に貯蔵されたEGRガスを循環させる構成であればよく、上記の構成に限定しない。
【0052】
HP−EGR40は、T/C12の排ガス上流側に設けられ、HP−EGRクーラー(第2EGRクーラー)41とHP−EGRバルブ(第2EGRバルブ)42とを備える。このHP−EGR40は、排ガスをエキマニ11から直接EGRガスとして取り込み、エンジン冷却水が循環するHP−EGRクーラー41で冷却して、HP−EGRバルブ42を開いてエンジン本体10へ再循環するシステムである。
【0053】
加えて、このエンジン2は、エンジンコントロールユニットと呼ばれる制御装置であり、電気回路によってエンジン2の制御を担当している電気的な制御を総合的に行うマイクロコントローラであるECU(制御装置)50を備える。また、アクセルペダル51、ブレーキペダル52、エキゾーストマニホールド圧力センサ(以下、エキマニ圧力センサという)53、インレットマニホールド圧力センサ(以下、インマニ圧力センサという)54、クランク角センサ55、吸気圧力センサ56、EGRガスタンク圧力センサ57、及び車両センサ58a〜58d(以下、統合して車両センサ58とする)を備える。
【0054】
ECU50は、この実施の形態では、アクセルペダル51とブレーキペダル52の操作信号、及び各センサ53〜58の検知する信号を受信し、インジェクタの噴射量、S/C用クラッチ15の接続と切断、吸気切換えバルブ16の開閉、吸気スロットル18の開度の調整、EGR加圧ポンプ用クラッチ33の接続と切断、LP−EGRバルブ37の開閉、及びHP−EGRバルブ42の開閉を制御している。
【0055】
次に、本発明の実施の形態のエンジン2の動作について
図1〜
図3を参照しながら説明する。
図1に車両1の発進時、及び過渡時のS/C14による過給と、LP−EGR30によるEGRガスの還流を示し、
図2に車両1の通常走行時のT/C12による過給と、HP−EGR40によるEGRガスの還流を示し、
図3にEGRガスタンク35の貯蔵を示す。
【0056】
図1に示すように、車両1の発進時、及び過渡時の、排ガスのエネルギーが低く、T/C12では十分な過給ができないときに、ECU50がS/C用クラッチ15を接続し、吸気切換えバルブ16を閉じることにより、S/C14によって過給を行う。
【0057】
また、ECU50がLP−EGRバルブ37を開き、HP−EGRバルブ42を閉じて、EGRガスタンク35に充填されたEGRガスをエンジン本体10に供給する。このとき、EGRガス量を、吸気スロット18とLP−EGRバルブ37の開度によって調整する。
【0058】
これにより、エンジン2のクランクシャフト4により駆動するS/C14により、車両1の発進時や過渡時の過給の応答遅れ、即ちターボラグの発生を抑制することができるので、発進時のトルクの向上と極低速からの加速性の向上を図ることができる。
【0059】
また、排ガス流量が少ない状態において、予めEGRガスタンク35に貯蔵しておいたEGRガスを供給することができるので、発進時、及び過渡時のスモークの発生を抑制し、且つNOx(酸化窒素化合物)を抑制することができる。
【0060】
図2に示すように、車両1の通常走行時の、エンジン回転数、及びエンジン負荷が高くなり、それに伴い排ガスエネルギーが高い状態になると、ECU50がS/C用クラッチ15を切断し、吸気切換えバルブ16を開けることにより、T/C12によって過給を行う。また、ECU50がLP−EGRバルブ37を閉じ、HP−EGRバルブ42を開いて、HP−EGRシステム40でEGRガスを還流する。
【0061】
これにより、排ガス流量の多い領域では、エンジン2の駆動力により駆動するS/C14ではなく排ガスエネルギーで駆動するT/C12を用いることができ、S/C14を駆動し続けることで発生する燃費の悪化を抑制することができる。また、排ガスエネルギーの高い状態では、LP−EGR30よりも安定してEGRガスを供給することができるHP−EGR40を用いることができる。このHP−EGR40は、T/C12の排ガス下流側に設けたLP−EGR30に比べて、T/C12の排ガス上流側で、且つEGRガスの供給ルートが短いため、T/C12のコンプレサーや排気管の内部腐食を防ぎ、加えて、燃費の悪化を防ぐことができる。
【0062】
図3に示すように、車両1が制動時になると、ECU50がEGR加圧ポンプ用クラッチ33を接続し、ドライビングシャフト7の駆動力によってEGR加圧ポンプ32を駆動する。このとき、このEGR加圧ポンプ32を駆動する力は、車両1の制動エネルギーであり、このEGR加圧ポンプ32は、所謂エンジンブレーキと同様の作用を行う。
【0063】
EGR加圧ポンプ32が駆動することにより、DPF21で排気中のススなどを除去した排ガスをEGRガスとしてLP−EGR30に取り込み、LP−EGRクーラー31を通過して、EGR加圧ポンプ32により加圧されたEGRガスを、EGRガスタンク35に貯蔵することができる。
【0064】
これにより、車両1の制動時に、EGRガスタンク35にEGRガスを充填することができるので、制動後の発進時、及び過渡時の排ガス流量が少ないときでも、その貯蔵されたEGRガスをエンジン本体10に供給することができる。そのため、車両1の発進時、及び過渡時のスモークの発生や、NOxの発生を抑制することができる。
【0065】
また、車両1の制動時に、制動エネルギーを使用してEGR加圧ポンプ32を使用することにより、燃費を悪化させること無く、LP−EGR30に必要となるEGRガスを確保することができる。
【0066】
加えて、EGR加圧ポンプ32とEGRガスタンク35との間に逆流防止バルブ34を設けているので、EGR加圧ポンプ32の駆動が停止したときに、EGRガスタンク35からEGRガスが逆流することを防止することができる。さらに、EGRガスタンク35にブローバルブ36を設けているので、EGRガスタンク35内の圧力が規定値以上に上昇した場合に発生する、EGRガスタンク35の破裂や破損などを防止することができる。また、ここで放出されるEGRガスは、DPF21等の後処理装置通過後の排ガスであり、マフラー22から大気中に放出される排気ガスと同じものである。
【0067】
ここで、T/C12とS/C14との切換えについて、
図4を参照しながら説明する。
図4に示すマップは、エンジン回転数とエンジン負荷とをベースとする過給機切換えマップM1であり、S/C14の運転領域であるA1、S/C14とT/C12との同時運転領域であるA2、及びT/C12の運転領域であるA3を示す。
【0068】
この実施の形態では、クランク角センサ55の検知する信号から算出されるエンジン回転数Neと、インジェクタから噴射する燃料噴射量から算出されるエンジン負荷Qfとからなる過給機運転切換え値(Ne、Qf)が、過給機切換えマップM1のどの領域にあるかを判定して、S/C用クラッチ15と吸気切換えバルブ16とを制御している。これにより、車両1の発進時及び過渡時の過給をS/C14で行い、T/C12の駆動領域の過給を、S/C14を停止して、T/C12で行うことができる。
【0069】
この過給機の運転を切換える方法は、エンジン回転数とエンジン負荷に応じて、S/C14とT/C12を切換えることができればよく、上記の方法に限定しない。例えば、エンジン負荷Qfを、吸気スロットル18の開度や空燃比などから算出する方法を用いてもよい。
【0070】
次に、LP−EGR30とHP−EGR40の切換えについて、
図5を参照しながら説明する。
図5に示すマップは、EGR切換えマップM2を示し、LP−EGR30の作動領域であるB1とHP−EGR40の作動領域であるB2を示す。
【0071】
この作動領域B1と作動領域B2との境界は、エキマニ圧力センサ53で検知するエキマニ内圧力P_exhと、インマニ圧力センサ54で検知するインマニ内圧力P_inlとが等しくなる状態である。つまり、LP−EGR30からHP−EGR40に切換えるタイミングは、エキマニ内圧力P_exhがインマニ内圧力P_inlよりも大きくなったときとなる。これにより、排ガス流量の少ない状態では、LP−EGR30でEGRガスを供給し、排ガス流量の多い状態では、HP−EGR40でEGRガスを供給することができる。
【0072】
次に、本発明に係る実施の形態の内燃機関の制御方法について、
図6〜8を参照しながら説明する。ここで、
図6に内燃機関の制御方法の過給切換え工程を示し、
図7にEGRシステム切換え工程を示し、
図8にEGRガス貯蔵工程をしめす。
【0073】
図6に示すように、この実施の形態の過給切換え工程は、エンジン2の停止状態から始動し、通常走行するまでの工程を示す。エンジン2を始動すると、ECU50が、S/C用クラッチ15を接続し、吸気切換えバルブ16を閉じるステップS11を行う。S/C用クラッチ15が接続すると、S/C14がクランクシャフト4より駆動し、また、吸気切換えバルブ16で過給のルートをS/C14側に切換え、S/C14で過給する。
【0074】
エンジン2が始動すると排ガスが発生する。この排ガスエネルギーがT/C12の駆動エネルギーよりも大きくなるまで、エンジン2では、S/C14のみが過給を行う。排ガスエネルギーがT/C12の駆動エネルギーよりも大きくなると、T/C12が駆動する。T/C12が駆動するとエアクリーナー13からの吸入空気量が増加する。ここで、ECU50が、吸気圧力センサ56で検知したS/C14の吸気上流側の吸入空気量MAF_airが判定値MAF_nよりも大きいか否かを判断するステップS12を行う。
【0075】
ステップS12で、吸入空気量MAF_airが判定値MAF_nよりも大きいと判断されると、T/C12の駆動により、吸気が行われていることになり、次に、吸気切換えバルブ16を開き、S/C14とT/C12とで同時に過給するステップS13を行う。
【0076】
次に、過給機運転切換え値(Ne、Qf)が、過給機運転切換えマップM1のどの領域にあるかを判断するステップS14を行う。このステップS14で、過給機運転切換え値(Ne、Qf)がS/C14の運転領域A1にある場合は、吸気切換えバルブ16を閉じるステップS15を行い、ステップS12へと戻る。また、ステップS14でS/C14とT/C12との同時運転領域A2にある場合は、ステップS14へ戻る。
【0077】
ステップS14で、過給機運転切換え値(Ne、Qf)がT/C12の運転領域A3にあると、次に、ECU50が、吸気切換えバルブ16を全開するステップS16を行う。ステップS16により、S/C14の過給からT/C12の過給に切換える。次に、その吸気切換えバルブ16が全開になった状態を吸気切換えバルブ16からECU50に信号を送り、その信号を基にECU50がS/C用クラッチ15を切断するステップS17を行う。これにより、S/C14を停止して、完全にT/C12の過給に切換えてこの工程は完了する。
【0078】
この実施の形態では、車両1の停止状態から、発進時から過渡時を経て、通常走行状態になるまでの工程を例に説明したが、本発明はこれに限定せず、車両1のどの走行状態でも適用することができる。また、過給機運転切換えマップM1により、S/C14、又はT/C12の駆動領域を判定する方法を用いたが、S/C14とT/C12の駆動領域を判定し、運転領域全体で過給遅れのない過給を行うことができればよく、S/C14とT/C12の駆動領域の切換えは、上記の方法に限定しない。
【0079】
この工程によれば、エンジン回転数Neとエンジン負荷QfによりS/C14とT/C12との駆動領域を区別することにより、二ステージの過給を行うことができるので、過給遅れを防ぎ、運転領域全体で過給することができる。これにより、T/C12のみを用いた過給で発生する過給の応答遅れを起因とするスモークの発生、及び発進トルクの不足を抑制することができる。また、S/C14のみを用いた過給で発生する燃費の悪化を抑制することができる。
【0080】
図7に示すように、EGR切換え工程は、エンジン2の停止状態から始動し、通常走行するまでの工程を示す。まず、ECU50が、車両センサ58の検知する信号から、車両1の停止を検知するステップS21を行う。次に、アクセルペダル51が操作され、エンジン2が始動すると、ECU50が、S/C用クラッチ15が接続しているか否かを判断するステップS22を行う。このステップS22でS/C用クラッチ15が切断している場合は、ステップS26へ進む。
【0081】
ステップS22でS/C用クラッチ15が接続している場合は、次に、第1EGRバルブ37を開き、第2EGRバルブ42を閉じるステップS23を行う。このステップS23により、LP−EGR30が作動し、EGRガスタンク35に貯蔵したEGRガスを供給する。次に、ECU50が、第1EGRバルブ37と吸気スロットル18でEGRガスの供給量を調整するステップS24を行う。
【0082】
次に、ECU50が、エキマニ圧力センサ53とインマニ圧力センサ54とで検知される信号を比較して、エキマニ11内の圧力P_exhがインマニ19内の圧力P_inlよりも大きいか否かを判断するステップS25を行う。このステップS25でエキマニ11内の圧力P_exhがインマニ19内の圧力P_inl以下の場合は、ステップS24へ戻る。
【0083】
次に、ステップS25で、エキマニ11内の圧力P_exhがインマニ19内の圧力P_inlよりも大きい場合は、ECU50が、第1EGRバルブ37を閉じ、第2EGRバルブ42を開くステップS26を行う。このステップS26により、HP−EGR40
が作動する。次に、ECU50が、第2EGRバルブ42でEGRガスの供給量を調整するステップS27を行う。これにより、LP−EGR30を停止して、HP−EGR40のEGRガスの還流に切換えてこの工程は完了する。
【0084】
また、ステップS22で、S/C用クラッチ15が切断されている場合は、アイドリング中などの状態であり、エンジン2の再始動時には排ガス流量は多いため、ステップS26へ進み、HP−EGR40を作動する。
【0085】
この実施の形態では、エンジン2が始動してから、エンジン2が安定動作するまでのEGR切換え工程を説明したが、本発明は、車両1の停止状態で、且つS/C用クラッチ15が接続状態にあるときに、アクセルペダル51がONになり、車両1が発進した状態をECU50が検知して、LP−EGR30を作動し、排ガス流量が大きい場合に、LP−EGR30の作動を停止して、HP−EGR40を作動することができればよく、エンジン2の運転領域全域に適用することができる。
【0086】
この工程によれば、S/C14による過給領域、つまり、排ガス流量が少ない状態のときに、LP−EGR30で貯蔵されたEGRガスを供給し、エキマニ11内の圧力P_exhがインマニ19内の圧力P_inlよりも大きくなった場合、つまり排ガス流量が多い状態のときに、HP−EGR40でEGRガスを供給することができる。これにより、運転領域全体でEGRガスを供給することができ、NOxを低減することができる。
【0087】
図8に示すように、EGR貯蔵工程は、まず、ECU50が、車両センサ58から車両1の速度V1の減少を検知するステップS31を行う。次に、ECU50が、アクセルペダル51の開度がゼロ、且つ、車両1の速度V1が判定速度Vn以下であるか否かを判断するステップS32を行う。このステップS32の判定速度Vnは、排ガスエネルギーが小さくなる速度を示し、例えば、10km/s〜30km/sとする。この判定速度Vnより速い速度であれば、排ガスエネルギーが大きく、その直後に、LP−EGR30を作動することがない。
【0088】
このステップS32で、アクセルペダル51の開度がゼロ、且つ車両1の速度V1が判定速度Vn以下である場合は、ステップS34へ進む。また、ステップS32で、アクセルペダル51の開度がゼロでなく、若しくは車両1の速度V1が判定速度Vnより速い場合は、ブレーキペダル52の操作信号を検知したか否かを判断するステップS33を行う。
【0089】
このステップS33で、ブレーキペダル52の操作信号を検知すると、次に、ECU50は、EGR加圧ポンプ用クラッチ33を接続するステップS34を行う。次に、EGR加圧ポンプ用クラッチ33が接続されると、EGR加圧ポンプ32が駆動し、EGR加圧ポンプ32でEGRガスを加圧して、EGRガスタンク35へ送るステップS35を行う。
【0090】
次に、ブローバルブ36が、EGRガスタンク35内の圧力P_tankが設定圧力Pnよりも大きくなるか否かを判断するステップS36を行う。ステップS36で、EGRガスタンク35内の圧力P_tankが設定圧力Pnよりも大きくなると、ブローバルブ36が開くステップS37を行う。そして、EGRガスタンク内のEGRガスをEGRガスタンク35から放出して、EGRガスタンク35内の圧力P_tankを設定圧力Pnに調整してから、ブローバルブ36が閉じるステップS38を行う。ブローバルブ36は、EGRガスタンク35内の圧力P_tankが設定圧力Pn以下になると自動的に閉じる。ステップS37とS38を行うと、ステップS40へ進む。
【0091】
ステップS36で、EGRガスタンク35内の圧力P_tankが設定圧力Pn以下の場合は、次に、ECU50が、車両1の速度V1がゼロになるか否かを判断するステップS39を行う。このステップS39で車両1の速度V1がゼロでない場合は、ステップS35へ戻る。
【0092】
車両1の速度V1がゼロの場合は、又は、ステップS37とS38でEGRガスタンク35内の圧力P_tankが設定圧力Pnと等しくなる場合は、次に、EGR加圧ポンプ用クラッチ33を切断するステップS40を行って、このEGR充填工程を完了する。
【0093】
このEGR充填工程によれば、車両1の制動中に、制動エネルギーを利用してEGRガスを加圧し、EGRガスタンク35に貯蔵することができるので、排ガスエネルギーが少ない状態で車両1を発進したときに、その貯蔵されたEGRガスをエンジン本体10に供給することができる。これにより、発進時、及び過渡時のS/C14の駆動時に、LP−EGR30を作動させて、EGRガスの供給のタイムラグを無くすことができるので、NOxの発生を抑制することができる。
【0094】
また、EGR加圧ポンプを車両1の制動エネルギーで駆動することができるので、燃費を悪化させることなく、EGRガスを貯蔵することができる。