特許第6060519号(P6060519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060519
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】歩行型田植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   A01C11/02 312Z
【請求項の数】4
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-103041(P2012-103041)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230094(P2013-230094A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】神谷 寿
(72)【発明者】
【氏名】草本 英之
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 正文
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 孝秀
(72)【発明者】
【氏名】根田 満夫
(72)【発明者】
【氏名】中西 康仁
(72)【発明者】
【氏名】川田 誠
(72)【発明者】
【氏名】石山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】奥平 雄右
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−057388(JP,U)
【文献】 特開平11−332337(JP,A)
【文献】 実開平01−118607(JP,U)
【文献】 特開2008−109877(JP,A)
【文献】 実開昭54−038275(JP,U)
【文献】 実開平01−063309(JP,U)
【文献】 実開昭57−180512(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/043
A01B 73/00
A01C 11/02
B65D 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の車輪(5)と、該左右の車輪(5)の間に配置するセンターフロート(12a)と、該左右の車輪(5)の左右外側に配置するサイドフロート(12b)を備える歩行型田植機において、
機体前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンド(119)を設け、
該スタンド(119)を、前後方向に延びる複数の前後フレーム(120)と、該前後フレーム(120)を繋ぐ左右方向に延びる左右フレーム(121)で構成し、
前記前後フレーム(120)を、倒立姿勢の機体の前後幅よりも長く構成すると共に、前記スタンド(119)の左右幅は、前記左右の車輪(5)の左右間隔よりも大きく構成すると共に、且つ前記左右のサイドフロート(12b)の左右間隔よりも小さく構成し、
前記左右フレーム(121)に複数の前後フレーム(120)よりも左右外側に延びる左右延長部(121a)を形成し、該左右延長部(121a)から下側に屈曲する下側屈曲部(121b)を形成すると共に、前記前後フレーム(120)と左右フレーム(121)をフレーム連結部材(133)で連結し、
該フレーム連結部材(133)と左右延長部(121a)と下側屈曲部(121b)により形成される空間部にリフト用のフォーク爪を挿入するフォーク爪挿入部(130)を形成したことを特徴とする歩行型田植機。
【請求項2】
前記フォーク爪挿入部(130)は、前記センターフロート(12a)とサイドフロート(12b)の左右間に形成したことを特徴とする請求項1に記載の歩行型田植機。
【請求項3】
前記スタンド(119)は、機体前部に設ける防護フレーム(51)を前記前後フレーム(120)で挟んで固定する構成とすると共に、
前記スタンド(119)に別のスタンド(119)との位置合わせする位置合わせ部(132)を設けたことを特徴とする請求項に記載の歩行型田植機。
【請求項4】
前記左右フレーム(121)を断面が円形の棒材で構成したことを特徴とする請求項1に記載の歩行型田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、歩行型田植機の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
左右の車輪と、該車輪を後端部に支持して上下方向に回動する左右各々の走行伝動ケースと、該走行伝動ケースと一体で回動する左右各々のアームと、昇降シリンダのシリンダロッドの前後方向の移動に追従して前後に移動する中継リンク部材と、該中継リンク部材の左右両端と前記アームの間を連結する左右各々の連結ロッドを設け、中継リンク部材は左右の連結ロッドの間に配置した上下方向の支点軸回りに回動自在に構成し、左右の連結ロッドはスプリングを介して中継リンク部材に連結され、機体の左右傾斜等による左右の車輪の分担荷重の変化に追従してスプリングを伸縮させて左右の連結ロッドの有効長を変更させる構成とした歩行型田植機がある。
【0003】
また、この歩行型田植機は、原動機からの動力を主伝動ケース内へ伝動し、該主伝動ケース内から左右各々の走行伝動ケースを介して左右の車輪へ伝動し、主伝動ケース内から植付伝動軸を介して植付伝動ケース内に伝動し、植付伝動ケース内から複数の苗植付装置及び苗載台へ伝動し、苗載台を左右移動させながら該苗載台上の苗を苗植付装置が一株分ずつ掻き取って圃場に植え付ける構成としている。
【0004】
また、この歩行型田植機は、原動機及び主伝動ケースを左右の車輪の各々の車軸よりも前側に配置し、植付伝動ケース、複数の苗植付装置及び苗載台を備える植付部を左右の車輪の各々の車軸よりも後側に配置し、機体を基準に前後方向に移動する予備苗載台を側面視で左右の車輪の各々の車軸の上方に配置している。
【0005】
また、この歩行型田植機において、苗載台は、苗受板に沿って左右移動して該苗受板に設けた各条の苗取口に一株分ずつ苗を供給する構成とし、苗植付装置は、苗取口上の苗を掻き取って圃場に植え付ける構成とし、次行程の走行の指標となる圃場位置に線を引く線引きマーカを植付部の左右両側に各々設け、苗受板を防護する苗受板防護フレームを設けている。この線引きマーカは、起立姿勢から側方へ倒伏する倒伏姿勢に切り替えることにより、先端部が圃場面に接して圃場に線を引く構成となっている。
【0006】
また、この歩行型田植機は、圃場面に接地する複数のフロートを、各々の左右方向の回動支点軸回りに上下に回動自在に支持し、回動支点軸を先端部に設けた各々の植付深さ調節アームを、植付深さ調節軸に固着して該植付深さ調節軸を中心として該植付深さ調節軸と一体で上下に回動させる構成とし、植付深さ調節軸を回動させる植付深さ調節レバーを設けている(特許文献1参照。)。
【0007】
そして、歩行型田植機において、植付伝動ケース内に設けた左右方向に延びる伝動軸から複数の植付用伝動部材を介して複数の苗植付装置へ伝動する構成とし、複数の植付用伝動部材のうちの左右中央の植付用伝動部材を介して左右中央2条の苗植付装置へ伝動し、複数の植付用伝動部材のうちの左右最外側の植付用伝動部材を介して左右最外側の各々1条の苗植付装置へ伝動し、前記伝動軸から左右移動用伝動部材を介して苗載台を左右移動させる左右移動機構へ伝動する構成とし、過負荷で伝動を断つ安全クラッチを、植付用伝動部材よりも伝動下手側で且つ複数の植付用伝動部材に対応して複数設けた構成のものがある。
【0008】
また、歩行型田植機において、左右各々の走行伝動ケース内において、主伝動ケースから側方に突出する走行出力軸と車軸が挿入され、走行出力軸と一体で回転する主駆動スプロケットを設け、車軸と一体で回転する主従動スプロケットを設け、走行伝動ケース内のカウンタ軸上には互いに一体で回転するカウンタ従動スプロケットとカウンタ駆動スプロケットを設け、主駆動スプロケットとカウンタ従動スプロケットの間に第一の伝動チェーンを巻き掛け、カウンタ駆動スプロケットと主従動スプロケットの間に第二の伝動チェーンを巻き掛け、走行伝動ケース内で2段階で減速伝動する構成のものがある。
【0009】
また、歩行型田植機において、機体の後端部に設けた操縦ハンドルを上下に回動調節可能に設け、オペレータの身長に対応して操縦ハンドルの高さを変更できる構成のものがある。
【0010】
また、左右の車輪を備える歩行型田植機を、前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンドがある。このスタンドは、歩行型田植機を倒立させない状態で上下方向すなわち歩行型田植機を倒立させた状態で前後方向となる歩行型田植機の全幅よりも前後方向の幅が小さく、左右の車輪の左右外端よりも左右方向内側位置に左右端が位置している。
【0011】
また、このスタンドは、前後方向に延びる複数(2本)の前後フレームと、複数の前後フレームを繋ぐ左右方向に延びる複数(2本)の左右フレームと、倒立状態の歩行型田植機の下部に連結される下部支持フレームを備えて構成されている。これらのフレームは、木製であり、釘により着脱できないように互いに固定されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−253231号公報
【特許文献2】実開平5−54382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、歩行型田植機において、スタンドの支持強度の向上、破損の防止、倉庫や輸送手段に要する費用の低減を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、左右の車輪(5)と、該左右の車輪(5)の間に配置するセンターフロート(12a)と、該左右の車輪(5)の左右外側に配置するサイドフロート(12b)を備える歩行型田植機において、機体前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンド(119)を設け、該スタンド(119)を、前後方向に延びる複数の前後フレーム(120)と、該前後フレーム(120)を繋ぐ左右方向に延びる左右フレーム(121)で構成し、前記前後フレーム(120)を、倒立姿勢の機体の前後幅よりも長く構成すると共に、前記スタンド(119)の左右幅は、前記左右の車輪(5)の左右間隔よりも大きく構成すると共に、且つ前記左右のサイドフロート(12b)の左右間隔よりも小さく構成し、前記左右フレーム(121)に複数の前後フレーム(120)よりも左右外側に延びる左右延長部(121a)を形成し、該左右延長部(121a)から下側に屈曲する下側屈曲部(121b)を形成すると共に、前記前後フレーム(120)と左右フレーム(121)をフレーム連結部材(133)で連結し、該フレーム連結部材(133)と左右延長部(121a)と下側屈曲部(121b)により形成される空間部にリフト用のフォーク爪を挿入するフォーク爪挿入部(130)を形成したことを特徴とする歩行型田植機とした。
【0015】
また、請求項2に係る発明は、前記フォーク爪挿入部(130)は、前記センターフロート(12a)とサイドフロート(12b)の左右間に形成したことを特徴とする請求項1に記載の歩行型田植機とした。
【0016】
また、請求項3に係る発明は、前記スタンド(119)は、機体前部に設ける防護フレーム(51)を前記前後フレーム(120)で挟んで固定する構成とすると共に、前記スタンド(119)に別のスタンド(119)との位置合わせする位置合わせ部(132)を設けたことを特徴とする請求項に記載の歩行型田植機とした。
【0017】
また、請求項4に係る発明は、前記左右フレーム(121)を断面が円形の棒材で構成したことを特徴とする請求項1に記載の歩行型田植機とした。
【0018】
(削除)
【0019】
(削除)
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【発明の効果】
【0034】
請求項1に係る発明によると、機体の前後幅よりもスタンド(119)を構成する前後フレーム(120)が前後に長いことにより、倒立姿勢の機体を前後に並べるとき、機体同士が接触し合って破損することを防止できる。
また、スタンド(119)の左右幅を、左右の車輪(5)の左右間隔よりも大きく、且つ前記左右のサイドフロート(12b)の左右間隔よりも小さく構成することにより、倒立姿勢の機体を左右に並べるときに前後幅の大きい車輪(5)同士が干渉することを防止できるので、倒立姿勢で前後幅の小さいサイドフロート(12b)を前後に重ね合わせて配置することができ、倉庫内や輸送手段の格納スペースに多数の機体を配置する際の作業能率が向上する。
そして、フォーク爪の上側及び左右側方の三方を囲むフォーク爪挿入部(130)を、簡潔な構成とすることができる。
【0035】
請求項2に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、センターフロート(12a)とサイドフロート(12b)の左右間にフォーク爪挿入部(130)を形成したことにより、フォーク爪挿入部(130)へフォーク爪を挿入するとき、フォーク爪がセンターフロート(12a)やサイドフロート(12b)に干渉することを防止できるので、センターフロート(12a)やサイドフロート(12b)の破損が防止される
【0036】
請求項3に係る発明によると、請求項に係る発明の効果に加えて、防護フレーム(51)を左右の前後フレーム(120)で挟んで固定することにより、スタンド(119)で確実に機体を支持することができる
また、スタンド(119)に別のスタンド(119)との位置を合わせる位置合わせ部(132)を設けたことにより、倒立姿勢の機体を揃えて並べることができるので、倉庫内や輸送手段の格納スペースに多数の機体を配置する際の作業能率が向上する。
【0037】
請求項4に係る発明によると、請求項1に係る発明の効果に加えて、左右フレーム(121)を断面が円形の棒材で構成したことにより、作業者は左右フレーム(121)を支点にして機体を回動させて倒立姿勢と作業姿勢に変更することができるので、機体の姿勢変更に要する労力が軽減される
【0038】
(削除)
【0039】
(削除)
【0040】
(削除)
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】歩行型田植機を示す側面図
図2】歩行型田植機を示す平面図
図3】中継リンク部材及び連結ロッドを示す平面図
図4】主フレーム及び植付伝動ケースを示す側面図
図5】植付伝動ケースを示す断面平面図
図6】植付深さ調節機構を示す斜視図
図7】スタンドを示す正面図
図8】スタンドを示す側面図
図9】異なるスタンドを示す正面図
図10】異なるスタンドを示す側面図
図11】異なるスタンドを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0054】
この発明の実施の一形態を、以下に説明する。尚、以下の実施の形態は、あくまで実施の一形態であって、特許請求の範囲を拘束するものではない。
図1及び図2は、歩行型田植機(1)の全体側面図及び平面図である。この歩行型田植機(1)は、機体の前端部に設けた原動機となるエンジン(2)と、該エンジン(2)の後側に設けた主伝動ケース(3)と、該主伝動ケース(3)の左右に各々設けた走行支持部材となる走行伝動ケース(4)と、該走行伝動ケース(4)からの動力で駆動する左右各々の走行体となる車輪(5)と、主伝動ケース(3)の後側面から後方に延びる主フレーム(6)と、主フレーム(6)の後端に固着された植付伝動ケース(7)と、該植付伝動ケース(7)の後側面から湾曲して斜め後上方に延びる後部フレーム(8)と、該後部フレーム(8)の後端に取り付けた操縦ハンドル(9)を備えている。尚、操縦ハンドル(9)は、後部フレーム(8)に固定され位置変更できない構成となっている。植付伝動ケース(7)の下部には複数(4個)の苗植付装置(10)を取り付け、後部フレーム(8)の前側には該フレーム(8)に左右移動可能に支持される苗載台(11)を設けている。従って、この歩行型田植機(1)は、走行しながら圃場に同時に4条分の苗を植え付ける4条植えの構成となっている。尚、前記エンジン(2)、主伝動ケース(3)、走行伝動ケース(4)及び車輪(5)等により走行部(走行車体)が構成され、植付伝動ケース(7)、苗植付装置(10)及び苗載台(11)等により植付部が構成されている。尚、この歩行型田植機(1)は、次行程の走行の指標となる圃場位置に線を引く線引きマーカを設けていない。
【0055】
また、機体の下部には圃場面に接触する複数(3個)の接地体となるフロート(12)を設けており、機体の走行により該フロート(12)が圃場面を滑走して整地する。フロート(12)のうち、機体の左右中央のセンターフロート(12a)は左右内側の2条の苗植付装置(10)の植付位置を整地し、機体の左右両外側のサイドフロート(12b)は左右外側の各々1条の苗植付装置(10)の植付位置を整地する。センターフロート(12a)は、前端がサイドフロート(12b)の前端より前側に位置し、サイドフロート(12b)より前後長が長く、サイドフロート(12b)より左右幅が広く、サイドフロート(12b)より接地面積が広い。尚、センターフロート(12a)及びサイドフロート(12b)は、側面視で同じ位置に配置された各々の左右方向の回動支点軸(13)回りに上下に回動自在に支持され、前部が圃場面の凹凸に追従して上下動する構成となっている。
【0056】
エンジン(2)の出力軸は主伝動ケース(3)内に突入しており、エンジン(2)からの動力が主伝動ケース(3)内に伝達される。主伝動ケース(3)内には、車輪(5)、苗植付装置(10)及び苗載台(11)への全ての伝動を断つことができる主クラッチと、該主クラッチからの動力を車輪(5)への伝動経路と苗植付装置(10)及び苗載台(11)への伝動経路とに分岐する動力分岐部と、前記苗植付装置(10)及び苗載台(11)への伝動経路上において該苗植付装置(10)及び苗載台(11)への伝動を断つことができる植付クラッチと、前記車輪(5)への伝動経路上において噛み合うギヤの切替により路上走行用の前進高速状態、植付作業用の前進低速状態、ギヤが噛み合わずに非伝動となる中立状態及び後進状態の4状態に切り替えて変速できる変速部と、該変速部の伝動下手側で左右の車輪(5)への伝動を非伝動状態に切り替えできる左右各々のサイドクラッチとを設けている。従って、前記変速部及びサイドクラッチを介して主伝動ケース(3)から左右に突出する左右各々の走行出力軸(101)に伝動される。走行出力軸(101)が走行伝動ケース(4)内に突入しており、走行伝動ケース(4)内で走行出力軸(101)に設けた駆動スプロケット(102)と車軸(14)に設けた従動スプロケット(103)の間に伝動チェーン(104)を巻き掛けており、駆動スプロケット(102)、従動スプロケット(103)及び伝動チェーン(104)により走行伝動ケース(4)から左右外側に突出する車軸(14)に伝動し、車輪(5)が駆動回転する。走行伝動ケース(4)は、前端部に位置する前記走行用伝動軸周りに上下に回動可能に設けられ、後端部に位置する車軸(14)を上下に移動させて車輪(5)を上下動させる。また、植付クラッチの伝動により、主伝動ケース(3)から後側に延びる植付伝動軸(15)を介して植付伝動ケース(7)内へ伝動される。尚、エンジン(2)及び主伝動ケース(3)を左右の車輪(5)の各々の車軸(14)よりも前側に配置し、植付伝動ケース(7)、複数の苗植付装置(10)及び苗載台(11)を備える植付部を左右の車輪(5)の各々の車軸(14)よりも後側に配置している。
【0057】
主伝動ケース(3)の左側の側部には油圧ポンプを固着し、主伝動ケース(3)の後部には油圧バルブユニットを固着し、該油圧バルブユニットの後側に単動式の油圧昇降シリンダ(16)を固着している。この油圧昇降シリンダ(16)は、前後方向に移動する移動部材となるシリンダロッド(17)を後部に備え、主フレーム(6)の上方に配置される。従って、油圧バルブユニットの切替により油圧ポンプからの油圧を油圧昇降シリンダ(16)へ供給すると、シリンダロッド(17)が後方へ移動する。また、油圧昇降シリンダ(16)内の油圧を油圧タンクとなる主伝動ケース(3)内へ戻す状態に切り替えると、機体の自重によりシリンダロッド(17)が前方へ移動する。従って、油圧昇降シリンダ(16)及びシリンダロッド(17)が、アクチュエータとなる。シリンダロッド(17)の後端部には上下方向の支点軸(19)を介して中継部材となる中継リンク部材(18)を回動自在に連結している。中継リンク部材(18)は、左右中央で上下方向の支点軸(19)に連結され、左右対称な形状となっている。尚、中継リンク部材(18)の左右中央部にはスプリング受け部(18b)を設け、シリンダロッド(17)に設けた圧縮スプリング(22)がスプリング受け部(18b)に接触している。従って、圧縮スプリング(22)により、中継リンク部材(18)の支点軸(19)回りの回動抵抗を与え、無負荷状態では中継リンク部材(18)が中立位置に回動して復帰する構成となっている。
【0058】
中継リンク部材(18)の左右両端部には、左右各々の上下方向の連結軸(23)を介して左右各々の連結ロッド(20)の後端部を連結している。連結ロッド(20)の前端は走行伝動ケース(4)の上側に固着された左右各々のアーム(21)に連結されている。従って、車輪(5)の接地荷重を、走行伝動ケース(4)、アーム(21)及び連結ロッド(20)を介して中継リンク部材(18)が受けている。
【0059】
右側の連結ロッド(20)の中途部には、該連結ロッド(20)の有効長さを変更する伸縮部(24)を構成している。伸縮部(24)は、連結ロッド(20)の前部に形成した雄ねじと、連結ロッド(20)の後部に形成した雌ねじで構成され、雌ねじに雄ねじを嵌合している。従って、連結ロッド(20)の前部と後部を該連結ロッド(20)の軸心回りに相対的に回転させることにより、連結ロッド(20)の長さを変更させて調節する構成となっている。尚、連結ロッド(20)を所望の長さに設定した状態で、連結ロッド(20)の前部と後部が相対的に回転しないように固定するロックナット(24a)を設けている。一方、左側の連結ロッド(20)は、一体の軸部材で構成されており、伸縮部(24)がなく、長さを変更できない構成となっている。
【0060】
連結ロッド(20)の中途部には、規制部材となる板状の規制具(26)を固着している。尚、右側の連結ロッド(20)の規制具(26)は、該連結ロッド(20)の前部に設けられている。
【0061】
従って、油圧ポンプからの油圧を油圧昇降シリンダ(16)内へ供給するべく油圧バルブユニットを切り替えると、シリンダロッド(17)が後方へ移動し、中継リンク部材(18)が後側へ移動し、該中継リンク部材(18)が連結軸(23)を介して左右の連結ロッド(20)を後側に引き、左右のアーム(21)を後側に回動させることにより左右の走行伝動ケース(4)が下側に回動し、左右の車輪(5)が下動して圃場に対して機体が上昇する。逆に、油圧昇降シリンダ(16)内の油圧を主伝動ケース(3)内へ戻すべく油圧バルブユニットを切り替えると、左右の車輪(5)の接地荷重により左右のアーム(21)、左右の連結ロッド(20)及び中継リンク部材(18)等を介してシリンダロッド(17)が前方へ戻され、左右の車輪(5)が上動して圃場に対して機体が下降する。また、左右の車輪(5)を最も下動させて機体を最上昇させるべくシリンダロッド(17)が作動ストローク端まで後方へ移動すると、左右の規制具(26)が前側から機体のフレーム(25)に接触し、中継リンク部材(18)の支点軸(19)回りの回動を規制し、左右の車輪(5)が相反的に上下動するのを規制する構成となっている。
【0062】
圃場の耕盤の左右傾斜や圃場の耕盤の凹凸に左右の車輪(5)が追従するべく、中継リンク部材(18)が圧縮スプリング(22)に抗して支点軸(19)回りに一時的に回動しようとするが、圧縮スプリング(22)により中継リンク部材(18)を中立位置へ復帰させるべく回動し、機体の左右ローリング姿勢を維持し、機体の左右傾斜姿勢が不安定になるようなことを防止している。尚、伸縮部(24)により右側の連結ロッド(20)の長さを変更して調節することにより、機体の左右傾斜姿勢を調節することができる。
【0063】
苗植付装置(10)及び苗載台(11)は、植付伝動ケース(7)からの動力で作動する。苗載台(11)は、植付伝動ケース(7)の左右に突出して左右移動する左右移動軸(29)の左右両端から左右各々の連結部材(30)を介して支持され、苗受板(27)に沿って左右往復移動し、苗受板(27)に設けた各条の苗取口(28)に一株分ずつ苗を供給する。尚、苗載台(11)の上部には左右移動用レール(34)を固着して設けており、該左右移動用レール(34)が後部フレーム(8)の上部から支持される支持ローラ(33)に案内されて左右移動可能に支持されている。従って、苗載台(11)は、下部で苗受板(27)に左右移動可能に支持され、上部で支持ローラ(33)に左右移動可能に支持され、植付伝動ケース(7)からの動力で左右移動軸(29)を介して左右に往復移動する構成となっている。また、苗載台(11)には、左右移動端で苗取口(28)側(下側)に苗を移送する各条の苗送りベルト(35)を備えている。この苗送りベルト(35)は、植付伝動ケース(7)からの動力で作動し、苗載台(11)の左右移動端でマット苗を一株分移送して苗を苗取口(28)へ供給する。
【0064】
苗植付装置(10)は、植付伝動ケース(7)の下部に取り付けられ、該植付伝動ケース(7)からの動力で作動するクランク式であり、分離爪(31)が苗取口(28)上の苗を掻き取り、掻き取った苗を押出具(32)が圃場面に向かって押し出して圃場に苗を植え付ける。
【0065】
ところで、苗受板(27)の左右外側には、苗受板(27)を防護する左右各々の苗受板防護フレーム(105)を設けている。苗受板防護フレーム(105)は、平面視U字型に屈曲して形成されている。そして、左右の苗受板防護フレーム(105)の左右端が機体の左右最外端となっている。尚、機体の左右幅を狭めるべく、左右の苗受板防護フレーム(105)を装着しない構成としてもよい。
【0066】
植付伝動ケース(7)内の伝動構成について説明すると、植付伝動軸(15)上の安全クラッチ(106)を介してベベルギヤ(107)へ伝動する。安全クラッチ(106)は、過負荷で伝動を断つクラッチであり、クラッチのスプリング荷重を調節することによりクラッチが切れるときの負荷を調節する構成となっている。ベベルギヤ(107)を介して左右方向に延びる伝動軸(108)へ伝動し、伝動軸(108)から複数組(3組)の植付用駆動スプロケット(109)、植付用チェーン(110)及び植付用従動スプロケット(111)からなる植付用伝動部材(112)を介して複数の苗植付装置(10)へ伝動する。複数の植付用伝動部材(112)のうちの左右中央の植付用伝動部材(112)を介して左右中央2条の苗植付装置(10)へ伝動し、複数の植付用伝動部材(112)のうちの左右最外側の植付用伝動部材(112)を介して左右最外側の各々1条の苗植付装置(10)へ伝動する。また、伝動軸(108)から複数対(2対)の左右移動用駆動ギヤ(113)及び左右移動用従動ギヤ(114)からなる左右移動用伝動部材(115)を介して苗載台(11)を左右移動させる左右移動機構(116)へ伝動する。尚、左右移動用伝動部材(115)は、複数対(2対)の左右移動用駆動ギヤ(113)及び左右移動用従動ギヤ(114)で構成される複数対のギヤ列から伝動するギヤ列を択一的に選択し、伝動比を切り替えできる構成となっている。左右移動機構(116)は、左右移動用伝動部材(115)からの動力で駆動する(左右移動用従動ギヤ(114)と一体で回転する)左右方向に延びるリードカム軸(117)と、リードカム軸(117)の回転で左右移動するリードカム(118)と、リードカム(118)と一体で左右移動する左右移動軸(29)を備えている。リードカム軸(117)は、斜めのリード溝を有する周知の構成である。左右移動軸(29)の左右両端部は、植付伝動ケース(7)の左右外側に突出し、連結部材(30)を介して苗載台(11)に連結している。従って、左右移動軸(29)の左右移動に伴って苗載台(11)が左右移動軸(29)と一体的に左右往復移動する構成となっている。尚、リードカム軸(117)と一体で回転する苗送り駆動軸を介して各条の苗送りベルト(35)へ伝動する構成となっている。
【0067】
そして、植付伝動軸(15)は左右中央の植付用伝動部材(112)の直ぐ右側に配置され、左右移動用伝動部材(115)は左右中央の植付用伝動部材(112)の左側に配置されている。更に、植付伝動軸(15)と左右移動用伝動部材(115)は、複数の植付用伝動部材(112)のうち左右中央の植付用伝動部材(112)に最も近くなる左右方向の位置に配置されている。従って、植付伝動軸(15)と左右移動用伝動部材(115)は、左右中央の植付用伝動部材(112)の左右に振り分けて配置されている。また、左右中央の植付用伝動部材(112)と左右移動用伝動部材(115)の間の左右方向の間隔よりも、左右中央の植付用伝動部材(112)と植付伝動軸(15)の間の左右方向の間隔が小さく構成されている。
【0068】
操縦ハンドル(9)の前側で且つ苗載台(11)の後側には、車輪(5)、苗植付装置(10)及び苗載台(11)への伝動を断つことができる主クラッチレバー(36)と、苗植付装置(10)及び苗載台(11)への伝動を断ったり油圧昇降シリンダ(16)を作動させるべく油圧バルブユニットの油路を切り替えたりする植付昇降レバー(37)とを設けている。前記主クラッチレバー(36)は、入位置と切位置との2つの操作位置に操作できる構成となっており、主伝動ケース(3)内の主クラッチを操作して伝動状態と非伝動状態とに切り替える。前記植付昇降レバー(37)は、植付位置、下降位置、中立位置及び上昇位置の4つの操作位置に操作できる構成となっており、主伝動ケース(3)内の植付クラッチを操作して植付伝動軸(15)を駆動状態と非駆動状態とに切り替えると共に、油圧昇降シリンダ(16)を作動させて左右の車輪(5)を上下動させる。すなわち、前記植付位置に操作すると、植付クラッチを伝動状態にして苗植付装置(10)及び苗載台(11)を作動させると共に、機体の自重で左右の車輪(5)が接地荷重を受けることにより油圧昇降シリンダ(16)内の油圧を主伝動ケース(3)内に戻して左右の車輪(5)を上動させ、機体を下降させてフロート(12)が接地状態となる。前記下降位置に操作すると、上述のように機体を下降させた状態で、植付クラッチを非伝動状態にして苗植付装置(10)及び苗載台(11)の作動を停止させる。前記中立位置に操作すると、上述のように苗植付装置(10)及び苗載台(11)の作動を停止させた状態で、油圧昇降シリンダ(16)への油路を遮断して油圧昇降シリンダ(16)の作動を固定し、左右の車輪(5)を任意の上下位置で固定して機体の昇降を停止させる。前記上昇位置に操作すると、上述のように苗植付装置(10)及び苗載台(11)の作動を停止させた状態で、油圧昇降シリンダ(16)内へ油圧を供給して左右の車輪(5)を下動させ、機体を上昇させてフロート(12)が非接地状態となる。また、センターフロート(12a)の上下動で該センターフロート(12a)の前部に連結されるロッドを介して油圧バルブユニットの油路を切り替える構成となっており、センターフロート(12a)の前部が上動すると油圧昇降シリンダ(16)内へ油圧を供給して左右の車輪(5)を下動させる構成となっている。従って、植付昇降レバー(37)が前記植付位置及び下降位置のとき、センターフロート(12a)が圃場面に接地して上下動することにより該センターフロート(12a)が所望の前後姿勢になるよう左右の車輪(5)が上下動し、機体が所定の対地高さとなるよう昇降制御される構成となっている。
【0069】
操縦ハンドル(9)及び苗載台(11)の前側には、主伝動ケース(3)内の変速部を操作するための変速レバー(38)と、エンジン(2)を始動するためのリコイルノブ(39)とを設けている。尚、機体の前端部にあるエンジン(2)とリコイルノブ(39)とは、リコイルロープ(40)により連結されている。操縦ハンドル(9)の左右のハンドルグリップ(9a)の下方には左右各々のサイドクラッチレバー(41)を設けており、該サイドクラッチレバー(41)により主伝動ケース(3)内の左右各々のサイドクラッチを操作する構成となっている。操縦ハンドル(9)の斜め前下側で後部フレーム(8)の左側には植付深さ調節レバー(42)を設けており、該植付深さ調節レバー(42)の操作により該レバー(42)と一体回動する左右方向の植付深さ調節軸(53)を回動し、植付深さ調節軸(53)と一体回動する各々の植付深さ調節アーム(54)を介して各フロート(12)の回動支点軸(13)の機体に対する上下位置を変更して、苗植付装置(10)による苗の植付深さを変更して調節できる構成となっている。尚、回動支点軸(13)は、植付深さ調節アーム(54)に溶接され固着されている。操縦ハンドル(9)の斜め前下側で後部フレーム(8)の右側には苗取量調節レバー(65)を設けており、該苗取量調節レバー(65)の操作により苗受板(27)の苗植付装置(10)に対する上下位置を変更して、苗植付装置(10)による一株当たりの苗取り量を変更して調節できる構成となっている。
【0070】
エンジン(2)及び主伝動ケース(3)の上方には、ボンネットカバー(43)を設けている。また、エンジン(2)の上方には、燃料タンク(44)を設けている。
ボンネットカバー(43)の後部の上方から植付伝動ケース(7)の前部の上方にわたる位置には、予備の苗を載せる予備苗載台(45)を設けている。この予備苗載台(45)は、棒材を組み合わせた枠体で構成され、予備苗載台支持フレーム(46)に固定されて支持されている。従って、予備苗載台(45)は前後に移動しない構成となっている。予備苗載台(45)の前後左右の四方には立ち上がり部(47)を設けており、該立ち上がり部(47)により搭載した苗が脱落しないようにしている。予備苗載台(45)は、長手方向約60cm、短手方向約30cmのマット苗を4枚載置できるように、前後幅が約60cmで左右幅が約120cmの広さになっている。従って、予備苗載台(45)は、長手方向を前後方向に向けたマット苗を左右に4枚配列して載置できる。また、苗運搬を容易にするためにマット苗を巻いた巻苗の状態で苗を取り扱うことがあるが、この巻苗を予備苗載台(45)に載置することもできる。このとき、四方の立ち上がり部(47)を比較的高く設定しているので、予備苗載台(45)に載置した巻苗が転びながら脱落することを防止できる。尚、予備苗載台(45)を側面視で左右の車輪(5)の各々の車軸(14)の上方に配置し、予備苗載台(45)の前後中央と車軸(14)を同じ前後位置に設定している。
【0071】
前記予備苗載台支持フレーム(46)は、ボンネットカバー(43)と植付伝動ケース(7)(植付部)との間に配置されている。主フレーム(6)で予備苗載台支持フレーム(46)を固定する固定部材(49)には、ボンネットカバー(43)の後部を支持するべく斜め前上方に延びるボンネットカバー支持部材(50)を固着している。これにより、ボンネットカバー支持部材(50)の支持強度が向上し、ボンネットカバー(43)を確実にしっかりと支持できる。尚、ボンネットカバー支持部材(50)を前記固定部材(49)を介さずに主フレーム(6)から支持する構成としても、ボンネットカバー支持部材(50)を固定部材(49)の近くで支持する構成とすれば、ボンネットカバー支持部材(50)の支持強度を向上させることができる。また、ボンネットカバー支持部材(50)を予備苗載台支持フレーム(46)から支持する構成とすれば、ボンネットカバー支持部材(50)の支持強度を向上させながら、ボンネットカバー支持部材(50)を短縮化できてコンパクトにでき、軽量化及びコストダウンが図れる。
【0072】
機体の前部には、機体の前方の障害物からエンジン(2)、主伝動ケース(3)及びボンネットカバー(43)等を防護する防護フレーム(51)を設けている。この防護フレーム(51)は、主伝動ケース(3)の左右側面から前側に延びる左右各々の取付部(51a)と、この左右の取付部(51a)を連結する機体前端部となる防護部(51b)とを備えている。該防護部(51b)は、左右に真直に延びる水平状に構成されている。
【0073】
機体をトラックの荷台に積み込んで固定するときには、前記防護部(51b)の左右中央部分の左右両端に各々ロープを掛けると共に、後部フレーム(8)の上部に固着したフック(52)にロープを掛け、機体の3箇所を固定して荷台にしっかりと固定するようになっている。
【0074】
この歩行型田植機(1)において、作業者が操縦ハンドル(9)の左右のハンドルグリップ(9a)を把持し、植付昇降レバー(37)を植付位置に操作して機体を下降させると共に植付部を作動可能な状態にし、主クラッチレバー(36)を入位置に操作して機体を走行させながら植付部を作動させることにより、圃場に同時に4条分の苗を植え付けていく。圃場の畦際に到達すると、植付昇降レバー(37)を上昇位置に操作して植付部の作動を停止させると共に機体を上昇させ、旋回内側のサイドクラッチレバー(41)を操作して旋回内側の車輪(5)のサイドクラッチを断ち、機体を旋回させる。この機体旋回時、植付昇降レバー(37)の上昇位置への操作で機体が上昇作動するが、所望の高さに機体が上昇したときに植付昇降レバー(37)を中立位置へ操作すれば、その高さで機体を固定することができ、作業者が機体の旋回操作を容易に行える。以下、同様に植付昇降レバー(37)を植付位置に操作して次行程の植付作業を行い、圃場に苗の植付を行っていく。尚、路上走行時等は、機体を上昇させ、変速レバー(38)を適宜操作して走行させる。
【0075】
次に、この歩行型田植機(1)を前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンド(119)について説明する。スタンド(119)は、前後方向に延びる複数(2本)の前後フレーム(120)と、複数の前後フレーム(120)を繋ぐ左右方向に延びる複数(2本)の左右フレーム(121)と、倒立姿勢の歩行型田植機の下部となる主伝動ケース(3)にボルトを介して連結される左右の下部支持フレーム(122)と、倒立姿勢の歩行型田植機の上部となる植付伝動ケース(7)にボルトを介して連結される左右の上部支持フレーム(123)を備えている。尚、左右各々の下部支持フレーム(122)の上端部にはボルトを貫通させる下部支持用ボルト孔(124)を前後方向に向けて形成し、左右各々の上部支持フレーム(123)の上端部には植付伝動ケース連結部材(125)を設け、植付伝動ケース連結部材(125)にはボルトを貫通させる複数個(2個)の上部支持用ボルト孔(126)を左右方向に向けて形成している。前後フレーム(120)と左右フレーム(121)は溶接により固着され、左右の下部支持フレーム(122)の下端部が左右各々の前後フレーム(120)の左右内側に溶接により固着されている。また、左右の上部支持フレーム(123)の下端部は、前側の左右フレーム(121)の左右両端部に溶接により固着された取付プレート(127)にボルトにより着脱可能に取り付ける構成となっており、上部支持フレーム(123)の下端部及び取付プレート(127)には左右方向にボルトを挿入できる第一着脱用孔(128)を形成している。左右の上部支持フレーム(123)の上端部と植付伝動ケース連結部材(125)には左右方向にボルトを挿入できる第二着脱用孔(129)を形成している。従って、第一着脱用孔(128)及び第二着脱用孔(129)からボルトを取り外すことにより、上部支持フレーム(123)を取り外しできる構成となっている。
【0076】
前後各々の左右フレーム(121)の左右両端部には、リフト用のフォーク爪を挿入するフォーク爪挿入部(130)を構成している。フォーク爪挿入部(130)は、左右フレーム(121)の左右両端部の上面から左右外側に延び、下方に屈曲し、更に左右内側に屈曲して前後フレーム(120)の左右外側面に固着されるU字型のプレートにより形成され、前記プレートと左右フレーム(121)及び前後フレーム(120)で四方が囲まれた長方形状の空間で構成されている。フォーク爪挿入部(130)は前後左右4箇所に構成されるが、前後のフォーク爪挿入部(130)は正面視で同じ位置に配置される。従って、フォークリフト等の左右2本のリフト用のフォーク爪を前後のフォーク爪挿入部(130)にまたがらせて挿入し、フォーク爪を上昇させることにより、スタンド(119)ごと歩行型田植機(1)を上昇させる構成となっている。
【0077】
また、下部支持フレーム(122)は、スタンド(119)の後部寄りの位置に配置され、上側へいくほど前側へ位置する前倒れの傾斜姿勢になっている。一方、上部支持フレーム(123)は、スタンド(119)の前部寄りの位置に配置され、上側へいくほど後側へ位置する後倒れの傾斜姿勢になっている。尚、上部支持フレーム(123)は、下端部の前側縁がフォーク爪挿入部(130)を構成するプレートに接触することにより、前後傾斜姿勢が規制されている。従って、下部支持フレーム(122)と上部支持フレーム(123)の間の前後方向の間隔が狭くなる構成とするべく、下部支持フレーム(122)と上部支持フレーム(123)を前後に傾斜させた方向に向けて構成されている。尚、下部支持フレーム(122)又は上部支持フレーム(123)は、左右に傾斜せず正面視で上下鉛直方向に延びる構成となっている。また、下部支持フレーム(122)の上部と前後フレーム(120)の間に、補強フレーム(131)を固着している。この補強フレーム(131)は、上側へいくほど後側へ位置する後倒れの傾斜姿勢になっている。従って、補強フレーム(131)は、下部支持フレーム(122)とは反対側に前後傾斜しており、これにより下部支持フレーム(122)で受ける荷重を分散して支持強度を向上させることができる。
【0078】
また、前後フレーム(120)は、歩行型田植機(1)の倒立させない状態の上下方向の全幅すなわち歩行型田植機(1)の倒立姿勢での前後方向の全幅よりも長く構成されている。また、左右のフォーク爪挿入部(130)の左右両外端の間隔となるスタンド(119)の左右幅は、歩行型田植機(1)の左右の車輪(5)の左右両外端の間隔よりも大きく、左右のサイドフロート(12b)の左右両外端の間隔よりも小さく設定されている。また、左右のフォーク爪挿入部(130)は、正面視で倒立姿勢の歩行型田植機(1)のセンターフロート(12a)とサイドフロート(12b)の間の空間の下方位置となる。
【0079】
左右各々の前後フレーム(120)の前端には、別のスタンド(119)との位置合わせする位置合わせ部(132)を固着して設けている。この位置合わせ部(132)は、前後フレーム(120)の上面に溶接された上面部と、上面部の外側端から下方に屈曲して延びる側面部で構成され、一部が前後フレーム(120)の前端から前側に突出している。尚、側面部は、左右の前後フレーム(120)の左右外側面よりも若干左右外側に位置している。従って、別のスタンド(119)の左右の前後フレーム(120)の後端部の上側に左右の位置合わせ部(132)の上面部を載せると共に、別のスタンド(119)の左右の前後フレーム(120)の後端部の左右外側に左右の位置合わせ部(132)の側面部を位置させ、スタンド(119)を位置合わせする構成となっている。これにより、スタンド(119)どうしの左右位置ひいては倒立姿勢の歩行型田植機(1)の左右位置を合わせて整列させて配置することができる。
【0080】
次に、異なる形態のスタンド(119)について説明する。尚、前述のスタンド(119)と異なる構成のみについて以下に説明し、同様の構成については説明を省略する。この異なる形態のスタンド(119)は、左右フレーム(121)が断面が円形の棒材で構成されている。前記左右フレーム(121)は、左右の前後フレーム(120)よりも左右外側に延びる左右延長部(121a)と、左右延長部(121a)に続いて下側に屈曲した下側屈曲部(121b)を備え、前後フレーム(120)から上側に離れて配置される。従って、前後フレーム(120)と左右フレーム(121)を連結するフレーム連結部材(133)を、左右の前後フレーム(120)の左右内側に各々設けている。そして、フレーム連結部材(133)と左右延長部(121a)と下側屈曲部(121b)で、上側及び左右側方の三方で囲まれる空間によりフォーク爪挿入部(130)を構成している。また、前後フレーム(120)とフレーム連結部材(133)は左右方向のフレーム連結部材用ボルト孔(134)に挿入されるボルトにより固着され、ボルトを取り外して前後フレーム(120)とフレーム連結部材(133)及び左右フレーム(121)を分離できる構成となっている。また、前述の補強フレーム(131)及び上部支持フレーム(123)を設けておらず、下部支持フレーム(122)は、左右方向の下部支持フレーム用ボルト孔(135)に挿入されるボルトにより、前後フレーム(120)に着脱可能に取り付けられている。更に、前後フレーム(120)の前側の左右フレーム(121)よりも後側で下部支持フレーム(122)より前側の位置には、歩行型田植機(1)の前端部に設けた防護フレーム(51)の左右端部を合致させて固定する左右方向の固定用孔(136)を設けている。
【0081】
従って、前後フレーム(120)と左右フレーム(121)を分離した状態で、左右外側から歩行型田植機の防護フレーム(51)の左右端部に固定用孔(136)を合わせ、防護フレーム(51)を左右の前後フレーム(120)で挟み込んで前後フレーム(120)と左右フレーム(121)をボルトにより結合する構成となっている。
【0082】
この発明の実施の形態における歩行型田植機(1)は、左右の車輪(5)と、該車輪(5)を後端部に支持して上下方向に回動する左右各々の走行伝動ケース(4)と、該走行伝動ケース(4)と一体で回動する左右各々のアーム(21)と、昇降シリンダ(16)のシリンダロッド(17)の前後方向の移動に追従して前後に移動する中継リンク部材(18)と、該中継リンク部材(18)の左右両端と前記アーム(21)の間を連結する左右各々の連結ロッド(20)を設け、中継リンク部材(18)は左右の連結ロッド(20)の間に配置した上下方向の支点軸(19)回りに回動自在に構成し、左右一方の連結ロッド(20)は伸縮部(24)により伸縮して調節した長さで固定される構成とし、左右他方の連結ロッド(20)は長さを変更できない構成とした。
【0083】
よって、圃場の耕盤の左右傾斜や圃場の耕盤の凹凸に追従して、中継リンク部材(18)が上下方向の支点軸(19)回りに回動して左右の車輪(5)が相反して上下動し、機体の左右傾斜姿勢を所望の姿勢に維持する。そして、伸縮部(24)により左右一方の連結ロッド(20)の長さを調節できるので、中継リンク部材(18)や左右の連結ロッド(20)や左右のアーム(21)等の左右の車輪(5)の上下動機構の組付誤差あるいは前記上下動機構の経年変化に拘らず、左右の車輪(5)を均等に連繋することができて左右の車輪(5)の上下動をバランス良く行え、機体の左右ローリングを適正に行え、苗の植付姿勢や植付深さを適正に維持できる。また、左右他方の連結ロッド(20)は長さを変更できない構成とし、左右一方の連結ロッド(20)のみの長さを調節する構成としたので、左右の車輪(5)の相対的な上下位置調節が容易に行えると共に、左右一方の連結ロッド(20)にのみ伸縮部(24)を設けることにより、構造が簡単になりコストダウンが図れる。
【0084】
また、左右の連結ロッド(20)には規制部材(26)を各々設け、昇降シリンダ(16)を作動させて左右の車輪(5)を下降させるのに伴って左右各々の規制部材(26)が機体のフレーム(25)に接触して、左右の車輪(5)が相反的に上下動するのを規制する構成とした。
【0085】
よって、機体を路上で走行させるときや機体をトラックへ積み込むとき、左右の車輪(5)を下降させて機体を上昇させれば、規制部材(26)により左右の車輪(5)の上下動が規制されるので、機体の姿勢を安定させて走行することができ、操作性及び安全性が向上する。
【0086】
また、原動機(2)からの動力を主伝動ケース(3)内へ伝動し、該主伝動ケース(3)内から植付伝動軸(15)を介して植付伝動ケース(7)内に伝動し、植付伝動ケース(7)内に設けた左右方向に延びる伝動軸(108)から複数の植付用伝動部材(112)を介して複数の苗植付装置(10)へ伝動する構成とし、複数の植付用伝動部材(112)のうちの左右中央の植付用伝動部材(112)を介して左右中央2条の苗植付装置(10)へ伝動し、複数の植付用伝動部材(112)のうちの左右最外側の植付用伝動部材(112)を介して左右最外側の各々1条の苗植付装置(10)へ伝動し、前記伝動軸(108)から左右移動用伝動部材(115)を介して苗載台(11)を左右移動させる左右移動機構(116)へ伝動する構成とし、苗載台(11)上の苗を苗植付装置(10)が一株分ずつ掻き取って圃場に植え付ける構成とし、植付伝動軸(15)と左右移動用伝動部材(115)を、複数の植付用伝動部材(112)のうち左右中央の植付用伝動部材(112)に最も近くなる左右方向の位置に配置すると共に、左右中央の植付用伝動部材(112)の左右に振り分けて配置し、過負荷で伝動を断つ安全クラッチ(106)を植付伝動軸(15)上に設けた。
【0087】
よって、共通の安全クラッチ(106)により、複数の苗植付装置(10)にメカロックが発生するのを防止できる。また、共通の安全クラッチ(106)は、左右中央2条の苗植付装置(10)へ伝動する植付用伝動部材(112)の近くに配置されるので、複数の苗植付装置(10)の駆動抵抗を効率良く受けることができて作動の確実化が図れ、複数の苗植付装置(10)及び複数の苗植付装置(10)への伝動機構の破損を確実に防止できる。
【0088】
また、左右中央の植付用伝動部材(112)と左右移動用伝動部材(115)の間の左右方向の間隔よりも、左右中央の植付用伝動部材(115)と植付伝動軸(15)の間の左右方向の間隔が小さくなる構成とした。
【0089】
よって、更に複数の苗植付装置(10)の駆動抵抗を効率良く受けることができて作動の確実化が図れる。
また、原動機(2)からの動力を主伝動ケース(3)内へ伝動し、該主伝動ケース(3)内から左右各々の走行伝動ケース(4)を介して左右の車輪(5)へ伝動し、主伝動ケース(3)内から植付伝動軸(15)を介して植付伝動ケース(7)内に伝動し、植付伝動ケース(7)内からの伝動により複数の苗植付装置(10)及び苗載台(11)へ伝動する構成とし、苗載台(11)を左右移動させながら該苗載台(11)上の苗を苗植付装置(10)が一株分ずつ掻き取って圃場に植え付ける構成とし、原動機(2)及び主伝動ケース(3)を左右の車輪(5)の各々の車軸(14)よりも前側に配置し、植付伝動ケース(7)、複数の苗植付装置(10)及び苗載台(11)を備える植付部を左右の車輪(5)の各々の車軸(14)よりも後側に配置し、機体を基準に前後方向に移動しない予備苗載台(45)を側面視で左右の車輪(5)の各々の車軸(14)の上方に配置した。
【0090】
よって、重量物である原動機(2)及び主伝動ケース(3)と植付部を車軸(14)の前後に振り分けて配置し、苗を載せて重くなる予備苗載台(45)を側面視で車軸(14)の上方に配置したので、機体の前後重量バランスを良好にでき、左右の車輪(5)による走行推進力を向上させることができる。しかも、予備苗載台(45)は機体を基準に前後方向に移動しないので、機体の前後重量バランスが崩れることを防止でき、更なる走行性能の向上が図れる。
【0091】
また、左右各々の走行伝動ケース(4)内において、主伝動ケース(3)から側方に突出する走行出力軸(101)と車軸(14)が挿入され、走行出力軸(101)に設けた駆動スプロケット(102)と車軸(14)に設けた従動スプロケット(103)の間に伝動チェーン(104)を巻き掛けた構成とした。
【0092】
よって、左右の車輪(5)による走行推進力が向上するので、走行伝動ケース(4)内において、単一の伝動チェーン(104)による小さい減速比で車輪(5)へ伝動することができ、伝動構成を簡潔にできてコストダウンが図れる。
【0093】
また、機体の後端部に設けた操縦ハンドル(9)を、機体に固定して位置変更できない構成とした。
よって、操縦ハンドル(9)にかかる操作荷重を適正に維持でき、操作性が向上する。また、操縦ハンドル(9)を位置変更する機構を省略でき、コストダウンが図れる。
【0094】
また、苗載台(11)は、苗受板(27)に沿って左右移動して該苗受板(27)に設けた各条の苗取口(28)に一株分ずつ苗を供給する構成とし、苗植付装置(10)は、苗取口(28)上の苗を掻き取って圃場に植え付ける構成とし、次行程の走行の指標となる圃場位置に線を引く線引きマーカを設けず、苗受板(27)の左右端又は苗受板(27)を防護する苗受板防護フレーム(105)の左右端が機体の左右最外端となる構成とした。
【0095】
よって、従来、一般的に線引き作用しない起立状態でも機体の左右最外側に位置する線引きマーカを省略できるので、機体の左右幅を小さくできて機体のコンパクト化が図れると共に、コストダウンが図れる。
【0096】
また、苗載台(11)は、苗受板(27)に沿って左右移動して該苗受板(27)に設けた各条の苗取口(28)に一株分ずつ苗を供給する構成とし、苗植付装置(10)は、苗取口(28)上の苗を掻き取って圃場に植え付ける構成とし、苗受板(27)を防護する苗受板防護フレームを設けずに苗受板(27)の左右端が機体の左右最外端となる構成とした。
【0097】
よって、苗受板(27)を防護する苗受板防護フレーム(105)を省略できるので、機体の左右幅を小さくできて機体のコンパクト化が図れると共に、コストダウンが図れる。
【0098】
また、圃場面に接地する複数のフロート(12)を、各々の左右方向の回動支点軸(13)回りに上下に回動自在に支持し、回動支点軸(13)を先端部に溶接して固着した各々の植付深さ調節アーム(54)を、植付深さ調節軸(53)に固着して該植付深さ調節軸(53)を中心として該植付深さ調節軸(53)と一体で上下に回動させる構成とし、植付深さ調節軸(53)を回動させる植付深さ調節レバー(42)を設けた。
【0099】
よって、回動支点軸(13)を植付深さ調節アーム(54)に溶接して固着したので、構造の簡素化が図れてコストダウンが図れる。
そして、歩行型田植機(1)のスタンド(119)は、左右の車輪(5)と、左右の車輪(5)の間に配置したセンターフロート(12a)と、左右の車輪(5)の左右外側に配置したサイドフロート(12b)を備える歩行型田植機を、前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンドであって、歩行型田植機を倒立させない状態で上下方向すなわち歩行型田植機を倒立させた状態で前後方向となる歩行型田植機の全幅よりも前後方向の幅が大きく、左右の車輪よりも左右方向外側位置で左右のサイドフロート(12b)の左右外端よりも左右方向内側位置に左右端が位置する。
【0100】
よって、歩行型田植機を倒立させた状態で前後方向となる歩行型田植機の全幅よりもスタンドの前後方向の幅が大きいので、倒立姿勢の歩行型田植機を前後に並べるとき、歩行型田植機どうしが干渉して破損することを防止できる。また、左右の車輪よりも左右方向外側位置で左右のサイドフロート(12b)の左右外端よりも左右方向内側位置にスタンドの左右端が位置するので、倒立姿勢の歩行型田植機を左右に並べるとき、倒立姿勢で前後幅の大きい車輪(5)どうしを干渉させずに倒立姿勢で前後幅の小さいサイドフロート(12b)を前後に重なり合わせて配置でき、倉庫内や輸送手段の格納スペースにおいて多数の歩行型田植機を効率良く配置でき、倉庫や輸送手段に要する費用の低減が図れる。
【0101】
また、左右の車輪(5)と、左右の車輪(5)の間に配置したセンターフロート(12a)と、左右の車輪(5)の左右外側に配置したサイドフロート(12b)を備える歩行型田植機を、前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンドであって、正面視で倒立姿勢の歩行型田植機のセンターフロート(12a)とサイドフロート(12b)の間の下方位置にリフト用のフォーク爪を挿入するフォーク爪挿入部(130)を構成した。
【0102】
よって、フォーク爪挿入部(130)へフォーク爪を挿入するとき、誤ってフォーク爪をセンターフロート(12a)やサイドフロート(12b)へ干渉させることを防止でき、フォーク爪によりセンターフロート(12a)やサイドフロート(12b)を破損させることを防止できる。
【0103】
また、歩行型田植機を前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンドであって、前後方向に延びる複数の前後フレーム(120)と、複数の前後フレーム(120)を繋ぐ左右方向に延びる左右フレーム(121)と、倒立姿勢の歩行型田植機の下部に連結される下部支持フレーム(122)と、倒立姿勢の歩行型田植機の上部に連結される上部支持フレーム(123)を備え、上部支持フレーム(123)を着脱可能に構成した。
【0104】
よって、倒立姿勢の歩行型田植機の上部と下部を支持するので、倒立姿勢の歩行型田植機を安定して支持することができる。また、倒立姿勢の歩行型田植機の上部に連結するので長くなる上部支持フレーム(123)を着脱可能に構成したことにより、上部支持フレーム(123)を取り外してスタンドをコンパクトに収納することができる。
【0105】
また、正面視で下部支持フレーム(122)又は上部支持フレーム(123)を上下鉛直方向に向けて構成した。
よって、正面視で上下鉛直方向に向く下部支持フレーム(122)又は上部支持フレーム(123)により、上方からの支持荷重を的確に受けることができ、支持強度が向上する。
【0106】
また、側面視で上側へいくほど下部支持フレーム(122)と上部支持フレーム(123)の間の前後方向の間隔が狭くなる構成とするべく、下部支持フレーム(122)と上部支持フレーム(123)を前後に傾斜させた方向に向けて構成した。
【0107】
よって、前後に傾斜する下部支持フレーム(122)と上部支持フレーム(123)により、歩行型田植機を安定して支持でき、支持強度が向上する。
また、下部支持フレーム(122)又は上部支持フレーム(123)に、当該支持フレームとは反対側に前後傾斜する補強フレーム(131)を連結した。
【0108】
よって、補強フレーム(131)により、下部支持フレーム(122)又は上部支持フレーム(123)の支持強度を向上させることができる。
また、左右フレーム(121)を複数設け、各々の左右フレーム(121)の左右両端部に、リフト用のフォーク爪を挿入するフォーク爪挿入部(130)を構成した。
【0109】
よって、簡単な構造でフォーク爪挿入部(130)を構成できる。
また、左右フレーム(121)は、複数の前後フレーム(120)よりも左右外側に延びる左右延長部(121a)と、左右延長部(121a)に続いて下側に屈曲した下側屈曲部(121b)を備え、前後フレーム(120)又は前後フレーム(120)と左右フレーム(121)を連結するフレーム連結部材(133)と、左右延長部(121a)と、下側屈曲部(121b)で、上側及び左右側方の三方で囲まれる空間によりフォーク爪挿入部(130)を構成した。
【0110】
よって、上側及び左右側方の三方を囲む簡単な構造でフォーク爪挿入部(130)を構成できる。
また、左右フレーム(121)を、複数の前後フレーム(120)から着脱可能に構成した。
【0111】
よって、左右フレーム(121)を取り外してスタンドをコンパクトに収納することができる。
また、左右フレーム(121)を、断面が円形の棒材で構成した。
【0112】
よって、通常状態の歩行型田植機の前端部にスタンドを装着し、左右フレーム(121)に足をかけて該左右フレーム(121)を支点にして歩行型田植機を倒立させることができ、逆に倒立姿勢の歩行型田植機のスタンドの左右フレーム(121)に足をかけて該左右フレーム(121)を支点にして歩行型田植機を倒立させない元の姿勢に戻すことができ、歩行型田植機の姿勢変更を容易に行える。
【0113】
また、歩行型田植機の前端部に設けた防護フレーム(51)を、左右の前後フレーム(120)で挟んで固定する構成とした。
よって、防護フレーム(51)を左右の前後フレーム(120)で挟んで固定するので、スタンドにより確実に歩行型田植機を支持することができる。
【0114】
また、歩行型田植機を前部が下方となる倒立姿勢で支持するスタンドであって、別のスタンドとの位置合わせする位置合わせ部(132)を設けた。
よって、倒立姿勢の歩行型田植機を並べるとき、位置合わせ部(132)により位置を揃えて並べることができ、倉庫内や輸送手段の格納スペースにおいて多数の歩行型田植機を効率良く配置でき、倉庫や輸送手段に要する費用の低減が図れる。
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