(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記モバイル通信機器には、自身の固有情報であるモバイル固有情報と共に前記車両の固有情報である前記車両固有情報が登録され、前記車両側無線通信機器には、前記車両固有情報と共にモバイル固有情報が予め登録され、
前記起動時照合手段は、
前記モバイル通信機器に装備され、前記モバイル通信機器による前記アプリケーションの起動時に、前記モバイル通信機器から前記車両側無線通信機器に、前記モバイル通信機器に登録された前記モバイル固有情報を送信する第1送信手段と、
前記車両側無線通信機器に装備され、前記第1送信手段によって送信された前記モバイル固有情報を前記車両側無線通信機器に登録された前記モバイル固有情報と比較して照合する第1照合手段と、
前記車両側無線通信機器に装備され、前記第1照合手段による照合が一致したら、前記モバイル通信機器に前記車両側無線通信機器に登録された前記車両固有情報を送信し、前記第1照合手段による照合が一致しなかったら、前記モバイル通信機器に照合不一致信号を送信する第2送信手段と、
前記モバイル通信機器に装備され、前記第2送信手段によって送信された前記車両固有情報を前記モバイル通信機器に登録された前記車両固有情報と比較して照合する第2照合手段と、を備え、
前記実行制御手段は、前記モバイル通信機器に装備され、前記第2照合手段による照合が一致した場合には前記アプリケーションの実行を許可し、前記第2照合手段による照合が一致しない場合又は前記第2送信手段によって前記照合不一致信号が送信された場合には前記アプリケーションの実行を禁止する
ことを特徴とする、請求項7記載の車載機器類の遠隔操作システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上記のようなプレ空調の操作に加えて、例えば家庭用コンセントで充電可能な電気自動車やプラグインハイブリッド車において、車両の充電系統をコンセントに接続し充電可能な状態にしておき、遠隔操作で充電の開始や終了を認識したり管理したりすることなども、車両を使用する際の利便性を高めることができるものと考えた。このように、様々な機器を遠隔で操作したり管理したりすることにより車両を使用する際の利便性を高めることができる。
【0006】
このような幾つもの対象機器を操作したり管理したりする際に、それぞれに専用の携帯機を設けると、コスト高を招き、携帯機の管理が負担になるだけでなく、誤操作も招きやすい。
この点、特許文献1の技術は、携帯機を兼用しながら遠隔操作する対象機器が増やせるようにした技術なので、上記の課題を解消しうる。
【0007】
しかし、特許文献1の技術は、スイッチ操作のロジックを用いて同じスイッチを複数の機器の遠隔操作に兼用して使用するものなので、対象機器がより増えると、スイッチ操作のロジックを複雑にしなくては対応できず、適切な操作が容易でなく誤操作を招くおそれもある。もちろん、携帯機に各対象機器に対応したスイッチを設けて対応することも考えられるが、携帯機のスイッチ構成が複雑になり、扱い難く誤操作も招きやすい。
【0008】
そこで、本発明者らは、携帯電話機等のモバイル通信機器を車両の各機器の遠隔操作のために利用することを考えた。携帯電話機の場合、近年は所謂スマートフォンと呼ばれる多機能携帯電話が普及している。スマートフォンの場合、パソコンやPDA(携帯情報端末)と同様な機能をそなえ、一般にタッチパネル式のディスプレイを有する。このため、様々なアプリケーションソフト(アプリケーションプログラム)をダウンロードすることにより、好みに機能を付加することができ、車両の各機器の遠隔操作に利用しうる。
【0009】
つまり、各機器を遠隔操作するためにメニュー画面やスイッチ画面をタッチパネル式のディスプレイに表示してスイッチ操作をできるアプリケーションソフト、及び、これに対応する車両側の処理ソフト(車両側の処理プログラム)を開発し、アプリケーションソフトをスマートフォンにダウンロードし、車両側の処理ソフトを車両側の機器にダウンロードする。これにより、一般的なスマートフォンを各機器のリモートコントローラとして使用することができる。画面表示の自由度が高いので、適切な操作を容易に行なえるようにメニュー表示することで、誤操作を招くおそれも回避できる。
【0010】
ただし、スマートフォン等のモバイル通信機器でと車両との間で無線通信を行なうには、モバイル通信機器で使用する通信規格(ネットワークインターフェース)に対応した無線通信機器を車両側に装備することが必要になる。なお、スマートフォンの通信規格には、「Wi−Fi(登録商標)」や「3G」が用いられるが、このほか、「WiMAX(登録商標)」,「ブルートゥース(登録商標)」、等の通信規格の使用も考えられる。
【0011】
上記の通信規格の中でも、「Wi−Fi」は、比較的通信速度が速く、比較的長い無線通信距離を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備をしないで通信ができ、ランニングコストも低く抑えることができる。
しかしながら、モバイル通信機器を車両の遠隔操作のリモコンに兼用する場合、本来はアクセスしてはならない他者のモバイル通信機器から、車両側の無線通信機器に不正にアクセスするおそれが懸念される。
【0012】
もちろん、Wi−Fi通信等の通信規格自体にも、このような不正アクセスに対するセキュリティ機能が備えられるが、通信規格のセキュリティ機能を突破して不正アクセスするおそれも否定できない。
こうした不正使用に対するセキュリティの確保の手法として、使用可能なモバイル通信機器を車両側の装置に登録していき、登録されていないモバイル通信機器はアクセスできないようにする技術も考えられる。
【0013】
この場合、使用するモバイル通信機器の車両側の装置への登録が誰にでも容易にできたのでは、セキュリティの確保はできない。
また、アプリケーションソフトや車両側の処理ソフトは、適宜アップデートする必要がある。このアップデートは、車両側の装置と使用するモバイル通信機器との双方で実施する必要がある。これについても、誰にでも容易にアップデートを実施できるとこれが悪用され、適正な使用者の使用が妨害されるおそれもある。
【0014】
本発明は上記の課題に鑑み創案されたもので、スマートフォン等のモバイル通信機器を用いて車載機器類の遠隔操作を行なうようにしたシステムにおいて、他者が車両側の装置に不正にアクセスして、車両側の装置へのモバイル通信機器の登録や必要なプログラムのアップデートが不正に行なわれることを防止して、他者が不正に車載機器類の遠隔操作を行なうことや、他者による適正な使用者の使用に対する妨害を防止することができるようにした、車載機器類の遠隔操作システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)上記の目的を達成するため、本発明の車載機器類の遠隔操作システムは、車両に装備され、前記車両に搭載された車載機器類を制御する車載機器制御装置と、前記車載機器制御装置を通じて前記車載機器類を遠隔操作するアプリケーションプログラムがダウンロードされたモバイル通信機器と、前記車両に装備され、
前記車載機器制御装置と車両ネットワークで接続され、前記車載機器制御装置と前記モバイル通信機器との間に介在し前記モバイル通信機器からの無線通信を処理する車両側プログラムがダウンロードされた車両側無線通信機器とを備え
、前記車載機器制御装置と前記モバイル通信機器と前記車両側無線通信機器とには、前記車両の固有情報である車両固有情報が登録されている、車載機器類の遠隔操作システムであって、前記車両側無線通信機器へ特定の入力操作を行なうための入力操作手段と、前記入力操作手段による前記入力操作時に、予め設定された特定条件が満たされた場合だけ前記入力を許可する許可手段と、が備えられ
、前記許可手段は、前記入力操作時に、前記車両固有情報の入力を指示する指示手段と、前記指示手段による指示に応答して入力された前記車両固有情報を前記車両側無線通信機器に登録されている前記車両固有情報と照合する入力時照合手段と、前記入力時照合手段による照合が一致したら前記特定条件が満たされたとして前記入力操作を許可し、前記照合が一致しなかったら前記特定条件が満たされないとして前記入力操作を拒否する判定手段と、をそなえ、前記車両ネットワークによる前記車載機器制御装置と前記車両側無線通信機器とのネットワーク通信時は、通信情報に前記車両固有情報を付加して発信し、前記車載機器制御装置には、前記車両側無線通信機器との通信時に、前記車載機器制御装置に登録された前記車両固有情報と前記車両側無線通信機器との前記通信により受信した前記車両固有情報とを照合する通信時照合手段と、前記通信時照合手段により照合が一致した場合には前記車両側無線通信機器との通信を許可し、前記通信時照合手段により照合が一致しない場合には前記車両側無線通信機器との通信を禁止する通信制御手段とが、備えられていることを特徴としている。
【0017】
(
2)前記入力操作手段は、前記モバイル通信機器に備えられていることが好ましい。
(
3)前記遠隔操作を前記車両側無線通信機器に予め固有情報を登録された前記モバイル通信機器に限って行なえるように構成され、前記入力操作手段は、前記特定の入力操作として前記モバイル通信機器の固有情報であるモバイル固有情報を前記車両側無線通信機器に登録操作する登録操作手段であることが好ましい。
【0018】
(
4)前記入力操作手段は、前記特定の入力操作として前記車両側プログラムをアップデート操作するアップデート操作手段であることが好ましい。
(
5)前記モバイル通信機器には、前記車両側無線通信機器との通信時に、前記車両側無線通信機器にダウンロードされている前記車両側プログラムのバージョンと、前記モバイル通信機器にダウンロードされている前記アプリケーションプログラムのバージョンとを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果から前記車両側プログラムのバージョンの方が古ければアップデート操作を案内する操作案内手段と、が備えられていることが好ましい。
【0019】
(
6)前記許可手段が入力操作を許可しない場合には、前記モバイル通信機器にその旨(例えば、「入力の条件が満たされません」といったメッセージ)を表示することが好ましい。
(
7)前記モバイル通信機器による前記遠隔操作を行うためのアプリケーションを実行するアプリケーション実行手段と、前記アプリケーションの起動時に、前記モバイル通信機器と前記車両側無線通信機器との間で通信を実施し、予め登録された固有情報と前記通信により受信した固有情報とを照合する起動時照合手段と、前記起動時照合手段により照合が一致した場合には前記アプリケーションの実行を許可し、前記起動時照合手段により照合が一致しない場合には前記アプリケーションの実行を禁止する実行制御手段とが、備えられていることが好ましい。
【0020】
(
8)前記モバイル通信機器には、自身の固有情報であるモバイル固有情報と共に前記車両の固有情報である前記車両固有情報が登録され、前記車両側無線通信機器には、前記車両固有情報と共にモバイル固有情報が予め登録され、前記起動時照合手段は、前記モバイル通信機器に装備され、前記モバイル通信機器による前記アプリケーションの起動時に、前記モバイル通信機器から前記車両側無線通信機器に、前記モバイル通信機器に登録された前記モバイル固有情報を送信する第1送信手段と、前記車両側無線通信機器に装備され、前記第1送信手段によって送信された前記モバイル固有情報を前記車両側無線通信機器に登録された前記モバイル固有情報と比較して照合する第1照合手段と、前記車両側無線通信機器に装備され、前記第1照合手段による照合が一致したら、前記モバイル通信機器に前記車両側無線通信機器に登録された前記車両固有情報を送信し、前記第1照合手段による照合が一致しなかったら、前記モバイル通信機器に照合不一致信号を送信する第2送信手段と、前記モバイル通信機器に装備され、前記第2送信手段によって送信された前記車両固有情報を前記モバイ
ル通信機器に登録された前記車両固有情報と比較して照合する第2照合手段と、を備え、前記実行制御手段は、前記モバイル通信機器に装備され、前記第2照合手段による照合が一致した場合には前記アプリケーションの実行を許可し、前記第2照合手段による照合が一致しない場合又は前記第2送信手段によって前記照合不一致信号が送信された場合には前記アプリケーションの実行を禁止することが好ましい。
【0021】
(
9)前記車両固有情報には、車両識別番号(Vehicle Identification Number、略してVIN)が適用され、前記モバイル固有情報は、マック・アドレス(Media Access Control address、MACアドレス)が適用されることが好ましい。
(1
0)前記実行制御手段は、前記アプリケーションの実行を禁止する場合には、前記モバイル通信機器にその旨(例えば、「認証不一致によりアプリケーションを実行できません」といったメッセージ)を表示することが好ましい。
【0023】
(1
1)前記通信制御手段は、前記車両側無線通信機器との通信を禁止する場合には、前記車両に装備された表示手段にその旨(例えば、「車両側無線通信機器と認証不一致です」)を表示することが好ましい。
(1
2)前記モバイル通信機器と前記車両側無線通信機器との通信に、無線LAN通信が用いられることが好ましい。
【0024】
前記モバイル通信機器には、例えば、多機能携帯電話(スマートフォン)やタブレットPCを適用することができる。
前記車両には、前記車載機器類としてのドア施錠解錠装置と、前記ドア施錠解錠装置を制御すると共にドア施錠解錠状態を監視する、前記車載機器制御装置としてのドア施錠解錠制御装置とが装備され、前記モバイル通信機器には、前記車両側無線通信機器を介した通信により、前記ドア施錠解錠制御装置にドア施錠信号又はドア解錠信号を出力するドア施錠解錠操作手段と、前記ドア施錠解錠制御装置から送信された前記ドア解錠状態を表示するドア状態表示手段とが設けられていることが好ましい。
【0025】
前記車両には、前記車載機器類としてのパワースイッチ駆動装置と、前記車載機器制御装置としてのパワースイッチ制御装置とが装備され、前記モバイル通信機器には、前記車両側無線通信機器を介した通信により前記パワースイッチ制御装置に前記パワースイッチ駆動装置の作動操作信号を出力するパワースイッチ操作手段と、前記パワースイッチ操作手段により出力された前記作動操作信号に応じた前記パワースイッチの状態を表示するパワースイッチ状態表示手段とが設けられていることが好ましい。
【0026】
また、車両に装備され、前記車両に搭載された車載機器類を制御する車載機器制御装置と、前記車載機器制御装置を通じて前記車載機器類を遠隔操作するアプリケーションプログラムがダウンロードされたモバイル通信機器と、前記車両に装備され、前記車載機器制御装置と前記モバイル通信機器との間に介在し前記モバイル通信機器からの無線通信を処理する車両側プログラムがダウンロードされた車両側無線通信機器とを備えた、車載機器類の遠隔操作システムにおいて、前記車両側無線通信機器へ特定の入力操作を行なう際の管理方法として、前記入力操作時に、前記車両の固有情報である車両固有情報の入力を指示する指示ステップと、前記指示ステップによる指示に応答して入力された車両固有情報を照合する照合ステップと、前記照合ステップによる照合が一致したら前記特定条件が満たされたとして前記入力操作を許可し、前記照合が一致しなかったら前記特定条件が満たされないとして前記入力操作を拒否する判定ステップと、をそなえ、前記判定ステップにより前記入力操作が許可された場合だけ前記入力を許可することも好ましい。
【発明の効果】
【0027】
(1)本発明の車載機器類の遠隔操作システム及びその管理方法によれば、車両側無線通信機器へ特定の入力操作を行なう際に、予め設定された特定条件が満たされた場合だけこの入力が許可されるので、他者が車両側の装置に不正にアクセスして車載機器類の遠隔操作を行なうことや、適正な使用者の使用に対する妨害を防止することができるようになる。
【0028】
入力の許可について、車両の固有情報である車両固有情報の入力を指示し、これに応答して入力された車両固有情報を照合し、照合が一致したら特定条件が満たされたとして入力操作を許可し、照合が一致しなかったら特定条件が満たされないとして入力操作を拒否することにより、通常は他者が知りえない車両固有情報がアクセスキーになり、他者による不正なアクセスを確実に防止することができる。
また、車載機器制御装置及び車両側無線通信機器が車両ネットワークで接続される場合に、車載機器制御装置において、車両側無線通信機器との通信時に、車載機器制御装置に登録された車両固有情報と車両側無線通信機器との通信により受信した車両固有情報とを照合し、この照合が一致した場合に車両側無線通信機器との通信を許可し、照合が一致しない場合には車両側無線通信機器との通信を禁止することにより、例えば、車両側無線通信機器が不正に交換された場合において、不正な車両側無線通信機器から車載機器制御装置へのアクセスが防止され、セキュリティ性を確保することができる。
【0029】
(
2)入力操作をモバイル通信機器によって行えるようにすれば、利便性を向上させることができる。
(
3)特定の入力操作が、モバイル通信機器の固有情報であるモバイル固有情報を車両側無線通信機器に登録する操作であれば、この登録操作は、車両固有情報を入力するなど特定条件が満たされなければ行なえないので、適正な操作者のみがモバイル固有情報を車両側無線通信機器に登録することが可能になる。遠隔操作を車両側無線通信機器に予め固有情報を登録されたモバイル通信機器に限って行なえるように構成されると、適正なモバイル通信機器のみが遠隔操作を行なえるようになり、他者が車両側の装置に不正にアクセスすることが防止される。
【0030】
(
4)特定の入力操作が、車両側プログラムをアップデートする操作であれば、このアップデート操作は、車両固有情報を入力するなど特定条件が満たされなければ行なえないので、適正な操作者のみが車両側プログラムをアップデートすることが可能になる。したがって、他者が車両側プログラムを不正に操作することが防止される。
(
5)モバイル通信機器において、車両側無線通信機器にダウンロードされている車両側プログラムとモバイル通信機器にダウンロードされているアプリケーションプログラムとのバージョンを比較し、車両側プログラムのバージョンの方が古ければアップデート操作を案内する機能を設ければ、車両側プログラムのバージョンアップを忘れることなく実施することができる。
【0031】
(
6)特定の入力操作が許可されない場合に、モバイル通信機器にその旨を表示すれば、操作者が入力条件のための操作を誤った場合にそれに気づきやすくなり、適切な対応を行ない易い。
(
7)モバイル通信機器による遠隔操作を行うためのアプリケーションの起動時に、モバイル通信機器と車両側無線通信機器との間で通信を実施し、予め登録された固有情報と通信により受信した固有情報とを照合し、照合が一致した場合にはアプリケーションの実行を許可し、照合が一致しない場合にはアプリケーションの実行を禁止することにより、アプリケーションの不正使用を防止することができる。
【0032】
(
8)この場合の照合処理を、モバイル通信機器に登録されたモバイル固有情報をモバイル通信機器から車両側無線通信機器に送信し、車両側無線通信機器において、送信されたモバイル固有情報を車両側無線通信機器に登録されたモバイル固有情報と比較して照合し、この照合が一致したら、モバイル通信機器に車両側無線通信機器に登録された車両固有情報を送信し、モバイル通信機器において、送信された車両固有情報をモバイ
ル通信機器に登録された車両固有情報と比較して照合し、この照合が一致した場合にはじめてアプリケーションの実行を許可すれば、ダブルチェックの照合によりセキュリティ性が一層強まる。
【0033】
(
9)車両固有情報には、車両識別番号(Vehicle Identification Number、略してVIN)を適用し、モバイル固有情報には、マック・アドレス(Media Access Control address、MACアドレス)を適用すれば、各固有情報の登録を円滑に実施でき、しかも、セキュリティ性を確保しやすい。
(1
0)車両側無線通信機器における照合が一致しない場合や、モバイル通信機器における照合が一致しない場合には、アプリケーションの実行を禁止すると共に、モバイル通信機器にその旨を表示することにより、使用者が誤って機器を操作した場合に、これを把握することができる。
【0035】
(1
1)照合の不一致により車両側無線通信機器との通信を禁止する場合に、車両に装備された表示手段にその旨を表示すれば、操作者が状況を把握しやすくなり、適切な対応を行ない易い。
(1
2)モバイル通信機器と車両側無線通信機器との通信に、無線LAN通信が用いられる場合、通信速度を速くすることや通信距離を長く確保することができ利便性が高まる反面、セキュリティ性の不安が高まるが、上記のように、セキュリティ性が確保されているので、こうした不安を解消することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面により、本発明の実施形態を説明する。
なお、本実施形態にかかる車両は、家庭用コンセント等の車外の一般電源(100ボルト電源)を利用して走行用バッテリへの充電を行なうことができるプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)であり、遠隔操作の対象となる車載機器類には、走行用バッテリ及び走行用バッテリの充電を制御する充電制御装置とが含まれる。
【0038】
〔システム全体構成〕
図7は本実施形態にかかる車載機器類の遠隔操作システムを示す概略構成図である。
図7に示すように、この遠隔操作システムは、車両1に装備され、車載機器類を制御する各制御装置(車載機器制御装置)を含んだ車両ネットワーク2と、車載機器類を遠隔操作するためのモバイル通信機器としての多機能携帯端末(スマートフォン)3と、車両1に装備され、車両ネットワーク2の各制御装置とスマートフォン3との間に介在し無線通信を処理する無線ルータとして機能する通信ECU(無線通信機器,EVリモートECUとも言う)4と、を備えている。
【0039】
通信ECU4と車両ネットワーク2との通信には、有線のCAN(Controller Area Network)が用いられ、通信ECU4とスマートフォン3との通信には、無線のWi−Fi(wireless fidelity)或いは3G(3rd Generation)といった無線LAN通信が用いられる。ここでは、通信ECU4とスマートフォン3との通信にWi−Fiが用いられるものとする。
【0040】
車両ネットワーク2には、ノイズに強く、通信線の1本が断線しても残る線で通信が可能である特性から、CANが広く使われており、車載の通信ECU4と車両ネットワーク2との間にもCANを用いている。
通信ECU4とスマートフォン3との通信にWi−Fiを用いるのは、市販されているスマートフォンやその他のモバイル通信機器にWi−Fiを利用可能なものが多く、比較的通信速度が速く、比較的長い無線通信距離(車両との通信可能距離は見通し最大距離約200m程度)を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備をすることなく通信ができ、ランニングコストも低く抑えることができるためである。
【0041】
なお、本実施形態ではWi−Fiを用いるモバイル通信機器としてスマートフォンを例示するが、Wi−Fi通信を用いる場合、スマートフォンだけでなく、Wi−Fi通信を採用し、本遠隔操作システムのアプリケーションソフトのダウンロードが可能であれば、種々のモバイル通信機器(Wi−Fiデバイス)が使用できる。
図8はこの遠隔操作システムを更に詳細に示す構成図である。
図8に示すように、車両側には、車載機器類として、走行用バッテリ11Aと、補機バッテリ11Bと、エアコン装置12と、オーディオ及びカーナビシステム13と、リアデフォッガ14とが搭載されるほか、更に、ランプ類15やドアミラー16やワイパー(図示略)などの電装品等が搭載されている。なお、エアコン装置12は電動コンプレッサ12aを使用する電動タイプの装置であり、電動コンプレッサ12aの電源には、高電圧電源である走行用バッテリ11Aが使用される。
【0042】
また、車両側には、車載機器類を制御する車載機器制御装置として、車両全体を制御する車両ECU21と、走行用バッテリ11A及び補機バッテリ11Bの充電状態を制御する充電制御装置としての車載充電ECU(充電器)22と、エアコン装置12を制御する空調制御装置としてのエアコンECU23と、リアデフォッガ14やランプ類15やドアミラー16等の電装品の作動を制御する電装品トータル制御ECU24等が搭載されている。
【0043】
なお、車載機器制御装置としての各ECU21〜24,スマートフォン3及び通信ECU4は、入出力装置,記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等のメモリ)、中央処理装置(CPU)及びタイマカウンタ等を含んで構成される。
車両ECU21及び車載充電ECU22は電気自動車CAN(EV−CAN)51によって接続され、エアコンECU23,電装品トータル制御ECU24及びオーディオ及びカーナビシステム13は電装品CAN(SUB−CAN)52によって接続されている。また、電気自動車CAN51と電装品CAN52とは、図示しないゲートウェイ等を介して接続されている。
【0044】
車両ECU21は、車両のパワースイッチ17の駆動機構(パワースイッチ駆動機構)を操作しパワースイッチ17をオンオフ操作する機能(パワースイッチ制御手段)と、各ドアのロックアンロック機構(ドア施錠解錠機構)19を操作しドアをロック状態又はアンロック状態に操作する機能(ドア施錠解錠制御手段)とを備えている。また、車両ECU21には、パワースイッチ17のオンオフ状態の情報や、ロックアンロック機構19がロック状態かアンロック状態かの情報や、各ドアの開閉スイッチ18のオンオフ状態(開閉状態)の情報が入力されるようになっている。
【0045】
車載充電ECU22は走行用バッテリ11A及び補機バッテリ11Bを充電する車載充電ユニット11を制御する。特に、本車載充電ユニット11は、充電ステーション等に設備された専用充電コンセントだけでなく、家庭用コンセント等の一般電源を利用して走行用バッテリ11Aに充電をすることができる。また、補機バッテリ11Bは走行用バッテリ11Aの電力を用いて充電をすることができる。
【0046】
走行用バッテリ11Aの充電モードとしては、専用の外部急速充電器を用いる「急速充電」と、専用の200Vの外部充電器を用いる「普通充電,200V」と、家庭用コンセント等の100Vの一般電源を用いる「普通充電,100V」との各モードが設けられている。さらに、予めタイマーで充電スケジュールを設定して、設定したスケジュールに応じて充電を行なう「タイマー充電」を行えるようになっている。なお、「タイマー充電」については、「普通充電,100V」により行われる。
【0047】
エアコン装置12は室内の空調(冷房,暖房)のほかフロントガラスへの送風も行なう。また、予めタイマーでこれらの空調スケジュールを設定して、設定したスケジュールに応じて室内空調及びフロントガラスへの送風を行なう「タイマー空調」の作動モードが設けられている。エアコンECU23は、リアルタイムの空調制御と、タイマー空調制御とを行なうようになっている。
【0048】
したがって、空調モードとしては、室内空調に関する「空調待機中(冷房)」,「空調作動中(冷房)」,「空調待機中(暖房)」,「空調作動中(暖房)」の各モードと、フロントガラス送風に関する「空調待機中(フロントガラスへ送風)」,「空調作動中(フロントガラスへ送風)」の各モードとが設けられる。各空調待機中モードは空調スケジュールが設定されているが空調が開始されていない状態に相当する。
【0049】
電装品トータル制御ECU24は、リアデフォッガ14,ヘッドライトやポジションランプ等のランプ類15,ドアミラー16及びワイパーなどの電装品の作動を制御すると共に、これらの電装品の作動状況を把握する。
通信ECU4は、送受信アンテナ部41と、キースイッチがON又はSTARTの位置でイグニッション電源と接続するIG端子42と、バッテリ電源と常時接続する+B端子43と、アース接続される接地アース端子44と、高速CAN(CAN−C)と接続されるCAN接続端子45と、充電機能を一時的に待機させるための信号WUCIを出力する充電待機信号出力部46と、電気自動車のシステムを起動させるためのWakeUp信号WUCOを出力するシステム起動信号出力部47とを備えている。
【0050】
〔スマートフォン(モバイル通信機器)の表示画面〕
スマートフォン3には、本遠隔操作システムのアプリケーションソフトがダウンロードされており、このアプリケーションソフトを起動させると、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30の画面に、
図9に示すような画像が表示される。
ただし、このアプリケーションソフトを起動させると、不正アクセスを防止するための照合処理が行われ、この結果、認証された場合のみアプリケーションソフトを実行できるようになっている。アプリケーションソフトを起動させる際の処理については、後述する。
【0051】
図9に示すものは、ホーム画面の画像(以下、ホーム画面と言う)100であり、起動時に表示される。このホーム画面100には、上縁部領域に、画面タイトル表示(ホーム)101と更新ボタン(スイッチ)102と更新日時103とが表示され、また、下縁部領域には、ホームボタン111、タイマーボタン112、車両情報ボタン113、車両操作ボタン114、設定ボタン115の各モードを選択するモード選択ボタン(スイッチ)が表示される。
図9に示すホーム画面100は、起動時或いはホームボタン111のタッチ操作によって表示される。
【0052】
ホーム画面100のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、その上部に、充電状態表示120と空調状態130と、いますぐ充電設定ボタン123が表示され、その下部に、タイマー充電操作ボタン121及びタイマー充電設定状態122と、いますぐ空調設定ボタン131,タイマー空調操作ボタン132及びタイマー空調設定状態133とが表示される。
【0053】
充電状態表示120には、走行用バッテリ11Aの充電中であれば、充電中を示すマーク120Aが表示されると共に、この時の充電モード状態120B、つまり、「急速充電」,「普通充電,200V」,「普通充電,100V」のいずれが表示される。また、充電ガンが充電プラグに接続されているか否かの充電プラグの状態120Cも表示される。充電中であれば、充電プラグの状態120Cは接続状態となる。また、充電中でないが、予めタイマーで充電スケジュールを設定してあり、充電プラグの状態120Cが接続状態であれば、充電モード状態120Bには「充電待機中」と表示される。さらに、充電状態表示120には、充電率の模式的なグラフ表示120Dと、充電完了までの所要時間120Eと表示される。
【0054】
タイマー充電操作ボタン121は、タイマー充電の作動(オン),非作動(オフ)を設定するスイッチであり、タッチする度にオンとオフが反転する。また、スイッチをオン状態で点灯し(明るくなる)オフ状態で消灯する(暗くなる)、或いは、スイッチの色を変えるなどにより識別できるようにする。
急速空調設定ボタン131は、急速空調(今すぐ空調)の作動(オン),非作動(オフ)を設定するスイッチであり、タッチする度にオンとオフが反転する。また、スイッチをオン状態で点灯し(明るくなる)オフ状態で消灯する(暗くなる)、或いは、スイッチの色を変えるなどにより識別できるようにする。
【0055】
タイマー空調操作ボタン132は、タイマー空調の作動(オン),非作動(オフ)を設定するスイッチであり、タッチする度にオンとオフが反転する。また、スイッチをオン状態で点灯し(明るくなる)オフ状態で消灯する(暗くなる)、或いは、スイッチの色を変えるなどにより識別できるようにする。
タイマー充電操作ボタン121をオン操作してからタイマーボタン112をタッチ操作すると、
図10(a)に示すように、タイマー充電設定画面200が表示される。このタイマー充電設定画面200には、上縁部領域に、画面タイトル表示(タイマー充電設定)201と更新ボタン(スイッチ)202と戻るボタン(スイッチ)203とが表示され、また、下縁部領域には、タイマー設定ボタン211,送信ボタン212が表示される。
【0056】
タイマー充電設定画面200のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、その左半部に、設定した各曜日の充電スケジュール220が表示され、その右半部に、フル充電(満充電)を実施するか否かの選択スイッチ230が表示される。充電スケジュール220は予め設定された複数のスケジュール(ここでは、タイマー1,2,3の3種類)の何れか又はオフ(タイマー充電なし)を選択することができる。
【0057】
タイマー1,2,3のそれぞれの設定を変更するには、予め曜日を選択して、タイマー設定ボタン211をタッチ操作して、
図10(b)に示すように、タイマー設定画面221に表示を切り替える。タイマー設定画面221には、タイマー1,2,3の選択スイッチ222と、充電開始時間(時,分)及び充電終了時間(時,分)のスクロール画面223とが表示され、タイマー1,2,3のいずれかを選択操作して、充電開始時間或いは充電終了時間の時,分のスクロール画面を操作して時刻を設定する。スクロール画面223の下部にはこの時刻設定に連動して充電時間224が表示される。
【0058】
タイマー設定画面221の下縁部領域には、確定ボタン225が表示されており、確定ボタン225をタッチ操作すれば、
図10(a)に示すタイマー充電設定画面200に戻り、送信ボタン212をタッチ操作すれば、充電スケジュールの設定情報が車両の通信ECU4に送信される。この充電スケジュール設定情報は、通信ECU4から車載充電ECU22に送信され、車載充電ECU22のメモリに記憶され、車載充電ECU22はこのメモリに記憶された充電スケジュールに従って充電を実施する。
【0059】
また、いますぐ充電設定ボタン123は、走行用バッテリ11A又は補機バッテリ11Bをリアルタイムで充電を開始するためのスイッチであり、いますぐ充電設定ボタン123をタッチ操作すると、図示しない選択メニューが表示され、走行用バッテリ11Aを充電するのか、補機バッテリ11Bを充電するのかを選択するように案内し、選択したバッテリについてリアルタイム充電の開始を設定する。そして、図示しないが選択メニューと共に表示された確定ボタン及び送信ボタンのうち確定ボタンをタッチ操作し、操作を確定させた後、送信ボタンをタッチ操作すれば、基本的には、各バッテリ11A,11Bの充電が開始される。
【0060】
なお、各バッテリ11A,11Bの充電中には、車載充電ECU22は、各バッテリ11A,11Bの充電量(残存容量)を推定し、この推定によって各バッテリ11A,11Bが満充電になった場合には、充電を停止するようになっている。
同様に、タイマー空調操作ボタン132をオン操作してからタイマーボタン112をタッチ操作すると、
図11(a)に示すように、タイマー空調設定画面300が表示される。このタイマー空調設定画面300には、上縁部領域に、画面タイトル表示(タイマー空調設定)301と更新ボタン(スイッチ)302と戻るボタン(スイッチ)303とが表示され、また、下縁部領域には、タイマー設定ボタン311,送信ボタン312が表示される。
【0061】
タイマー空調設定画面300のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、その左半部に、設定した各曜日の空調スケジュール320が表示され、その右半部に、空調モード(暖房,冷房,デフ,オフ)330が表示される。この充電スケジュール320も予め設定された複数のスケジュール(ここでは、タイマー1,2,3の3種類)の何れか又はオフ(タイマー充電なし)を選択することができる。
【0062】
タイマー1,2,3のそれぞれの設定を変更するには、タイマー充電と同様に、予め曜日を選択して、タイマー設定ボタン311をタッチ操作して、
図11(b)に示すように、タイマー設定画面321に表示を切り替える。タイマー設定画面321には、タイマー1,2,3の選択スイッチ322と、エアコン開始時間(時,分)のスクロール画面323とが表示され、タイマー1,2,3のいずれかを選択操作して、充電開始時間の時,分のスクロール画面を操作して時刻を設定する。
【0063】
タイマー設定画面321の下縁部領域には、確定ボタン325が表示されており、確定ボタン325をタッチ操作すれば、
図11(a)に示すタイマー空調設定画面300に戻り、送信ボタン312をタッチ操作すれば、空調スケジュールの設定情報が車両の通信ECU4に送信される。この充電スケジュール設定情報は、通信ECU4からエアコンECU23に送信され、エアコンECU23のメモリに記憶され、エアコンECU23はこのメモリに記憶された充電スケジュールに従って空調を開始する。
【0064】
ホーム画面100において、車両情報ボタン113をタッチ操作すると、
図12に示す車両情報画面400が表示される。この車両情報画面400には、上縁部領域に、画面タイトル表示(車両情報)401と更新ボタン(スイッチ)402とが表示され、また、下縁部領域には、ホーム画面100と同様に、ホームボタン111、タイマーボタン112、車両情報ボタン113、車両操作ボタン114、設定ボタン115の各ボタン(スイッチ)が表示される。
【0065】
車両情報画面400のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、その上半部に、ランプ点灯、ドア開閉などの状態表示420が行われ、その下半部に、パワースイッチ(電源)17の状態(オンかオフかの状態表示430及び盗難警報の状態表示440が行われる。
車両操作ボタン114をタッチ操作すると、
図13に示す車両操作画面(パニックアラーム)500、或いは、
図14に示す車両操作画面(駐車位置確認)600、或いは、
図15に示す車両操作画面(ドアロック)700が表示される。
【0066】
パワースイッチの表示430は、オフ状態でタッチ操作すればパワースイッチ17をオフからオンに切り替える作動操作信号が車両側に送信され、オン状態でタッチ操作すればパワースイッチ17をオンからオフに切り替える作動操作信号が車両側に送信されるようになっている。したがって、パワースイッチ表示430は、パワースイッチ17を遠隔操作する機能(パワースイッチ操作手段)及びパワースイッチの状態を表示する機能(パワースイッチ状態表示手段)を有している。
【0067】
例えば、ホーム画面100や車両情報画面400において、車両操作ボタン114をタッチ操作すると、まず、
図13に示す車両操作画面(パニックアラーム)500が表示され、車両操作画面500において、車両操作ボタン114をタッチ操作すると、
図14に示す車両操作画面(駐車位置確認)600が表示され、車両操作画面600において、車両操作ボタン114をタッチ操作すると、
図15に示す車両操作画面(ドアロック)700が表示される。
【0068】
図13,
図14,
図15に示す車両操作画面500,600,700には、上縁部領域に、画面タイトル表示(パニックアラーム,駐車位置確認,ドアロック)501,601,701と更新ボタン(スイッチ)502,602,702とが表示され、また、下縁部領域には、ホーム画面100と同様に、ホームボタン111、タイマーボタン112、車両情報ボタン113、車両操作ボタン114、設定ボタン115の各ボタン(スイッチ)が表示される。
【0069】
車両操作画面500,600,700のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、スイッチ類(スライドスイッチ)及び状態表示アイコンが表示される。
車両周辺に警告をする際に使用するパニックアラームの車両操作画面500の場合、パニックアラームスイッチ511のスライド操作で、パニックアラームの作動及び停止を操作することができ、パニックアラームの作動及び停止はアイコン521の点灯(明るくなる)及び消灯(暗くなる)、或いは、色を変えるなどの表示と、文字表示とによって表示する。
【0070】
駐車位置確認の車両操作画面600の場合、ヘッドライト点灯スイッチ611のスライド操作で、ヘッドライトの点灯及び消灯を操作することができ、ポジションランプ点灯スイッチ612のスライド操作で、ポジションランプの点灯及び消灯を操作することができ、ホーン作動スイッチ613のスライド操作で、ホーンの吹鳴作動操作をすることができる。また、ヘッドライトの点灯及び消灯、ポジションランプの点灯及び消灯、ホーンの作動及び非作動は、アイコン621,622、623をオン状態で点灯し(明るくなる)オフ状態で消灯する(暗くなる)、或いは、スイッチの色を変えるなどの表示と、文字表示とによって表示する。
【0071】
ドアロックの車両操作画面700の場合、ドアロックスイッチ711のスライド操作により、車両側にドアロック信号(ドア施錠信号)を送信してドアのロックを操作することができ、ドアアンロックスイッチ712のスライド操作により、車両側にドアアンロック信号(ドア開錠信号)を送信してドアのアンロックを操作することができる。また、ドアのロック及びアンロックの状態と、盗難警報の状態(盗難警報解除、盗難警報セット、盗難警報作動中)とを、アイコン720,721,722の絵柄,表示色及び文字によって表示する。したがって、ドアロックスイッチ711及びドアアンロックスイッチ712はドア施錠開錠操作手段として機能し、アイコン720,721はドア状態表示手段として機能する。
【0072】
設定ボタン115をタッチ操作すると、
図16,
図17に示す設定画面800が表示される。この設定画面800には、上縁部領域に、画面タイトル表示(設定)801と更新ボタン(スイッチ)802とが表示され、また、下縁部領域には、ホーム画面100と同様に、ホームボタン111、タイマーボタン112、車両情報ボタン113、車両操作ボタン114、設定ボタン115の各ボタン(スイッチ)が表示される。
【0073】
設定画面800のこれらの上下縁部領域を除く中央領域には、設定項目が表示される。設定項目は、例えば、暗証番号入力省略、暗証番号変更、SSIDの変更、ANY接続、車台番号登録解除、車両設定、盗難警報履歴、車両ソフトウェアアップデート等があり、また、参照項目として、バージョン情報、登録スマートフォン数などがある。
図17に示す設定画面800は、
図16に示す設定画面800をスクロールしたものである。
【0074】
例えば、スマートフォン3等の固有のWi−Fiデバイスを車両の遠隔操作に使用する場合、Wi−Fiデバイスを車両の通信ECU4に登録する必要がある。この場合、車両の通信ECU4を登録可能状態にして、車両設定の項目をタッチ操作して車両設定モードにセットし、Wi−Fiデバイスを車両と接続し、Wi−FiデバイスにWi−Fiパスワードを入力して、通信ECU4に送信する。これにより、Wi−Fiデバイスが車両の通信ECU4に登録されて、スマートフォンアプリを立ち上げることで通信が可能になる。
【0075】
また、車両側の通信ECU4のソフトウェアをアップデートする場合、車両ソフトウェアアップデート項目をタッチ操作して、通信ECU4のソフトウェアをWi−Fi通信を介し、スマートフォンを使用して、アップデートすることができる。なお、車両のソフトウェアをアップデートする必要がある場合にソフトウェアアップデートをしないと、各機能が正常に作動しない可能性があるので、この場合には、ソフトウェアアップデートすることを勧めるワーニング画面をスマートフォンに表示するようになっている。
【0076】
〔特定の入力操作の表示画面〕
以下、特定の入力操作、つまり、Wi−Fiデバイスであるスマートフォン3を通信ECU4に登録する操作、及び、車両側の通信ECU4のソフトウェアである車両側プログラムをアップデートする操作を行なう際に、セキュリティ性の確保のために行なう、本システム特有の処理について説明する。
【0077】
まず、あるスマートフォン3を通信ECU4に登録する際には、上記のように車両設定の項目をタッチ操作して車両設定モードにセットする。この車両設定モードでは、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30の画面に、車両設定項目が表示される。この車両設定項目には、制御設定(電装品トータル制御ECU24による制御対象や制御内容の設定)、車両情報登録(車両の固有情報をスマートフォン3への登録)、機器登録(スマートフォン3の固有情報の通信ECU4への登録)等の項目が含まれる。
【0078】
ここで、車両情報登録の項目を選択すると、登録設定モードとなって、
図18に示すように、車両情報登録画面800Aが表示される。ここでは、車両1の車両識別番号(Vehicle Identification Number、VIN)を車両固有情報に適用している。車両情報登録画面800Aには、上縁部領域に、画面タイトル表示(車両情報登録)801Aと更新ボタン(スイッチ)802と戻るボタン(スイッチ)803とが表示され、また、下縁部領域には、確定ボタン825Aが表示される。上下縁部領域を除く中央領域には、その下部に、車両識別番号の各桁のスクロール画面823Aが表示され、その上部に、設定した車両識別番号欄820Aが表示される。この車両情報登録画面800Aの各スイッチ類等が登録操作手段30eとして機能する。ここで、各桁のスクロール画面823Aを操作して車両識別番号の各桁を設定する。設定結果は車両識別番号欄820Aに表示される。
【0079】
車両識別番号欄820Aの表示により設定番号を確認して、設定が正しければ、確定ボタン825Aを操作し、車両識別番号のスマートフォン3への登録が完了する。
この登録する車両識別番号は、各車両に固有の特定情報であり、特定の条件下でなくて知りえない情報なので、この車両識別番号をスマートフォン3へ登録する際には特にセキュリティを考慮しないこととする。
【0080】
また、機器登録の項目を選択すると、
図19に示すように、機器登録画面800Bが表示される。ここでは、登録しようとするスマートフォン3のマック・アドレス(Media Access Control address、MACアドレス)を固有情報(モバイル固有情報)に適用している。機器登録画面800Bには、上縁部領域に、画面タイトル表示(機器登録)801Bと更新ボタン(スイッチ)802と戻るボタン(スイッチ)803とが表示され、また、下縁部領域には、確定ボタン825Bが表示される。上下縁部領域を除く中央領域には、その下部に、マック・アドレスの各桁のスクロール画面823Bが表示され、その上部に、設定したマック・アドレス欄820Bが表示される。ここで、各桁のスクロール画面823Bを操作してマック・アドレスの各桁を設定する。設定結果はマック・アドレス欄820Bに表示される。
【0081】
マック・アドレス欄820Bの表示により設定アドレスを確認して、設定が正しければ、確定ボタン825Bを操作し、登録すべきマック・アドレスを確定する。
このマック・アドレス(モバイル固有情報)はスマートフォン3から通信ECU4へ送信して通信ECU4に登録するものなので、確定ボタン825Bを操作したら、
図20(a)に示す送信画面に移行する。ここで、送信画面に表示された送信ボタン812Bを操作すると、送信情報が通信ECU4へ送信される。
【0082】
マック・アドレス(モバイル固有情報)は各スマートフォン3に対応しており、スマートフォン3自体に登録されている情報として容易に取得することができる。このマック・アドレスの通信ECU4への登録を自由に行えるようにしてしまうと、他者が勝手に自分のスマートフォン3を登録できることになり、セキュリティ性を考慮しなくてはならない。そこで、本システムには、後述するようなセキュリティ性を確保する処理機能が設けられている。
【0083】
次に、特定の入力操作の一つである車両側の通信ECU4のソフトウェアをアップデートする処理を説明する。
前述のように、設定画面800に表示される設定項目には、車両ソフトウェアアップデートがある。この車両ソフトウェアアップデートの項目(アップデート操作手段としてのアップデートモード)を選択すると、車両ソフトウェアアップデート操作画面(図示せず)が表示され、例えば、Wi−Fi通信機能を使って通信ECU4をインターネットに接続し直接アップデートさせることや、Wi−Fi通信機能を使ってスマートフォン3をインターネットに接続しアップデートデータをダウンロードし、このアップデートデータをWi−Fi通信機能を使って通信ECU4に送信するなどして間接的にアップデートさせることができる。
【0084】
この車両ソフトウェアアップデートをスマートフォン3から通信ECU4へ送信して操作することができると利便性が高まる反面、誰にでも容易にアップデートを実施できるとこれが悪用され、適正な使用者の使用が妨害されるおそれもある。そこで、本システムには、後述するようなセキュリティ性を確保する処理機能が設けられている。
【0085】
〔特定の入力操作を行なう際のセキュリティ性確保のための処理〕
ここで、本システムに特有のセキュリティ性を確保する処理を説明する。特定の入力操作、ここでは、スマートフォン3のマック・アドレス(モバイル固有情報)の通信ECU4への登録、及び、車両ソフトウェアのアップデートの際には、予め設定された特定条件が満たされた場合だけ入力を許可するように構成されている。
【0086】
つまり、
図1に示すように、スマートフォン3の登録操作手段30eによるマック・アドレス(モバイル固有情報)の登録操作時は、スマートフォン3から通信ECU4へ登録情報を送信し、車両ソフトウェアのアップデート時には、スマートフォン3から通信ECU4へアップデート情報を送信する。
通信ECU4は、予め設定された特定条件が満たされた場合だけスマートフォン3による入力、つまり、スマートフォン3の登録操作や車両ソフトウェアのアップデート操作を許可する機能(許可手段)40cを有している。この許可手段40cは、スマートフォン3による入力操作時に、スマートフォン3に車両固有情報である車両識別番号VINの入力を指示する機能(指示手段)40dと、この指示手段40dによる指示に応答してスマートフォン3からの送信により入力された車両識別番号VINを通信ECU4に登録されている車両識別番号VINと照合する機能(入力時照合手段)40eと、この入力時照合手段40eによる照合が一致したら特定条件が満たされたとして入力操作を許可し、照合が一致しなかったら特定条件が満たされないとして入力操作を拒否する機能(判定手段)40fと、を有している。
【0087】
また、スマートフォン3の登録操作や車両ソフトウェアのアップデート操作が許可されない場合、つまり、これらの入力操作が拒否された場合には、これと同時に、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30に、例えば、「入力条件が満たされません」或いは「送信された車両識別番号が正しくありません」等のメッセージ表示が行なわれるようになっている。
【0088】
指示手段40dが車両識別番号VINの入力を指示すると、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30には、例えば
図20(b)に示すように、車両識別番号VINの入力画面(車両情報入力画面)800A´が表示される。この入力画面800A´には、上縁部領域に、画面タイトル表示(機器登録)801Bと更新ボタン(スイッチ)802と戻るボタン(スイッチ)803とが表示され、また、下縁部領域には、送信ボタン812Bと確定ボタン825Bとが表示される。上下縁部領域を除く中央領域には、その下部に、車両識別番号の各桁のスクロール画面823A´が表示され、その上部に、設定した車両識別番号欄820A´が表示される。ここで、各桁のスクロール画面823A´を操作して車両識別番号の各桁を設定する。設定結果は車両識別番号欄820A´に表示される。ここで、確定ボタン825Bを操作して車両識別番号を確定した後、送信ボタン812Bを操作すれば、スマートフォン3から通信ECU4へ車両識別番号情報が送信される。
【0089】
図3は、スマートフォン3のマック・アドレス(モバイル固有情報)を通信ECU4に登録する際の処理を示すフローチャートである。
図3のフローチャートは、通信ECU4を待機状態にすると、所定の周期で所定の周期で繰り返すものとする。
図3に示すように、まず、通信ECU4の側で、スマートフォン3の登録操作、つまり、スマートフォン3から通信ECU4へ登録情報の送信が行なわれたか否かが判定され(ステップA10)、登録操作が行われたら、フラグF1が0か否かを判定する(ステップA20)。フラグF1は、登録操作が行われたと判定されたら1とされ、他の場合には0とされる。
【0090】
フラグF1が0であれば、スマートフォン3に車両固有情報である車両識別番号VINの入力を指示し(ステップA30、指示ステップ)、フラグF1を1に切り替えて(ステップA40)、タイマーを起動する(ステップA50)。
次に、スマートフォン3から通信ECU4への車両識別番号VINの入力があったかを判定し(ステップA60)、入力がなければ、タイマーのカウント値Tが所定値T1以上であるかを判定する(ステップA80)。タイマーTのカウントは、スマートフォン3から通信ECU4への車両識別番号VINの入力送信を一定の期間(つまり、タイマー値Tが所定値T1未満)に限って受け入れるようにしている。
【0091】
一定の期間内(タイマー値Tが所定値T1未満)に車両識別番号VINの入力があれば、入力された車両識別番号VINを通信ECU4に登録されている車両識別番号VINと照合する(ステップA70、照合ステップ)。そして、照合ステップによる照合が一致したか否かを判定する(ステップA90、判定ステップ)。
この照合が一致したら、特定条件が満たされたとして登録操作を許可し(ステップA100、判定ステップ)、この照合が一致しなければ、特定条件が満たされないとして登録操作を拒否する(ステップA110、判定ステップ)。この場合、照合不一致によりスマートフォン3の登録操作が禁止された旨が表示される。
【0092】
判定ステップを終えた場合及び一定の期間内(タイマー値Tが所定値T1未満)に車両識別番号VINの入力がなかった場合、タイマーを0にリセットし、フラグF1を0にリセットして制御を終了する。
図4は、スマートフォン3のアップデート操作手段30fにより通信ECU4の車両ソフトウェアのアップデートを行なう際の処理を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、通信ECU4を待機状態にすると、所定の周期で所定の周期で繰り返すものとする。
【0093】
図4に示すように、まず、通信ECU4の側で、スマートフォン3による車両ソフトウェアのアップデートの操作が行なわれたか否かが判定され(ステップB10)、アップデート操作が行われたら、フラグF2が0か否かを判定する(ステップB20)。フラグF2は、アップデート操作が開始されたと判定されたら1とされ、他の場合には0とされる。
【0094】
フラグF2が0であれば、スマートフォン3に車両固有情報である車両識別番号VINの入力を指示し(ステップB30、指示ステップ)、フラグF2を1に切り替えて(ステップB40)、タイマーを起動する(ステップB50)。
次に、スマートフォン3から通信ECU4への車両識別番号VINの入力があったかを判定し(ステップB60)、入力がなければ、タイマーのカウント値Tが所定値T2以上であるかを判定する(ステップB80)。タイマーTのカウントは、スマートフォン3から通信ECU4への車両識別番号VINの入力送信を一定の期間(つまり、タイマー値Tが所定値T2未満)に限って受け入れるようにしている。
【0095】
一定の期間内(タイマー値Tが所定値T2未満)に車両識別番号VINの入力があれば、入力された車両識別番号VINを通信ECU4に登録されている車両識別番号VINと照合する(ステップB70、照合ステップ)。そして、照合ステップによる照合が一致したか否かを判定する(ステップB90、判定ステップ)。
この照合が一致したら、特定条件が満たされたとしてスマートフォン3によるアップデート操作を許可し(ステップB100、判定ステップ)、この照合が一致しなければ、特定条件が満たされないとしてスマートフォン3によるアップデート操作を拒否する(ステップA110、判定ステップ)。この場合、照合不一致によりスマートフォン3のアップデート登録操作が禁止された旨が表示される。
【0096】
判定ステップを終えた場合及び一定の期間内(タイマー値Tが所定値T2未満)に車両識別番号VINの入力がなかった場合、タイマーを0にリセットし、フラグF2を0にリセットして制御を終了する。
なお、スマートフォン3のアプリケーションソフトには、通信ECU4との通信時に、車両ソフトウェアのバージョンを取得して、スマートフォン3のアプリケーションソフトと車両ソフトウェアとのバージョンを比較する機能(比較手段)30gと、この比較により車両ソフトウェアのバージョンの方が古ければ、通信ECU4にその情報を送信し車両ソフトウェアのアップデートを案内する機能(操作案内手段)30hと、スマートフォン3のアプリケーションソフトのバージョンの方が古ければ、スマートフォン3にアプリケーションソフトのアップデートを案内する機能(操作案内手段)30hと、が設けられている。
【0097】
〔アプリケーション起動時の処理〕
本実施例にスマートフォン3にロードされたアプリケーションソフトを起動させる際には、不正アクセスを防止するための照合処理が行われるようになっている。
スマートフォン3には、本アプリケーションのアイコンを表示させてこれにタッチ操作することにより、本アプリケーションを起動させて実行できるようになっている(
アプリケーション実行手段)。本システムには、このアプリケーションの起動時に、通信ECU4とスマートフォン3との間で通信を実施し、それぞれの固有情報を授受して、通信ECU4及びスマートフォン3に、予め登録されている固有情報と通信により受信した固有情報とを照合する機能(起動時照合手段)と、この起動時照合手段により照合が一致した場合にはアプリケーションの実行を許可し、起動時照合手段により照合が一致しない場合にはアプリケーションの実行を禁止する機能(実行制御手段)30cとがソフトウェアとして備えられている。
【0098】
なお、スマートフォン3には、自身の固有情報であるマック・アドレス(モバイル固有情報)と共に車両の固有情報である車両識別番号VIN(車両固有情報)が登録されており、通信ECU4には、自身の固有情報である車両識別番号VIN(車両固有情報)と共にスマートフォン3の固有情報であるマック・アドレス(モバイル固有情報)が予め登録されている。
【0099】
起動時照合手段は、スマートフォン3による本アプリケーションの起動時に、スマートフォン3から通信ECU4に、スマートフォン3に登録されたマック・アドレス(モバイル固有情報)を送信する機能(第1送信手段)30aと、第1送信手段30aによって送信されたマック・アドレスを通信ECU4に登録されたマック・アドレスと比較して照合する機能(第1照合手段)40aと、に装備され、第1照合手段40aによる照合が一致したら、スマートフォン3に通信ECU4に登録された車両識別番号VIN(車両固有情報)を送信し、第1照合手段40aによる照合が一致しなかったら、スマートフォン3に照合不一致信号を送信する機能(第2送信手段)40bと、第2送信手段40bによって車両識別番号VINが送信された場合、この送信された車両識別番号VINをスマートフォン3に登録された車両識別番号VINと比較して照合する機能(第2照合手段)30bと、を備えている。
【0100】
第1送信手段30a及び第2照合手段30bは、スマートフォン3にロードされたソフトウェアとして装備され、第1照合手段40a及び第2送信手段40bは、通信ECU
4にロードされたソフトウェアとして装備されている。
また、実行制御手段30cは、第2照合手段30bによる照合が一致した場合には本アプリケーションの実行を許可し、第2照合手段30
bによる照合が一致しない場合又は第2送信手段40bによって照合不一致信号が送信された場合には本アプリケーションの実行を禁止する。
【0101】
実行制御手段30cは、本アプリケーションの実行を禁止すると、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30の画面に、その旨、例えば「認証不一致によりアプリケーションを実行できません」等のメッセージ表示を行ない、アプリケーションの実行は不可としてアプリケーションを終了させる。
図5は、アプリケーションの起動時の処理を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、スマートフォン3が起動されると、所定の周期で所定の周期で繰り返すものとする。
【0102】
図5に示すように、まず、スマートフォン3により本アプリケーションが起動されたか否かが判定され(ステップC10)、アプリケーションが起動されたら、スマートフォン3から通信ECU4に、スマートフォン3に登録されたマック・アドレス(モバイル固有情報)が送信される(ステップC20、第1送信ステップ)。スマートフォン3から通信ECU4にマック・アドレスが送信されたら、通信ECU4では、送信されたマック・アドレスを通信ECU4に登録されたマック・アドレスと比較して照合する(ステップC30、第1照合ステップ)。
【0103】
ここで、マック・アドレスの照合が一致したか否かを判定し(ステップC40)。この照合が一致すれば、通信ECU4からスマートフォン3に車両識別番号VINが送信される(ステップC50、第2送信ステップ)。スマートフォン3では、送信された車両識別番号VINをスマートフォン3に登録された車両識別番号VINと比較して照合する(ステップC60、第2照合ステップ)。
【0104】
ここで、車両識別番号VINの照合が一致したか否かを判定し(ステップC70)。この照合が一致すれば、本アプリケーションの実行を許可する(ステップC90)。
一方、通信ECU4におけるマック・アドレスの照合が一致しない場合には、通信ECU4からスマートフォン3に照合不一致信号が送信される(ステップC80)。
通信ECU4からスマートフォン3に照合不一致信号が送信された場合や、スマートフォン3において車両識別番号VINの照合が一致しない場合には、本アプリケーションの実行を禁止して(ステップC100)、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30の画面に、その旨、例えば「認証不一致によりアプリケーションを実行できません」等のメッセージ表示を行なう(ステップC110)。
【0105】
〔アプリケーション実行時の処理〕
車両ネットワーク2の各ECU21〜24等(車載
機器制御装置)には、車両固有情報である車両識別番号VINが予め登録されており、車両ネットワーク2の各ECU21〜24等には、
図2に示すように、通信ECU4と車両ネットワーク2の各ECU21〜24等との通信時に、車両固有情報としての車両識別番号VINを照合する機能(通信時照合手段)21a〜24aと、通信時照合手段21a〜24aにより照合が一致した場合には通信ECU4との通信を許可し、通信時照合手段21a〜24aにより照合が一致しない場合には通信ECU4との通信を禁止する機能(通信制御手段)21b〜24bとが、ソフトウェアとして備えられている。
【0106】
図6は、アプリケーションの実行時の処理を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、車両ネットワーク2の作動時に、所定の周期で所定の周期で繰り返すものとする。
図6に示すように、まず、車両ネットワーク2に通信ECU4から発信があったか否かが判定され(ステップD10)、発信があったら、車両ネットワーク2側の各ECU21〜24等では、通信ECU4に予め登録され通信ECU4からの発信時にデータに付加される車両固有情報としての車両識別番号VINを、自身に登録されている車両識別番号VINと比較して照合する(ステップD20、通信時照合ステップ)。
【0107】
ここで、車両識別番号VINの照合が一致したか否かを判定し(ステップD30、判定ステップ)。この照合が一致すれば、通信ECU4から車両ネットワーク2への通信を許可する(ステップD40、判定ステップ)。一方、車両識別番号VINの照合が一致しなければ、通信ECU4から車両ネットワーク2への通信を禁止して(ステップD50)、車両内のディスプレイ及びスマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30の画面に、その旨、例えば「認証不一致により車両内の通信を実行できません」等のメッセージ表示を行なう(ステップD60)。
【0108】
〔作用及び効果〕
本発明の一実施形態にかかる車載機器類の遠隔操作システムは、上述のように構成されているので、以下のような作用及び効果を得ることができる。
普及が広まっているスマートフォン3を利用して、車両から離れたところで、遠隔操作により車両の様々な車載機器類を操作したり監視や管理をしたりすることができる。例えば、車両1のキースイッチ17のオンオフ操作や、各ドアのロックアンロック機構19のロック操作及びアンロック操作や、走行用バッテリ11Aや補機バッテリ11Bの充電の開始,終了等の操作を遠隔操作により実施することができる。
【0109】
また、充電の開始や終了を事前にスケジュール設定しておき、これに従って充電を実施できるので、車両を規則的なタイミングで使用する場合の充電管理を容易に行うことができる。
また、この際、車載充電ECU22から送信された情報に基づいて走行用バッテリ11Aの充電状態をスマートフォン3のディスプレイ30に表示することができるので、特に、把握しておきたい走行用バッテリ11Aの充電状態(残存容量)を容易に確認することができる。
【0110】
さらに、スマートフォン3を利用して、車両から離れたところで、遠隔操作によりエアコン装置12の起動を実施することができるので、いわゆるプレ空調によって車室内に乗り込む時点で快適な空調状態を実現することができる。また、エアコン装置12の起動タイミングを事前にスケジュール設定しておき、これに従ってエアコン装置12の作動を実施できるので、車両を規則的なタイミングで使用する場合の空調管理を容易に行うことができる。
【0111】
また、この際にも、作動操作信号に応じたエアコン装置12の作動状態をスマートフォン3のディスプレイ30に表示することができるので、車両の空調状態を容易に確認することができる。
また、スマートフォン3と車両側の通信ECU4との通信に、Wi−Fi通信が用いられているが、Wi−Fi通信は、比較的通信速度が速く、比較的長い無線通信距離を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備をしないで通信ができ、ランニングコストも低く抑えることができる。このため、スマートフォン3等のWi−Fiデバイスを用いて、コスト増を抑えながら、ストレスのない速度でしかも比較的長い無線通信距離(例えば、200m程度)での車載機器類の遠隔操作を快適に行うことができる。また、ランニングコストも低く抑えることができる。
【0112】
そして、本システムの場合、スマートフォン3によって車両側の通信ECU4へ、スマートフォン3の固有情報の登録や車両側プログラムのアップデートといった、特定の入力操作を行なう際には、予め設定された特定条件が満たされた場合だけこの入力が許可されるので、他者が車両側の装置に不正にアクセスして車載機器類の遠隔操作を行なうことや、適正な使用者の使用に対する妨害を防止することができる。
【0113】
特に、かかる入力の許可について、車両の固有情報(本実施形態の場合、車両識別番号VIN)をスマートフォン3から入力し、これに応答して車両固有情報を照合し、照合が一致したら特定条件が満たされたとして入力操作を許可し、照合が一致しなかったら特定条件が満たされないとして入力操作を拒否するので、通常は他者が知りえない車両固有情報がアクセスキーになり、他者による不正なアクセスを確実に防止することができる。
【0114】
また、特定の入力操作が許可されない場合に、スマートフォン3にその旨が表示されるので、操作者が入力条件のための操作、つまり、車両固有情報の入力を誤った場合にそれに気づきやすくいなり、適切な対応を行ない易い。
特に、本システムの場合、入力操作をスマートフォン3によって行なえるので、利便性を向上させることができる。
【0115】
また、特定の入力操作が、スマートフォン3の固有情報であるモバイル固有情報(本実施形態の場合、マック・アドレス)を通信ECU4に登録する操作である場合、この登録操作は、車両固有情報を入力するなど特定条件が満たされなければ行なえないので、適正な操作者のみがモバイル固有情報を車両側の通信ECU4に登録することが可能になる。
そして、車両の遠隔操作を車両側の通信ECU4に予め固有情報を登録されたスマートフォン3に限って行なえるようにすることにより、適正なスマートフォン3のみが遠隔操作を行なえるようになり、他者が車両側の装置に不正にアクセスすることが防止される。
【0116】
また、特定の入力操作が、車両側プログラムをアップデートする操作であれば、このアップデート操作も、車両固有情報を入力するなど特定条件が満たされなければ行なえないので、適正な操作者のみが車両側プログラムをアップデートすることが可能になる。したがって、他者が車両側プログラムを不正に操作することが防止される。
また、本システムでは、スマートフォン3において、通信ECU4等にダウンロードされている車両側プログラムとスマートフォン3にダウンロードされているアプリケーションプログラムとのバージョンを比較し、車両側プログラムのバージョンの方が古ければアップデート操作を案内するので、車両側プログラムのバージョンアップを忘れることなく実施することができる。また、スマートフォン3のアプリケーションソフトのバージョンの方が古ければ、スマートフォン3にアプリケーションソフトのアップデートを案内するので、スマートフォン3のアプリケーションソフトのバージョンアップを忘れることなく実施することができる。
【0117】
また、スマートフォン3による車両の遠隔操作を行うための本アプリケーションの起動時に、スマートフォン3と車両側の通信ECU4との間で通信を実施し、予め登録された固有情報と通信により受信した固有情報とを照合し、照合が一致した場合にはアプリケーションの実行を許可し、照合が一致しない場合にはアプリケーションの実行を禁止するので、アプリケーションの不正使用を防止することができる。
【0118】
本システムの場合、この照合処理を、スマートフォン3に登録されたモバイル固有情報(本実施形態の場合、マック・アドレス)をスマートフォン3から車両側の通信ECU4に送信し、通信ECU4において、送信されたモバイル固有情報を通信ECU4に登録されたモバイル固有情報と比較して照合し、この照合が一致したら、スマートフォン3に通信ECU4に登録された車両固有情報(本実施形態の場合、車両識別番号VIN)を送信し、スマートフォン3において、送信された車両固有情報をスマートフォン3に登録された車両固有情報と比較して照合し、この照合が一致した場合にはじめてアプリケーションの実行を許可するので、ダブルチェックの照合となり、これによりセキュリティ性が一層強まる。
【0119】
車両側通信ECU4における照合が一致しない場合や、スマートフォン3における照合が一致しない場合には、アプリケーションの実行を禁止すると共に、スマートフォン3にその旨を表示するので、適正な使用者が誤って機器を操作した場合に、これを把握することができる。
さらに、車両側において通信ECU4と車両ネットワーク2の各ECU21〜24等(車載
機器制御装置)との通信時に、各ECU21〜24等が、自身に登録された車両固有情報(本実施形態の場合、車両識別番号VIN)と通信ECU4との通信により受信した車両固有情報とを照合し、この照合が一致した場合に通信ECU4との通信を許可し、照合が一致しない場合には通信ECU4との通信を禁止するので、例えば、通信ECU4が不正に交換された場合において、不正な通信ECU4から各ECU21〜24等へのアクセスが防止され、セキュリティ性を確保することができる。
【0120】
照合の不一致により通信ECU4との通信を禁止する場合、車両に装備された表示手段にその旨を表示すれば、操作者が状況を把握しやすくなり、適切な対応を行ない易い。
スマートフォン3によって、車両1のドア施錠信号又はドア解錠信号を出力して遠隔操作によりドアのロックアンロック機構19を作動させてドアの施錠,解錠を行なえるので、利便性が高まり、また、スマートフォン3にドア施錠解錠状態を表示するので、車両に接近しなくてもドアの施錠解錠状態を確認することができ、ドアの施錠,解錠を操作する上でも、利便性が高まる。しかし、一方、このような遠隔操作が可能になると、セキュリティ性の不安が高まるが、上記のように、セキュリティ性が確保されているので、こうした不安を解消することができる。
【0121】
さらに、スマートフォン3によって、パワースイッチ17の作動操作信号を出力して遠隔操作によりパワースイッチ駆動機構を作動させてパワースイッチをオンオフ操作できるので、利便性が高まり、また、モバイル通信機器にパワースイッチの状態を表示するので、車両に接近しなくてもパワースイッチの状態を確認することができ、パワースイッチの操作を行なう上でも、利便性が高まる。一方、このような遠隔操作が可能になると、セキュリティ性の不安が高まるが、上記のように、セキュリティ性が確保されているので、こうした不安を解消することができる。
【0122】
また、車両固有情報には、車両識別番号VINを適用し、モバイル固有情報には、マック・アドレスを適用しているので、各固有情報の登録を円滑に実施でき、しかも、セキュリティ性を確保しやすい。
〔その他〕
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、かかる実施形態を適宜変更して実施することができる。
【0123】
例えば、Wi−Fiデバイスであるスマートフォン3を通信ECU4に登録する操作や、車両側の通信ECU4のソフトウェアである車両側プログラムをアップデートする操作といった、特定の入力操作を行なう際に、セキュリティ性の確保のために、予め設定された特定条件が満たされた場合だけ入力を許可するように構成されており、上記の実施形態では、特定条件として車両固有情報である車両識別番号VINを用いているが、車両固有情報としてはこれに限定されない。
【0124】
また、上記の実施形態では、車両固有情報の照合が一致したことを特定条件が満たされたとしているが、特定条件はセキュリティ性の確保のためのものであり、当事者以外に知りえない情報で確認をするなど、車両固有情報の照合に限定されるものではない。
同様に、スマートフォン3による本アプリケーションの起動時にも、車両固有情報及びモバイル固有情報を照合し、何れの照合も一致したら、本アプリケーションの実行を許可しており、車両固有情報には車両識別番号VINを、モバイル固有情報にはマック・アドレスを適用しているが、この場合の車両固有情報やモバイル固有情報もこれらに限定されるものではない。
【0125】
また、スマートフォン3による本アプリケーションの起動時に、車両固有情報の照合及びモバイル固有情報の照合の何れか一方のみを実施して判定しても良く、ダブルチェックでない分だけセキュリティ性は低下するが、シンプルなロジックで一定のセキュリティ性を確保することができる。
同様に、車両ネットワーク2の各ECU21〜24等(車載
機器制御装置)において、通信ECU4との通信時に、車両固有情報としての車両識別番号VINを照合して照合が一致した場合だけ通信ECU4の通信を許可しているが、この場合の車両固有情報もこれに限定されるものではない。
【0126】
また、上記の実施形態では、無線LAN通信としてWi−Fi通信を利用する例を説明したが、利用しうる通信規格はこれに限らず、他の無線LAN通信や、無線通信を用いることもできる。もちろん、Wi−Fi通信のように、通信速度が速く、比較的長い無線通信距離を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備が不要であり、ランニングコストも低く抑えることができるものが好ましい。
【0127】
このような特性を有する通信規格の場合、Wi−Fi通信のように、車両側の無線通信機器の待機電流が大きくなってしまう場合が考えられ、この場合、本発明のように、特定の時間帯のみ受信待機状態とするようにして、車両のバッテリ消費を抑えることが有効になる。
また、各タイマー設定は、モバイル通信機器ではなく、車載の操作機器によって行うものであっても良い。