特許第6060650号(P6060650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6060650会計装置、POSシステム及び会計プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060650
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】会計装置、POSシステム及び会計プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20170106BHJP
【FI】
   G07G1/12 331Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-259728(P2012-259728)
(22)【出願日】2012年11月28日
(65)【公開番号】特開2014-106771(P2014-106771A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年7月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 文克
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 圭一郎
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−003561(JP,A)
【文献】 特開2007−072803(JP,A)
【文献】 特開2012−084115(JP,A)
【文献】 特開平03−078898(JP,A)
【文献】 特開2008−140261(JP,A)
【文献】 特開平05−182078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00 − 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の取引データを店員が登録するための操作を受け付ける商品登録装置と、前記商品登録装置で登録された前記商品の取引データに基づいて客が会計処理を行うための操作を受け付ける複数の会計装置とを有するPOSシステムの前記会計装置であって、
前記商品登録装置によって自装置が指定された場合、一取引の完了を宣言するための操作がなされたか否かを判定する判定手段と、
実行中の取引の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を報知する報知手段と
を有し、
前記報知手段は、前記完了を宣言するための操作が所定時間内になされていないと前記判定手段により判定され、且つ、代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある場合、前記実行中の取引の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を知する
ことを特徴とする会計装置。
【請求項2】
前記報知手段は、発光部を有するサインポールであって、
前記サインポールは、前記発光部を点灯又は点滅させることにより、前記実行中の取引の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の会計装置。
【請求項3】
前記サインポールは、前記実行中の取引の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を報知した後、前記取引を終了させ新たな取引を実行可能とさせる場合に、前記サインポールを点灯又は点滅させることにより、前記新たな取引が実行可能であることを報知することを特徴とする請求項2に記載の会計装置。
【請求項4】
前記報知手段は、前記商品登録装置の表示部にアラートを表示することにより、前記実行中の取引の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を報知することを特徴とする請求項1に記載の会計装置。
【請求項5】
商品の取引データを店員が登録するための操作を受け付ける商品登録装置と、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の会計装置と、
を備えるPOSシステム。
【請求項6】
商品の取引データを店員が登録するための操作を受け付ける商品登録装置と、前記商品登録装置で登録された前記商品の取引データに基づいて客が会計処理を行うための操作を受け付ける複数の会計装置とを有するPOSシステムの前記会計装置のコンピュータに、
前記商品登録装置によって自装置が指定された場合、一取引の完了を宣言するための操作がなされたか否かを判定する手順と、
前記完了を宣言するための操作が所定時間内になされていないと判定され、且つ、代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある場合、実行中の取引の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を報知する手順と
を実行させるための会計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会計装置POSシステム及び会計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現金決済又はクレジット決済などの代金決済を特定するコマンドを外部装置から受信した場合、そのコマンドに基づいて代金決済を実行し、会計レシートを発行するレシート発行装置(会計装置)が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−44675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、客自身に操作されることにより購入商品の代金決済を実行する会計装置は、現金決済のための現金が投入された場合、又は、クレジット決済が完了した場合、客による所定の操作によりレシートを発行して一連の代金決済処理を完了させ、次の客の購入商品の代金決済のための初期画面を表示する。
【0005】
しかしながら、レシートが不要であるなどの理由により、前記所定の操作をせずに退店する客も存在する。前記所定の操作をせずに客が退店した場合、その客に対するレシート発行までの一連の代金決済処理が完了していないので、代金決済を行うための初期画面は、まだ表示されていない。このため、会計装置は、次に代金決済を行う他の客が、自身の購入商品の代金決済を開始することができない、という問題がある。また、会計装置は、当該他の客が、前記所定の操作をせずに退店した客に払い出される釣銭を受け取ってしまう可能性がある、という問題がある。また、会計装置は、当該他の客が、前記所定の操作をせずに退店した客に対して発行されるクレジット決済の控えを受け取ってしまう可能性がある、という問題がある。
【0006】
本発明は、前記の諸点に鑑みてなされたものであり、客自身に操作されることにより代金決済などの取引を実行する場合、次の客の購入商品の取引を円滑に実行することができる会計装置POSシステム及び会計プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、一取引の完了を宣言するための操作がなされたか否かを判定する判定手段と、前記操作が所定時間内になされていないと前記判定手段により判定され、且つ、前記実行中の取引を強制終了させることが可能である場合、前記実行中の取引を強制終了させ、新たな取引を実行する制御手段と、を備えることを特徴とする会計装置である。
【0008】
この構成により、制御手段は、前記操作が所定時間内になされていないと前記判定手段により判定され、且つ、前記実行中の取引を強制終了させることが可能である場合、前記実行中の取引を強制終了させ、新たな取引を実行する。これにより、会計装置は、客自身に操作されることにより代金決済などの取引を実行する場合、次の客の購入商品の取引を円滑に実行することができる。また、会計装置は、前記所定の操作をせずに退店した客に払い出される釣銭を他の客が受け取ってしまうことを防ぐことができる。また、客自身は、店員を呼び出す必要がない。
【0009】
また、本発明の一態様は、前記取引における代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す釣銭釣札機を備え、前記判定手段が、前記操作が所定時間内になされていないと判定した場合、前記代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を前記釣銭釣札機から払い出す必要があるか否かを判定し、前記制御手段が、前記代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を前記釣銭釣札機から払い出す必要がある場合、前記釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出すための情報を含む取引情報を、記憶手段に記憶させることを特徴とする会計装置である。
【0010】
この構成により、制御手段は、前記代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を前記釣銭釣札機から払い出す必要がある場合、前記釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出すための情報を含む取引情報を、記憶手段に記憶させる。これにより、会計装置は、客自身に操作されることにより代金決済などの取引を実行する場合、次の客の購入商品の取引を円滑に実行することができる。また、店員は、払い出すべき釣銭及び釣札を、当該釣銭及び釣札を手渡されるべき客に、記憶手段に記憶されている取引情報に基づいて、後で手渡すことができる。
【0011】
また、本発明の一態様は、クレジット決済の控えを発行する発行手段を備え、前記制御手段が、前記操作が前記所定時間内になされた場合、前記クレジット決済の控えを前記発行手段から発行させることを特徴とする会計装置である。
これにより、完了ボタンを操作せずに退店した客に対して発行されるクレジット決済の控えを、他の客が受け取ってしまうことを防ぐことができる。
【0012】
また、本発明の一態様は、前記実行中の取引を強制終了させる旨を報知する報知手段を備え、前記制御手段が、前記実行中の取引を強制終了させる旨を、前記報知手段から報知させることを特徴とする会計装置である。
これにより、報知により呼び出された店員は、客への対応を速やかに行うことができる。
【0013】
また、本発明の一態様は、客の購入商品に付されたコード情報に基づいて、前記購入商品を登録する商品登録手段と、会計装置と、を備えるPOSシステムである。
【0014】
これにより、POSシステムは、客自身に操作されることにより代金決済などの取引を実行する場合、次の客の購入商品の取引を円滑に実行することができる。また、POSシステムは、完了ボタンを操作せずに退店した客に払い出される釣銭を他の客が受け取ってしまうことを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御手段は、実行中の取引を強制終了させることが可能であると判定された場合、実行中の取引を強制終了させ、新たな取引を実行する。これにより、会計装置及びPOSシステムは、客自身に操作されることにより代金決済などの取引を実行する場合、次の客の購入商品の取引を円滑に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における、POSシステムにおける会計処置の流れを示すイメージ図である。
図2】本発明の一実施形態における、POSシステムの構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態における、印刷用POSレジスタの構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態における、会計用POSレジスタの外観例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態における、会計用POSレジスタの構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態における、代金決済の初期画面の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における、代金決済の完了画面の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態における、会計用POSレジスタにおける動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。図1は、POSシステムにおける会計処置の流れを示すイメージ図である。まず、印刷用POSレジスタ20(商品登録装置)は、客が購入する商品に付されたバーコードを、店員の操作によりスキャンして商品登録する。
【0018】
客が購入する全ての商品のバーコードについて商品登録が完了した場合、印刷用POSレジスタ20は、精算用レシート40(印刷媒体)に精算用コードを印刷し、精算用コードが印刷された精算用レシート40を発行する。ここで、精算用コードは、客が購入する全ての商品の買上金額を精算(代金決済)する際に読み取られるコードであって、客が購入する商品を示す取引データを特定するためのコードである。
【0019】
精算用レシート40を受け取った客は、精算用レシート40に印刷された精算用コードを、会計用POSレジスタ30(会計装置)が備えるスキャナ部に読み取らせる。また、その客は、会計用POSレジスタ30の表示部に表示された操作ボタンを操作し、購入商品の代金を支払うことで代金決済を行う。
【0020】
次に、POSシステムの構成例について説明する。
図2は、POSシステムの構成例を示すブロック図である。POSシステムは、ストアコントローラ10と、N台(Nは、1以上の整数)の印刷用POSレジスタ20と、M台(Mは、1以上の整数)の会計用POSレジスタ30とを備える。
【0021】
ストアコントローラ10は、POSシステムを制御するコンピュータであり、商品マスタなどの種々の情報を管理する。ストアコントローラ10は、各印刷用POSレジスタ20及び各会計用POSレジスタ30に、最新の商品マスタを適宜送信する。ここで、商品マスタとは、各商品の商品識別情報、商品名称、及び販売価格などの商品情報を格納したファイルであって、適宜更新されるファイルである。
【0022】
また、ストアコントローラ10は、客の取引データと、当該取引データを識別するための識別情報とを、印刷用POSレジスタ20から受信し、受信した取引データと、識別情報とを対応付けて記憶する。ここで、取引データとは、客の買上内容等、客との取引に関するデータである。また、ストアコントローラ10は、取引データの識別情報を会計用POSレジスタ30から受信し、受信した識別情報に対応する取引データを、会計用POSレジスタ30に返信する。
【0023】
印刷用POSレジスタ20には、客が購入する商品に付されたバーコード(コード情報)を店員の操作により読み取るためのスキャナ部が接続されている。印刷用POSレジスタ20は、客が購入する商品に付されたバーコードに基づいて、客が購入する商品の全ての買上内容(取引データ)を精算用コード(例えば、2次元コード)に変換し、変換した精算用コードを精算用レシート40に印刷する。
【0024】
印刷用POSレジスタ20は、客が購入する商品の全ての買上内容を示す情報(取引データ)と、当該取引データの識別情報とを、ストアコントローラ10に送信してもよい。この場合、印刷用POSレジスタ20は、取引データの識別情報を示すバーコードを、精算用レシート40に印刷する。
【0025】
例えば、客は、代金決済処理を実行させる会計用POSレジスタ30を、印刷用POSレジスタ20を介して指定してもよい。客は、指定した会計用POSレジスタ30に対して、取引データを印刷用POSレジスタ20から送信させ、当該指定した会計用POSレジスタ30を操作することにより代金決済してもよい。
【0026】
会計用POSレジスタ30には、精算用レシート40に印刷された精算用コードを読み取るためのスキャナ部が接続されている。会計用POSレジスタ30は、客自身に操作され、精算用レシート40に印刷された精算用コードに基づいて、代金決済処理を実行する。すなわち、会計用POSレジスタ30は、客の操作により、精算用レシート40に印刷された精算用コードをスキャナで読み取り、さらに、操作ボタンを介した操作入力に応じて、代金決済(商品の買上金額の精算)処理を実行する。
【0027】
図3は、印刷用POSレジスタの構成例を示すブロック図である。印刷用POSレジスタ20は、CPU(Central Processing Unit)201と、ROM202と、RAM203と、スキャナ部204と、表示部(店員用)205と、表示部(客用)205aと、操作部206と、通信部207と、ブザー208と、レシート印刷手段209と、ハードディスク210とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。
【0028】
ROM202は、読み出し専用メモリであり、プログラムを予め記憶する。
CPU201は、中央演算処理装置であり、ROM202に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、印刷用POSレジスタ20の動作を制御する。
【0029】
スキャナ部204は、商品に付されているバーコード(商品コード)を光学的に読み取る。
RAM203は、随時読み出し書き込みメモリであり、種々の情報を記憶する。例えば、RAM203は、スキャナ部204によって読み取られたバーコードに基づく商品情報などを記憶する。また、例えば、RAM203は、操作ボタンが操作された履歴を記憶してもよい。
【0030】
表示部(店員用)205及び表示部(客用)205aは、種々の情報を表示する。例えば、表示部(店員用)205及び表示部(客用)205aは、商品マスタから取得した情報(例えば、商品の名称、価格等)を表示する。また、表示部(店員用)205は、タッチパネル(例えば、液晶タッチパネル)であり、店員に対する種々の情報を表示する。さらに、表示部(店員用)205は、画面内の領域に表示された操作ボタン(プリセットボタン)が操作されることにより、予め設定登録された商品情報(商品コード等)について、操作入力を受け付ける。
【0031】
操作部206は、印刷用POSレジスタ20を動作させるための各種の操作ボタン(分割ボタン、小計キー、現計キー、置数キー、訂正キー、品券キー及びプリセットキー等)を備える。例えば、操作部206は、分割ボタンが操作されることにより、商品の分割登録についての操作入力を受け付ける。分割ボタンは、登録された商品を複数のグループに分割する分割手段である。また、操作部206は、操作ボタン(プリセットキー)が操作されることにより、そのプリセットキーに予め設定登録されている商品情報(商品コード等)について、操作入力を受け付ける。
【0032】
通信部207は、LAN11を介して、他の装置と通信する。なお、例えば、CD−ROMなどの記憶媒体を介してRAM203に最新の商品マスタを記憶させるなどすれば、通信部207は、ストアコントローラ10に必ずしも接続されていなくてよい。
ブザー208は、店員が操作を確認することが必要な場合などに、ブザー音を発生させる。
【0033】
レシート印刷手段209は、精算用コードを精算用レシート40に印刷する。
ハードディスク210は、精算用コードが精算用レシート40に印刷された場合、RAM203が一時的に記憶する客の買上内容及び順番情報を記憶する。
【0034】
図4は、会計用POSレジスタの外観例を示す図である。また、図5は、会計用POSレジスタの構成例を示すブロック図である。
会計用POSレジスタ30は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、スキャナ部304と、表示部305と、操作部306と、通信部307と、ブザー308と、印刷部309と、決済端末310〜312と、サインポール313とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能である。
【0035】
スキャナ部304は、印刷用POSレジスタ20により精算用レシート40に印刷された精算用コード(2次元コード又はバーコード)、又は、商品に付されているバーコード(商品コード)を、光学的に読み取る。
【0036】
RAM303(記憶手段)は、種々の情報を記憶する、随時読み出し書き込みメモリである。例えば、RAM303は、ヘッダ部分に印刷するための複数のレシートヘッダ情報を、印刷する内容それぞれに対応付けて記憶する。また、RAM303は、ストアコントローラ10から取得した商品マスタ、及びスキャナ部304によって読み取られた精算用コードによって特定される取引データなどを記憶する。
【0037】
決済端末310(釣銭釣札機)は、会計(商品の買上金額の精算)において、現金により代金決済などの取引を実行し、該取引を実行した結果(例えば、代金決済が完了可能であるか否かを示す情報)を、バスを介してCPU301に出力する。また、決済端末310は、CPU301による制御に応じて、代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す。
【0038】
決済端末311は、会計において、クレジットにより代金決済を実行し、代金決済を実行した結果を、ポート及びバスを介してCPU301に出力する。
決済端末312は、会計において、電子マネーにより代金決済を実行し、代金決済を実行した結果を、バスを介してCPU301に出力する。
【0039】
ROM302は、プログラムを記憶している読み出し専用メモリである。
CPU301は、中央演算処理装置であり、ROM302に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、会計用POSレジスタ30の動作を制御する。
【0040】
CPU301は、代金決済などの取引の完了を宣言するための操作がなされたか否かを判定する。ここで、取引の完了を宣言するための操作とは、例えば、表示部305に表示された完了ボタン(図7を用いて後述する)に対する押下操作である。
【0041】
CPU301は、現金による代金決済などの取引の完了を宣言するための操作が所定時間内になされない場合、実行中の取引を強制終了させることが可能か否かを判定する。ここで、所定時間内とは、取引が完了可能となった時(例えば、投入された現金の合計金額が、支払い金額よりも多くなった時)から、例えば、40[秒]以内である。
【0042】
例えば、CPU301は、現金による代金決済などの取引の完了を宣言するための操作が前記所定時間内になされない場合、且つ、実行中の取引を強制終了させることが可能である場合、実行中の取引を強制終了させ、新たな取引(例えば、代金決済の初期画面を表示させる処理)を実行する。
【0043】
一方、CPU301は、現金による代金決済などの取引の完了を宣言するための操作が前記所定時間内になされない場合、且つ、代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある場合、実行中の取引を強制終了させることが可能でないと判定する。この場合、CPU301は、釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を、店員に対して報知手段から報知させる。また、CPU301は、「しばらく、お待ちください」等の案内文を表示部305に表示させると共に、店員を呼び出すための報知を報知手段に実行させる。ここで、報知手段とは、例えば、発光部を点灯又は点滅させるサインポール313、アテンダント端末(不図示)若しくは印刷用POSレジスタ20の表示部205にアラートを表示させるCPU301及び通信部307、又は、店員が携帯する携帯端末(不図示)に報知するCPU301及び通信部307である。
【0044】
これら報知手段による報知により、店員は、実行中の取引を強制終了させることが可能でないと判定した会計用POSレジスタ30の設置場所まで行き、従業員カード(例えば、バーコード、RFID)をスキャナ部304にかざし、所定のパスワードを操作部306から操作入力することにより、実行中の取引を強制終了させる。
【0045】
また、CPU301は、取引を強制終了させても釣銭及び釣札を払い出さずに、その払い出す合計金額(お釣り)を、取引番号、取引日時、及び取引明細情報に対応付けて、RAM302に記憶させる。また、CPU301は、RAM302に記憶させた情報を、店員による後からの指示に基づいて、レシートに印刷して発行してもよい。
また、CPU301は、完了ボタン(図7を用いて後述する)を押下しなかった客が次回来店した際にその客を識別できるように、客を撮像した画像データ等を、取引番号、取引日時、及び取引明細情報に対応付けて、RAM302に記憶させてもよい。
【0046】
また、CPU301は、完了ボタンを押下しなかった客が、会員カードの会員番号をスキャナ部304に読み取らせていた場合、その客の会員番号を取引番号、取引日時、及び取引明細情報に対応付けて、RAM302に記憶させてもよい。
また、CPU301は、釣銭及び釣札の合計金額に応じたポイント数を、釣銭及び釣札の合計金額に応じた額面の金券又は割引券を発行するための情報として、取引日時、及び取引明細情報に対応付けて、RAM302に記憶させてもよい。
【0047】
CPU301は、クレジットによる代金決済などの取引の完了を宣言するための操作が前記所定時間内になされた場合、クレジット決済の控えを印刷部309から発行させる。
【0048】
操作部306は、会計用POSレジスタ30を動作させるための各種の操作ボタン(訂正キー及びプリセットキー等)を備える。例えば、操作部306は、操作ボタン(訂正キー)が操作されることにより、操作入力の訂正を受け付ける。
通信部307は、LAN11を介して、他の装置と通信する。通信部307は、例えば、最新の商品マスタをストアコントローラ10から取得する。
【0049】
ブザー308は、エラー等が発生した場合、エラーを報知するブザー音を発生させる。
印刷部309は、代金決済(商品の買上金額の精算)などの取引の完了を宣言するための操作がされた場合、客が持ち帰る会計済みレシートを印刷して発行する。また、印刷部309は、クレジットによる代金決済などの取引が実行された場合、クレジット決済の控えを印刷して発行してもよい。
【0050】
サインポール313は、釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す必要がある旨を、CPU301による制御に基づいて発光部が点灯又は点滅することにより報知する。また、サインポール313は、実行中の取引を強制終了させる旨を、CPU301による制御に基づいて発光部が点灯又は点滅することにより報知する。また、サインポール313は、会計用POSレジスタ30が操作可能である旨を、CPU301による制御に基づいて発光部が点灯又は点滅することにより報知してもよい。
【0051】
表示部305は、CPU301による制御に基づいて、種々の情報を画面に表示する。また、表示部305は、画面に表示した操作ボタンに対する操作入力に応じて、その操作入力に応じた信号を、CPU301に出力する。
【0052】
図6は、代金決済の初期画面の例を示す図である。CPU301は、代金決済が実行可能である場合、代金決済の初期画面を表示部305に表示させる。代金決済の初期画面には、例えば、現金の投入を客に促すためのメッセージと、支払い金額と、預り金額とが表示される。客は、購入商品の代金決済を、代金決済の初期画面を見ながら進める。
【0053】
図7は、代金決済の完了画面の例を示す図である。CPU301は、代金決済が実行され、その代金決済が完了可能である場合、次の取引のための代金決済の初期画面を、表示部305に表示させる。CPU301は、例えば、預り金額が支払い金額以上である場合、代金決済が完了可能であると判定する。
【0054】
代金決済の完了画面には、例えば、購入商品の代金決済の完了を宣言させるためのメッセージと、支払い金額と、預り金額と、代金決済の完了を宣言するための操作ボタンとしての完了ボタン(おわりボタン)と、レシートを発行させるための操作ボタンとしての領収書ボタンとが表示される。客は、代金決済の完了画面を操作(完了ボタンを押下操作)することにより、購入商品の代金決済の完了を宣言する。
【0055】
次に、会計装置の動作手順の例を説明する。
図8は、会計用POSレジスタ(会計装置)の動作手順の例を示すフローチャートである。
(ステップS1)会計用POSレジスタ30のCPU301(図5を参照)は、印字用POSレジスタ20により登録された商品を示す情報(取引データ)を、通信部307(図5を参照)を介して、ストアコントローラ10から読み出す。
(ステップS2)CPU301は、登録された商品の代金決済を実行する。
【0056】
(ステップS3)CPU301は、代金決済が完了可能であるか否か(例えば、預り金額が、支払い金額以上であるか否か)を判定する。代金決済が完了可能でない場合(ステップS3:No)、CPU301は、ステップS2に処理を戻す。一方、代金決済が完了可能でない場合(ステップS3:Yes)、CPU301は、ステップS4に処理を進める。
【0057】
(ステップS4)CPU301は、実行中の代金決済の完了画面を、表示部305に表示させる。
(ステップS5)CPU301は、表示部305に表示された完了ボタン(おわりボタン)が押下されたか否か、すなわち、代金決済の完了を宣言するための操作がなされたか否かを判定する。
【0058】
(ステップS6)CPU301は、釣銭等の払い出しが必要であるか否かを判定する。釣銭等の払い出しが必要である場合(ステップS6:Yes)、CPU301は、ステップS7に処理を進める。一方、釣銭等の払い出しが必要でない場合(ステップS6:No)、CPU301は、ステップS8に処理を進める。
【0059】
(ステップS7)CPU301は、釣銭等を決済端末310から払い出させる。
(ステップS8)CPU301は、レシートを印刷部309から発行させる。
(ステップS9)CPU301は、代金決済の初期画面を、表示部305に表示させる。
【0060】
(ステップS10)CPU301は、代金決済の完了を宣言するための操作が所定時間内(例えば、代金決済が完了可能となってから40秒以内)にされたか否かを判定する。代金決済の完了を宣言するための操作が所定時間内になされた場合(ステップS10:Yes)、CPU301は、ステップS5に処理を戻す。一方、代金決済の完了を宣言するための操作が所定時間内になされていない場合(ステップS10:No)、CPU301は、ステップS11に処理を進める。
【0061】
(ステップS11)CPU301は、客が購入する商品を示す取引データを、RAM303に記憶させる。ここで、CPU301は、通信部307を介して、ストアコントローラ10(図2を参照)に取引データを記憶させてもよい。CPU301は、実行中の代金決済処理を強制終了させることが可能である場合、ステップS9に処理を進める。なお、CPU301は、実行中の代金決済処理を強制終了させることが可能でない場合、その旨を報知させてもよい。
【0062】
以上のように、会計用POSレジスタ30は、一取引の完了を宣言するための操作がなされたか否かを判定する判定手段としてのCPU301と、前記操作が所定時間内になされていないと判定手段としてのCPU301により判定され、且つ、前記実行中の取引を強制終了させることが可能である場合、前記実行中の取引を強制終了させ、新たな取引を実行する制御手段としてのCPU301と、を備える。
【0063】
この構成により、CPU301は、前記実行中の取引を強制終了させることが可能である場合、前記実行中の取引を強制終了させ、新たな取引を実行する。これにより、会計用POSレジスタ30は、客自身に操作されることにより代金決済などの取引を実行する場合、次の客の購入商品の取引を円滑に実行することができる。また、会計用POSレジスタ30は、前記所定の操作(例えば、完了ボタンの押下操作)をせずに退店した客に払い出される釣銭を他の客が受け取ってしまうことを防ぐことができる。また、客自身は、店員を呼び出す必要がない。
【0064】
また、会計用POSレジスタ30は、前記取引における代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出す決済端末310を備え、前記判定手段としてのCPU301が、前記操作が所定時間内になされていないと判定した場合、前記代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を決済端末310から払い出す必要があるか否かを判定し、前記制御手段としてのCPU301が、前記代金の釣銭及び釣札の少なくとも一方を前記釣銭釣札機から払い出す必要がある場合、前記釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出すための情報を含む取引情報を、RAM303に記憶させてもよい。
【0065】
この構成により、前記制御手段としてのCPU301は、前記第2判定手段としてのCPU301により、前記実行中の代金決済処理を強制終了させることが可能でないと判定された場合、前記釣銭及び釣札の少なくとも一方を払い出すための情報を含む取引情報を、RAM303に記憶させる。これにより、会計用POSレジスタ30は、客自身に操作されることにより代金決済を実行する場合、次の客の購入商品の代金決済を円滑に実行することができる。また、店員は、払い出すべき釣銭及び釣札を、当該釣銭及び釣札を手渡されるべき客に、RAM303に記憶されている取引情報に基づいて、後で手渡すことができる。
【0066】
また、会計用POSレジスタ30は、クレジット決済の控えを発行する決済端末311を備え、CPU301が、前記操作が前記所定時間内になされた場合、前記クレジット決済の控えを決済端末311から発行させてもよい。
これにより、会計用POSレジスタ30は、完了ボタンを操作せずに退店した客に対して発行されるクレジット決済の控えを他の客が受け取ってしまうことを、防ぐことができる。
【0067】
また、会計用POSレジスタ30は、実行中の取引を強制終了させる旨を報知するサインポール313を備え、CPU301が、前記実行中の取引を強制終了させる旨を、サインポール313から報知させてもよい。
これにより、報知により呼び出された店員は、客への対応を速やかに行うことができる。
【0068】
また、POSシステムは、客の購入商品に付されたコード情報に基づいて、前記購入商品を登録する印字用POSレジスタ20と、会計用POSレジスタ30と、を備えるPOSシステムである。
【0069】
これにより、POSシステムは、客自身に操作されることにより代金決済などの取引を実行する場合、次の客の購入商品の取引を円滑に実行することができる。また、POSシステムは、完了ボタンを操作せずに退店した客に払い出される釣銭を他の客が受け取ってしまうことを防ぐことができる。また、客は、店員を呼び出す必要がない。
【0070】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0071】
なお、上記に説明したPOSシステム及び会計装置を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0072】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0073】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0074】
10…ストアコントローラ、11…LAN、20…印刷用POSレジスタ、30…会計用POSレジスタ、40…精算用レシート、201…CPU、202…ROM、203…RAM、204…スキャナ部、205…表示部(店員用)、205a…表示部(客用)、206…操作部、207…通信部、208…ブザー、209…レシート印刷手段、210…ハードディスク、301…CPU、302…ROM、303…RAM、304…スキャナ部、305…表示部、306…操作部、307…通信部、308…ブザー、309…印刷部、310…決済端末、311…決済端末、312…決済端末、313…サインポール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8