特許第6060701号(P6060701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱瓦斯化学株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6060701
(24)【登録日】2016年12月22日
(45)【発行日】2017年1月18日
(54)【発明の名称】ポリアリレート及びそれを用いた成形品
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/193 20060101AFI20170106BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20170106BHJP
   B29C 47/00 20060101ALI20170106BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20170106BHJP
【FI】
   C08G63/193
   C08J5/18CFD
   B29C47/00
   G02B1/04
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-11112(P2013-11112)
(22)【出願日】2013年1月24日
(65)【公開番号】特開2014-141589(P2014-141589A)
(43)【公開日】2014年8月7日
【審査請求日】2015年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 典慶
(72)【発明者】
【氏名】片桐 寛夫
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−084638(JP,A)
【文献】 特開2012−077128(JP,A)
【文献】 特開2012−077266(JP,A)
【文献】 特開2012−057021(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0149165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 63/00−63/91
B29C 47/00−47/96
C08J 5/18
G02B 1/00−1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分から得られるポリアリレートであって、二価フェノール成分としてビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンの内、少なくとも1種を主原料とし、かつUL−94燃焼試験による100μm厚フィルムがVTM−1以上の難燃性を有することを特徴とするポリアリレートであって、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されたポリスチレン換算重量平均分子量が3万以上15万未満であるポリアリレート。
【請求項2】
全使用二価フェノール成分の内ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンの割合が少なくとも50mol%以上である請求項1記載のポリアリレート。
【請求項3】
前記二価フェノール成分が、α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンのいずれかをさらに含む、請求項1又は2のいずれかに記載のポリアリレート。
【請求項4】
前記二価フェノール成分が、ビスフェノールA又はα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンのいずれかをさらに含む、請求項1又は2のいずれかに記載のポリアリレート。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載のポリアリレートを成形してなる成形品。
【請求項6】
請求項記載の成形品からなるフィルム。
【請求項7】
厚さが5〜200μmである請求項記載のフィルム。
【請求項8】
湿式成形または押出成形にて成形された請求項または記載のフィルム。
【請求項9】
フラットパネルディスプレイ用構成材として使用される請求項のいずれかに記載のフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い難燃性を有するポリアリレートおよびその成形品に関わり、難燃性が求められる用途、特に航空機、列車、自動車等に搭載されるフラットパネルディスプレイやモバイル端末用ディスプレイの構成材料として好適なフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
2 , 2 − ビス( 4 − ヒドロキシフェニル) プロパン(以下、ビスフェノールAと略 )とテレフタル酸及びイソフタル酸類から誘導された非晶性ポリアリレートはエンジニアリングプラスチックとして知られている。かかるポリアリレートは耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や寸法安定性に優れ、加えて非晶性で透明であるためにその成形品は電気・電子、自動車、機械などの分野に幅広く応用されている。
【0003】
近年、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーのようなフラットパネルディスプレイは、軽量化の要求されるモバイル端末や航空機、列車、自動車等のモニター、操作パネルやナビゲーションシステム用のディスプレイとして多用されている。
これらのディスプレイに使用される材料には高い難燃性が求められるが、難燃性の高いガラス基板を用いたディスプレイは移動時の振動や衝撃によりガラスが破損するリスクがあった。そのため、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂に難燃剤を添加した樹脂組成物がガラス代替として使用されているが、近年環境問題からハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤を使用せず極めて高い難燃性が要求されており、様々な材料開発が進められているものの、必ずしも満足できるものではなく改善の余地があった。(特許文献1)
【0004】
一方、同様に比較的高い難燃性を有しているポリアリレート樹脂に関しては、同分野への応用は遅れており、ポリアリレートの特徴を生かし、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤を用いず、高い難燃性を有するポリアリレートを開発する余地があった。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−132947号公報
【特許文献2】特開2002−348454平号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤を用いずに高い難燃性を有するポリアリレートおよびそれを用いた成形品、フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有する二価フェノールから誘導されたポリアリレートが、その成形品が高い難燃性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下に示すポリアリレート及びそれを用いた成形品に関する。
【0009】
(1)二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分から得られるポリアリレートであって、二価フェノール成分として1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンの内、少なくとも1種を主原料とし、かつUL−94燃焼試験による100μm厚フィルムがVTM−1以上の難燃性を有することを特徴とするポリアリレート。
【0010】
(2)全使用二価フェノール成分の内、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンの割合が少なくとも50mol%以上である前記(1)記載のポリアリレート。
【0011】
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されたポリスチレン換算重量平均分子量が3万以上15万未満である前記(1)または(2)記載のポリアリレート。
【0012】
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアリレートを成形してなる成形品。
【0013】
(5)前記(4)記載の成形品からなるフィルム。
【0014】
(6)厚さが5〜200μmである前記(5)記載のフィルム。
【0015】
(7)湿式成形または押出成形にて成形された前記(5)または(6)記載のフィルム。
【0016】
(8)ラットパネルディスプレイ用構成材として使用される前記(5)〜(7)のいずれかに記載のフィルム。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、難燃性の高いポリアリレートおよびそれを用いた成形品が得られ、特に厚みが薄くても難燃に優れたフィルムが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてポリアリレートとは、二価フェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分から得られるポリアリレートであって、具体的にはビスフェノール残基と芳香族ジカルボン酸残基とから構成されている芳香族ポリエステルであり、その製造方法としては界面重合法、溶液重合法、溶融重合法などが公知である。この中で界面重合法で製造されたポリアリレート樹脂は良好な色調と物性を有しているため好ましい。
【0019】
本発明において、二価フェノール成分の主成分として、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンから選ばれる少なくとも1種以上が必須であり、これらは、2種類以上併用して用いてもよい。また、これら二価フェノールは、全使用二価フェノールに対して50mol%以上であり、より好ましくは70mol%以上である。
【0020】
前記主成分の二価フェノール以外に使用可能な二価フェノールとして、具体的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン=(ビスフェノールA)、
1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール、
1,1’−ビフェニル−3,3‘−ジメチル−4,4’−ジオール、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルファイド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−1−フェニルエタン
α,ω−ビス[2−(p−ヒドロキシフェニル)エチル]ポリジメチルシロキサン、
α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、
4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビスフェノールなどが例示される。これらは、2種類以上併用して用いてもよい。また、これらの中でもビスフェノールA、α,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサンが好ましい。
【0021】
また、本発明のポリアリレートを構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸、4,4’−ジカルボン酸およびそれらの酸クロライド等が挙げられる。これらの2価のジカルボン酸は、単独で用いることもできるし、2種類以上を併用することも可能である。特に好適に用いることのできる芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸とイソフタル酸およびそれらの酸クロライドである。
【0022】
本発明のポリアリレートを界面重合法により製造する場合は、前記二価フェノール類、アルカリ、重合触媒を溶解した水相と、芳香族ジカルボン酸成分を溶解した有機相とを混合し、攪拌しながら界面重縮合反応をおこなうことによって、ポリアリレートを得ることができる。
【0023】
その場合の、重合触媒は、第4級アンモニウム塩であることが好ましく、具体的には、トリn−ブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリn−ブチルベンジルアンモニウムブロマイド、トリn−ブチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、トリn−ブチルベンジルアンモニウムハイドロジェンサルフェート、テトラn−ブチルアンモニウムクロライド、テトラn−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラn−ブチルアンモニウムハイドロジェンサルフェ−トが挙げられる。
【0024】
水相に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが挙げられる。
【0025】
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せず、かつ、生成するポリアリレート樹脂を溶解するような溶媒が用いられ、具体的には、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系炭化水素などが挙げられる。
【0026】
なお、本発明のポリアリレートの分子量を調節するために、重合時に末端停止剤を使用することができる。末端停止剤の例として、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の1価のフェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の1価の酸クロライド等が挙げられる。さらには、フロログルシン、イサチンビスフェノール、トリスフェノールエタンなど分岐化剤を少量添加することも可能である。
【0027】
本発明のポリアリレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略称)で測定されるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は3万以上15万未満であることが好ましい。またポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は0.4万以上8万未満が好ましい。
【0028】
本発明のポリアリレートは、湿式成形、押出成形、ブロー成形、射出成形等公知の方法で成形することが可能であり、さらに湿式成形または押出成形によりフィルムに成形することが可能である。
【0029】
本発明のポリアリレートから得られるフィルムは、5〜200μm厚の範囲であることが好ましい。5μm以上とすることで必要な強度を保ち、200μm以下とすることにより自由な屈曲性を保持できる。より好ましくは15〜120μmの範囲である。
【0030】
本発明のポリアリレートは、物性を阻害しない範囲で、一般に用いられる各種の添加剤を添加しても良い。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、着色剤、難燃剤などが挙げられる。難燃剤としては、燃焼時の環境への影響から臭素系や塩素系の芳香族化合物難燃剤やリン系難燃剤を使用することは好ましくないが、パーフルオロブタンスルホン酸塩のようなフッ素系難燃剤を1質量%以下の少量添加することは非ハロゲン難燃と同義とされているため、使用することも可能である。また、難燃目的以外で添加されるリン系酸化防止剤も、同様に1質量%以下の少量であるならば問題はない。好ましくは、フッ素系難燃剤、リン系酸化防止剤も0.1質量%以下で使用されることが好ましい。
【0031】
本発明のポリアリレートを用いた成形品は、100μm厚フィルムでUL−94燃焼試験で、VTM−1以上の難燃性を有する。さらに、難燃性を要求される用途にはVTM−0のものが好適である。
【実施例】
【0032】
以下に本発明の実施例を比較例と共に示し、発明の内容を詳細に示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0033】
<GPC条件>
Waters社製アライアンスHPLCシステム、
昭和電工株式会社製Shodex805Lカラム2本、
0.25w/v%クロロホルム溶液サンプル、1ml/分クロロホルム溶離液、
254nmのUV検出の条件で測定。
ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求めた。
【0034】
<UL−94難燃試験>
ASTM D4804に基づき、フィルム試験片(200±5×50±1×t mm)を円筒状に巻き、クランプに垂直に取付け、20mm炎による3秒間接炎を2回行い、その燃焼挙動によりVTM−0,VTM−1,VTM−2,Not(VTM−2未達)の判定を行った。
【0035】
<実施例1>
5w/w%の水酸化ナトリウム水溶液2.3リットルに、ハイドロサルファイト0.5gと1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(本州化学工業株式会社製、以下BPAPと略)290g(1mol)を溶解し、重合触媒としてトリn−ブチルベンジルアンモニウムクロライド2.1gを加え、さらにテレフタル酸クロライド/イソフタル酸クロライド=1/1混合物(東京化成工業製株式会社製)205gとp−ターシャリーブチルフェノール(DIC株式会社製、以下PTBPと略)6gを溶解した塩化メチレン溶液2.7リットルを加えて、約20℃で2時間界面重縮合反応をおこなった。反応終了後、反応液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液(水相)の導電率が10μS/cm以下になるまで水洗を繰り返した。得られた重合体溶液を、60℃に保った温水に滴下し、溶媒を蒸発除去して白色粉末状沈殿物を得た。得られた沈殿物を濾過し、105℃、24時間乾燥して、重合体粉末を得た。
【0036】
この重合体のGPC測定によって得られた分子量(Mw=48600,Mn=15300)であった。得られた重合体を赤外線吸収スペクトルにより分析した結果、1750cm−1付近の位置にカルボニル基またはエステル基による吸収、1220cm−1付近の位置にエーテル結合による吸収が認められ、エステル結合を有するポリアリレート(であることが確認された。
【0037】
得られたポリアリレートを塩化メチレンに15質量%溶解し、コーターを用いてガラス基板上にキャストフィルムを作製し、乾燥後100μm厚のフィルムを得た。得られたフィルムを200×50mmに切り取り、UL−94難燃試験を行った。
【0038】
<実施例2>
BPAPをビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(本州化学工業株式会社製、以下BPBPと略)352gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、Mw=48600,Mn=15700のポリアリレートを得た。得られたポリアリレートは、実施例1と同様に成形を行い、UL−94難燃試験を行った。
【0039】
<実施例3>
BPAPを9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製、以下BCFLと略)302.4gとビスフェノールA(三菱化学株式会社製、以下BPAと略)45.6gを用いた以外は実施例1と同様に行い、Mw=66800,Mn=18600のポリアリレートを得た。得られたポリアリレートは、実施例1と同様に成形を行い、UL−94難燃試験を行った。
【0040】
<実施例4>
BPAPを9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(大阪ガスケミカル株式会社製、以下BCFLと略)374.2gとα,ω−ビス[3−(o−ヒドロキシフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名X−22−1821、以下Siと略)32.9gを用いた以外は実施例1と同様に行い、Mw=64000,Mn=15800のポリアリレートを得た。得られたポリアリレートは、実施例1と同様に成形を行い、UL−94難燃試験を行った。
【0041】
<実施例5>
BPAPと同時に、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(東京化成工業株式会社製、以下TPEと略)0.8gを分岐化剤として、併用した以外は、実施例1と同様に行い、Mw=72400,Mn=17400のポリアリレートを得た。得られたポリアリレートは、実施例1と同様に成形を行い、UL−94難燃試験を行った。
【0042】
<実施例6>
実施例1のポリアリレートに、フッ素系難燃剤としてパーフルオロブタンスルホン酸塩(DIC株式会社製商品名F−114)を0.08質量%添加し、実施例1と同様に成形を行い、UL−94難燃試験を行った。
【0043】
<比較例1>
BPAPをBPA228gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、Mw=78300,Mn=24400のポリアリレートを得た。得られたポリアリレートは、実施例1と同様に成形を行い、UL−94難燃試験を行った。
【0044】
<比較例2>
BPAPを1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(本州化学工業株式会社製、以下BPZと略)268gに変更した以外は、実施例1と同様に行い、Mw=57700,Mn=11200のポリアリレートを得た。得られたポリアリレートは、実施例1と同様に成形を行い、UL−94難燃試験を行った。
【0045】
表1に、実施例1〜6、比較例1〜2の結果をまとめて示した。
【0046】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の活用例としては、非ハロゲン・非リン系での難燃性が求められるフラットパネルディスプレイ基材として使用されるフィルムを提供することが可能である。